ヒメドキまでスキップしますか? はい いいえ(はじめから) 「……よしっ!」 『校長室』とプレートがかけられた教室の前で、僕は何度か呼吸を落ち着かせて、いざ、ドアを叩く。 「瀬田 誠人です、失礼します」 「ああ、瀬田先生、急に呼び出してすまないね。 まあ、座って」 「はい、失礼します」 ようやく、この時が来た。 有名な私立教師になりたかった学生時代の僕。 しかし、そこからはお声がかかることはなく、今の学校に勤務することとなってから数年が過ぎた。 諦めたわけではない。ずっと夢見ていた。 そして、新米の教師を省いた先生たちに『異動希望調書』が配られた。それに、僕は迷わず『異動希望』に記入した。 さらに、僕としてできうる限りのお願いをそこに書き込んだ。 そうして今日、校長から呼び出された。 話の内容はそのことで間違いないだろう。 今の世、教員不足なのは僕たちがよく分かっている。たとえ有名な学校でもそれは否めない。 できうることなら有名なところで働きたい。レベルの高い教師、生徒とともに自分を磨きたい。 そうした野望を胸に、校長と面談を行うこととなった。 「あー、瀬田先生は 桜峰学園に来て何年になりますか?」 「はい、4年になります」 「そうですか ……いろいろお聞きしたいこともありますが、 失礼になってもよくない、本題にいきましょう」 少し物悲しげな校長の表情に、僕もまた心が痛んだ。 でも、だからと言って自分の野心からそれを曲げることだけはできなかった。 「異動です。 来年度から新しい学校先に赴任してください」 「はい……! 長いことお世話になりました」 思っていた通り。話の内容は異動だった。 しかし、それで終わりではないはず。赴任先がどこなのか、僕にとってはそこが重要だった。 「それで、僕が赴任する先はどちらですか?」 「それなのですが……」 校長が言葉を渋った。言いにくそうな雰囲気が伝わってくる。 とても大変な学校なのか?僕に勤まるのか心配してくれているのか? 学校の教師はどこも忙しいのは分かっている。 仮に有名学校ではないにしても、僕としてはしっかり勤めて、再び異動届けを出すだけだ。 「どこなんですか?」 「瀬田先生には――」 「……着いた」 あれよあれよと月日は流れて、ついにその日はやってきた。 僕が赴任する次なる町。それは僕がいたところと全く環境が違う“田舎”だった。 「何もない……こんなところで僕は教壇に立つのか」 まるで今の僕の心を描いたかのような町。 私立の学校で教師をする夢が瓦解していく。 「いや、いや……諦めるのはまだ早い」 この町に来る前にあれこれ調べたけど、これから僕が赴任する学校には、理事長の娘がいるらしい。 うまいこと取り入ることができたら、その学校から僕を引き抜いてくれる可能性だってある。 「遠回りしているようで、 これが早道という結果に繋がるかもしれない」 まあ、誰のことなのかは分からないんだけども。 「とにかくこの好機、逃すわけにはいかない」 再び、都会へと返り咲くためにもここで腐るわけにはいかないのだ。 「やってやる……。 それにしてもバスが遅い」 寒さと格闘しながら30分は待っただろうか、いまだに学校へと向かうバスは来なかった。 引っ越してまず、職場となる学校に顔を出すことにした。 そして、バスが来ない。 「……次は何時に来るんだ?」 確認していなかった時刻表を見て、うっと顔をしかめる。 まだもう30分は待たないといけない。つまり、1時間に1本しか走らない計算になる。 「……これなら、歩いて向かった方が早いか」 この町の地理もあまり分かっていないが、それでもじっとしているよりはマシだと思った。 歩いて向かえば、少しは心も身体も温まるだろう。 「……はぁ」 3月も中ごろでありながら、こっちの方は刺すように寒く、道路沿いには雪も多少残っていた。 自分が本当にこんな町へと引っ越してきたのかと思うたびに、ため息がこぼれる。 悲観しがちではあったが、それでも現実は受け止めないといけないだろう。 「大丈夫、何もまだ終わってはいないんだから」 心が折れないようにそう自分に言い聞かせつつ、しばらくして見えてきた学校を前に、ぐっと力が入るのだった。 「はぁ、はぁ、やっと着いた……ふぅ」 凍った地面に足を取られないように気を配りながら歩き、ようやく学校に到着。 「……まあ、想像していた感じの造りかな」 見た目は確かに古く、前の学校と比べると目を細めてしまいもする。 それでも文句はない。今は何より我慢だ。 「……中はまだキレイだし、整っているかな」 緊張を隠しつつ、僕は学校内に足を運んだ。 差し込む日の光が廊下に当たる。勤めていた学校では見られなかった光景の一つだ。 そんなさわやかな印象とは対照的に、予定の時刻をかなりオーバーしての到着。 顔合わせとはいえ初日で遅刻とは……。 不安な気持ちを抱きつつ、職員室のドアを叩いた。 「失礼します」 厳つい先生 (0001) 小野「ん? 父兄の方ですかい?」 ドアを開けてすぐ、見るからに体育会系の教師を思わせる強面の先生が声をかけてきた。 あまりの迫力に気おされそうだった。 「いえ、来年度からこちらで教師を勤める 瀬田 誠人と言います」 「今日は挨拶に、と寄らせてもらいました」 頭を下げつつ自己紹介を並行して、職員室内を見回す。 意外に狭く感じられた職員室ながらも、それぞれの机は散らかっている様子もなく好感が持てる。 厳つい先生 (0002) 小野「おお……話は聞いている、やっと来たか」 厳つい先生 (0003) 小野「黒沢校長ー! 新しい先生がお見えになられましたよ」 最初に挨拶を交わしてくれた先生がすぐに校長先生を呼ぶ。 校長が歩み寄るそれに倣って、デスクに座っていた他の教師たちも僕の方に集まってきた。 黒沢 (0000) 黒沢「これはこれは……私が校長の黒沢です。 遠いところようこそお越しくださいました」 「初めまして。瀬田 誠人です。 よろしくお願いします」 「いきなりこの町に慣れるのも大変かもしれませんが、 どうぞよろしくお願いしますね」 深々と頭を下げてくる校長に遅れて、僕も慌てて頭を下げた。 腰が低く、優しそうな校長先生だ。地方特有の方言がないのは助かった。 「それでは、せっかくですから 自己紹介でもしましょうか」 「俺は小野、小野将文。 上のクラスを担当している。よろしく」 最初に僕とやり取りした小野先生から紹介が始まった。 かなり大雑把だけど、見た目どおりの印象に自然と笑みがこぼれる。 「怖い顔をしているけど生徒からは慕われていてね。 また、この町で育った唯一の先生です」 「まあ、そういうことだ。 この学校では校長、教頭の次に古株だ、 分からないことがあったら何でも聞いてくれ」 「ありがとうございます、よろしくお願いします」 ジャージ姿なところが小野先生の雰囲気を示していた。 話し方は威圧的だけど、そういう性格なのかもしれない。 「では、次に安藤先生、お願いします」 「はい、安藤敬輔です。 真ん中のクラスを担当していました。 よろしくお願いしますね」 次に紹介されたのは人の良さそうな、優しさをまとった先生だった。 物静かで、どことなく生徒に振り回されそうな感じもする。 そんな彼の自己紹介に、気になる物言いが引っかかった。 「ん? 担当していた、というのは?」 「安藤先生は、しばらくしたらこの学校を 辞められるんですよ」 「後ほど詳しく話しますが、 瀬田先生には安藤先生が受け持っていた クラスをお願いします」 「はい、分かりました」 早速、担任を任されたことに背筋がピンと伸びる。 この学校のやり方はわからないけど、都会の学校で揉まれてきたんだ。大丈夫、できないはずがない。 こんなところで、くすぶってたまるものか。 「そんな固くならなくてもいいからね。 私もすぐに辞めていくわけではないから」 「そうなんですか?」 「引継ぎなどもあるから、5月まではいますよ」 「生徒のことで分からないことがあったら、 安藤先生に聞くといいですよ」 「はい、分かりました」 ここではやはり新米教師扱い。それも仕方ないか。 でも、僕だってそれなりにこなしてきたんだ、自信はある。 「それでは次は私ですね。五十嵐 遥です。 下のクラスを担当しています」 先生、というよりも保母さんというのが印象的な、お姉さん的雰囲気を持つ五十嵐先生。 とはいえ、華があるようにも見えず、淡々とした自己紹介は異性が苦手なのか、話下手なのか。 「五十嵐先生は優しくて、 生徒のお母さんたちからも評判がいいですね」 「あ、いえ、そんなことありません、たまたまです」 謙遜する五十嵐先生は、目立つことも苦手なのだろう。 よくまあ、この性格で教壇に立っていると思う。生徒の前ではうまく接しているのかな。 まあ、そこは僕が心配するところではないか。 「それでは最後に教頭先生、どうぞ」 「はい。教頭の熊谷和代です。 よろしくお願いします」 「あ、はい」 短い自己紹介だったが、いかにも規律などに厳しそうな印象を思わせた。 「以上ですね、しばらくしたら 安藤先生と瀬田先生は私のところに来てください」 簡単ながらもそれぞれ先生の紹介が終わったらしく、校長がこの場を仕切って解散を告げる。 それぞれの机に戻っていく中、ポツンと僕はドアの付近で立ったまま、ふと思う。 「(……先生ってこれだけ?)」 僕に校長、教頭を入れて6人。そのうち安藤先生は辞められるから実質5人。 こんな少ない教師で生徒たちに教えているのか。 少しの不安を抱きつつも、ここで頑張りさえすれば評価も一気に上がる。 都心に返り咲くことができるかもしれない。 めげてはいられない。諦めるにはまだ早い。 「では瀬田先生、そろそろ行こうか」 教員不足を実感しているところで、安藤先生が声をかけて校長の下へ向かうように促してきた。 「どうかな? うまくやっていけそう?」 安藤先生が僕に気を遣ってか聞いてきた。 「最初はいろいろ不安でした。 でも、来たからには受け止めようと思います」 「そうだね。都会の方が何かと便利かもしれないけど、 田舎は田舎でいいところがあるから」 「はあ……ちなみにどういったところがですか?」 「それはこれから君が探すんだよ」 僕のことを弄んでいるのか、簡単には教えてくれない。 しかし、安藤先生が言っていた言葉の真意が分からなかった。 都会が全ていいとは言わない。むしろ、いいところを探すことのほうが難しいぐらい、今の学校事情は問題が多い。 先生同士での軋轢、ねたみ、ひがみ。 ともあれば教育委員会との衝突。生徒の問題から、生徒の親からの考えられない要求など。 あげればキリがない。 そうした問題が山積みしていたとしても、なお田舎よりは都会での方が良いとさえ思っている。 田舎でいいところなんてあるのだろうか。 うまく飲み込めない。そう思っている中、僕は安藤先生に尋ねた。 「安藤先生が仕事をお辞めになる理由、 聞いてもいいですか?」 「大した理由じゃないよ。少し前に結婚したんだ」 「あ、そうだったんですか。おめでとうございます」 「それで、ね。 寂しいけどこの町を離れることになってね」 そう告げる安藤先生は本当に寂しそうな表情を浮かべていた。 よほど、この学校に思い入れがあって離れたくないんだろう。 僕からすると、きっかけはどうあれこの町から出て行けるのなら喜ばしいことだと思うのだが。 「……だから、これからは君に頼んだよ」 「頑張りたいと思います」 「すまないね。さっきも話したけど、 瀬田先生はこれから安藤先生に いろいろ教えてもらってください」 「はい。早速ですけど生徒の名簿はありますか?」 できることなら早く生徒たちの名前や、できうる限りの情報は把握しておきたい。 いや、正直に言えば、あの学校の校長の娘は、早くに探しておいて損はない。 「名簿ですか。 まだ、来年度の名簿は作っていないはず……」 「では後で私のをコピーしましょう。 来年度で学年が変わる子もいらっしゃいますから、 始業式が始まるまではそれでいいですか?」 「それはいいですけど、 さっきの自己紹介でもあった、 上の学年、下の学年というのは……?」 あまり聞きなれない担任の振り分けられ方に、僕は抱いた疑問をそのまま聞いてみた。 「見ての通り教師の数も少ない ということもあるんですが」 「この町も少子化が進んでね。 生徒たちをきれいに振り分けるのが 難しくなってきてるんですよ」 「なるべく教育に差が出ないように、 3クラスに振り分けているんです」 「そうなんですか」 田舎で暮らす先生たちが出し合った知恵なんだろう。 前に勤めていた学校では少子化なんて気にも止めなかったけど、ここにきて現実を突きつけられた感じだ。 町自体も少子化は悩みの種なのかもしれない。 それゆえに、先生の数も限られているのだろう。 「授業のシステムも変則的になるかもしれませんが、 まあ、気楽に生徒と仲良くしてあげてください」 「……頑張りたいと思います」 気楽に言ってくれる校長先生だが、授業を教える身としては考えることは山ほどありそうだ。 しかし、それよりもこの緊張感のなさに不安を抱かざるをえない。 もう少し具体的なことを話し合ったり、学校としてのあり方を議論するべきなのではないか? 新しく僕が来たということもある。その上で、もう少し期待してくれてもいいと思うのだけど。 期待、されていないのだろうか。 「瀬田先生、これがさっき話していた名簿です」 複雑な気持ちを抱いていたとき、早速安藤先生がコピーをして僕へと渡してくれた。 「ありがとうございます……20人ぐらいですか」 ざっと目を通して人数を確認する。 「そうですね。 その内、クラスが入れ替わる生徒が 半分ぐらいかな」 「なるほど、少し変則的なんですね」 「そういうことです。 一番大変なクラスですけど、 その分やりがいも十分にありますよ」 「やりがい、ですか……」 あまりピンとこなかった。大変なのは間違いないけど、そこにやりがいを感じられるかは別問題である。 この学校のシステムは本当に大丈夫なのかな。転勤してきてそうした疑念がわきあがる。 「まあ、試行錯誤しながら頑張りたいと思います」 「一応、僕の携帯の番号とアドレス、教えておこうか。 何かあったら連絡してきてくださいね」 安藤先生と連絡先を交換したのを見届けた後、校長先生が言葉を締める。 「今日は以上になりますから。 次は始業式の日に来てください」 「えっ!? 始業式でいいんですか?」 そこは明日からでも、学校のシステムなんかを話し合ったりするべきなんじゃないのか? それでなくても始業式の準備なんかもあるはず。僕は当日だけでいいなんて、前の学校では考えられなかった。 緩い雰囲気のする先生方ではあったけど、まさかここまでとは驚くのも無理はなかった。 「ええ。始業式の時に瀬田先生を紹介しますから。 本格的にお願いするのはそれからです」 「でも……僕なら平気ですよ、 なんでもさせてもらいます」 なんにしても、少しでも知っていかないと始まらない。 「熱心なのはありがたいけど、 まずはこの町に慣れてからでも遅くないから」 気を遣われているのか、それともこの学校がそういう体制なのか。 しかし、それでも緩い気がするんだけど。 この学校、大丈夫か? 「わかりました。それでは……お言葉に甘えて……」 「はい、これからよろしくお願いしますね」 校長の言葉を背にして、僕はまだ一時間も経っていない職員室を後にする。 「はぁ……心配だ。 僕、ここでやっていけるだろうか」 ついつい洩れる小言。 新たに赴任してきた学校の第一印象はどんどん良くないほうへと傾いていた。 いや、考え方としては僕を思ってくれているのかもしれない。 早くにあがっていい。サラリーマンであれば完全なホワイト企業であることは間違いない。 でも、僕が勤めているのは会社ではない。相手にしているのは生徒なわけで、もう少し頼ってくれてもいいと思うんだけど。 「始まってからが勝負だな……」 ネガティブな印象を何とか拭い去ろうと、歩き出したとき、後ろから僕を呼ぶ声に振り返る。 「……あの。瀬田先生はバスで来られたんですか?」 「え? あ、まあ、バスで来ようとしたのですけど、 あまりに遅くて歩いてました」 「私もこれから帰るので、 私の車で良かったら家までお送りしますよ」 「いいんですか……なら、 お言葉に甘えたいと思います」 五十嵐先生の申し出は素直にありがたかった。 距離はともかく、分からない土地で住所を探すのは心身ともに骨が折れる。 「瀬田先生はどちらに引っ越されたんですか?」 車を停めているロータリーへと向かう途中、五十嵐先生がどこに住まうのか聞いてきた。 僕も、この町の住所を理解できておらず、前の校長先生から渡された住所先をそのまま五十嵐先生に手渡した。 「亘理町みささぎ……こっちの方に アパートなんてあったかしら?」 「いえ、賃貸じゃなくて ……実は、前の校長の知り合いに 住まわせてもらうことになっているんです」 「そうなんですか。それはよかったですね、 この町は一戸建てばかりですから、 見つけるのも大変だったと思いますよ」 「そうだったんですか……それは助かった」 正直、乗り気ではなかったけど、校長の強い勧めもあって、同じように断るに断りきれなかったわけで。 そのおかげか、この町の住宅事情は分からない。 寝床は確保できているとはいえ、場所は他人の家で相手には家庭がある。 肩身が狭いのは当然だが、居候となるとあまりずうずうしくはできない。 「慣れないことばかりで大変だと思いますけど、 頑張ってくださいね」 自己紹介したときには感じられなかったけど、まともに話せることにホッと安堵の息が漏れる。 エールを送ってくれる五十嵐先生に元気よく頷いたのだが、彼女はすぐに怪訝そうな顔を浮かべていた。 「あれ……でも、この住所って確か……」 小声でなにやら呟いていたが、それよりも僕は、居候させてもらう場所がどういうところなのか、気になってそれどころではなかった。 「この先を少し行ったところが 橋本さんの家になります」 「はい、ありがとうございました」 学校から居候させてもらう家までは距離もそう遠くはなく、すぐに目的地に到着した。 その車中で五十嵐先生と話をする中、僕が住まわせてもらう家には、自分が担当する娘さんもいるらしい。 僕が担任することになったクラスには居候先の娘さんがいる……なんだか、安いドラマでありそうな設定だ。 「それにしても、何もない町ですね」 道中、景色を眺めていたが、若者が集まれるような施設もなければ、コンビニすら目に留まらなかった。 「都会から来た方にはそう思うかもしれませんね」 「けれど、隣町にいけば施設はいくつかありますし、 なくても意外と生活できるものですよ」 フォローしたつもりなのかもしれない。確かに住めば都ということわざはあるけどいつ慣れるだろうか。 「そうですね、 まずはこの町に溶け込もうと思います」 「はい、これから頑張ってください。それでは」 最後にまたエールを送られて五十嵐先生は行ってしまった。 車で通っているということは少し離れているのかもしれない。 「さて、どんな方が住んでいるのか……」 不安と期待が入り混じる中、僕は橋本家のインターホンを押した。 おばさん (0001) 敦子「はーい」 「すみません。今日からお世話になります、 瀬田です」 おばさん (0002) 敦子「あ、はいはい。すぐに開けますね」 おばさん (0003) 敦子「さあさあ、どうぞ上がって」 人当たりのいい方に出迎えられて、僕はあれよあれよと居間へと通された。 「私は橋本敦子。好きに呼んでちょうだいね」 「はい、なら……敦子さん」 「やあん! 男の人から名前で呼ばれるなんて 何年ぶりかしら……なんだか照れるわね」 「はあ……」 明るく和やかな感じを思わせる敦子さんは、こうして話を聞いているだけでも優しそうなのが伝わってくる。 よかった。ユーモアのある優しそうな家の人で。 「えっと、誠人さんでよかったわね ……荷物も届いてるから、 それと部屋はこっちを使ってね」 そう言って、今度は部屋に案内してくれた。 「大の大人には少し狭いかもしれないけど、 余ってる部屋だから好きに使ってちょうだいね」 「十分です。ありがとうございます」 「ふふ。しばらくしたら家の人も帰ってくるから、 その時に改めて話しましょうね、 それまではゆっくりしてて」 僕に気を遣ってくれたのか、敦子さんは僕に部屋を案内した後、居間へと消えていった。 「はあ……疲れた」 自分だけの空間に少しずつ緊張が解けていき、畳の上で横になる。 「これからこの家で過ごすんだな」 居心地はそう悪くはなさそうだけど、あまり長居するのも失礼かもしれない。 頃合を見てアパートを借りたほうがいいかな。 「いやいや、 引っ越したばかりなのに もう引っ越しのことを考えるのはよくないか」 紹介してもらった校長先生にも悪いし、わざわざ部屋を空けてくれた橋本さんの家にも悪い気がする。 さっき五十嵐先生も話していたじゃないか。賃貸の数もそう多くないと。 それはまたの時に考えるとしてだ。 「今はこの山積みされた荷物の整理から始めよう」 ネガティブな気持ちを取っ払うためにも、身体を動かして荷物をダンボールから出していく。 「ふぅ……よしっ、こんなもんだろう」 それなりに部屋の整理がついたときには日も沈んでいた。 下からはにぎやかな声が足元の畳からかすかに伝わる。それと夕飯の匂い。 みんな帰ってきたみたいだ。 「誠人さん、夕飯の準備ができましたよー」 下りようか迷っていたちょうどその時、居間から敦子さんが声をかけてくれた。 「はい、すぐ行きます!」 簡単に返事をして、再び僕は居間へと顔を出す。 男の子 (0001) ゆうき「わっ、ほんとうにいる!」 男性 (0001) 隆司「こら、まずは挨拶が先だろう」 男の子 (0002) ゆうき「はーい、こんばんは!」 「あ、うん。こんばんは」 父親に注意されて、男の子はとことこと僕の前にまできて、ぺこりと元気よく挨拶してきた。 可愛すぎる。ていうか、父親に似てないのは母親似なんだろうなあ。 「僕は瀬田 誠人、今日からよろしくね」 「うん! ぼくは、はしもとゆうきです!」 まだ、幼いということもあり、手をいっぱいに広げて年齢を教えてくれる。 実際いくつなのか分からないが、その指の数が間違っていても許せてしまうぐらいに可愛い。 「私は橋本隆司、一応この家の父親をやっている。 家内とは挨拶をしてるな?」 一応、とつけるあたり敦子さん同様、ユーモアのあるように思えるが、さすが父親といった風格を感じる。 「……あとはえみか、何しているんだ」 女の子 (0001) えみ「……あ、う、橋本 えみです……」 恥ずかしがり屋なのか、名前を口にしたのが精一杯らしく、目が合うや俯いてしまった。 父親と違い全く他人の、しかも男性ということもあって少し警戒をしているのだろうか。 「は〜い、夕飯の準備ができましたよ」 敦子さんがテーブルへと料理を並べる。それは数品どころではない。 主役級のおかずが並ぶ、並ぶ。 「すげーなんでこんなたくさんなの?」 「今日は誠人さんがお家に来たから、 そのお祝いなの」 「そういうことだ。誠人、どんどん食うんだぞ」 「あ、はい。なら、いただきます」 挨拶もそこそこに、僕を暖かく迎え入れてくれた橋本家はすぐに食事モードに取り掛かっていた。 「いただきまーす」 「………………」 「はーい、まだまだたくさん作ったから、 どんどん食べて」 「おかあさん、作りすぎ ……こんな食べられないよ」 「んふふ。誠人さんは大丈夫よね?」 「はい、どれも美味しくて箸が進みます。 実家を思い出しますし」 「そりゃそうよ。 うちのメシに文句があったら 速攻で追い出してるところだ」 ビールを飲みながら、時おりおかずに箸を伸ばす隆司さんだが、彼が一番食べていない。 食事よりもお酒が進み、ビールはすでに3本目が開けられていた。 「誠人さんはえみが行ってる学校の先生なのよ、 これからよくしてもらってたら 成績も少しは上がるかもしれないわよ?」 「お、おかあさん、そんなことしないよ ……も、もぉ」 敦子さんや隆司さんも僕を心地よく迎え入れて、僕を中心に話を振ってくれていた。 時おり、娘、息子にも振って僕に馴染ませようと影ながらの努力が窺えた。 「えみちゃんは、好きな科目とか、 苦手な科目はある?」 「え、あ、あ、う、な、ない……!」 僕から声をかけられてテンパッて、搾り出した言葉はそれだけだった。 「ボクはね、絵! うまいよ!」 そう言って、先生に褒められたらしい絵画をわざわざ僕に見せてくれた。 「うん、うまいうまい、これはゆうきくんの家族?」 「うん! これがお母さんでお父さん、 それとお姉ちゃんと、僕と、ペス!」 ゆうきくんがほのぼのとしながらも人見知りせずに話題を提供してくれる。 こうして子供の方から話をしてくれる分にはとても楽だ。 「ペスってなに? 犬?」 「そうだよ」 「犬も飼ってるの?」 「ううん、となりの犬」 「ああ、そうなんだ」 子供特有の描きたいから描いちゃったんだろう。猪突猛進な感じは父親に似ていそうだ。 ゆうきくんの性格はなんとなく分かったし、話をすれば受け答えしてくれる。 接しやすい。けど、問題はえみちゃんだな。 「(なにか、話題があればいいんだけど……)」 そう思っているとき、ゆうきくんが、僕の目の前に置かれてある手の付けられていないおかずを見ていた。 「ねー、お兄ちゃん。からあげ食べていい?」 「ん? ああ。 残り少ないからお姉ちゃんと 半分ずつ食べていいよ」 「やったー、おねえちゃんも食べていいって」 「あ、う、あ……あ、あたしは、あたしはいらない」 スタイルでも気にしているのか。えみちゃんには拒絶されてしまった。 「ふふふ……若いわねー。 あ、誠人さん、ビール、まだ飲みます?」 「いえ、もう料理だけで十分です」 隆司さんも敦子さんも打ち解けてきた感じはするし、ゆうきくんも僕を兄として親しそうに話してくれるようになった。 ただ、えみちゃんだけは異性ということもあって弾まなかった。 「ごちそうさま……あたし、部屋に行ってるね」 しばらくして、食事を終えたえみちゃんは逃げるように自分の部屋へと行ってしまった。 「……えみちゃんはいつもあんな感じなんですか?」 「ふふ……えみも何を話していいのか分からないのよ。 しばらくしたら仲良くなれるわよ」 敦子さんはあまり気にしていないようだったけど、うまくいけるかが不安だ。 「さて、それじゃそろそろ片付けようかしらね」 「それなら僕も手伝いますよ」 「いいのよ、私がするから。 それより、誠人さんはお風呂に入ってちょうだい」 「いや、でも、ご主人よりも先に入るわけには……」 横目で隆司さんを見やるけど、彼はすでに豪快ないびきをかいて眠っていた。 「こうなるとしばらくは起きないから、 先に入ってちょうだい」 「分かりました。それじゃあ、いただきます」 「はぁ……生き返る。 至れり尽くせりって感じだな」 一人暮らし時代、自分で全部やっていた時と比べたらずいぶん楽だ。 こうしてお風呂に入るのも何年ぶりだろうか。 いろいろしてくれる敦子さんには感謝だけど、甘えてばかりもいられないよな。 「僕は僕でできることをしないと」 そのためにも、まずはこの家に慣れよう。 ゆうきくんと、それにえみちゃんとも。 特にえみちゃんとは学校でも顔を合わせるんだ、仲良くしていたら、生徒ならではの情報を教えてくれるかもしれない。 そして、例の娘の情報も手に入るかもしれない。 仲良くしていて損はない。 「難しいが、大丈夫。 焦らず少しずつこなしていこう」 時間はまだある。そもそも始まってすらいないのだから。 やるぞ、自分のために。やるぞ、出世のために。 「……よし!」 「おはようございます」 「あら、おはよう。早いのね」 「ええ、まあ」 翌朝。 たくさんの人と出会い、新たな土地に引っ越してきた疲れから、風呂から上がりすぐに眠ってしまっていた。 すぐに衣服を着替えて台所に顔を出すと、敦子さんが朝食の準備をしていた。 「何か手伝いましょうか?」 「そうね〜 ならそれをテーブルに持って行って もらえるかしら」 与えられた仕事をこなす中、居間からは付けられっぱなしのテレビの音が聞こえていた。 外からの車、バイクの音など聞こえない。室内だけの音に不思議な違和感を覚えていた。 「今日から学校に行くのかしら?」 「一応そのつもりです。 校長からは始業式からでいいって話でしたけど なんだか落ち着かなくて」 「くすくす……都会に比べてこっちは のんびりしているからね」 僕の性格――というより都会事情を知ってか、敦子さんは理解したかのように笑ってくれた。 「それなら、 誠人さんの分もお弁当を用意しないとね」 「そんな、いいですよ。 お腹が空いたら途中で買いますから」 「学校の近くにお店なんてないわよ。 おかずならまだ余ってるから 気にしないでちょうだい」 「ありがとうございます」 そう言って、敦子さんは台所へと向かって僕の分まで弁当を準備してくれる。 敦子さんの心遣いは嬉しいけど、申し訳ない気がしてならなかった。 これから毎日作ってもらうとなると心苦しい。 学校に出前とか取れないものだろうか。 そうしている中、居間へとやってくる足音が2つ。 「おはよー……」 「うぅ……寒い……こたつぅぅぅ……」 えみちゃんとゆうきくんは寝起きもそのままに、起きてすぐにこたつの中へと身を忍ばせていた。 すでにスイッチが入っていたらしく、ゆうきくんは横になって気持ち良さそうにしていた。 「あなたたちね、まずは顔を洗ってきなさい」 「あとでー」 「あとでー」 ゴロゴロとこたつの暖かさに気を許す2人に、僕もくすりと笑みがこぼれる。 「まあ、見ての通り、これが橋本家の実態よ」 ため息交じりに苦笑する敦子さん。その苦労がなんとなく分かった気がする。 「おはよう、えみちゃん、ゆうきくん」 僕は料理をテーブルに並べつつ朝の挨拶を交わす。 「ひゃっ!? え、え……起きてたの?」 「もちろん。学校にも行こうと思っていたからね」 「あ、あ、あうぅぅ……」 なぜか顔を赤くしているえみちゃんは、口をぱくぱくとし出した後、すっと立ち上がった。 「あ、あたし、着替えてくる」 そう言って、パジャマ姿だったえみちゃんは逃げるように部屋へと戻っていた。 「いつもいっしょにゴロゴロしてるのに、 変なお姉ちゃん」 「ふふふ……女の子ねぇ」 そうして、えみちゃんが私服に着替えてきたタイミングでみんなで朝食をとることとなった。 隆司さんは朝早くに仕事へと向かったらしい。 「今日行ったらお休みなんだよー、いいだろー」 「通ってる学校の卒業式なんです。 ゆうきは次、えみと同じ学校に行くのよね」 「そっか。おめでとう」 「うん! ぼくももうおにいちゃん」 少しは背伸びしたい年頃らしく、あれこれ準備する姿を見るとなんだか和む。 「あたしも今日で終業式だけど、 もう少し休みが欲しいなあ」 えみちゃんは朝食のパンを食べながら不満を漏らす。 「分かるなあ。 終業式から始業式まで休みが短くて、 あんまり休めた気がしないよね」 「う、うん……」 僕が会話に相槌を打つと、えみちゃんは気恥ずかしそうにしてパンを口にしていた。 まだ、仲良くなるには時間がかかりそうだ。 「それじゃ、僕は先に行きます」 食事を終えてすぐ、ゆっくりする時間もなく僕は学校へと向かう。 「いってらっしゃーい」 「ふぅ……寒い……」 3月も折り返しているのにまだ朝は寒い。霜が降りて、気温以上に寒さを感じた。 「この寒さにも慣れていかないとな」 真冬を体験しなくてよかった。 真新しいことだらけだけど、僕にとっては新鮮で、それはそれで悪い気はしなかった。 できたらもう少し都会であったならよかったけど。 贅沢な悩みを抱きつつ、僕はゆっくりと学校まで歩いた。 「ふぅ、学校まで歩くとずいぶん身体も暖まるな」 カッターシャツの下に何枚か重ねてきたけど、学校に着くと身体はポカポカしていた。 さすがに時間は7時を少し回ったばかり。もちろん誰もいない、と思っていたら―― 「校長先生……?」 「おや、おはようございます、瀬田先生。 お休みのはずですが、何か忘れ物ですか?」 変わらず丁寧に挨拶を交わしてきた校長先生は、ニコニコ顔で尋ねてきた。 「いえ、少しでも学校のことを 知ろうと思っていたので……よくなかったですか?」 「そんなことありませんよ。 どうぞ、他の先生方も集まっていますから」 驚かれはしたものの迷惑がっている様子もなく、校長先生はそのまま促してくれていた。 しかし、一緒に学校に向かうわけではなく、外に立ったままだった。 「(誰か待っているのだろうか?)」 首を傾げつつ、尋ねるのも野暮かと思い一度、職員室へと向かった。 「おはようございます」 「お、瀬田先生、何かあったんで?」 「いえ、じっとしているのが苦手なので、 今日は見学に来ちゃいました」 「真面目ですねー。寒い中お疲れ様です」 「今、お茶淹れますね」 「ありがとうございます」 校長先生をはじめ、他の先生方にも僕が学校に来たことで驚かれてしまった。 僕としては当たり前なんだけど、都会と田舎の方で教員という意識にも差が出ているのだろうか。 僕が都会の教員システムに毒されている……?でも、教職ならこれぐらいむしろ当然だと思っていた。 「(う〜ん、やりにくいなぁ……早いところ慣れないと)」 「おはようございます。 あら? みんな集まっていますね」 教頭先生がさっと目配せして全職員がいるのを確認した後、淡々と朝の職員会議が始まった。 しかし、この場には校長の姿だけがなかった。まだ外に出ているのか。 「今日は終業式です。 朝の会が終わった後は 体育館へ促すようにお願いします」 今日の流れがざっと教頭の方から説明された。 僕がいるからだろうか。分かりやすく行事予定を話してくれたようだ。 「終了後、各クラスで生徒に帰りの会をしてもらい、 先生からは春休みの注意事項を話して解散」 「その後、先生方は集まり次第、 来年度の始業式のことをお話します」 教頭先生が話を終えた後、特に質問の声があがるわけでもなく、職員会議は簡単に終わった。 どこにもあった朝の職員会議だが、もっと具体的な話をしてもいいはずだ。 特に、今日が終業式ならその進行の流れであったり最終的な打ち合わせはしなくていいのだろうか。 「(……とは言え、まだ担任を任されたばかりの僕が  言えることでもないか)」 それに、僕がそんなに熱血でないことは自分で一番よく分かっている。 それでも、これでいいのか日に日に不安を抱いてしまう。 「(僕が意識しすぎなのかもしれないな  ……とりあえず、先生達に言われていたように、  まずは慣れよう)」 自分の気持ちをコントロールしつつ、まずは下に着いているということで安藤先生の指示を受ける。 「あの、 僕も終業式には出席した方がいいでしょうか?」 「そうだなぁ……たぶん、出なくてもいいと思うよ」 「そうですか」 「今日は瀬田先生を紹介するプログラムは 組まれないですからね。 急に参加しても生徒たちが不安がるからね」 「なので来ていただいて申し訳ないんですが、 瀬田先生は職員室で暖でもとっていてください」 「そうですか、分かりました」 生徒のことは考えているらしく、その配慮から僕は職員室で留守番を命じられてしまった。 始業式に来ればいいと言われたにも関わらず、次の日にノコノコ来てしまったのは今思えば迷惑だったのかもしれない。 「(頑張ろうとしたことが  逆に仇になってしまったかな)」 しかし、このまま帰るなんて余計に失礼だ。来たからには僕も何かできることを探そう。 「(………………)」 ………………。 しばしの沈黙の後。 僕は一度、職員室を出た。 考えた末、とりあえず学校のことを知ろうと、昨日、あまり見られなかった校内を見て回ることにした。 閑散としている廊下から差し込む日の光は気持ちがよかった。 それからあちこちと学校内を歩いたが、広くもなく迷うこともなさそうだった。 手持ち無沙汰となって一度外へと出ると、まばらながら生徒が登校しているところだった。 出迎えている校長先生に元気よく挨拶してくる生徒に、校長先生は笑顔で挨拶を返している。 僕もそばに行こうかとも悩んだけど、安藤先生の言葉を思い出し足を止めた。 始まるのは4月から。でしゃばるのは先生たちに失礼になる。 そう自分に言い聞かせて、遠目から生徒たちを僕は出迎えていたが。 「……少ないな」 一人、また一人とまばらに登校してくる生徒の数を前に、寂しさがそのまま言葉となって現れてしまった。 集団登校はないようで、小さい子ですら一人で学校まで来ているようだった。 「……今まででは考えられない光景だな」 「えいっ!」 「いた。冷たっ」 と、そうして悲観して眺めているところに、突如お尻に冷たいものが当たった。 お尻を払うとそれは雪だった。 いたずらかと思いつつ振り返り投げてきた方向を見ると―― 「……い〜だっ!」 「えみちゃん!? ……どういうこと?」 投げてきたのはまさかのえみちゃんだった。 学校で会って早々、こうした形でコミュニケーションを取ることになるとは思わなかった。 「今日の朝、あたしのパジャマ見たバツなの!」 理解できないまま、えみちゃんはさらにぶんぶんと雪玉を作ってはひゅんひゅん投げてくる。 そんな彼女の頬は赤い。 「朝? パジャマ? ちょ、待って。 ちょ、えみちゃん……何がなんだか ……あいたっ!」 “雪玉”と言っても、溶け残りを寄せ集めたということもあり、泥混じりで見た目よりもずっと重く痛い。 顔に雪玉が当たらないようにガードしつつ、えみちゃんの様子を窺う。 「……せんせ、サイテー!」 まるで恥ずかしそうにしながら、えみちゃんが何個目かの雪玉を投げた、その時だった。 「こらー! 先生に何をしているー!」 「きゃっ! おのせんせがきたーー!」 幸か不幸か小野先生の登場にえみちゃんも雪玉を投げるのをやめて、一目散に去っていってしまった。 「はぁ……まったく。 ああいう時はガツンと言わないと、 生徒たちもつけあがりますからね」 「そうですか……」 「でもまあ、ガミガミ言うのが指導ではないんで、 メリハリは大事ですな」 僕に対して親切に教えてくれる小野先生に感謝しつつ、しかしながら心の中ではえみちゃんのしてきた意味を探っていた。 「……暇だ」 それから小野先生と職員室へと戻ったはいいが、すぐに先生方は担当のクラスへと向かい、終業式へと出払っていった。 職員室に残されたのは僕一人。暖房器具の異音がリズムよく流れていた。 「それも1時間そこそこの我慢だな ……さて、それよりも、だ」 僕は、昨日預かった名簿を見て自然とため息が漏れた。 今、預かっている旧名簿は8人しかいないという少なさ。 その内、4人クラスが変わり、4人が残る。 そして2人が上がってきて、計6人。 「全体で19人しかいないらしい上。 卒業した生徒4人を省く……と」 20人もいないという田舎事情に言葉も出なかった。 しかし、場所によっては恵まれている方で、より厳しい地域もあるだろう。 「こればかりはどうにもできないな」 むなしさをかみ締めつつ再び名簿に落とすと、『橋本えみ』が目にとまった。 彼女はもう1年、同じクラスに籍を置くことになる。 いいのかな。一応、僕が橋本家に住まわせてもらっているということは先生たちは知っている。 「えみちゃんか……朝のアレは なんだったんだろう」 「……せんせ、サイテー!」 家ではあまり話してこなかったから人見知りなのかとも思っていたけど…… いきなり雪玉を投げてくる辺り思ったよりも活発な子なのかもしれない。 まあ、それはともかく、最低ってどういう意味だ? 「家で失礼なことでもしたかな……」 「お待たせしました。すみません一人にさせて」 朝のえみちゃんのことを考えていると時間はあっという間に過ぎて、気がつけば先生たちが職員室に戻ってきた。 「いえ、お疲れ様でした。 帰りの会も終わったんですか?」 「はい。あ、これ、来年度の新しい名簿、 渡しておきますね」 「ありがとうございます。 すみません、 なんだか急かしてしまったみたいで……」 安藤先生は昨日の今日で準備してくれていた。 しかし、A4サイズ1枚に生徒の名前が6人。余白の方が大きいというのは見ていて寂しく感じられた。 そうして新しい名簿を眺めていると、校長、教頭が前に立って来年度の話を切り出した。 「お疲れ様でした。 ひとまず今年度の行事は以上になります」 「来年度からは瀬田先生も入られます。 よろしくお願いしますね」 「はい、よろしくお願いします」 急に名前を呼ばれてドキリとしつつ、何か言わねばと僕は頭を下げていた。 「では早速、来年度の始業式の流れですが、 一応お配りしておきます」 黒沢校長から配られた資料を手にしたはいいが、その進行表はあまりに大雑把なものだった。 新入生の紹介、校長先生の挨拶、そして校歌斉唱。以上。 とりあえず、来年度からは僕も先生として勤めるわけだし、紹介ぐらいはして欲しい。 「あの、始業式には僕の挨拶とかは いらないんですか?」 「それは始業式が終わった後、 教室に移動した時に 安藤先生から紹介してもらいます」 「はあ……分かりました」 一応、全学年にも知ってもらう必要があるとは思うんだけど、この学校の方針なんだろうな。 「あと、五十嵐先生は 新入生のことで話があるので残ってください」 「はい、分かりました」 「では、以上になります。お疲れ様でした」 「お疲れでしたっと……それじゃ、お先です」 教頭先生の声に小野先生が颯爽と職員室を飛び出し、続けて安藤先生も鞄に資料を入れて帰ろうとしている。 「それでは瀬田先生、4月からお願いしますね」 「あ、はい、お、お願いします」 それだけを言って、安藤先生もまた帰ってしまった。 残ったのは僕と校長先生に教頭、そして五十嵐先生だけとなった。 「(僕がここにいたら邪魔だろうな)」 お三方の邪魔をするまいと僕もそそくさと職員室を後にした。 「こんなのでいいのか……」 なんだか、良くないことばかりを目に付けてしまっているようで申し訳ないが……。 それにしてもずさんに思えてならなかった。 「時間は……ちょうどお昼か」 12時半を回ったばかり。敦子さんがお弁当を作ってくれたんだけど、このまま持って帰るのも失礼だな。 「適当な場所で食べて帰ろう」 「へー、こんなところに神社があるんだ」 食事を終えた後は、そのまま帰宅してもやることはなく、ならばと町を探索しながら帰路に着いていた。 真新しい土地を覚えるのはめんどくさいと思う一方で、童心に返ったかのようなワクワク感がそこにはあった。 「あの奥の小屋には伝説めいた剣とかが 封印されていたり……なんてね」 くだらない妄想に浸りつつ、次の場所へ。 「ここが最寄の公園かな。遊具もずいぶん少ないな」 市区町村の対応・運営にも限界があるのだろう。 それでも、キレイに設備されているのを見ると、大人たちとしては外で遊んでいて欲しいのだろう。 僕が立ち寄った公園に遊んでいる子供は一人もいなかった。 やっぱり過疎化が影響しているのかな。 「まあ、まだ外は寒いからな」 いやいや、あまり悲観的なことは考えたくないな。 今の子は家でゲームでもしているんだろう。ネット対戦なら友達の家に遊びに行く手間すら必要ないからな。 「それはそれで複雑だな」 そうした子供事情を憂いつつ、僕は帰路に着くのだった。 「おじゃまします……じゃないな、ただいま」 さすがにまだ慣れない挨拶だけど、お世話になる僕の家なわけだ、そこはしっかりしていかないと。 「お帰りなさい。遅かったのね」 「学校自体は早く終わったんですけど、 せっかくだから町を少し探索してきました」 「何もないけどくつろげる場所だといいわ」 「心は休めると思います。あ、僕も手伝いますよ」 ちょうど夕飯を作っている敦子さんに、僕も進んで買って出る。 あわせて、作ってもらった弁当箱を取り出して洗い場に浸ける。 「学校のほうはどう? やっていけそう?」 「たぶん……という感じですかね。 分からないことだらけですけど、 その時は前任の方に教えてもらおうと思います」 「そう。確か安藤先生が辞められるんでしたっけ」 「そうです。よくご存知ですね」 「もちろんよ。えみの担任なんだから。 なら、次は誠人さんが えみのクラスを受け持つのね」 「まあ、そういうことになりますね」 「それは楽でいいわ……くすくす」 敦子さんは嬉しそうに微笑みつつ、手際よくおかずを作っていく。 今日もまた昨日と変わらないほどの料理が作られていた。 「学校のえみはどうでした?」 「あはは……朝、雪玉をぶつけられちゃいました」 「まあ! あの子ったら…… いつもはそういうことはしないのに あ、でも、ゆうきには手をあげたりしてたかしら」 小声で呟いたそれが聞こえてきた。でも、姉弟関係なら多少の言い合いは分からなくもない。 でも、僕にいきなり雪玉をぶつけてきたときはさすがにドキッとしたな。 「……えみはずっとお兄ちゃんが欲しくて、 えみが子供のときは困ったわぁ」 「まあ、確かに……」 「それでね、あなたが来るって話をしたとき、 一番喜んでいたのがえみなのよ」 「そ、そうなんですか……?」 昨日、今日の反応を思い返しても喜んでくれていたようには思えない。 「家族が増える、お兄ちゃんができるって。 でも……どうしてそんなことをするのかしら?」 敦子さんが僕に気を遣ってくれているとは思わないし、おそらく本当にえみちゃんは兄が欲しかったんだと思った。 それで今日のあのような扱いは……。 「もしかして僕は、 えみちゃんが理想とする『お兄ちゃん』 ではなかったのかもしれませんね……」 年もずいぶん離れているし、秀でた何かがあるわけではない。 想像していた兄の“像”と違い、きっと嫌われてしまったのだろうか。 「ふふ……さあ、どうかしらね」 僕の言葉に、含みを持って笑うだけの敦子さん。 同じ屋根の下に暮らす者同士のことでありながら、あまり気にしていない様子に首をかしげる僕だった。 「おはようございます」 「あら、おはよう。 そうね、今日から誠人さんも学校だったわね」 「あはは…… かっこ悪いところばっかり見せちゃいましたね」 結局、終業式が終わってから一週間ほどの春休みの間、校長や安藤先生からの連絡は一度もなかった。 仕事を意識していたけど、田舎の穏やかな空気に飲まれるかのように、休みを満喫してしまっていた。 一度は実家に戻ろうかとも思ったけど、いつ先生から呼び出しがあるか分からない、と、思っていたが。 気を張っていた自分が今ではバカらしく思えた。 この春休みの間、有効的に時間を活用できたとは思えないけど、この町のことはある程度分かった気がした。 それと、お世話になっている橋本家のことも―― 「おにいちゃん、ご飯進んでないよ」 「ん? あぁ……ごめんごめん、 ちょっと緊張してて。ゆうきくんは大丈夫?」 「うん! たのしみ」 入学式にいけることが嬉しい様子で、調子よくゆうきくんが朝から話しかけてくれる。 最初は溝があったように思えた橋本家との距離感も今はずいぶんなくなったような気がした。 特に、ゆうきくんとはゲームをしたりお風呂に入ったりとずいぶん仲良くなったと思う。 「あ、先に言っておくけど、学校では僕のことは 『先生』と呼ぶように、分かった?」 「せんせーかー、分かったよ、おにいちゃん」 本当に分かっているのか、少し不安になる。 「えみちゃんは特にね。 僕が受け持つことになってるから」 「わ、分かってるよ」 その中で、えみちゃんだけが心を開いてくれないでいた。 教師と生徒として慣れ合うわけにはいかないけど、家族としてのスキンシップは大事だと思っていた。 それでも、えみちゃんとは会話が弾まない。 やっぱり、嫌われているのかな。 「まあ、それはいいとして、 時間の方は大丈夫なの?」 敦子さんの声にハッと我へと返る。すでに家を出る時間を10分もオーバーしていた。 「っと、大変だ……それじゃ、行ってきます」 作ってもらった朝食をかきこんで、僕は慌てて家を飛び出したのだった。 「はぁ、はぁ……いてて……」 学校に急いで向かったのはいいが、運悪く二度も転んでしまい、余計に遅れを取ってしまった。 「この間まで張り切っていたのに、 今日遅刻するのだけは避けないと…… はぁ、はぁ……」 息も絶え絶えにようやく校門まで着いた。 時間は……とりあえず間に合った。 「おはようございます。 精が出ますね、体力作りですかな?」 「はぁ、ふぅ……そんなことはないんですけど、 遅刻しそうだったので……」 呼吸を整えて、ようやくまともに話すことができた。 「校長はこちらで何を……?」 この前、終業式の時にも立っていたのを思い出す。気になって尋ねてみた。 「ああ、生徒たちを待っているんですよ。 今日は始業式ですし、 新しい子もやってきますからね」 「はあ……では、行事がある時は いつも立っていらっしゃるんですか」 「いえ、学校があるときは毎日ですよ。 日課みたいなものですね」 「ま、毎日ですか。それは大変だ」 こういうことは先生たちが持ち回りで行うことだけど、校長が行うということは珍しい。 「まあ、私は特にやることもありませんから、 これくらいは頑張りませんと……」 謙遜しているつもりだろうか。むしろ校長は何かと忙しいはずなのだけど。 それとも、ここでは本当に校長という名は飾りなだけなのだろうか。 「何かあったら言ってくださいね、 いつでも力になりますから」 「ええ、ありがとうございます」 そうして、職員室で簡単な打ち合わせが行われた後、場所を体育館へと移動していよいよ始まる始業式。 いつの時も、年度が変わって、新しい生徒が入ってきたときには背筋に一本芯が入る。 人数は……確かに寂しいけど、それは僕の頑張りとは関係ないし仕方ない。 「以上で、始業式を終わります。 こちらの生徒は五十嵐先生の指示に 従ってください」 始業式は滞りなく終わり、ものの30分もかからなかった。 新入生を除く生徒たちが、それぞれ自分のクラスへと戻っていく。 「それじゃ、私たちも行きましょうか」 「はい」 いよいよ始まるんだ。よしっ、しっかり頑張って、次に繋げるぞ。 「はーい、それじゃ、 今日から新しい先生を紹介するよー」 生徒が全員いることを確認して、安藤先生は早速僕を紹介してくれる。 「みなさん、こんにちは。 今日からみんなのクラスを受け持つことになった 瀬田です。瀬田誠人。よろしくお願いします」 まばらながら拍手を浴びつつ、教壇から生徒たちを確認する。 人数は6人。その中にはえみちゃんもいた。 「あ……う、うぅ……」 目があうや、顔を赤くして避けるように視線をそらされてしまった。まだまだだなあ。 他にも生徒たちそれぞれの顔を見ていると、安藤先生から声が挙がった。 「瀬田先生は東京から引っ越してきましたー。 何か聞きたいことがあったら どんどん質問してごらん?」 「え、ちょ、何を言ってるんですか」 いきなりの無茶振りにうろたえる僕をよそに、安藤先生はニコニコして、生徒たちも一気に盛り上がる。 「都会じゃん、すげー!」 「人、たくさんいるのー?」 「あ、う、うん。そうだね。 クラスもたくさんあったよ」 「ぎゃるいるー?」 「あ、う、うん……まあ、いるかな」 聞きかじったような単語を口にする生徒に苦笑しつつ、こうした質問攻めも悪い気分ではなかった。 そうした違和感を抱きつつも、僕は生徒たちのあらゆる質問にいくつか答えていった。 それもある程度の頃合を見計らって、次は僕の方からみんなに自己紹介を振る。 「僕ばかり聞かれても不公平だなー。 今度はみんなのことを教えてほしいなあ」 絶妙なタイミングで聞き返しつつ、手はすっと名簿を持つ。 隣では安藤先生が優しい笑みを浮かべて僕に任せてくれていた。 「それじゃ、出席確認も踏まえて、 名前を呼ぶから返事してね」 そうして、僕は出席番号1番でありながら、『さ』行から始まる生徒の名前を呼ぶ。 「斉田 いちろう君」 「はい! げんきです!」 「……ん?」 返事とともに一言付け足された生徒の声に、僕は疑問符が浮かんだ。 次の生徒を呼んでも―― 「はーい! 元気です」 同じように返事とともに付け足されるその言葉に首を傾げてしまう。 こんな歳にもなってこの学校は『元気です』という返事をしているのが、どうも違和感を感じてしまう。 そんな様子が顔に出てしまったのかそっと安藤先生は僕に耳打ちしてくれる。 「ここでは自分の意志を伝えるため、 この歳になっても言わせるのが決まりなんですよ」 「はぁ……? そういうものですか……」 いままで教師をやってきたがこんなことはやったことがなく。少し馬鹿らしくも感じてしまう。 「えっと、それじゃあ次、橋本えみさん」 「は、はい。……元気です」 声は小さいながらも、えみちゃんもみんなと同じ反応を返す。 しかし、僕を知ってかどこか恥ずかしそうにしていた。 一応、知った顔だし、みんなと仲良くなるためにも少しだけ…… 「う〜ん、声、小さいけど、本当に元気なのかな?」 「ほ、本当だよ、本当に元気だもん」 「うん。元気みたいだね。 それじゃあ、次は……深海 ののかさん」 あまりしつこく突っ込むと余計に溝ができかねず、えみちゃんとのやり取りは少しにして次の生徒の名前を呼んだ。 その際、むぅ。と、頬を膨らませているえみちゃんに、僕はニコリと微笑んだ。 「次、深海さん、ふかみののかさん」 何度か生徒の名前を呼んだはいいが返事がない。おかしいな、一応、全員いるはずなんだけど。 「せんせー、ののかちゃん、寝てます」 えみちゃんの後ろにうまいこと隠れていたらしい。隣の子が眠っていることを指摘してくれた。 「ん、ん……すぅ、すぅ……」 「これはまた、気持ち良さそうに眠ってるね……」 「ふかみのやつ、算数の時とかよく寝てるよなあ」 他の子がくすくすと笑いながら教えてくれた。 「それは初耳だなあ。 真面目に聞いていたと思っていたんだけど……」 安藤先生も困った様子で頭を掻いていた。 「はあ……深海さ〜ん、お〜い……ののかちゃーん」 教壇から降りて、深海さんのところまで歩み寄る。 そして何度か声をかけるのだが眠りは深いようでなかなか起きてはくれない。 「おーい、深海さ〜ん……」 次は身体を揺すって本気で起こしにかかる。 小さな身体は少しの力でも彼女は左右に揺れた。 しばらくして、ようやく目を開けてくれた深海さんは、重いまぶたをパチパチさせながら身体を起こした。 「ふああぁ……ん?」 「おはよう、ここがどこか分かる?」 「教室……あれ? えっと……だぁれ?」 開口一番、初対面にも物怖じせずにまっすぐに聞いてきた。 「今日から安藤先生の代わりに担任になりました。 瀬田です」 「せんせー。あ、深海ののかです! ののかでいいよ」 そういってニコニコ顔のののかちゃんも、何とか僕と向き合ってくれた。 「それじゃあ、ののかちゃん。 始業式の日に居眠りはダメなんじゃないかなー?」 「はぁーぃ…… あったかくて眠たくなっちゃった……」 天真爛漫な明るさを持って、彼女独特のゆる〜い感じがクラスの雰囲気をも変えていた。 「眠たくなるのも分かるけどね。 でも、先生が来たら起きなきゃね」 「はぁーい」 マイペースに返事をするののかちゃんに苦笑しつつ、僕は再び教壇へと戻って次の生徒を呼ぶ。 「よしっ、これで全員の自己紹介は終わったね。 まずは、今年一年間、よろしくね」 「よろしくおねがいしまーす」 僕の挨拶に声を大きく返事をしてくれる生徒たちは、都会の子たちとは違って元気だった。 人数は確かに少ない。けど、だからと言って僕がやるべきことが変わるわけじゃない。 生徒たちの声を耳にして、教師としての意識はグッと強まった。 「(問題になりそうな子もいないし、  これならやっていけるかな)」 自己紹介をしただけに過ぎないのだが、今まで抱えていた不安は和らいだ気がする。 「瀬田先生、ありがとうございます。 ここからは私の方から みんなに連絡事項を話しますね」 そう言って、安藤先生が教壇に立つのと入れ替わりに、僕は少し距離を取った。 それからは、次の日からの授業のこと。朝の会、帰りの会。日直などが決められていった。 「はい、これで今日はおしまいです。 気をつけて帰って下さいね」 「起立、気をつけ、礼」 「せんせいさようなら! みなさんさようなら!」 日直の挨拶で生徒6人は立ち上がって、帰りの挨拶を元気よく発していた。 真新しい光景だったけど、こうした挨拶はよくできていると思った。 そうして、生徒たちはすぐに教室を飛び出していくものだと思っていた。 しかし、彼らは僕の方へとやってきた。 「せんせー、とーきょーってどういうところ?」 「有名人とか会ったりした?」 「テレビみたいに、あんなにたくさんいるの?」 都会に住んでいた僕が気になるらしく、目を輝かせて聞いてきた。 「あー、うん、そうだよ。たくさん人がいるし、 電車の中は毎日ぎゅうぎゅうだよ」 悪い気分はしないけど、いったい何を話せばいいのか答えに迷った。 変な答えで都会に誤解を招くようなことは言えないし、しかしウソのことを言うのも幻滅させかねない。 子供は純粋だ。良くも悪くも吸収するし、それによって信頼も築かれていく。 「(もしかすると、この生徒の中に、  僕が目指している学校の校長の娘がいる  可能性だってある……)」 その子はきっと都会のことだっていろいろ知っていると思う。ならば適当なことは言えない。 「(ここは無難に話をすることが正解なはず)」 「むぅ……」 「はぁ……疲れた」 「お、瀬田先生。 こちらに来て最初の授業はどうでしたかー?」 職員室へと戻ってくるや、小野先生が声をかけてきた。 「いや、こっちの生徒は元気ですね。 少し、面くらいました……ははは」 「東京から来たともなれば、 生徒たちも気になると思いますからね」 「あんなにもみくちゃにされるとは 思わなかったですよ……」 人数は少なくても生徒たちに押し寄せられて、さすがにグロッキーな状態。 しかし、なんとか始業式はやり終えたんだ。最初の自己紹介は悪くなかったはず。 「これからですね。頑張ってください」 「はい。明日からは授業も始まりますから、 しっかりやっていきます」 「ええ、よろしく頼みますよ」 「それでは、明日からの職員会議を行います」 ぐっと気合を入れつつ、本格的にここの教員としてやり遂げようと心から誓うのだった。 学校から帰宅して、敦子さんの夕食の手伝いを買って出た。 「そう。こっちの子供は元気だからね」 「みたいですね。 今の子供は家でゴロゴロしてるものと 思っていたけど、覆されました」 「くすくす……明日から、 担任としてやっていけそうですか?」 「もちろんです。 前の学校で培ったノウハウもありますから、 大丈夫ですよ」 経歴がないわけではない。今まで桜峰学園で数年、担任としてやってきたんだ。 生徒の人数も少ないだけに、しっかり教えていけそうな自信がどこからか溢れていた。 「僕も、生徒たちに負けないぐらいに 頑張らないとな……」 「ただいまー♪」 一通り料理も出来上がり、おかずを並べているタイミングに、遊んでいたえみちゃんが帰ってきた。 「お腹空いたー、今日ご飯なにー?」 「お帰り、今日は豚しょうが焼き」 敦子さんの代わりに僕が応えると、さっきまで明るくしていたえみちゃんの表情が凍り、次第に頬を赤らめていた。 「そ、そう……え、えっと、 あたし、部屋に行ってるから」 「えっ! でも、もうご飯できたよ!?」 「しゅ、宿題とかあるから!」 「いや、宿題なんて出してない ……あ、行っちゃった」 僕以外となら楽しそうに話をしているのに、僕と話をするとなると急に黙ってしまう。 少しは心を開いてくれていいと思うんだけどなあ。 「やっぱり、嫌われているのかなあ」 「大丈夫よ。 何かきっかけがあればすぐに仲良くなるわ」 そういって、敦子さんは朝と変わらない様子で微笑むだけだった。 学校のことはもちろんだけど、橋本家――えみちゃんのことで悩まされることになろうとは思わなかった。 「それじゃ、行って来ます」 「いってらっしゃい、気をつけてね」 「いってらっしゃーい」 翌日、いよいよ授業も始まり、本格的な学校生活が始まる。 昨日はリハーサルみたいなもの。今日からが本番だ。 「昨日みたいなヘマはしないぞ ……時間も早めに出た」 今日の授業の予習もバッチリ。完璧だ。 「あとは、なるべく慎重に ……滑らないように行こう」 「ふ〜、よし、時間通り」 さすがに昨日みたいにギリギリではないことに安堵しつつ、校門をくぐる。 教員用の出入り口へ向かう途中。 女の子 (0001) ことね「あ、だめ……! そっちに行かないの」 少し離れたところで物音とともに女の子の声が聞こえてきた。 「こんな早くに……? 誰だ?」 先生? いや、こんな幼い声は聞いたことないし。 「……まだ時間もあるし。確認してみるか」 「そういえば、こっちにはまだ来たことがないな」 辺りを見渡しながら、声のした方、物音のした方にやってくると、そこには小さくも立派な飼育小屋が備えられてあった。 「へ〜、前の学校にもあったけど、 ほとんど見る機会はなかったっけ」 当時の学校のほとんどない記憶をたどりつつ、飼育小屋へと歩み寄る。 「でも、何か飼ってるのかな?」 設備はあるけど、肝心の動物がいないんじゃ話しにならない。 そもそも、この学校で動物を飼って世話できるのか怪しい。 いぶかしみつつ、飼育小屋を覗き込むと、その中からガサゴソと物音がする。 「お? やっぱり何か飼ってる。なんだろう」 そうしてじっと待っている。と、奥から動物――ではなく女の子の姿が見えた。 女の子 (0002) ことね「はぃ……お掃除、おしまい。キレイになったよ」 僕のことに気づいていない様子で、小屋の中でウサギに話しかけるように接していた。 さすがに『この小屋に住んでいる』なんてトンデモ展開はないだろう。 「あの子……確か僕のクラスにいたような、 いなかったような……」 えみちゃん、そして、居眠りしていたののかちゃんの印象が強く、なかなか名前が出てこない。 もともと印象が薄かったような気がする。だから、名前が出てこないんだけど。 でも、確か、僕が受け持つ生徒だ。なんとなくだけど見覚えがある。 「(でも、誰だったかなぁ)」 首を左右に傾けては、僕は小屋の外から彼女のことを見ていた。 女の子 (0003) ことね「ごめんね? もうお勉強始まっちゃうから、 もう少ししたらいかないと……」 女の子 (0004) ことね「だから、少しだけ待っててね」 優しく、うさぎに話しかけるようにしてエサを与えていた。 「ウサギ……あ、でも ……動物が好きって言ってた子はいたな ……えっと、誰だっけ……」 すぐそこまで出掛かっている名前が出てこない歯がゆさ。 手にはカバンがあり、名簿にはいろいろな情報も書き込んである。けど、それを見たら負けな気がする。 女の子 (0005) ことね「あ、ないた〜。えみちゃんもののかちゃんも、 ウサギは鳴かないって言うんだよ」 僕には聞こえなかったけど、ウサギが鳴いたらしく、そばにいることねちゃんはそれを聞いてパアッと明るくなっていた。 えみちゃん、ののかちゃんと仲がいいのか……ますます分からなくなってきた。 女の子 (0006) ことね「知ってるのはわたしだけ♪ ひみつなの」 「あ、ことねちゃん! 藤堂ことねちゃんだ!」 「ひゃっ!? は、はい! だ、だれですか……?」 思い出して、つい大きな声で名前を口にしてしまった。 それに藤堂さん――ことねちゃんはビックリして、身体を震わせてこちらを見た。 「あ、ごめんね、 物音がしたから気になってきてみたんだ…… おはよう、ことねちゃん」 「あ、う、あう……お、おはよう……ございます」 さっきの優しい雰囲気、楽しそうな表情が消えてしまったことねちゃん。 さっきの姿を見られて恥ずかしく思っているのか。 「え、えっと、ウサギ、飼ってる――」 「わ、わたし、もうきょうしつに行かないと…… さ、さよなら」 「あ、うん、また教室で……ああ……」 偶然にも声をかけてしまったのが良くなかったかもしれない。 「コソコソ覗かれてたらイヤだよなあ」 ため息をつく僕のもとに、トコトコと種類の違うウサギが慰めるように金網のそばまで寄ってきた。 いや、この場合はウサギたちは僕を睨んでいるのかも。 「悪かったよ。だからそんな目で見ないでくれ」 そうして、朝の会が終わってから、後任となって初めての授業が始まった。 とはいえ、安藤先生、時々教頭先生がつくこととなる。いわば研修期間のようなもの。 しかし、授業の進め方は学校のシステムによって違いはあるけど、大して変わらない。 教科書に沿って教えていくというオーソドックスなものだ。 「それじゃ国語の授業を始めようか。 6ページ、開いてねー」 これなら僕にだってできる。問題ない。 「それじゃ、まずは誰かに読んでもらおうかなー、 読みたい子ー!」 「はい、ここで大事なところが、 さっき読んでもらった行になるわけだね」 しばらく過ぎた後、生徒たちは静かに教科書とにらめっこしている。 真面目に聞いてくれているのが窺える。そうした彼らに刺激を受けて、僕もなるべく丁寧に教えようと力が入る。 そして授業は問題が起こることはなく滞りなく進んだ。 「………………」 次の授業になっても生徒たちは真面目に教科書に向かい、真剣に取り組んでくれていた。 「それじゃ、まずは上がってきた子に合わせて、 掛け算からやってみようか」 小問題を黒板に書いて、生徒たちそれぞれに解いてもらう。 他の科目はともかく、数学にいたっては並行して勉強したら必ず差が出てしまう。 計算の基礎の基礎にもなることだ。レベルを合わせるとなると必然的に下になってしまう。 「ねぇ、これであってる……?」 「あ、う、うん。えみちゃん正解。 さすがに、この問題は解けるみたいだね」 「も、もちろん。これぐらいだいじょうぶだよ……」 「安藤先生から聞いたよ。計算は苦手だって」 「うっ……わ、分かるものもあるもん」 やや怒った様子でえみちゃんは自分の机へと戻っていく。 「こ、これでいいですか?」 そうして、次に聞いてきたのはウサギのお世話をしていたことねちゃん。 キレイなしっかりした字で答えを書いている。おどおどしつつも芯はしっかりしているのだろう。 「うん、正解だよ」 「ほっ……」 安堵の息をつくことねちゃんは、もう朝のこともあまり気にしていない様子が見られた。 そして、最後の最後まで悩んでいたのがののかちゃん。 「う〜ん……強敵だね」 「いや、2年ぐらい前に習ってるはずだよ」 「え〜…ひっかけでしょ?」 「算数に引っかけ問題なんてないから」 「う〜ん、このもんだいは見たことがないよぉ」 「算数は記憶して解くものじゃないから」 自分の問題にうんうん唸っては、分からないのか適当にはぐらかそうとする。 「はぁ……いいかい、この問題はね……」 復習も兼ねて、上がってきた生徒には割り算を教える。 一応、在籍していた生徒も復習しておくようにと、聞くようにして、その後いくつかの問題を解いてもらう。 その間に、在籍していた生徒たちには、範囲となる数の単位について教科書をなぞりつつ教えていく。 大変に感じつつも、所詮はテンプレートの問題。それほど頭がこんがらがることはないし、僕にとってはやりがいすら感じられた。 「万……その後が億と続いて……次は兆だね」 ちょうど教科書も虫食いになっている問題を教えつつ、数学も滞りなく進んだ。 しばらく何事もなく授業が進んでいたその時だった。 「あははははは……」 「ぜったい勝つぞー!」 「小野せんせいをやっつけるぞー」 授業が終わりに差し掛かった頃、隣の教室から笑い声が上がり、大きな声がこっちまで聞こえてきた。 「(……真面目にやってるのか?)」 眉をひそめつつ、僕は監督として廊下にいる熊谷教頭に目配せする。 「………………」 あまり気にしていないといった様子で、普段通り僕や生徒たちを見守っていた。 気にする素振りも見せないのか。 怪訝に思いつつ、僕は僕の授業を進めていくのだった。 「はぁ……ようやく終わった」 最初の授業ということもあって緊張もあり、時間の流れはいつもより遅く感じられた。 そうしてようやく午前中が終わり、給食の時間となった。 生徒たちが給食室に行って食器や料理を取りにいく。 「お疲れ様です、瀬田先生」 その間、僕を見守っていた教頭が声をかけてきた。 「お疲れ様です。 最初ということもあって いろいろ大変でした」 率直に、クラスを受け持ってみた感想を教頭に伝える。 ほとんど2学年を同時に受け持っているようなものだ。 科目によっては並行して教えることもできるけど、下の生徒をよくよく注意して教えないといけない。 こればかりは生徒が少ないほうが返って助かったかもしれない。 「……そうですね、 最初ですし、分からないことは多いと思いますが、 生徒と一緒になって頑張ってください」 「はい! ありがとうございます」 どこか遠まわしな言いかたではあった教頭先生だけど、僕に期待してくれていることに間違いなさそうだ。 話が終わり、教頭先生が廊下へ出ようとして、生徒たちが入れ替わるように入って、給食の準備を始めていった。 静かに勉強していた生徒たちも、お昼の時間ともなると賑やかになって、ワイワイと話し声も明るくなっていた。 「ああ……この感じ、いいな」 久しぶりに触れる和気藹々としたクラスの雰囲気、僕も顔がほころぶ。 「僕も、昔はこんな感じだったなぁ」 好きなメニューだったら少し多めに料理を入れてもらってたり。 「懐かしいなあ。 久しぶりに給食の料理も食べたいなぁ」 残念だけど、教員は弁当持参。もしくは、早めに注文をとるようになっている。 「せんせーはおべんとう?」 給食を配る中、生徒が僕のところへと集まって、珍しそうに声をかけてきた。 「そうだよ」 「せんせい、料理できるの?」 そして、別の生徒がまた次の質問を投げかけてくる。 「いや、これは……家の人に作ってもらったんだよ」 「あー……早くケッコンしろよ」 「うるさいよ」 「はぁ……やっと終わった」 生徒との関わりは体力勝負。とは先輩教師からよく言われたけど、まさしくそうかもしれない。 特にこっちでは上の生徒の方を教えては、下の生徒の方も教えてと休む時間がない。 それでも、問題なく授業は終わってくれたことにホッと一安心だった。 「さて、 日直はどんなことを書いてくれているのかな」 期待に胸膨らませながら、残りの作業を終えて、僕は職員室を後にした。 「……よしっ、まずまずだろう」 見られていた教頭先生の評価も悪くないはずだ。 僕も初めての授業だったとはいえ、まずまず教えられたと思う。 困った生徒もいないみたいだし、我ながら教え方がうまい方なのかもしれないな。 「いける。大丈夫。僕ならできる」 何度も自分に言い聞かせるように口にして、翌日の仕事にも気合を入れて帰路に着くのだった。 「……それじゃ、 この前に出した小テストの答えあわせから やっていこうか」 始業式から数日が経ち。生徒の顔や名前も覚えて、クラスを受け持つ自覚が芽生えてきた。 そうして、今日も滞りなく授業が進む。 「それじゃ、最初の問題を……太一くん、分かる?」 クラスが少ない分、なるべく親近感を持ってもらおうと生徒たち全員を名前で呼ぶようにした。 これで、誤ってえみちゃんだけ名前を呼んでしまうようなヘマをしなくて済む。 「う〜ん……いや、分からないです」 「そうか。そんなに難しい問題でもないよ。 それじゃあ、えみちゃんは分かる?」 「へ? え、あ、あたし? う、わ、分かりません……」 いきなり当てられてあたふたしたえみちゃんだが、答えが分からずすぐに席に座ってしまった。 「そうか。それじゃ、誰か分かるひと〜!」 こうして生徒たちに呼びかけてみたが、誰も手を挙げるものはいない。 手があげにくいのか。それとも本当に分からないのかな。 「(まさかね。そんなことはないはずだけど……)」 そして、その日の昼休み。 元気よく遊びにいく生徒たちを見守りつつ、僕は次の授業の準備をしていた。 給食を食べ終えた生徒たちは、各々の休み時間を謳歌する中、教室はとても静かだった。 「(少し前まではそんなことなかったはずだけど……)」 元気いっぱい外に遊びにいったり、教室の中で友達とおしゃべりをしたりと好き勝手していた。 それが、今はずいぶん大人しいクラスになってしまっていた。 ただの一度も生徒たちを怒っていないし。何か意地悪をした覚えもない。 でも、なんだろう。この違和感―― とにかく、この状況は何とかしないと。 「あ、そうだ。みんなでドッチボールでもする?」 思い切って生徒みんなに声をかけてみたが、視線が僕の方に向けられるだけで、手を挙げるものはいなかった。 「(……どうして?)」 どっと嫌な汗が噴き出てくる。 いつしか、僕と生徒とに見えない溝ができていた。 何かまずいことをしてしまったのだろうか? 真面目に授業を進めて、それなりに生徒たちとスキンシップを取っていたつもりだ。 それがいけなかったのか? 「(嫌われることでもした……?)」 疑心暗鬼に苛まれる中、首を振ってそれを振り払う。 まだ生徒たちに嫌われたわけではない。もうしばらくして、距離が感じられたら、一度先生に相談しよう。 「はぁ……お疲れ様です」 それからさらに2、3日と過ぎての放課後。 今までどおり、生徒たちは授業こそ聞いてくれているけど、どこか心ここにあらず。 「いったい、何が……ん?」 すでに帰りの会は終わり、先生はみんな戻ってきてもいいのだが、小野先生がまだ席にいなかった。 いや、一度は戻ってきているのだろう。日誌やカバンが机に置かれてあった。 トイレかと思ってしばらく待ってみたが、それでもなさそうだ。 僕は、思い切って五十嵐先生にそれを聞いてみた。 「あの、五十嵐先生、小野先生はどちらに?」 「小野先生でしたら、たぶん外だと思います」 「外……?」 「はい、小野先生は生徒に大人気ですから」 「小野先生が……生徒に……」 始業式の時、えみちゃんに怒った日のことを思い出す。 あんな短気な先生が人気? と、そんなことを思っているとき、生徒たちの声に混ざって、一際野太い声がこちらにまで聞こえてきた。 「まああてえええええーーー、ドチビどもーー!!」 なんとも子供には影響の悪い怒号が聞こえてきたが、生徒たちは生徒たちで楽しそうな声が返ってきていた。 「きゃああああ、小野せんせいがきたああああ」 「さわるとジャージを着せられるぞーーーー」 「ジャージをバカにするなああああ」 いったいどんな遊びをしているのか、聞こえてくる声だけでは分からない。 でも、生徒たちと仲良く楽しそうにはしゃいでいるそれを耳にして羨ましく感じられた。 「(僕とは真反対だな……)」 ふと、視界に小野先生が担当するクラスの日誌が飛び込んできた。 生徒からはどんなことが書かれてあるのか。 「少しだけ……見させてもらいますね」 そう一声かけて、僕はページをめくった。 「……すごい、こんなビッシリ書かれてあるのか」 今日の授業のこと、先生がいないときに起こったこと、気づき、楽しかったことなどが長々と書かれてある。 対して、僕の学年は多くても半分ぐらい。ほとんどが2行、3行ぐらいで締められている。 学年が違うため比較するのは難しいにしても、かなりの開きがあるように感じられた。 「『今日の授業も面白かった』 『また、小野先生の一人コントがみたい』、 『ジャージが臭い』……ぷっ」 小野先生が受け持つ日誌には、授業のリクエストや、率直な感想が書かれてあった。 「工夫しているんだな……」 教頭先生の言葉が思い返される。 熊谷 (0000) 共通「生徒と一緒になって頑張ってください」 結局は独りよがりの自己中心的な教え方だったのか。 でも、今までのやり方でも十分通用していた。 今さら、そのスタイルを崩すというのは……。崩すのは……。 心の奥底で葛藤は続き、すぐには決断できそうになかった。 「それじゃあ、 教科書の21ページの練習問題をやってみようか」 それからも、僕は僕のスタイルで授業を教えていったが、生徒との関係は変わらなかった。 このやり方ではやっぱりダメなのか。 心が折れそうになる中。 「あははははははは」 まるで追い討ちをかけるような隣の教室からの笑い声。楽しそうに授業は進んでいるのが見えていなくても分かった。 悔しいけど、他のクラスは他のクラスだ。 こうしたことも一時的な事であって、時間が経てば仲良くなれるはず。 問題も起こっていないのだから、何も問題はない。 しかし、この状況がいつまで続くかが分からない。 それは、僕自身が耐えられなかった。 「(自分が笑わせるなんて、  そんなキャラじゃない……けど)」 ここは、恥をかぶろう。 「そろそろできたかな。 それじゃ、ここの問題が分かる人ー!」 下の生徒たちの復習もかねての小数点の問題。 誰が解けてもいいはずなのだが、出来上がってしまった重たい空気のせいでなかなか手が挙がらない。 「そうかー、 小野先生が生徒だったらすぐに手を挙げるよ」 知っている先生の名前が出て、ピクリと反応する生徒たち。俯いていた顔がゆっくりと上がった。 「すぐ答えるの?」 「分からん! 答えはなんだ?」 声を野太くそれっぽく、そして即答する。 「って、小野先生なら先生に聞いていたかもね」 「それ、ダメじゃん」 「あはは、まあね。でも、いいんだよ、 分からないって正直に言ってくれたほうが、 僕たちも教えやすいから」 「へー、でも小野先生に似てないよ」 「似てなーい! おのせんせーはもっとうるさい」 「うっ……まあ、 そこは僕もまだまだ研究不足なんだよ」 なんだか変な汗を掻いてしまったが、それでも教室の雰囲気も少しは明るく華やいでいった。 「それじゃあ、教頭先生の物まねも見せてー」 「えっ?」 そばには監視している教頭が睨むようにたたずんでいた。 ここにいる人を物まねさせるのか。 「……どうぞ」 「う、うぅ……」 「廊下は走らない! こらっ! 後で職員室に来なさい」 今度は少し高音を出して熊谷教頭っぽく演じる。 そして速攻。 「$Lすみませんでしたあああ!$M」 土下座して教頭先生に謝る。 そうした反応にドッと笑いが起こった教室。 「構いません……続けてください」 怒っていない……? 「はい。ありがとうございます」 「後で校長室まで来てください」 「あ、はい」 と、僕と教頭のやり取りに、再び生徒たちが笑っていた。 そうこうして教室の空気は変わり、多少は明るくなってくれていた。 それからは、生徒も自由に答えるようになり、分からないことははっきり言うようになってくれた。 授業の進みは遅くなってしまったが、生徒との関係は一気によくなった気がした。 「(なんかいいな……こういうの)」 僕がもっていた教師像がここでは通用しないことを知ったが、いい経験となった。 「はぁ……疲れたあ」 「今日の瀬田先生のクラス、 盛り上がっていましたなあ」 「いや……迷惑をかけてすみませんでした」 「いやいや、 生徒と楽しくやっているなら構いませんよ、 気にせんでください」 「小野せんせー、ドッチやろう、ドッチ!」 と、話しているところに生徒が職員室を開けて小野先生を呼ぶ。 「さっさと帰れー、 まだ日が沈むのが早いんだからな」 「いいじゃん、まだ大丈夫だから。 一緒にやろうよー」 「ったく、仕方ねーなー」 いやいや生徒たちに応える小野先生ではあったが、表情はまんざらでもなさそうだった。 「ホント、人気者みたいですね」 僕も、あれぐらい仲良くなれたら……。 そう思いつつ、今日の日誌を読む。と、そこには―― 『今日の先生ヘンだった! でも面白かった!』 それは、初めて僕に向けられた感想だった。 どういう形であれ、僕を見てくれたことが嬉しかった。 「あれでよかったんだな……」 まだ、自分の中で葛藤はあるものの、生徒との向き合い方を知らず知らずに学ばせてもらっていたようだ。 「……さて、明日はどういう授業の進め方にするか」 家へと戻り食事、お風呂とやることを終えた僕は、自分の部屋で次の授業の進め方を考えていた。 さすがに毎回のように物まねネタはイヤだな。僕も得意というわけではないし一発ネタだ。 もっと楽しく、生徒たちに興味の湧くように進めてあげられたらベストだな。 「こんな風に授業を教えようと 思ったこと、あったかな」 ふと、前のことを思い返していると、ドタドタドタという足音が部屋に聞こえてきた。 「おにいちゃん、あそぼー!」 元気よく扉を開けると同時にゆうきくんがやってきた。 時間はまだ20時を回った辺り。子供たちからしたらもう少し起きていたい時間帯でもある。 一瞬、断ろうかとも思ったけど、ゆうきくんからせっかく誘ってくれたこともある、無碍には断れなかった。 「よーし、遊ぶかー。でも何して遊ぶ?」 「ゲームやろ、ゲーム……こっち来て」 わざわざ居間へと連れてこられた僕は、再びコタツの中へもぐる。 敦子さんがゆっくりとテレビを見ていた。 「おかあさん、ゲームしていい?」 「ええ。あまり遅くまでしないようにね」 敦子さんは二つ返事で了承していた。 普段もそうなのか。それとも僕がいるから許したのか。 「うん! おにいちゃん、何がしたい?」 「ゲームって、テレビゲームなんだね」 最近は携帯ゲームで遊んだりするのかと思っていたけど、一昔前のゲームが常備されていた。 「うわ-、懐かしいな。 僕も子供の頃よく遊んだソフトがある」 「どれやるー? ボクね、けっこうつよいよ」 「僕だって負けないから……あっ」 思い出すように僕はゆうきくんに声をかける。 「せっかくだから、 えみお姉ちゃんも呼んであげよう」 「うん! いいよ」 そう言って、ゆうきくんはすぐにえみちゃんを誘ってきた。 「……あたしは宿題があるから、見てるだけでいい」 しばらくして、えみちゃんも居間に来たけど、ゲームはしないと遠慮する。 「そう。まあ、やりたくなったら言ってね」 「やったー! また勝ったーー!」 「………………勝てない」 熱中してゆうきくんとゲームを始めたはいいものの、ことごとく負かされてしまった。 レースゲーム、格闘ゲーム、パズルゲームなどなど、どれも勝てず連敗が続いていた。 「………………」 えみちゃんも一緒に居間で宿題をすることになったが、ほとんど進んでおらず、僕とゆうきくんのするゲームに目がいっていた。 「えみちゃんもやる?」 「へ? え、あ、いいの? 宿題……まだなのに?」 「いいよいいよ、息抜きも大事だし。 分からなかったら僕が教えてあげるから」 「う、うん。なら、少しだけ……」 「えー、おねえちゃんがやるのー、 ぜったい勝てないじゃん」 コントローラーをえみちゃんに渡すと、早速ゆうきくんは弱音を吐く。 「なに、えみちゃん、ゲームうまいの?」 「ちょーうまい、ちょーつよい」 「へー、それじゃあ、 僕の仇をとってくれ、えみちゃん」 「せ、先生の仇……分かった」 「これで、おしまいっ!」 「あああああ……負けたぁ……」 「もう1回!」 「何回やっても同じだって」 「ここで、この連鎖をして……勝ちー!」 「あ、あ、待って、待って、ああああああ……」 「さっきの連鎖ミスがダメだったね……ふっふっふ」 「へー、これはすごい」 僕がボッコボコに負かされたゆうきくんを、ボッコボコに負かすえみちゃん。 ハイレベルな闘いが繰り広げられていたけど、必ずえみちゃんがまくるのだ。 「すごいすごい、強いね、えみちゃん」 「こ、これぐらいは普通。 私よりお父さんの方が強いから」 「うん、おとうさんは反則なぐらい強い。 おねえちゃんとボクとやって引き分けぐらい」 「それはすごいね。お父さんが一番なんだね」 父親像としては理想的なのかもしれないな。僕も一度、手合わせ願いたい。 相手にならなさそうだけど。 「よしっ、それじゃ、 今度は僕とえみちゃんがやろうか」 「へえぇ……せ、せんせーと?」 「ぜったい勝てないよ。ボクに負けるぐらいだもん」 「うぐっ、やってみないと分からないだろ。 さっ、勝負だよ、えみちゃん」 「う、うん……」 「へ、あれ……なんで……技が出ないのー」 「このコンボで……いけっ!」 「あぅぅ……負けちゃった」 「ボクにはあんなに強いのに、 おねえちゃん、ぜんぜん勝てないじゃん」 「う、う、うるさいな。こういうこともあるの」 いくつかソフトを変えて遊びはしたが、弟に対しては驚異的な強さを誇っていたえみちゃんが、僕にはほとんど勝てなかった。 操作ミスが目立って、3回に1回勝てるぐらいだった。 「負けすぎる僕に気を遣って、 手加減してくれたのかもね」 「そんなことないよ。 ちゃんとしてる……つもりなんだけど……」 複雑そうにしながら、えみちゃんは俯いてしまった。その頬は少し赤みを帯びていた。 「よし、もう一度、リベンジだ、ゆうきくん!」 「…………すぅ、すぅ……うん、りべんじ……する」 いよいよこれから。という時には、ゆうきくんはうとうとして眠たそうにしていた。 時間も気づけば22時になろうとしていた。これ以上は次の日に響くこともある。 「今日はこれぐらいにしようか。 えみちゃんもそろそろ寝なきゃだね」 「うん。あ、でも、宿題……」 「あ、そうだね。約束もしたし教えようか?」 こんな遅くまで引っ張ってしまったのは僕でもあるし、少しぐらいなら付き合おうと思った。 何より、えみちゃんとの距離も縮められるいいきっかけかと思ったのだけど。 「ううん、平気……明日、友達に聞くから。 おやすみなさい」 うとうとしていたゆうきくんを起こして、えみちゃんはさっさと部屋へと戻っていた。 「おやすみ……おにいちゃん」 それから遅れて、ゆうきくんも眠い目をこすりつつ部屋へと戻っていった。 「……まだ、えみちゃんとは 距離があるみたいだな」 何かあればいいんだろうけど。そう思いつつ、僕はゲームを片付けた後、自分の部屋で早い眠りについたのだった。 「それじゃ、行ってきます」 「はい、行ってらっしゃい」 この間の出来事によって、生徒との関係もぐっと縮まり、彼らの方から話をしてくれるようになっていた。 それを思えば、先日の物まねも苦ではなかったと思える。 さらに、ゆうきくんと遊ぶことで生徒たちとの付き合いを学ばせてもらえていた。 「さて、今日はどう楽しんでもらおうか」 知らず知らず、生徒と仲良くあろうとする自分がそこにはあった。 「おはようございます」 「おお、瀬田先生、少しはこの学校にも 慣れてきたんじゃないですか?」 「はい。先生方のおかげです」 「いえいえ。 瀬田先生が悩んで取り組もうとした結果ですよ、 もっと楽しんでください」 「はい! 頑張ります」 先生たちからの見られ方もずいぶん変わっていた。 転勤当初は田舎とバカにして、あれだけ学校のシステムを危惧していたことがウソのように取り払われていた。 「あ、瀬田せんせー、この前話したゲームだけどさー、 どこに行けばいいか分からないんだけど」 休み時間に廊下を歩いていると生徒から声をかけられる。 少し前では考えられなかった出来事でもあっただけに、とても新鮮だった。 だからこそ、僕も生徒たちの他愛のない話に耳を傾けて、同じ目線となって応える。 都会ではこうしたことはありえなかった。 すでに社会人になるべく勝負が始まっていて、生徒たちはどこかピリついていた。 それがここにはない。純粋に生徒たちは学びにきて、思い切り遊び、先生と触れ合っている。 すくすくと育っている生徒たちを間近で実感することができた。 「(これが、本来あるべき学校なんだろうか…)」 いつしか、出世ばかりに気を取られていた自分は薄れつつあった。 「自分が思い描いていた教師像が 変わってきてるのかな」 昼休み。昼食を食べ終えた僕は一人、休みの時間を外で過ごしていた。 慣れないことをしているとは思いつつも、それをしている自分がイヤではなかった。 自分に酔っているわけでも、演技でもない……それだけはウソではない。 そうやって改めて自分の中の変化を実感していると、裏手の方から声が聞こえてきた。 「こっちの方は確か……」 飼育小屋へと顔を出すと、やっぱり、ことねちゃんがウサギの世話をしてくれていた。 「遅くなってごめんね、 すぐ、ごはんをあげるからね」 せっせと準備を進めることねちゃん。 前もそうだったけど、こうして遠めで見ているのがイヤで、僕はゆっくりと歩み寄る。 「こんにちは。僕も一緒にエサをあげていいかな?」 「あ、え、あ……はい。ど、どうぞ……」 驚かさないように声をかけて、ことねちゃんは顔を上げて僕の存在に気づいた。 自分から積極的に話をしない子であることは、これまで授業を教えてきて把握済みだ。 ここは、違う角度から…… 「いつもことねちゃんが面倒を見てあげてるね。 ことねちゃんが飼育係なの?」 少しの間がありふるふると首を横に振る。 「……んーん。 ただ、わたしが好きだからお世話してあげてるの」 話しかければ受け答えしてくれる。多少の緊張は見て取れるけど、それでも拒絶されているわけではなさそうだ。 「そっか。ちなみに、ウサギたちに名前はあるの?」 尋ねる僕に、ことねちゃんはコクリと頷いた。 そして、数匹のウサギを抱えて、僕に教えてくれる。 「この子はゆき」 と、白いウサギを紹介する。 「この子はミミ」 「耳が長いから?」 名前の由来を聞き返すと、ことねちゃんは再び縦に頷いた。 なんとも分かりやすい名前の付け方。でも、なんとなく彼女がつけそうな名前だ。 「だったら、この真っ黒のウサギはくろかな?」 「……すごい、どうして分かったの?」 「あはは。そんな感じかなって思っただけだよ」 あてずっぽうではあったけど、ここまで安直な名前だとは思わなかった。 しばしことねちゃんは驚いた後、優しく微笑んだ。 そして、彼女はウサギにエサを与えながら僕に教えるように話してくれる。 「ウサギはね、目を開けて眠るんだよ」 「へー、ことねちゃんは物知りだね」 「そ、そんなことない、少しだけ……だから」 褒めると急に顔を赤らめることねちゃんの反応に、言い様のない感情がこみ上げてきた。 これが、父性の感情というやつなのだろうか。 「また、時間のあるときにウサギのことを教えてよ」 「あ、はい……せんせいにだけ教えてあげる」 少しは心を開いてくれただろうか。優しくことねちゃんは笑ってくれた。 ことねちゃんと別れて教室へと戻ると、いつにもまして生徒たちは賑やかに騒いでいた。 昼休みならではの自由な時間は、生徒たちそれぞれがありのまま過ごしていた。 「うん、少しはいい感じになってきた――」 教室の中を見渡している中―― 「せんせーーーー」 後ろからの突然の衝撃に僕はよろめいた。 「あいたたたた……こら! 教室で騒いだら危ないだろ」 痛打した背中をさすりつつ、僕は面と向かってののかちゃんに注意する。 「えへへぇ〜…ごめんなさぁい」 悪びれる様子もなく、ののかちゃんは楽しそうに話す。 「元気なことはいいことだ。 でも、あんまり無茶をしてたらケガをしちゃうよ」 「遊ぶなら外で遊びなさい」 諭すようにののかちゃんに話しておしまい。かと思ったが、ののかちゃんが話しかけてくる。 「なら、せんせー、あそんで」 「え? 僕が?」 「うん!」 元気いっぱい頷いた後、ののかちゃんは僕の袖を引っ張って外に出そうとしてきた。 生徒と一緒に遊べば……という言葉を僕は飲み込んだ。 少ない生徒の中で、外で遊びたがる生徒が何人いるか。 「よしっ、それじゃ遊ぼうか」 こうして生徒たちの方から誘ってくれているんだ。断る理由なんてなかった。 「みんなも遊びたかったら外においで!」 「えみちゃんも遊ぼう」 「へ、へ? あ、う、うん……い、いいよ」 僕を見たえみちゃんは、恥ずかしそうにして俯いたが、友達の誘いということもあって断ることはしなかった。 さらに何人かの生徒も手を挙げて、ほとんどの生徒たちが外に出るようになった。 そして、グラウンドに出た僕たちはドッジボールをすることになった。 なのだが―― 「どうして先生だけが内野なんだよ」 6人という人数ではチーム分けにするのも難しく、内野と外野で別れることになるわけだが。 なぜか、僕だけが内野。 「だって人数少ないし」 「このほうがおもしれー」 「それじゃ、始めようぜ」 「ちょ、ちょっと待て。こんなのあんまりだぞーー」 そうして、僕一人対生徒たちのドッジボールが始まろうとした―― が、その寸前。 野太い声 (0019) 小野「瀬田先生をいじめる奴は俺が許さん! とぉぉっ!」 古臭い掛け声とともに、僕と同じく内野に突如乱入してきたのは―― 小野先生だった。 「小野先生……どうして……」 「ピンチの時は助け合いさ。 チビたちにいいようにされてちゃいけませんぜ」 「さあ、ガキンチョたち、 俺と瀬田先生を倒してみろー!」 何かの役にでもなりきっているのか。小野先生は声を大にして生徒たちを挑発する。 「よーしっ! あのゴリラ男から瀬田せんせーを助けるぞー」 「誰がゴリラじゃあああああ!」 生徒たちは小野先生の乱入にさらにヒートアップして、そしてドッジボールは始まった。 「どうしたどうしたー、 そんな遅いボールじゃ昼休みが終わるぞー」 生徒たちを煽り、本気にさせる。 言葉遣いには難がありそうだけど、それが小野先生が出した生徒との距離感なんだろう。 羨ましい。もっと、真正面から向き合える自分に―― 「よ、よーし。どんどんこーい!」 「うぅぅ、全然当たらない……早く当たれぇ!」 「……ねぇ、ボール、もう1個使おうよ」 「えみちゃん、ないすあいであだね」 えみちゃんのよからぬ機転によって、ボールがさらに増える。 さらに、僕と小野先生が遊んでいるのをかぎつけ、他の生徒も混ざり内野を囲うように集まってきていた。 「小野にぶつけろー!」 「だ、ダメー。 小野先生に当てたらボール触れなくなっちゃう」 あちこちで生徒たちの声が飛び交いつつ、僕たちはそれでもうまいことボールを躱し続けた。 そして―― 「………………」 「………………」 「……はぁ、どうして正座させられているか、 分かっていますね」 「はい……」 「楽しかったもんで、つい……」 時間を忘れて遊びすぎた結果、遅刻した生徒よろしく教頭先生にお灸を据えられていた。 「先生としての自覚を持ってください。 特に、小野先生」 小野先生は常習犯らしい。 「いや〜、 生徒たちが6つもボールを持ってきたもんで、 こっちもついムキになって……」 「小野先生」 「はい……すみませんでした。 次はしません……たぶん」 そうして、僕は初めて怒られた。 が、悪い気分はしなかった。 それはきっと、小野先生も同じなんだろう。 「……暇だ」 新しい年度が始まって、約一ヶ月が過ぎ少しずつだが慣れてきた気がした。 とはいえ、町の人から当たり前のように声をかけられるときはまだまだドキッとするけども。 それでも、僕のことを受け入れてくれたと思えば嬉しいことだった。 学校から家までの道のりも今となっては苦ではない。 生徒とも親密になれてきているし、しっかり授業を聞いてくれている。 最初のときと比べて授業の進みは遅くなったけど、あまり気にならなくなった。 一緒に歩めばいい。規律ばかりに縛られてたんじゃ、生徒たちはついてこないことを知った。 「……僕もずいぶん変わった、のかな」 少し前の僕はあれだけピリピリしていたのに。 今は自分の部屋で、休みだからということで、やることを終えた僕はぐうたらさせてもらっている。 「学校は順調……でも、こっちはまだまだ山積み」 こっちというのは橋本家のこと。特に、えみちゃんとの関係だ。 相変わらずえみちゃんは僕に馴染めていない様子が分かった。 一緒にいようと努力はしてくれているのは見える。 でも、会話が続かない。恥ずかしいのか、それとも僕が先生という立場で遠慮しているのか。 「……まあ、どっちもだろうなあ」 仮に僕が子供の頃に、自分の家に異性の先生が来ていたらどうしていただろう。 「………………」 いろいろ期待していたかもしれない。 「ちょ、いや、違う。今のは前言撤回!」 さすがにそれはませすぎだ。 それこそ昼ドラ。18禁まったなし。 「えみちゃんはそんな子じゃないし、 僕はそんな風にえみちゃんを見たことないし」 ああ、なに考えてるんだろう。 やっぱり、溜まってるのかな。 「はぁ……ここにいたんじゃ悶々としそうだ。 居間に行ってテレビでも見よう」 「誰もいない……のかな」 ゆうきくんは早い時間に友達の家に遊びに行くと飛び出していったのを覚えている。 敦子さんは買い出しに行ったのだろう。ゆうきくん曰く、町のおばさんと話しこんで帰ってくるのが遅くなるらしい。 えみちゃんは分からないけど、もしかしたら遊びに行ったのかもしれない。 「うぅ……寒い。今日はやけに冷え込むな」 広い部屋にぽつんと一人だけという状況に肌寒さを感じて、僕はコタツに足を入れる。 と、そこに柔らかい何かが足にぶつかった。 「なんだ?」 四方をぐるりと回ると、えみちゃんがコタツの中で眠りほうけていた。 「ん、ん――すぅ、すぅ……うぅぅ……ん」 「ちょ、え、えみちゃん!?」 コタツの中はスイッチが入って温かく、眠りたくなる気持ちも分かる。 それでなくても、今日は一段と冷えて寒く感じられる。余計にコタツの温かさは魅力的でもあるし、眠ってしまうのも十分わかる。 しかし、長いこと入っていると暑く、汗も掻いてしまう。 そう、こんな風に。 「ん、ん――暑い……」 「(……えみちゃんって、こんな顔するんだ)」 起こさないように声には出さないがつい本音が出てしまう。 何時間でも眺めていられそうなほど、えみちゃんの寝顔は可愛い。 でも、僕はそっちよりも、はだけて顔を覗かせている小さなおへそに目が行ってしまう。 そしてそこから覗かせるなだらかな身体のライン。 こういった職業柄、外で遊ぶ生徒達のお腹や太股など見たことがないわけではない。 しかし、無防備にじっくり、となると話は別だ。 ましてや私生活も共にしているえみちゃんともなれば、少なからず愛着がわいてくる。 万歳のような格好で無邪気な寝顔を見せるえみちゃん。 ちょこんと膨らんだ胸元が、女の子であることを主張していた。 今までえみちゃんをいやらしい目で見たことは無かったが、部屋でのよからぬ妄想が尾を引いてしまっていた。 「……こ、これ以上はマズい……」 あまりに新鮮で、かつ無防備な少女の上半身は、目の保養としては十分だった。 「ん、ん……すぅすぅ……んっ、んっ……」 少しの身じろぎだけで、僕はドキリとする。 いつ目が覚めてもおかしくないこの状況、もし本人が気づいたら、余計に口を聞いてくれないかもしれない。 「……名残惜しいが、えみちゃんのためだな」 風邪を引かないように気を遣い、僕は羽織っていた上着をえみちゃんにかける。 「これで、最悪の事態は免れたかな」 決して僕が何か手を出したわけでもないのに、この罪悪感はなんだろう。 「……起きてないよね?」 高鳴る心臓を落ち着かせつつ、僕はゆっくりとえみちゃんの顔を覗き込む。 その時だった。 来客 (0000) 共通「すみませーん! はしもとさーん」 インターフォンと来客の声に僕は飛び跳ねた。 「(ビックリした……誰だよ、  このタイミングで……)」 不満を抱きつつ、そういえば灯油の受け取りを敦子さんからお願いされていたことを思い出した。 僕は恐る恐るコタツから抜け出て、一気に玄関へ向かった。 「ふぅ……あれ?」 「………………」 業者とのやり取りをすぐに終えて戻ってきた時には、えみちゃんが身体を起こしてテレビを見ていた。 その頬は身体が火照っているせいなのか、少し赤かった。 「目が覚めたんだね、おはよう」 「う、うん……もう夕方だけどね」 指摘しつつ、えみちゃんはテレビを見ているが、どこかボーッとした様子。 僕も一緒にコタツに入ってテレビを見るが、内容はまったく入ってこなかった。 「(……何をおどおどしてるんだ)」 いかがわしいことをしたわけではない。それなのに心のもやもやは取れなかった。 そんな僕が不安を覚える中、えみちゃんが恥ずかしそうに僕の方を向いて。 「え、えっと、これ……あ、ありがと」 そう言って、僕がかけてあげた上着を渡してくれる。 それに、一段と強い胸の高鳴りを覚えた。 寝顔を見られたことを恥らっているのか、ただ単に上着をかけたことに対してお礼を言うことが恥ずかしかったのか。 どちらにも取れるえみちゃんの反応に、僕は聞くに聞けなかった。 「あ、う、ううん……風邪は引いてないかな?」 「たぶん、大丈夫。 ……お、お兄ちゃんが上着をかけてくれたから」 「そ、そっか。だったら良かったよ」 不意打ちにも似たえみちゃんからの突然の呼び方に、落ち着きそうだった心臓が再び高鳴るのだった。 「(なんにしても、これでよかったのかな)」 それからは会話らしい会話はなかったものの、えみちゃんは自分の部屋に戻る様子はなく。 テレビを見る2人の間には、穏やかな空気が流れていた。 そんな中、僕は心落ち着かず、変にえみちゃんを意識してしまっている自分がいたのだった。 「ごちそうさまでしたー」 そして、その日の夜―― 珍しく携帯電話の着信が鳴った。画面には安藤先生の名前が映し出されていた。 「はい、瀬田です。 ……はい、ええ、はい。やってますね」 「分かりました……はい、はい。失礼します」 簡単に告げられた内容をしっかり頭に入れて電話を切った。 「誰からだったのー?」 「なんだ、彼女か?」 「……っ!」 「彼女なんていませんよ、安藤先生からです」 「天気予報でもやってましたけど、 明日の天気が荒れるだろうから、 午前中はお休みだそうで」 今でもすでに風は強く、気温もぐっと下がっていた。 天気予報では突然の爆弾低気圧が襲い、今日の夜中にかけて雪が降るということだ。 都会では考えられない異常現象だ。 「あした、休みなの!?」 「残念。お昼の1時に学校に来なさいって」 「ええー、全部休みにしてくれたらいいのに」 「ワガママ言わないの。 朝がお休みになっただけでもよかったじゃん」 「あはは、これで朝はゆっくりできるね」 「うん……でも、お昼寝しちゃったから、 今日は早く眠れるかな……」 「ああ……そうか。熟睡してたもんね」 あまり思い出したくなかった場面を、えみちゃんの方から口にしてきた。 「コタツで寝たら風邪引くわよ」 「わ、分かってるよ。 少ししか寝てないから大丈夫だもん」 「ね、お、お兄ちゃん?」 「あ、そうだね……大丈夫だよ、うん」 あまり慣れないえみちゃんからの呼ばれ方。 慣れていないということもあるが、ゆうきくんから呼ばれるときはこんなことはない。 呼ばれるたびにおかしな挙動を取っていないか不安だ…… 「お風呂、いただきました」 「そう。なら、次は私が入ろうかしらね」 そう言って、テレビを見ていた敦子さんがコタツから出て、風呂場へと向かう。 その時、僕とすれ違い様に、敦子さんが小声で話しかけてくる。 「えみと仲良くなれたみたいでよかったわ」 「あ、はい。でも、どうして……?」 「くすくす……あの子の母親よ? それにあの子、あなたのことを待ってたのよ」 「ん? 僕を……待ってる?」 お風呂もえみちゃんが先に入ったし、これといった用事もないはず。 しかし、確かにえみちゃんはコタツに入って面白くなさそうにテレビを眺めていた。 「あまり遅くならないようにね」 何かを分かりきったような敦子さんは優しく微笑んだ後、僕と入れ替わるように脱衣所へと消えていった。 首をかしげながら僕はコタツの中に入ると、少しためらった様子でえみちゃんが声をかけてきた。 「お兄ちゃん……あ、あのね。ゲーム。しよ」 「……へ? ゲーム?」 不意打ちの提案に思わず情けない声が出てしまう。 「うん。明日も朝は休みだし…… お、お母さんには、オッケーもらったから ……ダメかな?」 チラチラと目線を合わせたり外したり忙しそうなえみちゃん。 よほど僕と遊びたかったのか、僕が風呂から上がってくるまで待ってくれていたらしい。 わざわざ敦子さんに許可をもらってまで。 「いいよ。この前のリベンジだね」 「りべんじ……そう、リベンジ♪ 今日は負けないからね」 僕に対して、初めて明るく元気な姿を見せてくれたえみちゃん。 それは、弟のゆうきくんに見せるそれと同じ、本来のえみちゃんの姿な気がした。 「うん、それじゃ、何からはじめようか?」 それから、30分も経たずして―― 「……ぐっ、う、うぅぅ……」 「次はどれで負けたいの?」 超笑顔で冷たい言葉を発するえみちゃんに、僕はどのソフトなら勝てるかを探していた。 この前、えみちゃんに勝ったことがウソのように、今はボロボロに負かされていた。 完膚なきまでに。圧倒的に。絶望的に。容赦なく。ケチョンケチョンだった。 「ぐっ……ここは、隆司さん、力を貸してもらおう」 「お父さんはダメ! 強すぎるから」 えみちゃんが声を大にして隆司さんの召喚を防いできた。 よほどの強さらしい。むしろ見てみたいところだが。 だったら、ここは―― 「やっと宿題がおわった……あ! 2人でゲームしてる!」 タイミングよく現れたゆうきくんに、僕はすぐさま彼を手招きする。 「ゆうきくん、ちょうどいい、手伝って!」 「なになに? なにを手伝うの?」 「お姉ちゃんをやっつけてくれ」 「ゆうき一人じゃ勝てないよ。 いっそ、お兄ちゃんとゆうき 2人がかりできたら?」 びしっとえみちゃんを指差す僕に、今までは顔を赤らめて俯いていた彼女が、今ではずいぶん言うようになっていた。 何が彼女をこんなにも変えたのか分からない。 でも、少しは心を開いてくれたことが嬉しかった。 「お兄ちゃん、足、引っ張らないでよ」 「うぐっ……善処します」 そうして、僕たちは夜遅くまでゲームをして、より橋本姉弟と関係を深めるのだった。 「それじゃ、行ってきます」 安藤先生からの連絡を受けた翌日の朝―― 僕はいつもの服にジャージの服、そしていくつか着替えを持って早めに出勤する。 「あれ? お兄ちゃん、もう学校に行くの?」 ちょうど家を後にしようとしたタイミングで、えみちゃんが起きてきた。 「うん。お昼からって言われたけど、 昨日の夜に降った雪が残ってるだろうから、 雪かきをしておこうと思ってね」 10時過ぎには隠れていた太陽が顔を覗かせて、荒れていた空模様は少しずつ晴れていっていた。 しかし、昨日の寒さもあり地面は溶け残った雪がちらほらと見られた。 子供たちが登下校する際にケガでもしたら危ない。 そうしたことを気にして、早めに学校に行くことを昨日の段階で決めていた。 「そっか、雪、残ってるんだ」 「まだもう少し時間があるし、 えみちゃんはゆっくりしておくといいよ」 「うん……」 「それと、学校では『お兄ちゃん』じゃなくて 先生だからね? それじゃ、行ってきます」 「はーい、いってらっしゃい、瀬田せんせ」 「はぁ……仲良くなれたのはいいけど、 えみちゃん、ボロをださなきゃいいけど」 当然だが先生たちは橋本家にお世話になっていることを知っている。 しかし、生徒たちはこのことを知らないはず。 担任が生徒の家にお世話になっているなんて知ったら、他の親御さんがよからぬ勘繰りをするはずだ。 生徒だって、ませた発言が飛び交ってもおかしくない。 せっかく仲良くなったことが仇になって溝ができてしまったら本末転倒だ。 何もないことを祈りたい。 「うぅ、寒っ…… 今はえみちゃんのことより学校だ学校」 風が入ってこないように再び襟元をぐいと引きよせ、僕は凍った路面に足を取られないように学校へと急いだ。 「おお、瀬田先生、おはようございます」 「おはようございます、早いですね、小野先生」 今日もジャージ姿の小野先生がいて、正門で雪かきをしていた。 考える人は僕だけではなかったらしい。 「いやー、この時期に雪が降ることが珍しく、 いてもたってもいられなくてな」 「小野センセー、まだー?」 「おう! すぐに持っていくぞー ……とまあ、こういうことです。それでは、失礼」 声をかけられた生徒にすぐに反応を返して、先生は苦笑交じりにかき集めた雪をグラウンドへと運んでいった。 グラウンドには何人かの生徒たちが集まって、雪合戦をしていたり、雪だるまを作ったりと自由に遊んでいた。 遊ぶ中心には小野先生もいた。 「よーし、いくぞーー」 前言撤回。小野先生はただ遊びたいがために早くに来たみたいだ。 集まっている生徒たちもほとんどが上級生だ。もしかしたら、早めに来るように言ったのも小野先生自身なのかもしれない。 「小野先生が仕切ると 大体こうなっちゃうんですよね」 「安藤先生、おはようございます」 微苦笑混じりに言いながら、安藤先生もグラウンドに顔を出してきた。 「最初は私も雪かきをしていたんだけどね。 気がつけば童心に返っていたことは 何度もありました」 昔を懐かしむように、小野先生が本気で生徒と接している姿を見やる安藤先生。 彼の表情は、悲しげだった。 もうしばらくしたら安藤先生はこの地を離れる。 今だから分かる安藤先生の気持ちに、僕は同情を禁じえなかった。 「だったら、 今日ぐらい僕たちも一緒に遊びましょうよ」 「瀬田先生…… そうですね。少し、 ハメを外させてもらいましょうか」 監視役でもある安藤先生は、常に一歩引いたところから僕を見ていたけど、今日は珍しく僕の言葉に乗ってくれた。 生徒との最後の思い出を作ろうと、安藤先生は率先して輪の中に入っていく。 僕も一緒に――と駆け出そうとして、ベチンと雪玉がお尻にぶつかった。 「不意打ちをしてきたのは誰だーー」 「瀬田せんせーーー! てやああああ」 相手はなんとえみちゃんだった。 この前にぶつけられた時とは違って明るく、少しいたずらめいた表情が浮かんでいた。 今なら彼女のそうした反応が手に取るように分かった。 構って欲しい。という子供心ながらの意思表示であることを。 「やったな、えみちゃん!」 僕も今回ばかりは戸惑いはしない。投げてきたそれに答えを出すべく、僕も投げ返した。 もちろん、子供相手に本気でというわけではなく、雪玉の作りは柔らかく、当たっても痛くないように配慮してだ。 「きゃああっ、つめたーい」 「あー! えみちゃんをいじめてるー」 「えみちゃんをぉぉぉ、いじめるなぁぁ」 えみちゃんに雪玉が当たったのを目撃したののかちゃんが、声を荒げて迫ってきた。 「わ、わっ、別にいじめてなんてないから」 乱れるような雪玉の嵐に防戦一方となっていた。 そんなとき、必ず助けてくれる先生がいる。 「やめんかあああああっ! とおっ」 毎回のように大げさな掛け声を用いて、某アクションライダーよろしく僕の前にヒーローは現れた。 嬉しい反面、ちょっと怖い。 「うわぁ、小野っちがきた」 「瀬田先生。もう大丈夫です。 ……俺たちが守って見せますから。ね、安藤先生」 「あ、私もそういう役柄なんですね」 小野先生の中でなにやら始まっているらしい舞台に、僕たちも知らず知らず乗せられていた。 でも、悪い気はしない。 「守られっぱなしはイヤですからね、 僕も頑張りますよ」 「いいですな。その意気です。 チビどもを調子付かせたらいけませんよ」 「こういうときはガツンと大人の力を行使するんです。 不条理な世の中だということを 教えてやりましょう」 グッと拳を握り締めて熱く語り出した小野先生は、子供たちにストレスでも堪っているのか。 それとも、子供たちと戯れることが好きで、大げさにああいうことを言っているのか。 なんにしても、小野先生と一緒にいて悪い気分はしなかった。 「分かりました。コテンパンにしてやりましょう」 「瀬田先生まで……分かりましたよ、付き合います」 乗ってきた安藤先生とあわせて男3人が結束して、生徒たちに襲い掛かる。 キャッキャッとはしゃぐ中、生徒たちの四方八方からの雪玉に面食らいつつ、僕たちも真っ向から襲い掛かる。 そうして、気がつけば生徒と雪合戦の流れになっていた。 「いたっ、こんのおおお!」 「きゃふっ、つめたぁい♪」 「あはは、お兄ちゃ……せんせのお尻、 真っ白だよー!」 えみちゃんは昨日に続いて、僕に対しても親しげに接してくれていた。 笑い声は絶えず、気がつけば授業を始める1時を過ぎてなお、僕たちは雪合戦に汗を流したのだった。 そして―― 「……なぜ、正座させられている分かっていますね」 誠人&小野 (0036) 小野「「すみませんでした」」 少し前に注意されていたことを忘れて、今日も再び熊谷教頭に怒られてしまった。 「遊ぶなとは言いません。 それでも時間は守っていただかないと困ります」 「……仰るとおりです」 完全に時間を忘れて遊んでしまい、返す言葉もなかった。 「面目ない……」 外で遊んでいたときはあれだけ頼もしく映っていたヒーローも、一回りも小さく肩をすぼめていた。 そんなヒーローはかっこ悪かった。 小一時間正座させられていた小野先生と僕だけど、そこには安藤先生の姿はなかった。 別れの挨拶もなく、安藤先生はこの学校を一足先に後にしたのだった。 寂しくなる。と、同時に、これからは僕がこのクラスを見ていかないといけないことを改めて自覚したのだった。 「それじゃあ復習問題、この問題が分かる人ー?」 ある日の算数の授業。生徒たちの授業を受ける姿勢は日に日に変わっていっていた。 そうした姿を嬉しく思う中、生徒を見渡しつつ誰を当てるか視線をめぐらせる。 「せんせ、あたし分かるよー」 「わたしだって分かるよぉ、はぁい、せんせー」 あちこちで手が挙がって、当てて欲しそうに目をキラキラと輝かせている。 問題は復習ということもあって、えみちゃんでも優しい問題だ。 もちろん、新しい生徒も分からないことはない、はずなのだが―― 「え、えっと……う、うぅ……」 寂しげに、唯一ことねちゃんだけが手が挙がらず、しょんぼりしているのが視線に飛び込んできた。 「(ことねちゃん……?)」 僕はしばらくして、適当な生徒を当てて次の問題へと移った。 そのたびに、ことねちゃんだけ、ほとんど手が挙がらなかった。 決して進みすぎているというわけではない。ことねちゃんと同じ年齢の子も分かった様子で手を挙げている。 いろいろ詰めこみすぎているのかもしれない。 ウサギの世話をしている楽しそうなことねちゃんを見てきただけに、悲しそうな彼女の顔はとても印象に残っていた。 何とかしてあげたいな。授業を進める中そう思い―― 「たぶん、いると思うんだけど……」 放課後、ウサギ小屋にことねちゃんがいないか立ち寄ってみた。 すると、案の定、彼女はギリギリまでウサギの世話をしていた。 「こんにちは」 「あ、せんせい……こんにちは」 ウサギの世話をしていることねちゃんが僕に気づいて、すぐに返事を返してきた。 算数の授業のことを気にしているという様子はなく、ウサギと一緒にいる時間を満喫していた。 「先生も勉強してみたんだけど、 ウサギってすっごい大きくなる種類も いるみたいだね」 「そうなの?」 「うん、見てみる?」 そう言って僕は、携帯に保存しておいたウサギの画像をことねちゃんに見せてみた。 画像は、一人の成人男性が巨大なウサギを何とか持ち上げようとするものだった。 「ホントだ。大きい……でも、可愛い」 「そうだね、これだと、エサをあげるのも大変だね」 「うん……この子たちもこんなに大きくなるのかな」 「そういう種類じゃないと思うから、 大丈夫だよ」 「そっか。大きいのもいいけど、 ウサギはやっぱりこれぐらいのが好き」 ことねちゃんはウサギの額を優しく撫でながら、めでつつ口にする。 「うん、僕もこれぐらいのウサギが好きかな」 びょんぴょん跳ねたり、顔を洗うウサギのクロやシロの様子を眺めているだけでも心が安らぐ。 そんな中、話題を一気に変える。 「ことねちゃんはウサギは好きだけど、 授業はどう?」 「………………」 僕の言葉に、ことねちゃんは一気に言葉を失って、俯いてしまった。 生き生きしていたことねちゃんが、分かりやすいぐらいに表情を変えていた。 「あんまり……分からない」 「そっか」 ことねちゃんは真面目だ。宿題など欠かさず提出してくれる。ただ、間違いが多い。 しっかり理解しているというわけではない。でも、何とかしようという努力は窺えた。 だからこそ、何とかしてあげたいとも思った。 「分からない時はどうしてるの?」 「ばぁばに教えてもらってる…… むずかしくて分からないけど」 おばあちゃん子なのだろうか。事情がありそうだけど、僕にそのことを詮索する権利はない。 「みんなの前だと先生にも聞きにくいよね。 分かるよ」 「今なら先生と、ここにいる子たちしかいないし、 なんでも教えてあげるよ?」 「せんせいが……? いいの?」 「うん、僕もことねちゃんが寂しそうにしているのは 見たくないよ」 そう言って、僕は適当に持ってきた紙を使って、ここで勉強を始める。 「ここでおべんきょうするの?」 「うん。 ここの方がことねちゃんも落ち着くでしょ?」 「うん。ここの方がいい」 そう言って、寄り添って特別授業が始まった。 とはいえ、教えるのは掛け算だった。 「掛け算は、暗記みたいなものだね。 苦手な段はある?」 「6と7のだんと、8と9のだん……」 「ああ、強敵なところだね」 目まぐるしく10の位が変わるので、頭で考えるのは大変かもしれない。 僕はそれを紙で分かりやすいように説明していく。 「えっと……6が7回……6と5の時は30で、 6と6は36……それから6を足して…… えっと、よ、42?」 「正解。6・7=42だね」 法則に乗っ取って数字が上がっていることをことねちゃんに教える。 昔は暗号のように唱えて覚えていたが、今の僕に出来る精一杯。 あとはそれが何回上がっていくのかを具体的に説明した。 速度こそ遅いものの、間違えることは格段に減った。 「それなら、次は、6×8は……4、48?」 「完璧だね。最後、6・9は?」 「え、え……4、48に、6を足して…… 5、5、ごじゅう……に?」 「惜しい、54だね。 でも、間違いも減ったし、 すごいよ、ことねちゃん」 最初に比べてずいぶん答えられるようになった上達振りに、僕も嬉しくなっていた。 「うん、わたしも嬉しい」 「あとは、 間違えないようにそれぞれの段が言えたら 完璧だよ」 「うん、せんせいのおかげでがんばれそう」 「それなら良かった。 それじゃあ、今日のことねちゃんと僕の、 特別授業を終わります。礼」 「え、あ、あ、ありがとうございました」 号令にことねちゃんはペコリと頭を下げた。 一人の生徒を特別扱いしすぎだろうか。そういぶかしむ僕の横で、ことねちゃんは頬を赤らめていた。 「せんせいと……とくべつじゅぎょう」 「ん? ことねちゃん?」 「あ、いや……なんでもないです…… えっと、帰ります」 そう言って、ことねちゃんは慌てて帰ってしまった。 「何か僕、しただろうか……?」 「うん、今日もいい天気だ」 日中は次第に暖かくなって、雪も見えなくなった5月下旬。 安藤先生がいなくなって、本格的にクラスを受け持つことになったが、頭を抱える問題はなく順調だ。 それとは別に、ひとり先生がいなくなっただけで職員室は寂しく感じられた。 「しんみりするのも失礼か。 僕は僕なりに頑張らないと」 「はぁ……やっと一休みできる」 昼休み、生徒たちと食事を終えた後、僕は一度職員室へと戻ってきた。 「瀬田先生は生徒に懐かれていますね」 どかっと腰をかける僕の横で、五十嵐先生がお茶を持ってねぎらってくれた。 「あはは……仲良くなりすぎるのもダメですね」 生徒たちと距離は縮まったと思うものの、それによって教師と生徒との関係があやふやになっていることを危惧する。 教師と生徒は決して友達ではない。なあなあの関係であっては、第三者――特に、親御さんからの声がうるさかったりするもの。 それらを懸念していたのだが―― 「瀬田先生は今のままで十分です」 僕と五十嵐先生の間に、珍しく熊谷教頭も入ってきた。 「生徒と教師の関係性は大事ですが、 それは生徒たちも分かっているはずです」 「授業の間でもおしゃべりが続いたり、 違う話をするのなら別ですが、 ちゃんとわきまえているはずですよ」 「それは、確かに……」 「オンオフの切り替えができていたら、 生徒も合わせて切り替えられるようになります」 「瀬田先生は瀬田先生らしく、 生徒と関わってあげてください」 熊谷教頭には珍しく微笑を浮かべて行ってしまった。 「オンオフの切り替えか……なるほど」 振り返れば、今まではずっと気を張って、教師オーラを出しまくっていた。ずっとオンの状態だったんだろう。 オンとオフか……うん、いいことを聞いた。 「熊谷教頭、今日はとても上機嫌ですね」 「そうなんですか?」 「はい、きっと、 瀬田先生がしっかりしているからだと思います」 「だったら、言われたとおり 頑張らないといけませんね」 そう言って、僕は生徒たちから預かった宿題を一人ひとり見ていくのだった。 「少しずつ太陽が沈むのが遅くなるけど、 帰りが遅くならないように、いいね」 「はーい」 「はい。以上で、帰りの会を終わります」 放課後。帰りの会での伝達を終えた後、別れの挨拶を口にする。 そうして、一人また一人と教室を後にして、僕は全員が教室から出て行くまでを見送る。 「せんせー」 そこに、ののかちゃんとえみちゃんが教壇まで近づいてきた。 「どうしたの?」 「せんせーはこれからヒマ?」 「えっと……う〜ん、 少しぐらいなら時間作れるかな」 「だったらいっしょにあそぼう!」 目をきらきらと輝かせて、えみちゃんが続いて口にする。 「ふふふ〜♪ せんせーにだったら、 私たちのヒミツの場所を 教えてあげてもいいよー?」 「秘密の場所……? 学校じゃなくて?」 「ちがうちがう。それは行ってからのお楽しみ」 「そっかー……でも、 学校の外に出るとなると、 一度先生に聞いてみないとだね」 「……ということで、 早めに上がらせてもらえたらと思うのですけど」 職員室に戻るや、残っている先生たちに断りを入れる。 「構いませんよ。 今はまだ行事らしい行事もありませんから」 「楽しんでください。 あまり遅くならないように、 天気も悪くなるとのことですので」 「はい。ありがとうございます」 意外にもあっさり帰らせてもらえることに安堵しつつ、僕はカバンを手にすぐに職員室を後にした。 「それで、これからどこで遊ぶの?」 「ふふふー、ヒミツぅー♪」 「来れば分かるよ、早く行こう♪」 焦らすように2人は場所を教えてくれず、ただただ先頭を歩く。 どこに連れて行かれるのか。不安と期待に胸膨らませつつ、向かった場所は―― 「ここって……なんだ、公園か」 僕も行ったことのない場所かと思って期待していただけに、知った場所だったことに拍子抜けしてしまった。 「ちっちっち…… 公園なんだけどちがうんだよねー」 えみちゃんが気取ったポーズを取る中、さらに先導する。 先回りしていたののかちゃんがニコニコ顔で待っていた。 「じゃ〜ん♪ ここが、私とえみちゃんのヒミツの場所」 「……えっと、どこが?」 「ここだよせんせ、この中」 分かっていない僕に、えみちゃんが指を指す。 生い茂った植え込みの脇に、アーチ状になって出入りができる箇所があった。 「へー、こんなのあるんだ」 しゃがんでその中の造りを見ると、数十センチのトンネルとなって奥が見えていた。 「それじゃ、 あたしたちの後にせんせもついてきてね」 「え、いや、ついてきてねって……」 僕の制止する声も聞かず、えみちゃんとののかちゃんがひざをつけて植え込みの中に入っていく。 小柄な女の子一人分は入れても、僕が入れるような大きさではない。 無理に入ろうとしたら壊れてしまいそうで、それはあまりにもかわいそうだ。 2人が中に入った後もためらっていると、中にいるえみちゃんの声が聞こえてきた。 「せんせ、まだー?」 「いや、僕が入ったら壊れちゃうよ。 それでもいい?」 えみ&ののか (0086) えみ「「ぜったいダメ!!」」 声をそろえて否定されてしまった。 「そうだよね。なら、僕は外で待ってるよ」 少し残念に思いつつ、結局、これが遊びとして成立しているのか疑問を抱く。 しかし、僕に秘密の場所を教えてくれたということは素直に嬉しかった。 「(変な場所ではないだけまだいいか)」 立ち入り禁止の場所や、いかがわしい場所でなくて良かった。 こうした隠れ場的なところはいくつもありそうだし、奥にもどこかに通じているはず。 秘密基地にしてはお粗末ではあるが、2人が楽しんでいるのならそれを邪魔する必要もない。 しばらく待ちぼうけていると、奥の方からえみちゃんとののかちゃんの話声がする。 「えー、せんせはそんなの見ないよ」 「でも男の子って みんなそうなんじゃないの?」 「えー、せんせもそうなのかなー」 「ん? 僕がなんだって?」 中から僕の話題も出ていることに口を挟むと、2人はのそのそと植え込みから這い出てきた。 しかしながら、2人の反応はなにやら違う。 ニヤニヤと何かを企んでいる様子が分かるののかちゃんと、対照的にえみちゃんは恥ずかしそうな表情。 「えへへ……せんせーはこういうの好きだよね」 言いながら、ののかちゃんが見せてきたのは、雨にさらされてヨレヨレになっているセクシーな雑誌だった。 と、言っても水着姿が映っている程度で、過激なものではなくグラビア雑誌のようなもの。 「(……こういうことは  いろいろ知っているんだよなあ)」 当時の自分を思い返しても、同じように興味は持っていた気がした。 そうした自分の過去を棚に挙げてでも、やっぱり彼女たちにとってはまだ早い。 「こらこら先生をからかっちゃダメだぞ? 没収だぞ?」 取り上げようとするものの、ののかちゃんがそれを自分の後ろへと隠してしまう。 「むー。私から取り上げて、 こっそり見るつもりでしょー」 「いや、見ないから…… そんなに汚れてたら見るに見れないでしょう」 「汚れてなかったら見てたんだ……」 「いや、そういう問題じゃなくて…… 持ってることの方がいけないことだよ?」 矛先が僕に向けられるそれをごまかしつつ、ののかちゃんから雑誌を奪い取ることに成功した。 「あー、まだぜんぶ見てないのにー!」 「こんなの見なくていいの。 あとで僕の方で処分しときます」 「そんなこと言って、あとでこっそり見るんだ」 「……やっぱり、せんせいもエッチなんだ」 「うっ……」 えみちゃんからの冷たい視線に、言い知れない罪悪感がこみ上げてくる。 この間のコタツでの出来事がいやでも思い返される。 「と、とにかく、君たちにはまだ早いから、 それよりも他のことをして遊ぼう……」 「あ、雨だ」 「えー……雨?」 天を仰ぐと暗い雲が空を覆っていて、雨が降ってもおかしくない空模様だった。 2人に遅れて、ぴちゃりと頬に冷たいものが当たった。 すぐ止むかと思っていた雨はさらに強さを増していく。 「このままじゃ風邪引いちゃうね。 2人とも一緒においで……!」 そう言って、えみちゃんの手を取った時にはエッチな雑誌を放り出して、走り出していた。 「はあ、はあ……ふぅ、 とりあえずここまで来たら大丈夫かな」 公園から一番近かったえみちゃんの家まで走った。 幸い気づくのが早く、また遊んでいた場所もえみちゃんの家の近くだったため、そこまで濡れずにすんでいた。 「お兄ちゃん!」 語気を強めてえみちゃんが僕を呼ぶ。けど、それはいつも家で呼ぶ方のそれだった。 「ん……? って、 その呼び方はダメって言ったでしょ?」 「ののかちゃんがいるから……って、 ののかちゃんは?」 「のの、付いて来てないの」 「うそっ!?」 「あ、あたしは何回もお兄ちゃんを呼んだんだよ。 でも、気がつかないから……」 「そうだったのか……」 それで、そんなに声を荒げていたのか。 雨宿りができる場所を探している最中、えみちゃんが何回か僕を呼ぶ声は聞こえていた。 でも、それより早く雨をよけられる場所に連れて行くことが先だと、聞こえないフリをしていた。 それが、こうした事態を招いてしまっていた。 えみちゃんも少しの責任を感じてか、悲しそうな顔をしていた。 「ごめんね。 僕が早くに気づいてあげられたら良かった」 「それより、ののはどうするの?」 「う〜ん、 ののかちゃんも家に帰っていたらいいけど……」 「ののの家、あそこからだと少し遠いよ」 「そうなんだ……しまったな」 生徒の家ぐらい把握していたら良かったと思うものの後の祭りでしかない。 「仕方ない。ののかちゃんを探しに行こう」 「あたしも行く」 「大丈夫。えみちゃんは家でお留守番してて」 「でも……ののは大事な友だちだもん」 寂しくうなだれるえみちゃんに、僕は腰を屈めて、彼女と同じ目線となって諭すように話す。 「気持ちは嬉しいよ。 でも、それでえみちゃんが風邪を引いちゃったら、 ののかちゃんが悲しむよ」 「僕がちゃんとののかちゃんを探して、 家まで送り届けるから」 「………………」 えみちゃんはしばし黙ったまま、少しだけ納得できなさそうに僕を見つめてきた。 それからしばらくして、えみちゃんはくるりと背中を向けて、家の中へと入っていった。 「えみちゃん……あれ?」 怒って家に入っていったのかと思ったが、すぐにえみちゃんは現れた。 そんな彼女の手には2本の傘があった。 「はい。お兄ちゃんもカゼ、引かないでね」 そう言って手渡してきたのは僕が使っている傘。と、もう一つはえみちゃん自身が使っている傘だった。 「これは……?」 「ののに貸してあげて。お願い、お兄ちゃん」 想いを傘に託して、僕を信頼してくれた様子のえみちゃん。 「ありがとう。約束するよ。 えみちゃんは家に入ってるんだよ」 そう声を掛け合って、僕はえみちゃんの傘を受け取り、急いで来た道を戻った。 公園へと戻ってきたころには雨足もさらに強さを増して、傘はほとんど機能せず濡れてしまっていた。 「うぅ、これじゃ僕が風邪を引いちゃうよ」 えみちゃんにあれだけ指摘したのに、僕が風邪を引いていたんじゃ本末転倒だ。 「ののかちゃーん! ののかちゃーん! いないのー?」 何度かののかちゃんの名前を呼んで、公園にいるかを確認する。 視界に人影は見えない。けど、いるとしたらここしか考えられない。 どこかに行っている。とは思いたくなかった。 「もしかしたら秘密の場所に隠れているとか……」 「せ、せんせー、ここ、ここだよー」 激しい雨音に乗って、かすかだが僕を呼ぶ声が聞こえてきた。 「ののかちゃん!? どこ!? ののかちゃーん」 「ここー。すべり台のなかー」 聞こえた場所に近づくと、確かに人の気配が感じられた。 滑り台の下がドーム状の遊具となっていて、覗き込むと小さく身を丸めたののかちゃんがいた。 「良かった。 えみちゃんがついてきてないって言うから、 はぐれたのかと思ったよ」 「ごめんなさぁい。えみちゃん、怒ってた?」 「そんなことないよ。 すっごく心配してたよ……だから、帰ろう――」 促そうとするのだが、雨は一向にやむ気配を見せず、追い討ちをかけるように風まで出てきた。 横殴りの雨がもろに足元を直撃する。 ののかちゃんの家まで距離があるみたいだし、この状態で帰ったら逆に風邪を引かせてしまうかもしれない。 「せんせー?」 「……とりあえず、 この中で雨が止むのを待とうか」 「わー、せんせー、びしょびしょだね」 ポタポタと服から少しばかりの雫が垂れる。 あまり気がつかなかったけど、衣服はずいぶん水を含んでしまっているようだった。 僕は腰を下ろして水気を含んだ衣服を絞る。 濡れた服は肌に張り付いてなんとも気持ち悪かった。 「いきなり降ってきたからね……うぅ、寒い」 「さむいの……? だったら―」 「なにが……? って、おっと」 僕の様子を見かねて、ののかちゃんが懐に入ってきた。 「の、ののかちゃん? どうしたの……?」 「あのね、ののは人よりあったかいから、 時々ママがぎゅ〜ってしてくるの」 「そうしたら、 ママはあったかいねって笑ってくれるの」 「せんせーもさむかったら、 ののをぎゅ〜ってしていいよ?」 「え、え、えっと……」 おそらくののかちゃんと母親が行うそれは、親子のスキンシップだ。 それを僕にもさせてあげるというのは、嬉しい反面、よからぬ感情がちらついてならなかった。 そんな汚れた僕とは対照的に、ののかちゃんは純粋に暖を取ってもらうために身を預けている。 「(何を考えているんだ……)」 何もいやらしいと考える必要はない。 これは、ののかちゃんからの親切な気持ち。逆に断ってしまう方が可哀想だ。 自然に、ののかちゃんと少し身体を触れるだけ。 学校でも冗談で抱きついたりしているそれと何も変わらない。 「(大丈夫だ。僕なら大丈夫)」 オンとオフ。理性が飛ぶようなことはしない。 「はやくぅ、ぎゅ〜ってしないと せんせー、風邪引いちゃうよー?」 「それじゃ、お言葉に甘えて……」 ののかちゃんも積極的なのをいいことに、後ろから僕は彼女を覆うように抱きしめる。 「あれ? ののかちゃんはあまり濡れてないね」 「うん、せんせーとえみちゃんが走ったときに、 ののはここに隠れたの」 「そっか。一人で怖くなかった?」 「うん。せんせーが来てくれるって 思ってたからだいじょぶ♪」 外は大降り。雨音だけでもかなりの圧迫感を感じてしまう。 「ののかちゃん……」 嬉しいことを言ってくれる彼女に、思い切り抱きしめてしまいそうになってしまった。 あくまで僕とののかちゃんは教師と生徒。それ以上の一線を越えるのはいけない。 これは教師と生徒とのスキンシップだ。 それにしても……。 「(ののかちゃん、いいニオイ……)」 後ろからののかちゃんを抱きかかえるようにしていると、顔がちょうど彼女の頭に乗っかる形となっていた。 ふんわりとした性格に合った、柔らかくちょっぴり癖っ毛がちな髪の毛。 雨で濡れ、少ししっとりとした髪から、普段見えない艶っぽさが顔を覗かせる。 「せんせー、それじゃぜんぜんダメだよ。 もっと引っ付かないと…… んしょ、んっ、んっ……」 僕のことを心配してくれて、ののかちゃんの方から身体を押し付けてくる。 触れ合う密度がより高まって、確かに暖かい。 それと比例して、抱いてはいけない欲望も少しずつ上昇してくる。 「そ、そうだね……」 肯定しつつも、ここは―― どうする? 身体を近づける 身体よりも手を暖めてもらう 「それじゃ……よいしょっ」 「ひゃあぁんっ、せんせーつめたーい♪」 ののかちゃんに甘えるように、僕の方からもぴたりと身体を寄せる。 濡れた衣服にののかちゃんはビックリして声を上げる。 「あ、ごめんごめん。イヤだった?」 「んーん、ちょっとビックリしただけ。 せんせーもぎゅ〜ってしていいよ」 積極的なののかちゃんに、僕は欲望と葛藤しつつ、身体を寄せ合う。 華奢で小さな身体だが、ののかちゃんの身体はふかふかで確かに暖かい。 元々体温が高いのだろうか。衣服の上からでも暖を取るにはもってこいだった。 「ふふ……ののかちゃん暖かいね」 「えへへ……そうでしょ? もっともっとギュッてしていいからね」 「それなら……えいっ」 さらに一段と強めに包み込むように抱き込む。 「ひゃあああん、せんせーつめたいってばー」 「はは、ののかちゃんが言ったんじゃないか」 じゃれあうように身体を密着させて、ののかちゃんの体温を奪っていく。 甲高い声を上げては、僕の身体から出たそうにじたばたとはしゃぐ。 それが本気でないことを知って、僕は逃がさないようになおも縛り上げていく。 「やー、せんせーにつぶされちゃうー」 「おっとと……もしかして苦しかった?」 「ううん、ぜんぜん。すっごく楽しいよ」 「楽しいんだ……ふふふ、そっか」 意図していなかった感想の言葉に、笑みがこぼれる。 身体を重ねていることで、ののかちゃんの柔らかいニオイがさらに鼻腔をくすぐる。 髪のそれとはまた違った匂いに包まれて、少しずつ体温は上がっていった。 「やーん、えへへ。 パパにギュッてされてるみたい」 「それは複雑だなあ。 お父さんにもギュッとされてるの?」 「ん〜。あんまり。 いつもはパパとママがギュッてしてるから」 夫婦の間に入らないように、娘も遠慮しているのだろう。 それはある意味、我慢させていることでもある。 「だったら――もっともっとギュッとしてあげる」 ののかちゃんの寂しい気持ちを紛らわせようと、強く抱きしめる。 「ひゃあああん……せんせー、つめたいぃ…… つぶれちゃううぅーー♪」 大げさな態度を取るののかちゃんが楽しそうにしてくれる。 それが見れるなら、僕は”パパ役”にだってなろう。 「身体はそれなりに暖まったから、 どっちかっていうと手を暖めて欲しいなあ」 かじかんだ手をののかちゃんの前に見せる。 怪訝そうに僕の手に触れると、ののかちゃんは。 「つめたーい。せんせーの手、かちんかちんだね」 「雨にも当たってたからね…… ののかちゃんの手は暖かいね」 「んふふ。 いいよぉ、せんせーの手を暖めてあげる」 暖める役目を与えられたことが嬉しい様子で、ののかちゃんは手に手を重ねて揉みほぐしてくれていた。 じんわりと温かな小さな手がかじかんでいる僕の手を這い回る。 「あはは。なんだかくすぐったいね。 でも、気持ちいいよ」 僕の片方の手に対して、ののかちゃんが両手で揉みほぐしてくれる。 簡単に手の体温は上がらないけど、ののかちゃんの献身的なマッサージが嬉しかった。 「んっ、んしょ、せんせーの手、大きいね。 それに、ごつごつしてる」 「男の手はこんなもんだよ。 お父さんの手だってそうじゃない?」 「ん〜……たぶん? パパの手、あんまり見たことないから 分かんない」 「そうなんだ……お父さんともぎゅ〜っとするの?」 「あんまり。私じゃなくてママとしてるの。 パパとママはすっごい仲良しなんだよ?」 嬉しそうに話すものの、そこには一抹の寂しさを感じ取ることができた。 娘が遠慮してしまうほど、夫婦の関係は強いのだろう。 良いことではあるかもしれないが、ののかちゃんが少し我慢しているのは寂しく思えた。 そんな彼女の気を紛らわせようと、僕の手をゆっくりと彼女の顔へと近づけて――ピタリ。 「ひゃうぅんっ! つめた〜〜い」 ののかちゃんの頬を挟むように触る。遅れて彼女はビクンと身体を跳ね上げて悶えるのだった。 「あはははは……暖かい暖かい」 「いや〜、つめた〜い! んんんーー!」 むすっとむくれるののかちゃんは顔を左右に振って僕の手から逃れようとする。 柔らかな体温をしばらく堪能していたが、長いこと触らずそっと手をどける。 「もぉ〜、せんせーのイジワル」 「ゴメンゴメン、 ののかちゃんのほっぺたが暖かそうだから、 触りたくなっちゃって……」 「ののは暖かいけど、急に触るのはダメぇ」 「はは、ごめんね。次からは注意するから」 「ダメぇー。バツとして、 ぎゅってしてくれないと許さないもん」 むくれたまま、ののかちゃんは求めるかのように甘えてくる。 「はいはい。これでいい?」 言われるがまま、僕はののかちゃんに身体をより密着させて体温を感じる。 「うん。許してあげる……えへへぇ」 たったそれだけでののかちゃんは機嫌を直して、満面の笑みを浮かべてきてくれた。 父性本能をくすぐられる僕も自然と笑みがこぼれる。 かわいらしいののかちゃんの反応に、余計に抱きしめたくなる感情を押し殺しつつ、もう少しののかちゃんの身体を堪能する。 鳥肌の立っていた肌はいつしか収まって火照ってきてさえあったが、身体を重ねていられるひと時が名残惜しかった。 「うん……ののかちゃんは本当に暖かいね」 「でしょ〜? ふくの中はもっとあったかいよ」 「えっ、あ、えっと……」 とんでもないののかちゃんの言葉に僕がどもる。 そんな僕の反応などお構いなしに、ののかちゃんは母とのやり取りを聞いてもいないのに話してくる。 「ふくの中に手を入れてね…… くすぐったり、ぎゅってしたり…… そしたらママもののも暖かくなるの」 「そっか。それじゃあ、僕も触っていいの?」 完全なセクハラ発言を恐る恐る尋ねる。 「うん! ののもあっためてあげたい♪」 いつしか甘えるように自分のことを『のの』と言うようになり、僕自身もその甘えを求めるようになっていた。 恥ずかしく思っていないのか、それとも僕を異性と捉えていないのか。 ののかちゃんの好意は嬉しいけど、これ以上の一線を越えてしまっていいのだろうか。 「せんせー、早く♪ 早く♪」 無邪気に、ねだるように身体を押し付けてくるののかちゃん。 この場合、どうしたらいい? 教師たる姿勢を貫くべきか、それとも彼女との関係を第一に考えるべきか。 どうしたらいい……? どうする? そこまで言うなら このままでも十分温かいよ 「の、ののかちゃんがそう言ってくれるなら……」 こんな子相手に戸惑ってしまう自分が恥ずかしい。 僕は意を決してののかちゃんのコートの中に手を忍ばせ、薄手の生地越しに華奢な彼女の身体を感じる。 「つめたい! ん〜…、んん ……でも、ちょうどいいかも」 「ちょ、ちょうどいい……?」 「うん、さっき暴れて少し暑くなってきたから、 冷たいせんせーの手が気持ちいいの」 コートの上から触っていた時よりも反応を示すののかちゃんだが、笑みを浮かべてなんでもない素振りを見せてくれる。 頬が赤いのは、恥ずかしさというよりも身体の火照りからきているのだろう。 意識はののかちゃんに触れる手に注がれて、体温、感触などを確認するかのように指を這わせていった。 柔らかい。 女の子独特な柔らかな肉つきに、無意識に僕は指を動かしてののかちゃんの身体を揉むように触っていた。 「やあん……ぷにぷにってしちゃだめ〜、 くすぐったいよ〜、ひゃああ……やぁん」 「ごめんごめん。 でも、ののかちゃんが言うように暖かいね。 あちこち触りたくなっちゃうよ」 「え〜、せんせーのえっちぃ〜」 「うっ、そ、それは…… でも、ののかちゃんが言ったんだよ?」 からかってきているのだろうけど、さすがにその単語はドキリとしてしまう。と、同時に触る手も止まってしまっていた。 やっぱり、こういう行為がいかがわしいことであることはののかちゃんも知っている。 心を許してくれたとは言っても、乱暴はできない。 けど、ののかちゃんが僕に身体を触らせてくれていることは事実。 もう少しだけ―― 「せんせー……? どうしたの?」 手の止まっている僕に上目遣いで聞いてくる。 「そうやって、先生をからかうののかちゃんには、 罰を与えなきゃだね」 「へ? 罰? ……はぅ! ひゃうん、ん、んん……あはははは、 くすぐったいよ、せんせー」 僕は、ののかちゃんのわき腹からお腹周りをくすぐるように手を滑らせていく。 くすぐったそうにして、身体を丸くするものの、服の中に収まっている僕の手からは逃れられない。 「だめだぞー。 先生をからかった罰は厳しいんだからなあ」 「ひゃ、ん……あうぅぅ、 ご、ごめんなさいー……あうぅ…… ごめんってばー♪」 ののかちゃんもくすぐりに耐えかねて音を上げて謝ってきた。 それで僕も手を休めたときには、ののかちゃんは荒い吐息を吐き出していた。 「はぁ、ふぅ……もぉ〜。 せんせーがいっぱいするから、 少し汗かいちゃったぁ……」 「まあまあ、一緒に暖かくなれてよかったよ。 ののかちゃんはイヤだった?」 「う〜ん。苦しかったけど、イヤじゃなかった」 「だったら良かった。 なら、もう少しだけ触らせてもらおうかな」 「いいけど、くすぐるのはダメだよ?」 「分かってるよ。僕も優しくするよ」 うまく誘導できたかは分からないけど、エッチな雰囲気を和らげることができた。 それでも、やっていることは淫らなことに変わらない。 それをののかちゃんに悟られないようにするのだけど、全てが遅かった。 「ん、ん……なんか、お尻に当たってる……? なぁに、これ……?」 「え、え、あ、えっと―― な、なんだろうねえ……あはは」 まともに言えるはずもなく、僕は苦笑しながら濁すことしかできなかった。 「せんせーでも分からないんだぁ…… でも、すごいあったかい。 さっきまでなかったのに、変なの♪」 膨張していくイチモツに興味を持って、ののかちゃんがお尻を動かして刺激してくる。 「う……ちょ、マズいよ、ののかちゃん…… そ、そんなに動かしちゃダメだよ?」 「そうなの……? こうして動くとせんせー痛い?」 「痛くはないけど……変な感じになっちゃうから」 「ん〜? よく分かんない…… えい、えいっ……」 ののかちゃんは構わずお尻をぐりぐりと押し付けてきて、固くなったイチモツをさらに責めたててくる。 そんな無邪気な様子も相まって、得もいわれぬ快感となり、僕の股間を刺激する。 されるがまま、僕もののかちゃんの身体をまさぐる手を、彼女の胸元へと伸ばした。 「やぁあんっ、せんせーがおっぱい触った〜」 さすがのののかちゃんもそこだけは敏感に反応して、ペニスの刺激も収まった。 「ご、ごめん。ここ、胸だったんだね…… 動かしてたらたまたま……」 「ほんとぉかな〜? 本当はせんせーもエッチなんでしょ?」 「うっ」 挑発めいたののかちゃんの表情。 彼女にとっても、胸元が一番触られたくない場所だろうとは意識していたつもりだった。 お尻で肉棒を刺激されたことで欲情してしまい、つい、胸元に手を伸ばしてしまっていた。 そうして黙っている僕に、ののかちゃんは笑みを浮かべながら口にする。 「えへへ…♪ でもね。 せんせーにだったら別にいいよぉ?」 「え、ええっ!? そうなの……?」 「うん、誰かにさわってもらうと おっきくなるんだってぇ」 「恥ずかしいからイヤだけど、 せんせーにだったら平気」 どこから得た知識かは分からないけど、僕に対しては心を許してくれている様子だった。 「大きくなるかは分からないけど、 それじゃあ……」 促されるままに、僕はののかちゃんの胸元に手を添える。 温もりが手の平に広がっていく。と、同時に、僕もつい声が漏れた。 「やわらかい……」 「ね、ね、どう? 少しは大きいでしょ?」 「う、うん。ちょっとビックリしたよ」 ののかちゃんも膨らんできている胸が少し自慢らしい。 顔を上げて嬉しそうに示す彼女が可愛いと思った。 えみちゃんの時も思ったけど、この年頃になると女の子としての成長が見られるようになっていた。 比べるようで悪いけど、大きさで言えば、えみちゃんよりもののかちゃんの方が発育がいいように見られた。 「うん、ふわふわして気持ちいいね……」 こうして触ってしまった以上、挙動不審な態度は見せられない。 いやらしくならないように、でも、距離を置かないように微妙な力加減で胸を触っていく。 「ん……はうぅ……ん、ん――はぁ、はぁ……」 そうして、上半身を執拗に触っていると、ののかちゃんは悩ましい声を上げるようになっていた。 「このままでも十分、温かいよ」 さすがにののかちゃんの名誉のためにも、僕は心を鬼にしてそれを自ら拒絶した。 本当はとても触りたい。けど、ののかちゃんのためを想ってのこと。 「それでも、中の方がもっとあったかいよ」 そんな僕の気持ちも分からずに、ののかちゃんは触って欲しそうに求めてきていた。 「ほらぁ、ののはいいから。 せんせーもさわって?」 「え、ちょ、ちょっと……わわわっ」 ののかちゃんは僕の手をとって半ば無理やり身体の中に入れてきた。 「(こ、これは……どうしたらいいんだ?)」 一瞬のためらいがあったが、無理をして自分を律することもないことに気づく。 これもひとえにののかちゃんのため。そう思うと、感じていた罪悪感も薄らいでいた。 「(ののかちゃんの機嫌を損ねるよりは……)」 そう繕いつつも内心では、ののかちゃんの体を触れられることに心は小躍りしていた。 僕の手はののかちゃんに促されるまま、彼女の体に触れるのだった。 「ひゃん、せんせーの手、つめたーい ……でも、ひんやりしてて気持ちいい」 「はは、本当だ。ののかちゃんの身体は温かいね」 自分で言うほどではあって、ののかちゃんは確かに体温は高く、触るのも悪くなかった。 「えへへ。だから言ったでしょ? もっとたくさん触っていいよ」 「う、うん……」 機嫌を損ねていたことも忘れて、ののかちゃんは笑みを浮かべてねだってきた。 気を許してくれていることをいいことに、ののかちゃんの服の中をまさぐっていた。 女の子らしい肉つきをして、さわり心地も申し分ない。 腰からお腹周りは柔らかくて、ギュッと抱きしめたくなる衝動を抑えるのがやっとだった。 「ん、や、あんっ…… くすぐったいよ、せんせー……ひゃんっ!」 ののかちゃんは這い回る僕の手にいちいち反応を返して、それがまた可愛く思えた。 こうして触っているだけで気分がよくなると同時に、イヤでも興奮してしまう。 それを必死に抑えるのだが、指使いはイヤでも胸元を意識してしまっていた。 「(少しだけなら……)」 欲望のまま、僕はゆっくりと彼女の胸元に指を忍ばせていった。 「ひゃんっ! あー、せんせーがおっぱいさわってる〜」 ののかちゃんが一段と大きな声をあげて、その反応を強くあらわにした。 「あ、あはは……ごめんごめん」 適当にごまかして、すぐに手を胸元からどかそうとするのだが。 「別にいいよ?」 「い、いいの?」 「うん♪ せんせーにはとくべつ」 「あ、ありがとう」 「ねぇねぇ、のののおっぱい、どうかな?」 異性に触られていることに特に意識する様子はなく、むしろ感想まで聞いてくるほどだった。 「そうだね……意外におっきい……?」 小さいと思っていた胸元は、想っていたよりも小高く丘を描いている。 そうした未発達な身体を前に、言い知れない罪悪感と高揚感が一気にこみ上げてきた。 「そうでしょー。少しずつ大きくなってるんだー」 ののかちゃんは成長している胸元が自慢らしい。 もしかしたら、それを誰かに自慢したかったのかもしれない。 どうであれ、こうして堪能させてもらえることは悪い気分はしなかった。 「(ののかちゃんの方から触らせてくれたんだ、  これならもう少し……)」 柔らかな胸元に置かれた指先に力を込める。 「やんっ! 揉んじゃだめ。 ……ちょっと痛いの」 「あ、ごめん。もう少し優しくするからね」 敏感に身をくねらせて、ののかちゃんは眉をひそめて訴える。 そうだ、これはじゃれ合っているだけ。変に感づかれないよう撫でるように触っていく。 あまり執拗に胸ばかり触るのも遠慮して、身体全体をさすっていく。 「はう、ん――ん、はぁ、う、ん、ん――」 僕の指使いに、いつしかののかちゃんは頬を紅潮させて悩ましい声を吐き出していた。 「の、ののかちゃん……どうかしたの?」 「はふぅ……なんかね、ふわふわするの」 「ふわふわ? も、もしかして熱が出ちゃったのかな?」 あまりにののかちゃんの体に集中しすぎてしまい、身体を冷やしてしまったのかと心配してしまう。 「う〜ん、よく分からないけど、 ママにしてもらう時と違うの」 上気した頬と、瞳も少しトロンとしてきているののかちゃんの反応を見て察しがついた。 「(感じているのか……?)」 そうとしか捉えられないののかちゃんの反応に、この様子だったら――と、黒い欲求が蠢く。 今となっては、胸を触るだけでは収まりがつかなくなり、早く下半身に手を伸ばしたくてたまらなかった。 「はぁ……んっ、せんせー…… のの、どうしちゃったのかなぁ?」 「大丈夫だよ? 体温が熱くなってのぼせちゃったのかも。 ちょっと待っててね」 ここまできたら下がるに下がれない。 彼女の今の様子なら、許してくれそうだった。 しかし、どうする?優しく責めるべきか。少し強引にでも触ろうとするべきか―― どうする? 熱を冷ますためすぐ でも、やっぱりゆっくり 「今、先生が治してあげるからね」 覚悟を決めた僕は、片方の手をゆっくりとお腹周りから下腹部へと下ろしていく。 「ん、ん……せんせー、そこはダメなとこだよ?」 ののかちゃんはか細く拒絶するけど、多少の期待からか身体を動かしてまで抵抗はしなかった。 「大丈夫だよ。ここを触って、 ののかちゃんのボーッとしているのを 治してあげるから」 「そうなの? なら、おねがい……」 僕に身体を預けて、全てを任せてくれるのをきっかけに、理性は収まりがきかなくなっていた。 ワンピースのようになっている衣服を滑らせるように手を下ろしていき、すぐに下着まで到達した。 「あ、うぅ……きたないよ? ……ひゃ、せんせーの手がおまたに、 ん、ひゃううぅ」 「ののかちゃんのは汚くないよ?」 僕はいきなり下着の中に指を突っ込み、指の腹で執拗に隠れた部位をまさぐっていた。 あってもおかしくない恥毛はまったくなく、ツルツルとしていた。 「やぁん……せんせー、そこはだめー」 ののかちゃんは拒絶するものの、ここまできたら直接触るまでは我慢ができなかった。 「大丈夫だよ、 ここが一番熱を持っているんだから……ほら」 諭すように言いながら、熱くなっている股間部の割れ目に到達した。 さすがのののかちゃんも、違和感を感じているのか、ギュッと股を閉じて僕の手から拒絶する。 しかし、ここまできたら何をされても気にする余裕はなく、僕は構わずその感触を指で味わっていく。 全神経を指の腹に注いで、閉じられた花弁をなぞっていく。 「(こ、ここがののかちゃんの……)」 見えないのが煩わしくあったけど、こうして触っていられるだけでも十分、興奮することができた。 「ひゃ、ん……ん、あ、せんせーの指が、 あ、ん……おまたに当たってる ……はう、ん、ん……」 僕の指遣いに反応を返すののかちゃんに、僕も気をよくしつつ、リズムよく擦っていく。 ののかちゃんのお尻には、すでにギンギンに反り立っているペニスが堂々と当たっていた。 それも今となっては気にすることもなく、あてがったまま、彼女の割れ目を愛撫する。 「は、う、ん、ん――せんせー、 おまたが熱い……ん、そんな、したら、 やけどしちゃうよ……ん、はぁ、はぁ」 「そんなことないよ。 こうしていくとよくなっていくから」 あまり詳しいことは言わず、ののかちゃんが安心するように何度も告げる。 手を休めていたおっぱいへの刺激を再開して、同時にののかちゃんを責めたてていく。 「ひゃ、ん、せんせー…… はふー、ん、ひゃっ、う、ん、ん、くうぅ……」 くぐもった声をあげるののかちゃんも、いよいよ感じてきている。 そうした様子を前に、僕もヒートアップして指遣いはさらに加速していった。 濡れそぼった割れ目は、確かに感じていた。はずだった―― 「んっ、んんん……もういやぁ、 痛いからやめてぇ!」 一段と声を荒らげて、ののかちゃんは強い拒絶の意志を見せた。 それに、僕もハッと我に返って、飛んでいた理性が少しずつ戻っていく。 やりすぎた。 そう思ったときには遅く、ののかちゃんを不機嫌にさせてしまっていた。 「ご、ごめん、ののかちゃん ……少しやりすぎたかも」 「もぉー、せんせーのいじわるー。 やめてって言ったらやめて」 「そうだね。先生がやりすぎちゃった。 本当にごめんね」 「むぅ〜……それにちょっと怖かったの」 暴走してしまったのが態度に出てしまったのだろう、せっかくの信頼がおとを立てて崩れていく。 「でもおかげで温まったよ。ありがとう」 「うんん、いいよ…… あっ、せんせー、見て。晴れてるよ!」 「え……あ、本当だ」 ザーザー降りだった雨はいつの間にか止んでいて、ののかちゃんはそれを見るや僕の手を払って表に出てしまった。 名残惜しく感じながら、僕もののかちゃんの後を追って外を見やった。 「(……やってしまった)」 変な空気になってしまったことを後悔しても遅い。 今はそれより挽回することを考えなければならない。 「すぐに晴れてよかったね」 「そうだね。それじゃ、家まで送っていくよ」 このまま雨が降り続け長居していたら、僕は大変なことをしでかしていたかもしれない。 晴れたことに少し安堵しつつ、罪滅ぼしもかねて家へと送ると提案する。 「らんぼうはしちゃダメだよぉ?」 「し、しないよ。 あれはののかちゃんのためを思って やったんだから」 警戒されていることに悲しさを覚えるが、公園を出てからは、いつものののかちゃんに戻っていた。 「大丈夫。先生が優しくしてあげるから」 「うん……それじゃあ、お願い……」 ののかちゃんはこの間だけでもずいぶん心を許してくれ、どかっと身体を預けてきた。 理性を失いそうになるのを抑えつつ、僕は片方の手をゆっくりと下ろしていった。 「あ、ん、せ、せんせー、そこを触るの?」 「うん、大丈夫だよ。すぐによくしてあげるから」 不安そうにするののかちゃんを安心させる一方で、僕は今にも飛び出しそうな心臓を押さえるのでいっぱいだった。 おへそから少し下りたところで下着がぶつかった。 「あうぅ……ん、せんせーなにしてるの? ……おまたを触ってるぅ」 さすがのののかちゃんでも、股間を触られて違和感を感じているのか、触られている部分を凝視していた。 服の中だから見えないのだが、少しでも何かしている様子を知りたかったのだろう。 それは僕も同じで、ののかちゃんの下着の色や形なんかをこの目に収めたいぐらいだった。 「あ……せ、せんせーのおてて冷たいままだね。 ふふ、冷たくてへんなかんじぃ……」 「僕の手がちょうど冷たいから 熱が出ているここを冷やしてあげようと 思うんだ」 ののかちゃんは僕を信用しようとするものの、瞳は不安でいっぱいの様子だった。 それでも、拒むような言葉は言わず、忍ばせた手に感じる内腿の緊張感も、次第に緩まっていた。 「うん、いい子いい子」 優しく告げられて頬を染めるののかちゃんに、好機と捉えて僕は奥まった秘部に指を進める。 下着の上からののかちゃんのふっくらとした下腹部を伝っていく。 触れていることに感動しつつ、彼女の股間部が見られないのが悔しくもあった。 「(でも、こうして年頃の女の子のアソコを  触れるなんて……)」 高揚とした感情が暴走しそうになるのを抑えて、僕の手は彼女の割れ目に到達した。 「あんっ、ひゃ、う、ん――くすぐったぁい…… ふふ、でもそこ、おしっこの出るところだよ ……きたないよ?」 「そんなことないよ? でもかなりお熱があるみたいだね。 火傷しちゃいそうだよ」 自分でも言っていることが無茶苦茶だと分かっていたが、半ば無理やりにでも押し通して、行為に没頭したかった。 指から下着のさらさらとした感触と、その下に潜む柔らかい感触が広がって、興奮は最高潮に達していた。 「(乱暴にしちゃダメだ。ここで全てが終わる)」 ズボンの中で痛いくらいに脈を打つそれを抑え、僕は彼女のアソコに優しく手を添える。 ぴっちりと閉じられた花の園は、僕の指が這う動きにあわせて震えていた。 「はう、ん、ん……あん、やぁん、 変な感じがする……くすぐったい……やぁん」 「でも、ののかちゃん、 冷たくて気持ちいいでしょ?」 壊れ物を扱うように丁寧にアソコを触る。 それは愛撫という艶かしいものではなく、“さする”という表現に近かった。 それでも、指の腹からは汗とは違った湿り気が確かに伝わってきていた。 「……そ、それは……そうだけどぉ―― やっぱり、へんなかんじぃ……」 知らずに昂ぶっている様子のののかちゃんに、イタズラ心が沸々とこみ上げてくる。 何度と往復する指の感触を敏感に感じて、ののかちゃんはこれ以上にないほど身体を震わせていた。 「ふふ♪ はぅ……せんせぇ、そんな、 しちゃ、だめぇ…… ふぅ、ん、ん、んんん……」 苦しそうな顔をして、切なげに訴えるののかちゃん。 その顔つきは、今の彼女がしていいものではない、そう思って、ふと指が止まった。 「(これ以上は本当にマズい……  いろんな意味で引き返せなくなる)」 僕自身が飲まれてしまいそうになるのを堪えようと、僕は心を鬼にして少しずつ手を離していく。 「はぁ、はぁ……せんせぇ?」 僕の手が止まったことにののかちゃんが疑問を抱くようになっていた。 名残惜しく感じながら、ふと視線を空に向けると、いつしか雨は止んでいた。 「十分温まったでしょ? 気がつけばほら、空も晴れてるよ」 「へ? あ、本当だ」 ののかちゃんは僕の手から逃れるようにして、すぐに外へと出てしまった。 少し残念に思いながらも、これでよかったんだ、と自分に言い聞かせる。 「ねぇねぇ。せんせーは、 ののをギュッてしてあったかかった?」 「え、あ、うん。もちろん、暖かかったよ」 「えへへ。また、いつでも ギュッてしていいからね」 身体を触られてむしろ嬉しげなののかちゃんに、嫌われていないことにホッと胸をなでおろす。 「はは、ありがとう。 寒くなったらまたお願いしようかな」 「うん! それじゃ、帰るね」 「あ、もう暗くなるから家まで送るよ」 「へー、ののかちゃんの家はこっちの方なんだね」 ののかちゃんに先導してもらう中、家まで送り届ける。 さっきまではしゃいでいたののかちゃんだが、今は言葉少なく、身体をもじもじとさせていた。 「ン、ン……むぅ……」 「どうかしたの?」 「なんかね、パンツが冷たいの…… それに、おまたがムズムズする」 変な歩き方をしていると思ったら、股間に違和感を覚えている様子だった。 「のの、おもらししちゃったのかなぁ……」 誰に問いかけるでもなく、独り言のようにつぶやくそれに対し、あまり詮索はできなかった。 「ま、まあ……むずむずはしばらくすれば おさまってくると思うよ? あんまり触らないほうがいいかもね」 僕が触ったときには湿り気を帯びていたし、蜜が広がってもおかしくなかった。 「んー、分かったぁ。 帰ったらすぐにお風呂に入ろ〜」 「そうだね。その方がいいかもね」 「あの、ね……せんせー?」 「うん? どうしたの、ののかちゃん」 珍しく少し恥ずかしそうにうつむき加減でののかちゃんが僕を見つめる。 「このことはママには内緒にしてほしいの……」 ちょうど僕もそれを考えていただけに、助かった、と思ったがののかちゃんの要望は少し違ったようだ。 「その…… おもらししちゃったみたいで、 叱られちゃうかも……」 「そ、そっか…… じゃあこっそり着替えを持って お風呂に入らないとね?」 「むぅ〜……せんせーが触ったからだよぉ! えみちゃんにバカにされちゃうぅ……」 ぷぅと頬をふくらませ抗議の声を上げるののかちゃんの様子に、つい顔がほころんでしまう。 どうやら蜜をおしっこと勘違いしているようだ。 「ふふ、そうだね。 じゃあ二人だけの秘密だね?」 「ヒミツ……ん、分かったぁ! せんせーとのののヒミツ! ナイショだね」 「そう。誰にも言えないね」 ののかちゃん自身も公園での出来事はなかったことにしてほしいようで、それは僕としてもありがたかった。 「うん。あ、ここだよ、ののの家」 奥に見える一軒家をののかちゃんは指差して教えてくれた。 きれいな家に住んでいる。と、あれこれ詮索してしまいそうになる気持ちを抑えて、帰りの言葉を結ぶ。 「そっか。それじゃ、また明日ね」 「うん♪ ばいばーい」 無事にののかちゃんを家へと送り届けた後、不思議とどっと疲れを覚えていた。 「はぁ、本当に黙ってくれていたらいいけど」 あれだけ弄ぶだけ弄んで、勝手に後悔していたら世話なかった。 内にはさまざまな気持ちがぐるぐると回る中、僕も家路に着いた。 「のの、大丈夫だった?」 みんなで夕食を囲む中、えみちゃんが夕立に降られた時のことを掘り返す。 あの時のことは、あまり思い返したくなかった。 「うん、途中で雨宿りしたから大丈夫だと思うよ」 結果的に、えみちゃんの傘も使うことはなかったな。 「そっかー。ありがとうね、お兄ちゃん」 友達を送り届けてくれたことを指してお礼を告げるえみちゃん。 そんな彼女の笑顔がとても眩しくて、僕はさっと視線を外した。 「(本当に、何もありませんように)」 そう心から祈ることしかできず、今はただ後悔の念に駆られるのだった。 「おはようございます」 「おはようございます、瀬田先生。 昨日は大変でしたなー」 翌日、朝早くに出勤してくると、小野先生が大きな声で話しかけてきた。 「た、大変だったっていうのは……?」 何か、感づかれでもしたか? 「せっかく生徒と遊びに出て行かれたのに、 雨が降られたでしょう、大丈夫でしたか?」 「え、ああ……はい。 途中、雨宿りをして雨をしのぎましたから」 夕立のことを先生方は心配してくれたらしい。 無事、やり過ごしたことを話して、それでこの話は終わりになると思っていた、けど。 「生徒にいかがわしいことはしていませんよね?」 険しい表情で、熊谷教頭がすっと会話に参加する。 「いかがわしいって……ど、どういうことですか?」 「最近は教師の不祥事も少なくありません」 「少し前も、生徒に破廉恥な行為を行い、 捕まった教師の報道を見たものですから」 それで少し敏感になっているのか。 「あ、あはは……まさか。 そんなことありませんから」 熊谷教頭の鋭い眼光が、僕の心の中を見透かしていそうで怖かった。 昨日の今日でそこを突いてくるとは……これは、本当に用心しないといけない。 でも、それは僕が気をつけるだけでなく、ののかちゃんも黙っておいてもらう必要がある。 「(……頼むよ、ののかちゃん)」 そう心で祈りつつ、チャイムの音で僕は担当を受け持つ自分のクラスへ向かうのだった。 「それじゃ、プリントを配るから、 分からないところがあったら言ってきてね」 授業中。一通り教えた後、練習も兼ねて自作の問題用紙をそれぞれに配る。 プリントとにらみ合う生徒を目配せする中、チラリとののかちゃんを見る。 「う〜ん、むぅ……」 ののかちゃんは昨日の僕のことなど忘れて、みんなと同じように問題を解こうとしてくれていた。 昨日のことを意識しているという風には見られない。 周りも、僕を奇異な目で見る生徒はいなかった。 「(……うん、大丈夫みたいだな)」 もしかしたら、昨日のことをののかちゃんが誰かに話している可能性も十分に考えられた。 秘密にするように言っても、だからこそ余計に話したくなる。 友達のえみちゃんに話をされでもしたら、僕は橋本家にいられなくなるだろう。 「(今のところは  そんな心配をする必要はなさそうだ)」 「せ、せんせい、あの、分からないんですけど……」 一人の生徒に呼ばれて僕はそばについて丁寧に教える。 それからは、僕も昨日のことを意識しなくなって、教師として普段と変わらず振舞っていくのだった。 「はい、これで帰りの会を終わります」 「きりーつ、気をつけー、礼」 日直であったののかちゃんの声にみんなが立ち上がり、一斉に頭を下げながら帰りの言葉を元気よく発声した。 すぐに賑やかになる教室とともに、僕も一息つくことができた。 「せんせー、はい、日誌」 そう言って、ののかちゃんが日誌を僕のところまで渡してきた。 「うん、ありがとう」 恥らったりする素振りを一切見せないののかちゃんが、僕は不思議でならなかった。 「せんせ? ののをじーっと見てどしたの?」 「あ、あ、いや……なんでもないんだ……あはは」 一緒にいたえみちゃんが、僕の異変に気づいて声をかけてきた。 「(まずいまずい。  これじゃ僕の方が意識してるみたいじゃないか)」 「変なせんせ」 「えへへ〜……せんせー♪」 戸惑う僕にののかちゃんはイタズラめいた笑みを浮かべつつ、すぐそばまできて耳打ちする。 「また、ギューッてしたくなったの?」 「ち、違う! こら、先生をからかわない」 「あはは、せんせーが怒ったー、 帰ろぉ、えみちゃん♪」 茶目っ気たっぷりで僕をからかうと、ののかちゃんとえみちゃんは逃げるように行ってしまった。 「まったく……」 でも、ちゃんと黙っていてくれていることに、次の言葉は出ずに苦笑するしかなかった。 職員室へ戻ると、昨日できなかった作業を片付けた後、ののかちゃんが提出した日誌を読む。 「(変なこと書いてないだろうなあ)」 恐る恐る開くと、そこには今日の授業のことや、ののかちゃんが気づいたこと、感想などが丁寧に書かれてあった。 「うん。とりあえず大丈夫みたい」 ののかちゃんの悪い癖だった居眠りもなくなりつつある。 もしかしたら、昨日のスキンシップがののかちゃんにとっても良い影響になっているかもしれない。 ……まあ、都合のいい考えかもしれないけども。 「(今の僕なら、  都会に戻ってもやっていける自信がある)」 生徒との距離感の取り方も大体分かってきた。 最近は考えてはいなかったけど、野望はいまだ消えてはいない。 「(しかし、大変だな……)」 いまだ理事長の娘は見つけられていない。うまいこと取り入りたいけど、時間はまだかかりそうだった。 「突然ですが、 少し先に行いますオリエンテーションのことを お話しておこうと思います」 しばらくして、久しぶりの全体会議が行われた。 「オリエンテーション?」 「毎年、生徒たちみんなで裏山の公園に行くんです」 「主に新入生に向けた行事ですが、 人数が人数なので、 全学年で行うことになっています」 「へー、なんだか楽しそうですね」 季節も暖かくなっていくし、もってこいの行事だ。 「そう思うのは最初の1、2年ぐらいなもんですよ。 俺のクラスのやつなんて文句しか出てきませんよ」 「はあ……そんなものですか」 「毎年同じことをしていますから、 不満を漏らす生徒も多いわけですよ」 「これでも、生徒たちを飽きさせないように毎回、 問題を作ったりして楽しませようと思うのですが、 これがなかなか大変なんです」 あのニコニコ顔の校長が、初めて渋い顔を見せた。 よほどこの行事には苦慮していると見える。 「そういうことですので、今回も先生方には、 生徒たちのためになる問題を いくつか考えてきてください」 「今年は何を考えたらいいかしら……」 「問題か……う〜ん」 生徒たちと公園まで向かう道中に出す問題だろう。 自然に触れられる問題。また、僕たちが住む地域のことに関する問題が身近でいいだろう。 すでに先生方が考えているだろうけど、僕は僕なりに考えよう。 「まあ、難しく考えずに気軽に構えてください」 軽く締める校長はすでに柔らかな顔を見せて緊張をほぐしてくれる。 まだ行事としては先らしいけど、調べておこう。 「(これも都会に移るためだ)」 「せんせー、ばいばーい」 「うん、気をつけて帰るんだよー」 数日後。先日のイベント行事のこと以外は話し合うことはなく、早々に帰宅することができた。 生徒数が少ないだけあって、問題ごとも少ない。 親との衝突もないのは、それだけ信頼をおいてもらっているということだろう。 「僕も、少しは役立てているだろうか」 そう口にしつつも、心の奥底ではそれなりに自信はあった。 今まで感じたことのない充実感を感じていたし、生徒との距離も悪くない。 この間、教頭先生が言っていたオンオフの切り替えもできているつもりだった。 「……でもまだまだ。もっと頑張らないとだな」 帰って、オリエンテーションの問題を考えよう。 家路へとつく途中、公園が視界に入る。 そのたびに先日の、ののかちゃんとの一件を思い出してならなかった。 「噂にもなっていないみたいだから、 たぶん大丈夫だろう」 誰かに見られていたら、それが町に広まったらと、ネガティブなことをここ2、3日考えていた。 心は落ち着かなかったけど、それでも時が過ぎると、後悔の念は次第に風化していた。 反省する気持ちと、役得だったとヨコシマな気持ちとが心の内側でせめぎ合っていた。 「あまり考えないようにはしてるつもりだけど ……難しい」 とにかく、早く忘れないと。 そう気持ちを切り替えつつ、僕は家路を急いだ。 「ただいまーっと」 時間はまだ5時になっていない。 えみちゃんの靴だけが玄関にあったのを見て、家にいるのは彼女だけなのが分かった。 「敦子さんは買い物かな……」 というよりも、どこかでおしゃべりでもしているのかも。 何時に帰ってくるかは分からないけど、それでも夕飯時には帰ってくるから大丈夫だろう。 「ゆうきくんは遊びに出ているのかな?」 遊びたい盛りだ。男の子としたら当然だろう。 「えみちゃんは家にいるみたいだけど、 自分の部屋だろうか」 居間が静かだっただけに勝手に決め付けて、僕も自分の部屋へと向かおうとしたときだった。 「すぅ、ん、ん……すぅ、すぅ……」 心地よさそうな寝息がコタツ付近から聞こえてきた。 「まさか――」 そのまさかだった。 コタツの中で、この前と同じように眠っているえみちゃんがそこにはいた。 服がめくれ上がって可愛いおへそが覗いてる。 額にはかすかに汗をかいているのを見ると暑そうにしているようだ。その姿がまた色っぽかった。 「……えみちゃん」 「すぅ、ん、ん――ん、はふぅ……」 いけない。このままやり過ごせ。 そう理性が囁く以上に、欲望がそれを許してくれなかった。 ののかちゃんの一件以来、生徒に対して性的な目で見るようになってしまっていた。 生徒としてではなく、女性として―― 聖職者として失格だと自分で戒めているのだが、意識すればするほど、股間が脈を打つようになっていた。 「(ここでえみちゃんにいかがわしいことをしたら、  今度こそ引き返せないぞ……?)」 自問するが、返ってくる答えを持ち合わせているわけではなかった。 むしろ、心のどこかで肯定する言葉を探してさえいた。 「だったら――いっそ、えみちゃんにも……」 ののかちゃんの時の罪悪感などいつしか忘れて、僕はえみちゃんの身体に惹かれていた。 いや、むしろあの時がきっかけで、えみちゃんの身体にも興味を抱くようになっていたのかもしれない。 「大丈夫……気づかれさえしなければ、大丈夫……」 この間、ののかちゃんとした時とは違う。 だったら、少しだけ――少しぐらいなら大丈夫だろう。 起きても、うまいことごまかせる。 理屈のない自信を抱いて、僕は―― どうする? 声をかけ、顔を触ってみる 触って起きているか確認 「えみちゃ〜ん、お〜い」 さすがにいきなり触ったりするわけにはいかない。 順序だてて行うためにも、まずは本当に眠っているかが肝心だ。 「こんなところで寝てたら風邪引いちゃうよ〜」 起こそうとしつつも小声でえみちゃんを呼ぶ。そうしながらも起きてほしくない自分がいた。 「ん、ん――うぅ、ん、すぅすぅ……」 気持ち良さそうに寝息を立てるえみちゃんは、本当に眠っている様子だった。 えみちゃんの可愛らしい寝顔に僕も自然と頬が緩む。 少し前まではそれで終わっていたのだけど、それだけで満足できなくなっていた。 「おーい、えみちゃーん、風邪引いちゃうよー」 そう声をかけながら、僕は彼女の頬にツンツンと指をあてがう。 柔らかい頬が僕の指を弾く。プニュと埋もれる感じがまた可愛くてたまらなかった。 「ん、ん……やぁん、……ん、ん……」 すると、眉をひそめながら煩わしそうにするえみちゃんが、僕の手を払いのけてしまう。 起きたわけではなさそうだ。深い眠りの中で無意識に反応したのだろう。 「ふふふふ、可愛い」 何ともいえない反応に、僕はついいじめたくなってしまい、ツンツンと彼女の頬をつついてみた。 「すぅすぅ……やん、ん――ん、 だめだってばー、やぁん……」 そのたびに、えみちゃんが眠ったままの状態で手を払う。 「くすくす……うん、 これぐらいやって起きないんだったら 大丈夫だろう」 えみちゃんの眠りが十分に深いことを確認して、僕も安心する。 「えみちゃーん、本当に眠っているのかなー?」 眠りが浅いことも考えて、僕はえみちゃんに声をかける。 と、同時に、僕は我慢できずにえみちゃんの身体に手を伸ばしてしまっていた。 「(……温かい)」 しばらくコタツに入っていたのか、体温は高く、少し熱いぐらいだった。 「ん、んんん! つめたーい」 「わ、ととと……」 顔をしかめるえみちゃんが声をあげるそれに、僕はすぐに手をどける。 『起こしてしまった?』と、数秒ほど何もせずに待ってみたが、彼女が目を開けることはなかった。 「(ほっ……)」 僕の手に一度は反応したけど、無意識の反応だったようで、安堵の息をついた。 こたつにしばらく入って体温も上がっている中、冷たいものが触れたんだ、そうした反応も納得ができた。 しかし、それでも起きなかったことに、眠りは意外に深いことを確認することができた。 「でも、用心していたほうがいいかも」 起こす素振りを見せるため、再び身体に触りえみちゃんに声をかける。 「えみちゃ〜ん、ここで寝てたら風邪引くぞー」 そう口にするものの声は小さく、身体を揺する力加減もかなり弱いものだった。 起きてほしくない。起こしたくない。心でそう念じつつ、僕は何度とえみちゃんを揺する。 「ん、ん、むふぅ……ん、ん…… や、あん……だめー」 すると、眉をひそめて煙たそうに身をくねらせたえみちゃん。 再び反応を返したえみちゃんだが、起きたというよりも無意識に身体が動いたといってよかった。 「大丈夫……みたいだな」 十分、深い眠りについていた。 「これなら、もう少し触っても大丈夫だろう ……たぶん」 起きない保証はない。 ただ、さっきまで触って確かめてみて、反応を見る限りは十分深い眠りについていることは分かった。 しかし、それも僕の願望に過ぎず、いつ、どのタイミングで目を覚ますかは本人にしか分からない。 だが、ここまでして止めるという考えはすでになかった。 「(起きないで……)」 そう願う中で、僕はどのように責めるか考えて―― どうする? 大胆にいく 小心な僕は…… 「ここは、もう少し……」 たとえ途中で起きたとしても、ある程度ごまかせるはずだ。 適当に言い繕う自信のあった僕は、目の前に置かれてあるごちそうに我慢なんてできなかった。 「こうして悩んでいる時間さえ惜しい。 やるなら今しかない」 起きない。確信に満ちた僕はそう決め付けて、早速と彼女の上着を脱がしていく。 「ん、ん、はうぅ、ん、すずしい……あ、ん」 眠っている状態の服を脱がすのは大変だった。 あまり揺らさないように少しずつ、上へ上へと裾を持ち上げていく。 上着をめくりあげたそこには、田舎育ちとは思えないキレイな肌が広がっていた。 目立ったアザや傷も見られず、女の子らしい肉質に目を奪われてしまっていた。 そして、成長途中なのか、ぷっくりと申し訳程度に膨らんでいる胸元と、ピンク色した突起物が備わっていた。 それが異性を思わせる体つきであるとあらわしていた。 「なんというか、えみちゃんらしいな……」 身体の肉つきは痩せてもいないし太っているわけでもない健康体だった。 時々、お腹周りを気にしていたえみちゃんだったが、僕からすれば何を気にする必要があるのか疑問だった。 女の子たちの間では、体重は悩みの種の一つなのだろう。 「僕は全然気にならないけど……」 そう言いつつ、眠っている間に彼女の身体をマッサージして脂肪を燃焼させていく。 聞こえはいいけど、やることはいやらしいことにかわりはない。 「乱暴にはしないからね……」 そう言いながらも、自身の顔つきがスケベのそれになっていることは容易に想像ができた。 眠っていることをいいことに、僕はえみちゃんの身体に直接触っていく。 「ひゃん、ん――冷たい、ん、はふぅ、ん……」 ビクンと一段と激しく反応をみせたえみちゃん。 起こしてしまったか、一瞬ひやひやしたものの、目を覚ます様子はない。 「驚かせちゃってごめんね……? えみちゃんの身体で、温かくしてもらおうかな」 甘えるように僕は、えみちゃんの肌を滑らせるようにして上半身を堪能していく。 コタツで十分に熱をもっている彼女の身体は熱く、暖まるには十分なぬくもりだった。 「はふぅ、ん、んっ、すぅ、ん……はふぅ、やぁん」 僕の手の動きに、えみちゃんの身体が時おりビクついては、くぐもった声を漏らす。 悩ましい吐息が僕の欲望をなおも駆り立てていった。 「はぁ、ふぅ…… 僕までエッチな気分になりそうだ」 頬を上気させているえみちゃんの様子は、暑さからなのか、それとも知らず興奮しているのか。 色っぽく映る彼女の寝顔に、指遣いもまたいやらしくなっていっていた。 滑らせていた指に力を加えてぷにぷにと、肉感を確かめるように触るのだった。 腰の周りからお腹周りを重点的に。それに、えみちゃんはくすぐったそうに身体を左右に揺すってみせた。 「ん、ん……こらぁ、ゆうき ……変なところさわらないのー……」 ゆうきくんとじゃれている夢でも見ているのか、むすっとしながら僕の手を払いのけようとする。 そうした仕草に笑みを浮かべつつ、僕はそれでも手を休めはしなかった。 「ああ、こんなことしてしまったら、 病みつきになりそう……」 抜けられなくなりそうな恐怖を覚えつつ、次第に僕の手は胸元へと伸びていっていた。 ののかちゃんの時は彼女のリードと胸元が見えなかったこともあり、身をゆだねていたこともあった。 けど、今は自分の意志で触っている。 この差は大きく、緩んだえみちゃんの顔を見ると、強い罪悪感に苛まれて手が止まってしまっていた。 「(いや、いや……ここで引いてどうする)」 こんなチャンス、簡単に巡ってくるものではない。 それにえみちゃんは眠っているんだ。気づかれていなければ何も問題はない。 悪魔が囁く。天使の声もかすかに聞こえてはいたが、脳には入ってこなかった。 「そういうことだから、失礼して……」 僕は一時の理性を殺して、わき腹からゆっくりと彼女の胸へと手を伸ばしていった。 「は、あ、ん、ん……や、そこ……ん、ん……」 「はあ、はあ……ふぅ…お、起きないでね」 えみちゃんのくぐもった声に、僕も呼吸が荒くなる。と、同時に、心臓の音がバクバクとうるさく鳴り響く。 僕の手はぐっしょりと濡れてしまっている。それが彼女の汗なのか、僕が発汗しているのかは分からなかった。 伸びた手が徐々に突起物周辺に向かう。 ぺちゃんこにも見えるが、乳首を中心に申し訳程度に膨れていた。 生唾を飲み込みつつ、隆起した胸元を堪能して乳首へと向かった。 「ひゃん、ん――やぁんっ……ん、はふぅ、ん」 何かに当たった刺激にえみちゃんは身体を震わせて、今にも起きてしまいそうな声をあげた。 「や、やりすぎちゃったかな……?」 さすがに僕も不安になってしまうものの、手はえみちゃんの胸からどけようとはしなかった。 というよりも吸い付いたように胸元から手は離れず、揺すったりして感触を確かめる。 揉みしだけるほど大きくはないものの、逆に成長が見られる胸の膨らみに、感情が昂ぶってくる。 「僕も少しながら貢献してあげるね」 眠っている彼女にとっては知る由もない。 深い眠りのせいでいまだ起きる素振りを見せないのをいいことに、僕は長いこと胸を触っていた。 「あ、ふぅ……ん、ん――くうぅ、ん、ん……やぁん、 どうしてそんなにおっぱいをさわるのー?」 いまだにゆうきくんとじゃれあう夢をみているえみちゃん。 相手がゆうきくんとはいえ、それが胸に伸びたこともあり、えみちゃんの頬がより赤みを帯びていっていた。 長いことコタツの中に入って、汗も掻いてきて、額に髪が張り付く様子がまた色っぽく映った。 身体もずいぶん熱を持って、胸元もヌルヌルと水滴が分泌されていた。 「はあ、ふぅ、ん、ん……はぁ、はぁ、ん、ん……」 煩わしそうにしていたえみちゃんの反応が少しずつ変わっていき、悩ましい声が居間に広がっていた。 執拗に胸元を触っていたことで、乳首は最初よりも固くなって、指の腹にぶつかるようになっていた。 ツンと充血した突起物が天を仰ぐ。それを見ると新たな性癖に目覚めそうだった。 知らぬ間にエッチになっていくえみちゃんの姿に、僕のイチモツも気づけばズボンの中で暴れていた。 「とにかく優しくすることを心がけよう」 乱暴にしてえみちゃんを起こしでもしたら問題だ。 「ん、すぅ、すぅ……はふぅ、ん、ん……」 天使のような寝顔を前に、僕は落ち着いたまま彼女の上着に手をかける。 「ふふ、小さい身体……えみちゃんらしい身体だ」 服の上から手になじませるように、腰の周りからお腹をさするように触っていた。 「服の上なら、胸に触っても…… ギリギリセーフ……」 都合のいいルールを作って、自分の中で正当化していく。 「ちょっと、ごめんね……」 「はふ、ん、んん! ひゃん……あ、ん、ん」 背中を少し浮かせて、女の子らしい反応とともに、悩ましい声をあげたえみちゃん。 敏感なのか。それとも突然胸元を触れたそれにドキリとしたのか。 僕も一瞬、ためらってしまいそうになるのをグッとこらえて胸に手を添えたまま固まっていた。 「これがえみちゃんの……」 服の上からとはいえ、女の子らしい部位を触れていることに感動を覚えていた。 何より、服の上からブラジャーという異物が感じられないそれが、とても新鮮だった。 しかもののかちゃんの時とは違って、自分のペースで行うことでより感じる感触。 一枚の生地を隔てた向こう側には、えみちゃんの胸があると思うと、興奮はたぎるばかりだった。 「はぁ、ふぅ……落ち着け。 ここでむちゃくちゃにして起こしたら いろんな意味でオシマイだ」 焦らなくてもえみちゃんは起きない。起きるはずがない。 そう願いつつ、僕は服の上から円を描くように触っていく。 「あふ、ん……やん、ゆうき ……おっぱいさわるなー」 寝言でゆうきくんの名前を出すえみちゃんは、一体どんな夢を見ているのだろうか。 本当は僕が触っていることに気づいたら、一体どういう反応をするだろうか。 「(……いや、考えないようにしよう)」 今は、えみちゃんの身体を味わえる時間を、この手で堪能しておきたい。 確かに、女の子独特の膨らみは感じられた。しかし、服の上ともあって大きさは分かりにくくはあった。 「……できることなら、直接……」 教員失格な発言だということは、こういうことを行った時に気づいている。 これでも、最後の一線は越えないようにと、理性を保ち続けているほうでもあった。 だからこそ、許されるラインもまたあってもいい。 「だから、まだ大丈夫……」 適当な理由を口にしつつ、僕の手はえみちゃんの上着を手にとっていて、ゆっくりとめくりあげていく。 「これが、えみちゃんの身体……」 感嘆とした声を漏らす僕はすぐに自分の声を抑えた。 透明感のある肌は、田舎育ちのそれとは思えないほど傷一つなく整っていた。 年相応な肉つきをしている彼女に見とれるが、やはり目がいってしまうのはえみちゃんの胸。 「小さい……でも、えみちゃんらしい」 今まではさほど意識していなかった彼女の胸も、ののかちゃんとの一件で、変に目がいってしまうようになっていた。 一つ屋根の下で、手を伸ばせば触れられる距離にあってしても、家族の監視下において何もできなかった。 服の上から突起物が浮き上がっているのを見るたび、興奮を抑えるので必死だった。 それが、理由はどうあれ触れる状況に、心臓は激しく高鳴って、興奮は最高潮に達していた。 「はぁ、ふぅ……ふぅ、はぁ…… す、少しだけ」 薄れていく理性を呼び起こしつつ、僕は深い眠りについている彼女の胸元にゆっくりと手を伸ばしていった。 「ん、は、ふ、ん、ん、んん……あ、う、ん」 一瞬、えみちゃんの眉がピクリと動いたが、それからすぐに平常に戻って気持ち良さそうな寝息を吐いていた。 そんな彼女の様子を窺いつつ、僕は全神経を手の平に向けておっぱいの感触を確認していた。 小さくも確かに膨らみのあるそれは、服の上から感じられなかった独特な感触も十分に伝えてきた。 「……あ、ん、はふぅ……んん、 ひんやりして気持ちいい……えへへ」 僕の手の冷たさを感じ取るえみちゃんが、嬉しそうに呟いた。 それを勝手に好意と受け取る僕は、もうしばらく彼女の胸元に手を添える。 「ののかちゃんよりは小さいほうかな……」 姿勢によって胸の大きさ、形も崩れてしまいがちなため正確なことはわからない。 しかし、こうして触る中でも、ややののかちゃんには劣っているような感じがした。 「まあ、今はまだ成長過程だから、 まだまだこれからだし、僕は好きだよ」 「ん、ん――……やぁん、 そんなにさわっちゃだめー」 眠っているえみちゃんにフォローを入れると、まるで僕の言葉に反応したかのように煙たそうに口にしていた。 えみちゃんの仕草に笑みを浮かべる僕は、たまらず指に力を入れて少しずつ揉みしだいていく。 揉みしだくほどの弾力はなかったけど、発育途中のシコリのような中にムニュッと肉を掴む感触は確かにあった。 その指遣いに、えみちゃんも身体を少し浮き上がらせて反応を返してきた。 「こらぁ……おっぱいさわるなー、 ゆうきのえっちー……」 夢の中でゆうきくんに触られて反論するえみちゃんだけど、寝返りを打ったり、体勢を変えようとはしなかった。 触られることをむしろ求めているかのように、えみちゃんは寝言を言ってただ煙たそうにするだけだった。 「くすくす……そんなんじゃやめないよ」 僕も少し嬉しくなるのと同時にイタズラ心がふつふつと湧き上がり、触る指遣いは大胆になっていった。 えみちゃんの胸元を中心に、上半身全体を滑らせるように触っていく。 「はふ……ひゃ、ん、やぁん、ん……んんん、 こらー、お姉ちゃんのからだで遊ばないの」 くすぐったそうにして、少し怒った口調で煩わしそうにするえみちゃん。 声色も、少しずついやらしくなっていく変化に興奮の度合いを強めていっていた。 それは僕も同じ。今にも破裂せんばかりのペニスがズボンの中で暴れていた。 いまだ起きないえみちゃんの身体を執拗に触る。 すでに病みつきになってしまっていて、おかしな性癖に目覚めてもおかしくなかった。 「(このまま起きないのならいっそ……)」 そう思いつつ、僕は自分の股間をもう片方の手で触る。 少し触れた刺激に、僕はすぐにでも射精してしまいそうになっていた。 えみちゃんの身体をオカズに、溜まりに溜まった欲望の塊を吐き出したかった。 しかし、思いとどまるのはえみちゃんと僕という関係。 さらにはこの状況。 「(えみちゃんは起きなくても、  誰かに見られでもしたら大問題でもある)」 それでも、引くに引けないときもある。 重要な決断を迫られている僕は―― どうする? ダメだ! 僕は聖職者だ! ここは、男になれ! 「(……ぐっ、ダメだっ、僕は聖職者だ)」 一時の欲求を満たすために、一人の生徒をオカズにしていいはずがない。 たとえ彼女が起きなくても、今後の僕とえみちゃんとの間に見えない溝ができてしまいそうだ。 「せっかく仲良くなれてきたんだ……」 ここで全てを台無しにするわけにはいかない。 「それになにより十分楽しんだじゃないか、 これでもう終わってもいい……」 自分の欲望を理性で押さえつけようとして、さまざま並べ立てていく。 「ぐっ、名残惜しいけど……これで……」 グッとこらえつつ僕は、えみちゃんの衣服を元通りに戻した。 「ん、ん、やあん、あつーい」 脱がした上着を再びかけたことで、えみちゃんは暑苦しそうにすると同時に、コタツ布団を蹴飛ばして寝返りを打った。 それによって、あれだけ触っていた彼女の身体も触れなくなってしまっていた。 「って、何を僕はガッカリしているんだ、 これでよかったんじゃないか……」 何もなかった。そう思うものの、本人に気づかれていないかが気がかりでならなかった。 「(ここまできて何を考える必要があるんだ)」 男としてここは引けない。 ここで我慢でもしたら、いつか彼女を襲ってしまいかねない。 これからの理性を保つために、今は欲望を放出すべきだ。 適当な理由を並べ立てながら、僕の左手は執拗に彼女の身体から離れず胸元を揉みしだいていた。 ツンと反り立っている乳首を指の腹で転がしながら反応を窺うと、ピクピクと敏感に身体を震わせていた。 「はふぅ、はぁ、はあ……そんなしたら、 ヘンになっちゃう……よぉ……ん、ん……」 今にも目を覚ましそうな様子に、鼓動はバクバクとうるさく鳴り響きながらも自分自身を押さえられそうになかった。 「ごめん、もう、我慢できない……」 自分に言い聞かせるように呟いて、たまらずイチモツを取り出した。 えみちゃんの胸元にまでそれを持っていき、僕は右手でペニスを勢いよく扱き出す。 「くぅ、ふぅ、ん、ん……」 生徒の前で、さらに居候させてもらっている居間で、こんなことをしている背徳行為が余計に興奮を呼んでいた。 「はふ、ん……やぁん、先っぽ、 そんな……つまんじゃやー……ふ、ん、ん」 抵抗を見せつつも、強い拒絶がないのをいいことに、僕はずっと彼女の胸元を刺激していた。 「ん、ん、はふぅ……あ、ん、ん…… へんなこと、だめなんだからー ……はふ、ん、ん……」 悩ましい声、額に浮かんだ汗、上気して赤みを帯びた頬、えみちゃんの仕草に、自慰行為はなおも激しくなっていた。 「ん、く、う、ん……えみちゃん、もう少し、 もう少しだからね……」 先走る粘液をペニス全体に塗りたくり、滑りを加えて刺激はより強く増していった。 右手の力がこもるそれに比例して、いやでもえみちゃんを愛撫する左手にも力が入ってしまっていた。 「はふ……ん、ん……ダメ、お、兄ちゃん…… や、おっぱい、そんな、したら……あん」 「えみちゃん、そんな……」 寝言で次に出てきた僕の名前にドキリとさせられた。 起きた。と、思わされながらも、手をどけることはできず、右手はずっと動いたままだった。 「ん、おっぱい……熱い……先っぽ、 ヘン……ん、あ、ふ、ん、んんん……」 苦しそうな声を上げて、えみちゃんがいつ起きてもおかしくなかった。 それを危惧しつつも、今となってはやめるにやめられないところまで上り詰めてきたペニス。 こみ上げる快感に支配されて、絶頂は近づいていた。 「はぁ、ふぅ、く、う…… えみちゃん、もう少しだから……」 「ん、ふはぁん……ん、あ、ふぅ……はぁ、 ん、ンン……」 脈打つペニスは速くなって、下腹部から熱いものがこみ上げてきていた。 左手はえみちゃんの身体を乱雑に触って、ペニスを握っている右手で欲求を満たすように扱いていた。 彼女の汗ばんだ身体はヌルヌルして、それがまた気持ちよかった。 膨らんだ胸の谷間を触るそれも、まるで自分のモノと錯覚するかのように、指の腹にも力が加わっていた。 「あ、う、ん、くうっ……ひゃ、ん、ん……ん……」 えみちゃんの反応が激しくなっていることを知りつつも、僕はすでに抑えは効かなくなっていた。 「は、あ、もう少し、もう……もう……」 彼女が起きる前に――そう心で呟きながら、激しく激しくペニスを握って射精を求めた。 脈動する肉棒。内側から熱いものが尿道を駆け上がる。 「ん、は、う、うん、ん ――お兄ちゃん……あ、ん、や、あ、ん、ん」 「えみちゃん、くっ、い、イク……」 「ん、んぐっ、ンンン……」 亀頭の先から放出された欲望の液体は、当然のようにえみちゃんの身体に飛び散っていた。 「はふ……ん、んん……熱ぃ……ん、ん……」 かけられた粘液にえみちゃんの身体がビクンと反応する。 無防備な寝顔と可愛らしい寝姿。あらわになった胸元に飛び散った白い液体はとても扇情的で僕を興奮させる。 そんな光景にしばらく目を奪われてしまっていた。 「っはぁ、はぁ……ふぅ……」 興奮しきった空気の中、今まで感じたことのない射精感と脱力感。 しかし、それもつかの間。精液がかかった状態を放置しておくわけにはいかなかった。 「って、このままにしておくわけにもいかない」 匂いも残る。居間におかしなニオイを残しておくわけにはいかない。 僕は慌てて彼女の身体についた精液を拭きとり、元の眠っていた状態に戻していった。 「ふぅ、証拠は残ってないな」 換気を理由に少しだけ居間のドアを開けてニオイを消す。 そばで眠っているえみちゃんは今も変わらない寝息を立てて眠ってくれていた。 全てをやり終えてグッタリとする僕は嘆息を吐いた。 「(オナニーって、  こんなに疲れるもんだったかなぁ)」 心身ともに疲弊を覚えたけど、僕の中には充足感を感じていた。 が、ともにえみちゃんに対する罪悪感も高まったのだった。 「後はただ、えみちゃんにバレていないか…… それだけが心配だ」 「ただいまー、ごめんね、遅くなっちゃったわね」 玄関のドアが開くと同時に敦子さんが帰ってきた声に、僕の心拍数も一気に上がったのが分かった。 「あら、誠人さんも帰っていたのね」 「え、ええ。まあ、その、少し前に……」 「もう少し待っててね、 すぐ夕ご飯の準備にするから」 そう言って、普段と変わらない様子で敦子さんはすぐに台所へ行って夕食の準備に取り掛かった。 「ん、んんん……」 母親の声を聞いてか、えみちゃんが身体を起こして目を覚ました。 「むぅ……お母さん……今、何時?」 「もう少しで7時だね」 「えみったらまたコタツの中で寝てたのね。 風邪引くからやめなさいって言ってるでしょう」 えみちゃんの問いに僕は答えたが、台所からすぐに敦子さんの声が聞こえてきた。 だが、寝起きのえみちゃんはほとんど耳に入らず、つけられたテレビをボーッと眺めていた。 そんな中、いまだ眠そうなえみちゃんが僕に声をかけてくる。 「ねぇ、お兄ちゃんは何時に帰ってきたの?」 「僕……? 僕は……少し遅かったかな。 時間までは覚えてないけど」 正直に答えるべきだったか悩まされつつ、僕は適当にごまかすのだった。 「ふ〜ん、そっか……」 「ど、どうしたの?」 「ううん、なんか、変な夢を見たの……」 敦子さんに聞こえないように声のトーンを抑えて僕に教えてくれた。 彼女から発せられた単語に、僕は心臓が飛び出そうだった。 「え、っとヘンな夢?」 僕も声の調子をあわせるように小声であわせる。 「うん、ゆうきとか、 お兄ちゃんに体をさわられる夢」 少し恥ずかしそうに、けど彼女なりに教えてくれた。 「そ、そうなんだ…… あんまり気にしなくてもいいんじゃないかな」 「そうだね。ベタベタするからお風呂入ってくる」 あまり気にしていない様子のえみちゃんは、ニコリと笑顔を浮かべた後、いつもと変わらず脱衣所へ行ってしまった。 バレていない。と、そう思いつつも、不安で今日一日はえみちゃんから目が離せずにいたのだった。 「それではみなさん、 気をつけていってきてくださいね」 黒沢校長に見守られる中、僕たちは学校のグラウンドから出発する。 今日は数日前に話が上がったオリエンテーションの日。 天気は快晴。まさに散歩日和にもってこいだった。 えみちゃんとの一件を心配しつつも、大きな問題にはならず、日はあっという間に過ぎていく。 全生徒仲良く、少し遠くにある公園目指して歩き出した。 「こうちょーせんせー、いってきまーす」 「はい、気をつけて行って来るんだよ」 校長先生は学校で待っていることになり、引率する先生は各学年を受け持つ3人の先生に教頭先生も一緒だった。 「それでは、 先生方もよろしくお願いしますね」 「はいっ」 「はいっ」 「はいっ」 こうして、僕もこの学校で初めてとなるオリエンテーションは始まった。 「ほら、あまり広がらないように! 上級生がしっかり見てあげなさいね」 今年入学してきた生徒たちの面倒を上級生が担当する。 助け合い、触れ合う中で、学年の壁を越えて生徒たち同士が仲良くなってもらおうとするのが狙いだった。 しかし、僕が受け持つクラスはすでに経験していることもあって新鮮味に欠ける。 少々乗り気ではない生徒もいることは否めなかった。 そこで、道中のイベントとして考えたクイズを披露し、生徒たちに飽きさせない工夫をしていく。 「はーい、ここが最初の問題です」 「ねぇねぇ、せんせー、 本当にこの町にそんなサムライがいたの?」 「そうだよ。探せばもっとたくさんいるかもね」 何問目かの歴史の問題を出して進みだす中、ののかちゃんが食いついて僕のそばへとやってきた。 机にかじって勉強するよりも、自然と触れる中で学ぶことの方がののかちゃんは好きらしい。 こうして生徒たちと歩いているだけでも、新たな発見が見られる。 それだけで僕も楽しくなってきた。 上級生と下級生を先頭に、僕のクラスが一番後ろで引率する。 人数はやはり少ないと思うものの、生徒たちがはぐれる心配もなさそうだった。 「………………」 「えみちゃん、どしたの? 楽しくない?」 えみちゃんもののかちゃんと一緒に向かうものの、珍しく言葉数は少ない様子。 こういうイベントごとは嫌いではないはずだし、友達と一緒ならば話も弾むはず。 しかし、えみちゃんは出発してからいつもの元気な様子には見えなかった。 「ん〜ん、なんでもないよ」 ののかちゃんが何度目か声をかけるが、えみちゃんはそう言うだけで次の言葉はなかった。 そうした様子、態度が心配でならなかったけど、彼女だけを構っているわけにもいかない。 時に先頭に回っては誘導したり、時に一番後ろに回っては遅れている生徒がいないか心配して歩いた。 「はーい、この林を抜けたら公園はすぐだからね、 みんな、頑張ってね」 木々が生い茂る砂利道を通るところで、僕は生徒たちを励ました。 「はーい!」 元気のいい返事が返ってくるのを聞いて嬉しくなる。 木々のあいだはひんやりとしていて風が頬を撫でる。それがとても気持ちよかった。 僕と同じ感想を抱く生徒は多く、足取りが重たくなっていた生徒も少しは元気が出ていた。 「ここ、こないだお父さんと来たなぁ」 「私は遠足いがいないなぁ〜……」 僕の少し前で、えみちゃんとののかちゃん、また数人の生徒が楽しそうにおしゃべりするのが聞こえていた。 最初は不機嫌そうにしていたえみちゃんも、友達と話をするうちに柔らかくなっているようだ。 何が原因だったのかは分からないが、楽しんでくれているのが分かって僕は少しだけ肩の荷が下りた気がする。 「瀬田先生、生徒のみんなは大丈夫ですか?」 生徒たちの様子を確認する中、五十嵐先生が僕のことを心配してか後続に回ってくれていた。 「はい、こっちは大丈夫だと思います。 みんな楽しく歩いてるみたいですよ」 「それは良かった。 ただ、よく見てあげてくださいね」 「どういうことですか?」 「自分を出すのが苦手な生徒もいますから、 注意してみてあげてください」 「あ、はい……」 五十嵐先生が言わんとすることはなんとなく理解できた。 恥ずかしがり屋なんかで声をかけづらく、我慢して具合を悪化させてしまうこともある。 だからこそ、いっそう目を光らせておくように指摘してくれたのだ。 「一時はえみちゃんのことも心配ではあったけど……」 今は元気そうにののかちゃんたちと話をしているし、何かあったとは思えない。 それに、えみちゃんなら僕もいるんだし、具合が悪ければ言ってきそうなものだ。 他に、何か患っていないか一人ひとりに目を向ける中、突然、袖を引っ張られた。 「あ、あの、せんせい……せんせい」 「ん? あ、ことねちゃん。どうしたの?」 見まわしていた目線よりももう少し下、ちょうど足元から声をかけられた。 少し目を伏せて、何かに耐えているといった様子だった。 「あ、あのね……お、お腹、いたい……」 「お腹……?」 恥ずかしそうにしてすぐに俯いてしまったことねちゃん。 僕も彼女に配慮して、目線を合わせ小声で一つ一つ質問する。 「ウンチかな?」 単語にことねちゃんは大きく首を振って見せた。 「お、おしっこ……だけど、 がまんしてたらだんだんお腹いたくなってきたの……」 「それは……ちょっと怖いな」 彼女に何かあっては親御さんに顔向けができない。 一度、病院に連れて行ったほうがいいかもしれないな。 「なら、僕と一緒に一度学校に戻って……」 「そ、それは……イヤ……」 顔をしかめながら、大きくことねちゃんが首を振った。 「今、お家にばぁばしかいないし、 ばぁばにしかられちゃう……」 「それに、わたしもみんなと一緒がいい」 「ことねちゃん……でも……」 「お、おしっこにいったら、 たぶん大丈夫……あう、あ、あああ」 そう言うと、ことねちゃんはとうとうその場にうずくまってしまっていた。 「……分かった。 じゃあ、一緒についていかないといけないから 少し待っててくれるかな?」 「すみません。という事情で、 少しの間、僕の学年を見ていただけませんか?」 全責任者である熊谷教頭に事情を話して、その後の対応を教頭先生にお願いした。 「分かりました。 瀬田先生の生徒たちは私が引き受けます」 「藤堂さんにも、 あまり無理はさせないようにお願いしますね」 生徒の気持ちも汲んでくれた教頭先生は、無理に帰らせるようなことはせず、僕もホッとした。 「はい、ありがとうございます。 ちなみに、この辺りにトイレなんてないですよね」 「さすがにないでしょう。 木陰に隠れてしてもらうしか ないかもしれません……」 「……そうですよね、分かりました。 僕たちは後から追いつくようにします」 「はい、何かあったら電話してください、 この場所でも繋がるはずですから」 そう言って、一時引率を交代して、僕は再び最後尾のことねちゃんの下へ急いだ。 「さて、生徒は教頭先生に任せたけど、 問題は次だな」 ことねちゃんと合流し、僕はトイレを探すが、教頭先生も言っていた通りこんな林の中にトイレなんてない。 「せんせい、どこでしたらいいの……?」 ことねちゃんもお腹を抱えて少し辛そうにしている。 「う、う〜ん……たぶん、 トイレはないから、格好は悪いけど、 茂みの中でしちゃおうか」 「ここでするの……?」 「そうだね。少し、奥に行ったところでしようか。 誰かに見られたら恥ずかしいと思うから」 僕はそう言うと、本道から少し外れた茂みに足を踏み入れ、適当な場所を見つけた。 「ここでどうかな。 しゃがめば隠れちゃうと思うから大丈夫だよ?」 「……うん、でも、せんせいは?」 「僕は少し離れて、 背中を向けて見ないようにするから」 「うん……」 今どきの子が、外でおしっこをするなんてめったにないことだろう。 ましてや最近は洋式トイレを取り入れている学校だって少なくない。しゃがんでおしっこする事も少ないだろう。 いや、こういった田舎だからこそ、そういったことは身についていたりするか? 無事にできるか少しの不安を抱きつつも、ことねちゃんの名誉のために格好は見ないように背を向ける。 しかし、この静けさである。 姿は見なくても、おしっこを出そうとすれば音は必ず響いてしまう。 「(……でもまあ、  おしっこが出たのが僕も確認できるから、  ひとまずはよしとしよう)」 あとは、ことねちゃんの容態が良くなれば合流すればいい。 しばし僕は背中を向けて、ことねちゃんがおしっこをするのを待った。 「………………」 1分は待っただろうか。それでも一向に水音は後ろから聞こえてこない。 「えっと、ことねちゃん、もう終わったのかな?」 後ろを向いたまま、僕はことねちゃんに聞いてみた。 「うぅ……出ません……出そうなのに、 出ないの……どうして……」 今にも泣きそうな声を響かせながら、僕に助けを求めるように訴えてきた。 やはり外でおしっこという慣れない環境に、身体も萎縮しているのだろう。 「早く、出さなきゃ…… おいていかれちゃうのに ……ぜんぜん出ません」 緊張と恥ずかしさ、みんなと離れ離れになることの不安、恐怖に襲われ、余計におしっこが出ずにいた。 「(この様子だと、まだまだ時間がかかりそうだ)」 途中で何事もなく合流できればいいけど、公園で合流したとなると周りの視線を一斉に浴びてしまう。 それはことねちゃんも耐えられないだろう。 「ことねちゃん、 僕も手伝ってあげてもいいかな?」 「え? せんせいがお手伝い?」 「そう。早くおしっこが出るように お手伝いをしてあげるよ」 僕は振り返りことねちゃんのそばまで歩み寄った。 「(想像はしていたけど、実際見ると……)」 大胆なポージングが目の前に飛び込んできて、どう反応していいのか困ってしまう。 この格好でも手伝うこともできるかもしれないが、いつおしっこが出るか分からない。 恥ずかしいのか、ひざも閉じ、小さく縮こまっている。 その格好がお腹を圧迫させてしまい、余計に状態を悪化させてしまっているのかもしれない。 「ことねちゃん、それだとお腹が辛いと思うから、 ひざを開いてお尻を少し上げてみようか?」 「え、えと……こ、こうでいいですか?」 藁をもつかむ思いなのか、ことねちゃんは僕に言われるまま体勢を変えてくれた。 「あうぅ……せ、せんせぃ、 ……あ、あんまり見ないで、ください」 恥ずかしさから声を震わせることねちゃんだが、お腹がよほど痛いのか、強い拒絶はしない。 「それじゃあ、はじめようか。 本当におしっこが出ない……?」 「はい……出ません。 お外でおしっこしたことないから……」 田舎育ちと言っても、外でおしっこをするなんて男ぐらいのものか。 しかし、こうして姿を見てしまった以上、最後まで面倒を見る責任があった。 「あうぅ……せ、せんせぇ…… 早く……ん、あうぅ、お腹いたいですぅ……」 涙を薄く浮かべ、何とかしてほしそうに訴える彼女に、僕はまず―― どうする? 直接刺激を与える 声をかけて応援 「それじゃ、少し触るね?」 「え、え、さ、さわるんですか? こ、ここを……?」 「そうだよ、直接触って刺激してみるんだ」 極度の緊張でこわばっている入口を直接触り、ほぐす。 時間もないため、すこし強引な行為と分かっていつつもこうするしか思いつかなかった。 「少しずつだから……触るよ?」 「う、うん……でもせんせい、やさしくしてね」 「も、もちろんだよ」 ことねちゃんのふとした台詞に僕まで一瞬、変な空気を感じてしまう。 これは生徒を助けるため。――やましいことではない。 そう言い聞かせて、僕はゆっくりと彼女の薄いクレバスに指を添えた。 「ひゃ、ん、ん……せ、せんせい、がぁ…… うぅ、本当にさわってる……」 行為と意識を切り離したつもりだったが、ことねちゃんの一言で、一気に指先に神経が集中してしまう。 「そ、そういう話だったからね。 大丈夫だよ。ちゃんと優しくするから」 あてがった指先に感じる小さな二つの丘は、僕の指先を挟むように、ひくひくと痙攣している。 そんな様子を恥ずかしそうに脚の間から見つめていることねちゃん。 僕はそのまま、優しく撫でるようにさすっていく。 直接的過ぎる行為ではあったが、人助けということもあってえみちゃんの時と比べ、罪悪感はずいぶん薄かった。 「少しずつ刺激していけば 出ると思うんだけど……どうかな?」 「は、う、ん……分からない……です。 ん、はふぅ……ん、ん」 時折お腹が鳴いているのを耳にすると、本当に辛そうだ。 「あ、う、は、ふぅ、はぁ、はぁ…… せんせい、お腹、いたいよぉ……」 「うん、大丈夫……すぐにおしっこが出るよ、 そうしたらすぐに収まるはずだからね?」 ことねちゃんを気遣いつつ、僕は手を移動させお腹をさする。 「あ、はい……ありがとう、せんせい ……それ、少し、気持ちいい……」 お腹をさすられくすぐったそうに少し笑った後、こわばっていた身体も和らいでいくのが分かった。 その様子を嬉しく感じながら、僕はふたたびことねちゃんの股間に意識を向けて、指を前後に動かしていく。 小ぶりなお尻をツンと突き出す格好に、嫌でもいかがわしい感情が芽生えてくる。 「え、えっと……ことねちゃん……どうかな?」 急かすように尋ねてしまうが、そうでもしないと僕が耐えられそうにない。 「う、うん……お腹はいたいけど…… ん、んぅ……出ません……」 何度か気張っておしっこをしようとお尻の穴がヒクヒクとしているところを見ると、ことねちゃん自身も何とか努力している。 ――が、触る股間からは液体らしい液体は出てくる気配はない。 逆にあまりこの体勢を長いことをしていると、余計に身体に悪い気がする。 直接的な刺激に加えつつも、言葉を使い、別の方向からアプローチを試みる。 「やっぱり学校に戻ったほうが 楽かもしれないよ?」 「あう……それはイヤです…… みんなと、行くの……う、ん、ん……戻らないの……」 だけど、よほど帰りたくないらしく、ことねちゃんは一生懸命、お腹に力を入れたりお尻を振って頑張っていた。 「……分かった、僕も頑張って手伝うから 一緒に頑張ろう?」 「せんせい……うん、がんばる…… わたし、がんばります……う……ん、んんん……」 みんなにおいてかれることを気にして、必死になることねちゃんが唸り声とともにおしっこを出そうとする。 そんなことねちゃんの熱意に当てられて、刺激を送り込む指遣いも強さが増していく。 柔らかい肉の割れ目を指の腹全体を使ってなぞり上げる。すると―― 「お……」 少しだけ指先に感じる液体の感触。 しかしそれはおしっこではなく、与えられた刺激に対しての生理現象のそれだった。 「ん、ん……どうしたの……せんせい……?」 「少しだけだけど、出てるよ?」 もちろん愛液と分かってはいたが、おしっことごまかしことねちゃんの調子を上げていく。 ことねちゃんの様子からも感じているのではなく、体が反射的に刺激をやわらげようとしたのだろう。 「ほんとぉ? ……出た感じしないけど…… でも、それなら……」 ことねちゃんは一瞬は不信がったが、声を弾ませて応えようとしてくれた。 僕もエールを送りつつアソコを触るものの、おしっこは全くと言っていいほど出ていなかった。 「僕も応援するから、頑張って、ことねちゃん」 さすがに直接触ることは抵抗があり、声をかけてあげる他に方法は思い浮かばなかった。 どういう風に応援するか、迷った挙句。 「ほら、ことねちゃん、しーしー……」 この歳にもなって『しー』なんて、口にするとは思わなかったが、他に言葉が浮かばない。 ぐっと拳を作って、おしっこが出やすい掛け声をかける。 「はふぅ、せ、せんせい…… ん、あ、ふぅ、ん、ん……」 ふるふるとお尻が震え、割れ目の上の小さな蕾がヒクヒクと痙攣している。 結果的に『しー』という言葉の選択が悪くなかったのではと思い僕はなおも続ける。 「頑張って、ほら、しー、しー……しー……」 「あ、う、う、ん……せんせい…… 恥ずかしい……誰かに気づかれちゃう……」 しかし、本人からすれば掛け声はむしろ逆効果だったようで、ことねちゃんが顔を赤く染めて口にする。 「ご、ごめん…… 思わず僕が力んじゃったね……」 「出ないよぅ……あうぅ…… それより、もっとちがう方法ないですか?」 声をかけるのはことねちゃんから却下されてしまった。 ――他の方法。 改めて目の前のお尻を見る。と、同時に無意識に僕は生唾を飲み込んでいた。 「他に方法って言ったら、 直接触ってみるくらいしか……」 「え、え……こ、ここを、さわったら、 出ますか……?」 「どうかな。僕も言い切れないけど、 もしかしたら出るかもしれないね」 「そうなんですか……だ、だったら、 ……おねがいします」 「えっと、僕が触るの?」 女の子の大事な部分であるそこは、デリカシーを重んじて避けようと思っていた。 しかしまさか、ことねちゃんの方からお願いされるとは思わなかった。 「うん……せんせいが言うなら、 おしっこも出そうな気がします」 「でも、本当に出るかは……」 「だ、だいじょうぶです。 それより、みんなと遅れるのがヤだから、 せんせぃ……!」 先を歩く生徒に追いつきたくて、少し焦りを覗かせ、訴えることねちゃん。 苦しさもあるのかもしれない。 時おりキュルキュルとお腹が鳴るのが聞こえ、僕もはやく何とかしてあげないと、と思うようになっていた。 「分かった。でも焦らないようにしようね?」 そう声をかけて、僕は恐る恐る彼女の秘部に手を伸ばした。 「はぅ……ん……ん、ん」 指が彼女の割れ目に触れる。たったそれだけで、ことねちゃんは大きく身体を震わせる。 そのまま、ゆっくりと指を前後に動かして、まだ触られたことのないであろう小さな入口を刺激する。 「はぅ……ん、ん……あ、あ、 せんせいがさわってる……」 「うん。頑張って、いつでも出していいからね?」 強張る身体をほぐすように、もう片方の手で背中をさすってあげる。 今、指先に感じている柔らかな感触。キレイで閉じきったそれに興奮を覚えつつ、心臓の鼓動は激しく高鳴っていく。 前の二人の時には知ることのなかった部分を、こうして味わっている。 正当性を持ってして触れていることに、心なしか罪悪感は少なく、積極的に触ることができる。 「はふ、ん、あ、ん――出ない、ん、出ませぇん……」 しかし、辛そうに焦っていることねちゃんを見ると忍びなくて、そういう感情にはなりにくい。 早く苦しみから解放させてあげたくて、僕も割れ目を刺激するが、おしっことは別に粘液が広がっていた。 「(まいったな……)」 お腹の痛みが本当におしっこなのか疑いすら覚えてくるが、こればかりはことねちゃんを信じるしかなかった。 「あうぅ……出したいのに、出ないの。 みんなに離されちゃう……」 「焦らなくてもいいよ? 無理しても身体がもっと悪くなっちゃうよ」 屋外という状況と、他の生徒達と一緒に居たいという気持ちから、一層の焦りを感じているようだ。 たしかにこのままだと先を行くみんなは目的地の公園に着いてしまう。 早くおしっこを出してあげるためにも、ここは―― どうする? さらに刺激する 別の場所も触る 「ことねちゃん、もう少し触ってみるね?」 「え、でも……だいじょうぶ、ですか……?」 「うん。ちゃんと加減もするから、 痛くなったら言うんだよ?」 もう少し強い刺激を送り、もっと別の場所に意識を向けるようにと考えた。 少しばかりの快感によって緊張も和らぐはず。 憶測でしかない方法だけど、他に考えられなかった。 「……うん、せんせいなら」 ことねちゃんは恥ずかしそうな表情こそ浮かべていたけど、僕を信じてくれている。 信頼されていることに安堵しつつ、僕は割れ目に添えた指を少しずつ早くしていく。 しかし、一定のリズムでしごく行為は、愛撫とほとんど変わらなかった。 いかがわしい感情を押し殺したくとも、こうして女性器を触っている以上、それは顔を出してくる。 ましてや自分の生徒という立場。 あてがっている指のすぐ奥には、まだ見ぬ大事な部分が隠れている。 見てみたくなる衝動を抑えながら、僕は執拗に指を滑らせる。 「はう……う、ん――ん、あ、あ……指、 せんせいの指が、ん、こすれてる……はふ……」 「はぁ、はぁ……なんだか、あつい……ですぅ んっ、はあぁん……」 「……大丈夫……辛い?」 「だいじょうぶ……です。 ぁ、あぅ……へーき……ん、ん」 時おり悩ましい声をあげて、身体全体をくねらせることねちゃん。 彼女の反応、仕草を見ていると、本来の目的を忘れてしまいそうだ。 「(気持ちよくさせるんじゃなくて、  オシッコを出させなきゃいけないんだ……)」 秘部の様子が気になって、少しかがんで覗きこもうとするのだが―― 「やぁ……せんせい……見ちゃダメぇ」 ことねちゃんがそれを許してくれず、ふるふるとお尻を振って拒絶の意志を見せる。 「ご、ごめんごめん。 キズになってないか気になったんだ」 適当にはぐらかしてすぐに身体を起こした。 お尻越しに見られるのは我慢できても、相手の顔が見えてしまうのはさすがのことねちゃんも恥ずかしいらしい。 あまり差異はなさそうだけど、女の子ならではの恥じらいがあるのかもしれなかった。 僕は小ぶりなお尻からかすかに見える割れ目の具合を覗き見て、執拗に擦っていった。 「あ、う、ん、ふぅ…… く、はふぅ……んっ、んっ……」 「せんせい……あ、ん、そんな、 ンンン……だめぇ、あん、ん、ん…… あんまりしちゃ、ダメ……」 少しずつ異変をみせたことねちゃんが小声で何かを訴えた。 「ごめん、もっとゆっくりした方がいい……?」 「はぁ……少し……でも、ちがいます。 何か、変なカンジがして……こわくて……」 初めて感じる刺激にことねちゃんは不安の声を漏らしているようだ。 「えっと……なら、やめたほうがいい?」 「でも……せんせいにさわられて、 出そうな気がするから……おねがい、します」 少しだけ甘えるような様子のことねちゃん。お尻を突き出しておねだりしてくる様子が、何とも可愛らしい。 ことねちゃんがそう言うのだから尿意はすぐそこまできているのかもしれない。 「分かった。 僕もできることをするね?」 協力する僕もまた彼女の閉じられた花弁をなぞりあげていく。 彼女のために。そう思う僕の股間はズボンの中で激しく暴れていた。 違う刺激を与えた方が、より効果があるかもしれない。 そう思い、目に飛び込んできたのは、先ほどからヒクヒクと訴えかけてくる彼女のお尻だった。 ことねちゃんもずいぶん僕に心を許してくれている。 うまくごまかすことができたら、もう少し触らせてくれるかもしれない。 「少しビックリするかもしれないけど、 ちょっと任せてもらえるかな?」 「え、せんせい……何をするの……?」 やや不安に怯えることねちゃんだったけど、僕は言葉を濁しつつ丸々としたお尻を触る。 「ひゃ、ん……せんせい、 そこはお尻……ちがいます……?」 少しお尻に触れただけで、敏感に反応したことねちゃんは、声だけでだが抵抗の意を見せる。 「うん。ここだけじゃダメみたいだから、 こっちも刺激してみようと思って……」 「そんな……あ、う、 でも、きたないです……」 「平気だよ、ことねちゃんを助けたいからね」 そう言って、僕は積極的に小ぶりなお尻をもう片方の指でなぞっていく。 触り心地も悪くない。むしろ触り甲斐のあるお尻に、秘部の刺激を忘れて没頭してしまっていた。 「あうぅ……恥ずかしいよ、 せんせい……や、あんっ……お尻ばっかり、 だめぇ……」 「おっと、そうだね、こっちもしなきゃね」 ことねちゃんの指摘を受けて改めて僕も忘れかけていた当初の目的に戻る。 真っ白でハリのあるお尻をなでつつ、小さく柔らかな丘を何度となく指で往復する。 アソコからおしっことは違った液体が指に付着するのを感じ、余計に高ぶりは増していった。 「いい感じだよ、少しずつおしっこも出てるよ」 多少のウソを混ぜつつ、いつの間にかことねちゃんの下半身を僕は堪能していた。 さするようにお尻をなで、時折揉むように指先に力を加えると、すぐ下の小さな蕾が悩ましげにうごめく。 「あうぅ……うぅ……いやぁ……せんせい、 そこ、お尻、ひろげちゃやぁ……」 突き出されたお尻の穴がひくひくとしていて、可愛らしく反応する様子がたまらなかった。 触りたくなる衝動は抑えられず、僕の指がお尻の肉穴を捉えた。 「ひゃっ!? イヤ! せんせい、本当にだめなの!!」 「え、あ、ご、ごめん……」 か細く訴えていたことねちゃんが、語気を強めて本気で抵抗を見せた。 初めて見せる様子に僕の手は止まり、一気にイヤな汗が吹き出してきた。 「ごめん……少しやりすぎちゃったかな。 やっぱりここだけにするから」 気を取り直して再開しようとするのだけど、ことねちゃんはそれを許してくれなかった。 「せんせいはもういいです、 あっちに行っててください……」 「え、あ、でも……さっきまで出てなかったんだよ?」 「やっぱり一人がいいです…… 見られたら恥ずかしいから」 よほどお尻を触られたのがイヤだったようで、冷たく僕をあしらう。 彼女を心配する気持ちと同時に、やりすぎてしまった後悔の念を抱いて、心はモヤモヤしっぱなしだった。 「それじゃ、僕は少し離れているからね」 茂みでしゃがんでいることねちゃんに背を向けて、僕は少しばかり距離を取った。 しばらくすると聞こえてくる水のはじく音。 「……良かった」 大事にならなくてよかったと安堵するものの、やりすぎてしまった事実に罪悪感だけが残るのだった。 「はふ……ん、ん……せんせい…… はぁ、はぁ……もう、少しで出そう……」 「本当? がんばって、ことねちゃん」 僕も必死の思いで刺激を続けるが、顔を歪めることねちゃんはお腹の痛みとも闘っていた。 「あと、少しなのに……ん、あうぅ、 お腹、いたくて……出ない……はふ、ん、ん……」 十分に濡れそぼっている彼女の股間は、一見するとおしっこをしているようにも見える。 でもそれは僕が触った刺激によって出た愛液であって、全く別物だ。 ここまできたのなら責任持って、ことねちゃんを楽にさせてあげたい。 僕にできることと言えば、違った刺激をことねちゃんに送り込むこと。 少しビックリさせるかもしれないけど、ここは―― どうする? お尻を刺激してみる クリトリスを探してみる 目の前には小さくもしっかりと主張したお尻があった。 身体が震える動きにあわせて、ことねちゃんのお尻もふるふると可愛らしく動く。 気になって仕方なかった僕は、ことねちゃんのためという名目で、そっとお尻に手を添える。 「あっ……せんせい、 そこはおしり……ちがう……ん」 「うん。 こうして周りも触ったら出るかと思って、 あちこち触ってみてるんだ」 うまく言い繕うものの、重点的に触るところは割れ目とお尻。 「あ、ん、せんせいの手が…… おしり……さわってる……あ、やぁ……ん、んん」 お尻全体を触る指遣いにことねちゃんの身体は激しく反応し、まるで絶頂に達しているかのように震えていた。 「スベスベしてとってもキレイだよ、ことねちゃん」 「そんな……おしりです、 きたないよ……ん、あんまり触っちゃだめぇ……」 恥ずかしそうにすることねちゃんの反応に、イチモツは敏感に反応して、暴発してもおかしくなかった。 そうした欲望を堪えるので必死な中、僕はことねちゃんのアソコの愛撫も忘れない。 お尻、という誰もがわかる部位を刺激するよりも、もっと別の刺激の方がいいだろう。 だったら、クリトリスを触ってみるのがいいんだけど―― 「(……見つけられるかな)」 多少の不安を抱きつつも、僕の指はすでにことねちゃんの陰核を探していた。 「ん、んぅ……せ、せんせぇ……?」 今までと少し違う指の動きに気づき、悩ましげな声で訴えかけることねちゃん。 しばらくして、包皮に包まった小豆を指先に感じる。 「……は……あ……せんせい、何をして…… ひゃっ! ん、そこ、なに……?」 ことねちゃんも、襲い掛かる刺激にビックリしながら、断続的に声をあげていた。 「ここ、クリクリすると おしっこが出やすくなるから」 「は、あ……ンンン……そうなの? でも……なんか、ヘン……むずむずします……」 先ほどまでと違い反応も激しく、愛液の溢れる量も多くなって割れ目を濡らしていく。 「せんせい……あ、はぁ……ヘンなの、 ……あつい、ん……や、あ、 そんなに、ぐりぐりするの……?」 初めて知るであろう快感にことねちゃんは困惑しつつも、身体は正直に反応して震えていた。 「うん……もう少しだと思うから……違う?」 快感からひりだすように尿意を催させる。 とっさの思いつきだったとはいえ、身体の力も抜けてきたのか、しゃがんだ膝がガクガクと震えだした。 「あ、は、う、ん、うん……もう……少しで出る―― はぁ、あ、や……待って、せんせい……」 「いいよ、いつでも出していいからね」 指全体で割れ目を滑らせながら、指先でクリトリスを擦る。 今では包皮の中で固くなっていて、つまめるぐらいにまで主張していた。 割れ目は愛液が分泌されていたが、それと同時に、少量のおしっこが出ては止まり出ては止まりを繰り返してる。 「く、あ……もう、いいです、せ、せんせい…… 出る、お、お、おしっこ、出る…… だから、もう……離れて」 「僕のことは気にしなくていいから」 ことねちゃんの腰、お尻が震えて絶頂めいた反応を覗かせる。 昂ぶる感情をことねちゃんにぶつけるかのように、指遣いは一気に激しさを増した。 「あ、ん……もう、だめ、出る…… お、お、おしっこ……でる、出ます ……ん、ん、ん……」 「あ、あ、ふぁぁ、ああぁぁぁぁぁ……」 気持ち良さそうな声を発しながら、ことねちゃんの股間から勢いよくおしっこがあふれ出てきた。 押し当てた指先に感じる熱い液体。僕自身も感覚が麻痺してしまっているのだろう。 避けることも忘れ、手の平全体に熱いおしっこを受け止める。 「あうぅう……いっぱい、出てる…… よごして、ごめんなさい……」 「ううん、大丈夫だよ。 たくさん我慢したんだね?」 達成感を覚えた僕は余韻に浸る中、股間からとめどなく溢れるおしっこを眺めていた。 「あ、や……せ、せんせい……あまり見ないでください、 あ、あとは自分でできるから」 おしっこが出たことに安心したのか、あれだけ触られていたことも忘れて、今は放尿する姿に強い羞恥心を抱いているようだ。 「そ、そうだね、ごめん。 それじゃ、僕は向こうに行ってるからね」 手に残るおしっこの温度と、嫌みのない若草のようなにおい。 無意識のうちにその手を顔に近づける。 一瞬おかしな行動が頭に浮かんできて、僕はすぐにかぶりを振って現実へと戻ってくる。 「……と、とりあえず良かったかな……?」 冷静さを取り戻すように自分に言い聞かせ、濡れた右手を拭きながら、僕はことねちゃんを待った。 彼女のためとはいえ、少しやりすぎてしまったのではないか。 しばし考えると言い知れない罪悪感がこみ上げてくるのだった。 「あ、はい……分かりました。 僕たちもすぐに合流しますから」 先を行く教頭と携帯でやり取りをしてすぐに、ことねちゃんが茂みから顔を出して近づいてきた。 「………………」 「ことねちゃん、具合の方はどう? よくなった?」 「は、はい、もう平気だと思います」 口数少なくことねちゃんが無事を告げる。そんな彼女の頬は赤い。 さっきまで僕に股間をおおっぴらに見せていたんだ。恥ずかしいのも当然だ。 それでも、具合がよくなったことを知ると、任されている身としてはホッと安堵の息がついた。 「え、えっと……それじゃ、早く行こうか。 みんなもまだ向かってる途中だって」 「は、はい……」 それから、ことねちゃんの身体を気遣いながらゆっくりと歩いていると、彼女が話しかけてきた。 「あ、あのね、せんせい?」 「わ、わたしのために、 ありがとう、ございました……」 「え、あ……うん。こちらこそ……」 なんて間の抜けた返答だろう。 僕も先ほどの破廉恥な行為の後ということもあって、まだ冷静さを完全に取り戻せていない。 「今日のことは2人だけの秘密だよ」 「せんせいとわたしのひみつ……?」 「うん。みんなに知られると恥ずかしいから」 僕の場合、こんなことが大人たちの耳に入ったら社会から抹消されてしまう。 だから断固、秘密にしてほしい。 「ひみつ……はい。 2人だけのひみつ……ふふ」 何度も口にすることねちゃんは、それからはとても上機嫌に笑っていた。 「あ、ことちゃん!」 先頭にずいぶん遅れを取ったかと思ったら、先生が気を利かせて休憩を取っていた。 その気遣いもあり、僕たちも怪しまれずに合流することができた。 「せんせーもいなくなってたし、 どこに行ってたの?」 「え、えっと、それはないしょ。ね、せんせ?」 「うん、そうだね。あとは大丈夫?」 「うん!」 元気いっぱい頷くことねちゃんに、体調はよくなったことを確認する。 それを教頭先生に報告しようとした途中で―― 「………………」 ことねちゃんのことで目を離していたけど、ここに来てもえみちゃんは相変わらずといった様子。 友達と会話をしても、上の空というか、少し煩わしそうにしている。 「(何かあったのかな?)」 気になりつつも、今はやるべきことが多く、えみちゃんなら大丈夫だろうと、僕は教頭先生の下へ急いだ。 そして、多少のアクシデントこそあったものの、無事に目的地の公園に到着。 「(公園というより広場だな)」 ここに来てからは自由時間。 自然と触れ合うことが目的で、生徒も大いに遊ぶのだった。 「せんせー、あそぼー♪」 「よーし、そうだな、遊ぶかー」 「わ、わたしも、あそぶ!」 ののかちゃんが誘う中、ことねちゃんも加わってきた。 しばらくしてクラス関係なく生徒たちが混ざってきて、学校ではしゃぐ時とは違った楽しさがそこにはあった。 ただ、やはりえみちゃんだけが未だ、乗り気ではなかったのが気がかりだった。 翌日―― 「はい、それでは出席をとります。 みんな、席についてね」 「あっ、もうせんせー来ちゃった」 生徒たちは僕の姿に気づくと、一斉に着席していく。 「えみちゃん、大丈夫?」 「…うん。平気だから」 「…………」 いつも僕の姿を見つけると、真っ先に駆けつけるののかちゃんは、えみちゃんのことを心配そうに見ている。 そういえば、昨日から少し元気がないような……。 「…ことねちゃん」 「はい、元気です」 ことねちゃんは立ち上がり返事をするが、視線はえみちゃんの方を向いている。 「えみちゃん」 「…………」 名前を呼んでみるが反応がない。机にうつぶせになったままだ。 「…ん? えみちゃん? どうしたのかな?」 いつもはすぐに元気よく返事を返してくれるし、さっきのことねちゃんの態度も気になる。 えみちゃんの近くまで行って、様子をうかがう。 「…!? あっ、あたし? ご、ごめんなさい……」 「…………」 顔が赤くなっていて、どことなく辛そうな顔をしている。 「せんせー、どうしたの?」 「せんせ、えみちゃんはその…あの…えーっと…… とにかく怒らないであげて」 ひょっとしたら僕がえみちゃんを叱ると思ったのか慌ててフォローに入るののかちゃん。 「ひゃっ…あうっ……!」 「……少し熱いな。 えみちゃん、ひょっとして熱あるんじゃない?」 「…だ、だいじょうぶだから……。 熱なんてない…よ?」 僕とえみちゃんのやり取りに、他の生徒たちもただ事ではないと思ったのか、シーンとなる。 「ダメだよ、えみちゃん。 ほら、先生が保健室に連れて行ってあげるから」 「あうぅ…でも…それだとせんせーが……」 力なく首を横に振る。我慢しているのは明らかだ。 「ほら、ここでは先生の言うことを聞いてね」 「そーだよ、えみちゃん。せんせの言うこと 聞かないとダメだよぉ」 「…う、うん……。そうだね……」 ののかちゃんが後押ししてくれたおかげもあり、えみちゃんがフラフラと立ち上がる。 「おっと……」 「あっ……」 よろめいてしまったえみちゃんを咄嗟に支える。 「みんな、先生が戻ってくるまで ドリルをやっていてね」 そう言うと、みんなが返事をしてくれる。 「じゃあ、えみちゃん。保健室行こう」 このまま1人で歩くのは辛そうなので手を握ってあげる。 手汗がすごいし、ひょっとしたらかなり熱が出てきてしまっているかも知れない。 「…ぅ、うん……」 保健室に着くとすぐにえみちゃんをベッドに寝かせる。 ここに来る途中で、巡回中の教頭先生に出会いクラスのことをお願いしてきた。 「…体温計は……あった、あった……」 担当の先生を呼ぶのも悪いと思い。応急処置くらいであれば僕でもできる。 「じゃあ、えみちゃん熱測ってね」 「うん……」 僕から体温計を受け取ると、そのまま腋に挟む。 「さてと……」 とりあえず冷やさないと――頭の中を整理して、これからの手順を確認する。 冷凍庫を開けて氷を取り出し、氷枕を用意する。 「えみちゃん、ちょっとごめんね」 「ん……」 頭を上げさせて、下に氷枕を置いてあげる。 「…冷たくて気持ちいい」 熱で火照った体に氷枕の冷たさが心地よいみたいで苦しそうな顔が幾分穏やかになる。 体温計の音が鳴ったので、えみちゃんの腋から外して体温を確認する。 「…38℃か……」 どおりでグッタリしているわけだ。 朝の時点でこれだから、昼にはもっと熱が上がってくるかも知れない。 敦子さんに頼んで迎えに来て貰った方がいいな。 「…おにぃ…ちゃん……」 敦子さんに連絡をしようと席を立つと、甘えた声で僕を呼び止める。 熱でしんどいからか、学校だというのに“お兄ちゃん”と呼んでしまっている。 「…あっ……ごめんなさい……」 えみちゃんもそのことに気づいたのか、しおらしくなってしまう。 「…………」 そういえば、こんなに弱ったえみちゃんを見るのは初めてだ。 熱が出て体が弱って、弱気になっているのかも知れない。 「瀬田先生、教頭先生から事情は聞きました。 えみちゃんの様子は?」 どうしようかと思っていたところに校長先生がやって来る。 「はい。どうやら、熱があるようでして……。 このまま家に帰そうかと」 「………………」 僕がそう言うとえみちゃんが不安そうな顔をする。 「ふむ…。確か瀬田先生は橋本さんのところで お世話になっておりましたな」 「でしたら、タクシーを呼んでそのまま お家まで送り届けてあげた方がいい」 そんなえみちゃんの顔を見ると、校長先生は優しく微笑みながら提案してくれる。 「…えっ、でも……それだと、せんせーに……」 「大丈夫ですよ、えみちゃん。 心配しないで、ゆっくりお休み」 「う、うん……」 「そういうわけで、瀬田先生、今日はこのまま 直帰しても構いませんから、側にいてあげて 下さい」 「…でも、よろしいのですか?」 いくら僕が橋本家でお世話になっている身とはいえ、1人の生徒にかかりっきりというのはマズイのでは? そういう意味を込めて聞いてみる。 「はい。瀬田先生、そう難しく考える必要は ないのですよ?」 「体調を崩したら、誰かに側に居て欲しい。 それは大人も子供も皆、同じです」 優しい落ち着いたトーンで語りかけてくれる。 「では、ご家庭への連絡とタクシーの手配は 私がしておきますから」 「ありがとうございます」 それから迎えのタクシーがやって来るまで、えみちゃんの側にいた。 熱が上がってきたのか、さっきよりもグッタリしているえみちゃんをタクシーに乗せて一緒に帰宅する。 「…ごめんなさいね、誠人さん。 えみ、どう? 具合は?」 家に帰るとすぐに敦子さんが駆け寄ってくる。 「…うん……。ちょっとフラフラする……」 「……結構、高いわね。お医者様に連れていく ほどではないけれど」 敦子さんが自分の額をえみちゃんの額に合わせながら言う。 「とりあえず、部屋に連れて行きますね」 「えぇ、誠人さんお願いね」 グッタリしてしまっているえみちゃんをおんぶして部屋に運び、ベッドに下ろしてあげる。 「…お兄ちゃん、ありがとう」 「これぐらい大丈夫だよ。それよりもまずは……」 汗もかいているし、着替えさせた方がいい。 敦子さんが準備してくれたのか、枕元に丁寧に折りたたまれたパジャマがあった。 「パジャマに着替えた方がいいね。 じゃあ、万歳して――」 「うぅうぅ……それぐらい、自分でできるから……」 「あっ……!」 さすがに裸を見られるのは恥ずかしいみたい。 女の子だし、配慮が足りなかった。 「じゃあ、僕は薬を取ってくるから」 「…うん……」 えみちゃんが着替えをしている間、敦子さんから薬を受け取るために居間へ―― 「…どうしよう、困ったわ」 「敦子さん、どうしたのですか?」 「えぇ、実はえみが風邪を引いたときの薬を 切らしてしまっているみたいで……」 近くには薬局もドラッグストアもない。 一番近くでも車で行かないといけない距離にある。 「だったら、えみちゃんは僕がみてますよ」 「えっ、でも誠人さん、学校は?」 「学校のことは心配ありません。 今日はこの後、お休みを頂いていますし」 「そう? だったらえみのことお願いしても いいかしら? お薬買ってくるから」 「はい、もちろんです」 簡単に支度を済ませ、家を飛び出していく。 「…さてと」 敦子さんが出発した後、風呂場から洗面器を取ってきて、タオルを水で濡らす。 看病の準備をしてからえみちゃんの部屋へと向かう。 「…はぁ……はぁ……はぁ……」 パジャマに着替えたえみちゃんは苦しそうに息を吐きながらベッドに横たわっている。 家に帰ってきて安心して気が抜けたからか一気に熱が上がってしまったのかも知れない。 「……っと」 タオルを固く絞って、水気を十分に切ってからおでこの上に乗せてあげる。 「…う〜ん……おにい…ちゃん……?」 「うん。そうだよ。えみちゃん、具合は?」 「…ぉにぃちゃん……いいの?」 「うん。今日はずっとえみちゃんの側にいるよ」 「そっかぁ……ごめんね……」 申し訳ないけれど、どこか嬉しそうなえみちゃん。 「えみちゃん、何かして欲しいことある?」 「えっ……そんな……これ以上は……」 「遠慮はいらないよ。何でも言ってごらん。 何でもするから」 「…じゃ、じゃあ……その……寝るまででいいから… おてて…ぎゅってしてほしい……」 熱でしおらしくなっていることもあり、いつもと全然違う雰囲気に一瞬ドキンとしてしまう。 「うん。お安い御用だよ」 「え、えへへ……。お兄ちゃんのおてて、 おっきいね」 穏やかに笑い、ゆっくりと目を閉じる。 間もなく聞こえてくるえみちゃんの寝息。 安心して眠ってしまったみたいだ。 …………………………。 「すー、すー、すぅ……んっ……」 「うん。よく眠っている」 えみちゃんが眠りについたのを確認した後、お昼ご飯を作った。 薬を飲むのであれば空腹のままというのは良くない。 なので、えみちゃんのためにおかゆを作った。 「んっ……んぅ……あれ? お兄ちゃん?」 「えみちゃん、どう?」 「…だいぶよくなったよ」 そう言うえみちゃんのおでこに手を触れる。 さっきより熱は下がっているが、まだ熱いな。 「何か食べれるかな?」 「…ううん。だいじょうぶ」 と言った側から、お腹の鳴る音が聞こえる。 「あぅ…こ、これはその……」 「どうやら、お腹空いているみたいだね。 おかゆ作ったんだけど、どうかな?」 「えっ、お兄ちゃんが……!?」 「そうだよ。こう見えてもちょっとしたものだったら 作れるんだ」 「…そっかぁ……お兄ちゃんが作ってくれたんだ。 だったら食べる」 そう言って起き上がろうとするえみちゃん。 「あっ、そのままでいいよ。 食べさせてあげるから」 「…! えっ、そ、それはでも……」 「いいから、いいから。 病人はいくら甘えてもいいんだから」 「…え、えへへ……じゃあ……」 えみちゃんは恥じらいながら、口を小さく開ける。 レンゲでおかゆをすくい、ふーふーしてからゆっくりと口元へと運んでいく。 「…んっ……んくっ……」 「どうかな?」 「んっ……おいしい……。 ねぇ、お兄ちゃん……」 小さく喉を鳴らした後に、再び口を開ける。 「はい、あーん」 「あーん……」 何だかひな鳥に餌をあげている親鳥の気分だ。 「…もぐもぐ……」 多分、熱で味がほとんどしないだろうに。それでも嫌な顔一つしないで食べてくれる。 そんなえみちゃんを見ていると、すごく嬉しい気持ちになってしまう。 もし将来、僕に娘が出来たらこんな気分なのだろうか。 「………………」 「…おにぃちゃぁん……あーん……」 「あっ、ごめんごめん」 うっかりボーッとしてしまっていたみたいだ。 ……………………。 「んはぁ……ごちそうさまぁ……」 えみちゃんは作ったおかゆを全部食べてくれた。 あとは薬を飲んで、たっぷり睡眠を取ったら大丈夫だろう。 「…ごめんね、お兄ちゃん……。 あたしが風邪、ひいちゃったから……」 「ん? 風邪なんて誰でもひいちゃうし、 えみちゃんが悪いわけじゃないよ?」 「…それはそうだけど……でも…… 風邪ひいたのって…その……」 なんだかすごく申し訳なさそうな顔をしている。 「…えみちゃん、いつから調子悪かったの?」 「…お、おこたでお昼寝して起きてから……」 …ひょっとしたら、あの日かな? こたつで無防備に眠っているえみちゃんに―― 「…………」 なんだかすごく申し訳ない気がしてくる。 「…お兄ちゃん、何度も布団かけ直してくれた のに……」 「…気にしなくていいからね。 まずは、体を治さないと」 罪悪感を感じつつ、えみちゃんの頭を撫でてあげる。 「うん。えへへ……」 「ふあぁぁ、なんだかお腹いっぱいになったら 眠くなっちゃった」 僕に対してずっと申し訳ないと思っていて、それが何とかなったから気が緩んだのだろう。 「うん。ゆっくりお休み」 「ごめんなさい、誠人さん。渋滞に巻き込まれて しまって」 えみちゃんが眠ってからすぐに薬が入った袋をもった敦子さんが慌てながら部屋に入ってくる。 「ちょうど今、昼ご飯を食べ終わって 眠ったばかりです」 「あら、誠人さんが? お昼まで用意して頂いて ごめんなさいね」 「いえいえ、これぐらいどうってことないです」 「すーすーすー……」 「ふふ、よく眠っているみたいね。 薬は後にして少し様子を見ようかしら」 「そうですね。起こすのも何ですし……」 まるで天使のような寝顔のえみちゃんを起こすのは、はばかられる。 「じゃあ、あとは私がしますから 誠人さんは休んでいて」 「いえいえ、特にすることもありませんし 敦子さんこそ、休んでいてください」 「それにほら、もうすぐゆうきくん帰ってくると 思いますし」 いつもお世話になっているのだから、せめてこれぐらいはさせて欲しいと敦子さんを説得する。 「そう? だったら誠人さんに甘えちゃおうかしら」 「はい、任せてください。 えみちゃんが起きたら薬を飲ませたらいいの ですか?」 「そうね。熱がまだあるようだったら、 これを渡して」 「これって、座薬、ですか?」 「えぇ、あの子が熱を出すといつも使っている 座薬よ。すごく嫌がるのだけど……」 「ははは、気持ちはよくわかります」 僕も座薬はどちらかというと苦手だ。 あの尻の穴に入れる感覚が何となく落ち着かない。 「えみちゃん、具合はよくなった?」 夕方、目を覚ましたえみちゃんに聞いてみる。 「…うん……でも、まだ少し……」 「…ン………」 えみちゃんのおでこに手を当ててみる。 昼間よりか幾分、マシになったように思えるがそれでもまだ高い。 心配させまいとしているのか、笑顔を作ってはいるものの、いつもの元気さは感じなかった。 「…お薬、ちゃんと使った方がいいね」 敦子さんからは夕方になっても熱が下がらないようであれば、座薬を使うように言われている。 「うぅぅ……お尻に入れるやつだよね……?」 「うん。えみちゃん、これを使えばすぐに 良くなるから」 「それはわかっているんだけど……でも……」 座薬を入れれば治るってわかってはいるものの、やはり抵抗があるみたいだ。 「…あのね、そのお薬……1人じゃ…… 出来ないから……いつも、おかあさんにやって もらってる」 ――どうしよう。 敦子さんはゆうきくんと買い物に出かけているし僕がやってあげるとなると、女の子だし恥ずかしいに決まっている。 「…おにいちゃん……やってくれる……?」 「えっ!?」 えみちゃんの一言に一瞬、頭が真っ白になる。 「…ダメかな? お尻、ばっちいから……?」 「いや、そうじゃなくて…。 僕は別にいいんだけど………」 「…ぅん……おにいちゃんに…してほしい……」 いつもだったら、すごく恥ずかしがるんだけど、それさえも出来ないぐらい弱ってしまっているらしい。 「うん。じゃあ、今日は僕がやってあげる」 そう言うと、えみちゃんはノロノロと起き上がり僕にお尻をむけて、パジャマの下を下着と一緒に下ろした。 座薬を袋から取り出す。 まるで超小型ミサイルみたいな形をしている。そういえば、座薬なんて見るのはすごく久しぶりだ。 …これを見るだけで、お尻が妙な感じになるな。 「えみちゃん、座薬、挿れるよ?」 「…………」 えみちゃんは何も言わず、小さく首を縦に振る。 座薬が怖いのか、お尻を突き出したまま布団をぎゅっと掴んでいる。 早く終わらせて楽にしてあげないと……。 「……んっ……くぅっ……!」 お尻の穴に座薬をあてがっただけで、えみちゃんは苦しそうな声を上げる。 「力、抜いてね? すぐ終わるから……」 「う、うん……んんっ……くぅっ……!」 しまった! 意識させてしまったか? お尻に力が入ってしまっていて、座薬がなかなか入らない。 「…ふぅー……」 だからといって焦りは禁物だ。 息を深く吐いて、気持ちを落ち着かせてからゆっくりと座薬を抑えている親指に力を込めていく。 「あっ……くっ……はぁ、あっ……ッ……!」 「えみちゃん、もっと力抜いて…ね」 うっかり声を張り上げそうになるのを堪える。 「…わ、わかってるけど……ンンン……くっ…ン……」 座薬の先だけは何とか入るものの、すぐに押し出されてしまう。 「ひぐっ……あうぅ……はぁ、はぁ……ンっ……」 何度やってみても、先っぽが少し入っただけですごい力で押し出されてしまう。 力任せに無理矢理すればいけそうな気もするけど、それはさすがに可哀想だ。 何とか、こう、スッポリといければ一番いいのだが。 「はぁ、はぁ……おにいちゃん……ごめんね……」 えみちゃんは上手く座薬が入らないことを申し訳なく思っているみたい。 このまま長引かせてしまうのは良くない。何か良い方法はないものか? どうする? お尻を触って刺激する アソコを触って刺激する 「……このままだと、苦しいだけだな」 お尻の穴がこんなに締まっている状態だったら上手く入らない。 だったら、まずは緊張を和らげてあげよう。 「…ひゃうっ……んっ……お、おにいちゃん……!?」 突然、お尻を揉んだからかえみちゃんが驚きの声を上げる。 「これはね、座薬が入りやすいように マッサージをしているんだよ」 「…そ、そうなんだ……んっ…んっ…あっ……」 右手で座薬を押さえながら、左手で汗でしっとりしているお尻を揉んであげる。 力を込めすぎないように、優しく肩を揉む要領でお尻の肉をほぐしていく。 「えみちゃん、痛くない?」 「…う、うん……痛くない…けど…… なんか……んはぁっ……変な感じ…する……」 「そ、それに…ひゃっ……ちょっと…んはぁ…… くすぐったい……」 えみちゃんはくすぐったそうに体を小さく震わせている。 それでも、時折、悩ましげな声を漏らしている。 「はぁ…んっ、んはぁ……ぁっ……はぁ、はぁ…… ふぁ…ぁ……は、ぁっ……ぁ……」 熱を出してグッタリしていることもあってか、その声は、辛そうな吐息と混じりどこか艶やかな感じさえする。 「………………」 これはいやらしいことをしているのではない。 座薬を挿れて、楽にしてあげるためにしている事だ。 心の中で自分に言い聞かせながら、小ぶりなお尻を揉みほぐし続けていく。 「…はうぅ……おにいちゃん……んっ……ぅん……」 くすぐったいのが幾分、落ち着いてきたみたいで、お尻の穴が小さくひくついている。 「…もう少し……」 この調子でお尻をほぐしていけば、スルリと座薬が入るかも知れない。 「はぁ、はぁ……おかしいよぉ……」 「おにいちゃんにお尻…もみもみされているのに…… すごく恥ずかしい…のに……」 トロンとした瞳で切なげに訴えてくる。 感じているみたいだが、その感覚がよくわかっていないようで、何だか騙しているみたいな気がするが。 「気にしないでいいからね。 体の力、だいぶ抜けてきたでしょ?」 「…う、うん……。おにいちゃんのおてて…… 不思議な感じがする……」 「……さて、どうするか」 このまま、無理に座薬を押し込んだら苦しい思いをさせてしまうのは分かっている。 何か気を紛らわせて、その隙に―― とはいえ、どう気を紛らわせたらいいものか。 「……やってみるか」 お尻が苦しいのであれば、別のところを刺激してあげて……気持ちよくなるところを……。 「…………」 ぴったりと閉じた綺麗なワレメが目に飛び込んでくる。 でも、いくら何でも弱っている女の子に……。 「…おにいちゃん? どうしたの?」 僕が考えて固まってしまっているから、えみちゃんに不安を与えてしまったみたいだ。 「…座薬が入る方法、思いついたんだけど…… いいかな?」 「…うん。おにいちゃんがしてくれるなら…… 何でもいい」 僕を信頼しきってくれているえみちゃん。 これはその信頼に応えるためにすること――いやらしい気持ちなんて全く無い。 そう言い聞かせて、座薬を一旦置いてから右手を秘部へと近づけていく。 「…ひうっ……お、おにいちゃ……ぅん…ッ……!」 指の腹がワレメに触れた途端、えみちゃんが体を大きく震わせる。 「…おにいちゃん……そこ……お尻じゃないよぉ……」 「うん。でもね、ここを刺激してあげるとね 座薬が入りやすくなるんだよ」 「…そ、そうなの……だったら……んんっ…… あっ…いっぱい…触って……んっ……ふあぁ……」 秘部を刺激することで、快感が生まれ全身がリラックスして肛門の括約筋が緩くなる。 医者のようなことを考えながら、指の腹で縦筋をなぞっていく。 「ふあぁ……お、おにいちゃん……そこ、んんっ…… 変な感じ」 「……くすぐったいのとムズムズしたの… 一緒にくる……」 力なく体をよじらせたりしながらも、次第に大人しくなっていく。 「…あとちょっとだからね」 指先のヌルっとした感触は汗ではないだろう。 ワレメからしみ出してくる蜜をすり込むように指を動かしていく。 「…んはぁ……あっ……んくっ……おにいちゃ…… はぁ……はぁ……ン、はぁ……」 「おまた…変な感じ……うずうずして…… おしっこ…でちゃいそう……」 ふりふりと小ぶりなお尻を揺らしながら切なそうに言ってくる。 「大丈夫だから……。 お尻の穴だって、だいぶほぐれてきているし」 秘部を撫でているだけで、お尻の穴がピクピクとひくつき始めている。 「…ぅぅ……お尻の穴、そんなに見たらやだよぉ…… はずかしい……」 「………………」 先ほどの刺激のせいもあってか、えみちゃんは少々ぐったりしてしまっている。 これなら、何とか大丈夫そうか? 「じゃあ、えみちゃん座薬挿れるよ?」 「んっ…ひっ……ゃ、あっ……くぅぅ……っ……」 するりと入るものだと思っていたが、座薬を押し込んだ瞬間、菊門が固くしまり座薬を拒絶する。 「…えみちゃん、もう少しだけ力…抜いて……」 「はぁ……わ、わかってるけど…お尻に当たると…… 力…はいっちゃう……」 シーツに皺が寄るぐらい力いっぱい握っている。 「…えみちゃん……ごめん……」 「んんっ……うくっ……あっ、あっ……ぐっ…… んぅぅ……っ……!」 親指に力を込めると、苦しそうな声を上げてしまう。 やはり力任せは良くないか。 「…もう少し、ほぐしてあげた方がいいか」 このまま無理矢理押し込むよりかはその方がずっといい。 どうする? アソコを愛撫する お尻を愛撫 さっきはお尻をほぐしたけど、それだけでは効果が薄かったみたいだ。 「…だったら、こっちも…かな?」 「…こっちって……?」 お尻を突き出しているから、ピタリと閉じた秘部が露わになっている。 こっちも何かしらの刺激を与えてあげれば、全身の緊張がほぐれるかも知れない。 「ひゃっ……あぅ……んんっ……」 「お、おにぃちゃん……そ、そこ……ちが…… あっ……ンッ……ぅ……んぅぅ……」 指の腹でワレメをなぞっただけで、えみちゃんはビクリと体を震わせている。 「…さっきのは、ちょっと足りなかったみたいだね?」 「……ってことは、また…その……ソコ、 触るの?」 「うん。いやかな?」 「…おにいちゃんなら…いやじゃないけど…… でも…ちょっと…はずかしいよぉ……」 そう言いながら目を背けてしまうえみちゃん。 でも、小さなお尻はゆらゆらと揺れているし、愛撫を待っているような感じさえする。 「…でも、座薬、ちゃんと挿れるためだもんね…… だったら……」 えみちゃんはゆっくりとお尻を僕に向かって突き出す。 「……じゃあ、ゆっくり触るからね」 「…んんんっ……あっ……はぁ……ぅ、くぅ……」 再び秘部に触れると、さっきよりも潤っていて、くちゅりと小さな音を立てる。 痛くしないように、優しく丁寧に筋を指の腹でなぞっていく。 「ふあぁ……あっ……ぅくっ……おにぃちゃん…… あたし……変な声……勝手に出ちゃうよぉ……」 「ん? 変じゃないよ? とっても可愛い声、だよ?」 恥ずかしさが入り交じった甘い吐息は聞いているだけで、興奮を覚えてしまう。 僕はそうじゃない――なんて、興奮を否定しないといけないぐらい魅惑的な声だ。 「か、かわいいって……んっ……あっ…あっ…… はぁ、はぁ……ふあぁ……んっ……」 熱で赤みを帯びていた顔が、さらに真っ赤になる。 「うん。とっても可愛いよ。 だから、遠慮しないでいいからね」 「で、でも……やっぱり……恥ずかしい…… はぁ、はぁ……ぁっ……んっ……ぅん……」 シーツを握る力が強くなる。 えみちゃんは何かをじっと我慢しているみたいだ。 「…んっ……んっ……お、おにいちゃん…… ダメ……だよぉ……あっ、あっ…はぁ…ぁ……」 刺激から逃れるようにお尻を指から遠ざける。 だけど、やはり気持ちいいのか、すぐに元の位置に戻してくる。 「…えみちゃん、恥ずかしがらなくていいからね。 これは、そう…熱が出ているからだよ」 「…はぁ…はぁ……そ、そっかぁ……」 「おにいちゃんに…んっ…おまた、触ってもらうと なんかフワフワするのって、熱のせいなんだ……」 と、僕の言った言葉を素直に信じてくれる。 触れば触るほど、お尻の穴がピクピクと小さくひくついてきている。 「…おまたがすっごくヌルヌルしてる…… おにいちゃん……あたし、ひょっとして……」 ワレメからはヌルりとした透明な蜜が溢れ出してきている。 えみちゃんはこれが何なのかわからず、お漏らしをしてしまったと勘違いしたのかも知れない。 「ん? 女の子は誰でもそうなるんだよ。 お漏らしとかじゃないから、安心してね」 「…そっかぁ……お漏らししたわけじゃないんだ… よかったぁ……」 「うん。それに、だいぶほぐれてきたから あとちょっとだけ続けるね」 指先に愛液を十分に絡ませてから、愛撫を再開する。 「…んっ……ぬるぬるしたので…こすられると…… あっ、あっ……なんか変な感じする……」 愛液の滑りが新しい快感を与えているのか、えみちゃんのお尻がふらふらと揺れ始める。 その動きに合わせるように、縦筋をなぞっていく。 「はぁ、はぁ…んはぁ……ぉにぃちゃぁん…… なんか……へん…だよぉ……」 「お腹…奥がむずむずしてきて……んっ…ぁぁ…… 熱が…どんどん上がってきちゃって……」 呼吸がだんだん荒くなっていく。 苦しそうというよりも、むしろ必死に耐えているという感じがする。 どうやら、感じ始めてきたみたいだ。 「…えみちゃん、大丈夫だから……。 このまま、僕に任せて」 「…ぅん……んんっ……あっ、あっ……ふぁ…… あっ……あくっ……」 漏らす吐息に熱がこもっていく。 「…んっ……」 指を動かし、膣穴に指の腹を押し当てる。 「……ンンッ……おにぃちゃ……そこ……」 「…っ……あっ……はぁ……んっ……ッ……!」 くぐもった声を出すと同時に、えみちゃんの体がビクンと跳ねる。 「(…ひょっとして、イッちゃったかな?)」 お尻を突き上げたままグッタリと疲れきった様子だ。 「…えみちゃん、大丈夫?」 「……はぁ……はぁ……あのね…なんか、 頭がぼーっとして…ふわふわしてる……」 「…力が抜けて……からだが…うごかないよ……」 焦点の定まらない瞳で、呼吸を荒げながら体を震わせている。 軽く絶頂して、疲れてしまっている今だったら座薬が入るかも知れない。 この隙にさっさと挿れてしまおう。 「じゃあ、えみちゃん…ちょっとだけ我慢してね?」 「…あっ……んっ……んぅぅぅ……くぅっ……!」 思ったとおり、余計な力が完全に抜けていて座薬がチュプっと中に入っていく。 「えみちゃん、ちゃんと入ったよ」 座薬を押し込んだまま、尻穴に指をあてて出てきてしまわないようにしながら言ってあげる。 「…う、うん……そうみたい……。 おにいちゃん…ありがと……」 グッタリしたままの状態でお礼を言ってくれる。 いくら座薬を挿れるためだとはいえ、少々やりすぎてしまったかも知れない。 えみちゃんは異物感を感じることが出来ないぐらい疲れてしまっているみたいだし……。 「(でも、これ以上ほぐすってどうしたらいい?)」 指でお尻の穴を刺激してあげるか? いや、それだと座薬を挿れるのとあまり変わらない。 もっと優しくほぐしてあげるには―― 「…………」 お尻の穴をもっとほぐす方法は思いついたには思いついたのだけど……。 「…ぉにいちゃん……?」 弱々しい声で僕を呼ぶえみちゃん。 ――迷っている場合じゃないな。 「…えっ! お、おにいちゃん……!?」 えみちゃんのお尻に思いきり顔を近づける。 「……んっ」 「んんっ……ふぁっ……あっ、あっ……ぁぁ……」 菊門に舌先あてて、ゆっくりと上下に動かす。 すると、えみちゃんは小ぶりなお尻を震わせ、甲高い声を上げてしまう。 「…ぁっ……んぁっ……ぉ、にいちゃん……ダメ…… そこ、汚いから…ぁ……」 「…んっ……汚くなんてないよ?」 舌を器用に動かして、尻穴の周りをなぞるように舐めていく。 「んぅぅ……で、でも……ふぁっ……ン、ぁぁっ……」 別にお尻の穴を舐めることにためらっていたわけではない。 えみちゃんが少しでも楽になれるんだったら、出来ることはしてあげたい。 ただ、こんなことをしてえみちゃんに嫌われてしまわないか? それだけが心配だった。 「…んはぁ……。いやだった、かな?」 「…んっ……おにいちゃんこそ…… あたしのお尻……その……いやじゃないの?」 「えみちゃんのだから…いやじゃないよ……」 「そっかぁ……。あ、あたしも…いやじゃない。 おにいちゃんがしてくれるなら……」 「ちょっと恥ずかしいけど……」 そう言うとえみちゃんは、さらにお尻を突き出してくれる。 「んっ……んぅ……」 「ん、はぁ……あっ…あっ…あっ…くっ、ぅぅ……」 直接、穴に舌をやらずに周辺をねちっこく舐めていく。 舐め続けていくと、お尻の穴がひくついてきている。 「ふぁ、あっ…んんっ…おにいちゃん…… おしり…変な感じ…する……」 えみちゃんは、シーツを力一杯握りしめながら切なそうな声で言ってくる。 「んっ、んっ……えみちゃん、大丈夫だから。 もっと、力抜いて……」 「で、でも……ふあぁぁ……ちょっと、くすぐった くて……んっ……あぁぁ……」 さすがにお尻の穴を舐められることが落ち着かないみたいで、時折、僕の舌からお尻を遠ざける。 「…………んっ…」 それでも、僕がしてあげているって思っているからかすぐにお尻を元の位置に戻してくれる。 「んっ――」 「んっ……はぁ、あっ……ぁあ……くぅ…っ……」 これを何度か繰り返すうちに、えみちゃんの尻穴は僕の唾液でベトベトになる。 これなら、もう少し強い刺激を与えても大丈夫だろう。 「…んんっ……あっ……ふあぁっ……っ……!」 舌先をほんの少しだけ、尻穴に挿れるとえみちゃんが大きな声を上げながら体をびくつかせる。 「…んっ……んっ……んぅっ……」 「んくっ……ぉにぃちゃ……そこ…ダメ…… あっ、あっ、あっ……ン、ぁぁぁっ……」 尻穴への刺激に耐えかねたのか、えみちゃんはお尻を引っ込めてしまう。 「えみちゃん、お尻、ほぐれてきたから あと少しだよ?」 「…うぅ……うん……」 弱々しく返事をした後、再び僕の顔に向かってお尻を突き出してくれる。 「…ひぁっ……お尻……おにいちゃんのが……」 「なんかへんだよぉ…お尻…勝手にぴくぴくしちゃう」 尻穴を直接舐めただけで、大きくひくつく。 それは本人も何かしらの分かるものがあるみたい。 「……んっ」 「んはぁ、はぁ、はぁ…くぅぅ……ン、うぅぅ……」 舌を窄めて、尻穴の入口を何度も突いてあげる。 すると、えみちゃんは息を乱しながらもウットリとした声を上げる。 尻穴の刺激に体が慣れてきたみたいで、気持ちよさを感じるようになってきたということか。 「…んっ、んっ……もう少し、ほぐしてあげる……」 「んんんっ……ぅ、ん……はぁ、あっ…あくぅ……」 「…おにいちゃんが…んんっ…してくれてるんだって 思うと……なんか…お腹がきゅんってして……」 えみちゃんの体がぎゅっと強張る。 「…大丈夫だから……力を抜いて…リラックス……」 「ぅ、うん……んっ……ふあぁ……はぁ、はぁ……」 それから、お尻の穴だけじゃなく周りも丹念に舌で愛撫し続けてあげる。 「あっ……んっ……おにいちゃ……あっ、あっ、あっ んくっ……ぅ、んんっ……!」 えみちゃんは甘い声を出しながら、無意識にお尻をさらに僕の舌に押しつけてくる。 実はえみちゃん、お尻ってかなり感じてしまう場所なんじゃないか。 「…んっ……れろぉ……」 「ひゃうっ……あっ……あぁぁ……ぁっ……」 舌を目一杯伸ばして、下から上へとすくい上げるように舐めてあげる。 それだけで、えみちゃんの体がビクビクと震える。 「んっ…れろ……れろ……」 「ふやぁぁ……おにぃ…ちゃん…それ…だめ……」 「お尻…むずむずって…ジンジンっていっぱいして あっ…くぅぅ……んぅぅ……」 お尻で感じてしまっているが、その感覚がよく分からないみたいだ。 「んはぁ…それはね、お尻がほぐれてきたってこと だから」 「心配しないでいいよ。そのまま、楽にしていてね」 「う、うん……わかった……ン、んはぁ…… はぁ、はぁ……あっ、うぅぅ……んっ……」 ピクピクと小さく蠢くお尻の穴を舌先を少し入れたり周りを舐めたりと、色々な方法でほぐし続ける。 「はぁ、はぁ…な、なにかきてる……」 「わかんない…おおきいの…お腹から……上に どんどんきて……」 ひょっとしたらイキそうになっているのかも知れない。 でも、えみちゃんにとって正体不明の感覚だからかなり戸惑ってしまっているみたいだ。 「…んんっ……」 だったら、イかせてあげようと舌先を尻穴に潜り込ませる。 「…ひやぁっ……だめ……あっ……あっ……ぁぁ……」 「んっ……あっ…ぁっ…ふあぁぁぁ……ッ……!」 えみちゃんが声を上げながら、体をビクリと大きく震わせる。 「ふぅ……」 絶頂したのを見計らって、えみちゃんのお尻から顔を離す。 「…はぁーー……はぁーー……ぁっ……あぁぁ……」 えみちゃんは目をトロンとさせ、頬を真っ赤にしている。 絶頂の余韻が残っているからか、漏らす吐息は苦しそうなものではなく、ウットリとしたものだ。 「…な、なにこれ……はぁ、はぁ……おにいちゃんの …おしり…はいって……びくってして……」 「頭…ずっとふわふわしてるよぉ……」 体に力が入らないのか、お尻を突き出したままの恰好でグッタリしている。 「さてと――」 今の状態だったら、座薬が簡単に入るに違いない。 近くに置いた座薬を拾い、お尻の穴へあてがって―― 「…ひゃっ……あっ……んっ……くぅぅ……」 舌での愛撫で十分にほぐれたソコは特に抵抗することもなく座薬を受け入れていく。 「…お尻に……はいってくる…… んっ……はぁ…はぁぁ……ぁっ……ぅん……」 えみちゃんは最初と違い、ウットリした声を出している。 えみちゃんってお尻、かなり敏感なんだ……。 座薬を全部入れて、押し出されないように指で尻穴を押さえながら、ふと思う。 何とか座薬を挿れ終わると、えみちゃんはズボンを戻すことなくそのまま布団をかぶってしまう。 男である僕にお尻の穴を見られるだけでなく、座薬まで挿れられたのだから恥ずかしくてたらまないのだろう。 「えみちゃん、どう?」 「…うん……なんか、お尻が変な感じ……」 座薬を挿れたばかりだから落ち着かないのだろう。時折、お尻を気にする仕草をしている。 「そっか。あとは、たっぷり寝たらきっと 良くなるよ」 「う、うん。おにいちゃん、ありがとう……」 視線を若干外し、恥ずかしそうにモジモジしながらお礼を言ってくれる。 「…っと」 座薬が入っていた袋を捨てるために立ち上がる。 「…おにいちゃん? それって……?」 えみちゃんが目を大きく見開いて、僕の股間を凝視する。 「…え、えーっと……これは……その……」 えみちゃんに座薬を挿れるために色々していた時に意識してはいけないって何度も言い聞かせてはいた。 だけど、ずっとえみちゃんの魅力的なアソコとかお尻とか見ていたからか、下半身がこうなってしまうのは抑え切れなかった。 「………………」 心配そうに僕を見つめてくるえみちゃん。 ひょっとして、体の具合が悪いからこうなったと思ったのだろうか? 「…えみちゃんが…さっき…すごく可愛かった から……」 「…えっ……か、かわいいって……? あたしが……?」 えみちゃんが顔を真っ赤にする。 「…えへへ……あたしがかわいい…… おにいちゃん……そう思ってくれたんだ……」 “かわいい”って言われたことが嬉しかったみたいで、口元がにやけてしまっている。 照れた表情がさらに可愛いのと、股間の憤りを指摘されたことで、どうしても意識してしまいビクリとズボンの中でモノが跳ねてしまう。 「…おにいちゃんの、すごく苦しそう……」 「お薬でなおる?」 「……これは……心配しなくても大丈夫だよ。 自分でできるから」 射精したら収まるけど、そのために何をするか。 そんなこと、口に出すわけにはいかない。 「…それ、あたしにもお手伝いできる? あたしも、おにいちゃんにしてあげたい」 「それはいくらなんでも……。 それに、ほら、えみちゃん、まだ熱があるんだし」 「おにいちゃんが、お薬入れてくれたから 大丈夫だよ」 「……おにいちゃんが楽になれるんだったら お手伝いしたいから…教えてほしい」 「で、でも……」 「…お願い、おにいちゃん」 一歩も引く様子がないえみちゃん。 えみちゃんの性格上、こうなったら絶対に引かない。 押し問答を長引かせて、風邪が悪化しても可哀想だし……。 それに、してもらいたくないと言えば、嘘になる。 「じゃ、じゃあ……ちょっとだけ…… 手伝ってもらおうかな……」 『ちょっとだけなら――』そう思うだけで、罪悪感が和らぎ誘惑に負けてしまう。 「…………」 おおきな目を一際見開き、言葉を失ったえみちゃん。 きっとどう声をかければいいのか、頭の中がぐるぐるとしているのだろう。 僕とそこで、目線が行ったり来たりしている。 「…驚かせた、よね?」 「――! ……ぅん、ちょっと……だけ」 素直に、でも気を遣いながら、ぽつぽつと感想を漏らす。 「……ビクビクして…どんどんおっきくなって いってる……」 「ゆうきのは…前にお風呂で見たことあったけど… もっと……」 思い出しながら恥ずかしそうに声が小さくなっていく。 きっとこういう状態のものを見るのは初めてなんだろう。 僕はもうかれこれ二十数年間、ともに生活しているので気づかないが……。 血管も浮き出ているし、お世辞にも“かっこいい”や“きれい”とは程遠い存在だ。 「……うん。だいじょうぶ。 おにいちゃんの…だもん……!」 自分の中で何か決意したのか、少し強張った様子。 ――本当にいいのだろうか。 すでに見せつけてしまっているとはいえ、自分でも処理できることだ。 しかし家族でもあるえみちゃんにこんなことをして許される事ではない。 ましてや病人相手に……。 「……ね、あたしどうしたらいい?」 僕の不安をよそに上目遣いで目線を向けてくるえみちゃん。 その表情があまりにも可愛いく、僕のものが期待で小さくぴくんとはねた。 「……これを、その……舐めてくれる?」 フェラチオ、という言葉を口にするのも恥ずかしくなり、少年のようにどもってしまう。 「え……と、その……ぺろぺろするの……?」 嫌そうな声。 当然だろう。 僕が同い年だったとしても女の子がどうやっておしっこをしているかくらい、きっと知っている。 そこを舐めろと言われて、はいそうですか、とはいかないだろう。 「――ん……わかった」 ちょうど後悔し始めたくらいで、えみちゃんから耳を疑う返事が返ってくる。 「無理、しなくていいんだよ? 最悪僕一人でも――」 「ううん。今度はあたしの番……だから」 えみちゃんの決意の言葉が、僕の最後の言葉をさえぎった。 ――あたしの番。 いつだってえみちゃんはギブアンドテイクというか、貸しをそのままには決してしない傾向にある。 それはきっと敦子さんの教育の賜物だと思うし、おねえちゃんとしての自覚もあってのことだろう。 「……んぁ」 目の前の薄く開かれた口から小さな舌が出てきて、待ち構えているようだ。 その光景が僕の理性をグラリと揺るがす。 どんな感触なのかということ、普段見せないえみちゃんの行動に、いつのまにか不安よりも興奮が上回っていた。 「…んっ……んぁっ……」 「…くぅっ……!」 目の前に広がる扇情的な光景に感化され、小さな刺激は大きな快感となって、背中を駆け上がった。 「…あっ……痛かった…?」 とたんに舌を引っ込めるえみちゃんの口から、キラリと透明な糸が引いていた。 「ううん。ちょっとびっくりしただけ……。 そのまま続けてもらってもいいかな?」 「うん。んっ……れろ、れろ……ちゅっ……んっ……」 えみちゃんの舌が亀頭の先端をゆっくりはっていく。 先っぽからじんわりと広がっていくゾクゾクとした感覚がたまらない。 「んはぁ……はぁ……ちゅっ……んぅぅ…… ちゅる……んっ……」 「んっ、ちゅっ……んちゅっ……んんっ…… こんら……んぅぅ……感じ……?」 一生懸命短い舌を伸ばし、亀頭を舐めながら、健気に聞いてくる。 その光景に僕の返事より先に、ビクンと大きく股間が跳ねた。 「それに……んっ……んっ……先っぽから…… なんか、出てきた……」 ずっとえみちゃんのかわいい姿を見ていた上、敏感なところばかり責められては、我慢できなかった。 「これはね……。 気持ちいいから、勝手に出ちゃうんだ」 「そっかぁ……これ、きもちいいんだ……」 「んっ、んっ……ちゅぶっ……」 気持ちいいって言ったのが嬉しかったみたいだ。 喉に絡みつく我慢汁の感覚に顔をしかめつつも、小さな舌を一生懸命伸ばして、亀頭を舐め回してくれる。 「……んっ……」 先っぽだけを集中して舐められて、他の部分が焦らされているような感じがしてすごくもどかしいけど……。 えみちゃんに舐めてもらっているという背徳感もあり、息を漏らしてしまうほど感じてしまう。 「んはぁ…はぁ…おにいちゃん、 すごくきもちよさそう」 「…う、うん……」 うっかり射精してしまいそうになったところでえみちゃんの舌の動きが止まったので、何とか持ち直す。 「…あむっ……んっ……れろ、ちゅっ…… んっ……ちゅるっ……んっ、んぅ……」 「んっ……ぅぁっ……!」 えみちゃんの舌先が一番敏感なところに当たって、おかしな声を漏らしてしまう。 「…おにいちゃん……ここ?」 「ちゅっ……んぅ……れろ、れろ……んぅぅ……」 えみちゃんが嬉しそうに、その部分を重点的に責めてくる。 「えみちゃん…そこは……んんっ……」 「ん? おにいちゃん、まかせて……? んっ、んっ……んぅぅ……ちゅぱっ……」 さっき、何とか耐えた射精感が再び湧き上がってくる。 先っぽだけなのに、竿全体に大きな流れのようなものがやってきて、どんどん膨れあがってくる。 「…おにいちゃんの…ヒクヒクってしてる……」 「んぅぅ……れろ、ちゅっ……ちゅっ……れろ……」 扱いに慣れてきたのか、舐め回すだけじゃなく舌でなぞったりしてきて……。 すぐにでも射精してしまいそうなぐらい限界が近づいてきてしまう。 「…んはぁ……おにいちゃん……?」 このままではマズイと腰を引いてしまった僕に怪訝そうな表情を向けてくる。 「ご、ごめん……。あのままだったら……」 「ん? あのままだったら?」 目を丸くさせて聞いてくる。 「…その……えーっと、出ちゃうから……」 「…出ちゃう? 何が出ちゃうの?」 無邪気に聞いてくるえみちゃん。 「出ちゃったら、どうなるの?」 「……それは……えーっと、これが…… 治まるっていうか……」 咄嗟のことでどう説明したらいいものかわからず、しどろもどろで答えてしまう。 「…おにいちゃんのソレが治るんだったら、 出してもいいよ?」 「もっといっぱいペロペロしたら、出ちゃうの?」 「…う、うん……」 してあげたいという、えみちゃんの気迫に押されてうっかり首を縦に振ってしまう。 「だったら、あたしもっと頑張る! おにいちゃんの、治してあげたい」 「…んっ……ちゅっ……れろっ……」 モノを再び近づけると、裏筋をえみちゃんの温かい舌でなぞられる。 ぞわりとしたものが背中に走って、冷めかけていた射精感が再び湧いてくる。 「…んくっ……ほんとだ、透明の……んっ…苦いの …さっきよりもいっぱい出てきた……」 「あたし、だいじょうぶだから……苦いの… もっと出してもいいよ……」 さっき出ちゃうって言ったのは、精液じゃなくて我慢汁がいっぱい出てしまうって勘違いしているみたい。 「…はぁ…はぁ……んっ……そ、そうじゃなくて……」 「違うのが……出ちゃう……から……」 快感に耐え、息を乱しながら何とか伝える。 「んっ…んっ……それ出したら……きもちよくなる?」 「だったら…出していいよ? あたしの…舐めとってあげるから……」 「でも…汚いから……」 「……おにいちゃんのだったらだいじょうぶ…… だから…我慢しなくていい……んっ……んっ……」 そう言うと、えみちゃんは一生懸命舌を動かしてくる。 「………………」 『おにいちゃんのだったら――』『我慢しなくていい――』 そんな甘い言葉が僕の理性を壊していく。 「んぅぅ……れろ……れろ……んっ……んぅ……」 『ちょっとだけ――』そう、ちょっとだけ出すだけだったら大丈夫かも。 えみちゃんから与えられる快感に、とうとう我慢が利かなくなってくる。 「…えみちゃん……もうちょっと……その…… お口の中にいれても……?」 「…う、うん……んっ……こ、う……?」 えみちゃんが首を前に動かすと、亀頭全体が柔らかな口内の粘膜に包まれる。 「うん……そのまま……」 「んっ…んくっ……んんっ……んちゅ…… れろっ……れろ……」 口の中に収まっているだけで気持ちいいのに、その上、ぎこちない舌の動きがさらに快感を与えてくる。 最近、自分でも処理してなかったからか、あっという間に爆発してしまいそうだ。 「んっ……んくっ……んんっ………」 溢れ出てくる我慢汁が苦くてたまらないのか時折、顔をしかめている。 「ちゅる……んぅぅ…んっ…んっ…じゅるっ……」 本人は意識していないだろうけど、我慢汁を吸う感じがたまらない。 もうこれ以上は―― 「…はぁ、はぁ……えみちゃん……もう…… 出ちゃう……白いの…いっぱい……」 さすがにこんな女の子に対して“射精する”とは言えず、少し誤魔化してしまう。 「んっ…んっ…そっかぁ…白いのが出るのかぁ……」 「よくわかんないけど、それ出したらスッキリする んでしょ? だったら――」 一生懸命舌を動かして亀頭全体を舐め回してくる。 「んぅぅ……んくっ……ちゅるっ……んっ、んっ…… れろ……んちゅっ……んっ……ぅんっ……」 「…も、もう出ちゃう……えみちゃん…… 口で…受け止めて……」 「…んっ……んんっ……いい…よ……」 モノを咥えながら、小さく首を縦に振る。 それを見てから下半身に溜まった憤りを一気に解放する。 「…んんっ……ひゃっ……あうぅっ……っ……!」 かなり溜まっていたからか、射精の勢いが強すぎてものがビクリと大きく跳ねてしまう。 そのせいか、口の中だけじゃなくてえみちゃんの顔に精液がかかってしまう。 「……んっ……ふあぁ……おにいちゃんから…… いっぱいでてる……」 ポーッとした表情で、僕の射精を受け止めてくれるえみちゃん。 「…んくっ……うっ…ぐっ……おにいちゃんの…… すごく苦いよぉ……お薬みたい……」 「…それに……なんか、ベトベトしてる……。 おにいちゃんから出る白いのって、こんなんなんだ」 顔にかかった精液を指でぬぐい、感触を確かめつつ言ってくる。 「……んっ……んくっ……んっ……くっ……んっ…」 「……んぐっ……んっ…ぅっ……んはぁ……」 苦さに顔をしかめながらも、喉を小さく鳴らしながら精液を飲んでくれる。 「ご、ごめん……」 ものすごく申し訳ない気持ちと、僕のを飲んでくれてるという征服感みたいな気持ちが同時にやってくる。 なんとも不思議な気分だ。 「…はぁ、はぁ……でも、おにいちゃんの…… 元に戻ってきてるね?」 「うん。えみちゃんのおかげだよ」 射精を終えてスッキリしたからか、まだ多少は勃起しているけれど、さっきよりも治まっている。 「そっかぁ……あたしのおかげかぁ……えへへ……」 「うん。えみちゃんだから…こんなにいっぱい 出ちゃったんだ……」 「えみちゃんが、すごく可愛いから……」 「…かわいいと、いっぱい出ちゃうの?」 「そうだよ。これはね、えみちゃんが可愛いから すごく気持ちよくなって……こんなに たくさん出ちゃったんだよ」 口にちょろっと出すだけのつもりが、顔にかかるぐらいの量を出してしまった。 えみちゃんが可愛いから、我慢しきれなかったってことは嘘ではない。 「…あたし、おにいちゃんのこといっぱい きもちよくできたんだ……よかったぁ……」 僕のことを気持ちよくできたってことがすごく嬉しかったみたい。 ウットリと頬を赤らめているところに精液の白さが引き立って、なんとも艶めかしいが……。 「…あっ、ごめんね。すぐに水とタオル持ってくる」 これ以上、こんな顔を見ていたらまた興奮してしまう。 気持ちの昂ぶりを遮るように、慌ててズボンを元に戻し居間に水とタオルを取りに行った。 「…どう、えみちゃん? スッキリした?」 「うん。ありがと」 持って来た水で口をゆすいで、顔についた精液は濡れタオルで拭ってあげた。 「………………」 さっき、あんなことをしてしまったからかえみちゃんは目が合うと顔を真っ赤にさせてしまう。 さらに疲れもあってか、グッタリとしてしまっている。 いくらなりゆきとはいえ、病人にあんなことを……。今更になって罪悪感を感じてしまう。 「…えみちゃん……」 「……んっ? え、えへへ……」 おでこに汗で張り付いた髪の毛をどけて、手をあててあげると嬉しそうに笑ってくれる。 薬が効いてきたこともあってか、ずいぶんしおらしい。 いつもの活発な様子と違った女の子っぽさにドキッとしてしまう。 「……あとは、たっぷり寝たら明日にはよくなるから。 そしたら、みんなと元気に遊べるよ」 「うん…。早く治さないと……」 「あ、あとね……おにいちゃん……今日のこと なんだけど……」 …さすがにあんなことしてしまったからな。 心臓をドキドキさせながらえみちゃんの次の言葉を待つ。 「…あのね……あれは……あたしとお兄ちゃん だけの…秘密…だから。誰にも言っちゃやだよ?」 「うん。約束する。 だから、ゆっくりお休み」 僕としてもあんなこと誰にも言うわけにはいかない。 えみちゃんと指切りをしながら誓う。 「ふあぁ……なんだか、すごく眠くなっちゃった」 安心したのか、えみちゃんはそのまま目を閉じるとすぐに安らかな寝息を立て始める。 どうやら嫌な思いをさせずに済んだみたいだ。 その様子に安堵しながら、えみちゃんの可愛い寝顔をずっと見続けていた。 「ふああぁ……うぅ、眠たい……」 「お、えみちゃん、おはよう」 次の日。 そろそろ学校へ行こうと思って立ち上がると、えみちゃんが居間に顔を出してきた。 彼女の顔を見るや、昨日の行為が脳裏をよぎる。 「お、お兄ちゃん……おはよう」 えみちゃんも僕と目が合うや頬を赤くして、さっと俯いてしまった。 さすがに気まずい……。 「え、えっと……身体の方はもう大丈夫なの?」 「う、うん。お薬のおかげでだいぶ楽になったよ」 「それはよかった。 じゃあ、今日から学校に行くの?」 「家にいてもつまらないもん」 「はは、それもそうだね。 それじゃ、僕は先に行くから、待ってるね」 そう言って僕は、えみちゃんの横を通り過ぎる時、彼女に耳打ちする。 「昨日のことは、2人だけのヒミツだよ?」 「え、あ、あ、あ、あんなこと、 誰にも話せないよ……!」 挙動激しく、えみちゃんが声を荒げて肯定する。 僕にとっては、昨日のいけない奉仕のことを指していたのだが、彼女は別のことで反応したのだろう。 おそらく、座薬を入れられているところを―― 「お、お、お兄ちゃんのほうこそ、 誰にも言っちゃダメだからね」 「も、もちろん誰にも言わないよ」 ていうか、あんなの誰にも言えないよ。 「ほぉら、さっきから2人して、 何をこそこそしてるの?」 さすがに僕たちのやり取りを不審に思って、敦子さんが声をかけてきた。 「あ、う、うぅ……な、なんでもない」 「おねえちゃん、顔、まっかっか」 「う、う、うるさい! あたし、顔洗ってくる」 みんなの視線に耐えかねて、えみちゃんは逃げるように洗面台へと向かっていった。 あの様子なら誰かに話すなんてことはしないだろう。 怪しむ敦子さんとゆうきくんを後ろに、僕もまた逃げるように学校へ向かうのだった。 「おはようございます、 昨日はバタバタしてすみませんでした」 職員室に顔を出して早々、集まっている先生方に頭を下げる。 「いえ。 それより、橋本さんの具合はどうでしたか?」 「ええ、無事に回復もしましたし、 今日から学校に来るそうです」 「そうですか、大事にならなくてよかったです」 僕が教室を抜けたことよりも、生徒の安否を第一に考えてくれている先生方に、今まで感じたことのない一体感。 「それでは、これからまたお願いしますね」 「はい、ありがとうございます」 気持ちよく迎え入れてくれる先生方に感謝しつつ、自分のクラスへと向かい、教壇に立つのだった。 「はーい、それじゃ準備運動するよー」 ある日の授業は体育。 暦の上ではすでに春なのだが、寒暖の差が大きいこの地域では、雪が長く残ることも多い。 そのため、体育館で授業を行うのだが、天気のいい今日はグラウンドへと生徒を集めた。 「今日は何をするのかなぁ?」 「やきゅうやろー、やーきゅーうー♪」 「この人数じゃできません……」 「でも走るのはヤだなぁ〜」 準備運動をして身体をほぐす中、生徒はこの後、何をしたいかを思い思いに話し合っていた。 「(それはまあいいとして……  このご時世にブルマとは……)」 ずいぶん前は当然のように体操着として穿かれていたが、今となっては絶滅危惧『着』と言っていい。 「さて、それじゃ今日は何をしたいかなー?」 身体もそれなりに温まった後、生徒たちを集めて質問を投げかける。 体育については教師が手や口を出さず、生徒たちがやりたいことを任せることにしている。 こちらに来た時、教員として職務放棄しているようで腑に落ちなかった時もあった。 しかし、生徒たちが考えて取り組もうとする姿勢を目に、考え方は変わっていった。 与えられたカリキュラムを押し付けるだけでは生徒のためにならないことを僕は学ばせてもらった。 「サッカーしようぜ」 だが体育の授業となると男の子がでしゃばるのはどこも同じ。 ここでも男子が考えたそれに女子たちもしぶしぶ参加するといった感じだった。 そして、男子たちの意見によりサッカーに決められた。 「せんせー、あたしはしんぱんでもいーい?」 「ん? いいけど、どうして?」 「まだ病み上がりだから無理しちゃダメって お母さんが言ってたから」 彼女だけ体操服ではないことに疑問を抱いていたけど、彼女の言葉に納得がいった。 「なるほど。 まだ体調が悪いなら見学でもいいよ?」 「見学はイヤ。 本当はみんなと体育したいし、 お母さんもうるさいし……」 2日、3日過ぎているから大丈夫とは言っても、どのタイミングでぶり返すか分からない。 親の気持ちは分かる。僕は二つ返事でそれを了承し、首にかけていたホイッスルをえみちゃんに渡した。 「それじゃ、先生の笛を貸してあげるから、 ルールは分かる?」 「えっと……せんせいの…… 笛……い、いいの?」 「うん、審判なんだから笛は持たなきゃ。 ルール分からない?」 「う、ううん、分かる! できる、と思う」 「あんまり無理しなくていいから、 分からなかったら僕に聞いてね」 笛を受け取ったえみちゃんはなぜか頬を赤くしながら、少しだけ嬉しそうに見えた。 「(なんなんだ?)」 「そ、それじゃ、はじめまーす」 えみちゃんが笛を吹いて、サッカーは始まった。 人数は10人もいないため、コートの半分を使って攻撃と守備に別れて競い合う。 守備側がボールを奪い取った時点で攻守は交代。 「それじゃ、僕はゴールキーパーでもしようか」 生徒に混ざって、僕はそれぞれのキーパー役としてゴールを守る。 「ほっ、よっ……いくよーせんせー」 血気盛んな生徒たちは、ボールを持っている所に集中して、団子状態になってしまっていた。 そこから抜けるとほとんどフリーな状態でキーパーと一対一という構図になってしまう。 ののかちゃんが勢いよく蹴ったボールが飛んでくる。 それをたやすくキャッチしてみせる。 「よっと……ふふん。 それじゃ、先生からゴールは奪えないよ」 そう言って今度は、生徒たちの中に飛び込みボールを転がし1人2人と抜いていく。 「せんせい1人で遊ぶなー、かえせー!」 「なら、取ってごらん! よっ、ほら……」 次第にサッカーという競技から離れて、僕対生徒という構図からボールの奪い合いが始まった。 「あ、あの……えと……う〜ん」 「はぁ……はぁ……疲れた……」 ものの15分も持たずしてギブアップ。その場に僕はへたり込んでしまっていた。 そんな僕を気にかける生徒はおらず、彼、彼女たちはボールを追いかけて遊んでいた。 「ふぅ〜……さすがの若さ。無尽蔵だ」 「あ、あの……せんせい……?」 そこへ輪の中に混ざっていたことねちゃんも出てきて、ちょこんとそばに座ってきた。 「ことねちゃん、どうしたの?」 「せんせい、こっち、こっちにきてくれませんか?」 ことねちゃんは急かすように僕の手を取ると、グラウンドから離れた場所まで連れてきた。 「なになに、どうしたの? 身体の具合が悪くなったの?」 「ち、違います。 そうじゃなくて……サ、サッカー教えてください」 「ルール?」 「……はい、 あんまりやったことないから分からなくて」 確かに、ことねちゃんは輪の中に入っていたけど、あたふたと周りについていくぐらいだった。 もともと運動は苦手なのだろう。それでも取り組もうとすることねちゃんの姿勢に胸を打たれてしまう。 「いいよ。それじゃ先生が教えてあげる。 ボール取ってこようか?」 「ううん、それならわたしが取りに行ってきます」 ことねちゃんは僕がOKしたことが嬉しいようで、ボールを取りに急ぎ足で倉庫に向かって行った。 彼女の後ろ姿を微笑ましく見つめつつ、僕は彼女がやってくるのを待っていた。 けど―― 「やけに遅いな」 ボールを持ってくるぐらいわけないはずだが、数分経っても戻ってこない。 ――取りにくい場所にでもあるのだろうか。 「様子を見てくるか」 生徒たちから目を離すことに戸惑いはしたけど、楽しそうにサッカーをしている。 すぐに戻ってくることを心に決めて、僕は一度、体育倉庫へと向かった。 「ことねちゃん? サッカーボールは見つかった?」 開け放たれた倉庫を覗くと、中には誰もいない。 「あれ? ことねちゃん?」 「ひっく……あうぅ……せんせい……せんせぃ……」 「ことねちゃん!?」 奥の方からか細い声で僕を呼ぶ声に、慌てて近くに駆け寄った。 すると、ことねちゃんは涙を浮かべ地面に座り込んでいた。 「どうしたの? 何かあった……?」 「うぅ……ボール、取ろうとしたら…… 滑って、落ちて……」 涙声になりながらも、単語一つ一つを聞き取ってようやく状況が飲み込めた。 とにかく落ち着かせようと背中をさすって泣き止ませる。 「もう大丈夫だから。どこか打ってない?」 「ぐすっ……おしり、いたい……です」 「お、お尻か…… えっと、少し見てみようか、立てる?」 涙を拭きながら、ことねちゃんはゆっくりと立ち上がる。 それから、ことねちゃんにケガがないか、体操服の上から確認していく。 上半身の方は目立った外傷はなく、痛みを訴えるお尻を見てみると、尻餅をついたのか土埃ですっかり汚れてしまっている。 それよりも気がかりだったのは、ブルマの上からかすかに、濡れたようなシミができていた。 「ことねちゃん……これは……えっと……」 「あ、うぅ……ビックリして、 少し出ちゃいました……う、うぅ……」 僕がそれに気づくと、ことねちゃんは再び目に涙を浮かべて辛そうにしていた。 「わ、分かった、分かった。 きっととっても痛かったんだね、よく我慢したね」 このまま保健室に――と思ったけど、ことねちゃんのことも考えるとこの状態でみんなの前を横切るわけにはいかない。 この間のえみちゃんの時や、遠足の時にも先生たちには迷惑をかけてしまった。 頻繁に先生たちの手を煩わせてばかりでは申し訳ない。 ここは、なんとかこの場で―― 「先生が見てあげるから、 そこのマットで横になってごらん?」 「……はい」 さっきまでの笑顔はまるでなく、落ち込むことねちゃんは素直に僕の言うことを聞いて仰向けに横たわる。 そんな彼女の従順な反応に、僕に少しだけ邪な気持ちが横切る。 「それじゃ、お尻を上げてみるからね」 「ひゃっ、せ、せんせい……こ、こんな格好、 恥ずかしいです……!」 僕は足を持ち上げて、ことねちゃんの股間が天井を向くように押し広げた。 さすがにことねちゃんも驚きの顔を浮かべるものの、抵抗らしい抵抗は見られない。 「お尻を打ったって言うからね。 ちゃんと診ておかないと、痕になっちゃうよ?」 「はい、ことねちゃんは自分の足を持っててね」 「え、あ、はい……こ、これでいいですか?」 自ら大またを開いてみせることねちゃん。彼女の顔のすぐ上には、丸々としたお尻と股間が並んでいた。 この間、ことねちゃんを介抱したときとは違う体勢に、つい生唾を飲み込んでしまう。 「そ、それじゃあ触っていくからね」 「あ、はい……お、お願いします」 身体をこわばらせることねちゃんは、じっと僕の行為を見つめていた。 僕自身、ヘンな緊張感を覚える中、お尻を触診しながらことねちゃんの反応を確かめる。 「打ったのはこの辺り……?」 「ん、ん……ちがいます。 ……もっと、真ん中のところらへん」 初めて触るブルマの感触に感動を覚えつつ、指になじませるように執拗に触っていた。 「せんせい……そこ、ちがいます ……もう少し、真ん中」 「あとと、ごめんごめん。 真ん中だね」 ブルマに魅了されていた僕は、ことねちゃんの言葉が耳に入っておらず、指摘されて我に返っていた。 真ん中の方――ということねちゃんの指示に、指はお尻というより股間へと近づいていた。 「ん、んん……そこ、 あ、せんせい……そこ、うぅ……」 お尻を痛打したとされる場所に指が到達し、ことねちゃんが応えてくれる。 「ここか……確かにここを打ったとなると かなり痛かっただろうね」 お尻のお肉が衝撃を和らげてくれているとはいえ、当たった場所は真ん中に集中しているようだった。 女性の膀胱は男性よりも小さく、おしっこの我慢も短いとされている。 今回、突然の衝撃に下半身が驚いて、尿意を催して少し出てしまったのだろう。 「どう……? こうしてさすっても痛む?」 「ん、ん――はぁ、あ、ん……ん、 少しだけ……でも、大丈夫……」 やはり少しは痛むらしく、時おり顔を歪ませて、多少の刺激に敏感に反応していた。 あまり乱暴はできない。優しく丁寧に扱うべく、指遣いもデリケートになっていた。 そうした動きとは反比例して、見下ろす彼女の姿を前に興奮するなというのが無理な話。 ズボンの中でいきり立つペニスを押さえ込むので必死だった。 それでも、こうして年頃の女の子の股間を弄ぶことができるだけで気にならなかった。 「はふ……せ、せんせい…… あ、うぅ……まだ、するの……?」 「そうだね。 下着も脱いで傷になってないか見てみてもいい?」 「え? ……ぬ、脱がなきゃダメですか?」 「うん。恥ずかしいかもしれないけど、 内出血してるかもしれないからね。 後でお尻が真っ青になっちゃうよ?」 少し大げさに言ってことねちゃんを言いくるめる。 本当はそこまでする必要はないだろう。 ただ、教師として生徒を気遣うがため。 しかしそれは表向きであって、本音はことねちゃんのアソコが見たいだけに過ぎないのかもしれない。 ここまでしたのだから、最後まで拝んでおきたい。 困った顔を浮かべることねちゃんの頬は、次第に赤みを帯びていく。 「わ、分かりました…… でも、あんまり見ちゃダメです…」 「う、う〜ん、それは難しいけど、努力するよ」 一度恥ずかしいところを見せた相手、ということもあって、ことねちゃんは何とか承諾してくれていた。 ことねちゃんの手を借りながら、ゆっくりとブルマ、そしてパンツを脱がしていく。 「あぁ、本当だ。赤くなってる」 ブルマに隠れていたお尻が天を向いて、僕の視界に入ってきた。 すぐにお尻の周りを確認すると、打ったと思われる箇所が赤くなっていたのが分かった。 「ん、ん……せ、せんせい……だいじょうぶ? ……わたし、ひどくないですか?」 恥ずかしさを押し殺して、ことねちゃんが心配そうに尋ねてきた。 「どれ、少し待っててね、 触ってみないと何とも……」 少し赤く腫れており恐らく時間が経てば回復するけど、僕は焦らすようにして答えは言わずに触診を開始する。 「は、ひゃ……ん、ん……あ、あ、やぁん…… せんせい……そんな、したら、だめ……」 直にお尻を触れることに胸を弾ませて、彼女のお尻全体を撫でるようにさすり上げる。 「うん、でも、他のところも触って、 患部との違いも見ておかないとね」 まるで自分が医者にでもなったかのように説得して、僕は自由に彼女のお尻を堪能する。 「だ、だからって……ん、はう…… お尻、もんじゃだめ……です、ひゃっ! やぁ、お尻、広げないでぇ」 ただ触るだけではなく、両手で揉みしだき異常がないか確認――の振りをする。 そうして触っていると、時おり覗くピンク色した排泄器官に、たまらない興奮を覚えるのだった。 「ごめんごめん…… でも、ちゃんと調べさせてもらったよ、 お尻は大丈夫、痕も残らなそうだよ?」 ひとしきりお尻を弄んで、僕は笑顔でことねちゃんに応える。 「はぁ、はぁ……本当……? なら、よかったです……」 「でも、お尻はよくても、 こっちはこのままにしておくわけには いかないかな?」 「こ、こっちって……ひゃっ! あ、そこ、そこは……」 やっと解放されると思ったことねちゃんが、ビクンと身体を激しく震わせる。 それは、僕が彼女の濡れた割れ目に指を添えたからだった。 窓から差し込む光によって、尿で濡れた秘部はいっそういやらしく照らされていた。 魅了される股間に、僕は息を飲み込んだ。 「せんせい……そこ、も何かヘンですか……?」 「そうじゃないよ。 ただ、濡れたままだと ことねちゃんが風邪を引いちゃうよ」 「それなら、ティッシュ…… あ、きょうしつ……」 「そう。体操服だよね? それにここは体育倉庫…… バイ菌もいるかもしれないよ?」 この程度で体調を崩すわけはないものの、絶対とは言い切れない。 自分でも驚くほど言葉巧みにことねちゃんを言いくるめ、僕は彼女を支配していく。 うろたえる彼女の表情に、僕の中に眠っている嗜虐心は強く煽られていった。 「え、あ、なら……どうしたらいいですか?」 「そうだね……少し拭き取ろうか」 僕はさも当たり前のようにことねちゃんに告げると、この前のように割れ目に指をあてがいなぞっていく。 「ひゃっ! ん……ん…… せんせい、きょうは……おしっこは出ない、 ん、ん――やぁ……」 「恥ずかしい、です……ん、はふ、ん、んんん」 敏感に身体をくねらせては、悩ましい声を無意識にあげてしまうことねちゃん。 そうした自分の反応にいまだ気づく様子はなかった。 「こうして触って、濡れたところを乾かすんだ。 だから、少し我慢しててね」 「う、うん……でも、早く……してね……あぅ ……ん、そこ、変な感じするから……んっ、ん」 「変な感じ?」 「う、ん――せんせいに触られてると、 ムズムズして……こえが、出ます……」 ことねちゃんは恥ずかしそうに、自分が感じつつあることを素直に漏らしていた。 あざとくない本音を恥ずかしげに告げることねちゃんの表情、仕草にドキリと胸が高鳴った。 それこそが正常な反応でありながら、彼女は分かっていないことに、さらにイタズラ心は高まっていく。 「大丈夫、 くすぐったくて声が出ちゃうんだと思うから…… 気にしなくていいからね」 「あ、ん――でも、せんせい…… あ、ん、ん……でも、ひゃっ、ん、ん―― やぁ……ん、ん……」 僕は積極的に割れ目を指でなぞり、乾かすというよりも余計に刺激を与え、別の液体で濡らしていく。 外では真面目に授業を受けている生徒たちの元気な声が聞こえてくる。 その裏で、僕たちはいかがわしい行為に耽っているのだ。 複雑に思いつつも、これも一人の生徒を思うため。 そう自分に言い聞かせるものの、今となっては彼女たちとの行為を肯定的に受け止めている自分がいた。 「はふ……んっ……は、は ――せんせい……や、あ、ん、やっぱり、 声、出ます……あ、あ、はぁ……んっ――」 指が割れ目を何度も往復するたびに、敏感にことねちゃんは反応を返してくれている。 閉じられた割れ目は僕の指に呼応するかのように、ヒクヒクと感じている。 「ん、は、あ―― くうぅ……んっ、ん……せんせい……あ、あ……」 ことねちゃんの反応が見る見る妖しくなるのに比例して、秘部は本格的に濡れてきていた。 「あれ? 乾かすどころかどんどん汁が出てくるね」 事の原因は僕にあるものの、わざとらしく、遠まわしにことねちゃんにあると思わせる。 「そんな……はふ、ん…… でも、おしっこでてません……」 「そっか。無意識のうちに出ちゃってるのかも」 「あ、はふ……それじゃ、 このままずっと濡れたままですか?」 僕に視線を送ることねちゃんが今にも辛そうに、助けを求める表情にぐっと心が締め付けられる。 と、同時に、そうした彼女の反応に嗜虐心はなおも煽られていた。 「大丈夫……先生が拭いてあげるから、 ことねちゃんはそのまま リラックスしてたらいいからね」 「せんせいが……? でも、どうするんですか?」 「うん、こうして舐めて消毒もしてあげる……」 「えっ、えっ!? せ、せんせい……ひゃっ、そこ、そこ…… ん、んんん!」 彼女の股間にゆっくりと顔を近づけて、舌をあてがう。 「や、あ……せんせい……恥ずかしいです、 あ、ひゃ、ん、おしっこ出るところ、 きたない……です」 「ちゅっ……ん、大丈夫、僕は気にならないよ」 少し漏らしたとはいえ匂いらしい匂いは感じられず、僕は気にせず舌を割れ目にあてがい舐め続ける。 少し残ったおしっこのしょっぱさを舌で感じ、ことねちゃんの味を知る。 「はふ……ん、く、ふぅ……んっ、んっ……あはぁ、 だ、め、せんせい……声、出ちゃいます……」 感じ方も激しくなって、足を押さえている手が時おり離れそうになっていた。 それでもすぐに、自分の手を固定し直し僕に舐めやすいように、愛撫しやすいように身体はほとんど動かなかった。 意外にMっ気の強い感を思わせることねちゃんに、僕はますます惹かれていく。 「んちゅ――いいよ、気持ちいいんだよね?」 「は……ふぅ……ん、分かりません…… 少しくすぐったくて…… 身体がふにゃふにゃになっちゃいます」 遠足の時に触った時よりも、素直な反応を返すことねちゃんは、喘ぐ声もしっかりとしていた。 「それがまともな反応だから、 気にしないでいいんだよ」 「はひゃっ、でも、でも……恥ずかしい…… あ、ん、ん……あ、うぅ、せ、せんせい……」 促す僕の声に、ことねちゃんは不安を抱きつつも、刺激に負けて悩ましい声をあげていた。 舐める割れ目は乾くどころか愛液は広がり、ますます濡れていっていた。 彼女の股間を思う存分味わいつつ、視線をことねちゃんに向ける。 まだまだ子供と思える彼女が、時おり官能的な顔つきで感じる様に僕はドキリとさせられていた。 見たことのない彼女の表情を探ろうと、僕はなおも舌使いを速めていく。 「はっ、は、んふっ、ん……せ、せんせい…… だめ、あ、そんな、 たくさん、されたら……でちゃう……」 「ん……出るって?」 「お、お、おしっこ……あ、ん、 おしっこ出ちゃう…… あ、ん、あ、ひゃ、う、ンンン……」 近づく絶頂をことねちゃんは、尿意を催してきたと勘違いして訴えていた。 「うん、いいよ、 そのまま出してもいいよ」 ある意味、好都合と捉えた僕はそのまま促させて舌遣いは割れ目を中心に舐めていく。 「そんな、あ……あはふ、ん、汚れちゃう…… あ、ん、せんせい、あ、は、あ、ん ――だめ、ですぅ……!」 恥ずかしさと、僕に対しての申し訳なさに、最後の一線をぐっと堪えようとしていた。 僕としては最後の最後、絶頂に身もだえすることねちゃんが見たくてならなかった。 少し強引とも思えたが、僕は割れ目の先端にある陰核を舌で突いて強烈な刺激を送り込んだ。 「はひゃ! ンンンッ! あ、そこ、そこ……だ、めぇ…… ど、どうして……?」 「もう、だめ……本当に、出ちゃう…… お、お、おしっこ、出ちゃい……ますぅ……」 「いいよ……思いっきりしてごらん? ……はむっ、ぺろ……」 クリトリスの刺激に、ことねちゃんはお尻をプルプルと震わせながら、いっそう声を張り上げていた。 我慢の限界のことねちゃんは、僕にゆだねるかのように告げた後、断続的に嬌声を上げながら―― 「あ、はふ、ん……くうぅ……ん、ん…… だ、め……出る、せんせい……出ちゃう、 もう、もう――」 「ひゃっ! んっ、んっ……ンンン…… はふ、ん、ん……っ」 ことねちゃんは身体を激しく震わせて、絶頂に達していた。 尿意と勘違いしていたことねちゃん。もちろんおしっこなんて出はしなかった。 代わりに、エッチな汁が割れ目を湿らせていた。 「はっ、んっ、んっ、んん……はぁ、はぁ……」 派手にイッたことねちゃんは、恥ずかしい格好のまま、今もなお身体を震わせていた。 恍惚とした瞳を僕に向けているが、焦点はほとんどあってはおらず、不規則に呼吸を乱していた。 「んちゅる……ん、ん……よし、これで大丈夫かな」 「はっ、はぁ……本当? ビョーキ、ならないですか…?」 僕の言葉を鵜呑みにして、身体の異変を気にかけることねちゃんに、多少の罪悪感を覚えていた。 「うん、僕が診てあげたから大丈夫だよ」 そう言うと、ことねちゃんもニコリと嬉しそうに微笑み、身体を起こす。 名残惜しむ僕もまた、身体を起こそうとする―― 「……いててっ」 「せ、せんせい?」 立ち上がろうとして、股間に強烈な痛みが走り、つい口に出してしまっていた。 ことねちゃんを愛撫する最中、イチモツがズボンで締め付けられて、痛めてしまったようだった。 「せんせい、大丈夫ですか?」 「ことねちゃん……え、えっと……」 情けない……。 膨れ上がった欲望の塊だったが、激痛に呼び戻される理性のおかげで異常な考えを遮断する。 「お腹いたいの?」 不自然に前屈みの僕に心配そうに声をかけてくれることねちゃん。 「(ことねちゃんなら……)」 えみちゃんの時とは状況も場面も違う。 しかし甘い誘惑にほだされて、気がつけば僕は口にしてしまっていた。 「実はね、これ……大きくなっちゃって……」 ゆっくりと立ち上がり、ことねちゃんの前に大きくなった股間を見せる。 「え、え、せ、せんせい…… これ……どうしたんですか?」 驚いた様子のことねちゃんが、隆起した股間を前に動揺を露にしていた。 「ことねちゃんのを舐めてたら こんな風になっちゃったんだ」 「そうなんですね…… ど、どうしたらいいですか?」 自分のせいで大きくさせてしまった、と思い込むことねちゃんは上目遣いで訊ねてきた。 「さっき僕がしたみたいに、 今度はことねちゃんがしてくれると治るかな」 「せんせいがしたみたいに…… な、なめたりするんですか?」 「そうだね。 ことねちゃんにしてもらわないと 治らないと思うんだ」 うまく行為へともっていくために、僕はあれやこれやと言葉を探す。 ことねちゃんは恥ずかしそうにしながらも、瞳はやる気に燃えてくれていた。 「分かった……が、がんばります……!」 そんな彼女の様子に僕も意を決して、生徒の前でズボン、下着を下ろして勃起した男性器を露にするのだった。 「わっ……こ、これがせんせいの、 ……すごいおっきいです…… いつも、こんなに大きいの?」 「まさか。 さっきみたいなことをしてると 大きくなっちゃうんだ」 近からず遠からず、それっぽい説明をして受け止めさせていく。 ことねちゃんはまじまじと僕のペニスを眺めていた。恥ずかしげに頬は赤くなっていたが、興味津々といった様子だった。 「えっと……それで、どうしたら治るの?」 どうする? まずは触ってみてごらん 説明する 「そうだね、まずは触ってみようか」 「こ、ここを……さわるの?」 「うん、僕がことねちゃんを触ったみたいに、 今度はことねちゃんが僕のを触る番」 適当な理由を言って、大きくなったペニスを触らせる。 えみちゃんよりも一つ下の女の子に、いかがわしいことを教え込ませる背徳感に高ぶり、ペニスがビクンと反応する。 「ひゃっ! い、いま……ビクンて大きくなった……」 「ごめんごめん……さっ、気にせずに触ってみて」 「う、うん――は、あ、はあ……」 ことねちゃんの手が恐る恐る僕の股間に伸びた。 「あ、あ……これが、男の人のなんですね…… わたし、初めてさわりました……」 「それは、そうかもね……」 親子でも自分のを触らせようとはならないだろう。 小さな手が僕の亀頭を優しく包み込んでくれている。 緊張からか、少し汗ばんでいる彼女の手がひんやりとしていて気持ちいい。 「これが……すごい、熱い……かたいけど、 なんだか、やわらかい感じ…です」 亀頭部を握る彼女の指に圧がかかって刺激が送り込まれる。 大した力でもないのに、ペニスは敏感に反応してビクビクと脈を打つのだった。 「すご、い……さっきみたいに、動いてます」 「今、ことねちゃんが触ってるところが亀頭だよ、 おちんちんの先っぽ」 「お、おちん……きとう……? へんな形……」 そう言いながら、ことねちゃんは少しだけ楽しそうに亀頭を指で刺激する。 「ん、ん……そこは、少しデリケートな場所だから、 少し優しくね」 「そうなんだ……はい、やさしく、やさしく……」 乱暴に扱ってはダメということを刷り込ませて、ことねちゃんの指遣いが弱くなった。 彼女の指は、亀頭部は満足したのか、それから少しずつ下りていって陰茎へと伸びていった。 「わ……こっちは、すごくかたい……それに太い……」 「そ、そこは……えーっと、竿? かな……」 そういえばなんて言うんだろうか。 あまり具体的な名前は覚えてないし、彼女にまともに教えたところで分かりはしないだろう。 それっぽいニュアンスをことねちゃんには教えながら、一通りの部位を教えていく。 「さお……うん、ちょっと長いかも…… ごつごつしてる……ここもやっぱりヘンな形……」 そう言いながら、彼女の両手が陰茎を這う。 彼女にとっては触っているだけに過ぎないだろうけど、それだけでも強力な刺激となって襲いかかっていた。 「ことねちゃんが触ってくれたら治るかな」 「こ、ここをさわると治るんですか?」 「うん、僕がしたみたいに、 ことねちゃんも触ってみてごらん」 一つ一つ説明して、ことねちゃんの中での疑問を取り除く。 「ことねちゃんは、先生が触っていたとき、 どんな感じだった?」 「えっと……ふわふわして、もぞもぞして、 ヘンな感じでした……」 「そっか。 変な感じっていうのはやめて欲しい感じ?」 肝心なところを僕は訊ねてみて、ことねちゃんは頬を赤くし、小さく首を横に振っていた。 「は、恥ずかしかったけど…… イヤじゃなかった……です」 ことねちゃんも知らず知らずに感じているのが、今の反応を見て分かった気がした。 そんな彼女を見て、僕も嬉しくて自然と笑みがこぼれた。 「うん。僕もそんな感じ。 もぞもぞするけど、 イヤじゃないって気分なんだよ」 「せんせいも……わたしと同じなの?」 「そう。イヤじゃないし、 もっと、ことねちゃんにしてほしいかな」 少し甘えるように告げると、ことねちゃんは照れたように頬をますます赤くしていく。 その中には、少しの嬉しさも混ざっている様子だった。 僕のペニスに手を添えた彼女はゆっくりと指を動かし始める。 「それなら……こ、こうでいいですか……?」 亀頭に添えた手が拙く動き始める。 「ん、ん――そう、 ゆっくりでいいから動かしてごらん」 「は、あ……は、はい……すごい熱いです…… せんせいの大事なところ……」 亀頭からペニス全体を触っていくことねちゃんの指遣いに、それはイヤでも反応してしまう。 「すごい、ビクビクッて、まだなってます ……せんせいは、痛くないですか?」 「うん、その逆だよ。 ことねちゃんにしてもらえて 嬉しいって喜んでるんだよ?」 肉棒の気持ちを代弁する僕は、気恥ずかしくあったけど、刺激はその通りだった。 「これ……気持ちいいの……? せんせいは、気持ちいいと嬉しいですか?」 「もちろん。恥ずかしいけど嬉しいよ」 僕は感じるままをことねちゃんに告げて、ペニスの刺激をしっかりと受け止めていた。 ことねちゃんの頭にはいまだに『?』が浮かんでいる様子だった。けど―― 「ふふふ、せんせいがうれしいと、 わたしもうれしいです……」 ことねちゃんは強張っていた表情を崩し嬉しそうに笑った後、ペニスと向き直る。 ペニスを小さい手で包み込むようにすると、ぎこちない指遣いながら一生懸命、扱こうとしてくれていた。 「こ、こんな感じでいいですか?」 「うん、ことねちゃんの温かい手が気持ちいいよ。 ほら、ここも喜んでる」 そう言って、僕はペニスに意識を向けて、呼応するかのようにビクビクと反応させる。 「よろこんでる……? んっ、本当です。 びくびくってします……」 「わたしがして、気持ちいい……ん、 もっと、もっとがんばります」 健気に肉棒を指で扱いてくれることねちゃんに僕は、今が授業中であることをすっかり忘れて行為に没頭してしまっていた。 見下ろす先には一生懸命肉棒を扱くことねちゃんがいる。 何年も教員生活を送ってきたが、まずお目にかかることのできない光景にぞくぞくと背中が震えた。 「こ、ことねちゃん……」 どうする? 気持ちよくできてうれしい? おちんちん、どうかな? 「先生のことを気持ちよくできてうれしい?」 自分でも何を聞いているのか恥ずかしさを抱くも、聞かずにはいられなかった。 聞かれたことねちゃんは照れくさそうに、ペニスを手で弄びながら言いにくそうにしていた。 だが。 「え、えと……ん……よく分からないけど、 せんせいがうれしいならしてあげたいです」 「こ、この前の時も、 せんせいにしてもらったから……」 「この前……ああ、遠足の時かな」 恥ずかしそうに過去を振り返ることねちゃんは、僕が思い出したことでいっそう頬を赤くしていた。 「こ、今度はわたしがせんせいに 何かしてあげる番……ん、んっ、んしょ……」 僕のために尽くそうと、ペニスを覆うことねちゃんの指が前後に動いてしごいてくれる。 お世辞にもうまいとは言えないものの、一生懸命なことねちゃんを前にペニスは脈を打っていた。 ことねちゃんのアソコを舐めて興奮も高まって、感度もあがっているようだった。 「ん、ん……せんせいを……もっとたくさん…… 気持ちよく……ん、んしょ……」 「うぅっ……ん、ん――すごい、 いいよ、ことねちゃん」 一人の生徒にイチモツを握らせて、それに気分よく感じている聖職者。 これまで積み重ねてきたいかがわしい行為によって、歯止めが利かなくなりつつあった。 「せんせい…… まだ、大きくなってる……ん、ん――」 「そうだね、 ことねちゃんが気持ちよくしてくれるからね」 「んっ、でも……それじゃ、 せんせいの…その……ここはこのままなの?」 大きく腫れ上がったイチモツを前に、ことねちゃんは本気で心配してくれていた。 「そんなことないよ、ちゃんと最後は元に戻るから」 「んっ、ん……本当?」 「うん。 それには、ことねちゃんの頑張りが必要かも」 少し意地悪に促すと、わずかに緊張した様子がサオを握る指先から感じられる。 「それなら、わたし……がんばる……ん、 はぁ、わたしが治してあげます」 汗ばむ彼女の指が肉棒に絡み、陰茎をキュッと握りしめて前後に動かし始める。 小さな手が裏筋を撫でるもどかしい刺激に、身体は震えてしまっていた。 「先生のおちんちんを見て、どうかな?」 じっとペニスを見られる恥ずかしさに僕は耐えられず、意地悪くことねちゃんに訊ねていた。 見慣れない形をした男性器を前に、ことねちゃんはそれでも手を動かして刺激を与えてくれていた。 「そ、そんなの……分かりません」 「そう? お、お父さんとお風呂に入るときとか見ない?」 生徒の親の事を話題に出すのをおかしく思いつつ、ここまできたら引くに引けなくなっていた。 「お父さんはお仕事がいそがしいから……」 一瞬、かげりを覗かせたことねちゃんに、僕もしまったと、知らない家庭の事情に顔をしかめる。 そんな僕に気を遣うかのように、慌てて取り繕うことねちゃんは。 「あ、えっと……でも、本では見たことあります…… こ、こんな大きいのは初めてだけど」 ことねちゃんが見た本が何かは分からないけど、可愛らしく描写されているモノだろう。 初めて見る肉棒の大きさに、ことねちゃんも反応に困っただろう。 多少の恥ずかしさこそ抱くものの、ペニスをチラチラと気にする辺り、興味がないわけではないようだった。 「初めてなら仕方ないね。 よかったら、もっと観察していいよ」 「は、はい……せんせいも、 こうしてさわると気持ちいいですか?」 「そうだよ。 ことねちゃんがもっと気持ちよくしてくれたら、 元の大きさに戻るから」 「わ、分かりました…… なら、わたしもがんばる……ん、んしょ、 ん――はぁ、ん……」 ペニスを握る手に力がこもり、肉棒全体を手のひらでしごき始める。 汗ばんだ手が陰茎を滑り、拙い指遣いの不規則な刺激が新鮮でもあった。 「ん……あ、ん、せんせい……これ……」 しばらくことねちゃんに肉棒を預けていると、先端から透明の液体が少量ながらもあふれ出てきていた。 「これ……なに……お、おしっこ?」 「お、おしっこじゃないんだけど…… う〜ん、説明が難しいなあ」 僕もどういうものか分かっていない以上、適当なことはいえない。 ただ、関心を持ってくれていることもあって、正直に話すのも教師としてのプライドが許さなかった。 「それは、好きな女の子に 気持ちよくしてもらうと出てくるんだ」 うまい言い回しができず悩んだ挙句、僕はことねちゃんを傷つけずに伝えるべく言い切った。 「え、あ、す、好き……? せんせい、わたしのこと、す、すきですか?」 「もちろん。 好きな人の前じゃないと、 こんなに大きくはならないからね」 恋愛感情を理解していないと決め付けて、ことねちゃんの年頃にあわせて話をする。 つまり、loveではなくlikeであり、父性が抱く感情に近い。 もちろん、ことねちゃん以外にも、受け持つ生徒は全員好き。だが、それもまたlikeのそれである。 当然、それを彼女に伝えたところで説得させるのは難しく、かなり大雑把に気持ちを伝えたのだった。 「そ、そうなんだ……わたしが好きだから、 こんなにおっきく……つ、つゆも出るの……」 「――それなら、 わたしがさいごまでしてあげないと……」 僕の言葉でヘンに火をつけてしまった様子のことねちゃんは、指にも力が入った。 さらに、彼女は教えてもいないのに―― 「はぁ、はぁ……あ、あむっ」 「うぁ……! ちょ、こ、ことねちゃん!?」 「こうしたら……せんせいはもっと 気持ちいいかと思って……」 自分なりに考えて、奉仕のやり方を実践したことねちゃん。 それが喜ばせ方の一つとも知らず身に着けた彼女に、僕のイチモツは激しく脈を打っていた。 「んふ、ちゅる……はむっ……うん、 わたしが気持ちよくして、 もっと汁を出してあげます……」 小さな舌先が亀頭を這う。 恐る恐るといった感じの舌遣いは決してうまいとは言いがたかった。 健気な彼女に僕は―― どうする? すごくいいよ、その調子だよ そんな簡単には出ないよ 「うん、すごくいいよ。その調子だよ」 突然の口唇奉仕に驚かされつつも、僕は素直に、気持ちを彼女に伝えるのだった。 ぽおっと頬を赤らめたことねちゃんは、少しだけ笑みを浮かべている。 「は、はい……ん、ちゅぷっ……んっ、 はむっ……が、がんばり、ます……」 僕に褒められたことが嬉しいようで、口唇はなおも激しさを増して、ペニス全体を舌で、口で刺激してくるのだった。 口内で唾液が分泌されるそれを飲み込むことも忘れて、亀頭を頬張る。 生温かな口の中の感触とともに、ヌラヌラとした液体が亀頭の先に付着していくのが分かった。 「れろ、ちゅむ……つゆ……ん、 はむっ、わたしが、吸い取って……ちゅむ、 ちゅっ、ちゅっ……」 ペニスを頬張った状態で、我慢汁を吸い取ることねちゃん。 ペニスごと吸い上げられる突然の快感に、身体全体が震えていた。 「お口の中で、もっと大きくなってます……ん、 ヘンな感じ、です……ん、はむっ、ん、ん……」 「ことねちゃん……本当に、上手だよ。 先生を気持ちよくするのは、優等生だね」 「ん、は、あ……うん、せんせいのためなら、 わたしも、がんばれるから……」 「ん、は、むちゅ……ん、ん―― はむっ……もっと、もっとしてあげる」 今までされてきたお返し。と言わんばかりに、肉棒を咥えてしゃぶるのだった。 勝手は分かってはおらず、口の中でもごもごさせるだけ。 時おり彼女の歯が亀頭に当たる。 しかし、それはむしろ心地よい刺激となって肉棒は激しく脈を打つのだった。 「ん、ん――そう、そうやって、口で咥えたまま、 指で、竿の部分を持って動かしてごらん」 「う、うん……えっと、 ……こ、こんな感じですか……?」 僕の指示に従うことねちゃんは、亀頭部を咥えたまま、陰茎を優しく包み込み前後に扱き出す。 「く、ぅぅ……それ、いいよ……すごくいい……」 異なる二重の刺激に情けない声をあげてしまっていた。 「せんせい……は、むちゅる……うん、 わたひも、もっと気持ちよく、する…… れろ、ちゅむっ、ん、ん……」 見せた事のない僕の反応を仰ぎ見ることねちゃんは、より躍起になって口唇奉仕に熱が加わっていた。 恐る恐るといった様子で舌が亀頭に当たる。それがまた違った快感を呼んで、激しく脈を打つのだった。 「んっ、そんな簡単には出ないよ」 「そうなんですか……どうしたら……?」 おだててあげればよかったかもしれないが、ことねちゃんを見ているとイタズラ心が芽生えてしまっていた。 稚拙な口唇奉仕だが、初めてにしては上出来でもあった。 それでも、ここまでできたことねちゃんにもっと要求してしまいたい自分がいた。 「先っぽだけじゃなくて、全体を舐めてみて」 「は、はい……はむ、ちゅむっ…… はむっ……れろ、ん、ん、ん……」 ことねちゃんは素直に亀頭だけではなく、陰茎を唇にあてがい、キスをするように這わせていた。 「そうそう、そのまま舌も使ってごらん?」 「は、む、ちゅむっ……うん、 れろ……ん、ん……ん」 口内に溜まっている唾液を塗りたくるように、ことねちゃんの舌が陰茎をつたっていた。 次第にペニスは彼女の唾液と溢れるカウパー液にまみれてテカテカに光っていた。 「んちゅる……先っぽ、から……ん、 はむっ……れろ、たくさん、出てきました……」 「うん、気持ちいいから どんどん出てきちゃうんだよ」 素直に僕の指示を聞いて、すぐ実践に移すことねちゃんに、肉棒も喜ぶように激しく反応を返していた。 ペニスが反応することに、ことねちゃんも嬉しくなってきたのか、舌遣いも激しくなっていく。 肉棒を頬張る彼女は、まるでとり憑かれたように一心不乱にしゃぶるのだった。 歯が陰茎や亀頭にぶつかるのを男性器から感じ取りつつも、僕は気に留めず、彼女に任せるのだった。 「んちゅぷっ……ん、ん―― はぁ、はぁ……ごめんなさい…… せんせいのが大きくて……」 やはり不慣れなことで疲れてしまったのか、少し申し訳なさそうに口を離すことねちゃん。 「そういう時は、さっきやってたみたいに、 手を使ってもいいからね」 「は、はい……手も使って、 ……わっ、ヌルヌルします」 自分の唾液によって濡らしたペニスを握る彼女は、戸惑いながらも再び陰茎を握り締める。 そうして、扱いて刺激を与える中、亀頭はことねちゃんの口腔に収まり、弄ばれるのだった。 「う、ん、すごい…… もっと、強く握ってみようか」 「もっと、ですか……? そんなにして、いたくないですか?」 「大丈夫だよ。 無理して咥えなくていいから先っぽも、ね?」 「は、はい……あ、はむ、んちゅる、 むふ、ん……れろ、はむ……ちゅぷ、 ん、はむっ……」 キュッと陰茎を握る指に力がこもる、けど、それもまだ加減をしているようにも感じられた。 加減の分からないことねちゃんは僕の反応をうかがい、徐々に力を加えて扱いていた。 並行して肉棒をしゃぶる舌遣いも、まるでアイスクリームを舐めるみたいに舌をはじかせてペロペロ舐める。 また、口内でモゴモゴと転がしたり、ことねちゃんなりにペニスの扱い方を知ろうと一生懸命のようだ。 「くぅ、いいよ、その調子…… 先生を喜ばすことねちゃん、すごいよ」 「あ、は、ん……う、ん…… せんせいが教えてくれるから……はむ、 わたし、もっとがんばります」 褒められてなお嬉しそうに口を窄めて肉棒をしゃぶり、手の動きも早さを増していった。 「あ、う……やば……い、 ことねちゃん……もう……」 「ん、ちゅ……ふぇ? ……だいじょうぶですか……?」 「いや、もうすぐ……だから、 ことねちゃんは続けて……」 僕の反応に首をかしげるものの、再びペニスを頬張る。 稚拙ながらも長いこと受けた口と手からの刺激。 また、先ほどまでことねちゃんの股間を触っていた高揚感によって、絶頂がこみ上げてきたのだった。 外に出したほうがいいのだが、ことねちゃんの服を汚しかねない。 何より、僕自身がこの快感を最後の最後まで味わっていたかった。 「ぐ……ことねちゃん……もうすぐだから…… もっと、強く、激しく……」 搾り出すような声を上げる僕の様子を心配しつつ、指示を強く受け止めて、ことねちゃんのフェラもいっそう激しさを増す。 「せ、せんせい……んちゅる、むふ……ん、 ん……じゅぷっ、むふ…… むちゅ、んっ、んっ……はむっ」 ヌチャヌチャと指を動かすたびに、卑猥な粘膜音とともに、くぐもったことねちゃんの声が響く。 直接伝わる刺激とあわせて、五感全てで捉える刺激に、僕は強い射精感を下腹部から感じて―― 「ことねちゃん……い、く……」 「んちゅる……れろ、むふ……い…く……? んちゅ、ん、ん、あむ……」 「むふっ、ん、ん、ん、んんん!」 「うぐ、口、離しちゃダメだよ、 服が汚れちゃうから……」 「ふぁ、い……ん、むふ……ん、ん、ンンンン……」 強烈な射精感が走るのを感じつつ、僕はことねちゃんの口内に大量の白濁液をぶちまけたのだった。 眉をひそめて苦しそうにする彼女を我慢させ、口の中に溜め込んでいく。 「んむ、むぐっ……ら、め……くるしい ……んぐ、ん、ん……」 あまりの量にことねちゃんは顔をゆがめて口元からは少量の精液が滴っていて。 さらに、少しばかり喉を鳴らしそれを飲み込んでいた。 「ん、んぐ、むっ、ん……はぁ、はぁ……」 射精が止まったのと並行して、先ほどまでのイチモツの張りがなくなるのを感じたことねちゃんは荒い呼吸を整えていた。 「ご、ごめん……すぐに吐き出していいから」 「んっ、ん、んっく、はぁ、はぁ……あ、あぅ……」 少し申し訳なさそうにしながら、小さな手でお皿を作り、ぼたぼたと精液を漏らしていく。 それがまたいやらしく映るのだった。 「うぅ……ネバネバしてきもちわるいです…… これ、せんせいのおしっこですか……?」 ことねちゃんは精液を吐き出しながら訊ねてくる。 「いや、おしっことは別なんだ…… えっと、それは……」 絶頂した後ということもあって、脱力した脳はなかなか働いてくれなかった。 そんな僕とは対照的に、ことねちゃんは精液を前に興味を抱いていた。 「こ、これも……好きな人にしか出ないの?」 「え、あ、うん。そうだね。 その白いのは特別な人にしてもらわないと 出ないんだよ」 「と、とくべつな人…… わたしは、せんせいのとくべつな人?」 「そ、そうだよ。 それに、大きくならないと出ないからね」 「そ、そうなんだ……」 ことねちゃんがフォローしてくれるかのように訊ねたそれに乗っかる形で、僕も適当な理由を作って話をする。 頬を赤くすることねちゃんは、意味深に何度も頷きつつ、何とか理解してくれたみたいだった。 「もう大丈夫かな……」 口元を持っていたハンカチで拭いてあげ、最低限の処理を済ませる。 「せんせいもだいじょうぶ……だね」 「えっ……ああ、うん。 ことねちゃんのおかげで元に戻ったよ」 ズボンにすっぽり収まったのを確認して、僕も照れながら口にする。 「このことは2人だけの秘密だからね」 「うん、わたしも、お漏らししたこと、 みんなに知られたくないから」 「ふふ。そうだね。それじゃ、行こうか」 そうして、僕たちは再びグラウンドへ出て、残り時間でことねちゃんにサッカーを教える―― というわけにはいかなかった。 「せんせー、どこに行ってたのー!?」 「えっ!? ああ、いや〜」 「倉庫にずっと隠れてただろー! サボりー」 生徒からやっかみを言われて睨まれる。 僕はともかく、ことねちゃんに火の粉が飛ばないよう気になったけど、そんな心配はなかった。 そこに笛を吹くえみちゃん。 「サボってたバツ! 今度はせんせ対みんなでしまーす!」 「ええっ!? ちょっとえみちゃん……」 えみちゃんに審判を任せたばっかりに主導権は彼女に握られてしまい、ことねちゃんに教えることができなくなってしまった。 そうして、残りの時間、生徒たちに揉まれるかのようにサッカーに付き合うのだった。 放課後―― 「……っと、消毒薬はどこだったかな?」 あれから、クラスのみんなとサッカーをしたはいいものの、良い所を見せようとして張り切りすぎたみたいだ。 膝には擦り傷が出来ていて、血がにじみ出ている。 放っておいても大丈夫そうではあるが、念のため、消毒だけはしておこうと保健室にやって来ていた。 「…ッ……染みるっ……!」 消毒薬を清潔なガーゼに染みこませ、傷口に当てるとズキリと鈍い痛みがやって来る。 そう言えば、こんな怪我をするなんて久しぶりだ。 擦りむいた箇所に絆創膏を貼り終えると同時に、ドアが開く音がする。 「…せんせー……」 保健室の入口には私服に着替えを済ませたののかちゃんが立っていた。 「おや? ののかちゃん、どうしたの? ひょっとして怪我でも?」 「ううん。そうじゃないよぉ……。 せんせーに教えてもらいたいことがあって……」 「…そっか、ちょっと待ってね」 ののかちゃんの表情はいたって真剣そのものだ。 こんな様子は珍しい。 「…んっ」 お悩み相談だったら、立ち話もなんだ。 椅子を持ってくると、ののかちゃんがそこに腰掛ける。 「それで、先生に教えてもらいたいことって?」 「あ、あのね……この前のことなんだけど……」 顔をうつむかせ、不安げに話し始める。 こういう時はまず相手に全部話をさせた方が効果的なので、黙ってののかちゃんの話に耳を傾ける。 「…雨の日、せんせーと公園で雨宿りした時 なんだけど」 「せんせーが私を暖めてくれて…それで、なんか よくわかんない感じがして」 「………………」 あの日のことを思い出し、嫌な汗が出てくる。 突然、雨が降ってきてののかちゃんと一緒に遊具の中で雨宿りをした。 体を冷やしてはいけないと、暖めてあげたのだがその時、色々と触ってしまった。 「…それでね、その時…おまたから何か出てきたの」 「おしっこじゃなくて…ねとねとしたお汁が 出てきちゃって……」 「…………」 つまり、ののかちゃんは愛液のことがわからず、不安になっているということか。 「…せんせー……あの、ねとねとしたのって何? 病気じゃない…よね……?」 「うん。それは心配しないでも大丈夫だよ」 「…でも……あんなの出るの初めて だったんだよぉ……」 心配しないでも大丈夫と言ってあげたはいいものの、言葉だけでは不安は拭いきれなかったみたいだ。 「…………」 これはきちんと説明した方が良さそうだが……。 どう説明したらいいのだろうか。まずは女の子の体の仕組みから? ののかちゃんの悩みにどう答えたらいいものか考えを巡らせていると―― 「…せんせー、ちゃんと見てほしい」 「えっ? 見て欲しいって……?」 「私のここ……病気なのかどうか、せんせーに きちんと見て貰いたい」 そういうとののかちゃんは立ち上がって、ベッドに深々と腰を下ろす。 「えっ……の、ののかちゃん…何を…!?」 ののかちゃんはベッドに腰掛けると、両足を抱え込んで寝転がる。 可愛らしい水玉模様のパンツが露わになり、思わず目をそらしてしまう。 「…だって、こうしないとせんせー、よく見えないと 思って……」 それに比べ、ののかちゃんは普段通りのゆったりとした口調。 「…………」 「ん? せんせー、どうしたの?」 あまり恥ずかしくないのだろうか? 年相応の無邪気さに、僕の方が恥ずかしくなってしまう。 「…コホン」 わざとらしく咳をして、まずは気持ちを落ち着かせる。 「それで、先生はどうしたらいいのかな?」 「うん。私のここ、おかしくないかどうか ちゃんと確かめてほしい」 確かめるって、一体何をしたらいいのだろう? とりあえず、下着にピッタリと覆われた秘部をじっと眺める。 「…せんせー? 見ているだけで分かるの?」 「ちゃんと触って確かめてほしい……」 ののかちゃんはすごく真剣な様子だし、きっとずっと悩んでいたに違いない。 だったら、僕が何とか安心させてあげないと。 それが教師の役目なんだからと、自分に言い聞かせて―― 「じゃあ、ちょっとだけ触るからね?」 「…うん」 まるで壊れ物を扱うかのように、ゆっくりと下着越しの秘部に指を触れる。 「…ひゃっ……んっ……ふっ……!」 指先が触れただけで、ののかちゃんは身をよじらせてしまうので、慌てて手を離す。 「ごめん、ののかちゃん。痛かった?」 「ううん……。くすぐったかっただけだよぉ」 さて、これからどうしようか?ちょっと触れただけで、この様子だし……。 「(とりあえず、気持ちよくさせて愛液を分泌させて、  ――それから説明するか)」 「ののかちゃん、もうちょっとだけ触ってみるから 我慢、できるかな?」 頭の中でこれからの方向性を決めてからののかちゃんに話しかける。 「うん…。我慢、する……」 「…んくっ……んんっ……ぁぅ……ぅ…んっ……」 再び、ののかちゃんの秘部に指を当てる。 するとののかちゃんは足を抱え込む手に力を入れ、体を強張らせながらくすぐったさに耐えている。 「ののかちゃん、偉いね。 もうちょっとだけ、我慢してね」 「う、うん……! がんばるぅ!」 我慢できたことを褒めてあげるとののかちゃんは嬉しそうな顔をする。 「…んっ……」 「……んんっ……んくぅっ……ひぁっ……あっ……」 さすがに触っただけでは濡れてこない。 愛液を分泌させてあげようと、指を擦るように上下に動かす。 「ひやっ…あふっ……せ、せんせー……それ…… んんっ……だ、め……」 さすがに動かすとくすぐったさが耐えられなかったようで、指から逃げるように腰を動かしてしまう。 ……ここで焦ってはダメだ。根気よくやらないと。 「んんんっ……あっ、あっ…ふやぁ……くぅぅ……」 「せ、せんせー……んんっ……あっ、ふあぁ……」 触って、擦るだけで何度も身をよじってしまうののかちゃん。 「…んあっ……あっ……はぁ、…っ…んっ……」 そんなののかちゃんの反応を確かめつつ、愛撫を続けていく。 「ののかちゃん、どう?」 一度、手を離して聞いてみる。 「ん? くすぐったいけど…でも…なんか違う 感じも…してきたよ?」 愛撫を続けていくうちに慣れてきたのか、大きく体を動かすことがなくなってきた。 「じゃあ、もうちょっと触っても大丈夫かな?」 「うん……だいじょーぶ……」 頬をほんのりと赤く染めながら、コクンと頷く。 「んっ……」 「…んはぁ……あっ…あっ…あっ……んぅっ……!」 ちょっとだけ強めに指を当てると、ののかちゃんの体がビクリと跳ねる。 「んんんっ……あっ、あうっ……んくぅ…… なんか…ジンジン…して…きた……」 体をぎゅっと強張らせながら、切ない声を漏らしている。 ひょっとしたら、感じ始めているのかも知れないが…。 下着越しだと、いまいち状態がよく分からない。 「…ののかちゃん、もっとじっくり見てもいいかな?」 「ん? じっくりって?」 「…その…下、脱いで……」 別にののかちゃんの秘部を生で見たいから提案したわけではない。 そりゃ、見たくないっていうわけでないがさすがにそれはマズイということは承知している。 ――あくまでもののかちゃんに安心感を与えるためにしていることなんだ。 「うん。そうだね、確かにこのままだと よく見えないね」 「だったら、いいよ。せんせーにお任せする」 無邪気に笑いながら僕に身を任せるののかちゃんに心がチクリと痛む。 これは安心感を与えるためにしていること。やましい気持ちでしているんじゃない。 再度、同じ事を心の中で呟きながらののかちゃんの下着に手を掛けてゆっくりと上に上げていく。 「…ふわぁ……丸見えだぁ……」 秘部をさらけ出し丸見えになってしまっているがののかちゃんは相変わらずだ。 「…………」 自分から脱がしておいて今更だが……。 ののかちゃんの様子にこっちの方が逆に恥ずかしくなってしまう。 「…ん? せんせー、どーしたの?」 「何でもないよ……」 汚れのない真っ白な恥丘、ピタリと閉じた1本の縦筋を思わず凝視してしまう。 「せんせー、これでよく見えるでしょ?」 「うん、そうだね」 とはいえ、このまま見ているだけというわけにはいかない。 見たところ、ソコはまだ潤っている気配がない。 触って、愛液が分泌されているかどうか確認しないと。 「…んひゃうっ……んんっ……ひやぁぁ……っ……」 指先が縦筋に触れた瞬間、ののかちゃんがビクリと体を大きく震わせる。 「…さっきと違う……なんか、ビリってきたぁ……」 布越しではない、直接的な感触に驚いているようだ。 「んっ……せ、せんせー……あっ、くっ……んっ……」 指先で筋をなぞると、さらに大きな反応を見せる。 と同時に指先にぬるっとしたものが付着する。ちゃんと濡れているみたいだ。 「ふあぁっ……あっ…あっ…んぅぅ……!」 指先に力を入れて、ソコを押してあげるとワレメからトロリとした愛蜜が溢れ出す。 指に絡みついて、いやらしく糸を引いてしまっている。 「そ、それだよぉ……そのねとねとしたやつ…… せんせーに触られて、出てきちゃった」 「そっかぁ。ののかちゃんが心配してたのは これのことだったんだね」 最初からおおよその見当はついていたが、さも今、わかったかのように振る舞ってみる。 「…あぅぅ…せんせー、それってやっぱり……」 「心配しないでいいよ? これはね、女の子だったら誰でも出てくるから」 「……そうなんだ……」 「そうだよ。女の子はね、ここを触られて感じると ヌルヌルしたお汁がいっぱい出るようになって いるんだよ」 「そっかぁ。ねぇ、せんせー……これって どうやったら止まるの?」 「さっきから、ヌルヌルがいっぱい出てきて…… 止まらなくなってるの……」 ののかちゃんの秘部から出てくる愛液はどんどん量を増している。 それが落ち着かないというか不安ということかな。 「(…止めるって…どうしたら?)」 とはいえ、男である僕には愛液の分泌がどうやったら止まるか分からない。 「…せんせぇー……」 上目遣いで不安を訴えてくるののかちゃんをこのままにしておくわけにはいかないし……。 「…そうだねぇ……それは……そうだ……! ツバでもつけておけば治るよ」 自分で言っておいて何だが、口から出任せにほどがあると思う。 「…でも、ここペロペロするなんて自分じゃ 出来ないよぉ」 ………………。 ツバをつけるって舐めるって意味で言ったわけじゃないのだが……。 「…………」 考えている間にも、ののかちゃんの秘部から漏れ出している愛蜜はお尻の穴の方まで流れてしまっている。 「だったら、先生がちゃんとしてあげるからね」 「えっ…いいの? でも、ここ……ばっちいよ? それに今、ヌルヌルしたの出てるし……」 「ののかちゃん、そのヌルヌルって別に 汚いものじゃないんだよ」 「だから、舐めても平気――」 「…ふやぁっ……せ、せんせー……!? んっ……」 ののかちゃんの股間に顔を近づけて、溢れ出る愛蜜を舌ですくい取る。 僕の突然の行動にさすがのののかちゃんも驚いているみたいだ。 「…せんせー、だいじょうぶ、なの?」 「うん。なんともないよ。 だから、しっかり舐めてあげるね」 そう言いながら、舌先で筋をなぞっていく。 「ひゃっ……あっ……んんっ……ふあぁ……あっ、 あっ…ぁっ…んぁぁっ……」 ののかちゃんの体が小さく震える。 「んっ…ちゅるっ……んっ……」 「あっ、んあぁっ……せ、せんせぇ……んっ…… くぅぅ…っ……ぁぅっ……」 秘部を愛撫するように舌先を動かしていくと、むせかえるような女の子の匂いと共に大量の蜜が溢れ出てくる。 「んっ、んっ……ののかちゃん、どう?」 「んんっ…わかんないけど…くすぐったいのと… なんか、じわぁってしたのが…くる……」 「…頭が…んぁっ……痺れていく…みたい……」 「そっか…。それが、感じるってことなんだよ」 「そ、う、なんだ……私…感じてるの……?」 「なんか変な感じだけど……いやじゃない…… きもち…いい……」 ののかちゃんはウットリしながら、僕に身を任せてくれる。 どんどん強くなっていく女の子の匂いに下半身がたぎってきてしまう。 「んんっ……!」 それを押さえ込むべく、無心でののかちゃんの秘部を舐め続ける。 「んっ…んはぁ……あっ…あっ…あっ……ふあぁ……」 「……せんせーの言う通りだよぉ…… 感じると、ぬるぬる、いっぱい出てくる……」 次第にくすぐったさを快感が上回ってきたのか、ののかちゃんの声がウットリしたものへと変わっていく。 「うん。んっ……ちゅるっ……」 「んくぅぅ……せ、せんせー……ふあぁ、あぁぁ……」 口をすぼめ、漏れてくる愛蜜を吸い出していく。 「…………」 ののかちゃんの体が小さく震え始める。 さすがにこれ以上続けると僕も自分の感情を抑え切る自信がない。 「んはぁ……! ののかちゃん、これでもう 大丈夫だから」 ののかちゃんの秘部から顔を離す。 「はぁ、はぁ……で、でも……ぬるぬる、まだ 残ってるよ?」 少々、名残惜しそうなののかちゃん。 「あとは、そこをちゃんと拭いてあげたら そのうち落ち着いてくるよ」 「そっかぁ……それで、おさまるんだぁ…… でも……」 ののかちゃんは、落ち着かないというかどこか歯切れの悪い様子だ。 「ののかちゃん、どうしたの?」 「……なんでもないよぉ……。 ただ、なんかここが、むずむずしてて……」 「そっかぁ。それだったら、時間が経てば治まるから 気にしなくても大丈夫だよ」 そのむずむずの正体も何となくだが察しはつく。 だからといってこれ以上続けたら、僕の方が理性を保てないだろう。 ののかちゃんにヒドイことをしてしまうかも知れない。 そうなる前に、ここで止めておくべきだ。 「……さてと、ティッシュはと――」 ののかちゃんのアソコを拭くべく、ティッシュを取るためにベッドから立ち上がろうとするが……。 「…………」 ののかちゃんのを間近で見て、さらに舐めていたこともあり、モノがすでに臨戦態勢になっている。 気づかれないように前屈みの姿勢で動こうとすると―― 「……せんせー、どうしてそんな恰好してるの?」 「……こ、これは」 手が反射的に股間を押さえてしまう。 「せんせーもそこ、変な感じ…なの?」 ののかちゃんは、下半身丸出しのまま無邪気に聞いてくる。 「……ひょっとして、私のペロペロしたから?」 不安そうに聞いてくる。 確かに、ののかちゃんのを舐めたからこうなってしまったのは間違いではないのだが……。 どう言ってあげるべきか……。 「……これはね、ののかちゃんと同じ状態 なんだよ」 「ほら、さっきののかちゃんのを先生が触ったら、 トロトロしたお汁が出てきたでしょ?」 「……うん……出てきたよぉ……」 「男の子はね、まずここがムクムクってなって それから、お汁が出るんだよ」 色々と省略しているが、今はこれぐらいの説明で大丈夫だろうけど……。 「だったら、私、見てみたい! せんせーのそれも、私が触ればお汁出るの?」 懸念した通り、好奇心旺盛なののかちゃんがあのまま引き下がるってことはなかった。 「いや、さすがにそれはダメだよ」 「えー、でも、さっきせんせーは私にしてくれたよ? だったら、私もせんせーにやってみたい」 「……これは自分で何とか出来るから」 「えっ!? 自分で出来るの? ってことは、私のも自分で出来るってこと?」 しまった! 何とか言い逃れようと思ったけど今度は別のことに興味を抱かせてしまったみたいだ。 「ねぇねぇ、自分で出来るんだったらやってみたい。 せんせー、自分でやる方法教えてよぉ」 目をキラキラさせながら言ってくる。 僕が言っているのはいわゆるオナニーのことなんだけど、それを教えるのはいくら何でも……。 「それが出来たら、私のウズウズもスッキリする かも知れない」 「放っておけば治るって、せんせーさっきゆった けど…やっぱりこのままだと落ち着かないよぉ」 ののかちゃんは太股をモジモジさせながら、言ってくる。引く気配は全く無い。 「………………」 ここは教師として、生徒が知りたいってことを教える必要があるかも知れない。 ののかちゃんが不安になっていたのも、女の子の体の仕組みを知らなかった故のことだ。 もし、知識なしでオナニーを覚えたら新しい不安の種が出来てしまうかも知れない。 だったら、やはりしっかりと教えてあげるべきだ。 「……だったら教えてあげる。 そこ、ムズムズしたままっていうのは可哀想だし」 「うん♪ だったら、せんせーがするところも 見せてほしい」 「私も自分でするから、せんせーも一緒にしよ? それで、一緒にスッキリしようよぉ」 それって、つまり、オナニーを見せ合いっこするってことだよなぁ……。 ここでダメって言っても、ののかちゃんのことだから絶対に引き下がらないだろうし……。 「やるしかないか……」 「よっと――」 ののかちゃんはベッドに上がってから、しゃがみ込む。 それから右手で体重を支えながら左手でカーテンをぎゅっと掴んでいる。 「…ねぇ、せんせーのも見せて」 「…………」 僕の股間に期待のまなざしをむけるののかちゃん。 ここまできたら、後には引けない。 ののかちゃんの見ている前で、チャックを下ろしいきり立った肉棒を露出させる。 「…す、すごい……。せんせーの、パパのと 全然違うよぉ……」 「お風呂でパパのを見た時はもっとふにゃふにゃって してたのに、せんせーのは、ビクビクってしてる」 ののかちゃんは恥じらいもせず勃起したモノに視線が釘付けになっている。 「…………」 しゃがんだことでより強調される秘部に、こんな状態を見られているという背徳感。 僕に露出癖とかないはずだけど、意識すればするほど、モノが膨張していってしまう。 「…ののかちゃん、男の子はね、お汁を出す準備が できると、こうなっちゃうんだよ?」 「そっかぁ。じゃあ、パパはお汁が出る準備が 出来てなかったから、あんなんだったんだ……」 ふんふんと言う感じで首を何度も縦に振っている。 誰か来てしまう可能性もあるし、さっさと終わらせた方が賢明だな。 「…なんか、ずっとビクビクって動いてる…… せんせー、痛くないの?」 ののかちゃんの関心は自分ですることよりも僕のコレに向けられている。 何て言ってあげたらいいかな? 自分のことに集中しなさい そんなに珍しい? 「じゃあ、まずは先生がやってみせるから…… ののかちゃんも後から自分でやるんだよ?」 「うん♪ わかったぁ!」 固くなったモノを握り、ゆっくりと前後に扱き始める。 …人前で、しかも生徒の目の前でこんなことをするだなんて……。 思っていたよりもずっと恥ずかしい。 「ふわぁ、男の子ってそうやったらお汁出るんだぁ」 僕のオナニーから目が離せないようだ。 とはいえ、このまま僕1人だけするのは意味が無い。 「ほら、ののかちゃんも…さっき先生がしてあげた ようにやってごらん?」 「んーー……。せんせーのもうちょっと見ていたい」 「ダメだよ? ののかちゃんもしないと」 「うーん…。だって、せんせーのどんどんおっきく なっていって、面白いんだもん」 と、ののかちゃんは一歩も引かない。 仕方ない、もう少しだけ見せてあげるか。 「…んっ……んっ……」 さすがにすぐに射精してしまうわけにはいかないので刺激を与えすぎないように、ゆっくりと扱く。 「ふあぁ、まだまだおっきくなるよぉ」 「せんせー、ひょっとしてその中にお汁がいっぱい 詰まっているの?」 「ん? ここじゃないよ。 この下に、いっぱい詰まっているんだよ」 「下って…あぁ、そのプラプラしているやつだね」 「男の子って何であんなのついてるんだろーなって 思ってたけど…… そっかぁ、お汁を溜めるためなんだ」 1人、何やら納得するののかちゃん。 別に間違っているってわけではないし、今はちゃんと教えなくても大丈夫だろう。 「…せんせー、それをゴシゴシすると どんな感じがするの?」 これまた答えにくいことを質問してくる。 「そうだね、さっき僕がののかちゃんのを触った時 どんな感じだった?」 「んーー、くすぐったかった」 「それだけかな?」 「……くすぐったいのと…えーーっと、なんだろう? よくわかんないけど、ジンジンってしたよぉ?」 「うん。それと同じ感じだよ」 「そっかぁ、せんせーもソコをゴシゴシってすると 私と同じ感じがするんだぁ」 ののかちゃんは、ゲームをしている時と同じような表情を見せる。 普段の勉強もこれぐらい真剣に取り組んでくれたらいいのになぁ……。 「…これ、そんなに珍しいかな?」 「うん。だって、パパのと全然違うし、 こんなの見たの初めてなんだもん」 「ねぇ、せんせー、パパのもそうなるの?」 「うん。男の子はね、誰でもこうなっちゃうんだよ」 「そっかぁ、男の子はソコがムクムクってなって からトロトロのお汁が出るんだぁ」 「せんせー、それってどれぐらいおっきくなるの?」 答えに困る質問を無邪気な顔をしながら聞いてくる。 「……そ、そうだね、人によって違うかな」 「ふーん。じゃあ、クラスの男の子たちも せんせーと同じようにムクムクってなるの?」 興味津々といった感じで答えにくい質問をどんどんしてくる。 「他の子はまだかな。先生は大人だからだよ」 「へぇ、男の子は大人になるとムクムクって おっきくなって、お汁が出るんだぁ」 「でも、せんせーのいつもはそんなんじゃないよね? ソレってどうやったらおっきくなるの?」 「どうって……」 好奇心旺盛なののかちゃんは、さらに質問を続けてくる。 「…こうね、手を使って扱いてあげると…… 大きくなるんだよ」 「しごく? ゴシゴシするってこと?」 「そうだよ。ほら、さっき先生がののかちゃんの ゴシゴシってしてあげたでしょ?」 「うん。そっかぁ、男の子も女の子もおまたを ゴシゴシってすると、こうなるんだぁ」 口をぽかんと開けて、何やら感心した様子だ。 「だから、ののかちゃんも自分で、そこ、 触ってごらん?」 「うーん……。まだいいよぉ」 「それよりも、せんせーのがどこまでおっきくなるか 見てみたい」 ののかちゃんは、自分のことよりも男の子の勃起が気になって仕方が無いという様子だ。 「……んっ……んっ……」 観念した僕は、ののかちゃんに見られながらモノを扱き続けていく。 「……せんせーの…さきっぽがビクって跳ねてる」 「せんせー、それゴシゴシするときもちいいの?」 「ん? そうだね、気持ちいいよ」 「そっかぁ。男の子ってソレ、そうやると きもちよくなるんだぁ」 ののかちゃんは僕のオナニーを見るのがとても面白いのか、瞬き1つせず凝視してくる。 まさか、生徒に見られながらこんなことをするなんて恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。 「さてと、じゃあ次はののかちゃんの番だよ」 「うん…。でも、どうやったらいいの? 私にはせんせーみたいのないよ?」 「先生がさっきののかちゃんにやったみたいに、 まずは自分のを触ってごらん」 ののかちゃんは自分を支えていた手を動かし、秘部へと当てる。 「……これで、いいの?」 「うん。指をそーっと動かしてごらん」 「うん。んっ……んっ……」 ののかちゃんは恐る恐る指を動かし始める。 「どう?」 「んーー……。よくわかんない」 困惑しながら、ぎこちなく指を動かしている。 「…さっきせんせーがしてくれたのと違うよぉ。 やり方がおかしいのかな?」 「んー、別に間違ってはいないと思うけど……。 もう少しだけ続けてみて」 「ん……。んっ……んぅ……ん?」 「…………」 ののかちゃんが一生懸命オナニーする姿を見ていると、いけないとわかりつつもムラムラした気持ちが湧き上がってくる。 フニフニと柔らかなアソコを動く指が興奮をかき立ててくる。 「うーん…うぅぅ…くすぐったいだけで… なんかちがう……。トロトロ、出て来ないし……」 全然感じていないのか、ののかちゃんはすごくもどかしそうだ。 助け船を出した方が良さそうか? 優しく教えてあげる 自分でやってごらん 「じゃあ、これから先生の言う通りにやってごらん」 「うん…せんせーの言う通りにやってみる」 このまま、ずっともどかしそうにしているのも可哀想なので、教えてあげることにした。 「まずは人差し指でソコをゆっくりと… 何度もなぞってごらん」 「んっ……うん……くぅっ……ふあっ……」 「そうそう、くすぐったいかも知れないけど 後からよくなってくるからね」 「うん…わかった……んっ、んっ……んぅっ……」 とはいえ、女の子のオナニーのやり方なんて詳しくわからない。 エッチな動画で見たことはあるから、それを思い出して伝えているだけだ。 「…んっ……んひゃっ……あっ、あっ、あっ…… んっ……あふっ……」 ぎこちない手つきで秘部を弄り続けているののかちゃん。 それでも、少しだけ何かが変わってきたみたいで時折、ウットリしたような声を漏らし始めてきた。 「…ののかちゃん、どんな感じ?」 「…んっ、んっ……わかんない……けど……」 「でも…んぅ…へ、変な感じ…してきた……」 ほんの少しではあるが、感じ始めてきたってことだろう。 「……んっ……んっ……」 そんなののかちゃんの姿を見ていると、モノを扱く手の動きが激しくなる。 自分でも抑え切れない興奮がどんどん沸き上がっている。 「…せ、せんせー? そんなにソレ、ゴシゴシして 痛くない?」 僕の手の動きに気づいたののかちゃんが心配そうに見つめてくる。 「…ん? 大丈夫だよ」 「それに…んっ、んっ……これぐらいが…… 気持ちいいんだよ?」 「そうなんだぁ……。じゃあ、私も――」 「んっ……んっ……うくっ……あっ、あっ……」 ののかちゃんが僕のマネをするように指を速く動かす。 「はぁ、あっ……ンぅっ……ほ、ホントだ…… なんか…さっきと違って…じわってくる……」 「うん、うん…。その調子だよ。 今度はもっと強弱をつけてごらん?」 「…きょう、じゃく?」 「ゆっくりしたり、速くしたり…ってことだよ」 「そっかぁ…やってみる……」 「はやく……んんんっ……それから…おそく…… んっ……あっ……あぁっ……ン、ふあっ……」 ののかちゃんは僕の言うとおり、強弱をつけながら秘部を人差し指で弄っていく。 「んっ……あっ……あくっ……あっ、あっ、あっ……」 「はぁ…あっ…す、すごい……声…勝手に出ちゃ… あっ、あっ、あっ、んっ…ぁっ……っ……」 「んっ……くっ……」 ののかちゃんの小さな口から漏れる魅惑の声に興奮が止まらない。 僕自身、モノを扱く手がリズミカルな喘ぎに乗って止まらなくなってしまう。 「せ、せんせー……んんっ……じわじわが…… いっぱいしてきてるよぉ……」 「……もう少しだけ、自分で頑張ってごらん?」 「気持ちいいってところを見つけたら、 そこをいっぱい触ったら大丈夫だから」 どこが気持ちよくなるポイントかはののかちゃん自身にしかわからないだろうし。 「…うん……わかった……んっ、んっ……」 ののかちゃんは、指を色々動かして自分にとってのポイントをまさぐっている。 「…ここじゃない……せんせーにしてもらったとき… こんなのじゃなかった……」 「もっと…じわじわってしてきて…… すぐにトロトロしたの出てきたのに……」 自分じゃ上手く感じるポイントがわからないのか、もどかしそうに指を動かしている。 「…ここ? んーー、ちょっと違う……ここかな? んっ……ン……」 「…………」 以前、見たことがあるエッチな動画の慣れた手つきのソレと違って、拙さというか初々しさがあって。 一生懸命頑張っているののかちゃんの姿を見ていると、なぜかすごく興奮する。 「…んっ……はぁ……あぁっ……」 「…ん? せんせー? そんなに速く手を動かして大丈夫なの?」 ののかちゃんの姿に興奮してしまったのか手が無意識に動いていたようだ。 「ん? 大丈夫……これぐらいが…… ちょうどいいから」 「そっかぁ……じゃあ、私もせんせーみたいにする」 「んっ、んっ……んぅっ……!」 そう言うと、ののかちゃんは擦りつけるように指を上下に動かす。 「んんっ…さっきとちょっと変わった……かも…… あっ、あっ、あっ……ンぁっ……」 速く動かすことで、気持ちいいポイントに当たるみたいで、時折、甘い声を上げる。 「…ののかちゃん…その調子だよ」 モノを扱きつつ、ののかちゃんに伝える。 「…んっ……うん……そっか、こうするんだ…… んっ、んっ……あっ……あっ……」 自分で要領を掴んできたのか、手つきが幾分リズミカルになっている。 「はぁ、はぁ……んんっ……こ、ここかも…… あっ、あっ……こ、ここだ……」 「ここを……んぅぅ……こすると…ひぁっ…… じわってするの……くる……」 気持ちいいポイントを探り当てたののかちゃんはソコを重点的に擦っている。 まだ拙さは残るものの、ようやくオナニーのやり方をつかんできたみたいだ。 「はぁ、はぁ……おてて……とまんない…… へんな声…でちゃう……」 ののかちゃんは夢中になって、人差し指を動かし続けている。 「んんっ…なんか…奥がうずうずしてきて……」 「はぁ、はぁ……トロトロ出てきて…… くちゅくちゅ…ゆってるよぉ……」 ののかちゃんの指は愛液が絡まっていてヌラリとテカっている。 淫靡な水音と指を動かすたびに引く透明な糸にモノが反応し、下半身に強烈な疼きがやってくる。 「はぁ…はぁ……マズイな……このままだと……」 さっきは中途半端で終わらせてしまったし、今度は絶頂を経験させてあげたい。 だけど、このままだとののかちゃんがオナニーで絶頂する前に、僕の方が先に射精してしまいそうだ。 「ふあぁっ…あっ…あっ…ジンジンするの…… ここ…トロトロ…いっぱいで…んあっ……っ……」 ののかちゃんの反応が変わってきている。 もう少し我慢させて、お互いに一度クールダウンさせるべきか? それとも、このまま続けるべきか? どうしてあげたらいいのだろうか? もう少し我慢させる このまま…… 「…ののかちゃん、ちょっとストップ」 「へっ……なんで?」 ののかちゃんは目を丸くさせながらも、僕の言うとおりに指の動きを止める。 「そんなにしたら、擦れすぎて傷ついちゃうかも 知れないでしょ?」 「そっかぁ。うん、そうだね……でも……んっ……」 「おててが…んっ…とまらないよぉ…… あっ、あっ…あっ…こうするの…すごくいいから」 すぐに指を秘部にあてがい激しく動かしオナニーを再開してしまう。 一度、快感を覚えてしまってヤミツキになってしまったのだろうか。 僕にも経験があると言えばあるのだけど……。 「…せんせぇ……私、へんだよぉ……」 「せんせぇが止めてってゆってるのに…… 勝手に指動いて……これ、おかしいのかなぁ?」 「別におかしいことじゃないよ」 「でも、それだとすぐに終わっちゃうから…… もったいないでしょ?」 「…終わる? どうしたら終わるの?」 「そうだなぁ……」 そう言えば、女の子って絶頂するとどんな感じになるのだろう。 ビクビクと震えるっていうのは分かるけれど、それがどんな感覚なのかはわからない。 「何て言ったらいいかわからないけど、 こう大きな固まりがはじけて、ふわふわってする 感じ、かな?」 あくまでも男の子の感覚だけど……。 「…そっかぁ……ふわふわってするんだ…… それって、せんせーもそうなるの?」 「うん。そうだよ。 だから、ののかちゃんと一緒にそうなりたいな」 「せんせーと一緒にかぁ……」 ののかちゃんは小さく呟くと、指の動きが緩やかになっていく。 「じゃあ、一緒にそうなるために…… 僕に合わせてもらってもいいかな?」 「ん? 合わせる?」 「そうそう。僕がコレをゴシゴシってするのに 合わせて、ののかちゃんもソコを擦ったらいいよ」 「うん! せんせーと一緒にするぅ」 ののかちゃんは、屈託のない笑顔をむけてくれる。 「じゃあ――」 すぐに射精してしまわないように、根元を強めに握る。 それから強い刺激を与えないように、まずはゆっくりと扱いていく。 「…んっ…んっ…んっ…あっ、あっ……んはぁ…… あっ……んぅっ……」 僕のリズムに合わせて、ののかちゃんも指を動かす。 「そうそう、そんな感じ。 出てきたお汁を塗るように擦ってごらん?」 「…う、うん……んっ……ひあっ……あっ、あっ…… さっきより…すごく…ジンジンくるぅ……」 愛液で滑りが良くなり、新しい刺激をもたらしているのだろう。 ののかちゃんの漏らす声がさっきよりも大きくなる。 「…いっ…しょ……せんせーと一緒に…… あっ、あっ、あっ……せんせぇ…一緒がいい……」 まるでうわごとのように“一緒”って言葉をウットリした声で呟いている。 「うん。一緒だからね……」 それに答えて、徐々にモノを扱くスピードを上げていく。 「んあぁ……一緒だから……せんせぇと…… あっ、あっ、あっ……」 ののかちゃんも僕のスピードに合わせて指を速く動かしている。 かなり感じ始めてきたのか、体重を支える両足がぷるぷると震え始めている。 「あっ、ぁぁ……ンぁっ……な、なんか…… きてる……」 「おくに…んんっ……わかんないの……どんどん おっきくなってきて……じわじわってきてる……」 イキそうになっているみたいだけど、それが何なのかわからず困惑しているみたい。 「大丈夫だから、僕も同じだから…… そのまま……」 「うん…せんせーも一緒なんだ。 だったら怖くない……んっ……んぅぅ……」 僕も同じという言葉に安心したののかちゃんはそのまま自慰を続行する。 「…はぁ、はぁ……はぁ……」 そんなののかちゃんを見ていると昂ぶりが限界までやってきて、息が漏れてしまう。 「…せんせー……苦しそう……」 「これは苦しいんじゃないよ? たぶん、今のののかちゃんと一緒だから」 「…んっ……そっかぁ、せんせーも一緒で…… 声、出ちゃうんだぁ……」 「うん。ののかちゃん、どう? 何かきてない?」 「…んっ……ずっとジンジンきてる…… おまた…奥がすっごくうずうずして…とまらない」 「我慢しないでいいからね。僕も――」 そう言いながら、ラストスパートに向けて音がするぐらい激しくモノを扱いていく。 「あっ、あっ……うんっ……んんっ…あっ、あっ……」 ののかちゃんも、くちゃくちゃと粘着質な音をさせながら、人差し指を懸命に動かしている。 「ふあぁっ……ああぁぁ……も、もう我慢…できない すごいの…いっぱいくるの…あぁぁぁ……」 ののかちゃんがイキそうになっているのを見計らって、さらに扱くスピードを速める。 あとは、ののかちゃんが絶頂するのに合わせるだけ。 「あっ、あっ……だめ……もうだめ…… あうぅぅ……んんんっ……んっ……っっ……」 「あっ…くっ……んっ……んぅぅぅ……ッ……!」 ののかちゃんの体がビクリと大きく跳ねるのに合わせて、射精を開始する。 モノがドクドクと跳ねて、大量の精液がののかちゃんの下腹部に降り注いでいく。 「…んぁっ!? せ、せんせーのから…… いっぱい出てきたぁ」 ののかちゃんは体をひくつかせながら、射精する様子を眺めている。 「はぁ、はぁ……んっ……」 快感に身もだえしながら、ののかちゃんに向かって次々と精を放ち続ける。 ピッタリと閉じた綺麗なワレメ付近についたドロドロの精液が妙に艶めかしい。 「…せんせーのお汁、いっぱい出てくるよぉ……」 ののかちゃんは絶頂の余韻に浸りながらウットリした声で言ってくる。 「んっ…んぅぅ……」 精液を出し終えた後に来るぶるりとした感じに思わず声を漏らしてしまう。 「ふあぁ……せんせーのって私のと違うんだね」 「白くて…すごくドロドロしてて…… それにあったかい……」 「…男の子って、こんなにいっぱいお汁出ちゃうの?」 「うーん、そうだねぇ……」 僕自身、2回目にも関わらず大量に射精したことに驚いている。 「…たぶん、ののかちゃんが可愛かったから…… こんなにいっぱい出ちゃったと思うよ」 「へぇ、そっかぁ。私だからせんせー、 こんなにいっぱい出たんだぁ。えへへ……」 可愛いと褒めてあげたことが嬉しかったみたいで、照れ笑いしている。 「ののかちゃん、どうだった? 気持ちよかった?」 「…うん! せんせーと一緒って思ったらね、 奥がいーーっぱいうずうずしたよぉ」 「そしたら、なんかじわじわしたのと、ふわふわ したのがいっぱいきて…こんなの初めてだよぉ」 どうやらののかちゃんにとって初めてのオナニーは満足のいく結果に終わったみたい。 これはこれで良いのだけど、でも、イケナイことを教えてしまったという罪悪感もある。 「…でも……なんかイケナイことしちゃったみたい。 気持ちよかったのに、どーして?」 今度は絶頂の余韻が冷めてきて、オナニーの後に感じる独特の感覚に悩んでいるようだ。 「うん。これって、すごく気持ちいいけど やり過ぎたらダメなことなんだよ」 「確かにそーかもぉ……。 ずっと、ここ触ってばかりだとおかしいよね」 「じゃあ、みんなには内緒にしないと……」 「そうだね。これは僕とののかちゃんだけの 秘密にしておいた方がいいね」 「せんせーと私だけの秘密かぁ……。 えへへ…うん、わかった! 誰にもゆわないよぉ」 …ののかちゃんがすごく高ぶってきているみたいだし、止めないでこのままの方がいいだろう。 「…ののかちゃん、そのまま続けてごらん」 「うん……んっ、んあっ……あっ、あっ、あっ……」 ののかちゃんは一心不乱に秘部を擦り続けている。 その一生懸命な姿に、僕もどんどん感情が高ぶってきてしまう。 「…んっ……んっ……はっ……」 「はぁ、はぁ……せんせーのおてて、すごく 速く動いてる……」 「うん。僕もののかちゃんと一緒で 止まらないんだ」 「そっかぁ、せんせーもなんだ……。 んっ…んっ…じゃあ、私も……んんんっ……」 「あっ…あっ…おく…いっぱいうずうずする…… へんな感じ…してきて……あっ、あっ、んぁっ……」 「くっ……ぅっ……」 ののかちゃんのことを気遣ってあげないといけないのに。 頭が麻痺してきて、ラストスパートに向けて激しくモノを扱いてしまう。 「あっ…ん、はぁっ……あっ……あっ……ぁっ……」 ののかちゃんが漏らす甘い声に限界まで高ぶってくる。 「……っ……ぅんっ……」 ダメだ…。もうこれ以上は―― 「ののかちゃん、ごめんっ!」 「んっ……えっ……!?」 快感に耐えきることが出来ず、ののかちゃんが絶頂を迎える前に射精してしまう。 「…ひゃうっ…! せんせーのからどびゅって 出てきたぁ……!」 自分でも信じられないぐらい大量の精液がののかちゃんの下腹部へと降り注ぐ。 突然の射精に驚いたののかちゃんは、指の動きを止めて、射精に見入ってしまっている。 「んっ……んくっ……」 いけないとは分かりつつも、射精に伴う快感に自分を抑えることが出来ない。 ののかちゃんに容赦なく白い固まりのような精液が降り注ぎ、白く汚していく。 「…これが、せんせーの……?」 「白くて、私のよりドロドロしてる……」 ののかちゃんの興味は完全に射精の方に移ってしまったみたいだ。 興味深そうに僕が射精する様子を眺めている。 「…んっ……」 「ふわぁ、いっぱい出たねぇ……」 射精を終えて身震いしている僕に言ってくる。 「うん…。男の子のお汁はね、こうやって 出るんだよ……」 「そうなんだぁ……」 ののかちゃんは興味深そうにモノの先端と、自分についた精液を交互に眺めている。 「せんせー、お汁出しているときすごく きもちよさそうだったよ?」 「男の子も、お汁出すときってきもちいいの?」 「そうだよ。男の子も女の子も、お汁が出るときは すごく気持ちよくなるように出来ているんだよ」 「…それに、いっぱい出たのはののかちゃんだから かな? ののかちゃんが可愛いから……」 「そっかぁ、私が可愛いからいっぱい出たんだぁ」 ののかちゃんが自慰にふける姿が可愛くて興奮のあまり大量に射精してしまったことを伝えると嬉しそうに笑ってくれる。 「…ののかちゃんはどうだった?」 「うーん……どうだろう? 最後の方はなんか、じわじわってきたけど……」 「あとちょっとで、何かきそうな感じはしたよ?」 「………………」 僕がもう少し我慢出来ていれば、ののかちゃんと一緒に絶頂出来たかも知れない。 そう思うと情けない。 「…せんせー、これ、たくさんやったら もっと上手になるかな?」 「うーん、そうかも知れないけど でも、あまりやっちゃいけないよ?」 「ん? なんでぇ?」 「ほら、ずっとおまたばっかり触っていたら みんな、変に思っちゃうでしょ?」 「うーん、確かにそうかも……」 僕の説明に納得したのか、うんうんと首を縦に振っている。 「せんせー、ありがとぉ! あのトロトロしたお汁の ことわかって、スッキリしたよぉ」 「うん。ののかちゃんがスッキリしたのなら 先生も教えた甲斐があったよ」 「でもね、ののかちゃん。このことは誰にも 言っちゃいけないよ? 先生とののかちゃんだけの 秘密だよ」 「うん! えへへ、せんせーと私だけの秘密かぁ…… 何だか照れちゃうね」 ずっと悩んでいたののかちゃんは、スッキリした顔をして帰っていった。 僕は保健室に残って窓を開けて換気をし汚してしまったシーツをベッドから取っ払っている。 「………………」 はぁ。えみちゃんといい、ことねちゃんといいまたしても教え子とイケナイ秘密を作ってしまった。 でも―― 「(…許されないことをしてしまっているのに……  どうしてこんな気分になるのだろうか?)」 罪悪感よりも大きな別の気持ち―― これまで感じたことのないむずがゆいような、不思議な感情―― その正体が全くわからず、なんだか落ち着かない。 えみちゃん――ののかちゃん――ことねちゃん―― 人には言えない秘密を作った3人の少女たち。 彼女たちが僕の中で特別な存在になってきている事は間違いないと思う。 この先、どう彼女たちと接していけばいいのか? 考えても答えは全く見つからなかった。 数日後―― 「……今日も天気悪いなぁ」 今日は朝の職員会議があるということでいつもよりも早く登校している。 6月に入り、今年は例年に比べ早めに梅雨入りしたとニュースで言っていた。 都会と比べて幾分マシとはいえ、梅雨独特のジメジメした空気はあまり良いものではない。 「おはようございます」 「瀬田先生、おはようございます。 今日も暑いですな」 「おはようございます、瀬田先生」 小野先生と遥先生はすでに登校していたみたいだ。 「瀬田先生、そろそろ夏休みが始まりますなー」 席について荷物を置くと、小野先生が話しかけてきた。 「えぇ、そうですね」 夏休みが楽しみで仕方ないって顔している。 「浮かれるにはまだ早いですよ、その前に、 生徒たちへの家庭訪問もありますからね」 「あっ、教頭先生。おはようございます」 僕の後に入ってきた教頭先生に挨拶する。 「もちろん、分かっていますとも。 そんなのすぐですよ」 小野先生が教頭先生と話をしている。 「おや、みなさん。もういらっしゃっていたのですね。 では、早速、職員会議を始めましょう」 最後にやってきた校長先生の一言で全員が着席し、朝の職員会議が始まる。 「本日の内容は、再来週に予定されている 家庭訪問のことです」 「家庭訪問……?」 それも再来週に迫っているのに、今から会議ってずいぶんのんびりしている気がする。 前の学校でも家庭訪問はあったにはあったが、1ヶ月以上前に各家庭に通知していた。 「はい。家庭の事情を先生たちの目で確認するために、 生徒のご家庭にお伺いし、お話をするのです」 「都会の学校ではなかったのですか?」 「いえ、まあ、あったにはありましたけど……」 都会では、両親が共働きという家庭も多く、遠慮したいという声は少なくなかった。 さらに『家まであがってくる必要はない』という声もあって……。 どうしても訪問することが無理なご家庭は、学校に出向いて頂き教室で面談という形をとっていた。 やはり都会と田舎とで、学校としてのあり方、取り組み方一つ違うようだった。 「それで、ここではどういう風にするんですか?」 都会は都会のやり方、ここではここのやり方がある。郷に入っては郷に従えだ。 「基本は三者面談です。先生と生徒、 そこにお家の方に入っていただいて話をします」 「ただ、家々によって状況も違いますから……。 そういうところはうまく取り計らって あげてください」 教頭先生が“ご両親”と言わずに“お家の方”と言ったのも、そう言った配慮の1つだろう。 「保護者と一緒じゃ恥ずかしがって 駄々をこねる生徒もいるんですがね」 「……まあ、そんときはそんとき。 なるようになりますよ。難しく考えることは ないですよ」 楽観的というか能天気というか……。 小野先生らしい言葉だけど、安心させられる。 「なるほど……分かりました」 「人数も多くないですし、学校でのありのままを お伝えしたらいいだけですよ」 「遥先生のおっしゃる通りです。 みなさん、今朝のホームルームでこのプリントを 配ってください」 教頭先生から『家庭訪問のお知らせ』と書かれたプリントを手渡される。 「ご都合の悪い日を記入して頂いて、 それを元に訪問スケジュールを組んでいくのです」 「はい、かしこまりました」 そこは前の学校とやることは変わらないらしい。 ただ、前の学校ではこのスケジュールを組むという事が至難の業だったのだが……。 ここではどんな感じなのだろうか。 「おっと、そろそろ朝のホームルームの時間ですね。 では、皆さん。今日も宜しくお願いします」 校長先生の締めの一言で朝の職員会議が終わった。 「せんせー、おはよー♪」 「せんせい、おはようございます」 「うん、おはよう」 職員会議を終え、教室に向かう途中ののかちゃんとことねちゃんとばったり出会う。 「…ののかちゃん、今日、ちょっとだけ寝坊した でしょ?」 「えっ!? せんせー、すごい!! どうしてわかっちゃったの!?」 「ははは、先生は何でもわかるんだよ?」 寝癖が若干ついているのと、口元が少し汚れているからわかっただけなのだが……。 「す、すごいっ! まるで超能力者だぁ!!」 素直に驚いてくれるののかちゃん。 まだここにきて、2ヶ月ちょっとではあるがだいぶ馴染んできたと思う。 「……ことねちゃんは……飼育小屋の帰りかな?」 「は、はい。朝ごはんをあげに……」 「ことねちゃんのことまで当てちゃった……。 せんせー、本当にすごいよぉ」 「はは、ことねちゃんは毎日、ちゃんと頑張って くれているからね。今日もありがとう」 「えへへ……」 褒めながら、頭を撫でて上げると、ことねちゃんは照れつつも嬉しそうだ。 「のの、ことねちゃん。せんせ、もう来ちゃうよ?」 教室からえみちゃんが出てくる。 「おはよう、えみちゃん」 「あっ……せんせ、もう来てたんだ……」 「うん、そうだよ。 さぁ、これから朝の会を始めるから 2人共、教室に入ってね」 「はい」 「はぁい」 廊下に出ているののかちゃんとことねちゃんを教室に入れてから、僕も教室へと入っていく。 「ほらほら、せんせ来たよ。みんな、席について」 教室に入った瞬間、僕が言う前にえみちゃんが率先してみんなを席に座らせてくれている。 こうしたお手伝いをしてくれるのは僕としてもかなり助かっている。 「えみちゃん、ありがとう」 「えへへ、どういたしまして」 褒めてあげると、ニパリと笑ってくれる。 「それじゃあ、出席を取っていくよ」 全員が席についてから、いつものように出席を取っていく。 空は今にも雨が降りそうな状態だけど、みんなは今日も元気いっぱいでなによりだ。 「さてと――じゃあ朝の会を始めるよ」 「今日は大事なお知らせがあるから、 今から配るプリント、お家の人に必ず見せてね」 教室を歩き回りながら、1人1人にプリントを手渡ししていく。 今月の終わりに予定されている家庭訪問のお知らせだ。 「うぇぇ……家庭訪問かぁ……」 「そっか、今年はせんせーがお家に来るんだぁ。 楽しみぃ」 「きょねんはあんどー先生だったねー」 「……わたしは、はるかせんせいが来てくれました」 どうやら毎年、今の時期に家庭訪問があるみたいでみんな慣れたものだ。 「………………」 えみちゃんだけが1人、どうしたらいいかわからないっていうような感じで戸惑っている。 僕はえみちゃんの家で暮らしているわけだし、それをみんなには秘密にしているから当たり前だろう。 「みんな、お家の人に都合が悪い時間を聞いて、 書いてもらってきてね」 そう言うと、はーいと元気な返事が一斉に返ってくる。 みんな、家庭訪問のことで頭がいっぱいになったのか賑やかになってしまっている。 「みんな、おしゃべりは休憩時間になってから。 国語の教科書と漢字ドリルを出してね」 そう言うと、一斉に静かになってそれぞれが教科書とドリルを机に出す。 「(ははは……)」 心の中で苦笑い。 家庭訪問に備えて、少しでも心証を良くしたいと思うのはどこの子も同じらしい。 放課後―― 帰りの会をしている途中、とうとう雨が降り始めてきた。 「…雨、降ってきちゃったね」 「ホントだぁ。ザーザーゆってる」 「はぁ……。今日も雨かぁ……。 サッカーしようと思っていたのに……」 「………………」 帰りの会を締めてから、自分の机に腰掛け生徒たちの様子をうかがう。 「のの、ことねちゃん、一緒に帰ろー」 「うーん、帰りたいのは山々なんだけど…… これが……」 机の上に開いた問題集を指さすののかちゃん。 算数の宿題を忘れてきたので、残ってすることになっている。 「そっかぁ。じゃあ仕方ないね。 ことねちゃんは?」 「……私はこれから、うさぎさんたちのお世話を しないといけないので…」 「ことねちゃんは飼育当番の日かぁ……。 じゃあ、図書室に行って本でも読もうかな」 少し残念そうなえみちゃん。 「――さてと、先生は職員室に戻るけど。 みんな、雨降っているから気をつけて帰るんだよ」 まだ、教室に残っている生徒たちに声を掛けてから職員室に戻って行く。 「………………」 職員室に戻ってから、昨日出した算数の宿題の答え合わせをするべく赤ペンを走らせる。 「(えみちゃんはあと少しってところかな……)」 算数は苦手とずっと言っているだけあって、間違いは多い。 だが、最初と比べてあと一歩で正解というものが多くなってきた。 ちゃんと頑張っていることが伝わってくる。 「さて、あとはののかちゃんのだけど……」 今、教室で頑張ってやっているに違いない。 やることがなくなって、少々手持無沙汰だ。 「……家庭訪問か」 以前の学校でもやったことはやったけど……。 今考えてみると、成績とか授業態度とか表面的なことしか話が出来なかった気がする。 「そういえば今――」 えみちゃんは図書室で本を読んでいて、ののかちゃんは教室で宿題をしていて、ことねちゃんは飼育小屋でウサギの世話をしている。 特に気になるというか、親密になっている3人は今、学校に残っている。 「ちょっと様子を見に行くのも良いかも知れない」 誰の様子を見に行こう? えみちゃんを見に行く ののかちゃんを見に行く ことねちゃんを見に行く 「…じゃあ、図書室にえみちゃんの様子を 見に行ってみるか」 本を読むって言っていたけど、えみちゃんってどんな本を読んでいるのだろう。 一緒にいる時間は長いけど、そういうところ知らなかったりするし、良い機会だ。 「…そういえば、ののかちゃんも算数は苦手 なんだっけ」 ののかちゃんは基本的に成績は良い方だが、算数だけはあまりよろしくない。 何が原因かを調べてあげるのもいいだろう。 「雨も降っているし、ことねちゃん1人じゃ 大変かも知れないな」 心なしか雨足もだんだん強くなってきている気がする。尚のこと心配になってきた。 何か手伝ってあげられることがあればいいが……。 「あっ、せんせ」 図書室に向かう途中、えみちゃんと廊下で出会う。 「おや? えみちゃん。図書室に行ったんじゃ?」 「そうなんだけど、読もうと思っていた 本が置いてなかったから、お家に帰ろうと 思って……」 少し残念そうなえみちゃん。 「そっか……」 この学校は図書室といっても、そんなにたくさん本があるわけではない。 隣街に出たら、大きな図書館があるらしいけど。 「ちなみに、どんな本を読もうと思っていたの?」 「源氏物語だよ。途中まで読んだんだけど、 続きが気になって……。せんせは読んだことある?」 「へぇ、源氏物語かぁ。ちゃんとは読んだこと ないけど……」 大学の文学史の講義で受けたぐらいで、詳しい話はよく覚えていない。 主人公が小さな女の子を引き取って育てて娶ったってぐらいは知っている程度だ。 「でも、えみちゃんってそんな難しい本を 読むんだね。古典、もうわかるの?」 「ん? こてん? あたしが読んでいるのは マンガになっているやつだよ?」 「へぇ、マンガになっているものがあるんだ。 ちなみに、どこまで読んだの?」 話を膨らませていく。 「んとね、紫の上って女の子のお話……。 歳がすごく離れているのに恋ってできるんだね」 「なんか、読んでいるときゅんってしちゃう」 そこはえみちゃんも女の子。そういった類いの話は好きらしい。 「はは、そうだね」 本当はもっとドロドロしたものなんだけど……。 えみちゃん、どこまで読んだろう? 「……歳なんて関係ないよね?」 よく聞き取れなかったが、ボソリと何か呟くえみちゃん。 「ん? ごめんね。雨の音でよく聞こえなかった」 「あっ……ううん。何でもない」 口を濁すえみちゃん。 「…でも、あの主人公が……ちょっと……」 恋多き主人公の話だから、その辺りが理解できないっていうか共感できない感じなのだろう。 「…せんせは違うよね?」 「うん。そのつもりだよ」 ……………………。 ここ数ヶ月の出来事を振り返ると、あまり人のことは言えないかも知れない。 「それにしても、雨、強くなってきちゃったね」 話題を誤魔化すように外を見上げる。 「ホントだ。雨、強くなってきちゃった」 「そうだね。だから気をつけて帰――」 「………………!!」 空が光った瞬間、雷の轟音が聞こえてくる。ひょっとしてどこかに落ちたのかも知れない。 いや、そんなことよりも―― 「あ、あの…えみちゃん……?」 「…あぅぅ……だ、だって……だって……」 えみちゃんが僕に抱きついてきている。 「ひうっ……!」 雷が怖いのか、音が鳴るとえみちゃんがぎゅっと体をさらに寄せてくる。 「…………」 すごく活発なえみちゃんが見せる女の子らしさ。 普段とのギャップにドキッとしてしまう。 「大丈夫。怖くないからね」 「…う、うん……。お兄ちゃん……」 雷で動転してしまっているからか、僕のことをお兄ちゃんと呼んでしまっている。 震えるえみちゃんの頭を撫でてあげながら、雷が収まるのを待つことにした。 落ち着いたえみちゃんを見送った後、今度は飼育小屋へ―― 1人で頑張っていたことねちゃんのお手伝いをしてから、ののかちゃんの様子を見に教室に戻る。 教科書を片手に悪戦苦闘していたののかちゃん。 多少アドバイスを送って宿題を終わらせてから、僕も家に帰った。 夜、えみちゃんの言っていた源氏物語のマンガが気になってネットで調べてみた。 「あーー……。これは確かに……。 学校に置くわけにはいかないなぁ……」 置いていない巻は、あらすじを読む限りちょうど紫の上との逢瀬があるシーンだ。 際どい描写があるということで、学校の図書室には置かなかったのだろう。 数日後の放課後―― 「…えっと、この日はまずはことねちゃんで、 それからののかちゃんの家に行って――」 「いや、ここからの距離を考えると逆にして…… えみちゃんは…最後にするとして、他は――」 授業を終えた後、職員室で来週に迫った家庭訪問のスケジュールを作っていた。 「ふふ、瀬田先生、お悩みのようですね?」 「いえいえ、それほどでもありませんよ」 土地柄なのか、どのご家庭も都合の悪い時間帯ってほとんどないみたいだ。 前の学校は、時間を合わせることが非情に難しくてもっと悩まされたものだ。 「それで、橋本さんのお宅ですけど――」 そういえば、ゆうきくんの担任は遥先生だ。 ダブルブッキングにならないように調整したいということだろう。 「えみちゃんは最後にしようと思っています」 「あっ、そういえば瀬田先生は橋本さんの お宅で暮らしてらっしゃるんでしたね」 僕がえみちゃんの家で暮らしていることは、生徒には内緒だが、教員はみんな知っている。 それに、遥先生には初めてここに来た時に家まで送ってもらったから、なおさらだ。 「立て続けというのはご負担でしょうし ゆうきくんは早めに行くようにしますね」 「はい、お気遣いありがとうございます」 それから、提出してもらったプリントとにらめっこしながら、家庭訪問のスケジュールを埋めていく。 「……よし、これで大丈夫だろう」 ご家庭を回る順番は決まったから、あとは当日まで何を話すかを煮詰めたらいいだけだ。 「あら、降ってきちゃいましたね?」 せめて家に帰るまでもってくれたらいいと思っていたけど……。 「結構降ってきていますね。傘、持って来て 良かったです」 出がけに傘を持っていくよう言ってくれた敦子さんに感謝だ。 仕事も一段落ついたし、本格的に降り出してくる前に帰るとするか。 「では、遥先生。お先に失礼します」 「はい。お疲れ様でした」 「……ふぅ。どうやら、このまま帰れそうだ」 幸いなことに、あれから土砂降りになることはなく家の近所まで帰ってくることが出来た。 「ん? ひょっとして……?」 公園の遊具の中に見知った人影を発見する。 「えみちゃんと、ののかちゃん…… それにことねちゃん?」 雨が降ってきたから雨宿りでもしているのかな? 3人で身を寄せ合って、いかにも仲良さげだ。 「ちょっと声掛けてみるか」 そう思い立ち、遊具に近づいていく。 「…それにしても、今日、宿題たくさんだったねぇ」 「雨の日はいっぱいゲームしても怒られないのに…… うぅぅ……」 「え? そんなにいっぱい出てたっけ?」 「算数の計算プリント1枚だけですよ?」 「だって、算数だよ? 時間かかるよぉ……」 なにやら、宿題のことで話をしているみたいで僕が近づいているのにも気づいていないらしい。 「………………」 そういえば、生徒たちって先生がいない所だとどんな話をしているのだろう? 気になったので、3人の声が聞こえるギリギリのところまで近づいてから身を隠す。 「(なんだか、かくれんぼみたいだな)」 黙って3人の話に耳を傾ける。 「ののとことねちゃんって、わかんない問題とか どうしてる?」 「…わたしは、ばあばに教えてもらったり…… あと、たまにせんせいに教えてもらう」 「へぇ、ことちゃんもせんせーに聞きに行くんだ」 「私もね、パパやママに教えてもらったり、休み時間 とかにせんせーに教えてもらいにいってるよぉ」 「むぅぅぅ……。2人共、せんせに教えて もらってるんだ……」 「そうみたいだねぇ。で、えみちゃんは?」 「あ、あたしも……家でお兄ちゃんに教えてもらう」 …………!!?えみちゃんの一言に、危うく声を出しそうになる。 「……えみちゃんにおにいさんって? それに…あたしもって……?」 「うん。弟がいるのは知ってるけど…… お兄ちゃんがいるなんて初耳だよぉ」 「あ、あうっ…え、えーっと、それは……その……」 「そうそう、最近ね、突然お兄ちゃんができたの」 えみちゃんの苦しすぎる言い訳。 「そっかぁ、お兄ちゃんっていきなり できるもんなんだぁ……。私も欲しいよぉ」 いや、ののかちゃん。それはいくらなんでも違うから! そう言ってあげたいけど、何とか我慢する。 「…あの、ののかちゃん……?」 「ん、ことちゃん。さすがに私も分かってるよぉ。 ちょっとした冗談だよぉ」 「――で、えみちゃん、どういうことなの?」 「えみちゃん、おにいさんってひょっとして……?」 「あぅぅ……」 ののかちゃんとことねちゃんに詰め寄られて追い込まれてしまうえみちゃん。 ことねちゃんは勘がいいから、すでに気づいているみたいだけど。 「他のみんなには絶対内緒だからね? 実は――」 観念したえみちゃんは、僕と一緒に住んでいることをばらしてしまう。 「(ばれちゃったか……)」 とはいえ、あんまり心配していなかったりする。 以前の学校だったら大きな問題になりそうだが、この学校ではそうならないという確信がある。 実際、校長先生も含め、教員はみんな知っているし。 「そっかぁ。えみちゃんの家にせんせーがいるんだ。 いーな、いーなぁ」 「ちょっぴりうらやましい」 2人共、うらやましがるだけでそれ以上追求するつもりはないみたい。 「でも、どーしてえみちゃんのお家なの?」 「え、えーっと……それは……その……」 好奇心旺盛なののかちゃんの質問にえみちゃんがたじろいでしまっている。 困っているみたいだし、助け船を出した方が良さそうだ。 「みんな、ここで何をしているの?」 「……!?」 「ひゃうっ!? せ、せんせー!?」 「せ、せんせい……!」 話題の張本人である僕がいきなり姿を現したからか3人共、飛び上がりそうな勢いで驚いている。 「…あ、あの…お兄ちゃん……ごめんなさい……。 ののたちに……話しちゃった」 「うん。別に気にしないでいいよ」 僕の一言に安堵するえみちゃん。 「あの、せんせい。本当にえみちゃんのところに?」 「うん。えみちゃんのご両親にお世話になって いるんだよ」 「実はね、前にいた学校の校長先生が えみちゃんのご両親と知り合いで――」 えみちゃんの家に住むことになったいきさつを分かりやすく説明して上げる。 「そっかぁ。いーなぁ。 で、えみちゃんとせんせーってお家でどんなこと してるの?」 「…えーっと、たまに勉強教えてもらったり…… 一緒にテレビ見たり、ゲームしたり……」 「…なんだか本当の兄妹みたいです。 わたし、1人だからうらやましい」 「いーな、いーな。私も1人っ子だから 弟もお兄ちゃんもどっちもいるからうらやましい」 「それに、せんせーと一緒にゲームって うらやましすぎだよぉ!」 ののかちゃんにとって、一緒にゲームっていうのが一番うらやましいみたいだ。 「えへへ、いいでしょー」 うらやましがるののかちゃんとことねちゃんに終始ご満悦な様子のえみちゃん。 僕がえみちゃんの家に住んでいることは内緒と念押ししておく。 4人だけのヒミツだからと言うと、2人共納得してくれた。 「ののかちゃん、どんな感じ?」 教科書を片手に悪戦苦闘しているののかちゃんに声を掛ける。 「あっ、せんせー。ちょうどいいとこに来てくれた。 ここ、この問題なんだけど」 「ん? どれどれ?」 問題を見てみる。どうやら応用問題に苦戦しているみたいだ。 回答欄はまっさらだし、これだけでは考えた形跡が見当たらない。 「他のは、前にやったのと同じだったから 何とかなったんだけど……」 その証拠に僕が授業で扱った問題は完璧に出来ている。 「………………」 数字が変わるぐらいだったら問題ないがアプローチが変わると途端に出来なくなるみたいだ。 「(そう言えば……)」 先月、国語の授業で百人一首大会をやった時、ののかちゃんは圧倒的な強さで優勝していた。 覚えればいいだけでしょ? だったら簡単だよ?ってあっけらかんとしていた……。 「(記憶力は抜群だけど、応用力がない…か……)」 「ん? せんせー?」 「あっ、ごめん。ちょっと考えてた」 「えー、せんせーが考えちゃうような 難しい問題なのぉ?」 「だったら、解けるわけないよぉ」 と、ののかちゃんのブーイング。 「ううん。考えていたのは問題じゃなくて…… ののかちゃんのことだよ」 「えっ!? 私のこと? えへへ、せんせー、私のこと、考えたんだぁ」 なぜか嬉しそうなののかちゃん。 それはさておき、どうやって教えようか。式や答えを言うわけにはいかないし……。 「えーっと、まずはこうして―― これはどうなるかな?」 順序よく解かせるために問題文を分解してあげる。 「あっ! それなら分かるかも…… えっと、こうして――32?」 「うん、正解。じゃあ次は―― これは?」 「えーっと、これが32だから……んーっと…… まずこーして……47!!」 「うん。これも正解だよ。 ほら、ちゃんと解けたね」 「ホントだ! 解けちゃったぁ! せんせー、すごーい!」 分からなかった問題が解けたことが嬉しくてはしゃぎ始めるののかちゃん。 「おっと。まだ残っているよ。 次は――さっきと同じようにやってごらん?」 「うん! やってみる……。 まず、最初にこれをこーして…それから……」 問題集につまずくことなくサラサラと文字を書き始めていくののかちゃん。 一度教えただけなのに、すごい記憶力だ。 「……!!」 空が光って、すぐに雷の轟音が響き渡る。 今ので集中力が乱れてなければいいが……。 「……で、こーして――できたぁ!」 すごい集中力だ。 雷が鳴っているにも関わらず問題を解いていた。 「正解。じゃあ次の問題は――」 それから残っている問題に取りかかり、なんとか宿題を終えることが出来たみたい。 「よし、これでOKだね」 「うん! せんせー、ありがとー♪」 宿題を終えたからか、スッキリした顔で帰って行くののかちゃんを見送ってから、今度は飼育小屋へ―― 1人で頑張っていることねちゃんのお手伝いをしてあげた。 それから図書室に向かう途中に、目当ての本がなくて帰ろうとしていたえみちゃんと出会い、ちょっとだけ話をした。 「………………」 夜、部屋に籠もって授業計画表を見直す。 ののかちゃんとのことがあって、自分の指導方法を一度練り直した方がいいと思った。 「うーむ。でも、あんまり手取り足取り教えすぎて 考える力が養われないと困るしなぁ」 問題が解けた時のののかちゃんの笑顔を思い出すと居ても立ってもいられない。 もっと、喜ぶ顔を見てみたい。 「……もう少し、煮詰めてみるか」 一応、持って来た大学時代の参考書を引っ張りだして夜中遅くまで指導方法を練っていった。 数日後―― 「早くグラウンドに行こうぜ! 場所取られちゃう」 「ちょっとまってよー」 昼休み―― 久しぶりに晴れたということもあってか、男の子たちは元気に外に飛び出して行ってしまう。 「せんせーも一緒にお外で遊ぼうよぉ」 「うん、わかった。 わかったから…引っ張らないで……」 「そうだよ、のの! せんせ、困ってるよぉ」 先日、あることがきっかけでののかちゃんとことねちゃんに僕がえみちゃんの家に住んでいることがバレてしまった。 それからというもの、ののかちゃんはお昼休みや放課後、僕に積極的に声を掛けてくるようになった。 「せんせ、早く早くぅ! 早く一緒に遊ぼうよぉ」 「あぁ…わ、わかった……すぐに行くから……」 「うん! ほら、えみちゃんもことちゃんも! 早く、早くぅ!」 そのままののかちゃんに引っ張られながら教室を出て行くことになる。 「あっ、のの、ちょっと待ってぇ!」 「あー、2人共、待ってぇー」 続いて、えみちゃんとことねちゃんが後を追ってくる。 「せんせ、逃がさないから。 深海と一緒に捕まえてやる」 「ひゃぁぁ、見つかっちゃった! せんせー、早く逃げよう!」 上の学年の子たちが先に来てサッカーをしていたので今日はケイドロをすることになった。 僕とののかちゃんは泥棒役で、追いかけてくる警官役の子から逃げている。 「事案発生! せんせが小さい子を連れて逃亡 している」 「……その言い方はやめて欲しいな」 なんだか、嫌な汗が出始めてくる。 そんな言葉、一体、どこで覚えてくるのだろうか。 「ふふふ、せんせ、のの。 絶対に逃がさないから……」 警官役のえみちゃんが駆けつけて追いかけてくる。 「せんせ、えみちゃんすごく足速いから もっと速く走らないと!」 「うん。わかった」 ののかちゃんに言われて走るスピードを上げる。 「あーー! なんで逃げるのぉ!」 「だって、逃げないと捕まっちゃうもん!」 「はぁ、はぁ、はぁ……」 結構な速さで追いかけてくるえみちゃん。 日頃の運動不足がたたって、すぐに息が上がってしまうのが情けない。 「ことねちゃん! せんせとのの、そっち行ったよ」 「うん! わかった」 茂みに隠れていたことねちゃんが姿を現し、目の前に立ちはだかる。 「しまったぁ!」 「2人共、逮捕です」 いきなり現れたことねちゃんに対応できず、呆気なく捕まってしまう。 まさか、こんな罠を仕掛けていただなんて……。えみちゃんって意外と策士なんだなぁ。 「えへへ、せんせー、捕まっちゃったね」 「うん。そうだね」 それから、泥棒役の子たちは全員捕まってしまい、警官役の子たちの勝利で終わった。 かなり走り回って、疲れてしまったが……。 童心に戻ったような気がして、すごく楽しかった。 放課後―― 「よし、話す内容はこんなもので大丈夫か」 いよいよ今週末に迫った家庭訪問。 面談の資料を作り終えて、ほっと一息。 「瀬田先生、ずいぶん熱心ですね」 「えぇ。えみちゃんはともかく他の子は 初めて親御さんにお会いしますので……」 「ふふ、そういえばそうですね」 「遥先生は、ののかちゃんやことねちゃんの お家にも行かれたのですか?」 「はい。ののかちゃんは一昨年、ことねちゃんは 去年うかがいました」 「ののかちゃんはご両親がとてもお若くて、 なんだか歳の離れた姉妹って感じがして とても微笑ましかったです」 「へぇ、そうなんですね」 ののかちゃんの様子を見ていると、きっと暖かい家庭で育ったんだなと想像できる。 今から楽しみだ。 「せんせー、ここ教えて!」 扉が開くと同時にののかちゃんが職員室に駆け込んでくる。 「ふふふ、噂をすれば何とやらですね」 「あれ? ののかちゃん? まだ残っていたんだ」 「うん。今日の宿題わかんないとこがあって……」 「家だとゲームしちゃいそうだったから、 学校に残ってやってたの」 前に、ののかちゃんが宿題を忘れた時に1対1で教えてあげたことがあった。 それが気に入ったのか放課後、こうして1人で質問に来るようになった。 「じゃあ、教室に行こうか?」 「うん。せんせ、早く行こー」 ののかちゃんに引っ張られながら、職員室を後にする。 「あの、勉強嫌いのののかちゃんが……。 瀬田先生、すごいです」 「……やはり、瀬田先生が……」 「――っていう感じで解いてごらん」 「そっかぁ。こうすればよかったんだぁ。 なんだ、けっこう簡単だぁ」 「うん。正解。じゃあ、次は――」 「あっ……なんか、できそうな気がする。 自分でやってみる」 こうして個人的に勉強を教えているときはののかちゃんは真剣にやってくれる。 問題が解けると面白いのか、苦手だった算数の成績も上がってきているし、授業中に寝ることもなくなった。 「うぅぅ……あとちょっとだったんだけどなぁ……」 行き詰まったようで、ののかちゃんの手が止まる。 とはいえ、途中までは完璧に出来ている。 「ここは…ほら、こうやって考えると…… どこかで見たことない?」 「あっ……! これ、前にやったことがある」 ヒントを与えてあげると、すぐに鉛筆を走らせ問題を解いてしまう。 「できたぁ!」 「どれどれ? うん、ちゃんと解けてるね。 えらい、えらい」 「えへへへ……」 問題が解けたご褒美に頭を撫でてあげる。 「そっかぁ……こういうことだったんだぁ……。 いーなー、こういうの」 「ん? どうしたの?」 「うん。えみちゃんも算数苦手だったのに、 できるようになっていて……」 「お家でせんせーがこんな感じで教えてくれるから できるようになったんだなぁって」 「そうなんだ。先生で良ければいつでも 教えてあげるから、いつでもおいで」 「うん! もちろんだよぉ」 「あとね、勉強だけじゃなくて…… せんせーと一緒にゲームしてみたい」 「そうだね。機会があれば一緒にしようね」 「約束だよぉ。絶対だよぉ」 指切りげんまんで約束をする。 マイペースなののかちゃんにはこうしていつも振り回されている気がするが……。 それも悪くないなと思えてしまう。 「えーっと、ことねちゃんは―― あっ、いたいた」 飼育小屋で立ち尽くしていることねちゃんの姿が見えた。 数匹のウサギが心配そうにことねちゃんに寄り添っている。 何かあったのかな? 「ことねちゃん、どうしたの?」 「…っ! せ、せんせい!?」 突然声を掛けたからか、ビックリすることねちゃん。 「驚かせてごめんね。何か困っているようだったから」 「はい。ウサギさんにご飯をあげようと 思ったのですが……」 上を見上げる。 あぁ、そういうことか。 「…ちょっと待ってね。よっと――」 ウサギに餌をあげようと思ったが、餌が上の方にあって取れなくて困っていたようだ。 「はい、ことねちゃん。これでいいかな?」 「あ、ありがとうございます」 ことねちゃんは嬉しそうに僕から餌を受け取ると餌用の皿に餌を入れ始める。 「みんな、待たせてごめんね」 ことねちゃんが餌の入った皿を地面に置くと、ウサギたちが群がってくる。 「ふふふ……」 ウサギたちが餌にがっつく姿をいつくしむように眺めている。 まるでウサギたちのお母さんみたいだ。 「ことねちゃん。先生に何か手伝えることあるかな?」 「えっ…でも……」 「遠慮することはないよ。何でも言ってごらん?」 「…じゃあ、お掃除を……」 「うん。ここをキレイにしたらいいのかな?」 「はい」 小屋に仕舞ってある竹箒を取り出して、汚れを綺麗にしていく。 「あっ……こら、危ないよ」 ウサギの中にもののかちゃんみたいに好奇心旺盛なのがいるみたい。 珍しいものを見るように、僕の足元にすり寄ってくる。 「だいじょうぶだよ。怖くないから」 臆病なウサギもいるみたい。 ご飯の途中なのに奥へ逃げてしまったのをことねちゃんが追いかけている。 「はは、嫌われちゃったかな?」 「…この子は……人見知りする子で…。 ほら、だいじょうぶだから出ておいで」 まるでことねちゃんみたいなウサギだな。 「…………」 少しだけ距離を取って僕を睨み付けているようなウサギがいる。 「(なんだか、えみちゃんと最初に会った時を  思い出すな)」 「ほらほら、こっちおいで……」 ウサギの頭を撫でて上げる。 最初は警戒していたが、撫でていくうちに大人しくなっていって、受け入れてくれる。 すごく可愛いな。 「…その子、他の人にはなかなか懐かないのに……。 せんせい、すごいです」 「へぇ、そうなんだ。 じゃあ、足元の子は誰にでも懐く?」 「はい。その子――ミミちゃんはそうですね。 せんせい、どうしてわかったの?」 「うん、なんとなくそう思っただけだよ」 なんだかののかちゃんみたいな子だったから、そう思ったのだけど、当たっていたみたいだ。 それからしばらくの間、ことねちゃんとウサギについて話をした。 愛情込めて育てているからか、ことねちゃんはまるで我が子のように嬉しそうにウサギのことを話してくれた。 ことねちゃんのお手伝いをした後、えみちゃんの様子を見に図書室へ向かった。 図書室へ向かう途中の廊下でえみちゃんとばったり出くわした。 どうやら、読もうと思っていた本がなかったらしい。 えみちゃんを見送ってから、ののかちゃんの様子を見に教室へ。 教科書片手に悪戦苦闘していたが、ヒントを色々出してあげて、なんとか宿題を終わらせた。 「…ウサギの世話って意外と大変なんだなぁ」 夜、ちょっと興味が湧いたのでウサギのことをネットで調べていた。 「ことねちゃん、こんなに大変なことを 嫌な顔1つしないでやっていたんだ」 何だか頭が下がる思いだ。 「他のサイトも調べてみるか……」 今後、もっと色々お手伝いしてあげたいと思い、飼育方法を検索する。 「ふむふむ。なるほど」 それから夜遅くまで、ウサギの飼育方法を勉強するのだった。 数日後の放課後―― 「……これで準備万端だな。 思ったよりも早く終わった」 明後日から始まる家庭訪問。 面談の資料を全て作り終えたので、あとは実際にご家庭にうかがって話をするだけだ。 「…ことねちゃんの様子でも見に行くか」 今日はことねちゃんが飼育当番なので、お手伝いをしに行こう。 飼育小屋に到着。 ことねちゃんは何やら慌ただしく動いている。 「…? 何かあったのかな?」 様子がおかしいので、慌てて駆け寄っていく。 「ことねちゃん、どうかしたの?」 「…せ、せんせい……。 ミミちゃんが……ミミちゃんが……」 今にも泣き出しそうな顔をしながら僕の下に駆け寄ってくる。 「…ミミちゃんって、あの人懐っこい子かな?」 「…は、はい……。ミミちゃんが…… いなくなっちゃった……」 あの好奇心旺盛そうなウサギが逃げ出してしまったらしい。 「ことねちゃん、まずは落ち着いて。 はい、深呼吸」 「………………」 取り乱してしまっていることねちゃんを落ち着かせてから、事情を聞く。 「…お掃除するとき、開けたままで…… 出て行ったのに気づかなくて……」 「そうか。だったら、まだ遠くには行ってないな」 となると、飼育小屋の周辺にいる可能性が高い。 どこかに移動してしまう前に捕まえないと。 「ことちゃん、まだここにいたんだ? 早く帰ろうよぉ」 「あっ、せんせもいる。 ……何かあったの?」 ののかちゃんとえみちゃんがやってくる。 ことねちゃんを迎えに来たらしい。 「うん。実は――」 ことねちゃんに代わって、ののかちゃんたちに事情を説明する。 「大変だよぉ! 早く探さないと! ことちゃん、わたしも手伝うよ」 「うん! あたしも! だから、ことねちゃん。心配しないで」 「うくっ…ありがとう……みんな……」 えみちゃんとののかちゃんから声を掛けられ少し安心したのか、今にも泣き出してしまいそうだ。 「よし、手分けして探そう」 「えみちゃんは念のため、校舎の中。 ののかちゃんはグラウンドをお願いできるかな?」 「うん! わかった!」 「りょーかい!」 えみちゃんとののかちゃんがウサギを探しに行く。 「じゃあ、先生はここらへんを探すから…… ことねちゃんは飼育小屋の中をもう1回探して みてね」 「…んっ……うん……」 それから、逃げたウサギのミミちゃんの捜索が始まった。 とうとう下校時間がやってきて、校内を見回っていた遥先生にも協力してもらったが……。 ミミちゃんは全く見つからないまま―― 下校時間を大幅に過ぎ、日が完全に落ちてしまった。 「はぁ、はぁ……学校の中にはいなかった……」 「…外も……いっぱい探したけど……」 2人共一生懸命探してくれたみたいで、息を切らしながら、汗だくになっている。 「………………」 「…瀬田先生、もう……」 懐中電灯なしでは見えにくいほど辺りは暗くなってしまったし。 さすがにこれ以上、学校に居させるわけにはいかない。 「よし、あとは先生が探しておくから みんなはもう帰った方がいい」 「えっ!? でも……」 「そうだよぉ! まだ、ミミちゃん見つかってないよ」 「………………」 どうやら譲れないらしく、頑なにその場を動こうとしない。 「みんな、大丈夫だから。 先生がミミちゃんを必ず見つけてあげるからね」 ことねちゃんの肩に優しく手を置いて、3人を説得する。 「…で、でも……」 「僕は先生だよ? 先生に出来ないことはないから」 「ふふ、瀬田先生の言う通りよ。 だから、ここは先生たちに任せてね」 遥先生と一緒にことねちゃんたちを説得していく。 「うぅぅ……でもぉ……」 「…せんせが…そう言うなら……」 納得しきれず、渋っているえみちゃんとののかちゃん。 「ん? ちょっと静かに――」 茂みの方でガサっという音が聞こえた気がした。 「…………」 音のした方向にゆっくりと懐中電灯を向けてみる。 「あっ……」 茂みの奥から、小さなウサギがこちらの様子を伺うように顔を覗かせていた。 それを見たことねちゃんが駆け出していく。 「…ミミちゃん、心配したんだから」 ミミちゃんは特に逃げることもなく大人しくことねちゃんの胸に抱かれている。 「ふぁ……せんせー、すごい…… ホントに見つけちゃった……」 「ねっ、先生の言ったとおりだったでしょ?」 驚くののかちゃんの頭を撫でながら、言ってみる。 偶然に偶然が重なっただけだけど……。 「ことねちゃん、よかったねぇ」 「…は、はい……ぐすっ……みんな……んっ…… ありが…とう………」 安心したからか、目から大粒の涙が溢れ、嗚咽の混じった声で応えている。 「うん。ちゃんと見つかってよかった」 僕も胸をなで下ろし、ポケットからハンカチを出してことねちゃんの涙を拭ってあげる。 「…せんせい……ありがとう……」 ことねちゃんはミミちゃんを大切に抱きしめながら飼育小屋に戻しに行く。 「さてと…、遅くなっちゃったし みんな、お家まで送ろうか?」 「で、でも……そこまでは……。 それに、わたしの家、そんなに遠くないですし」 「うん。私の家もここから近いからだいじょうぶ」 遠慮するののかちゃんとことねちゃん。 「だったら、ことねちゃんとののかちゃんは わたしが車で送りましょう」 「ありがとうございます、遥先生」 いくら遠くないとはいえ、暗い夜道を歩かせるわけにいかないと思っていたので、遥先生の提案は嬉しい。 「はい、わかりました。 ののちゃん、ことねちゃん、おいで」 「うん! はるかせんせー」 「はるかせんせい、ありがとうございます」 ののかちゃんとことねちゃんが遥先生についていくのをえみちゃんと見送る。 「さて、えみちゃん。僕たちも帰ろうか?」 「うん。そだね。あたし、お腹ぺこぺこだよぉ」 それからえみちゃんと2人で家に帰る。 歩きながら今日の出来事をかんがえる。 前の学校にいた時だったら、先生だから、仕事だから何とかしないといけないと思ったところだろう。 それが今ではことねちゃんの顔を見ていたら先生とか仕事とかそんなこと抜きで力になってあげたいと自然に思った。 この学校に来て、僕はだいぶ変わってきているのかも知れない。 家庭訪問当日―― 今日は家庭訪問があるということで、授業は午前だけで終わり。 「(傘、持ってきたらよかった……)」 家を出る時は快晴だったので、油断して傘を持ってきていない。 このまま何とか天気が持ってくれたらいいが……。 「せんせー、これから家来るんだよね? ママがすっごく張り切ってたよぉ」 「わたしも…ばあばが昨日から……」 どうやら、ここではご家庭を訪問することは歓迎されているようだ。 「うん。今日は最初にののかちゃんのところに行って それから、ことねちゃんのところだね」 で、最後はえみちゃんというスケジュールだ。 「…お母さん、朝からずっとニヤニヤしてた」 「ははは……」 えみちゃんは普段からお世話になっていることもあり、特に話す内容なんてなかったりする。 敦子さんのことだから、ちょっとした“ごっこ”感覚で楽しみにしているということだろう。 「というわけで、みんな。ちゃんとお家にいないと ダメだよ?」 「うん! もちろんだよぉ! 楽しみぃ」 「はい。待ってます」 「…あぅぅ……なんだか緊張してきた……」 そう言ってから、3人で仲良く下校していく。 楽しみで仕方ないといった様子のののかちゃんたちに比べて、えみちゃんはなぜか緊張しているようだ。 「ふぅ……。なんだか、僕も緊張してきたな」 遥先生や小野先生の言うとおり、深く考えないでやればいいのだろうけど。 でも、やはり緊張してしまうものは緊張してしまう。 「もう少しだけ時間があるな……」 一度、席に座ってから、面談の内容を確認する。 話をする内容は決まっているが、特に気を遣わないといけないのは―― 「まっ、えみちゃんだろうな……」 他と違って一緒に住んでいるってこともあるから気負いはしていないが……。 だからと言って気を抜かず、しっかりと学校での様子を伝えないといけない。 「ののかちゃん…かな……」 成績はトップクラスだが、授業態度に問題があったののかちゃん。 とはいえ、最近居眠りをすることはなくなったし苦手な算数の意欲も出てきているのでこれといった問題はない。 ちゃんと改善されてきているってことを報告して保護者の方にも安心させてあげられれば。 「やっぱり、ことねちゃんかな」 ウサギのミミちゃんの一件以来、だいぶ心を開いてくれてはいるが……。 それでも、えみちゃんやののかちゃんに比べると積極的でない分、わからないことがまだ多い。 ご家庭での様子もしっかりと確認して、もっとことねちゃんのことを知ってみたい。 いよいよ始まった家庭訪問―― まず最初に向かったのはののかちゃんの家だった。 最初、居眠りが多かったののかちゃんだが最近はそれが改善されてきている。 元々、成績自体は優秀な方なので特に言うこともなくすんなりと終わった。 それから他のクラスメートのご家庭に行って、ことねちゃんのお家へ―― 昔ながらの豪邸といった佇まいのお宅に驚いてしまった。 お家に着いた瞬間、どしゃぶりになってしまったが幸いなことに面談が終わる頃には止んでくれた。 「…さてと、最後はえみちゃんだな」 えみちゃんは、僕が居候させてもらっていることもあり、最後にしていた。 終わればそのまま学校に戻らなくても良いと校長先生から許可は貰っている。 「……どこも良い家庭ばかりだったな」 特にののかちゃんがそうだったが、家と学校で様子が変わるということがない。 それぞれの親御さんも学校のことを信頼して下さっている。 最近、ニュースなどでよく聞くモンスターペアレントとは無縁の土地柄で、非常にやりやすい。 だから、子供も裏表なく素直に育つのだろうと感心してしまった。 「もうひと頑張りだ」 雨でぬかるんだ道に苦戦しながら、橋本家へと向かって行った。 「ふぅ……」 勝手知ったるえみちゃんの家。 今日はここまでずっと歩き続けていたので足が棒になってしまっている。 日頃の運動不足が祟っているのかも知れないな。 なんて考えているところに敦子さんとえみちゃんがやってくる。 「瀬田先生、本日はお忙しいところ わざわざありがとうございます」 「いえいえ、こちらこそ―― お時間を頂きまして……」 腰を下ろし、対面するような形になってから頭を下げて挨拶をする。 一応、きちんとした学校の行事ということでいつものようにではなく、あくまでも保護者と担任として話を始める。 「………………」 きちんと正座して緊張のあまり無言になってしまっているえみちゃん。 「…ふふ」 敦子さんは何やら笑い出すのを堪えている。 確かに、もう慣れ親しんでいるから今更という感じもする。 僕も敦子さんも家庭訪問ごっこというような感じで話を進めていく。 「誠人さ――じゃなかった先生、 えみの学校での様子はいかがでしょうか? ご迷惑、お掛けしていませんか?」 「えぇ、えみちゃんはクラスの中心になって 頑張っていますよ」 「それに、僕のお手伝いも積極的に してくれますし、ね?」 と、えみちゃんに視線を向ける。 「…ひうっ……そ、そうなんだ……あはは……」 ぎこちなく笑うえみちゃん。 相手がえみちゃんの所ということでリラックスしている僕とは対照的にえみちゃんはまだ緊張してしまっているようだ。 「ふふふ、えみったら。 そんなに固くなってどうしたの?」 「…だ、だって……」 「…………」 どうやらえみちゃんは、元々、不器用なタイプらしい。 今思えば、出会った当初のギスギス感も僕に対してどう接したらいいかわからなかったってだけなのだろう。 そう分かると、何だかえみちゃんのことが無性に可愛く思えてくる。 「それで、成績の方なのですが――」 学校の様子を話してから、今度は学業の話へ話題を移していく。 「…算数はまだ苦手なのね」 「うぅぅ……そ、それは……」 えみちゃんの方を向く敦子さんに気まずそうな顔をしている。 「ですが、算数は積み重ねの教科ですし……。 最近はすごく頑張っていますので、 効果が出てくるのはこれからかと――」 すかさずフォローする。 こうしてきちんと正座して話を聞いている様子から根は真面目な子なんだろう。 今までは算数が嫌いっていう気持ちが強すぎてそれが成績向上を阻害していたのかも知れない。 「ご家庭での様子はどうですか?」 それは僕にも分かりきっていることではあるが、一応、聞かないといけない項目なので……。 「そうですね。うーん…、先生が来てから 少し変わったかも」 「…変わった?」 意外な答えが返ってきた。 「…お姉さんらしくなったというか…… 少し女の子らしくなった感じですね」 僕にはまったく分からない変化ではあるが、ずっと一緒にいた敦子さんには分かる変化ということだろう。 「…え、えへへ………」 敦子さんの言葉が嬉しかったみたいだ。 緊張しながらも、照れ笑いを浮かべている。 それからは、特に聞くこともなく他愛のない会話を続けることになった。 面談を終えてから、一度部屋に行き、着替えを済ませてから、1階に戻った。 夕飯まで少し時間があるので、テレビを見ながらリラックスしている。 「――そう言えば、最近庭からオシッコの匂いが するのよねぇ。誠人さん、そんな感じしない?」 夕食の準備を終えた敦子さんが台所から出てくる。 「あっ……そういえば……」 朝とか家を出る時にかすかに匂うことがあった。 あまり気にはしていなかったが……。 「…最近、暖かくなってきたし…… 野良猫か何かかしらねぇ?」 「ん? 野良猫がどうかしたの?」 部屋にいたえみちゃんがやってくる。 「いや、最近、家の庭に野良猫がいるんじゃないか? って話をしていて……」 「えみ、心当たりある?」 「うーん……。あたしは見てないよ?」 「そう。まぁ、放っておけばそのうち どこかに行っちゃうでしょう」 敦子さんはさほど気にならないといった様子だ。 ひょっとしたら、真夜中とかに出現しているのかも知れない。 「そう言えば、えみちゃん。 さっき大人しかったけど、やっぱり緊張した?」 「うん。だって、あぁいうことって慣れてなくて…… どうしたらいいか、わかんなかった」 と、すっかりいつもの様子に戻っている。 「ははは、あんなえみちゃんを見るのは初めて だったから、驚いたよ」 「もうっ! お兄ちゃん!」 からかい気味に話をしてあげると、ぷーっと頬を膨らませている。 コロコロと変わる表情が可愛い。 「ただいま〜!」 「今、帰ったぞ」 玄関からゆうきくんと隆司さんの声が聞こえてくる。 「ふふ、みんな帰って来たわね。 じゃあ、お夕食にしましょう」 みんなが揃ったところで、晩ご飯。 ゆうきくんの家庭訪問の様子や、えみちゃんの様子が話題になっていた。 せんせーがお家に来たと興奮しているゆうきくんに対して、えみちゃんはどことなく恥ずかしそうだったのが印象的だった。 …………………………。 「……んっ」 真夜中に尿意を感じ、ふと目を覚ましてしまう。 「ふわぁ……」 大人にもなってオネショなんて笑えない。面倒臭いと思いつつも、何とか残った理性で身体を起こしトイレを目指す。 まだ完全に頭が冴えていないためおぼつかない足取りで、壁伝いに真っ暗な廊下を進んでいく。 「ふぅ……ん……?」 用を足した後、すっかり冷えてしまった足を気遣いながら、再び来た道を戻っている途中で、何やら聞き慣れない物音が僕の耳に飛び込んでくる。 「……!」 音、というよりも足元から響いてくるような、ゴトゴトと何か重いものをぶつける感覚に、身構えてその発生源を探す。 野良猫にしては、あまりにも鈍いその音は、僕の心臓の音を速める。 まさか泥棒だろうか。 先ほどまでの眠気が一気に吹っ飛ぶ。 「………………」 声を殺して居間に置いてあるゆうきくん愛用のプラスチック製のバットを手に取る。 何もないよりはマシだろう。 「…えみちゃん……」 とにかく子供たちの安否を確認するため、足音を立てないように部屋へ向かった。 電気が消えて真っ暗なえみちゃんの部屋―― 「(…………?)」 差し込む月明かりを頼りに、ベッドに目を配るとえみちゃんのベッドは布団が乱れており人の気配がない。 上からはゆうきくんの寝息が聞こえてくるので、きっと大丈夫だろう。 「(えみちゃん……?)」 冷たい風が足元を通り、ベランダの窓が開いていることに気がつく。 「…まさか……!?」 こんなことがあってたまるかと言い聞かせながらも、目の前に広がる様々な状況に背中に冷たい汗を感じる。 焦る気持ちを抑えながら窓の方へと歩みを進めカーテンの隙間から様子を伺う。 「…んっ……んっ……っと……」 何をしているのだろうか。急に声を掛けるのも驚かしてしまいそうで、もう少し様子を見てみることにする。 「(植木鉢……?)」 ベランダの隅に置いてある丸い植木鉢を持ち上げ、真ん中へと移動させて何かの準備だろうか……。 「…………ふぅ……」 2、3度位置を調整し、ようやく落ち着いた場所をみつけたのか、小さく一息ついてあたりをきょろきょろと見回し―― 「……んしょ、っと……」 いきなりパジャマのズボンとパンツに手を掛け、一気に脱いでしまう。 「…………!!」 しかしその行為のおかげで、僕の中でなんとなくえみちゃんのやりたいことがわかった。 「……んっ……んぅっ……」 腰に手を当てて目一杯上体を反らし、くぐもった声を漏らし始める。 ――あぁ、やっぱりね。 小さな水音を鳴らしながら、えみちゃんの足元を濡らしていく。 「…………んっ」 植木鉢に向かって懸命におしっこをしているえみちゃん。 ただ、夜中はまだまだ肌寒く、そのせいで出が悪いのか勢いも無く、ぴゅっ、ぴゅっと搾り出すように水滴が垂れている。 「……んぅ」 どこか不満げな声を漏らしながら、ティッシュを探すようにこちらに手を伸ばしてくる。 「(――しまった)」 両手を床につけてえみちゃんの姿に見入っていた僕は、すぐ脇にあるティッシュ箱の存在に気づけなかった。 「…………!!」 窓越しにえみちゃんと目が合ってしまう。 一瞬驚いて声を上げそうになるが、それを抑えると今度はさらに大きく見開きながらわなわなと震えはじめる。 悲鳴をあげたり怒鳴り散らされるのかと思ったが、かなり気が動転してしまっている。 大きな目に涙を浮かべながら口をパクパクしている。 「……あぅ、あぅ……あっ、ぁっ……ぁっ……」 「……しーっ」 ようやく搾り出すような声を上げるえみちゃんに、僕は人差し指を自分の唇に当てて、えみちゃんを落ち着かせる。 「お、お兄ちゃん……!? どうして!?」 ひとまず外にいるのも寒いだろうと思い、部屋の中へ招き入れる。 とたんに下半身を露出していることを思い出したのか、隠すようにぺたんとしゃがみこんでしまう。 「トイレに起きたら物音がしたから……。 でも、えみちゃん…どうしてそんなこと?」 頭ごなしに叱ることは逆効果と思い、優しく理由を問いただす。 「……だって、ゆうきが――」 きっとゆうきくんに感化されてしまったのか、男の子のそれに習い、自分もやってみたくなったのだろう。 恥ずかしさで最後まで言えないようだったが、この状況……。答えは明白だった。 「そっか……。 なんとなく分かるなぁその気持ち」 「……え? ほんと?」 えみちゃんを落ち着かせるための出任せ部分なところもあったが、全くの嘘ではない。 「ふふ、そうだね、 あまり信じてもらえないかもしれないけど、 こう見えて昔ね――」 僕がえみちゃんと同じ歳のころを思い出しながら、親にも隠していた少し恥ずかしい過去をえみちゃんに話してあげた。 「へへ、せんせ、へんなの〜……」 「でしょ? 今思えばおかしな話だけど、 きっとその時は えみちゃんみたいな気持ちだったのかもね」 幾分か落ち着きを取り戻したえみちゃんは、僕の話を聞いて笑顔を見せてくれた。 こんな過去でも笑ってくれる人がいるなんて思わず、僕もうれしい気持ちと恥しい気持ちで笑顔になれた。 「――でね、さいきん練習してたんだ……」 さっき恥ずかしさで最後まで言えなかった一言を、しっかりとした口調で僕に伝えてくれる。 毎晩みんなが寝静まるのを待って一人でしていたのか―― そんな健気な姿に僕の口が自然と動いていた。 「じゃあ、僕でよければ手伝うよ? 実際に男の子に教えてもらったら出来るかも……」 正直うまくできる自信はない。 ただ、えみちゃんが満足して、喜ぶ姿を見れれば僕も嬉しい。 そう考え手伝ってあげることを提案した。 「…でも……う……うーん……。 じゃあ…ちょっとだけ……おにいちゃんに……」 もちろん恥ずかしい行為である以上、二つ返事とまではいかなかったが、僕をまっすぐ見つめ返してくれた。 どうやら、ゆうきくんに負けたくないって気持ちが強かったのだろう。 「……よし」 寝静まっているゆうきくんを起こさないように再びベランダへと繰り出した。 「じゃあ、さっきみたいにやってごらん」 「う…うん……んっ……」 えみちゃんは、さきほどまでと同じように植木鉢に向かい、足を広げ構える。 今度はもっと体が逸らせるように、後ろからえみちゃんの体を抱えてあげる。 「…うぅ…やっぱり……恥ずかしい…よぉ……」 耳まで真っ赤にしながら恥ずかしがっている。 当然と言えば当然か……。 「……こうしたら、どうかな?」 指の腹でスジをふにふにと刺激する。 「…んっ…ひうっ……おにいちゃ……そこ…… きたない……」 「気にしないでいいよ。 ちゃんと、オシッコ出やすいようにしてあげるから」 「んっ……んぁっ……あっ…あっ……んっ…… んんんっ……くぅ…ぅ……んっ……」 指をやさしく前後に動かすと、それに連動するようにえみちゃんがびくびくと反応を返す。 「…はぁ…んぁ……おにいちゃん……んっ…… ここ…触って……おしっこ、出る?」 「うん。今、えみちゃんはオシッコが出るところが 固くなっちゃっているんだ」 「…かたくなっているの?」 「そう。だから、こうして、おしっこ出るところの 近くを触ると、柔らかくほぐれていくんだ」 「…そう…なんだ……んっ…んぁっ…ふぁ……」 できるだけ簡単な言葉を選んで説明したつもりだが、とりあえずわかっては貰えたみたい。 「もうちょっとだけ、ほぐしていくよ?」 「…う、うん……」 ゆっくりと、おしっこが出るよう促すように秘部を愛撫していく。 「ふぁ…はぁ…あ、んっ……はぁぁ……あっ……」 それが気持ちいいのか、えみちゃんはウットリとした吐息を漏らし始めた。 指先に何やらネットリとした感触。濡れてきているみたいだ。 「んっ…んぁ…う、んっ……な、なんか…… 出てきて…る……」 「心配しないでいいよ。 これが出てくるのはね、ほぐれてきているから なんだよ」 「…そ、そうなんだ……んっ……あぅ…ンぅ……」 「そうそう。だから、ここ、なんだか 温かくなってきてないかな?」 「…ぅん……言われてみれば…そう、かも……?」 「んくぅっ……んっ……あ、んっ……ぅんっ……」 指の腹を秘部に当て、何度も何度も上下に動かしていく。 えみちゃんは時折、体を小さくびくつかせながら感じてはいるみたい。 だが、まだオシッコは出そうにないようだ。 「……もうちょっとだけ、強く擦っても 大丈夫かな?」 「…うん……だいじょうぶと思う……」 「んっ……」 指先に力を入れて、ふっくらとした秘肉で挟むようにしてから上下に動かしていく。 「んくっ……! んっ……ふあぁ、あっ、あ……」 えみちゃんは、少々刺激が強かったみたいで、大きな声を出してしまう。 「ん、ふぁっ……あ、あ、あんっ……ぅんんっ……」 だけど、すぐにそれに気づいたのか歯を食いしばり、何とか声を押し殺している。 「はぁ…はぁ……んっ……んっ……はぁ、あぁぁ……」 「んんッ……んくっ……あっ、あっ、あっ…… んんっ……ぅ、くぅっ……」 えみちゃんの様子を見ながら、指を早く動かしたりゆっくり動かしたりと強弱をつけていく。 「あっ…あっ…んぁっ……お、おにいちゃん…… んんっ……ああぁ……」 緩急をつけたことで、さらに感じさせてしまったみたいだ。 えみちゃんの秘部から漏れる愛蜜が量を増していく。 「こういうのは、どうかな?」 えみちゃんの愛蜜を指にたっぷりと絡めてから秘部にすり込んでいくように指を動かす。 「ひゃっ……あっ、あっ……ヌルヌルして…… んんっ……ここ、じんじんするぅ……」 「なんか…んんっ……力ぬけてく…… あっ、あっ……んんんっ……んくっ……ぅんっ……」 体にえみちゃんの重みを感じ始める。 力もだいぶ抜けてきたようだし、あと少しか? 「そうそう。そのままリラックスして……。 それから、お股に力を入れてごらん?」 「…う、うん……んっ……んぅぅっ……」 僕に言われたとおり、力むえみちゃん。 「んっ…はぁ……出そうな気がしたけど…… もう少し…みたい……」 尿意自体は感じているようだ。 だったら―― 「そっか。じゃあ、最後の準備をしよう」 くちゅ、と卑猥な音が鳴り、小さな割れ目を開かせる。 「お、おにいちゃん……!? は、ぅぅぅ……」 よほど恥ずかしいのか、再び肩をすくめ僕に寄りかかってくる。 「こうすると前に飛ぶんじゃないかな?」 「で、でも…これは……あうぅぅ……」 ……ここまで恥ずかしそうにしていたら出るものも出ないかも知れない。 さらに強い刺激を与えるために、空いている指で陰核に触れてみる。 「ひゃんっ……! そ、そこ……だめっ……!」 敏感な部分に顔を真っ赤にするえみちゃん。 そんな女の子らしい反応に次第に僕も昂揚していく。 「えみちゃん、ここ嫌だった?」 「あぅぅ……いやじゃない……おにいちゃん、なら」 「痛かったりしたら言うんだよ?」 耳元で囁くように言ってあげてから、陰核への愛撫を再開する。 「ひゃっ……んっ……んんっ……くぅ…んっ……」 まだほとんど刺激を受けたことのないそこは、とても敏感で不器用な僕の指では傷つけてしまいそうだ。 そう思い、こすったりせず、つん、つんと指の腹でキスをするように刺激を与える。 「んぅっ、ぁ……は、あん…… お、おにいちゃぁん……んん!」 「ふあぁぁ……そこ、触れると……あんっ…… 声、おっきいの出ちゃう……」 ついえみちゃんのかわいい顔が見たくて、敏感な場所を執拗に責めてしまう。 しかし、気がおかしくなってしまいそうなのか、切なそうな顔で見つめられ、不謹慎にも胸の奥がぎゅっとなる。 「そっか。じゃあ――」 耳の奥に残る甘い声に名残惜しさを感じつつも忘れかけていた本来の目的を果たすため、ペースを落とし優しい手つきに戻していく。 「んぅぅぅ……んくっ……んはぁっ……んぁっ……」 「はぁ、はぁ……はっ……はぁんっ……んんっ…… んくっ……んっ、うくっ……くぅぅ…ぅんっ……」 「…………」 先ほどまでの声ではないが、次第に漏れ始めるえみちゃんの甘い声。 意識するなということ自体が無理な状況に、全神経が指先に集中する。 「んひゃっ……お、おにいちゃん…… だ、め……んっ……んはぁ……んんんっ……」 “ダメ”といわれ、何とか我に返る。 ――その言葉にチクリと胸が痛む。 「ごめんね。もっと優しくするね」 冷静さを取り戻すために、大きく一息ついて昂ぶった感情を静める。 ――えみちゃんの力になる。 念仏のように唱えながらゆったりとした愛撫を続けていく。 「はぁ、はぁ…んはぁ…あ、あ、んぁ……あっ…… ふあぁ……あ、んはぁ…んっ……」 「……おにいちゃ……んんっ……なんかきて…… もう……出そう……」 呼吸が荒くなり、膝が小刻みにぶるぶると震え始めている。 「出そうになったら言うんだよ? 僕も手伝うから……!」 「うん……」 「んっ……んんんっ……んはぁ…あっ……あぁ……」 えみちゃんは無意識に腰を前に突きだしている。 もう出る寸前っていったところだろう。 「んっ……」 今の状態だったら大丈夫かも知れない。 少しでも出しやすいように、陰核を重点的に愛撫していく。 「ふあぁぁっ……あっ……んっ……んくうぅっ……」 「おにいちゃん…そこだめだって……あっ…… あっ……なんかきちゃう……おっきいのきて……」 オシッコが出る前に絶頂してしまいそうになっているのだろうか。 「えみちゃん、そのまま、そのまま――」 どんどん溢れてくる愛蜜を思い切り指に絡め、ヌルヌルと陰核を責めていく。 「あっ……あくっ……んんっ……んあぁぁぁ……」 「はぁ…はっ……ふぁ……あ、あ、あ、んんっ…… んっ、くっ……んんんぅぅぅ……っ……!」 絶頂してしまったようで、膝を伸ばしビクンと大きく体を仰け反らせる。 「はぁ…ハァ……ん……ぅっ……ぁっ……」 そして直後の脱力。必死に僕の服につかまりながら何とか立っているのが、頼りなくて愛おしく感じてしまう。 「……はぁ、はぁ、はぁ……あっ……あぅ…… で、でるぅ……」 内腿の緊張が解け尿意を促したのか、脚が小刻みにぷるぷる震え始める。 「そのまま、出していいよ」 倒れてしまわないよう、えみちゃんをしっかり支えながら、目標の植木鉢に照準を合わせる。 「……んはぁ…あ…あっ……で、でちゃ…ぅ…… おにいちゃん…でる……はぁ、はぁ…あぁぁ……」 「んっ…ぅっ……ンぅぅぅぅぅ………ッ………!!」 ちょろちょろと音を立てながら、おしっこが弧を描き植木鉢に降り注がれていく。 「あっ…あっ…あぁぁ……ふぁ……はっ…… んっ……んはぁ……あ、あぁ……」 よほど気持ちいいのか、ウットリした声を出しながら放尿を続けている。 「えみちゃん、我慢しないでいいからね。 全部出しちゃった方がいいよ」 「んっ……んぅ……ふあぁぁ……はぁ、はぁ…… んはぁぁ……」 ずっと我慢していたのだろうか、しばらく勢いは収まらず、冷たい僕の指先を濡らしていく。 「はぁ…はぁ…んはぁぁ……はぁ……あぁ…ん……」 おしっこが終わると、えみちゃんは体をぶるりと震わせる。 ポタポタと残りの雫が太股を伝っていっている。 「はぁ、はぁ、はぁ……あっ……んはぁ……ぁ……」 えみちゃんはぐったりしたまま、息を荒げてしまっている。 「…………」 無防備でかわいらしいその顔に僕の中で嬉しさと切なさが入り混じる。 結果的にはえみちゃんの夢を叶えた形になったものの、生徒に対しイケナイ行為を働いてしまった―― 「……おにいちゃん…手伝ってくれてありがとう」 そんな僕に対してお礼を言ってくれるえみちゃん。 どんな表情をすればいいのかわからず、いつもの顔を思い出すのに数秒かかってしまった。 「えみちゃん、いっぱい出たね。 どうだった?」 「……男の子って…こんな感じでするんだ……」 まだ絶頂の余韻が完全に冷めていないみたいで、ポーッとしたまま答えてくる。 足元もおぼつかない様子だし、外にいて体を冷やしてしまうのはよくない。 「じゃあ、きれいにしよっか」 「んっ……ひゃっ……んっ……」 愛撫にならないよう、用意してあったティッシュで押し当てるようにして拭い取っていく。 「よしっと。じゃあ、お部屋に戻ろうか?」 「うん……。ありがと……」 「あうぅぅ……うぅぅ……」 だんだんと冷静さを取り戻し、先ほどの行為を少し後悔しているように、顔を真っ赤にして唸っている。 「えみちゃん、よくできたね」 えみちゃんをベッドに座らせ、目線を合わせるため僕も床にひざをつく。 あまりの動揺した様子に、僕もどうすればいいのかわからず、ただ頭をやさしく撫でていた。 「…むぅぅぅ……こどもじゃないもん……」 口調は不機嫌そうだが、語気に力はなく撫でる僕の手に抵抗する素振りもない。 「うん、そうだね。ごめんね」 「…んっ……えへへ……」 とはいえ、まだまだ甘えたい盛りなのだろう。次第に笑顔を取り戻し目を細めて、気持ちよさそうな顔をしている。 「………………」 指先に残っているえみちゃんの秘部の感触―― さらに、まだ耳の奥に残っている甘い声に興奮が収まらない。 「じゃあ、僕はそろそろ寝るから……」 このままここに居ては、理性がどうにかなってしまいそうだ。 えみちゃんを傷つけないためにも静かに部屋を出ていく―― 「…おにいちゃぁん……」 そんな僕の足を蚊の鳴くような声で呼び止める。 聞こえないふりをして振り切ってしまえばよかったのかもしれない。 でも、心のどこかで期待していた自分がいた。 「ん? どうしたの…?」 ゆっくり振り向き再びえみちゃんと向かい合う。 カーテンの隙間から入ってくる柔らかな月の光に照らされたえみちゃんは、どこが幻想的で僕を魅了させる。 「あ、あのね……ちょっと寒いから……」 「おにいちゃんの体、あったかいし…… 一緒に……その、寝てほしい、な……?」 「………………」 普段、えみちゃんがこうして自分から甘えてくるのは珍しい。静かで真っ暗なこの空間がそうさせているのだろうか。 「じゃあ、えみちゃんが寝付くまでなら……」 僕自身の理性のためにも、自ら条件をつけておく。 もう真夜中だし、体が温まったらすぐに眠ってしまうだろう。 それぐらいの時間であれば―― 「うん……。じゃあ、おにいちゃん、どうぞ――」 はたりと掛け布団をめくり僕を奥に促す。 奥に寝てしまっては出られないと思ったが、えみちゃん自身、朝までいてほしいという意思表示なのだろうか。 「(……最後まで付き合うか)」 普段見せないえみちゃんの様子に僕は従うしかできなかった。 「うん……」 えみちゃんに促されるまま、ベッドに上がり向かい合うように隣に横たわる。 もともと二人で寝る設計ではないベッドは、2人だと少し窮屈に思えた。 時々手や足が当たって、そのたびにえみちゃんを意識してしまう。 「えへへへ……おにぃちゃぁん……」 まるで子猫のように顔を近づけて甘えてくるえみちゃん。 「…………」 こんな距離で向き合うことがない僕は、初恋をしたときのようにドキドキしていた。 同じシャンプーを使っているはずなのに、えみちゃんからはふんわりと甘いミルクのような匂いが漂ってくる。 一緒にふとんに入るため、小さく身を丸めるえみちゃんは、いつにもましてか弱い存在に感じる。 まだ、恥ずかしさが残っているのか、頬がほんのりと赤く染まっていて、いつもの元気なイメージとは違った魅力。 触れる肌、香り、小さく呼吸する音。気づけば五感すべてでえみちゃんを感じていた。 「……んっ…っ………!?」 ――気づいたときにはすでに動いていた。 緊張してかさかさになった僕の唇に感じる、暖かく柔らかな感触。 えみちゃんの小さな小さなピンクの唇に、僕は引き寄せられていた。 「…っ……!」 自分勝手な行動に、今まで感じたことのない恥じらいと後悔を感じていた。 ましてや僕らは生徒と教師―― 越えてはいけない線がそこにはあったはずなのに。 「……あっ…………」 えみちゃんは目を大きく見開いて言葉も出せないぐらい驚いてしまっている。 「…ご、ごめん……!」 慌てて顔を離し、謝るも、まっすぐにえみちゃんの顔すら見れない自分がそこにいた。 「………………」 ――しばらくの沈黙。 どんどん広がっていく罪悪感で心臓が高鳴る。僕は何てことをしてしまったんだ……。 「……ぁの……ね?」 狭い布団の中、もがくこともできず、頭の中をぐるぐるしているとえみちゃんが続ける。 「…お口のちゅーは大人になってからって おかあさん、言ってた……」 そう、ポツリと漏らす。 その口調からは怒りも感じず、喜びも感じない。ただ、メモを読むような口調で続けていく。 「あたしの初めてのちゅー……おにいちゃんと……」 そう呟くと背中を向けて丸くなってしまう。 「えみちゃん。本当にごめん……。 ちゅーしちゃって……」 表情が伺えずうろたえる今の僕にとって、今、出来ることは誠心誠意謝罪することだけだった。 「……ごめん」 緊張でかすれた僕の声は暗い部屋の中、誰の耳に届くこともなく消えていく。 ……何がしたいんだ、僕は。 どれだけ自分を責めても結果は変わらないと分かっていても、そうするしかなかった。 「――あたし、子供じゃないもん……」 突然聞こえてきたえみちゃんの言葉。 「…………え?」 それが僕に言った言葉なのか、独り言なのか判断できず情けない声を上げてしまう。 ――永い、永い沈黙。 もう寝てしまったのかと思うほどに感じたが、時計の針はほとんど動いていない。 「……あたしのこと、好き……?」 今度は間違いなく僕に対して投げかけた言葉だったが、予想もしてなかった質問に、次は頭が真っ白になる。 「……好き、だよ」 咄嗟に出てきた“好き”という返事―― だけど、すぐに胸が締め付けられる。 “好き”と言ったはいいものの、この場をなんとかするために言ってしまったのではないか? いや、そんなはずはない。僕はえみちゃんのことがちゃんと“好き”なんだ。 けれど、その“好き”は一体どういうものなのか? 親愛を込めた家族的な“好き”なのか?それとももっと深い――女の子として“好き”なのか? 狭い布団の中、器用に体をよじらせ再び僕と向き合うえみちゃんは。 ――笑顔だった。 「…えへへ、そっかぁ……。そうなんだぁ」 だけど、えみちゃんにとっては“好き”と言われたことが純粋に嬉しかったようだ。 「………………」 その笑顔にちゃんとした答えを出すことが出来ない自分が不甲斐なく思えてくる。 「……おにいちゃん……今度はちゃんとして ほしい……」 「いきなりは…だめ……だよ?」 えみちゃんは期待に満ちた目で僕を見つめている。 えみちゃん―― 「んっ……」 「…んうっ……んんっ……」 そっと唇を合わせるだけの軽いキス。 だけど体温をしっかりと感じるように、全神経を唇に集中させた。 「……えへへ……ちゅー、しちゃった……」 突然ではない、引かれ合うようにするキスに、改めて恥ずかしそうな笑顔を見せるえみちゃん。 その顔がすごく可愛くて、切なくなる。 「……おにいちゃん?」 次の行動を待っているかのように上目遣いで様子をうかがうえみちゃんに、ふつふつと感情が昂ってくる。 「………………」 ……どうしようか? 再びキスをする 感情に任せ胸を触る 「……えみちゃん……んっ……」 「ぅ、んっ……ちゅっ……んっ、んっ…ちゅ……」 唇を突き出すと、えみちゃんはゆっくりと目を瞑り応えてくれる。 唇を当てては引いてを幾度か繰り返すついばむようなキスを続けていく。 「…えへへ、おにいちゃん……」 「んっ……んっ……んっ……んっ……」 えみちゃんも自分から一生懸命キスをしてきてくれる。 「…んっ……んんっ……」 「ちゅっ……んぅぅ……」 次第に唇同士が合わさっている時間が長くなっていく。 「んはぁ……はぁ……ちゅっ、んっ……」 もうどっちからキスをしているのかわからないほど、僕はえみちゃんの唇の虜になっていた。 「んぁっ……んっ……んっ……ちゅっ…んっ……」 決して大胆なキスではないものの、唇を重ねるたび心臓は高鳴り、胸の奥を締め付ける。 「んっ……」 えみちゃんの小さな体を引き寄せてぎゅっと抱きしめる。 「…んはぁ……おにぃちゃん……んっ、んっ、んっ… え、えへへ……あったかい……」 それが嬉しかったみたいで、顔をウットリさせながら何度もキスを続けてきてくれる。 「んっ……んっ……」 抱きしめて感じる、えみちゃんという儚く小さな存在に、背中がぞくぞくした。 「……えみちゃん……ここ……」 僕はパジャマから主張した小さな突起に目をやる。 「ん? おむね……?」 キスを続けていくことでえみちゃんも気持ちが昂ってくれたのか、薄いパジャマの下で小さく主張していた。 「…………」 えみちゃん自身に、乳首が立っているという自覚はないようだ。 「んはぁ……おにいちゃん……えへへ……」 「…………」 何度かキスを繰り返していくうちに、僕は気持ちがすっかり昂りきってしまっていた。 ほんのりと上気した頬に、トロンとした瞳が興奮をさらにかき立ててくる。 「…えみちゃん……ここ、触ってもいい?」 「うっ……そ、そこは……」 胸元を見やり聞いてみると、さすがに恥ずかしいのか、うつむいてしまう。 「……はずかしいけど……でも…… おにいちゃんが…そうしたい…なら……」 恥ずかしさを精一杯我慢しながらの一言―― 「うん。優しくするからね」 そう言ってから、えみちゃんの胸元へ手を伸ばす。 「ひゃっ……あっ……んっ……」 えみちゃんは手のひらを胸に当てると、ビクっとする。 「ごめん……。痛かった?」 慌てて手を離す。 「ううん……。そうじゃなくて…… ちょっとビックリしただけ……」 そう言いながら、顔を伏せてしまう。 気まずい空気が流れる。 「…ビックリしたけど……おにいちゃんだから……。 その…いやじゃ…なかったよ?」 「…えみちゃん……」 その一言に安堵して、小さな体をぎゅっと抱きしめる。 「…ふぁっ……おにいちゃ……んっ…えへへ……」 僕に抱きしめられて、嬉しそうに笑ってくれる。 胸の微かな柔らかさに混じる、ちょっとした違和感。 そこはさっき触れたことで敏感になったみたいで、乳首がぷっくりと小さく盛り上がっている。 「………………」 「あぅぅ……おにいちゃん、そんなにおむねばっか ジロジロみちゃ……ゃだよぉ……」 つい、乳首の膨らみを凝視してしまっていた。 それを見ていたえみちゃんが胸を隠す仕草をする。 「ごめん……でも、とても可愛いと思う」 「うぅぅ、だって……あたし……まだそんなに おっきくないもん……」 胸が小さいことを気にしているのか、ガードするように肩をきゅっと竦める。 僕から見ればまだまだ気にする年頃ではないと思うが、他の女の子の成長なども気になる年頃なのだろうか。 「……おにいちゃんも…やっぱり……」 「ん?」 消え入るような声で聞いてくる。 「……おにいちゃんも…おむね…おっきい方が… 好き……?」 顔をさらに赤くして、上目遣いに聞いてくる。 そうだな……。僕は―― 大きさは関係ないよ えみちゃんの胸が好き 「大きさは関係ないよ。それに――」 成長はこれからだ、と。焦らせないように諭す。 「うぅぅ……で、でも……ののとか、けっこう おっきいし……」 一瞬ののかちゃんの顔が浮かんで、比べてしまう。 「…………」 確かにののかちゃんは、同年代の子と比べて少し発育が早めというか、全体的にふっくらしている感じだ。 「むぅぅ……おにいちゃん、今、絶対、ののの おむね、想像した……」 「し、してないよ……」 こういうことに関して、女の子の勘はなぜか鋭い。 ……いや。僕の顔に出ていたのかもしれない。 「そ、それに僕はその…大きすぎないっていうか…… ほどよい大きさっていうのか――」 精一杯のフォローのつもりが、えみちゃんになんてことを言ってしまったのかと思い、途中で言い淀んでしまう。 「……だったら、おにいちゃんの 好きな大きさになりたい」 「だから…おにいちゃんが…その…あたしの…… 好きな大きさに…して……?」 「……え?」 えみちゃんが一体何を言っているのか分からず、自分でも驚くほど変な声が出ていた。 「……えーっとね、おむねって……も、もみもみって したら……おっきくなるんでしょ?」 「おにいちゃんが…その…あたしの……もみもみして おっきくしてくれたら……」 えみちゃんは一体、どこでそのような知識を得たのだろう? そういえば、前に秘密基地で没収した本に、そんな謳い文句の広告があったのを思い出す。 よく耳にするけど、本当なのか僕自身もわからない……。 しかし、えみちゃんの精一杯の厚意、言葉を、無碍にするわけにはいかないだろう。 「――じ、じゃあ、手伝っていい?」 「う、うん……。優しく…して…ね?」 「うん……」 ……いざとなったら緊張してきた。 「……ボタン、外すからね…?」 「…う、うん……いい、よ?」 緊張で震える手でパジャマのボタンを外し、胸を露わにさせていく。 「……うぅ……おにいちゃんに見られちゃった…… はずかしい……」 「えみちゃん…すっごく、キレイだよ」 「……ヘン、じゃない……?」 形を気にしているのか色を気にしているのかわからないが、えみちゃんの胸は素直にきれいだと思った。 まだ発育途中なのか、少しだけぷっくりとした胸は時々甘えてくるえみちゃんそのものだと思った。 どこか控えめというか、健気というか……“らしい”という言葉が一番しっくりくるかもしれない。 「……えみちゃん?」 何度も確認するのも野暮かと思い、アイコンタクトで改めて意思を確認する。 「うん……おにいちゃんがしたいようにして…… いいよ?」 吸い込まれるように手を伸ばして、手の平で胸を覆っていく。 小さいとはいえ、微かな柔らかさが伝わってくる。 「んっ……ふぁ……ぁ、ぁ……ふぁ……」 「……えみちゃんの…柔らかいよ」 「ぅ、んっ……そ、そうなの? んっ、んっ…… んはぁ……はっ、あっ……んぁぁ……」 微かな柔らかさを堪能しつつ、手の平で感触を味わっていく。 「ひゃっ……んっ……ふぁっ……」 指に力を込めると、えみちゃんが声を上げて体をビクリと震わせる。 「ごめん、痛かった?」 「んっ……少しだけ……。 でも、くすぐったいような……そうでないような……」 「でも…おにいちゃんが触ってくれてるから…… んっ…んぅ……あっ……くぅぅ……」 まだ発育途中の小さな胸は、刺激に耐えられず痛みを感じるのだろうか。 指先だけで、胸を優しくほぐすように愛でる。 「んぁっ……はぁ……あっ……ん、あっ…あ、ぁっ…」 えみちゃんは、声を漏らしながら体をじっとさせて、僕の愛撫を受け入れてくれる。 優しく―― 優しく――心の中で何度も唱えながら、胸に刺激を与えていく。 「んんっ…なんか……体がビクビクしちゃう…… はぁ……はぁ……んはぁ……あぁぁ……」 だいぶ慣れて来たのか、吐息がウットリとしたものへと変わっていっている。 乳首はさらに固さを帯びてきて、ゆっくりと隆起し始める。 「大きさなんて関係ないと思うよ」 「僕は……えみちゃんの胸が好きだから……」 咄嗟に言ってしまう。 「あぅぅ……す、好きって……あたしのおむね…… おにいちゃんが……」 好きって言われたことで、えみちゃんが顔を思い切り赤らめてしまっていて……。 それを見ていると、こっちも何だか恥ずかしくなってしまう。 「……おにいちゃん……小さいおむねが好き……?」 「ち、ちょっと違うかな……」 思わず変な趣味だと思われるのが怖くて、強がってしまう。 「さっきも言ったけど、大きさは関係なくて…… 大きくても小さくても…えみちゃんのが……」 顔を真っ赤にし上目遣いで聞いてくるえみちゃんがあまりにも可愛すぎて……。 僕もいつの間にかつられて緊張してしまう。 「そっかぁ……あたしの、だからなんだ……」 「うん。そうだよ。えみちゃんのだから…… 触りたいって思っちゃうんだ」 うっかり本音を漏らしてしまう。 「だから、ちゃんとえみちゃんの胸、見たい」 「…うぅぅ……おにいちゃんがそうしたいなら……」 顔を思いっきり真っ赤にしながらコクリと頷くえみちゃん。 「…………」 緊張で震える指でゆっくりと丁寧にパジャマのボタンを1つ1つ外していく。 「……あぅぅ……あたしの…おにいちゃんに…… 見られた……」 「………………」 露わになった透き通るような真っ白な胸に言葉を失ってしまう。 ちょこんとしたピンクの突起が胸の白さを際立たせている。 「……おにいちゃん……? ヘ、ヘンかな……?」 僕が何も言わないことに不安になってしまったようだ。 自分の胸に対して感想を求めてくる。 「ご、ごめん……。その……あまりにもキレイだから つい――」 「…そ、そっかぁ……だったら…よかった……」 えみちゃんの胸はまだ、全体が膨らんだいわゆるおわんのような形ではなく、おちょこのようにぷっくりとしている。 そんな光景が普段のえみちゃんらしくて、つい顔がほころんでしまう。 「え、え? やっぱりヘンかな……?」 「ごめん、ごめん、違うよ。 なんだか、えみちゃんらしい胸だなって……」 「……あたし、らしい?」 いまいち伝わらなかったないように、小首を傾げるえみちゃん。 「そうだな……少し控えめで、 でもぷっくり主張しているところとか……」 時々見せる女の子らしい姿がえみちゃんらしい、と言おうとしてなんだか恥ずかしくなってしまう。 「ん〜……むずかしいよぉ…… でも、それってあたしじゃなかったら へんってことなの……?」 少し意味は違うけど、えみちゃんの胸が好きということであれば間違ってはいない。 「でも僕の目の前にいるのはえみちゃんでしょ? だからそのままでいいんじゃないかな?」 このままでは話がそれてしまいそうになり、少し強引だが結論に結びつける。 そんな多愛もないやり取りに安堵するえみちゃん。 改めて見据えるえみちゃんの胸は触ることを躊躇してしまうぐらい魅力的だった。 「…おにいちゃん……触っていい、よ?」 躊躇している僕にえみちゃんが声を掛けてくれる。 「うん。じゃあ、ちょっとだけ――」 お言葉に甘えて、手の平でえみちゃんの胸の感触を堪能する。 ボリュームは全く無いけれど、手に伝わってくる微かな柔らかさが何とも言えない。 「んっ……あっ……ぁ、あっ……ん……ぁっ……」 体を強張らせながら、小さな吐息を漏らしている。 「くすぐったい?」 「んっ……ちょっとだけ……でも……」 「おにいちゃんがしたいなら…… がまんできる…よ?」 「うん……」 手の平で胸を覆ってから、指を小さく動かして馴染ませるように微かな柔らかさを堪能する。 「んっ…ふあぁ……おにいちゃん……んっ、んっ…… おてて……やらしい…よぉ……」 「…うん……。えみちゃんがすごく可愛いから…… つい――」 「か、かわいいって……あうっ……あぅぅぅ……」 可愛いと言われて嬉しかったみたいですごく照れている様子だ。 それもあってか時折、体をビクつかせながらも、僕の愛撫を受け入れてくれる。 「……んっ……ぅんっ……くぅ……ぁ、んぁっ…… あっ……んっ……んぅっ……」 徐々に甘くウットリしてくる吐息に興奮が止まらない。 「んはぁ……あっ……あぅっ……んっ……くぅっ……」 とうとう我慢できなくなってきて、胸をちょっとだけ強く揉み始めてしまう。 「んっ…はぁ……あっ……お、おにぃちゃぁん…… あっ、い、いたっ……ぁ、ん」 「ご、ごめん……!」 まだ膨らみきっていないえみちゃんの胸は、強い刺激には耐えられないようだ。 少し肩を強張らせ身体を小さくしてしまう。 「…ううん、はぁ……よくわかんない…けど…… んんっ……きゅう、に…じくって……」 「だから…その……やさしくだったら…… もうちょっとだけ――」 と、甘えた声で訴えかけてくる。 「うん――」 そのあまりの可愛さに暴走しそうになるがなんとか抑え、強くしすぎないように手を動かしほぐすように胸を愛撫する。 「んっ……んはぁ……あ、あ、んっ……ふぁ……」 「ひぁっ……あぁ、んっ……はぁ、はぁ……あっ… くうっ……んんんっ……は、ぁっ…ぅ…んっ……」 愛撫を続けていくうちに、感じ始めてきたのかえみちゃんのウットリとした声が強くなる。 「…あぅぅ……おにぃちゃぁん……」 もうたまらないって感じで、太股をもじもじさせながら、上目遣いで訴えかけてくる。 「……えみちゃん」 「んっ……んぅ……ちゅっ……んんんっ……」 僕自身も感情を抑えるように、唇を合わせていく。 「……んはぁ……んっ……」 胸を愛撫しながら、ついばむようなキスを何度も続けていく。 「……はぁ、はぁ……お、おにぃちゃん……」 息を乱し、ウットリした顔で見つめてくる。 気持ちが完全に高ぶってしまっているみたい。 乳首がだんだん隆起してきて、手の平にコリっとした感触がする。 「……んんっ……んくうっ……ふぁ…はぁ……」 「……おにぃちゃん……んっ……んっ…… あ、あ、んっ……あぁっ……」 乳首が完全に立ってしまっていることから分かるように、えみちゃんはかなり感じ始めている。 この様子だったら、もうちょっと踏み込んだことをしても大丈夫そうだが……。 「……んっ……すー……すー……」 「…………」 上から聞こえてくるゆうきくんの寝息に躊躇してしまう。 これ以上してしまったら、えみちゃんの声でゆうきくんが目を覚ましてしまうかも知れない。 「はぁ、はぁ……ぉ、おにぃちゃぁ…ん……」 少し涙を浮かべまるでおねだりをするような表情に、体中がぞわぞわする。 「………………」 そんなえみちゃんを見ていると、もっとしてあげたいって気持ちが沸き上がってきてしまう。 どうしたらいいのだろう? 少しだけ激しくしてみる 反応を見ながら続ける 「えみちゃん……ここ、どうかな?」 「んっ…ひゃっ……そ、そこ……んんんッ……」 乳首は敏感みたいで、指が触れただけでビクリと大きく体を震わせる。 「んっ……」 指の腹で転がすように、コリコリになっている乳首を愛撫していく。 「あっ、あっ、あっ……だ、だめだよ…… 声……いっぱい……んんっ……でちゃうぅ……」 「ゆうき…起きちゃう…からぁ……んんっ…… くうぅ……んっ……ぅんんっ……」 きっと自分でも制御できないくらいの快感に、声が漏れてしまうのだろう。 上で寝ているゆうきくんを起こしてしまうのではと思いつつも、僕はその声に夢中になっていた。 「ひあぁぁ……だ、だから……ゆうきが……あっ…… んんっ……ん、ふあぁ……あぁ……んっ……」 快感と恥しさの間でもだえるえみちゃんの姿がもっと見たくて時折つまむようにして弄ぶ。 「あぅっ、うぅぅん……ぉ、ぉにいちゃぁん……」 うっすらと瞳を潤ませて、僕を見つめてくるその様子は、とても扇情的だった。 本当はもっとしてほしいけど……と、そんな様子にも見て取れる。 「……うるさぁぃ……んっ……んんっ……」 「……!!」 突然、上から聞こえてくるゆうきくんの声に僕もえみちゃんも体が固まってしまう。 まずい――起こしてしまったか? 「んん……むにゃ……すー、すー……」 寝返りを打ったのかギシギシとベッドがきしみ、再び静寂が部屋の中に立ちこめる。 「ふぅ……寝言か……」 「…びっくりしたぁ……」 直後に聞こえてきた、ゆうきくんの寝息に2人して安堵する。 「…おにいちゃん……さっきの……その…… った……けど……でも、ゆうきが……」 小声で何かぼそぼそと照れくさそうに呟いている。 「――うん、わかってるよ。 じゃあ、こうしようか?」 「んっ……んっ……んぅぅぅ……」 声が漏れないように唇で塞いであげる。 キスをしたままの状態で、乳首への愛撫を再開する。 「んんっ……んぅ……んくっ……んっ、んっ……」 「んはぁ……ちゅっ……んっ、ちゅっ……んっ…… んんっ……はぁ、はぁ……んんっ……」 乳首の愛撫にウットリし、声が漏れそうになったら、唇を押しつけてくる。 「んくぅ……はぁ……あっ、あっ……ぅん…… ちゅっ……んんっ……」 えみちゃんが体をビクリとさせる度にベッドが軋む。 「……んっ? ん? すーすーすー……」 その度に上からゆうきくんの寝ぼけた声が聞こえてきて、ドキドキさせられる。 「…えみちゃん…んっ……んぅぅ……」 「はぁ…はぁ……おにぃちゃぁ…んっ……ちゅっ…」 えみちゃんの息が乱れていくのに合わせて、僕も気持ちがどんどん高ぶっていってしまっている。 えみちゃんの胸はとても敏感で、えみちゃん自身、声をコントロールできていなかった。 これ以上してしまったら、大きな声が出てゆうきくんを起こしてしまうかも知れない。 「んっ……んはぁ……あっ……ぁっ……んっ……」 えみちゃんの反応を見ながら、撫でるように優しく胸を愛撫していく。 「…はぁ……んっ……ひゃぁっ……んんっ……」 時折手の平が乳首に触れ、ビクリと敏感に反応するえみちゃんに、ベッドがギシリと音を立てる。 「ごめん……ここ、痛かった?」 「…う、ううん……痛くない……けど……」 きっと、“けど”のあとには言いたくても言えない、恥ずかしい言葉があったのだろう。顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。 「うん。じゃあ――」 「…んっ…ふあぁ…あっ…んはぁ……あっ……」 敏感な乳首に触れないように気を配って、愛撫を続けていく。 きっと2人きりだったら、えみちゃんのかわいい姿が見たくて、乳首をもてあそんでいたかもしれない。 しかし幸か不幸かゆうきくんの存在が、僕の暴走をなんとか止めてくれているようだった。 「はぁ……んぁっ……あっ、んっ……くぅ…… んんっ……おにいちゃん……んっ……ぅぅ……」 とてももどかしそうに身体をよじるえみちゃんの姿に、触ってあげたい自分とサドな自分が葛藤する。 しかし、えみちゃんは敏感だからこれ以上するわけにはいかない。 「…えみちゃん……」 「……うん…。おにいちゃん……ちゅっ…んっ……」 目が合うと、引かれ合うように唇同士を重ね合う。 「んっ…ちゅっ……んっ……んっ……んはぁ……」 小鳥のように唇同士を何度もつつき合いながら申し訳程度の胸を指でほぐしていく。 「はぁ…はぁ……んっ…んぅ……ちゅっ……」 感情が高ぶってきたのか、えみちゃんは体をずらして自分から胸を僕の手に押しつけてくる。 「んっ……」 応えるように、えみちゃんと強く密着する。 「んはぁ…はぁ…はぁ……おにいちゃん…… もっと…ちゅー……したい……」 「うん……。ちゅっ……」 おねだりしてきたえみちゃんだったが、もう少し遅れていれば僕がおねだりしていそうだった。 息継ぎを忘れてしまうほどえみちゃんとずっとキスしていたかった。 「んっ……んっ……んんっ……んぅぅ……」 唇から漏れる微かな吐息と、えみちゃんの柔らかな胸の感触に頭がいっぱいいっぱいになってくる。 「えみちゃん……んっ……」 「…んっ……ぅん……おにいちゃ……ンぅぅっ…… はぁ……はぁ……んっ……はぁ、ぁぁ……」 次第に乱れていくえみちゃんの吐息―― それに合わせるかのように、僕自身も気持ちの高ぶりが抑え切れなくなってきた。 「……おにいちゃん……それって……?」 体が触れ、えみちゃんが何か違和感に気づく。 「…うん……これは……」 どれだけキスに夢中になってしまっていたのだろうか。 いつの間にか抑えていたはずの僕の下半身は、痛々しいほど勃起していた。 「おにいちゃん……あたしで……そこ… おっきくなっちゃったの?」 「そうだよ。えみちゃんが可愛いから……」 ――隠しても仕方ない。ましてや可愛いのは事実だ。 「そっかぁ……あたしのおむねで… おっきくなったんだ……」 「えへへ……おにいちゃんが……あたしで……」 よっぽど嬉しかったのか、何度も確認するように言われてしまうと、なんだかむずむずしてくる。 「うん。えみちゃんで、ここ、痛いぐらい 大きくなっているんだよ?」 「うん。ズボンの中でビクビクしてる。 とっても苦しそう……」 「……おにいちゃん、あたし、お手伝いしたい」 すっかりご機嫌になったえみちゃんは、どうやら何かしてくれるみたいだ。 「…………」 一瞬ゆうきくんのことが頭をよぎるが、先ほどの行為中、結局目を覚ますことがなかったので、きっと大丈夫だろう。 「じゃあ、ちょっとだけ――」 ここまでしてしまったからには、後には引けず、えみちゃんの言葉に甘えてしまう。 「おにいちゃん、さっきあたしに いっぱいしてくれたから……」 「だから…… こんどはおにいちゃんが、 きもちよくなって……いいよ?」 えみちゃんのかわいい顔がずっと見たくて、ベッドの上に仰向けで寝かせる。 「……えみちゃん、こっちも」 「…んっ……ふぁっ……」 きっとなにをされるのかわかっていないのだろう。 少し不安そうに、恥ずかしそうに僕の股間に釘付けになっている。 さっきの愛撫のこともあってか、露わになった秘部からは愛蜜が溢れ透明な糸を引いていた。 「……うぅぅ……そ、そこも……おにいちゃんに……」 熱を出した時に見たことはあったはずだが、あの時は朦朧としていたのだろうか。 初めて見られるような初々しい反応に、僕も前のときのようにドキドキしてしまう。 「うん。えみちゃんのここ、とっても可愛いよ」 不安な顔を見せるえみちゃんに素直に感想を伝える。 「すーすー……んんっ……」 「………………」 ゆうきくんの存在は感じているものの、小さくぴったりと閉じられたそこから目が離せなくなっていた。 「…そんなに見ちゃ……恥ずかしいよぉ……」 「…でも……。あたしのここ、かわいいんだ……」 「うん。かわいくて、それにすごくキレイだよ」 「えへへ、そうなんだ……。 それでおにいちゃんのも……もっと……」 再びえみちゃんの視線が僕の股間に注がれ、喜んでいるように反応してしまうのが恥ずかしい。 「……あたしだけじゃ恥ずかしいから…… だから…おにいちゃんのも……」 「うん――」 ジャージを下ろし、すでにいきりたってしまっているモノをえみちゃんの目の前にさらけ出す。 「……あぅぅ……おにいちゃんのって… こんなんなんだ……」 「ん? 前も見たよね? ほら、座薬入れてあげた時」 「…あっ……あれは……頭ぼーっとしていたから……」 「こうして…ちゃんと見るのは……」 やはり朦朧としていたのか、言われて思い出したかのような反応。 なんだか初めてを2度も経験できたような感覚に嬉しくもあり、恥ずかしくもある。 「……ごめん、驚かせちゃったかな?」 「ううん……。そんなことないよ。 それに――」 「おにいちゃんのがこうなったのって…… そ、その、あたしで…興奮してくれたから……」 「そうだね。えみちゃんだから、 元気になってしまったのかも知れないね」 「えへへ、そうなんだぁ。あたしだからかぁ……」 自分でこうなってくれたってことがすごく嬉しいようで無邪気な笑顔を振りまいてくれる。 「……おにいちゃんのどんどんおっきくなってくる。 すごく苦しそう……」 「………………」 まじまじと見つめられ、無意識に下半身に血が集まっていく。 「おにいちゃん、これどうやったら楽になるの?」 「……えと、前みたいに、 お口でぺろぺろしたらいいの?」 「そうだね――」 そういえばあの時、えみちゃんの行為に甘え、鎮めてもらったんだ。 思わず口の中で射精してしまい、苦しそうにしていたことを思い出す。 「今日は……違ったやり方でしてもいいかな?」 「ん? 違ったやり方?」 「うん。前は僕だけ気持ちよくなったでしょ? 今度は二人でよくなりたいんだ」 そういいながらそこに目線を落とす。 「……ここ? ここって、ひょっとして…… おまたで?」 もちろん相手は生徒だ、一線を越えるわけには行かないし、それを我慢できるだけの理性はまだ残っている。 「……おまたでどうやったら、 おにいちゃんのをきもちよくできるの?」 セックスそのものも理解していないその答えに、だんだんといけない気持ちが込み上げてくる。 ――なんだか揺らいでしまいそうだ。 「お互いにこの気持ちいいところをこすり合わせるんだ」 「……そ、そうなんだぁ……。 おにいちゃんが、 あたしのできもちよくなれるなら――」 「……ぅん……してもいいよ?」 えみちゃんの中でなんとなく行為を想像したのだろうか。少し頬を赤らめて小さく頷く。 「ありがとう、えみちゃん」 「じゃあ、ゆっくり擦っていくから。 ……痛かったら言ってね?」 頭はなんとか冷静さを保っているつもりでも、僕の下半身は今か今かと期待に胸を躍らせているようだった。 もっと、大きく、もっと硬くなろうと、今もなお、びくびくと暴れ回っている。 それを何とか手で押し付け、えみちゃんの小さな割れ目へ押し当てる。 「ふ、んん……」 ずらしたパンツが亀頭を包み込みほんのりと残っている体温が妙に心地よい。 「…んっ…あっ……んんっ……」 お互いの一番恥ずかしいところをくっつけあっているという状況に、えみちゃんも恥ずかしそうな声を上げる。 「な、なんか、……当たっているだけなのに…… じんじんって……」 目を細め素直な感想を漏らすえみちゃんは、とても無垢で、僕の理性をかき乱す。 「じゃあ、少しずつ――」 くちゅ、と小さな音を立て、2つの性器が体温を確かめ合う。 「んぅっ……はぁ……あっ、んっ……ふぁ…… あ……ぁっ……んっ……」 「…おにいちゃんのが……当たって……んはぁ…… こすれてる…だけ…なのに……んんっ……」 小さな動きに軋むベッド。少し不安げにシーツをつかむえみちゃんの姿。 ――たまらない。 「んんんっ……んくっ……はぁ、はあ……っ…… くっ……ぅっ……んくぅ……」 「は、ふぅ……」 擦れば擦るほど、そこは潤いが増していき徐々に熱も帯びていく。 すでに敏感になりつつある亀頭はえみちゃんのパンツによってやさしく撫で上げられる。 決して強すぎないその刺激が、甘いしびれとなって下半身を麻痺させていく。 「…………」 「……んっ、んっ……ぁっ……んっ…… お、おにいちゃん……?」 今、目の前に広がる光景に、思わず見とれ、没頭してしまっていたようだ。 急にしゃべらなくなった僕を不安そうな目で見つめてくる。 「ご、ごめんね。えみちゃんのここ、すごく 気持ちいいから夢中になっちゃって……」 「…あたしの…そんなに……?」 「……だったら……んぅっ…もっと…してもいいよ? ここで…おにいちゃんの……きもちよくしたい…」 どんな時でも友達想いで、やさしいえみちゃんの気遣いに、僕のペニスが返事をする。 「ひゃん……今びくって……」 少し楽しそうな笑顔に、改めてえみちゃんにも気持ちよくなってほしいと思った。 「…んっ……んっ……」 十分な刺激を与えられるように、少し押し付けるようにしてスジを撫でていく。 「ふあっ……んんんっ……おにいちゃ…っ…… んっ、んっ……ぅ、んくっ……」 「はぁ、はぁ……あぁぁ……ッ……んんんんっ…… ぅんっ……んっ……っ……」 だんだん大きくなっていく甘い吐息―― 「……んっ……はぁ……はっ……」 声が大きくなってしまうことが、いけないとわかっていても漏れ出てしまう。 それを必死に抑えようとするえみちゃんの健気な様子に、僕自身も抑えられず、小さく声を漏らしてしまう。 ――もう少しだけ。 激しく動いてもっと快感を得たいのは山々だが大きな音を立ててしまうかも知れない。 「……んーー……んぅぅ……」 ゆうきくんの寝息も少々苦しそうな感じになっている。 えみちゃんの熱を冷めさせないように、速度を落としつつも押し付ける強さを増していく。 「あっ…あっ…あ、あぁ……はぁ……はぁ……」 「……おにいちゃ…ぉにぃちゃん…おにぃちゃぁん」 一段と密着度が増した2人の性器は今にも溶けてしまい一つになりそうなほど、熱を帯びていた。 だいぶ感じてきたのか、たまらないといった様子で何度も僕を呼んでくれる。 溢れ出す愛蜜は擦られていくことで粘度を増していきくちゅくちゅと淫靡な音を立てはじめ、僕の耳をくすぐっていく。 「んんんっ……あぅっ……ンぅぅ……っ……」 「……お腹の奥……すっごくきゅんきゅんしてる…… ここも…んぁぁ……むずむずしてきてるよぉ……」 身体の異変に戸惑いつつも、切なそうに助けを求めるような甘い声。 何かをおねだりするような表情に僕の許容値はだんだんと低くなっていく。 「は、くぅ……」 ――このまま最後まで。 教師としての理性が最後の一歩を踏み出さないように、僕の中で踏ん張っていた。 だんだんと膨れ上がる欲望を、えみちゃんの小さなパンツに幾度となくぶつけていく。 「…んぅぅ……ふあぁ……ぁっ……っ……んっ…… おにいちゃぁん……」 えみちゃんが何かに耐えるように体をブルブルと震わせ始める。 「…ぁ、はぁ、はぅ……な、なんかね……わかんないけど 前みたいに…きそう……んん!」 正体のわからない大きな波に不安を感じ、シーツをつかむ手にぐっと力が入る。 「大丈夫だから……心配しないで……」 えみちゃんも気持ちよくなってほしい、そう思い、小刻みな動きで絶頂を促す。 「ま、待って……おにいちゃ……あ、あ、あっ…… んっ……それ以上は……んんんぅぅ……」 不安がだんだんと恐怖に変わってきたのか首をフルフルとふりながら弱々しく拒否反応をみせる。 それは未知の経験なだけであり、えみちゃんにはもっとその先まで知ってほしかった……。 「えみちゃん……そのまま……」 「…んひゃっ……で、でも……ンンン…… んくっ……あっ…んっ…あぁぁぁ……」 やがて反応が大きくなり、ビクビクと体が震え始める。 「…はぁ……はぁ……んっ……んくっ……」 「…はぁ、はぁ……おにいちゃん……んっ…… 苦し…そう……?」 「苦しいんじゃなくて、気持ちよくて たまらないんだよ?」 「だから、えみちゃんも一緒に――」 「んっ……い、一緒って……? あっあっあっ…んんんっ……くっ……ぅぅん……」 えみちゃんの反応を見ながら、徐々にペースを上げていく。 「……むにゃ……もう食べられんない…… すーすー……」 上から聞こえてくるゆうきくんの寝言と深く安らかな寝息。 ――チャンスは今しかないだろう。 「はぁ、はぁ、はぁはぁ……ぁっ……んくっ…… だ、だめ……あたし…ぁっ……んんんっ……」 「…僕もだから……一緒に……」 「…一緒……いっしょ……んんっ……あっ、あっ… はぁ、はぁ……んっ……ひうっ……ぁぅぅ……」 「…あっ…ぁっ…ぅん…んっ、んんんんっ……!」 えみちゃんは目をぎゅっと固く閉じてビクビクと体を大きく震わせ絶頂する。 「……っく、ふ、うぅ……!」 えみちゃんの絶頂に合わせて腰を前に突きだし、小さなパンツの中にすべてを吐き出す。 それはまるでえみちゃんの中にぶちまけるような、今まで感じたことのない感覚だった。 「はぁ……はぁ……はぁはぁ……んっ……はぁ……」 少し酸欠にも似た朦朧とした意識の中、すべてを出し切るように、がく、がく、と不自然に腰が痙攣する。 「――――」 性器を伝う、精液の冷たい感触を感じながら、ぼやけた視界でえみちゃんと目が合う。 「はぁ、はぁ……白いの…… あたしのパンツに…いっぱい……」 うっとりとしながら少し困ったような声に、少し意識が戻ってくる。 「……ご、ごめんね、パンツ汚しちゃって……」 すべての力が抜け、ぼすん、と再びえみちゃんのベッドに体重を預ける。 「……はぁ、はぁ」 真っ暗な部屋の中響く、2人の荒い息遣い。 まだ、じっと顔を見ていられなくて目を閉じたまま、その音に酔いしれていた。 「……お気に入りのぱんつ」 独り言のようにポツリと呟いたえみちゃんの言葉が、チクリと胸に刺さる。 「ごめん……今度新しいの買ってあげるから――」 「お願い聞いてくれたらゆるしたげる…… 朝までいっしょにいて……?」 ベッドに誘ったときに言えなかった隠れたお願い。 「それぐらいなら……」 「うん。約束だよ。今日はずっと一緒にいてね」 身なりを整えるため、ボタンを留め直す。 寝たままお尻を持ち上げパンツを脱ぐ姿は、少し不器用でかわいかった。 そこで力尽きてしまったのか、一息ついたのかと思うと、そのまま小さな寝息を立て始めた。 「……すー……すー……」 ――やっぱり子供だな。 起こさないように軽く頭を撫でてやり、約束を守るため、えみちゃんの代わりに事後処理をする。 ティッシュで残った精液を拭いて替えのパンツをはかせようと思ったが、どこに置いてあるのか知らなかった。 結局風邪をひかないようにズボンだけでも穿かせえみちゃんの隣で横になる。 布団をかけなおすと最後の力を振り絞ってえみちゃんがこちらへ向き直る。 「……ぉやすみ、なさぁい」 僕もえみちゃんの寝顔を見ながら、深い眠りに落ちていった――。 翌朝―― 「……んっ……あれ?」 目が覚めると、隣にえみちゃんの姿はなかった。どうやら、すでに起きているらしい。 寝ぼけ眼で時計を確認する。 「……もう、こんな時間か」 いつもなら思いっきり寝坊している時間だが、幸いなことに今日は休日だ。 「よっと……んぅぅぅ……」 ベッドから起きだして、軽くストレッチする。 狭いところで寝ていたからか、体がボキボキと音を立てる。 「おはようございます」 身支度を整えてから居間へ。 食卓には朝ご飯が並べられている。 「あっ、おにいちゃん、おはよー」 「あら、誠人さん。ちょうど起こしに行こうと 思っていたのよ」 「ははは……すいません……」 冷や汗が流れる。 あと少し起きるのが遅かったらえみちゃんの部屋で寝ている姿を見られるところだった。 「はい、誠人さん」 「ありがとうございます」 いつもの席につくと、敦子さんが味噌汁を持ってきてくれる。 みんなが揃ったところで朝ご飯。 「ねぇねぇ、おにいちゃん」 「ん?」 味噌汁をすすりつつ、ゆうきくんの方を向く。 「きのうはおたのしみでしたね?」 「ぶっっっ……!!」 いきなりのゆうきくんの発言に味噌汁を吹き出してしまう。 「あらあら、大変」 「ごほっ、ごほっ……あ、ありがとうございます」 敦子さんがティッシュを持って来てくれたので吹き出したものを掃除する。 「………………」 「ゆうきくん? そんなことどこで覚えたの?」 隆司さんからの無言の圧力にビクビクしながらゆうきくんに聞いてみる。 「ん? なんかゲームでゆってた。 どういう意味かわかんない」 「うん。もう少し大きくなったら分かるよ」 「ふーん。ねぇ、おねえちゃん? どーしてきのうおにいちゃんと一緒にねてたの?」 「あうっ……そ、それは……」 「……誠人、どういうことかな?」 「え、えーっと……それは……」 隆司さんからの威圧感に怯えてしまう。 「あ、あのね……。昨日、怖い夢を見て…… それでおにいちゃんに……」 えみちゃんがすかさずフォローを入れてくれる。 「あらあら、えみったら。 すいませんね、誠人さん」 「いえいえ、これぐらいは……」 「なんだ、そういうことか……。 えみ、それだったらお父さんが一緒に 寝てあげたのに」 「えーー、だってお父さん、いびきうるさいもん」 「んなっ……!?」 隆司さんはよほどショックだったのかえみちゃんの一言で、固まってしまっている。 「やーい、やーい、おねえちゃんのあまえんぼ!」 「ち、ちがうしっ! ゆうきのばーか!」 そう言うとえみちゃんはゆうきくんの太股あたりをつねり始める。 「いたたた……いたい! いたい! ううう……」 「もうっ! えみ! ゆうき! 朝からケンカはよしなさい」 敦子さんが仲裁に入るのを眺める。 「…………」 「……え、えへへ……」 えみちゃんは目が合うと、軽くウインクしてくれる。 昨日のことはみんなには秘密だよ―― そんな意味が込められた僕とえみちゃんだけが分かるヒミツのアイコンタクトだ。 「…ふぅ。ののかちゃん家は―― えーっと、このあたりのはずなんだけど……」 今日の家庭訪問はまずののかちゃんのお家から。 地図を片手にののかちゃんの家を探す。 「……降りそうだな」 午後になると空はどんより曇ってきてしまい、今にも雨が降り出しそうだ。 「折りたたみぐらい持ってくるべきだったな」 今朝は少し寝坊してしまったから、天気予報を見ずに家を出てしまった。 都会なら、雨が降り出してもコンビニとかでビニール傘を買えば済む話だが、ここではそうはいかない。 降り出す前にののかちゃんの家にたどり着けたらいいが……。 「…深海……。ここがののかちゃんのお家かぁ……」 周辺にある家よりも新しい感じの一戸建て。 都会の住宅地でよく見かけるようなデザインだ。 ののかちゃんのご両親はまだ若いらしい。 「やっぱり、ここは土地代とか安いのかな?」 都会でこれだけのものを建てようものなら相当な額のお金が必要だ。 「…おっと、そんなこと考えている場合では ないな……」 襟元を正し、手ぐしで髪を整えてから玄関の呼び鈴を鳴らす。 「は〜い」 インターホン越しから明るい声が聞こえてくる。この調子、ののかちゃんと良く似ている。 「私、ののかさんの担任をしております 瀬田と申しますが――」 「瀬田先生、お待ちしておりました。 すぐに伺いますから」 ののかちゃんのお母さんに出迎えられてリビングに通される。 「…ふむ……」 ののかちゃんのお母さんに悟られないように部屋の様子をチェックする。 綺麗に片付いているのはもちろんのこと、家電もテレビも新しいものが揃っている。 一言で言えば、今風のオシャレな部屋と言うべきか……。 家庭訪問をした時に、まずしないといけないことはご家庭の様子をしっかり確認することだ。 「…………」 ののかちゃんのご両親は若いと聞かされてはいたが、大学生といっても十分通用するのではないか? ののかちゃんが大きくなったら、きっとこんな感じになるに違いない。 そんな感想を抱きながら、ソファに腰掛ける。 「ののぉ〜〜〜、先生、いらしたわよぉ」 「わかったぁ! すぐいく〜〜」 ののかちゃんのお母さんがののかちゃんを呼ぶとすぐに、トタトタとした足音が聞こえてくる。 「やっほー、せんせー、いらっしゃい」 「うん。お邪魔しているよ」 「うん♪ でも、せんせーがお家にいるって なんか不思議だねぇ」 「そうねぇ。不思議だねぇ」 「うわぁ、高級なオヤツがいっぱいあるぅ。 ママ、せんせーのために用意したの?」 「もう、ののったら。そこは言っちゃダメよぉ」 のほほんとした親子の会話。 …まるでののかちゃんが2人いるみたいだ。 どうやら、ののかちゃんは家でも学校でも全く変わらないみたい。 「では、お母さん。ののかさんの学校での様子を――」 「はい。よろしくお願いします」 「…なんか、ドキドキしてきたぁ」 テーブルを挟んで、対面する形になってから面談開始。 面談と言っても、そんなかしこまったことをするつもりはない。 学校でのののかちゃんのことをお話しし、ご家庭ではどんな様子かを確認する程度のものだ。 「コホン。では、改めてご挨拶を―― 私、今年度からののかさんのクラスの担任を しております瀬田と申します」 「はい。ののがいつも先生のお話をしていて。 ののったら、先生のこと大好きなんですよ」 「えへへ、なんかそう言われると照れちゃうなぁ」 こうして並んでいるとよくわかるのだが、ののかちゃんのお母さんはののかちゃんと雰囲気がそっくりだ。 それこそ、歳が離れた姉妹と言われても信じてしまうだろう。 「まず、ののかさんの学校での様子ですが――」 ご家庭での様子を伺う前に、ののかちゃんの学校での様子を話していく。 「――最初の頃は、居眠りが多かったのですが……」 「のの、まだ居眠りしちゃってるの?」 「だって、算数の授業って眠くなるんだもん」 「でも、せんせーのはね、眠くならないんだよぉ。 不思議だよぉ」 「はは、そうだね。最近は良く頑張ってるね。 それにこの前のテストも点数が上がっていたし」 「えぇ。ののがあんな点数取ってくるなんて ビックリして……。先生のおかげですね」 「うん! 私ね、最近、算数が分かるように なってきたんだよぉ」 そう言われると、教師としてはすごく嬉しい。 「それに、ののかさんがいるだけで クラスがすごく明るくなります」 「のの、よかったわねぇ。ののがいると クラスが明るくなるんだって」 「えへへ。そうなんだぁ♪」 ずっとニコニコしているののかちゃんとお母さん。 家庭訪問だと、勉強の話題ばかりになりがちだがお母さんは嬉しそうに家での様子を話してくれる。 そのせいもあってか、時間が経つのも忘れてさらに会話が弾んでいく。 「さらに、クラスで揉め事が起こっても 率先して収めてくれるので助かっています」 「うん♪ みんな仲良くが一番だよぉ!」 「ふふ、そういうところパパそっくりね」 「そっかぁ、パパそっくりなんだぁ」 嬉しそうに笑うののかちゃん。 ののかちゃんの家は皆、すごく仲が良いということが伝わってくる。 僕も将来、こんな暖かい家庭が築けたらなと思ってしまう。 「はい。他にも――」 いつの間にか、ののかちゃんのことをずっと褒めていた。 少々恥ずかしい気もするが、ののかちゃんもお母さんも僕の話を嬉しそうに聞いてくれているし、いいだろう。 「おっと、もうこんな時間か。 すいません、話し込んでしまって……」 気がつけば、予定の時間より10分ちょっとオーバーしてしまっていた。 「いえいえ、こちらこそありがとうございます」 「こんなにのののことを良く見て下さって…… 来年も瀬田先生が担任だったらいいのにね」 「うん♪ 私もずっとせんせーがいい」 「そうだね。そうなったらいいね」 そう言ってしまった自分にハッとする。 社交辞令とかそんなんじゃなくて、自然に出てしまった。 僕の目標はあくまでも、ここではなく有名な学校で教師をすることのはず……。 「さてと、ではこの辺でお暇させて頂きます。 今日はお忙しい中、ありがとうございました」 突如湧いた感情をごまかすように、早々に荷物をまとめる。 「えーー、せんせー、もう行っちゃうの?」 「うん。今度はことねちゃんのところに 行かないと」 「そっかぁ、次はことねちゃんなんだぁ」 「では、僕はこれで――」 そう言った瞬間、外からザーッと大きな雨音が聞こえてくる。 「うわぁ、大雨だぁ」 雨が降りそうではあったが、こんなに激しく降ってくるとは……。 傘を持ってきてないし弱ったな。 「(ののかちゃんに傘、借りようかな)」 そう思っていると―― 「先生、この雨ですと大変だと思いますので ここで雨宿りされては?」 「それに藤堂さんのお宅には連絡を 入れておきましたので……」 どうやらののかちゃんのお母さんは気を遣ってことねちゃんの家に連絡を入れてくれたらしい。 「すいません。お気遣いさせてしまって……」 「いえいえ。ことねちゃんのおばあちゃんも その方がいいっておっしゃっていましたので」 「そうですか。では、お言葉に甘えさせて 頂きます」 「やったー! ってことはもうちょっとだけ せんせーといられるんだね」 「ねぇ、せんせー、だったらゲームしよ、ゲーム。 対戦しようよぉ」 「そうだね。前に約束したし…… いいよ、一緒にやろう」 「うん! すぐに準備するから」 ののかちゃんは大はしゃぎで、ゲームの準備をし始める。 「…すごい。全部、揃っている」 少しレトロなものから、最新のゲーム機まで一通り揃っていた。 「彰吾さんがゲーム大好きなもので……」 彰吾さんとはおそらく旦那さんのことだろう。どうやら、ののかちゃんのゲーム好きはお父さんの影響らしい。 「せんせー、何がいい?」 「そうだなぁ……。おっ、これ、懐かしいな」 配管工のヒゲおじさんが主役のレースゲームを手に取る。 学生のときにやっていたタイトルを見つけ、少しだけ心が躍ってしまう。 「マルオカートかぁ。えへへ、せんせー 負けないよぉ」 「あら、よかったわねぇ。先生に遊んでもらえて」 「うん! これだったらパパにも勝てるから せんせーにも負けないよぉ」 「ははは……」 ののかちゃんのお父さんがどれぐらいの腕前かわからないけど……。 こっちは昔、ちょっとハマった程度だし相手になるのかな。 「えへへ、私の勝ちぃ!!」 「……ははは、ののかちゃん強いね」 ののかちゃんがゴールしてからだいぶ後にようやくゴールする。 案の定、ののかちゃんには全く歯が立たなかった。 少しは何とかなるんじゃないかなぁと思っていたけど、考えが甘かったみたい。 「えへへ、なんかここ落ち着く♪」 ゲームが始まるとすぐにののかちゃんは僕の膝の上に乗っかってきた。 決して重たくはないののかちゃんの体重は、柔らかく暖かなお尻の感触をより感じさせる。 「せんせー、もう1回やろ?」 再戦を求めるののかちゃんに、許可をもらおうとお母さんの方を見やる。 「〜〜♪」 家と比べ少し早い夕飯の準備に、お母さんの料理好きな様子が見て取れた。 鼻歌まで歌ってご機嫌な様子。完全に僕にののかちゃんを任せてくれているようだ。 「…そうだなぁ……」 ゲームの性質上、勝敗の大きな分け目として、運もあるが……。 ――集中できない。 鼻腔をくすぐるののかちゃんの甘い香りは、公園でのあの一件を思い出させる。 「ののかちゃんが1人でやるのを見ていてもいい? テクニックとか見て、勘を取り戻したいから」 気を紛らわせるため、一度ゲームをやめ別のことを考えよう。 「うん、わかった! 私の超絶テクニック せんせーに見せてあげる」 そう言いながら、ののかちゃんはタイムアタックモードを選択してゲームを再開する。 「んっ……とっ……んっ……」 さすが自分で超絶テクニックと言っていただけある。 急カーブも難なく通過している。あれじゃ、僕が全くかなわないのも頷ける。 「…んっ……んぅ……っ……」 2週目過ぎたあたりだろうか。いきなりののかちゃんの操作しているキャラの運転が乱れる。 カーブが曲がりきれなかったり、蛇行運転したりと、先ほどのスムーズさが感じられない。 「…ん…んぅ……んっ……」 コースを外れるたび悔しいのかうめくような声を上げるののかちゃん。 「(……ののかちゃん?)」 ゲームがうまくできなくて、悔しさのあまりコントローラーを投げた子供時代を思い出す。 ののかちゃんに限ってそんなことはしないだろうが、少し不安になり表情を窺ってみる。 「……なにしてるの?」 見るとののかちゃんはなんだかやりにくそうな体勢で、ゲームをプレイしている。 「……ん、んん……ふぅ、ん!」 一瞬状況が飲み込めなかったが、コントローラーを握った手を秘部に当てているようだった。 そしてののかちゃんはコースを外れ、わざと壁にぶつかっていく。 テレビから出るドンッ!という音に連動して、震えるコントローラーに声を漏らすののかちゃん。 「んあっ……なんか、ブルルってして…… それがここに当たると…じわぁってくるの……」 「……んっ…はぁ…ぁ…あっ、んんっ……!」 そう言いながら、何度も何度もわざと操作を誤り、コントローラーを振動させる。 まさかとは思っていたが、ここまで教えてしまったことに、罪悪感と支配欲が交差した。 それは振動を使った自慰行為―― 「あら? のの、そんなにミスするなんて 珍しいわね?」 突然後ろからかけられた声にびくりと肩が動いてしまう。 「…んっ? えーっとね、コントローラーをね――」 「の、ののかちゃん、 新しいショートカットを探してるみたいです」 正直者のののかちゃん。危ない発言に噴き出る冷たい汗。 「ふふ、先生がいらっしゃるから 張り切っているみたいね」 そう言うと、今度はトントンと包丁を使うリズミカルな音が聞こえてきて静かに胸をなでおろす。 「…………」 迂闊だった。 後悔してもしょうがないが、人前でそういう行為をしてはいけないと、釘刺しておくのを忘れていた。 「…んあっ……あっ……あっ……はぁ、ぁっ……」 操作に連動して振動するため、コントローラーはずっと振動しているわけではない。 より強い振動を求めるためある程度加速してはぶつかる。 「んっ、とっ……んぅぅ……あっ、あっ、ンぅ……」 そんな小さな快感になんとももどかしそうに腰を揺すっていた。 「…せんせぇ……ずっとしてたら……あの時みたい… ここ、じんじんしてきたぁ」 2人の時しか聞かせないうっとりした声に、ののかちゃんのスイッチが入ってしまったことがわかる。 過去の経験上、ののかちゃんは最後までしてあげなければ、途中でやめるようなことはしない。 「せんせぇ……んっ、んっ……ふあぁっ……!」 せめて、コントローラーの振動がずっと続くものだったら良かったのだが……。 この調子だと、ののかちゃんのお母さんに気づかれてしまいそうだ。 ――手を貸してあげるべきか。 とにかく早く終わらせるため、別の場所を刺激して絶頂を促す。 「…う、うん……? おてつだいしてくれるの……?」 「……んっ」 「んひゃっ……っ……んぅっ……」 胸に手を当てると、くすぐったかったのか声を上げて、身をよじらせる。 「……ののかちゃん、お母さんに聞こえちゃうよ?」 「……んっ……ぅん……わかった……」 さすがのののかちゃんも、これが恥ずかしいということはわかっているようだ。 コントローラーをあてがったまま、声を押し殺す。 「……んっ、んっ」 「……ぅくっ……んっ……ぁっ……ふぁっ……」 服の上からでもののかちゃんの温かさは十分伝わってくる。 それと同時にこみあげてくる欲望。 ――もっと触っていたい。 しかし今回ばかりはそうも言ってられず。ののかちゃんが気持ちよくなってほしい一心で、僕の手のひらに包まれたそれを愛でる。 「……んんっ……ふぁっ……んひゃぁ……あっ、あっ んっ……はぁ、ぁっ……んんっ……」 「なんか…いろいろきて……んっ…不思議な感じ…… はぁ、はぁ……んはぁっ……ぅ、んっ……」 「……もうちょっとだけ、我慢してね」 耳元でこっそり呟くと、うっとりとした様子でうんうんと頷く。 くすぐったい感覚から、快感へ変わってきたようで、少しずつ指の力を加えていく。 ピクピクと小さく震える体を隠すように抱え、硬く主張しだした突起に指を這わせる。 「……んぁっ!」 突然の刺激に声を上げてしまうののかちゃんに、僕も声を上げそうになる。 「……? のの、あんまり先生にご迷惑かけちゃダメよ?」 そう言いながら近づいてくる足音に、今にも心臓が口から出そうだ。 「先生、すいませんね。 ののったら、いつまでも甘えん坊で……」 「い、いえいえ…… これぐらい何ともないです」 どうやら、ののかちゃんがずっと僕の膝の上に乗っかっているのを気にしていたようだ。 僕としても迷惑とは思っていないし、むしろ心地よい感覚に浸っていた。 「せんせーのね、なんだかすごく落ち着くんだよぉ」 「そうなのね。でも、あんまりしちゃダメよ? 先生、足痺れてしまうかも知れないから」 「はぁい、わかったぁ」 ののかちゃんのお母さんはそれだけ言うと、再び台所へと戻って行く。 「…ふぅ……っと……」 ののかちゃんのお母さんがいなくなったことを確認してから、再びゆっくりと胸元をまさぐる。 「…んんっ……んくぅっ……んっ、んっ、んっ……」 もうくすぐったさはないようで、甘い声を漏らし始めてきた。 すっかり固くなった乳首を指の腹で優しく撫でるように刺激していく。 「んっ…はぁっ……あっ、あっ……ひぁっ…… くっ、んっ……ぅくっ……」 ――やはりここがいいのだろうか。 より強い快感を与えるためつまむように転がしていく。 「ふぁっ…あっ…あっ…あっ…せ、せんせぇ…… なんか…じんじん……いっぱいきた……」 「でも…せんせーの手から、なんかじわぁってして ちょっときもちいい、かも……?」 刺激に体が慣れてきて、ようやく感じるようになったみたい。 「そう? じゃあ、もうちょっとしてあげるね」 「…うん……。んっ……ふあぁ……あっ、あっ……」 それからお母さんが様子を見に来ては愛撫を中断して、去ったら、また愛撫を再開する。 この状態がばれてしまうかも知れないという状況に心臓がずっとドキドキしている。 ののかちゃんは感じるようにはなってきたがまだ絶頂には至れないみたい。 「…せ、せんせぇ……あとちょっとで何か… きそうなのに……」 何度も焦らされるような感覚に、ののかちゃんも、この感じがもどかしいようだ。 「…………」 コントローラーのバイブの強さという問題もあるかもしれないが、ただ当てているだけでは効果は薄い。 「ののかちゃん、ちょっとごめんね?」 コントローラーを掴んでいるののかちゃんの手の上に、自分の手を添えて動かす。 「んひゃっ……あっ……あっ……ン、ぁぁっ……」 少し上にずらすだけでののかちゃんは大きな反応を見せる。 「…じわじわ、いっぱいきた……あっ、あっ…… ン……っ……」 やはり、場所が悪かったようで、ののかちゃんの様子を見ながら、反応のより大きな場所を探し求める。 「――っと」 慣れない感覚に苦戦しつつも、一番反応が大きい場所を見つけると、身体を小さくして声を押さえようと我慢するののかちゃん。 「…っ……んんっ……んぅぅ……くぅんっ……!」 最初は緊張していたばかりの僕だったが、いつのまにかののかちゃんの甘い声が聞きたくて仕方がない気分だ。 「…んはぁ…あっ…あっ…あっ……んんっ…… はぁ、はぁ……んんっ……」 「ひあぁっ……んくぅぅっ…んんっ……あぁ…ッ…」 コントローラーが振動していないときは、先っぽを上下に動かし、筋をなぞっていく。 そして、コントローラーが振動し始めたら陰核の部分に当てて、刺激を与え続ける。 「はぁ…はぁ…せ、せんせぇ……なに…これ……?」 「さっきと全然違う…ビリビリとジワジワと…… うずうず…いっぺんにやってくる………」 ずっと振動し続けないことが、逆に刺激の緩急をつけているようで、初めての感覚に戸惑っている。 「んくぅっ……さきっぽ……あっ、うっ……ンぅっ……」 敏感になっている状態で、乳首を指で挟むと、さらに体を大きく動かしている。 「んっ…とっ……」 「…ッ……んぅぅ……っ……!」 痛くしないように、力加減を考えながら強めに擦っていく。 「んぅっ……せ、せんせぇ……あっ、あっ、あっ…… 何か…きてる……んぅっ…んっ…ッ…」 ビクビクと小刻みに震え始める。 「あっ、あっ、あっ……ふあぁっ……はぁっ…… あくっ……んんっ……くぅっ……」 「ののかちゃん、心配いらないからね。 そのまま――」 「…う、うん……んっ、んっ、んあっ…ぁっ…あっ…」 徐々に声を大きくしながら、ののかちゃんが操作ミスをする。 「(今だ――)」 コントローラーの震えを感じ、それを陰核へと持っていき、強く押し当てる。 「ふやぁっ…せ、せんせー……あぅぅっ…… うくっ……んっ……っ……」 「あっ、あっ、あっ……あっ……ンぅぅぅぅ……」 必死に声を押し殺しながら、ののかちゃんの体がぎゅっと強張る。 「…ぁっ…あっ……んっ……ぁぁっ……」 僕の腕の中でビクビクと痙攣しているののかちゃんに、安堵しつつも、感情が昂っていた。 「…ののかちゃん、大丈夫?」 胸から手を離して、耳元で聞いてあげる。 「……ぅ、ん……なんか、すごいのきて…… 頭……ぼーっとしてる……」 絶頂の余韻を感じながら、ウットリした声で伝えてくる。 あとは、ののかちゃんの状態が落ち着くのを待てば大丈夫だろう。 「これ、すごいね……。でも――」 「ん? どうしたの?」 スッキリしているはずなのに、少し浮かない顔をしているののかちゃんが心配になる。 「…前に保健室でせんせーと一緒にした時の方が よかったかも……」 「そっかぁ。じゃあ、こっちのはもうしない方が いいかもね」 さすがにゲームのコントローラーを使ったオナニーをご両親の前でしてしまったら、大変なことになるに違いない。 これ幸いと、ののかちゃんを説得していく。 「うん。せんせーの言う通りだね。 ゲームのでするのは、やめとくよぉ」 どうやら納得してくれたみたいで一安心だ。 「ふふふ、のの良かったわね。 先生にたくさん遊んでもらえて」 ののかちゃんが落ち着いたタイミングで料理が終わったのか、お母さんが台所から出てくる。 「うん♪ いっぱい遊んでもらっちゃった」 まだ力が抜けてしまっているのか、僕に体を預けながら元気よく返事をしている。 「…………」 ののかちゃんの柔らかなお尻が、さっきので興奮し始めているモノに当たる。 早くこの場を離れたいのだが、雨はまだ止む気配がまったくないし……。 「ののかちゃん、たくさん遊んだから 今度はお勉強しようか」 「今日は先生が特別に教えてあげるから」 「うーん……。おべんきょーかぁ……」 “お勉強”という言葉に少し表情が曇る。 教師という立場とはいえ、素直な反応になんとなく嬉しくも思えた。 「あっ! そうだ! ちょうど、せんせーに教えてもらいたいところが あったんだぁ」 「せんせー、早くお部屋に行こうよぉ」 何かを思いついたように、急に意欲をみせると、僕の袖を引っ張ってくる。 「……ののが自分から勉強をするって言うの 珍しいわね」 「ののったら、本当に先生のこと大好きなんですね」 その場しのぎの提案だったので、少し心が痛むが、結果的にお母さんからは喜ばれたようだ。 「せんせー、早く、早くぅ!」 「うん。ちょっと待ってね」 股間が盛り上がってしまわないよう注意を傾け、その場から立ち上がり、ののかちゃんに続いていく。 「せんせー、教科書探すからちょっと待っててね」 ののかちゃんの勉強机の椅子を拝借しようと思ったが、壊してしまいそうで、ベッドに腰掛ける。 その横でののかちゃんは飛び込むようにベッドに腹這いになり、奥の方を何やら漁り始める。 ――そんなところに教科書を? 可愛いお尻がフラフラと揺れて、先ほどの行為の痕、シミのできたパンツに目が行ってしまう。 「…っと、あったあった!」 “教科書”を見つけたののかちゃんが、僕の目の前に立ちページをめくり始める。 「……? これは?」 ののかちゃんが持っている本は、可愛い女の子が描かれた漫画雑誌だった。 それだけだったらよかったのだが……。 「あのね、せんせー。これ読んでいて わからないところがあったから……」 目の前でパラパラとページをめくるマンガの背に、“成人”という二文字が僕の目に飛び込んでくる。 「……ののかちゃん。まず、それだけど……。 どこで手に入れたの?」 表紙の女の子は衣服は思い切りはだけていて、片方の乳首が丸見えになっている。 ののかちゃんたちの年代の子が読むには早すぎるんじゃないかと思われる代物だ。 「ん? ヒミツ基地のやつを持ってきたんだよぉ」 前に没収したはずだったのに、まだ隠していたのだろうか…… 「でね、これの……えーっと――」 探しているページが近づいたのか、1コマ1コマ確認するようにページをめくっていく。 ――普通のシーンでありますように。 成人マンガとはいえ、いきなり性行為が始まるわけではない。 そこまでの過程が描かれた上で、ショートストーリーとして物語が展開していく。 そのわずかな“過程”の部分に希望を託す。 「あった! ここ! せんせー、ここなんだけど……」 見せてもらったページに、そんなシーンは1コマも存在しなかった。 すべてが行為中のシーン。 表紙から何となく察しはしていたが―― 「これねぇ、ちゅーしてから、男の子と女の子が おまたを合わせてるの?」 「これって、何をしているの?」 先ほどの脱力感はどこに行ったのか、水を得た魚のように目をきらきらさせて僕を見つめてくる。 こうなったののかちゃんはちゃんと教えるまで絶対に引かない。 それは以前の保健室の出来事でよく分かっている。 しかし今回の注文は“セックス”そのものだ。 実際に出来るものでもなく、どうしたものかと頭の中をぐるぐると考えが巡る。 「あのね、これ見てたら、どうしてかわからないけど おなかがきゅんとしちゃう……」 「…だから…せんせぇ……教えてほしい……」 ののかちゃんが顔を近づけてくる。 先ほどの絶頂もあり、瞳が涙でうっすらと潤んでいて、頬も少し紅潮している。 その顔が恥ずかしさを隠しているようにも見えて、グラリと僕の中で揺らいでしまう。 「…………」 まだ、手の平に感じるののかちゃんの柔らかな胸の感触と目に焼き付いてしまったあのパンツ。 「………………」 僕の返事を待つようにまっすぐと見つめるののかちゃんの柔らかそうな唇に目を奪われてしまう。 ――ののかちゃん。 まるで引力に引き寄せられるように無意識に体が動いていた。 「……ッ……!」 胸に感じる衝撃で我に返ると、唇が触れる寸前でののかちゃんに止められていた。 少し困ったような顔で僕の胸を押し、明らかな拒否の反応を示す。 「……ちゅー、したいの……?」 「……ご、ごめん……っ……!」 大の大人が雰囲気に流されてしまっていた。 それほど今のののかちゃんは魅力的で、僕は翻弄されていた。 恥ずかしい気持ちはだんだんと、後悔の念へと変わっていき。急激に僕の体温を下げていく。 未だ僕の胸に押し当てられたののかちゃんの手の温度だけが身体を温めてくれていた。 「……ちゅーは、ね。 だいじな人としか、 しちゃダメってママがゆってた」 「そ、そうだね。お母さんの言う通りだよ…… 本当に――」 もう一度、頭を下げようとすると、再びののかちゃんは僕の胸を押す。 「……せんせーだったら……いいよ?」 単語単語をつなげるように絞り出すような声。 「……せんせー、だいじな人、だから……。 せんせーとだったら、ちゅー、してもいい」 しっかりと言い直すののかちゃんが健気で可愛くて、切なくなる。 冷え切った僕の体が一気に熱を取り戻し、大きく昂っていく。 「……ののかちゃん」 優しく腰に手を回し、手元へ引き寄せる。 「うん! えへへ……」 ののかちゃんは嬉しそうに返事をし、僕の膝の上に乗っかってきた。 「…えへへ、なんだかドキドキする……」 お互いの息を感じるほどの距離で、抱えるようにして向かい合う。 無防備に足を開き、丸見えになっているののかちゃんのパンツから、女の子独特のにおいが立ち込める。 「……ののかちゃん……」 ののかちゃんは、純粋に知りたいだけだ。 「せんせぇ……」 切なそうに甘えた声を出すののかちゃんに、僕の理性は今にも音を立てて崩れてしまいそうになる。 「これから、どうしたらいいの? 大人って……どうするの?」 次の言葉を待つように、無邪気に僕を見詰め続ける大きな瞳。 漫画通りに教えるのであれば、いきなりキスしてそれから行為に及んでいるが……。 さて、どうしよう? キスをする 抱きしめる 「…じゃあ、ののかちゃん……。 ちゅー、するから――」 「…う、うん……。なんか、きんちょーする……」 そう言いながら、キスに備えてゆっくりと目を瞑るののかちゃん。 見よう見まねで口をすぼめる顔があどけなく、子供らしい姿に胸の奥がぎゅっとなる。 そして小さくて柔らかそうな唇に、そっと自分の唇を当てていく。 「……んっ……」 唇が触れるだけのキス。 まだ触れただけなのに、ののかちゃんの吐息が漏れる。 初めてのキスに対して『どう?』なんて聞くのも野暮な気がして、しばらく黙ってしまう。 「……今のがちゅー、なんだね?」 「なんか、ふわふわしてくる……。 パパとママ、いつもこんなことしてるんだぁ……」 初めての経験と、少し大人に近づいたことに、夢でも見ているかのようにうっとりした様子だ。 「…せんせぇ、もっとしてみたい……」 再び口をすぼめ顎をくい、と持ち上げる。 「んっ……」 「…ちゅっ……んっ……あふ……ふぁ…んっ……」 さっきよりも長いキス―― いまさらながら、緊張して少しカサついた唇に気づき、僕の顔が熱くなる。 「…んっ…はぁ……」 「ふぁ……ちゅっ…んっ……ちゅぅ……んっ…… あぅっ……んっ……ちゅ……んっ…んっ……」 唇を当てたり離したり―― 親鳥が雛鳥に餌をあげるような、ついばむようなキスを続ける。 「……せんせぇ……ん、もっとぉ……んっ……」 すっかりキスの虜になってしまったののかちゃんが何度もキスをせがんでくる。 「……んっ……」 言ってしまえばただ唇を当てているだけの行為だが、ののかちゃんの魅力も相まって僕を昂らせていた。 ののかちゃんの可愛い唇を見ているだけで、無意識にこちらの唇が引き寄せられていく。 「ちゅーをするのはね、まずこうしてから――」 脇腹に手を添えて少しだけののかちゃんを手元に引き寄せる。 「ひゃうっ……んっ……」 「…せ、せんせぇ……。ちょっとくすぐったい……」 僕の手を逃れるように身をよじるが、それ以上の抵抗は見せず、してほしいけど……といった様子だ。 その証拠に頬を赤らめ僕から目を離そうとしない。 「……もう少しだけ、こうしてていい?」 「うん……。せんせー、暖かいよぉ」 ののかちゃんの体の柔らかさとか、髪の毛からほんのり香る石鹸の匂いを堪能するため、しばらくお互いに何もしゃべらず見つめ合う。 「…………」 ののかちゃんの大きな瞳には魔力があるみたいに、こうしているだけでも、どんどん気持ちが昂っていく。 「…せんせぇ……」 それはののかちゃんも同じのようで、焦れたような甘えた声で僕を呼ぶ。 僕はいつの間にかののかちゃんの、この声が聞きたくて仕方なくなっていた。 少し間延びしたののかちゃんの『先生』と呼んでくれるその声は僕自身も切なくなってくる。 「……ちゅー。しよ?」 堪えかねておねだりするののかちゃん。 「うん……。じゃあ、目を瞑って――」 「んっ――」 ののかちゃんがぎゅっと目を瞑り、キスに備えている。 やはり緊張しているのか、少しだけ体が強張っているように感じた。 「……んっ」 唇と唇が重なった瞬間、ののかちゃんがビクっとする。 「……ん」 まるで静電気が起きた時のような反応に、僕も慌てて顔を離す。 「……これが、ちゅー……なんだ……」 ゆっくりと閉じていた目を開けながら、永い眠りから覚めたどこかのお姫様のような様子に、心臓の音が高鳴っていく。 「ののかちゃん、いや、だったかな?」 「ううん……。そんなことないよ?」 「…早すぎてよくわかんなかった……。 せんせー、もう1回してほしい」 「うん……」 「んっ……ふぁ……あっ……んっ……ちゅぅ…… んっ……んっ……んはぁ……んぅっ……」 ののかちゃんに応えて、何度も唇を押し当てたり、離したりという感じのキスを続ける。 続けていくうちに、よくなってきたのかウットリとした声が漏れ始めてくる。 「…んぅ……せ、せんせぇ……んっ……ちゅっ……」 よほどお気に召したのか、いつの間にかののかちゃんから僕の唇をついばんできていた。 「……ん、ん」 何度も何度もののかちゃんのキスに応える。 「…んっ…はぁ……なんか、熱くなってきちゃった」 「ちゅー、しているだけで…ここ、関係ないのに…… むずむずしてきてる……」 開いた足を閉じようとお尻を切なげにモジモジと揺らし始める。 興奮しているのが僕だけじゃなく、お互い様だと気づき、自然と笑みがこぼれた。 「…んっ…んはぁ……せんせぇ……んっ…… んっ……はぁ…んっ……ちゅぅ……」 ののかちゃんはもどかしさを抑えるように、何度もキスをしてくる。 ――こんなに甘えられたら。 僕も堪えられなくなってしまう。 どうしようか。 あえてキスだけ ののかちゃんの股間を触る 「んっ……」 「んんっ……んっ……んっ……んむぅ……」 ののかちゃんがもどかしげにしているのはもちろん分かっている。 だが、あえて気に掛けないようにして、ののかちゃんとのキスに没頭する。 そうすることでもっと僕のことを呼んでくれると思って―― 「はぁ…はぁ……せ、せんせぇ……んぅっ…… せん、せぇ……」 息継ぎをしながら漏らす“先生”という単語が、頭の中で反芻して僕の脳みそをしびれさせる。 そうして僕が堪えきれなくなると、言えなくなるようにキスをして口をふさぐ。 「んぅぅ……んっ……ちゅ…ぅ……んっ…… んはぁ…ぁ……んっ……ちゅぅっ……」 「んっ……んっ……」 そんな事情を知らないののかちゃんは、僕の頬を撫で今度は手で甘えるしぐさを見せる。 ――むちゃくちゃにしたい。 無意識にやっている行動がとても魅力的で我慢比べに負けてしまいそうになる。 触ってあげたい、けど―― 「ちゅっ……んっ……せんせ…せんせぇ…ちゅっ……」 ののかちゃん自身も股のうずきが取れる方法を探すように僕の唇に夢中になっている。 「…んっ……んはぁ…はぁ……ん……」 会話もなく、ただ、息が続くまで唇を求め合う。 いつの間にか互いの唾液で潤った唇から、透明な糸が引かれる。 それがとても生々しくて、ズボンの中の僕のモノが窮屈そうにビクビクと鼓動していた。 「ふはぁ……はぁ……も、もう……」 もう、何度キスを交わしただろうか。 唇を離したののかちゃんは、今にも泣きだしそうな顔で目線を落とす。 「…せんせぇ……ちゅーだけで、ここ、すっごく うずうずしてる」 「ここ、せんせーに触ってほしい……」 もう限界といった様子で、お尻をもじもじとさせ、僕によく見えるように腰を突き出そうとしている。 「仕方ないなぁ……。じゃあ、ちょっとだけだよ?」 言葉ではそう言いつつも、求められたという支配欲で身体中がぞわぞわとした。 「…ひゃっ…あっ…んっ……!」 これまで手持ちぶさたになっていた右手でそっとののかちゃんの秘部に触れる。 先ほどのゲームの件で快感を覚えたソコは、焦らされたことにより、さらに水気を増していた。 「どう? ののかちゃん?」 「んっ…んっ…じわぁってするよぉ…… せんせぇ…もっと……ののの、触って……?」 そう言いながら、自分から股間を僕の手に押しつけてくる。 「んぁっ……あっ……あっ……ジンジンする…… んっ、んっ…んはぁ……ぁっ……んぅっ……」 「せんせーの手…やっぱりきもちいい…… あっ、あっ、あっ……んんっ……」 少しだけ指を立て、引っ掻くように擦ってあげると小刻みに甘い声を上げ始める。 すでに下着の上からでも分かるぐらい、ねっとりとした愛蜜が染み出ていて僕の指に絡みついてくる。 「…パンツ、汚しちゃう……けど……んっ……んっ… ふあぁっ……あっ、あっ、あっ……」 そんなときでも下着に気を使うののかちゃんにもっと気持ちよくさせたくなる衝動がこみあげてくる。 「ののかちゃん、ここ、落ち着かない?」 「んっ…ひぅっ……んっ……ぅん……」 唇を離し、下着越しにそっと指を添えると、びくりと反応を返す。 「……な、なんかね、せんせーとちゅーしていると むずむずするかんじ……」 「そっかぁ……。じゃあ――」 指の腹でこするように中心部分を動かしていく。 「…んっ…ひゃっ……んんっ……ふぁっ…… ちょっと…くすぐったい……」 先ほどのゲームの件もあり、すでにパンツの上からでも愛液がにじみ出ていて、ぬるぬると僕の指を滑らせる。 「ふふ、ん、ぁっ……んく、ん……」 まだくすぐったいのだろうか。 でも少しでも気持ちよくなれるように、ののかちゃん自身も抵抗せず、僕の指の動きに対して敏感な反応を見せる。 確か、くすぐったがりは感じやすい、というのを学生の頃にハウツー本で見た気がする。 それを確かめるようでののかちゃんには悪いが、当てた指を何度も往復させる。 「…んはぁっ……あっ、あっ……んんんっ…… ひゃっ……あっ……んくっ……」 「んぅぅっ……はぁ、はぁ……あっ、あっ、あっ…… んんっ……ふわぁ……あっ…んくっ……んぅぅっ」 それはすぐ答えが出た。 ののかちゃんは徐々に感じ始めてきたのか無意識に足を開き、愛撫を受け入れていく。 ――もっと触りたい。 「……ここは?」 下着越しだったが、ふっくらとした恥丘のおかげで、陰核らしき場所はすぐわかった。 「んひゃっ……なんかビリって…した……」 少し引っ掻くように爪を立てると、ののかちゃんのお尻が弾む。 「んはぁ…せ、せんせえぇ……あっ……んぁっ…… そこ……触ったら……ジワジワってしちゃう……」 コロコロと変わるののかちゃんの反応が面白くて、色々弄ってしまう。 「…はぁ…はぁ……せ、せんせー……んっ…… んぁっ……あっ、あっ……んんっ……」 ののかちゃんの反応を見ながら、一番、反応が良いポイントを探っていく。 「んくっ…んっ……あっ、ん……あ、ふぁっ……」 愛撫を続けていくうちに、ののかちゃんの反応がだいぶ良くなってきた。 気持ちよくなってきたのか、時折大きな声を漏らしている。 「……ののかちゃん、そんなに大きな声を出したら 聞こえちゃうよ?」 「んっ……だ、だって……勝手に出ちゃうよぉ……」 「お母さんに聞こえちゃうかも知れないよ?」 「うぅっ……じゃあ……。がまん…する……」 どうやらお母さんに聞かれてしまうのは恥ずかしいみたいで、コクンと頷く。 「……んっ」 驚かせないように、再びゆっくりとした動きでこすっていく。 「…んぅぅぅっ……あっ……ぅん……んんんっ……」 我慢しようとするが、身体が反応して声が漏れてしまうことに、恥ずかしそうな表情を見せるののかちゃん。 「…せ、せんせぇ……やっぱ、声、でちゃ…… んんっ……あ、あ、んぁっ……んっ……」 ……。だからと言って、ここで止めてしまうのも可哀想だ。 キスでふさぐのが一番だろう。 優しいキスで口を塞ぐ ディープキスで口を塞ぐ 「……んっ…」 「んっ……んぅっ……んんっ……!」 押しつけるようなキスでののかちゃんの口を塞ぐ。 突然のことで少し驚いた様子を見せるののかちゃんは、慌てて目をつむる。 きっと、キスをするときは目をつむる、と思っていたのだろう。 「はぁ、はぁ……せんせぇ……んっ……」 唇を離すと、ののかちゃんは目を潤ませながら唇をちょんと突き出す。 まるで仕切り直しを要求するようで、わがままだけどどこか憎めない、そんな愛おしさを感じる。 「うん……。ののかちゃん――」 「…んぅ……ちゅ…んっ……ん……ちゅっ……」 目を閉じてウットリしながらキスを受け入れてくれる。 「んはぁ…んっ……ちゅっ……ちゅ……んっ……」 「んんっ……」 唇を合わせては離し、また合わせる。 時々僕の唇に吸いつくようにして離さない。 そんな小さな甘えが僕の感情を昂らせていた。 「ん…んっ……せんせぇ……こっちも……」 より大胆になっていくののかちゃんは切なげに股間を僕の指に押しつけてくる。 「……うん」 唇を合わせたまま、秘部をなぞり上げていく。 「んんんっ……んっ……んぅっ……」 ののかちゃんは声を押し殺すために、強く唇を押しつけてくる。 「…んっ……んぁっ……んっ……くっ…んんんっ……」 ののかちゃんのソコは触れただけで、くちゅりとするぐらい濡れそぼっていた。 「んはぁ…んっ……ちゅっ……んっ、んっ、んっ……」 「……んっ……んっ……っ……」 健気な様子が可愛くて、少し早めに指を動かしてしまう。 「…んんっ……ふあっ……んっ……んくっ……」 「せ、せんせ……んんっ……あっ……ンぅぅ……!」 声が出そうになったら、唇を強く押し当てる。 思い切り声を上げることが出来ないからかそれがののかちゃんを焦らしているみたいで……。 「んっ……んくっ……はぁ…あっ……んんっ…… せんせぇ……んんっ……」 「んっ…ののかちゃん……きもちいい?」 「ん、ぅん……。ちゅーしながらだと…… 奥がじんじんして……いっぱいくる」 「…せんせぇ……。これ、きもちいい。 もっと…したい…」 「んっ……」 再び唇を重ね合わせて、秘部を愛撫する。 僕の指の動きに身を委ねるだけでなく、合わせるようにして腰を動かし始めてきた。 「ん、くぅぅっ……んっ……んっ……はぁ…… んんっ……んっ……ちゅっ……んっ……」 「んんっ……」 その様子がすごく可愛らしくて、興奮をかき立てられてしまう。 すでに痛いくらいにズボンの中では僕のモノが張り詰めていた。 「……ののかちゃん……んっ……」 「…んっ……んんんっ……!」 声がどんどん大きくなっているののかちゃんの口を自分の口で塞ぐ。 突然のことだったからか、ののかちゃんは目を丸くしながら驚いているようだ。 「…………」 「んんんっ……んっ……んっ……ちゅっ……んっ……」 それでも唇を離すことなく、強く押しつける。 もしかしたら僕自身がしたかったのかもしれないと思うほど、一心不乱に唇を重ねる。 ののかちゃんも次第に慣れてきて、応えるように唇を押しつけてくる。 「…んっ…んはぁ……せんせ……んっ……んんっ……」 一生懸命、僕のキスに応えてくれる姿に何だかすごく興奮してくる。 ――たまらない。 「…んっ……んっ……んんっ……」 「…んくっ……!? んっ……んぅっ……」 薄く開いた唇に舌を滑りこませ、小さな口内を蹂躙していく。 「んんっ……? んっ……んぅぅ……」 舌全体に感じるののかちゃんの味、感触に背筋がぞくぞくとした。 「……んっ……ちゅっ……んっ……」 「…んぅぅ……んっ……んっ……っ……」 何とも言えないこの感覚をハッキリさせるために、さらに、ののかちゃんの舌に自分の舌を絡めていく。 「……んん! ……んぁ、んっ」 とたんに拒否の反応を見せるののかちゃんは、息継ぎしたそうに首を振って逃れようとする。 「…んはぁ……はぁ……はぁ……」 「はぁ、はぁ……ののかちゃん?」 「……ん……なんか……にゅるにゅるして……。 きもちわるい感じだったの、舌はいや……」 急に異物が入ってきたことに、少し不審そうな顔を見せる。 どうやら、大人のキスはまだ早かったみたいだ。 「…せんせー、さっきまでのが…いい……」 「うん。ごめんね――」 「…ちゅっ……んっ……ちゅ……んっ、んっ……」 仲直りのキスをするように、ちゅ、ちゅ、とやさしく唇を交わす。 「…んっ…んっ……ちゅっ……」 ウットリとした声を漏らしながら、キスに応えてくれるののかちゃん。 だんだんと体をモジモジとさせ始めたところをみると、触ってほしくてたまらないのだろうか。 「んんっ……んっ……ふあっ……んっ、んぅぅっ……」 その要望に応えてあげるように、指でなぞってあげると、体をピクリとさせる。 「んっ……」 声を上げそうになっているので、少し強めに唇を押しつける。 一度、心が離れそうになった分、また近づくことでののかちゃんの存在に気づかされる。 そんな気持ちがだんだんと僕の中で広がり、胸をギュッと締め付ける。 「…んはぁ……ぁっ……んっ……ちゅっ……」 ズボンの中のモノがビクビクと勝手に動き出し、下半身に圧迫感を感じ始める。 思わず腰を動かしてしまい、ののかちゃんが不思議そうに視線を落としてきた。 「…んっ……んぅっ……せ、せんせぇ…そこ……?」 不自然に膨らんだ股間に、ののかちゃんも気づいてしまったようだ。 「…んっ……ふぁっ…せんせーの… おっきくなってる……?」 唇を離し、腰を沈めながら言ってくる。 「うん。ののかちゃんとちゅーしてたら……」 「…そっかぁ、せんせーもののと同じなんだぁ」 「ののもね、せんせーとちゅーしてると ここがむずむずしてくるんだよぉ」 自分と一緒というのが嬉しかったのか満面の笑みを浮かべている。 「………………」 高ぶりきってしまったコレは、収まる気配がない。 でも、どうしたら……? 「…せんせぇ……ののもね、ここ、すっごく せつないの……」 頬をさらに紅潮させて、潤んだ瞳で言ってくる。 そんな顔をされたら、我慢が利かなくなってくる。 「また、一緒にきもちよくなろう? 保健室でしたみたいに……」 「…う、うん……」 下にお母さんもいるのに。 まずい状況だと分かっていても、ののかちゃんの魅力に首を縦にふってしまっていた。 「じゃあ、横になってごらん?」 ののかちゃんのパンツをずらして、ベッドに寝かせる。 「え、えへへ……。私の、せんせーに丸見えに なってる」 「うん。すごく綺麗だよ」 露わになった秘部は、すでに昂っていることもありワレメから透明な蜜が溢れ出していた。 「……せんせーのも…見せて……?」 「うん……」 チャックを下ろした瞬間、中で元気になっていたモノが勢いよく顔を出す。 「ふわぁ……せんせーの、すごいことになってる……」 「……前に保健室で見せてくれたのよりも…… おっきくなっている気がする……」 ずっとののかちゃんのかわいい声を聞いていたため、自分でもいつもより、と感じるほど、そこは腫れ上がっていた。 それだけ僕も気持ちが昂っている。 「ののかちゃんがすごく魅力的だから……」 「えへへ、そうなんだぁ……。 そーいえば、前もそんなこと言ってた気がする」 「うん、そうだね」 「そっかぁ……。私でせんせーのがすっごく おっきくなってくれたんだから、嬉しい」 ののかちゃんはすごく嬉しそうだ。 すでに赤くなった頬に、どこかトロンとしている表情が僕をさらに興奮させてくる。 意識すればするほど、どんどんモノが膨れあがっていく。 「…せんせー、これから何をするの?」 「ちゅーはさっきいっぱいしたから…… 次は……おまたにせんせーのを?」 「…………」 ののかちゃんはわかっていないようだけど、一線を越えてしまうことはできない。 したくないというわけではないが、さすがにそれは……と自制できるだけの理性は残っている。 とはいえ、これから何をしてあげたらいいのだろう? 「……ののかちゃんには、まだ早いから。 今日は“ごっこ”かな?」 どう言ってあげたらいいかわからず、とりあえず“ごっこ”ということで誤魔化す。 「んー……? “ごっこ”?」 「よくわかんないけど、あの漫画みたいなこと、 せんせーとしたい」 どうやら好奇心が抑えきれないといった様子だ。 「じゃあ、ののかちゃん。 ちょっとだけ、力、抜いていてね」 「うん……」 素直にベッドに体を沈ませ、リラックスするののかちゃん。 さすがに漫画でやっていた性行為そのものは無理だけど、擬似的なものなら―― 「……んっ」 今か今かと待ちきれない様子のサオを掴み。ぴっちりと閉じられた足の間。太股をかき分けていく。 「…ん…ひゃっ……んっ……。 せんせーの…私のに…当たってる……」 慣れない感覚に戸惑いつつも、ののかちゃんはしっかりとその感触を感じ取っていた。 秘部にすれる度、小さくびくびくと反応を見せる。 少し冷たくなった太股と、まだ熱を帯びている恥丘がなんとも言えない。 柔らかでスベスベな太股がモノ全体を包み込み、すごく気持ちいい。 「ふふ、よくわかんないけど…… 不思議な感じ〜……」 「指で触るのとちょっと違って…… せんせーのすごく暖かいから…じわぁってする」 行為に対して嫌悪感はないようで、僕自身も蕩けてしまいそうな感覚に陥る。 「…せんせー、これ、どうしたらいいの?」 「えと……最初は僕がするから…… ののかちゃんは、そのままでいいよ?」 「うん。わかったぁ」 少し余裕のある様子のののかちゃんに対し、僕は興奮が抑えきれず、浅い呼吸を繰り返してた。 「…んっ…んぁっ……あっ、あっ……んっ……」 ゆっくりと太股の間を往復する僕のペニス。 十分すぎるほど湿った秘部は、数往復するだけで愛液まみれにさせられた。 「ひぁっ…はぁ…あっ…んっ…指でするのと…… 全然…ちがう……」 「せんせーので…されると……じわじわって…… んんっ……ここ……いっぱいするぅ……」 「んっ……ぅん……」 ののかちゃんの反応を確認しながら、腰をゆっくりと動かしていく。 擦れば擦るほど、愛液はどんどん量を増していき、全体にねっとりと絡みついてくる。 「…んっ、んっ…んぁっ……あっ……ひゃっ……!」 酸欠なのか、朦朧とする意識の中、ののかちゃんの甘い声が意識をつなぎ止めていた。 「…うっ……んっ……くっ……」 少し肉付きのいいののかちゃんの太股は心地よい圧迫感で、僕を満たしていく。 「はぁ、ん……せん、せー? くるしいの?」 ののかちゃんの心配そうな声に、自分だけ気持ちよくなってしまっていることに気が付く。 「ううん。その逆だよ。 ののかちゃんの、すごく気持ちいいよ」 「そっかぁ、せんせーもこれきもちいいんだぁ」 「えへへ……私と同じ、だね? これだったら、一緒にきもちよくなれるね」 「…うん。そうだね」 いつもマイペースだと思っていたののかちゃんだったが、時々見せる気遣いが僕の心に少しだけゆとりをくれる。 先ほどまで煮えるような脳みそが、ちょうどいい温度に下げられ、ののかちゃんと快感を共有していく。 「…んぁっ……あっ…あっ…あっ…… せんせーの…ビクビクってしてるよぉ……」 「ビクビクして……ふぁっ……当たって…… んっ……じわぁってくるの……いいよぉ……」 先ほどまで指で感じていたあの感覚……それを今下半身で感じている。 そう思うだけでもっと触れたくなりびくびくとののかちゃんの太股の間で脈打つ。 「はぁ…んっ……くぅ……んっ…んっ…んはぁ……」 指のときと違い、ペニス特有のごつごつとした感触に、ののかちゃん自身も悩ましげな声を上げている。 「は、ぅん……せ、せんせ……ぇ?」 「…せんせー、もうちょっとしても…いいよ?」 僕もちょうどペースを上げようとしていたところ。ののかちゃんの声が背中を押した。 「うん、わかった……」 「ふぁっ…あっ、あっ、あっ……あふっ…… はぁ、あっ…あっ…あっ…んっ……ぅっ……」 ちゅく、ちゅく、リズミカルな音が静かな部屋に響く。 それも女の子の部屋で……。 さらに加速していく動きにののかちゃんの反応が変わっていく。 「……んんっ……ぅ、んっ……あっ……っ…… ぁっ……ぅくっ……ンンン……ッ……」 必死で声を抑え、堪える姿にゾクゾクとした背徳感のようなものを感じる。 「…んくっ……せ、せんせぇ……そこは…… んんっ……ひゃ……びくってなっちゃう……」 「ぅ……んっ……」 あたる場所を変えるため身をよじるののかちゃんの動きに、不規則に違った刺激が加わってくる。 いつの間にか堪えるように歯を食いしばり、背中はじっとりと汗をかいていた。 「…んはぁ……はぁ、はぁ……これ、なんか 変な感じ……」 「私から…これ、生えてきたみたい……」 「……くぅっ……!!」 溢れる愛液に摩擦をなくし、少し薄れた快感の中、突然感じる強烈な刺激に思わず声が漏れた。 興味津々といった様子で股の間から生えてきたペニスをなでている。 こちらからは窺い知れない指の動きに翻弄されてしまう。 「…せんせー、ひょっとして、ここ、きもちいい?」 「うん。とても気持ちいよ……? 負けじと小さく腫れたののかちゃんの核を狙って押しつけるようにして腰を動かす。 「ひゃっ……ふやぁっ……せ、せんせぇ…… そこ……んっ……声、出ちゃうからぁ……」 甘い声を漏らしながら、太股をすり合わせることで生じる絶妙な快感。 「んくっ……んっ…ッ……!」 敏感な亀頭を触られているため、危うく先にイってしまいそうになりお尻をぎゅっと締めなおす。 ――ひとまず落ち着こう。 いままで教える側だったため、ある程度予想できた快感に耐えるのは簡単だった。 だが、今日は翻弄されっぱなしで、僕も流されそうになる。 ののかちゃんの手から逃れるようにぎりぎりまで引いて、浅い動きに変えていく。 「んっ…くぅ……んんっ……あっ、あっ、あっ…… んっ……あぁぁ……」 結果的に緩急がつき、うっとりとしたののかちゃんの様子。 「はぁ…はぁ……んぁっ……くぅぅ……んっ……」 呼吸も乱れてきているし、目をトロンとしてしまっている。 「…ののかちゃん……」 湧き上がってくる射精感に堪えながら、ののかちゃんを気持ち良くする一心で腰を動かすスピードを上げていく。 「はぁ…はぁ……せんせぇ……んっ……んぁっ…… あっ……なんか……ふわふわしてきたぁ……」 「……せんせーは? せんせーはどんな感じ?」 「うん。先生も一緒だよ……。 ここ、ジンジンしてきてる」 「せんせーもなんだぁ……だったら、一緒だね…… ほけんしつの時みたいに…また…一緒に……」 「……そうだね……んっ……ンッ……」 保健室の時は、自分の手で扱いていただけだ。 今回はののかちゃんの秘部に擦りつけている。 自分でするのとは段違いな気持ちよさに腰が止まらない。 ぎりぎりまで腰をひいた後、うっかり挿入してしまいそうになる。 「せんせぇ…わたし…もう……あっ、あっ、あっ……」 「いっぱいだよぉ……じんじんとむずむずが いっぱいで…んぁっ……んっ……あぁっ……」 僕の動きが速くなってきたこともあってか、ののかちゃんの反応が一気に変わる。 身体を小さくして、押し寄せる大きな波に堪える準備をしているようだ。 無意識に亀頭を触っている手にも力が入り、それがとてつもない快感をもたらしてくる。 「…んはぁ……んっ……先生も………」 “ごっこ”のはずなのに、まるで本当にしているような感覚。 敏感な亀頭を柔らかな手で包まれて、秘部のヌルヌルが絡みつき、さらに太股から心地よい圧迫感を感じる。 限界はすぐそこだった。 「…はぁ…はぁ…せんせー……せんせぇ…… のの……もう……だから、せんせーも……」 「……くぅ――」 ののかちゃんに促されて、射精へ向け、ぐちゅぐちゅと音がするぐらい腰を思い切り動かす。 今ではののかちゃん小さな手のひらが、子宮であってほしいかのように…… 「…んっ……ぅんっ……あっ……あっ……ぁっ……」 「…んんっ…ふぁっ…ぁ、ぁ、ぁ……んんんっ……!」 一番奥で射精するようにして腰を突き出した所で、頭が真っ白になった。 ののかちゃんも絶頂したのか、太股をぎゅっと締めつけ、脈打つペニスを感じているようだった。 「…あっ、あっ……ずっとじわじわ…くる…… はぁ……はぁ……あっ……んっ……ぁぁぁっ……」 密閉した太股は一滴残らず絞り出すように、根本から締めつけてくる。 「…あっ……ンくっ……」 ゲームの時からずっと我慢していた僕の下半身は、ののかちゃんが体をひくつかせる度に連動するように射精してしまう。 どびゅ、どびゅっと固まりのような液体が、ののかちゃんのベッドを汚していく。 「はぁ、はぁ……せんせーのから、 ……ぁ、ん……白いの出てる……」 「……保健室の時よりも、いっぱいでた……?」 2回目の絶頂を迎え、ののかちゃんはぐったりとベッドに体重を預ける。 そんな姿に少しだけ調教した気分。 「……ここから、せんせーの白いトロトロが 出たんだぁ」 ののかちゃんが精液まみれになっている亀頭を指で弄ってくる。 「……あくっ……そ、そこ……んっ……」 射精したばかりで敏感になりきっているため、思わず腰をびくつかせてしまう。 「…ふぁっ…また出てきたぁ。 せんせー、ここ触ったらいっぱい出る?」 ののかちゃんに弄られたことで、残っていた精液が出てしまったみたい。 それがさらに好奇心を刺激してしまったのか面白そうに亀頭を弄っている。 「…ののかちゃん…それ以上は…… そこ、くすぐったいから……」 「そっかぁ、せんせーもここくすぐったく なるんだぁ。ののと一緒だね」 そう言うと、ののかちゃんは亀頭から手を離す。 「せんせー、すごくきもちよかったよぉ。 せんせーは?」 「うん。先生もだよ」 「えへへ、また一緒にきもちよくなれたね」 ののかちゃんはふわりと満足げに笑う。 一緒に気持ちよくなれたということがすごく嬉しかったみたいだ。 「……ふわぁ……。なんだか急に眠くなって きちゃった」 気が抜けて、絶頂による疲労が一気にやってきたみたいだ。 「お昼寝しちゃう?」 「うん……そうする……」 「……んっ……んぅ……すぅ……」 まるでスイッチが切れたみたいにののかちゃんがクタリと横たわり、安らかな寝息を立て始めた。 いかにもののかちゃんらしいマイペースさだ。なんだか微笑ましいな。 可愛い寝顔を見ながら、ののかちゃんに振り回されるのも悪くないと思った。 「ふぅ。こんなものかな」 ティッシュでののかちゃんのアソコを綺麗にしてあげ、下着を履かせてあげてから布団を掛けて上げた。 そこまでしても目を覚ます気配がまるでない。 それだけ疲れてしまったってことだろう。 「……えへへ……せんせぇ……」 ののかちゃんの寝言――楽しい夢でも見ているみたいだ。 「さてと、雨も上がったし次、行くか」 ちょうどいい感じに雨も上がっているし、また降り出す前にお暇しよう。 「ののかちゃん、また明日、学校でね」 安らかに眠るののかちゃんの頭を撫でてあげてから、ことねちゃんの家へ向かうのだった。 雨でぬかるんだ道に苦戦しつつ、ことねちゃんのお家へ。 到着する頃にはすでに日が傾いていた。 豪邸とも言えるたたずまいに驚きつつも何事もなく家庭訪問を終えた。 それから残っているご家庭を訪問していく。 ののかちゃんの家で時間を食ってしまったこともあり、少々慌ただしくなってしまったが、何とか全部終えることが出来た。 ――最後はえみちゃん。 とはいえ、えみちゃんは普段から居候させて頂いていることもあり、特に報告することはない。 なので、夕飯を頂きつつ形式だけのもので終わらせた。 「はぁ……何とか無事、ののかちゃんの家は終えた」 予め親御さんたちにはスケジュールを子供たちから渡してもらっている。 そうして、まずはののかちゃんの家へ。 ののかちゃんの授業態度はともかく、成績は優秀な方だ。 話すことといっても、もう少し授業を聞く耳をもってほしい。という程度。 終わってから、ゲームをしようと誘って来られた時には、僕の話しを聞いていたのか少々不安になったけど……。 そして彼女の誘惑を振り払い、ののかちゃんの家を出てきたはいいが、予定よりもずいぶん早くに終わってしまった。 「とはいえ、あまりゆっくりはできそうにないな」 僕は、生徒の住所録を取り出して、そのままケータイの地図アプリを開いて場所を調べる。 「さすがにことねちゃんの家からだと遠いか……」 現代の文明のありがたみをかみ締めつつ、僕は歩き出した。 そうして、しばらく歩き出したところで、次第に天候が怪しくなってきていた。 「……おいおい、 頼むからことねちゃんの家に着くまで 降らないでくれよ」 そうした僕の心からの願いは叶わず。 …… … 「冷たっ……降ってきたし」 ポタポタと雫が天から降ってきた。 「急がなきゃ。濡れた格好でお邪魔するのは失礼だ」 雨は止むどころか激しさを増していき、着ていたシャツはどんどん水を含んでいく。 「はぁ……はぁ…… こういうとき、やっぱり田舎は不便だな…」 近くにコンビニやお店があるわけでもない。 知恵を絞るが今日という予定を天候のせいで変えるわけにはいかない。 「……ことねちゃんや親御さんには謝ろう」 「……ふぅ。 ここか……」 立派な門構えに驚かされながらも、肌に張り付くシャツの気持ち悪さが現実へと引き戻す。 何度かチャイム音を鳴らしながら、僕はずぶぬれになった服をどうしたものか考えていた。 近くのお店を聞いて、シャツを買ってきた方がいいだろうか。 「わっ、せんせい、びしょびしょ……」 あれこれ考えている間に、待ってくれていたことねちゃんが、元気よく出てきてくれた。 そして、すぐに僕の格好に気づいた。 「あはは……急に雨が降り出してさ……えっと、 とりあえず近くに服の売ってあるお店って……」 「わたし、すぐにタオル持ってくるから。 せんせいは中に入ってて…!」 「えっ、あ、ことねちゃん……あーあ」 ことねちゃんは慌てて部屋へと戻っていき、言葉どおりタオルを取りに行ったのだろう。 ずぶぬれの格好のまま一人残されつつも、上がるようにことねちゃんに言われたのを無碍にはできない。 申し訳ないと思いつつ、僕は古風な造りの藤堂家の門をくぐったのだった。 「悪いねぇ、 うちの嫁もどちらも仕事が忙しくて……」 「ええ、大丈夫ですよ。話は伺っていますから」 ことねちゃんの両親は共働きということは聞いている。 そのため、家に残る藤堂さん――おばあちゃんがことねちゃんのことを見ているらしい。 「せんせい、これ……タオル、使って」 部屋へと案内してくれたおばあちゃんに遅れて、ことねちゃんがタオルを僕に手渡してくれた。 「ありがとう……」 濡れた髪を乾かすものの、肝心の服はそう簡単には乾きそうになかった。 やっぱり、買いに出た方がいいか。 「そんな格好じゃ風邪を引くでしょ? ……そうそう……ちょっと、待ってなさい」 ことねちゃんと入れ替わるように、今度はおばあさんが出て行った。 そして、しばらく遅れた後―― 「これなら先生にも着れるやろか」 「あ、お父さんの服」 「えっ!?」 「ちょうど合うと思ってねぇ。 服が乾く間だけでも着替えるとええ」 「い、いや……でも……」 学校の行事に来たというのに、ここまでしてもらうのも悪い気がした。 しかし、藤堂さんの好意を無碍にするのも悪い。 考えて、考え抜いた末。 「すみません……お邪魔した上、 服までお借りしてしまい……」 結局、服を借りることになってしまった。 それなりに潔癖症であったことは否めない僕が、他人の服に袖を通している。 見たことのない人の服を着ている。それが今までは考えられなかった。 今も多少の抵抗はあるものの、強い拒絶は感じられなかった。 それを許容できているのは、やはりこの町に来たことが影響していることは間違いなかった。 「(身体もこの町に馴染んでいっているのかな)」 そんな自分の変化に驚きながら、3者面談は始まろうとして―― 「あれ? ことねちゃんは?」 「ことねなら、服を着替えさせました」 「着替えた?」 なにやら忙しい藤堂家の家の事情になし崩し的につき合わされつつ、しばし待っていると。 「お、お待たせしました」 かしこまって、膝をついてふすまを開けることねちゃん。 普段、見ていた私服とは違い、豪奢に彩られた和服に着替えていた。 「へぇ……ことねちゃん、きれいだね」 あまり目立たない彼女の今の衣装のギャップに、僕は素直に言葉を発していた。 「う、うん。ばぁばにお琴を……習ってるの」 「琴……?」 初めて聞く習い事に驚きつつ、ことねちゃんは顔を真っ赤にして俯いていた。 「せっかくだから先生にもお見せしたくて…… ね、ことね?」 「ま、まだ全然弾けないから……は、恥ずかしい」 「そうかい? 多少は人前で演奏することも大事なんだけどねえ」 おばあちゃんとしては、是非に孫が頑張る姿を見せたかったのだろう。 しかし、ことねちゃんの押しに簡単に負けてしまった。 「うぅ……」 「(まあ、無理もないかな)」 お琴なんて、音楽の授業で『こういう楽器もあるよ』と、少し触れるぐらい。 生徒たちからすれば、関心すら抱かない楽器をことねちゃんは教わっている。 ギターやフルートとは訳が違い、あまりに古風な楽器に、ことねちゃんにとっては恥ずかしさも抱くだろう。 それでもおばあちゃんに文句も言わず習っているのは、ある意味ではおばあちゃんのためだろうか。 「(偉いなぁ……)」 「………………」 この格好を見られることに慣れていないのか恥ずかしさで顔を上げられずにいた。 「ふふ、もしうまく弾けるようになったら、 是非聞かせてね?」 「せんせい……は、はい……」 終始、恥ずかしそうにすることねちゃんだったけど、少しは緊張も解けたようで、微笑を浮かべてくれていた。 そうして、ずいぶん押してしまった3者面談は始まった。 「――と言うように、 ウサギの飼育に率先して取り組んでくれています」 僕が知っていることねちゃんの学校事情を藤堂さんに伝えていく。 もちろん、欠点らしい欠点はオブラートに包みつつ、長所として取り組んでいることを話す。 「そうなんですか…… 最近は楽しそうに学校に行くのを見て、 アタシもホッとしております」 隣に座ったことねちゃんの頭をなでながら藤堂さんは続ける。 「親はどちらも仕事で忙しくてね、 アタシが面倒を見てきたけど、 厳しくしすぎたせいかね」 「内気になって、 学校のこともあんまり話さないから…… 最初はずいぶん悩んでね」 「でも、最近は明るく、 いろんなことを話してくれるようになってね……」 「友達のこと、学校のこと、 何より、先生のことを話すときが一番 うれしそうに話をするんよ?」 「ぼ、僕のことですか?」 藤堂さんの口から僕のことが出てきて、一瞬ドキリと心臓が飛び出そうになっていた。 よからぬことは話してないだろうか。イヤな汗が噴出してくる。 「学校で勉強を教えてくれたり、 遠足でも面倒を見てくれたと聞いてね…… いやはや、ありがとうございます」 「いえ……僕は何も……」 ことねちゃんもおばあちゃんの言葉に、恥ずかしそうな様子だ。 大事に育てられているのを聞いて、嬉しく思うのと同時に、罪悪感が押し寄せる。 それとは別に、言葉にはできない感情が覗いていたが、それが何なのか今の僕では分からなかった。 「それでは、面談は以上ということで……」 「ありがとうございました」 藤堂さんにことねちゃんの事を伝え、終わりを伝える。 残すはえみちゃんだけ。帰宅するだけなので気も楽だ。 「服が乾く間、ゆっくりしていってください」 「あ、そうでした……服……」 藤堂さんが立ち上がり、ハッと濡れた服を思い出す。 藤堂さんは気にしていない様子ではあったが、さすがに長居するのは気が引けた。 しかし、おばあさんからは引き止めたい様子が窺えた。 祖母と孫の距離は難しいのかもしれない。 「(それなら、ここはお言葉に甘えつつ……)」 「ねぇ、ことねちゃん」 「はい?」 「この前に話してた勉強、しようか?」 「……いいんですか?」 「うん、服も乾いてないし、外もこんな天気だしね」 外から聞こえてくる雨音にうんざりしつつ、僕はこの間の約束を果たそうとする。 えみちゃんに悪いけど、帰る場所でもあるわけだし、多少遅れても許してくれるだろう。 「さっ、早く準備して。先生の特別授業だよ」 「あ、ま、待って、すぐにじゅんびします!」 少し嬉しそうにすることねちゃんに頬が緩む。 それは僕だけではなく、部屋を出て行こうとした藤堂さんもまた同じのようだった。 「そうだね。ここはこの計算をすれば大丈夫だから」 「う〜ん……あ、できました」 「そう。正解。よくできました」 丸をつけるのではなく、一生懸命問題を解けたのも踏まえて花丸をあげる。 ことねちゃんは飲み込みが悪いだけで、ゆっくり順序だてて説明すれば理解していた。 相談する相手がいなかったこともあって、分からないことをそのままにしていたのが原因なのだ。 「ふぅ……おわりましたぁ……」 「はい、よくがんばったね」 今日出した宿題を僕と一緒にやり遂げて、大きな伸びをすることねちゃん。 満足している顔に僕は惹かれつつ、彼女の頭を撫でるのだった。 これで御役御免。帰宅したいが、雨はまだ降っている上に、服もまだ乾いていない。 勉強勉強もことねちゃんが辛いだろうし、何か頑張ったご褒美をあげたいところ。 「(ご褒美……ご褒美か……)」 なくはないけど、果たしてこれがご褒美になるかどうか。 「………………」 とはいえ、この沈黙が続くよりはマシか。 僕は、仕事用に持ち歩いているノートパソコンを取り出して起動する。 珍しい機械にことねちゃんも興味を持って覗き見てきた。 「何するんですか?」 「ことねちゃんが頑張ったからね、 ご褒美……ことねちゃんはアニメは見る?」 「好きだけど。あんまり見ない……」 年頃にしては珍しい、と思うのは、これまた環境によるものなのだろう。 「それはよかった。 見たことあるかもしれないけど、 まあ、よかったら一緒に見ようか」 「うん、見たい!」 時間を潰すにはもってこいだ。1時間弱の短編アニメ。 僕は何度も見ていたが、ことねちゃんは目をキラキラさせてディスプレイを覗き込んで待ちわびていた。 そうして、アニメ鑑賞は始まった。 小さいノートパソコンということもあって、僕とことねちゃんは肩を並べて画面に食い入る。 べタなストーリー展開。最近の子は目が肥えて見向きもされなさそうだが、ことねちゃんは違っていた。 登場人物に感情移入して、うんうん頷いたり、怒ったり、悲しんだり忙しく感情をあらわにしていた。 そうした様子に僕はアニメよりもことねちゃんに意識が向いていた。 アニメの内容は、ラブストーリー。最後はお姫様を助け、キスで締めくくるお決まりのエンディングだ。 女の子は派手なアクションよりもこういったものの方が好きだろうと選んだ。 アニメはちょうど、王子様(?)が、ドレスを着たヒロインにキスをしてエンディングロールが流れていた。 とはいえ仮にも見ているのは一組の男女。一緒に見る分にはチョイスも考えないといけないな。 反省する僕の横で、ことねちゃんは物語の中に引き込まれていた。 「さて、と。おしまいおしまい……」 彼女を現実に引き戻しつつ、アニメを停止。 名残惜しそうにすることねちゃんは、何か言いたそうにこちらを見ていた。 少しよからぬ予感がして、思わず僕は視線を外し、服が乾いていないかと立ち上がろうとした、その時だった。 「……せ、せんせい、は……ちゅーって、 ……どんな時にするの?」 背中越しに彼女から突拍子もない質問が飛んできた。 「どんな時って……」 思わず大人だからこそ抱いてしまう淫らなシーンを思い浮かべてしまった。 相手は子供だ。まともにそんな話ができるはずがない。 分からないとは答えられない。けど、エッチな印象を彼女に与えるわけにはいかない。 しばし真剣に考えた後、僕は分かりやすく話す。 「そ、そうだね…… 大好きな人と一緒に居て、 胸がぎゅーってなった時……かな?」 教師としてあまりに抽象的な表現しかできない自分が情けないと感じてしまう。 けど、これより他に上手い伝え方を僕は知らなかった。 「好き……ぎゅーってなる……」 「はは……ちょっと分かりにくかったかな?」 「……せんせいは…… したいって思ったこと、あ、ありますか?」 続けて訊ねられたことねちゃんの質問に、僕の胸が大きく跳ね上がった。 「え、えっと……どういうことかな?」 「だ、だから…… せんせいは、わたしとち、ちゅーしたいって……」 「お……思ったこと……ぁり…ま、すか…?」 かなり恥ずかしいのだろう。声がどんどんと小さくなっていく。 「こ、ことねちゃんと!?」 自分の名前を出してきて、なお言葉を続けることねちゃんの顔は真っ赤になっていた。 こんな純粋に聞かれたことで、僕も言葉に迷った。 迷って、そして。 「……あ、あるよ」 気がつけば、僕はことねちゃん以上に声を震わせて、気持ちを吐露してしまっていた。 静かな部屋に、雨音がうるさく聞こえてきた。 自分でも、こんなことを言うとは思いもしなかった。 長いようで短い沈黙の中、ことねちゃんは何かを求めるように僕をじっと見つめていた。 今までの会話の流れ、ことねちゃんの気持ちはすぐに察しがついた。 彼女にとっての精一杯の愛情表現だろう。 「……いいの?」 ムードも何もなく聞いてしまう。その言葉にことねちゃんはコクンと頷く。 彼女の決心に僕も意志を固めてゆっくりと歩み寄る。 そうして、息と息が触れ合う距離まで近づいた時には、間を置かずして唇が重なるのだった。 「ん、ん……」 ことねちゃんにとっては初めてのキス。 ことねちゃんのわがままに付き合うかのように、そのキスは優しい唇が触れ合う程度のものだった。 小さい唇が僕のそれと重なる。 着物という姿が、また彼女のいでたちを淫靡なものに映し出していた。 「ん、んっ……は、あ、あ……」 「ご、ごめんね」 小さく柔らかい唇に僕はいつしか酔いしれて、彼女の事を気遣う余裕もなくなってしまっていた。 「だ、だいじょうぶ……です」 そう口にすることねちゃんは、キスの熱に当てられて、もじもじともどかしそうにしていた。 これまでしてきた性行為に身体が慣れて、キスだけで身体が反応しているようだった。 僕もまた、ここまできたら何もしないで帰るなどできそうになかった。 イタズラ心がこみ上げてくるのを感じつつ、僕はことねちゃんの身体を抱きとめる。 「あ、う、うぅ……せ、せんせい、恥ずかしいです」 ことねちゃんと正面に向き直って、着物をはだけさせると、小さな胸と白い肌が露出する。 キスをしたせいで、彼女に対する見え方も普段と違って見えていた。 「そうかな……この前したのと同じだよ」 「そ、そうですけど、 ……なんだか、もっと恥ずかしいです」 ことねちゃんはまともに僕を見れないぐらい、頬を赤くして俯いていた。 「ふふ、分かるよ、僕もことねちゃんと同じだから」 「せんせいも……同じ……?」 「うん、心臓がばくばくして、 恥ずかしい気持ち」 同じ気持ちだということに触れて、少しでも距離を縮めようと工夫していた。 「でも、ことねちゃんに触れたいんだ。ダメかな?」 「ううん、ダメじゃないです…… せんせいなら、いいよ?」 不器用ながらもことねちゃんは再びキスをねだるように、身体を近づけて甘えてくる。 彼女の白い肌はいつにも増して白く、かつ艶かしく見えた。 彼女に許しを得た僕は、どうしようか思い悩むそれは教師ではなく、一人の男となっていた。 どうする? 胸元を愛撫する 身体全体を堪能する 「んちゅ……ん、ん――はふぅ、ん……」 行うキスは小鳥がついばむような唇と唇が重なる程度のものだった。 次第に唇が重なる度合いも大きくなって、キスを交える時間も長くなっていった。 「ん、んっ……はふっ…… せ、せんせい……く、苦しいです……」 「ごめんごめん――夢中になっちゃった……」 ことねちゃんも呼吸を忘れてキスに溺れていたせいで、辛そうに顔をしかめていた。 初めてでもある。慣れていないのは当然だ。 「少しやりすぎたね」 そう言って、僕はことねちゃんの胸元に手を伸ばす。 「はぁ、ん……せ、せんせい……そこはっ……」 ビクンと敏感に震えながらも、次の言葉が出なかった。 触られていることに戸惑いながらも、触られる喜びに彼女も気づきつつあった。 「ここ、苦しくない……?」 「う、うん……でも、そこはおむね…… あ、はふぅ……」 「落ち着くかと思ったんだけど…… 触られるのはイヤ?」 「あ、はふぅ……イヤじゃないです。 ……せんせいなら、平気です」 今のことねちゃんなら何でも受け止めてくれると分かっていて、それでも質問した僕は、意地悪だと思う。 それは、いつもとは違う彼女の姿に僕も魅了されてしまっているんだと思う。 気持ちのこもった僕の指遣いは、いたずらをする時ような手つきではなく、愛する人の胸を愛撫するような手つきになっていた。 「あ、あ、はうふぅ……ん、せんせい…… 手が、うねうねしてる……ん……」 「こうして触られて、どんな感じ?」 「は、あ……ん、分かりません…… 少し、さきっぽが熱い……?」 ことねちゃんは、自分が触られている胸をじっと眺めて、時おり身体を震わせる。 幾度となく僕に触られてきて、快感の蕾は開花しているはずだった。 まだ、はっきりと認識できていないのだろうか。それとも恥ずかしくて受け入れることに戸惑っているのか。 どちらも考えられることねちゃんの様子に、曝け出して欲しい気持ちが強くなっていた。 「ん、ん……は、ふぅ……せんせい?」 キスもそこそこに、僕はことねちゃんの白い肌をまさぐっていくのだった。 「着物を着ているからなのかな…… ことねちゃんがいつもと違って見えるよ」 「そ、そうですか……?」 ことねちゃんもまんざらではないと言った様子で、顔を赤くしていた。 もちろん着物だけではないことは分かっている。 キスをしたこと、ことねちゃんに告白のような気持ちを伝えたこと。 それによって、いつもより可愛らしく、それでいて色香ある女の子として映ってみえた。 「だから、ことねちゃんをもっと知りたいな」 今、初めて知るかのように、僕はことねちゃんの身体をさすっていく。 「あ、ん、ん……せんせいの手、あったかい……」 「ことねちゃんの身体も暖かいよ…… ずっと触っていたいなあ」 そんな正直な気持ちを伝えると、ことねちゃんは分かりやすいぐらいに顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。 キレイで、華奢で、柔らかくて、今にも抱きしめたくなる衝動を抑え込むので精一杯だった。 「せ、せんせいだったら……いいよ、 さわらせてあげます……」 「ほんとうに? 学校の日も?」 「そ、それは……え、えと……だ、誰もいなかったら、 いいよ……」 ことねちゃんは正直に答えてくれる。きっと彼女は本気で僕に触らせてくれるだろう。 そんな愛らしい様子に、本気で考えてしまいそうだった。 「ありがとう……そうならないように、 今、こうしてたくさん触っておかなきゃね?」 「せんせい……ひゃっん、ん――あ、ん」 そう言って、僕はことねちゃんの一番敏感であろう胸元に指を伸ばす。 突起物に指が当たるたび、彼女の身体もそれにあわせて震えていた。 「あ……さきっぽ……ひゃっ、あ、ん――」 「ここ、やっぱりいい?」 執拗に彼女の胸を触りながら、それを尋ねる。 「は、う、ん……そ、そこ……ん、ん……」 恥ずかしそうに答えようとしないことねちゃんだが、そうした反応、仕草がすでに伝えていた。 「いい、みたいだね……なら、 たくさん触ってあげる」 「は、う、ん――は、あ、せんせい……ん、ん……」 言い知れない刺激にことねちゃんはくぐもった声をあげている。 触る僕としても、ここまで素直に感じてくれることが嬉しくて、だからこそもっといじめたくなってしまっていた。 えみちゃんとののかちゃんの時と同じように可愛がっているつもりでも、目に留まる魅力は違って見えた。 少し細く真っ白な体が、最初の時よりも官能的に見える。 大した変化はしていないように見えても、徐々に女として目覚めつつあった。 身体をまさぐる指遣いに、素直に感じることねちゃんのそれは、他の2人にはない魅力があった。 「あ、んふぅ……あ、はぁ……ん、ん ――せんせい……?」 一度、指遣いを止めてしまったことで、ことねちゃんが不安そうに視線を送ってきていた。 物欲しそうな視線と股間をもぞつかせる身体の異変に、ことねちゃんは口にはしなかったけど触ってほしそうにしていた。 「(ふふっ……触ってあげてもいいし、 焦らすのもかわいいかも……)」 どうする? 乳首を重点的に愛撫する アソコを触る 「ふふ――ここがいいのかな?」 「ひゃっ、あふっ……そこ、は、 ん……ちがう、ん……そこ、ひゃうぅぅ!」 さっきまで遠慮していた胸元の突起物を、僕は今日、初めて触った。 いやらしい声を響かせて、ことねちゃんが女の子らしく抗うのだった。 「あんまり大きな声出してたら おばあちゃんに気づかれちゃうよ」 「だ、だってぇ、せんせいが、きゅうに…… さわるから……ふ、う、ん、あうぅぅ……」 さすがのことねちゃんも誰かに見られることには恥じらいを持っているらしい。 すぐに警戒して、ことねちゃんは声を抑えるものの、それでも感じてしまっていた。 「ことねちゃんが可愛いから触りたくなるんだよ?」 「そんなぁ……あ、う、ん ――イジワルしないで……くだ、さぁい……」 泣き言を言って、辛そうに悶えることねちゃんの様子に、今にも押し倒したくなってしまっている。 僕はまた、少しのサディスティックな一面を見せて、ことねちゃんを困らせる。 そうして彼女の反応を見るのが堪らなく嬉しく感じていた。 長いこと、執拗に乳首を触っていたことで、固くツンといやらしい形をなしている。 「ほら、ことねちゃん、 こんなに大きくなっちゃったよ?」 「あ、は、あ……ん、ひゃっ! せんせいがさわるから……あぅ、んっ! そんなにしちゃ……だめぇ……」 充血して変形した乳首に不安を抱くことねちゃんは本気で抵抗を見せていた。 嫌がる彼女を見るたびに、僕はいじめたくなってしまう。 「触るのがダメなら……それなら――」 「……え、あ、せ、せんせい……」 「はうぅうぅ……食べちゃ、だめぇ…… は、あ、あぅ、ん! ふぅ、ん、んんん……」 生徒の乳首に吸い付くことに恥ずかしげもなく、僕は彼女に迫っていた。 口に含んだそれは汗で少ししょっぱく感じられたけど、それがことねちゃんの味と受け入れていた。 「やぁ、ん……食べられ、ちゃった…… う、ん、くすぐったいです ……はうぅ、ん、ん……」 「はむっ……あむ…… ことねちゃんの匂いがいっぱいするよ?」 ことねちゃんのおっぱいを堪能する僕は、舌で乳首を責めたてる。 両方の乳首を交互に舐めるたび、身体は敏感に反応して震えていた。 「はひゃっ! せんせい……赤ちゃんみたい」 「ふふ……僕もなんだか ことねちゃんの赤ちゃんになった気分…… ちょっと吸ってみていい?」 ことねちゃんの声に乗って、僕は乳首を吸ってみる。 「あぅぅ、やぁっ……そんな……吸っても…… なにも……で、ません…うぅぅ……」 身体を前かがみにして、感じたことのない刺激にうめいている。 母乳が出ないのは分かっている。けど、吸いたくなるのは男の性でもあった。 味わう乳首に味は感じられなかったけど、ことねちゃんの味を知った気がする。 「はふ、んっ、ん……あ、ん、 せんせいが吸うからぁ…… 先っぽがジンジンしま、すぅ……」 顔を少し上げると、ことねちゃんの何とも言えない恥ずかしそうな顔が目の前にあった。 そんな顔にゾクゾクとたまらない興奮を覚えてしまう。 股間をいっそうもぞつかせているのが分かる。 触ってあげたい反面、もっともっといじめたい、と、Sっ気な自分が顔を出している。 「(生徒に、こんなことをしているなんて……)」 冷静になる自分を振り払いつつ、僕はことねちゃんに。 どうする? それでも胸を責める 下も触ってあげる 「(胸を触っていたい……)」 胸フェチというつもりはなくても、目の前で悶えることねちゃんをもっと見ていたかった。 彼女に惹かれていることなど気にせず、無い胸を執拗に触り続ける。 「せ、せんせい……そ、そこばっかり…… は、う、ん、ん、ん……ひゃ、ああぁ……」 「ことねちゃんはおっぱいを触られていた方が 好きかなって思って……」 「あ、う、ん……そんな……せんせいがさわるだけで、 わたしは……好きなんて……ん、ん」 かすかな抵抗を見せながら、僕が触る指遣い、舌で転がす刺激に素直な反応を返していた。 柔肌から伝わる敏感な反応に、僕も彼女の身体の虜となってしまう。さらに乳首を重点的に愛撫する。 ことねちゃんらしい申し訳程度に備わっていた乳首も、今となってはツンと何よりも主張してみえた。 それが彼女の乳首であると思うと、とてもいやらしく映り、むしゃぶりつかずにはいられなかった。 「ひゃっ……せ、せんせい……またぁ…? そんな食べちゃ、だめぇ…… なくなっ……ちゃい、ますぅ……」 「ことねちゃんのが美味しいから…… 全部食べちゃおうかな……?」 「やぁぁあん……だめぇ……んっ、 ひゃっ、せんせいが、吸ってる……あぅぅ…」 本当に胸がなくなることを心配しながら、不安することねちゃんは自然と胸元に意識を置いていた。 それによって、さらに強く感じるようになり、悩ましげに声をあげていた。 内股をもじもじとさせ辛そうにすることねちゃんに、着物をめくりあげたい衝動に僕は駆られていた。 アソコを触りたい。そうした欲望を彼女の乳首への愛撫に送るのだった。 「せんせい……あ、う、ひゃ……あん、 もう、本当にだめ……ですぅ…… はう、ん、ん、ンンンン……」 「むずむずして……あは、ん、 あ、せ、せんせい……はう、ん、くうぅ……」 口を結んで、けれど漏れる声色は艶かしく、顔をくしゃくしゃにすることねちゃんはさっきまでと反応が違っていた。 身体を断続的に震わせて、内側から熱いものがこみ上げてきている様子だった。 「この前みたいに、くる……きちゃいます…… あはふぅ……ん、ん――せん、せ……」 「うん……そのまま受け入れて……大丈夫だから…… んちゅる、はむっ、ん、れろ……」 絶頂が近いことを悟って、僕も少しだけ乱暴に乳首へ舌を這わせていく。 舌で乳首を丁寧に転がしては、乳首を甘く噛んだりと、絶妙な刺激を送り込む。 それが、ことねちゃんにとっても強烈な快感となって押し寄せて、彼女は苦しげに喘ぎ声をあげていく―― 「ひゃ……んっ、んっ、ん……せんせい、だ、め…… かんじゃ、だめ……は、う、 あ、ん……や、あ、あ……」 「はふぅ……ひゃ、あ、あ、 せんせい……せ、せんせい……あ、 だ、め……ひゃ、あ、あ、あああ」 「ひゃああああぁぁん、んっ、んっ、んんんん」 ことねちゃんは身体全体を激しく震わせて、胸だけの愛撫で達してしまっていた。 声を我慢しようと堪えようとしたが、彼女にとっては到底耐えられるものではなく、可愛げな声が漏れていた。 「はふ、あ、あ……んっく、 はうぅ……ん、はぁ、はぁ……」 「すごかったね……とっても可愛いよ」 「はぁ……はぁ……せんせぇ、が…… たくさん、するから……は、あ、ん、ん――」 恍惚とした顔を浮かべることねちゃんは、足を震わせて絶頂の波に飲まれているようだった。 それから、立っているのも辛そうにちゃぶ台に突っ伏すようにぐったりしてしまった。 「本当は、こっちも触って欲しい?」 「ひゃっ! やんっ、せんせい……そこ、あんっ」 内股を擦らせて、自ら触るのを躊躇っている彼女の様子に、僕は耐えかねて手を伸ばしていた。 「さ、さわってほしいなんて……ない……やっ、 ん、ん、だめぇ……せんせぇ……」 「ことねちゃん、エッチな声を出してるよ……」 「それはせんせいが……あ、せんせいがするから…… ん、は、ふ、んんっ! あ、ああ……」 着物の上から彼女の太股をまさぐると、ビクンと身体が跳ね上がった。 下半身に触れられることは初めてではないが、慣れていない反応が興奮をよんだ。 細身の足をなで上げながら、ゆっくり股間部に指が到達する。 「あ、あ……せんせい……せんせい、 は、ふぅ、んっ、ん、あ、う、ん……」 「大丈夫……ちゃんと優しくするから」 「ん、ん、でも……ひゃ、 あ、あんっ……せんせい、だめ、ん、ん――」 下着のラインを指の腹で確認する。 直接、それを見ることはできなかったけど、艶かしく足が着物から覗くそれだけでも十分、いやらしく映った。 下半身を触る指遣いに意識を注ぎつつ、並行して乳首の愛撫も忘れない。 「はぁ、せんせい、また、あ、ん……おむねと、 いっしょに、したら……だめ、はふぅぅ……」 おっぱいを触られていたことねちゃんは、いっそう敏感になって反応を返してくれていた。 気持ち良さそうな声色、仕草に僕も嬉しくなって指遣い激しく股間をまさぐってしまう。 「あれ……? 気のせいかな…… 少し濡れてる気がするけど……」 「あ、ふ、ん、ん――あ、ん、や、 それは……せんせいが、さわったから…… ぁふ、あ、あ……」 湿り気を指摘するとことねちゃんはキュッと股を閉じて僕の手から逃れようとしていた。 「はふぅ……あ、ん、あっ、はふ…… せ、せんせい……おしっこ、 でるところばかり……だ、めぇ……」 「そう……? ことねちゃんはやっぱり、 こっちの方がいいのかな?」 そう声をかけた後、僕は大げさに乳首を咥えて、甘噛みして軽い刺激を送り込む。 「はふんっ! あ、あ、おむねまで……や、あんっ、 そんな、しないでぇ、あ、んっ、んっ……」 「いっしょに、されたら……あ、あ、ん、 やぁ、だめっ……だめに、なっちゃいますぅ……」 同時に刺激されたことねちゃんは、僕の責め苦に嬌声を上げて派手に悶えていた。 おばあちゃんの配慮もできないほど、ことねちゃんは快感に打ちひしがれて。 「はふっ……あんっ……んひぃぃ……せんせい、 ……待って、なにか……なにか、きますぅ……あ」 「前、みたいに……何か……あんっ…… ん、あ、熱いの、くる……」 強い快感が押し寄せていることねちゃんが、激しく身体を震わせていた。 僕はラストスパートと、容赦ない愛撫を続けた。 「れろ、じゅぷ……はむ……いいよ、 そのまま……気持ちよくなって」 乳首を舐め、堪能しながら下着の上から押し当てるように乱暴に割れ目を擦りあげていく。 「は、はふっ……くひん……んっ、 ん……あひ、せんせい……そんな、 あふ……あ、あ」 「そんな、したら……そんなにされたら……はふぅ、 ん……くるぅ、せんせい……だめ、だめぇえぇ」 「はううぅうぅ……んっ! あ、あ、ああ……」 情けない声を上げながら、ことねちゃんの身体が激しく痙攣する。 絶頂に支配されることねちゃんは断続的な声を上げる。 「あ、はぁ、はぁ……ん、 は、あ……せんせいのイジワル……」 慣れていない快感にことねちゃんは辛そうにして、余韻に浸るかのようにちゃぶ台に寄りかかっていた。 「ふふ、こっちを触って欲しいのかな……?」 そう声をかけながら、僕はことねちゃんの股間に手を伸ばすのだった。 普段見ないことねちゃんの着物姿の色香に当てられて本当は触りたい、と言えるはずもなかった。 「あん、せんせい……そこ、ん、はふぅ、 ンンン……そこはダメですぅ……」 ことねちゃんは恥ずかしそうに股間を内にたたんで、僕の指を拒む。 それでも、着物の上からまさぐり、割れ目に指が到達すると、力は抜けて身を預けてくれるのだった。 「ことねちゃんはお利口だね、 ご褒美に、たくさん触ってあげるからね?」 「は、あうぅ……あ、あんまりはげしくは…、 おねがい、します……」 恥ずかしさに声を震わせることねちゃんの様子に、それを約束するのは難しかった。 妖艶に映えることねちゃんの格好は、男の欲望を滾らせるには十分だった。 「あれ……? まだ始めたばかりだけど、もう……?」 「そんな……ことない、です…… せ、せんせいが、いろいろするから……」 「いろいろっていうのは……」 「そ、その……からだをさわったり…… ち、ちゅーするから……」 「でも、お、おもらしじゃない…です。 ……せんせいにさわられると……」 素直に身体の異変を話すことねちゃんは顔が真っ赤だ。 今にも抱きしめてあげたくなる衝動をぐっと堪えて、僕は彼女にキスをする。 「は……ん、せんせい……ん、はむっ……ん」 思ったよりも短いキスにことねちゃんは少し名残惜しそうにしていた。 そんな彼女の表情に、僕のサディスティックな一面が露わになっていく。 「今はこっち……ね?」 そう言って、ことねちゃんの股間を激しくまさぐる。 「あ、はぁ……せんせい……はふぅ、ん、んっ、 やぁ、そんなしたら……ん、ん、はうぅぅ……」 気持ち良さそうに鳴くことねちゃんに、僕もオスとしてどんどんエンジンがかかっていく。 下着の上からこねるようにして割れ目を探す。 「はひっ、ん、ん……せんせぇ…… それ、それだけは、はう、んんんん……」 「先生でもダメ……?」 真剣にことねちゃんを見上げる中で、僕は問う。 すると、ことねちゃんは少し考えた後、ふるふると首を横に振った。 「……い、いい……せんせいなら……いいです……」 「うん、ありがとう……」 気持ちを伝え合ったからだろうか。ことねちゃんは恥ずかしいはずなのに僕を受け入れてくれていた。 健気で純粋なことねちゃんを、より激しく求めてしまっていた。 執拗に触っていると感じてくる湿り気。 「はう、ん……せんせい……あ、ん、 あんまりさわっちゃだめ……です」 「ここまできたらそうはいかないよ……」 僕も簡単には収まりが利かないところまできていた。 指の腹を彼女の割れ目に押し当て、小さな女性器を執拗に責め続けた。 「は、ん……せんせい……あ、ん……あん、 ふぅうぅ……はぁ……せんせぇ……」 断続的な声をあげて、どんどん気持ち良さそうな声が上がる。 しっかり感じているのが触る秘部の熱と、ことねちゃんの様子から分かる。 もっと、可愛がってあげたい。イかせてあげたい。 そう思っていた。 「はぁ、はぁ……せんせい、 もう、もう……だめぇ……」 「ん……もう、イキそう……?」 もっと堪能できるかと思っていた矢先、ことねちゃんが音を上げていた。 絶頂にしては早すぎると思ったのだが、やはり少し様子が違っていた。 「はふ、ん……せんせい……あ、あ、もう、 もう……からだ、熱くて……」 ことねちゃんは立っているのも辛そうに、僕に寄りかかりながらちゃぶ台に突っ伏していた。 「ごめんなさい、少し、つかれちゃった……はぁ」 ことねちゃんは申し訳なさそうにしながら、乱れた呼吸を整える。 僕もやりすぎてしまった。と、思うと同時に、焦って先走っていたことを反省する。 ことねちゃんは緊張と恥ずかしさで身体が萎縮して、いつもより疲労を感じていたのだろう。 少しの反省を抱きながら、僕はことねちゃんを解放する。 「だいじょうぶ……あ……」 いまだ息を乱すことねちゃんを気遣い声をかけた。 が、目の前に飛び込んできたのはことねちゃんの顔。ではなく、彼女のお尻だった。 ちゃぶ台に突っ伏して、お尻を突き出すような格好を晒す様子は、まるで僕を誘っているかのようでもあった。 着物の下から覗く太股は、さっきまでの行為によって少し汗で湿っている。 「ことねちゃん……僕も、いいかな……」 「え……せんせいも……あ……」 僕は、言い終わるよりも先に、今にも爆発しそうにいきり立ったペニスをズボンから露出させていた。 こちらに振り向くことねちゃんはそれに気づき、反応に困っていた。 しかし、今まで積み重ねてきた行為もあって、なんとなしに彼女は気づいていた。 「せんせいの、前みたいに苦しそうです……」 「そう、だから、この前みたいに出して欲しいんだ」 「わたしが……うん、いいよ。少しまって……?」 つんのめった格好のことねちゃんは疲労も相まって、すぐには身体を動かせそうになかった。 僕のために奉仕してくれようとする彼女に感動しつつも、僕は我慢の限界だった。 「だ、だいじょうぶ…… ことねちゃんはそのままでいいから……」 「え……でも、あ、ん、ひゃっ……ん、ん――」 乱れた着物の裾を一気にたくし上げ、お尻を露出させると、かわいい柄の入った下着が飛び込んでくる。 そんなことねちゃんのお尻にペニスをあてがい、ゆっくりと腰を動かしていく。 「え、え、せ、せんせい…… そ、そこ……あ、え……ん、ん、そんな……」 「パンツ、汚れちゃうかもしれないけど ……ごめんね?」 高まっていた興奮に相まっている中で、ことねちゃんのかわいい下着を前にして我慢なんてできるはずがなかった。 戸惑うことねちゃんに悪いとは思いつつも、僕は刺激を求めるように裏筋を彼女のお尻にこすりつける。 「は、う……ん、せんせい……こ、こんな……あ、 ん、これで、いいんですか……?」 「うん、すごく、気持ちいいよ……」 「ん、そうなんだ……でも、 なんだかくすぐったい……ん、ん――」 性器をこすり付けられて、反応に困ることねちゃんの頬は赤かった。 もっと直接的に奉仕をしたそうなことねちゃんだけど、こうして後ろから眺める彼女の反応も悪くなかった。 「はあ……あ、ん、ん……せんせいは、 気持ちいいですか?」 「うん……パンツの感じが擦れて、 気持ちいいよ……」 感じているのか怪訝そうに尋ねてきたことねちゃんに、僕は正直に気持ちを伝えるのだった。 僕の気持ちを知ってか、ことねちゃんも少しは安心して顔をほころばせる。 「えへへ、よかったです……は、ん、 わたしも……熱いの、分かります…」 お尻の割れ目に肉棒を沿わせる刺激に、ことねちゃんもかすかに熱を感じ取っていた。 「うん……僕も分かるよ、 ことねちゃんのお尻も温かいし、 エッチな形も大好きだよ」 「は、あう……え、えっちじゃありません…… ふ、ふつうだと……ん、あ、は、あ……」 卑猥な単語にことねちゃんは敏感に反応して、顔を真っ赤にして反応を返す。 好きな子を苛める男の子になって、ことねちゃんに悪さをしてしまいたくなっていた。 「ふふ……でも僕は、エッチなことねちゃんも 大好きだけどね……」 「あ、う、う、うぅ……せ、せんせぇ……」 今、こうして行っていることがエッチなのだが、ことねちゃんには分からないだろう。 可愛いお尻を撫でながら、愛でながら、僕は少しずつ腰使いの速度を上げていく。 「あ、は、あう……ん、擦れてる……ん、 あ、はぁ……ん、ん……」 「ことねちゃんも気持ちいいのかな……? さっきよりも濡れてきてるよ」 「あ、う、ん……分かりま、せん…… せんせいがするから、は、あ……ん――」 割れ目は先ほどの愛撫とあわせて、下着はより派手にシミを作っていた。 触りたくなる衝動を抑えて、お尻をいやらしく撫で回しながら腰を動かす。 下着越しでも柔らかさ、お肉の弾力さははっきりと伝わってきた。 少し細めで華奢な肉つきに、挿入したい欲望をぐっと堪えて、お尻で扱くことで我慢する。 「気持ち、いいのかな……あ、ん、 せんせいが、するとき、声、でてしまいます……」 少しずつ快感を知ることねちゃんがそれを受け入れつつあった。 感じていることを受け止めようとしながら、何かそれがいけないこととして拒絶する。 背徳な感情をちらつかせて、喘ぎ声はすでにメスのそれとなっていることに本人は気づいてなかった。 「それは良かった…… もっと、ことねちゃんの声を聞かせて欲しいな」 「う、ん、ん、でも――恥ずかしいです……」 ことねちゃんも、漏れる声がいやらしいことであることは分からないなりに認識はしているようだった。 「ひゃっ……せんせい……だ、め、 はげしくするの、や、あ、ん――ん、ん、ん……」 ことねちゃんの新たな一面を引き出すかのように、抽送を繰り返しては意地悪く言葉を選ぶ。 丸見えの下着の一部分は濡れそぼってて、シミはどんどん広がっていた。 挿入したい衝動に駆られるが、最後の一線だけは僕が許さなかった。 が、僕も男の子。もっと違った形で刺激が欲しかった。 「(下着越しじゃなくて、もっと直接……)」 ハッと気づいた僕は、その時にはすぐに実行に移していた。 「せんせい……ん、ひゃっ……せ、せんせい、 その中は……あ、あ、ああ……」 ことねちゃんの下着の中にペニスをもぐりこませて、ぴたりとお尻で扱いてもらう。 下着の締め付けと、肌と下着の生地の感触は先ほどとはまた別の刺激だった。 「これは……さっきと全然違う」 「はぁ、ん――当たってます……ひゃっ、 あんっ、ん、ん、ん……」 「ことねちゃんも分かる……? どんな感じかな?」 「はぁ、あ、ん、ん――えっと、お尻に擦れてる…… びくびくって、してて……熱い……です」 頬を赤く染めることねちゃんは、お尻から伝わる肉棒の熱を口にしてくれていた。 下着独特の収縮する素材がペニスにまとわりついて、程よい刺激となって襲い掛かっていた。 「はぁ、ん、ん……僕も、すごい気持ちいいよ……」 いきり立ったペニスの侵入のせいで、醜く歪んでしまったかわいいパンツの柄。 それと反するようにことねちゃんのお尻は汗と愛液でヌラヌラと妖しく光っている。 そんなお尻の割れ目を往復するたび、ニュルニュルとエッチな音を出しながら、僕のペニスに得も言えぬ刺激を与えていた。 「こ、ことねちゃんの中に、入ってるみたい……」 「わ、わたしの中……? あ、はうぅ……せんせいが中に…… ん、は、あ、ああ……」 いかがわしい妄想を膨らませた様子のことねちゃんは、より嬌声を上げるようになっていた。 今となっては、家の中に藤堂さんがいることも忘れて、僕はことねちゃんを貪っていた。 ぷりぷりとしたお尻を撫でさすり、抽送を繰り返す腰使いはどんどん速くなっていった。 「あ、ん、ん――ひゃ、あ、そんな、 あ、ん、おしたら、だめ、ん、 パンツが……ひゃっ、あああ……」 「え? あ、ことねちゃんも、もしかして……」 僕が腰を動かして、肉棒をお尻に擦りつける動きに、被さっている下着も伸び縮みを繰り返していた。 そうした動きに、下着がヘンに引っ張られて、幸か不幸かことねちゃんの割れ目を擦る格好となっていた。 「ん、あ、せんせいが、動いたらぁ…… わたしも、こすれて……あ、ん、あんっ、 ん、ん、は、ああ……」 「せ、せんせぇ……ほんとうに、だめぇ…… また、熱いの、きます……あ、あ……だめぇ……」 下腹部で熱いものを感じることねちゃんは、絶頂が近いことを教えてくれる。 「う、ん――僕も……僕も、もう、 すぐそこまできてて……だから、一緒に……」 「ん、は、あ、あ、う、うん……はやく、 ……あ、や、あ……熱い、ん、ん、んんん!」 僕もまた、溜まりに溜まった欲望をひりだすかのように、ピストンの速度を増していった。 断続的に声を上げることねちゃんは、がくがくと身体を震わせて、絶頂が近づいていた。 「あ、う、んっ、んっ……せんせい……は、あ、 ん、もう、もう……ん、う、あ、あ、あぁぁぁ…」 「んんんんっ! あんっ、あ、あ、あああああ……」 「う、ん! んっ、ンンン……ううう……」 ことねちゃんが声をあげて絶頂に達するそれから少し遅れて僕も白濁液をぶちまける。 ことねちゃんの下着の中に構わず注ぎ込み、あまりの量に下着の隙間から垂れ流れていた。 「あ、あ……ん、せんせいも、 すごい、出てます……は、あ……ん、 おしりがあつ、い……あ、はぁあ……ん」 恍惚とした表情、今にも意識を失いそうなほど消え入りそうな声色。 そんな中でも、彼女は激しく身体を震わせていた。 「はあ……はあ……ことねちゃん、 とっても気持ちよかったよ」 「本当……? ん、ん――よかったぁ……」 余韻に浸ることねちゃんは、ちゃぶ台に身体を預ける中、満足げな顔を浮かべていた。 しばらく余韻に浸っていた僕たちだが、すぐに事の後始末に追われるのだった。 ことねちゃんは汚れた下着を履き替え、どうしたらいいか分からず、ちょこんと座っていた。 「え、えっと……ありがとう……」 本来の目的であった家庭訪問。そして勉強を教えるという2つを達成。それまではよかった。 その後の、流されるかのような淫らな行為に、僕はぐったり肩を落とすほかなかった。 「(最近、意志が弱くなってきたのか…)」 女性に対して――いや、もっと言えば女の子に対して。 複雑な自分の変化に頭を抱えているところに、ちょうどいいタイミングで藤堂さんが部屋に入ってきた。 「失礼しますよ。勉強の方はどうだい?」 「あ、うん、いまおわりました……ね、せんせい?」 「え、あ、うん。ちゃんと理解もできているので 大丈夫ですよ?」 ……ニオイとか、残っていないだろうか。 「それはよかった。 ちょうど雨も止んだみたいで……」 言われて初めて気づく。いつ止んだのかも分からないほど、僕はことねちゃんに意識を向けていたのかもしれない。 「そ、そうですか。それじゃあ、僕はこれで……」 「あ、せんせい、服」 逃げるように出て行こうするが、ことねちゃんの指摘によって、僕は自分の服が借り物であることを思い出す。 「あ、そうだそうだ。乾かしてた服は……あ……」 シャツを触ってみたはいいが、まだ生乾きだった。 着れないこともないが、正直気持ち悪いだろう。 「あとは帰るだけかえ?」 「え、あ、えっと……まあ」 一応、最後のえみちゃんが残っていたが、彼女は家に帰りさえすればいつでもできる。 つい生返事をしたところで、藤堂さんが提案する。 「服はもうしばらくかかるやろうし、 せっかくやから お風呂にでも入ってきたらどうかい?」 「お風呂……?」 「ええ。 先生も濡れて来たことですし、 2人とも湿気で気持ち悪かろう」 「せんせい、おふろ、いきますか?」 ことねちゃんもまだ離れたくないのか、少し甘えた様子で接してくる。 「それじゃ……お借りします」 「ん? ウチはまだお風呂は焚いとらんよ。 銭湯が近くにあるから行ってきんさい」 「へ……」 あれよあれよと話は進み、まさか銭湯に行かされるはめになるとは思わなかった。 「(誰か、見知った人に見られなければいいけど)」 ……いや、深く考えすぎだろうか。 しかし、一人の生徒を特別扱いしているようで、よからぬ発想を持つ人はいてもおかしくない。 何より、僕はよからぬことをしてしまっているのだから。 「(お願いだから誰にも見つかりませんように) 「あ、あれ…?」 「どうしたの?」 歩いて数十分、急に不安そうな声を上げることねちゃん。 「タオル、忘れてた……」 足を止めて一生懸命袋をあさってもタオルは出てこないようだ。 「じゃあ、こっちのタオルを返すよ」 「銭湯にいけば貸し出しもしてるし、 なんなら買えばいいから、僕は大丈夫だよ」 今から取りに帰るのもまた時間が掛かってしまうし、バスタオルはことねちゃんに貸すことにしよう。 僕はフェイスタオルでもなんとかなるだろう。 「着きました」 丁度ことねちゃんの自宅がある山を降りたところに、それはあった。 都会で暮らしていたときは自分の家に風呂場もあったので、銭湯自体もかなり久しぶりだ。 「……じゃ、また後でだね」 短い別れをかわし、暖簾をくぐろうとしたとき、くっと服の裾を引っ張られる。 振り向くと、少し俯いたままのことねちゃんの姿。表情が伺えないが何やら待っている様子。 「(あぁ……そうだった)」 どうしよう バスタオルを渡す 一緒に入るか誘ってみる 「そっか…ごめんね? 僕はこっちの小さいタオルで大丈夫だから」 「あ……え、えと…ありがとう、ございます」 少し腑に落ちない様子でバスタオルを受け取ることねちゃん。 「? ……どうしたの? 他にもなにか忘れちゃった?」 「う、ううん。 だいじょうぶです。 えと、その……」 なんとも煮え切らない様子のことねちゃん。 もしかして―― 待ち合わせ時間だね? その…一緒に入る? 「あぁ……待ち合わせ時間だね?」 そうか、バラバラに入るのであれば、出てくる時間を決めておかなければ、待ちぼうけになってしまう。 「……そうだね。じゃあ4時半でどうかな?」 腕時計に目を落としながら、ゆっくりできる時間を逆算して伝える。 「は、はい……分かりました。 あの、タオルが必要になったらいってください」 「後でせんせいのところに持っていきます」 やはり申し訳ないと思っていたのか、少しでも役に立とうと健気なことねちゃん。 「はは、そうだね。 じゃあ、のぼせないように気をつけるんだよ?」 正直言えばことねちゃんとお風呂に入るのもいいかと思ったが、中がどうなっているのか分からない。 ここは心を鬼にして――。 「え……と、 その、一緒に入るかい?」 「え!? え、えと……その」 さすがにこの提案は無理があっただろう。今までにないくらいに動揺した様子のことねちゃん。 「ご、ごめん……冗談だよ、冗談。 一緒に入ればタオルも一緒に使えばいいから……」 「さすがに男湯は恥ずかしいよね……」 ことねちゃんほどスリムな体型であれば、男の子だと言い張れば堂々と行けそうな気もするが、さすがに本人を目の前にそんな事はいえない。 「……ぃ……ます……」 消え入る様な声で何かをつぶやいたことねちゃん。 「……え?」 「……よ、よろしく…おねがいします……!」 まさか冗談のつもりだったが、やけに力んだ答えが帰ってきた。 「(もしかして、ことねちゃんも  誘われるのを待っていたのだろうか……?)」 都合のいい考えが頭をよぎるが、結果としてことねちゃんも喜んでいるようでなによりだ。 「……じゃあ、入ろうか…?」 お互い緊張しているのか、少しぎこちない距離感で男湯の暖簾をくぐっていく。 「…………んしょ……」 僕はまだしも、年頃のことねちゃんにとってはかなりの冒険だろう。 周りを気にしながら服を脱いでいくことねちゃんに、再び下半身が熱くなるのを感じる。 「(お、落ち着け……ここは公共の場だぞ…!)」 本来であればこのフェイスタオルはことねちゃんに貸すべきなのだろうが、下を隠していないとあぶなそうだった。 そんな僕の状態を知ってか知らずか、隠すもののないことねちゃんは、脱ぎ終わるとそそくさと僕の後ろに隠れてしまう。 「………せ、せんせい、じゅんびできました…」 「う、うん……じゃあ、行こうか」 小走りでペタペタと足音を鳴らしていることねちゃんの気配を後ろに感じつつ、銭湯のドアをくぐった。 丁度中途半端な時間ともあって、人も少なく、常連さんだろうか、年配の方が数人いる程度だった。 正直、今になって気づいたが、クラスの子でもいたらどうしようかと、今更になって変な汗が出てくる。 「せ、せんせい……? まずはからだをながしてから……」 「え? あ、あぁ……そうだったね。 みんなで入るお風呂だから綺麗に使わないとね」 動きが止まっていたのか、ことねちゃんの助言で現実世界へと引き戻される。 「は、はやくすわって、ください……」 横で恥ずかしそうにきょろきょろしながら、身を隠せる場所を探しているようだ。 「ふふ……ごめんごめん」 そんなかわいい様子のことねちゃんを横目に湯船に近い一番奥の場所を目指す。 「……おや?」 一瞬誰に声をかけられたのかわからず、思わず周りをきょろきょろとしてしまう。 「あんた……藤堂さんとこのお孫さんじゃろ?」 迂闊だった。 クラスの子だけに気を取られていたが、家族関係までは把握し切れていなかった。 「こ、こんにちは…… お知り合いですか?」 ロボットのようにギクシャクしながら振り返り、できるだけ平静を装いご老人に対応する。 「おぉ、おぉ。 こーんな小さい頃から知っとるわ」 手で当時の身長を表しているのだろうが、過度に表現しているため、かなり小さくなっている。 「こ、こんにちは……」 「こんにちは。 しばらく見ない内に大きくなったのぅ」 「そ…そうですか……? ありがとう、ございます……」 「うんうん……ところで、そちらの方は?」 「あ、はじめまして。瀬田と申します。 ここの学校でことねちゃんの担任を……」 「へぇ! あんたかい! 都会から来たかっこいい先生っていうのは?」 自己紹介が終わる前にピンときたのか、おじいさんが突然声をあげる。 「か、かっこいい……ですか?」 「あれ? そん子が言っておったって 藤堂さんが……」 そう話を振られ、おじいさんと一緒にことねちゃんを見ると、顔を真っ赤にして後ろに隠れてしまう。 「……そうだったんですね。 ありがとう、ことねちゃん」 そう言って後ろに隠れることねちゃんの頭を軽くなでてあげる。 もう少し気の利いた言葉をかけてあげればよかったんだろうけど、緊張と恥ずかしさでこれが精一杯だった。 「まぁ、ゆっくりして行きんさい」 まるで自分の家の風呂のようにそう言って、風呂場を出ていく。 「……ふぅ。 びっくりした」 「……わたしも」 そう言って二人顔を見合わせ、笑ってしまう。 「それじゃ、行こうか?」 「うん」 風呂椅子に並んで腰かけ、桶からお湯をくみ体を流していく。 「……あちちっ」 「大丈夫? おじいちゃんたちは 熱いお風呂が好きだからね」 「そうなんですね。 だからいつもおうちのお風呂も……」 「もしかしたらね」 最初に比べれば少し緊張はなくなったものの、やっぱり恥ずかしいのか、時折、きょろきょろと辺りを見まわしている。 「みんな顔見知りだから逆に安心かもね」 「わ、わたしは……恥ずかしい、です」 「ふふ、そっか。 じゃあ早くお風呂に浸かろうか」 湯船に入ってしまえば体の大半がお湯で隠れてしまうので、ことねちゃんも安心できるだろう。 「あ。滑るから足元に気をつけてね」 「は、はい……!」 少しヨタヨタしながら一生懸命後ろをついてくることねちゃん。 「……っ! ……ぁぁぁ……!」 久し振りの大浴場ということもあり、ついついおっさんみたいな声を出してしまう。 「せんせい、おとうさんみたい……ふふ」 まだ温度の確認をしているのか、湯船の外で待機していることねちゃんから、情けない指摘を受けてしまう。 「お父さんって…… よく一緒に入ってるの?」 「ううん、さいきんはよる遅いから、 ひとりではいってます……」 少しだけさびしそうなことねちゃんの様子に、何かしてあげられないかと考える。 「……うん、お父さんか。じゃあ――」 そういって、ことねちゃんを抱えるようにして、一緒に湯船に浸かる。 「せ…せんせい……? ふ、ぅぅぅ……っ!」 突然の行動に恥ずかしがりながらも、必死にお湯の熱さに耐えることねちゃん。 もう顔が真っ赤なのは、我慢したせいなのかはずかしいせいなのかわからない。 「はふぅぅぅぅ……」 少し慣れたのか深い溜息のように、深呼吸することねちゃん。 「まだ、ちょっと熱かったかな?」 「ううん。 だいじょうぶ、です……それよりも」 「……ん?」 後ろから抱きしめたような格好は、きっと親子だったら自然なのだろう。 しかし、身を預けていいのか不安そうに少ししゃがんだような格好で僕の腕の中で小さくなっている。 「これなら後ろから見えないから大丈夫でしょ?」 「そ、そうですけど……」 「お父さんとこうして入ったりしなかった?」 「ん〜……小さいころはあったかもしれません」 きっと親御さんも成長していくことねちゃんに気を使ってもう少し距離を置いていたのかもしれない。 「そっか……でもちょっと懐かしい?」 「ふふ……はずかしいですけど、 少しおちつく……かな?」 「そっか、よかった……」 客は少ないとは言ってもやはり異性。ことねちゃんは終始恥ずかしそうに俯いたままだった。 そうして、僕の腕をぎゅっと掴んで離さなかった。 「(可愛いなあ……)」 心のそこからそう思うと同時に、ふと視線をおとすとお湯のせいもあってか、薄ピンクに染まった細い首筋。 「そんな縮こまってたらもったいないよ、 足を伸ばしてリラックスしたらどう?」 「い、いい……わたしは、 これでもき、気持ちいいです……ん、ん」 他愛もない会話をしつつも、頭の中はすでにことねちゃんのことで頭が一杯だった――。 「……ひゃっ、あんっ、せ、せんせい……?」 「しー……気づかれちゃうよ?」 ことねちゃんのない胸に手を伸ばして、手の平でこねるように愛撫する。 乳房と呼べる脂肪はほとんどなかったが、それでも薄い胸板には、かすかな柔らかさを感じ取ることができた。 お風呂の中だからだろうか。普段感じられない柔らかさに、僕は優しくその厚みを味わう。 「あ、ひゃっ……こんなところで、 だめ……だよ……はふぅ、ん、ん――」 「ほら、あの時みたいに、こうして…… リラックスしてごらん?」 「はう、んっ、ん……そんな、 あ、あ……うぅ、せんせいのいじわるぅ…… あ、はぁ、はぁ……」 僕の手から逃れようと、なお身体を縮めようとするが、それを許さなかった。 時おり、助けを求めるように困った顔を僕に向けてくることねちゃん。 その表情が逆に僕を昂ぶらせる。 「は、ふ、あ……ん、ん――ふぅ、 指が、ん、ん……ふぁっ、ん、ん ――せんせぇ……っ」 そんな彼女に、『大丈夫だよ』と優しく微笑むが、その裏で、指遣いは執拗に胸元を愛撫するのだった。 「ふふ……お風呂、気持ちいいね」 怪しまれないように、適当な会話。 「あ、あ……は、はぃ、きもち、いい…… あ、あ、ん、せんせい……わたし、もう……」 ぽーっと熱っぽい顔をして、ことねちゃんは上がりたそうに悩ましい声をあげている。 「ちゃんと肩まで浸かってないと、湯冷めしちゃうよ」 「あと10数えたら上がろうか」 「あ、は、はい……ん、い、いーち……にー…… さ、さーん……」 真面目にことねちゃんが数を数え始めるが、僕としてはもっとことねちゃんの身体を味わっていたい。 伸ばした指は乳房だけに留まらず、乳首を少し摘んで、指の先でこねくり回す。 「ひゃっ! あん、ん、ん! んんん!」 少し熱めのお湯で敏感になっているのか、すでに痛々しいほど充血した乳首は、予想よりも大きな刺激がことねちゃんを襲う。 幸いお客さんも湯に浸かってゆっくりしているのか、聞こえていない様子でお風呂を満喫していた。 「あーあ、途中で終わっちゃったから、 また1からだね」 「そんな……せんせいが、 いきなりさわるからぁ……は、ん……ッ!」 また別の刺激に思わず声を上げそうになることねちゃん。 僕自身、知らず知らずのうちに勃起してしまっていたのか、ことねちゃんの股からペニスが顔を覗かせている。 「……なんだか生えてきたみたいだね?」 サオでゆっくりとスジを前後しつつ、少し意地悪なトーンで耳元で囁くと、さらに恥ずかしそうに俯いてしまう。 「あ、は、ん――こ、これは…… せんせい、の……んぅ、です……」 口ではそういいつつも、しっかりと感じるヌルヌルとした粘液の感触。 僕自身への刺激は少ないものの、ことねちゃんの困った顔が見たくて、前後運動を続けてしまう。 「あ、あ、はあ、ん――ん、ひゃっ……あん、 せんせい、あ、はぁ、ん、ん……ひゃ」 「ん、や……こえ、が……あ、んん……! はぅ、ん、あ、あ――」 恥ずかしながらも段々と声を上げていくことねちゃん。 「……あっちぃーーッ!」 突然響く男の子の声にびくんと身体を強張らせることねちゃん。 どうやら新しく親子で入ってきたのだろう。男の子がはしゃいだ様子で飛び込んできた。 「……せっ、せんせい……!」 「じっとしてれば大丈夫だよ。 ほら、他の家族に見習って……」 「で……でも――」 大人や年配の方であれば我慢できたのだろう。同い年くらいの男の子の気配にさらに身を小さくする。 「ほら、もっとくっついて……」 隠すようにさらに身を寄せる。 「あ、んん……せんせぇ……」 少しホッとしたのか甘えたような声に、背中がゾクゾクとしてしまう。 少し緊張して衰えを見せた僕の下半身に、再び血が集まってくる。 「はぅ……ん、あ、あ…… ど、どうしよう……」 何やらモゾモゾと僕の腕の中で動いていることねちゃん。 「――んッ! こ、ことねちゃん……!?」 小さな手で何とか僕のイチモツを隠そうと、亀頭部を握ってきたらしい。 突然の刺激にうかつにも僕が声を上げてしまう。 「おおき、すぎて……あ、ん、 かくれませ、ん……」 まるで自分の身体のように錯覚しているのか、恥ずかしい部分を必死に隠そうとすることねちゃん。 別にそういった方向に性癖があるわけではないが、華奢なことねちゃんの太股の間から生えた、グロテスクな男性器。 そしてそれを自分のモノのように必死に隠そうとすることねちゃんの姿に、全身の毛が逆立つような興奮を覚える。 「く、はぁ……」 しっかりと握っているわけではなく、隠そうと手を添えているため、水に揺られ時々あたる手の平の感触。 それが逆に僕の股間に強烈な刺激を与える。 「こら! お前ちゃんと身体流したんか!?」 「な、ながしたし……!」 「嘘つけ! はよ出らんか。 ……いや、すんません。ウチの息子が…」 「あ……あ、いえ、 げ、元気なことはいいことですから気にせず……」 ズキズキと感じる股間の快感に耐えながら何とかその場をしのぎ切る。 「……ふぅ、さすがに危なかったね。 ことねちゃん? 大丈夫」 「……は、はい。 ん、は、ふぅ……ぅん」 危機が去って少し落ち着いた様子のことねちゃん。 アクシデント続きで、熱も冷めてしまったかと思っていたが、潤んだような目で見つめ返してくる。 「……続き、いいかな?」 緊張していたのは何処へやら、もう待ちきれないといった様子で、こくんと小さく頷く。 「はふ……あ、あ、ん――ひゃっ、んん……!」 あの親子が戻ってくるのに、そんなに時間は掛からない。 少し乱暴になりつつも、ことねちゃんのぷっくりと充血した乳首を、くにくにとこねるように愛撫する。 「先っぽ、固くなってきたね……僕と一緒だ……」 「ん、や、あ……エッチなこと、いわないで…… あ、は、あんっ、ん、んんん……」 直接的な愛撫にあわせ、耳からもことねちゃんを責める。 教員としての仮面がどんどんはがれているのを感じつつ、しかし、もう歯止めが利かなくなっていた。 「あ、ん、せんせっぇ…… あ、あんまりさわっちゃだ、め、 はずかしいから……ひゃ、ん、ん……」 「こんなに胸は小さいのに……ここは?」 「ひゃ! また、さきっぽ……そんな、 されたら……あ、また、さっきのくる、 ……ビクビクッて、なります……」 指先で乳首を愛撫しながらも、熱いお湯の中では執拗に割れ目を愛撫するペニス。 時々、力んでしまい亀頭をつかんでくる感触に身もだえしながら、小さな手の中へピストンを繰り返す。 「うっ……ふぅ……! ことねちゃんの……ぅ…手も、気持ちいいよ?」 率直な感想を耳元で囁かれ、うっとりとした様子のことねちゃん。 「んんッ! ……せ、せんせいのも……ぁん、 こんなに、おっきく……なって、ます……ぅ」 白い肌で、柔らかい線。キレイな股間は男を欲情させるには十分過ぎた。 アソコを触りたくなる衝動に駆られつつも、今、ここで触ってしまったら後戻りはできなくなってしまうだろう。 「ぁ、くぅん! はぅ、はぁ、ぁ……! ん、うう……!」 規則的な下半身の動きに合わせ、リズミカルな声を上げることねちゃん。 「は、ん、ん――あ、や、せんせい……もう、 もう……きちゃいます、あ、あ……せんせぇ……」 限界が近いのか身体をプルプルと震わせ、訴えかけてくる。 「うん、ん……僕も、もう……イキそう、 だから……さっきみたいに、一緒に……」 お風呂の中で出してはいけない。と、一瞬、よぎるものの、それもほんの一瞬。 尿道が激しく脈打つのを感じながら、僕は―― 「あ、あ、ん、くうぅ……ん、もう、だめぇ、 あ、あ、んんぅぅぅぅぅん……ッ!」 「……ひゃっ、あ、あ、あ、ああ……ん、 はぁ、はぁ……」 「ん、ん――うぅぅ……」 激しく痙攣することねちゃんにあわせ、僕も大量の精液を吐き出していた。 こぼれないように丸めたことねちゃんの手の中の熱を感じつつ、指の隙間から白濁液が揺らいでいる。 「はぁ、はぁ……ん、ん――せんせいの、 白いのが……あ、あ」 ことねちゃんも悪いと思ったのか、何とか手で掬おうと奮闘している。 同時にことねちゃんの股間からは、源泉湯とは思えない液体が確かに浮かび、湯船に溶けていた。 疲れてしまったのか、しばらく僕にすがるようにして、腕の中でうっとりした様子のことねちゃん。 結局取り逃がしてしまって大海原を泳ぐ精液を恍惚とした瞳の中、眺めていた。 「…………」 「あれも、すぐに処理しなきゃね……」 周りに気づかれないように桶で掬い出し、再びしばし余韻に浸る僕たち。 そうして、お風呂を存分に満喫した僕たちは、銭湯をあとにしたのだった。 やはりここは男と女。入った先に何が起こるとも限らないと考え、別々の暖簾をくぐる。 「……ふっ、あぁぁぁぁああ…… いや、やっぱり気持ちいいな」 今の家でも風呂を借りて入ってはいるものの、ここまで広くゆっくりできると、なんだか心まで癒されてくる。 「それにしても……」 時間が時間とはいえ、この閑散とした室内。 一緒に入っても問題なかったんじゃないかと、少しだけ後悔の念がよぎる。 「まぁ、何事もないのが……」 「あら〜! チエさんとこのお孫さんじゃない?」 「まぁまぁ、元気してた? なんだか久しぶりねぇ!」 どうやら近所の知り合いと会ったのだろうか。壁を隔てた向こう。女湯からやたら元気な女性の声が聞こえてくる。 ことね (0501) 無音「…………」 「あらあら、そうなの?」 「まぁ! よかったわね〜……」 ……? 恐らくことねちゃんと会話していることは分かるが、肝心のことねちゃんの声が聞こえてこない。 久しぶりの再会でかなり萎縮しているのかも知れない。 「あっら〜……今日は家庭訪問だったの?」 ことね (0502) 無音「………」 「まぁ…それは先生災難だったわねぇ〜」 「あらあら――」 「まぁまぁ――」 そんな一方的な会話を聞きながらひとしきり身体を流し終えると頃合いをみて銭湯を後にした。 雨もやんでしばらくしたため、心地よい風と澄んだ空気が心を満たしてくれる。 「……せんせい、おまたせしました」 「ん? ううん、全然待ってないよ。 今出てきたところ」 「じゃ、湯冷めする前に帰ろうか」 「……は、はい」 少し戸惑った様子を見せたが、差し出した僕の手に、目一杯の笑顔でこたえることねちゃん。 二人並んで仲良く歩きだした。 「はぁ……いいお風呂だったね」 「う、うん……」 ことねちゃんを家に送る。と、同時に、乾かしてもらっている服を取りに戻る。 さすがに乾いているだろう。 「ふふ、なんかヘンだね」 「ヘン……?」 「家庭訪問しに来たのに、 お勉強したり、お風呂に入ったり、 変な1日だったなって思ってね」 今日、1日を振り返る僕は、笑わずにはいられなかった。 「う、うん……わたしも、 いろいろせんせいにされましたけど……よかった」 「き、キスも、してもらった……から」 何度としたエッチなことよりも、ことねちゃんはキスのことに触れてきた。 僕ですらほとんど忘れていたのに。 ことねちゃんは、きっと今日のキスのことはずっと忘れないだろうな。 「そうだね、僕とことねちゃんがキスした日だね」 「今日のことも、2人だけの秘密だよ」 「ひみつ……はい! せんせいとわたしのひみつです」 のぼせていたと思っていたけど、ことねちゃんは元気いっぱい頷いて、満面の笑みを浮かべる。 そんな彼女に、僕は変にドキドキしていたのは、お風呂上りのせいだとごまかすのだった。 「いろいろとありがとうございます、 服までお借りして……」 服は無事に乾いていたようで、僕は借りていた服を着替え藤堂さんに声をかけた。 服も洗って返そうとしたのだが、藤堂さんはさっさと自分の家の洗濯籠に入れてしまった。 「なあに。いつもことねがお世話になっとるから、 これぐらいさせてもらいますよ」 優しい藤堂さんの気遣いが、嬉しくもあるが、複雑でもあった。 「それじゃ、今日はこれで失礼します。 長居してすみませんでした」 「はい、またいつでも来てください」 「ばいばい、せんせい。また明日ね」 「うん、また明日」 「遅くなっちゃったなあ」 家路に着く頃には、空は暗くなってしまっていた。 「さて、早く帰ってえみちゃんの家庭訪問だ」 ほとんど毎日のように顔を合わせている家に、家庭訪問も何もない。 帰宅してからは、えみちゃんと敦子さんに形だけの家庭訪問をさせてもらい。 怒涛の家庭訪問は終わったのだった。 家庭訪問が終わって数日後―― 梅雨明けのニュースと共にうだるような暑い日々がやってきた。 休憩時間、3人は当然という感じで僕の近くにやってきて、話をしている。 「うへぇ〜〜……。せんせー暑いよぉ……」 「だよねぇ……。溶けちゃうよぉ……」 「……はい」 夏の暑さが堪えるのか、下敷きをうちわ代わりに仰いでいる。 「まぁまぁ。もうすぐプール開きだから、 それまでの我慢だよ」 「そっかぁ…。夏はプールがあるんだぁ」 「そうだよぉ。すっごく楽しみぃ」 プールが楽しみで楽しみで仕方が無いって様子のののかちゃんとえみちゃん。 「…はぁ……」 ことねちゃんは1人、浮かない様子。ひょっとしたら、プールは好きじゃないのかも知れない。 「ことねちゃん、心配しなくてもいいよ」 「泳ぎ方とかちゃんと教えてあげるし、 みんなと一緒に楽しめるようにするからね」 「は、はい……。えへへ……」 家庭訪問前にウサギが逃げ出す騒動があって、それを一緒に解決してからは、ことねちゃんは素直に僕を頼ってくれるようになった。 「…あたしも…せんせに教えてもらいたいな」 「あれ? えみちゃん泳ぐの得意じゃなかった?」 「むうぅぅ…そうだけどぉ……」 ぷーっと不機嫌そうに頬を膨らませるえみちゃん。 「………………」 地域的に気温があまり高くないこともあってか衣替えの時期が遅く、7月に入ってようやく全員が夏服になった。 夏服だから当たり前なのだが、服装は露出が多くなっている。 都会と違って、自然というか等身大の彼女たちを表した服装に魅力を感じずにはいられない。 「ふぃ〜〜……すずしー……」 ののかちゃんがシャツの下から中をあおぎ始める。 「…わたしも……」 「のの、ことねちゃん!? ダメだよっ」 「えーー……。こうしたら涼しいんだもん。 ねっ、ことちゃん」 えみちゃんが注意するが、ののかちゃんは全く気にしていないみたい。 そういうえみちゃんだって、その……汗で…キャミソールが少し透けてしまっているし。 「………………」 少女たちの無防備な姿にドキリとしてしまい視線が泳いでしまう。 「あっ、虫が入ってきた」 窓を全開にしているからか、虫が教室に入ってきた。 都会だったら、大騒ぎになりそうだけど……。 「虫が入ってきたねぇ……」 「とりあえず、蜂じゃないみたい」 「放っておけば、勝手に出ていくんじゃない?」 田舎で育ったこともあってか、慣れてしまっているみたいで落ち着いている。 そうこうしているうちに休憩時間が終わる。 「はい。じゃあ、授業始めるから、 みんな席についてね」 は〜いと間延びした返事、みんな暑さで参ってきているらしい。 3人は休み時間だけでなく、放課後も僕のところに来るようになった。 えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃん――3人との距離はぐっと近づいていく。 そんな3人に教え子以上の気持ちを抱くこともあり―― 果たしてこのままでいいのか?夜、1人になると葛藤してしまう。 担任として信頼してくれるのはもちろん、こういった勉強以外の場所でも慕ってくれるのはすごく嬉しい。 しかし彼女たちと距離が近づく分だけ、もっと別の何か……。 胸の奥がちくりと痛むような、そんな感情を時々感じてしまう。 決して混ざり合うことのないふたつの感情が、僕の頭の中でぐるぐる渦を描いている。 その中心にいる僕はいったいどうすればいいのだろうか。 「…………」 結局、いくら考えても答えは出ず、もんもんとした気持ちのまま僕は一日一日を消耗していくのだろうか。 数日後―― 「今日はみんなが待ちに待ったプール開きだよ。 ちゃんと水着は持ってきたかな?」 「えへへ、当たり前だよぉ!」 「はい…。ちゃんと持って来ました」 「うん! 宿題は忘れてもこれだけは忘れない」 今日はこれから全校でプールの授業があるということで、朝から教室は沸き立っていた。 全校生徒数がそんなにいないということもあって、プールは全学年、全教員が集まって一斉に行われるらしい。 「あっ、他のクラスは移動し始めてる。 せんせ、こっちも早く行こうよ」 どうやら、小野先生のクラスはすでに朝の会が終わったようで移動し始めている。 「こらっ! 廊下は走るんじゃない! 怪我したらプールに入れないぞ」 小野先生の野太い声がここまで聞こえてくる。 「うん。じゃあ、こっちもそろそろ行こうか」 廊下に生徒たちを並ばせてから、プールに向かって移動を開始する。 一足先に着替えを済ませて生徒たちが着替え終わって出てくるのを待っている。 「………………」 そういえば、みんなの水着姿って初めてみるな。楽しみだ。 「(……楽しみって……僕は何を考えている!?)」 えみちゃんたちの水着姿を楽しみにしている自分に気づいてハッとする。 「おーし。まだプールに入ったらダメだぞ。 みんな、一列に並ぶんだ」 男子更衣室から、小野先生と男の子たちが出てくる。 みんな、プールに早く入りたくて仕方ないって様子だ。 「はい、みんなー。まずは準備体操するから ちゃんと並んでね」 続いて、女子更衣室から遥先生に連れられて女の子たちが出てくる。 「やっほー! プールだ!」 「お水気持ちよさそう」 えみちゃんとののかちゃんはプールを目の前にテンションが最高潮みたいだ。 スクール水着の鮮やかな紺色が太陽に照らされて、魅力を最大限まで引き上げている。 「(おっと、見とれている場合じゃないな)」 首から提げた笛を鳴らしてみる。 「2人共、ちゃんと並ばないとダメだよ」 「はーい! わかった!」 「…うん。えみちゃんもののかちゃんも、 ちゃんと並んでね」 こういうときって、いつもならえみちゃんが率先して止めそうだけど。 今年初めてのプールだからか、かなり舞い上がっているみたい。 少し注意した方が良さそうだ。 「…………」 それから、おどおどとした感じで水着に着替えたことねちゃんが更衣室から出てくる。 えみちゃんやののかちゃんと少し違ったデザイン。 多分、えみちゃんたちは体が大きくなったから新しいものを買い直したのだろう。 で、ことねちゃんは前に使っていたものってところか。 「(たった1年しか違わないのに、  そういうもんなんだなぁ)」 この年代の成長の早さに1人頷く。 「じゃあ、まずは隣の子とペアになってね」 遥先生が2人1組を作るように促していく。 「よし、じゃあ右から順番に――」 2人1組になると、上の学年の子たちから順番に『バディ』という掛け声が聞こえてくる。 あー、そういえばプールの授業ってこんな感じだったなぁ。 懐かしさに浸ってしまう。 「おしっ、それじゃあ準備体操を始めるぞ。 みんな、先生のやるとおりにするんだぞ」 小野先生が前に立って、準備体操をし、プールの授業が始まった。 準備体操が終わった後は、順番にプールの中に入って行く。 今日は今年初めてのプールということで授業ではなく『遊び』中心の予定だ。 泳げる子は小野先生が担当し、泳ぎが苦手な子は遥先生が担当する。 僕と教頭先生はプールサイドから監視するといった役割だ。 「(さてと、クラスの子たちの様子は――)」 ご機嫌なえみちゃん、ののかちゃんは、水が怖くないようで許可されたソフトバレーボールで遊んでいる。 「のの、くらえぇーー!」 犬かきのような格好で漂うように泳いでいるののかちゃんめがけアタックする。 ボールはぼよんと鈍い音を立て、ののかちゃんの頭にあたり、大きく弧を描いてえみちゃんの頭上を越えていく。 「あいたぁ〜…… えみちゃんいきなりひどいよぉ」 大して痛くなさそうな声をあげ、反抗の意を見せるののかちゃんだったが、反撃しようにもすでにボールは遠く。 「あはは♪ ぼよーんだって のの、ナイスヘディング」 「ないすじゃないってば〜……」 少し膨れたののかちゃんを見て楽しそうな笑顔を振りまくえみちゃんは再びボールを拾いに泳いでいく。 フォームもちゃんとしているし、えみちゃんは泳ぎが得意というのは本当だったみたいだ。 「(さてと、ことねちゃんは――)」 一方泳ぎが苦手と言っていたことねちゃんは遥先生が面倒を見ている。 「じゃあ、まずは10秒、顔をつけてみましょうか」 「……んっ……んんっ……」 あっちはまずは水に慣れることからといった感じみたいだ。 「大丈夫、怖くないからね。 先生がおてて握っているから」 怖くて顔がつけられない子もいるようで、遥先生が励ましている。 ことねちゃんは水に顔がつけられないってことはないみたいだ。 「…みんな、可愛いな」 特にウチのクラスの子が一番可愛いと親馬鹿なことを思ってしまう。 「……おっと、ちゃんと見ておかないと」 仕切り直してから、全体を見渡す。 みんな和気藹々としていて、実に楽しそうだ。 「あっ……せんせ……」 えみちゃんと目が合ったので、軽く手を振ってあげる。 嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった表情をしている。 「えへへ♪ せんせー!! こっち、こっち!」 手を大きく振りながら、僕を呼んでいる。 とはいえ、ここから動くわけにはいかないから手を振って応えるしかない。 いつもよりもテンションが高い様子に何となくだが、嫌な予感がする。 何も起こらなければいいのだが……。 ののかちゃんはマイペースでゆらゆらと浮かぶように泳ぎながら楽しんでいる。 「…大丈夫そうだけど…でも、ののかちゃんだし…」 いつスイッチが入って、何をしでかすかわからない。 一番予測ができないのはののかちゃんだろうか。 「………………」 ことねちゃんはプールサイドに掴まったまま、お風呂に浸かっているような感じだ。 3人の中では、泳げないことねちゃんが一番心配ではあるが……。 「…ことねちゃんは無茶しないだろうし…… 遥先生も近くにいるし……」 みんな心配ではあるが、ちゃんとプールを楽しめているみたいだ。 「………………」 向こう側でハイテンションではしゃいでいるえみちゃん。 ぷかぷかと浮きながら水中を漂っているののかちゃん。 ことねちゃんは泳げないなりに、プールサイドに掴まったままバタ足の練習を一生懸命している。 他の子もそうだけど、やはり、あの3人が一番気になってしまう。 誰の様子をしっかり見ておくべきか? 油断大敵なえみ 予測不能なののか 一生懸命なことね 誰の様子をしっかり見ておくべきか? 油断大敵なえみ 予測不能なののか 一生懸命なことね 3人共、バランスよく見る 「ふぅ……」 自由時間―― 僕たち教師用に設置されたパラソルの下に腰掛ける。 過ごしやすい地方とはいえ、夏だからか、それなりに日差しは強く油断したら熱中症にかかってしまいそうだ。 「………………」 先ほどのはしゃぎようからえみちゃんに対して特に注意を向けることにする。 無茶して溺れたりしなければいいが……。 「えへへ♪ せんせ、お水冷たくて気持ちいいよ」 僕が見ていることに気づいたのか。 えみちゃんが嬉しそうにブンブン右手を振り回している。 「えぇ〜い!!」 「うわっぷっ!」 「えへへぇ♪ どーだ、まいったかぁ!」 「ごほっ! ごほっ! うぅぅ、やったなぁ…。 えーーーいっ!!」 「――ンっ!? んぅぅっ…!!」 「んーーーー! は、鼻にはいったぁ……」 ののかちゃんが鼻を押さえながら、のたうち回っている。 「あっ! ごめん、のの。大丈夫?」 「えっへへへ♪ さらにお返しぃ♪」 「ひゃううぅぅっ!!」 えみちゃんとののかちゃんは楽しそうに水を掛け合って遊んでいる。 「…これぐらいなら、大丈夫か」 何か危ないことをしようとしたら、すぐにでも駆けつけようと思っていた。 浮かしていた腰を元に戻す。 あの年頃って突然予想しないことをするものだから、見ていてハラハラする。 「へーーーんしんっ! とぉーーーー!!」 誰かが飛び込んだのか、水しぶきの音が聞こえてくる。 「…はぁ。まったく、しょうがないなぁ」 ひとまず、えみちゃんから視線を外し、飛び込んだ子に注意しに行こうとすると―― すぐさま、笛の甲高い音が聞こえてくる。 「こらーーーー! 誰だ、今飛び込んだのは!?」 「ひえぇぇぇっ! おのせんせーだぁっ!?」 「おのれぇ、じゃーじかいじんめぇ……」 「誰がジャージ怪人だって? なぁ、島田?」 「くっ……ここはおれにまかせて、さきにいけぇ!」 「…っ…きみのことは忘れないっ!!」 ……………………。 他の先生もいることだし、放っておいても大丈夫そうだ。 「さてと――」 再び、えみちゃんへと注意を向ける。 「えーいっ! こちょこちょこちょーー!!」 「ひゃうっ! え、えみちゃ――そ、そこ…… ふわぁっ……ン…く、くすぐったいよぉ……」 えみちゃんがののかちゃんの胸や脇腹に手を当ててくすぐっている。 ののかちゃんの胸は同学年の子に比べて、やや膨らみがあり、思わず目で追ってしまう。 「………………」 「…せんせいはプールに入らないの?」 「……!?」 いつの間にかやってきた、ことねちゃんに声をかけられてハッとしてしまう。 「…う、うん。先生はここでみんなを見ていないと いけないからね」 なんとか取り繕う。 「えーー、瀬田先生も一緒に遊ぼうよぉ」 他の学年の女の子が声をかけてくる。 えみちゃんたちよりも、学年が上の女の子。 膨らみ始めた胸が目に飛び込んできてしまい少し気まずい。 「そうだよぉ。せっかくのプールだから みんなできょーそーしよーよ」 ことねちゃんに続いて、女の子が何人か集まって来る。 「は、はは。ごめんね」 慣れない光景に思わず戸惑ってしまう。 桜峰学園にいた頃は、自由時間は僕のことなんて構わずに遊んでいる子が大半だった。 中には僕のことを先生じゃなくて瀬田さんって呼ぶ子もいたっけ。 桜峰学園では距離感や壁のようなものが子供たちとの間にあったということを実感させられる。 「ほら、せっかくの自由時間なんだから みんなで遊んでおいでよ」 「ほーーーい♪ じゃあ、いこっ、ことねちゃん」 「…うん」 そのまま、ことねちゃんも友達と一緒にプールへと入っていく。 「…ふぅ……。さてと――」 再び、注意をえみちゃんへと向ける。 「むぅぅぅ……。せんせのえっち……」 何やらご機嫌斜めなようで、頬を膨らませている。 「どしたの? えみちゃん? お腹でも痛い?」 「ううん。だいじょうぶ。 あたしたちもことねちゃんたちのとこに行こっ」 「そだね。みんなで遊んだ方が楽しいもんね」 えみちゃんとののかちゃんは、ことねちゃんたちが遊んでいるところへと泳ぎ始める。 「……ッ!!」 いきなりえみちゃんが泳ぐのをやめる。 「おーい、えみちゃん。早くしないと 置いていっちゃうよぉ」 「あーーっ! 待ってよ、のの」 ののかちゃんに言われて、えみちゃんが泳ぎ出す。 何か泳ぎ方に違和感のようなものを感じるが……。 じっくりえみちゃんが泳ぐところを見たことないし、あんな感じで泳ぐ子なのかも知れない。 …………………………。 あれから特に目立ったこともなく、プールの授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。 「よーしっ! 今日のプールはこれで終わりだ。 みんな、プールから上がって」 小野先生の張りのある声に、子供たちが一斉に振り返る。 「えーーーー! もっとあそびたいよぉ! あと5分でいいからぁ」 「そーだよぉ! 小野先生のけちんぼ!」 「ダメなものはダメだ。さっさとプールから 上がるんだ」 子供たちは小野先生にぶーぶー言いながらもみんなプールから上がる。 「…5、6と。うん、全員いるね」 「こちらも全員います。小野先生」 「こっちも全員いるな。じゃあ、整理体操を 始めるか」 それぞれが受け持つクラスの子供たちを確認する。 自分の受け持つクラスの子が全員いるのを確認する。 誰も溺れたりしてなくて何よりだ。 「…ッ…うっ……んっ……」 えみちゃんの様子がどこかおかしい。 右足を引きずりながら歩いている。 「えみちゃん? ひょっとして足、痛いのかな?」 「えっ!? あっ、う、うん……ちょっと……」 「痛い方の足、見せてもらえるかな?」 えみちゃんをその場に座らせて、痛めている足に触れる。 「…ッ……んっ……!」 痛がっているようだが、ケガしている様子はない。石を踏んづけたりしてしまったとかではなさそうだ。 「えみちゃん、どうかしましたか?」 遥先生が心配そうな顔をして近づいてくる。 「えみちゃん? だいじょーぶ?」 「…………………」 続いて、ののかちゃんやことねちゃん、それに他の子たちも心配そうな顔をしている。 「どうやら、骨折とかねんざとかではないようだ」 集まった子たちをかき分けて、小野先生がえみちゃんの足を見てくれる。 「…ええ、僕もそう思います。 でも、念のため、保健室に連れて行こうかと」 「その方がよさそうですね」 「では、瀬田先生のクラスは俺が一緒に 見ておきますよ」 「お願いします。小野先生」 「じゃあ、えみちゃん。 おんぶしてあげるから、先生と一緒に 保健室へ行こう」 「えっ…? でも、せんせの背中、濡れちゃう…」 「それぐらい平気だよ。ちゃんとしがみついてね」 「う、うん……。え、えへへへへ」 えみちゃんは遠慮がちに僕の背中に乗ってくる。 「おっ! 橋本、顔まっかになってる」 「ひょっとして橋本、せんせーのこと好きなのか? らぶらぶなのか?」 えみちゃんをおんぶすると、クラスの男の子たちが冷やかしてくる。 「あうっ……うぅぅ……ぅぅ……」 てっきりえみちゃんのことだから何か言い返すものかと思っていたら。 顔を真っ赤にしてしまって、まごまごしているだけだ。 「…………」 ひょっとしたら、らぶらぶって言葉で僕との間にあった出来事を思い出しているのかも知れない。 迂闊なことを口走ってしまう前に止めないと。 「まぁまぁまぁ。私だってせんせーのこと 大好きだよ?」 「…だ、大好きって……ののかちゃん!?」 ののかちゃんの突然の宣言に、ことねちゃんが大きな瞳をさらに大きくさせて驚いている。 「…の、ののっ……? だ、だ、大好きって おにっ――せんせのこと!?」 えみちゃんはえみちゃんで、動転してしまったのかうっかり僕のことをお兄ちゃんって呼びそうになっているし……。 「へぇ、深海もせんせいのこと好きなんだぁ。 せんせい、もてもてだねぇ」 「せたせんせいすげぇな。もてもてだ。 さすが、とかいから来ただけある」 他の学年の男の子たちも混じって冷やかしてくる。 まずいことになった。 これは早く止めないと―― 「こらこら。お前たち、橋本は足を痛めているん だから冷やかすんじゃない」 小野先生の一声で男の子たちの冷やかしが止まる。 「では、すいませんが小野先生……」 「えぇ、ここは任せて下さい。 瀬田先生は早く保健室へ」 小野先生の言葉が非常にありがたい。 「じゃあ、みんな。小野先生の言うことを きちんと聞くんだよ?」 「…私も保健室いく。せんせー、ダメ?」 そのまま保健室へと向かおうとしたら、ののかちゃんが後を追ってくる。 えみちゃんのことがすごく心配なのだろうな。 「だいじょうぶだよ、のの。 こんなのすぐによくなるから」 一緒について来ようとしたののかちゃんをえみちゃんが止める。 「はぁい。わかったぁ」 ののかちゃんはとぼとぼとした足取りでみんなのところへと戻って行った。 「えへへへ♪ せんせの背中、大きくて 暖かいね」 えみちゃんは足を痛めているっていうのにご機嫌な様子でしっかりしがみついてくる。 2人きりだから、ちょっと甘えたところが出てきているのかな。 「……………」 密着感が強くなり、背中に感じるえみちゃんの暖かさや柔らかさをどうしても意識してしまう。 「おや? 瀬田先生、どうかしましたか?」 廊下を歩いていた教頭先生と出くわしてしまう。 「えぇ、えみちゃ――橋本さんが足を 痛めたようですので保健室へ行こうかと」 うっかりえみちゃんと名前で言いそうになって、慌てて名字で呼ぶ。 意識しすぎだろうか? 「むぅぅぅぅぅ……」 名字で呼ばれたことで、えみちゃんが不機嫌になるが、致し方ない。 「…おや? 大丈夫なのですか?」 「恐らく、足がつったのだと思います。 もし腫れてくるようでしたら、病院へ 連れて行きます」 「…それで……申し訳ありませんが……」 応急処置だけだから、それほど時間はかからないとは思うけど、僕のクラスのことをお願いした方が良さそうだ。 「わかりました。では瀬田先生のクラスは 私が代わりに見ておきましょう」 教頭先生も僕の意図をすぐにわかってくれる。 「ありがとうございます」 教頭先生は、方向を変えてプールの方へと向かってくれる。 教頭先生みたいな凛とした大人を相手にするとどうしても緊張してしまうな。 「うぅぅ……ご、ごめんね。 あたしが足、いたくなっちゃったから」 「気にしなくても大丈夫だよ。 ほら、保健室はもうすぐだから」 「…うん」 「よいしょっと――」 手のひらにすっぽりと収まる小さなお尻を抱え、ベッドの上に下ろす。 「はぁ…もうちょっとお兄ちゃんに おんぶされたかったなぁ」 素直に言うことを聞きながら、口ではそんな風に甘えた様子を見せる。 「こら、学校ではお兄ちゃんじゃなくて 先生、だろう?」 「はっ!? あぅぅ……そ、そうだったね… えへへ……」 2人きりになったということと、保健室に来たってことで油断しちゃったのだろう。 「はい、タオル。ちゃんと頭とか体を拭いてね」 保健室のベッドの上に置いてあった備え付けのタオルをえみちゃんに手渡す。 「うん。ありがと、せんせ」 いくら夏とはいえ、濡れたままだと風邪を引く恐れがある。 えみちゃんは僕の手からタオルを受け取るとゴシゴシと頭を拭き始めた。 「さてと、えみちゃん。右足、自分で動かせる?」 「…うっ……んんっ!!」 足先を動かそうとして、痛さをかばうため膝がびくりと跳ねる。 どうやら、まだ痛みが残っているみたいだ。 「…湿布は……」 湿布を探そうとして、大事なことを思い出す。 そういえば、足がつった場合いきなり湿布を貼るのはあまり良くなかったはずだ。 応急処置は軽いマッサージが望ましい。 「えみちゃん、ちょっと痛むかも知れないけど 我慢してね」 えみちゃんのふくらはぎを両手で優しく包み、軽くマッサージを開始する。 「ふわぁっ…んっ……ひうっ……ン、うぅぅっ」 「…ごめんね。ちょっと痛かったかな?」 「…だいじょうぶ。ちょっとくすぐったかった だけ、だよ」 「じゃあ、今度はもっと優しくするからね」 少し居心地悪そうに身を小さくしながら、ベッドに座るえみちゃんと、それに向かい合うように床にしゃがむ僕。 その姿がまるでガラスの靴を履かせている王子様のようで、年甲斐もなくその白く細い脚を意識してしまう。 「ンっ! んはぁ、んっ……うぅ……ッ…!」 少しくすぐったいのを我慢するような声が、僕の耳の中をくすぐる。 ――意識しちゃだめだ。 そう頭の中で繰り返し何とか昂ぶってくる感情を押し留めようとするが、喘ぎにも似た音色が僕の声をかき消していく。 学校。 保健室。 水着。 今まで何気なく見てきたものが、脳を痺れさせる薬となって僕の目に飛び込んできていた。 ――あ。 いつの間にか泳いでいた僕の目線が、ある一点で止まってしまう。 太股の間の細い道の向こうにある、薄い生地で覆われた場所。 「あうっ…うぅぅ……ぅぅ……。 せんせのえっち……」 僕の目線に気づき、顔を真っ赤にして恥ずかしがるえみちゃん。 「……そ、その……ごめんね……」 気まずさと恥ずかしさが入り交じった静かな時間―― つばを飲み込む音ですら、なんだか恥ずかしく思え、自然と呼吸が浅くなっていく。 窓の向こうから聞こえるセミの鳴き声だけが、かろうじて時間が動いていることを教えてくれていた。 「そ、そういえば今日の給食って プリンが出るらしいね」 「…う、うん…そうだね……え、えへへ……」 えみちゃんはいまだ顔を真っ赤にしてうつむいたまま僕の話を聞いていた。 大してしゃべってもいないのに、やけに喉が渇く―― 「もうすぐ夏休みだけど、えみちゃんたちは どんなことして遊ぶのかな?」 マッサージを続けながら、何とか話題を探してみる。 「え、えーっと…虫取りとかしたり…… 川で遊んだり…とか」 「そうなんだ。先生も一緒に遊べたらいいな」 「うん。ねぇ、夏休みってせんせもおやすみ?」 「先生は夏休みも学校に来ないといけないんだよ」 「えぇーー。なんで? 学校に誰もいないよ? なのに、どうして学校に行かないといけないの?」 えみちゃんが不思議そうな顔をして尋ねてくる。 僕も学校の先生って夏休みとか冬休みに何をしているのだろう?と思っていた。 実は長い休みの間、授業の研修とか次の学期に向けての資料作りとかやることが山ほどあると知ったのは教師になってからだ。 「先生たちはね、えみちゃんたちがお休みの間に お勉強するんだよ」 「へーー、そっか。せんせもお勉強しないと いけないんだ」 「はぁ……夏休みはずっとせんせといっしょだと 思ったのにな……」 抗議の声を上げたかと思うと、今度は残念そうな様子のえみちゃんの姿に、少しだけ僕の意識も帰ってくる。 目の前にはいつも教室で見てる“えみちゃん”。 「どう? えみちゃん? もう痛くない?」 「うん。せんせのおかげで痛いのなおっちゃったかも」 えみちゃんはつっていたはずの足をプランプラン遊ばせる。 僕自身医療の専門ではないが、タッチセラピーという言葉があるように、気持ちの面でも痛みがなくなったのだろう。 しゃがんだ体勢から立ち上がろうとしたとき、再びえみちゃんの足に目が留まった。 いや、正確には足の“傷”だ。 よく見ると膝や太股あたりに小さな擦り傷がいくつかある。 中にはさっき傷つけたように、赤くなったものもある。 えみちゃんみたいにいつも元気に遊んでいたら、こうなってしまうのもしょうがないが、きれいな足に痕が残ってしまうのはかわいそうだ。 「ここ、ちょっと痛そうだね。大丈夫?」 「あー、これ? だいじょうぶ。 こんなのツバつけておけば治るよ」 「せっかく保健室にいるから消毒しておく?」 「ツバつけたらしょーどくになるんだって。 おかあさんも、いつもいってたよ?」 おおらかな敦子さんらしい言い方だな。 「(ツバつけておけば治る、か)」 えみちゃんの太股は、まるでもぎたての果実のようにみずみずしかった。 そんな果実に僕は口を添えていた。 「――んっ……」 「ひゃうっ! ふわぁ…せ、せんせ…? くすぐったいよぉ」 えみちゃんがくすぐったそうに、身をよじらす。 「……! ご、ごめん」 まるでそこに引力があるかのように、いつの間にか僕の顔は引き寄せられ、傷口に舌を伸ばしていた。 「…ん? どーして、せんせがあやまるの? せんせはあたしにしょーどくしてくれたんでしょ?」 先ほどの話の流れから、何の疑問も持っていないえみちゃん。 本当はそれにわかっていて気を遣っているのかもしれない。 「せんせ、どーしたの?」 プールで冷えた体に温かさが戻ってくるように、ほんのりと頬を桜色に染めて小首をかしげている。 「…うん。んっ――」 もうえみちゃんの気遣いでもどちらでもよかった。 緊張で乾いた喉を潤すため、目の前の果実に夢中になる。 「んあっ……んっ、んくっ……ぅ、んっ!」 「ぁ、うぅ……んふっ、…っぁあっ、ン、あっ…」 決してがっつかず、舌先で感じるえみちゃんの感触にじわじわと何かが込み上げてくる。 「――ンっ……んっ……」 「ひゃっ……あうっ……ン、せ、せんせ…… そ、そこ……くすぐったいよぉ」 内腿のくすぐったい部分を舐められ、えみちゃんが大きく身をよじらせる。 「……じゃあ――」 「んぅぅぅ……ふわぁ……ンっ……ぅ、んんっ」 今度はもう片方の足。 「あひゃっ! ひゃうっ……うっ……ぅくぅ……」 全く感じている様子ではないものの、その声は今の僕を昂ぶらせてしまう。 「ダメだよ? 大人しくしないと。ね?」 「……う、うん……。じっとする」 体をぷるぷる震わせているえみちゃんの太股をゆっくりと舐めていく。 時折耐えきれなくなって太股に僕の頭を挟み、謝るえみちゃん。 ――たまらない。 しかしこれは消毒行為であることを何度も言い聞かせる。 「んひゃっ……ぅ、んんんっ……んはぁ、あっ……」 「…んっ……うくっ、んっ、ふわぁ、あっ……んっ」 えみちゃんは全身を強張らせて、くすぐったいのを必死に我慢している。 それがだんだんと感じている声に聞こえ、イケナイ気持ちが強くなっていく。 「…ひゃっ……んぅぅ……ンッ! んく、っ…」 ふたたび舌先が太股の内側に触れ、えみちゃんが声を上げてしまう。 「んっ、んっ、んっ、んっ――」 それでも、意識しないように無心で舌を動かす。 「……んはぁ、んっ……ぅ、くぅ……ンっ……」 えみちゃんの声に甘い感じが含まれていく。 自分の気持ちを抑えようとしているのに、その声が逆に気持ちを昂ぶらせてしまう。 「は、ぅぅ……せ、せんせ……んっ…… うぅ、んっ……んぅぅ……」 もっと喉を潤すため……。 新たな水分を求め、上へ上へとのぼっていく。 「あうっ……ンンっ! そ、そこだめぇ…… くすぐったい…んんっ……!!」 太股の付け根近くに舌が届いたところで、我慢できなかったのかはじめて抵抗をみせた。 「……あっ」 気づいたときにはそこはすでに太股なのか、微妙なラインだった。 水に濡れてピッタリと秘部に張り付いているスクール水着のクロッチ部分に目が釘付けになる。 保健室には子供たちのはしゃぐ声が響いていた。 時間も忘れえみちゃんに没頭していたのか、給食の時間が始まったことにさえ気づかなかった。 みんなが大好きな給食の時間。ということは、しばらくはだれも来ないだろうか。 「はぁ、はぁ……せんせ? どうしたの?」 よほどくすぐったいのを我慢していたのか、えみちゃんの息が少し上がっている。 漏れる吐息に気持ちの昂ぶりが止められない。 「……………………」 鼻を近づけるとプール独特の塩素の匂いとえみちゃんの甘い匂いが混じった不思議な香りがほのかに漂ってくる。 甘い香りに誘われた蝶のように、僕はその中の蜜を求め顔を寄せていた。 「…………ン……んっ……」 甘い香りに誘われるまま、えみちゃんの秘部に舌を這わせていく。 舌先に感じる、ザラリとしたスクール水着独特の感触。 そしてその奥にある柔らかな感触を楽しむように弄ぶ。 「んぅっ! んっ、んっ……ぅ、ぅん…ぁっ…」 「せ、せんせ? そ、そこは……ひゃ… あっ……ぷっ、んっ……ひゃぁ、ぁぁぁ……」 少しくすぐったそうな声を上げるが、その無邪気さが逆に僕を昂ぶらせた。 えみちゃんは小さく身をよじるが、それにも構わず、独特の香りを堪能しながら舌全体で感じ入る。 「んんっ…せ、せんせ……ひゃっ、ん、ぅくっ…… ひぅっ……」 「ぅあっ……あうぅ……ンっ…ぅ、あっ……ぁぁ… ひゃ、うぅ……」 むせかえるような塩素の匂いに、徐々に強みを増していく女の子の甘い匂い。 くすぐったいだけではないみたいだ。 「…はぁー、んっ…んっ…」 狭い空間の中、酸欠にならないよう時折大きく深呼吸する。 えみちゃんの匂いを肺いっぱいに吸い込み―― 「…んくっ……ぅうぅん……っあ、あっ… んぁぁ…そ、そこ…く、くすぐったいよぉ…」 「せ、せんせ……ぅあっ、あっ……ん、ぁ、うぅ… ふぁ…んぅ……」 これといって抵抗を見せないえみちゃんの様子に、僕自身歯止めが利かなくなっていく。 「ひゃ、あっ……せ、せんせ…? ふわぁ…… ぅ、ん、くぅ……んぅぅ…」 漏らす声は、少しずつではあるが熱さを帯びたものへと変わっていく。 「んん…んぁ、んくっ、う、ぁ、あっ…ぁ、ぁ」 「…ぁ、ぅんんっ……ふわぁ…せ、せんせ……? そこは……ケガ、してないよぉ?」 その声のトーンからもきっと気づいてると思った。 少しじゃれるような声で消毒“ごっこ”を楽しんでいる様子のえみちゃん。 「……そんなとこ、んん! だ、だれかきちゃうよ……」 「……!!」 えみちゃんの声に、ふと我に返る。 保健室に僕たち以外誰もいないからと、つい度が過ぎてしまった。 「……せんせ? 急にどーしたの……?」 この質問が、エッチなことをしてしまったことに対してなのか、急に止めてしまったことに対してなのかわからない。 でも、目の前の女の子はうつむきながらも嫌がっている様子はなかった。 「――えみちゃんの可愛い姿…… もっと見たいから」 都合のいい解釈だ、と少し自分が嫌になる。 しかしここで恰好つけてしまってもしょうがないと思い、正直に言葉を漏らしていた。 「……え、えへへ、そうなんだ……。 あたし、かわいいんだ……」 “かわいい”と言われ、嬉しかったのか何度も口にして、確かめるようにしている。 きっと弟ができ、しっかり者であろうとする姿勢のせいで、なかなかそう見られないのかもしれない。 しかし年頃の女の子にとって、どんなほめ言葉より、“かわいい”の一言が一番うれしいのかもしれない。 「えみちゃん、もうちょっとだけ……いい、かな?」 「う、うん……。ここ。 は、はずかしい……けど……」 「……せんせが、したいんだったら……」 ――したいんだったら。 その言葉に試されているような気がして、背筋がぞくぞくする。 そしていつもと違うしおらしい態度に昂ぶりが抑え切れなくなる。 「…んっ……んぅぅ………」 「……ぅ、ん……ふわ、ぁ……ぁう……ン…」 再びえみちゃんの股間に顔を押し当てる。 クロッチ部分を舌でなぞると、えみちゃんがピクッと体を小さく震わせる。 「んぅ、んっ…はぁ、ぁ……ぁぁ、ぅ……」 太股がピクピクと小さく動く。 小さな口から漏れてくる何かを我慢したような声が可愛い。 「ん、ん、ん、んぅぅ……」 「…う、んんっ……んっ…ぅ……はぁ、ぅん…」 「ん、ぅ……せ、せんせが……ぺろぺろって して…うずうずが…いっぱい、してくる…」 スクール水着の塩素の味が舌に広がっていく。 いや、塩素だけじゃなくて、かすかに甘酸っぱい風味。 待ち焦がれていた花の蜜が僕の舌を潤していく。 「…えみちゃん……んっ、んっ、んっ……」 「ンはぁぁ……は、ンッ…ぅあっ……あ、うぅ…… せ、せんせ、ぇ……ん、っ……ぅぅ…」 「ふやぁ、あっ…んあぁ、はぁ、ンン…… うくっ…ぅんんっ……!」 次第に声の質も変わり、僕の頭を押さえる手にも力が入っていく。 「…ぅ、あ、せ、せんせ…はずかしい、よぉ… んっ……あ、あぁ……」 「…あたし……おかしな声…だしちゃって…… かってに…んあぁ、またでちゃって…る……」 自分でも感じる慣れない声に、自分自身でも恥ずかしがっているのだろう。 「おかしくなんてないよ。 えみちゃんの可愛い声、もっと聞きたい」 「…せんせが……そういうなら…うん……」 「うん。んっ…ンっ……」 僕の頬に汗が伝った。 汗を拭うことすら忘れるほど、僕は夢中になっていた。 「ふあぁ、うぅ、ぁ、ぅん! んっ、んっ…… ン、ぅぅ……」 「あっ、んぁっ……く、ぅうぅ……あっ、あっ…… ひゃっ、あっ、んうっ……」 「せんせので……あたしの、う、あぁ、ぁ…… ど、どんどん……んっ、むずむずして、きてるよぉ……」 より濃くなった女の子の甘い香り。 水着越しから染み出てくる液体に、徐々にとろみが含まれていく。 ――もっと。 「んっ、ちゅるるっ――」 「せ、せんせ……? ン、ふわぁ、ぁ、うっ……んんんっ!!」 その蜜をもっと味わいたくて、口を尖らせ吸い付くと、えみちゃんがぴくりと体を震わせる。 「……くすぐったかった?」 その行動が快楽につながることを知っていながら、えみちゃんの反応がみたくて、つい、いじわるしてしまう。 「ううん。くすぐったいってわけじゃないけど… その……うぅぅ……」 そういって言いづらそうにもじもじする姿は、より純粋さと無垢さを際立たせ、僕の中の何かが満たされていく。 「続けてもいいかな?」 「……う、うん……、 いいよ……? せんせ……」 健気に返事を返してくれるえみちゃんに、まるで僕も同い年に戻ったかのように甘えてしまう。 「―――んぅぅ」 「んんっ…ぁう…んぅ…んっ…ふぁ、うぅっ……」 「ふわ、あっ…くぅぅ、んんっ……はぁ、あっ… あぅ、ぅうぅ、ン、あぁぁ………」 水着の湿り気はさらさらとしたプールの水から、やがてはちみつのような濃厚な蜜へ。 それが唇に纏わり付き、口を離すと糸を引く姿が、名残惜しそうにも見えてくる。 「……や、あっ、ぅぅん……おまた…… うくっ……あ、あつく……なってるよぉ……」 「せ、せんせに……すわれて…… ふわぁ、あ、あ、ぅ、ぅんんんっ!!」 えみちゃんの秘部が熱を帯びてきていることはスクール水着越しからも伝わってくる。 溢れる蜜を舌でからめ取ると、また、新しい蜜を求め吸い出す。 その繰り返しだ。 「はぁ、ぁ、せ、せんせ……あたしのここ……、 おかしいの……むずむず、とまらない……」 「せんせが……いっぱいぺろぺろしてくれてるのに。 へんだよぉ……」 頬を上気させ、小さな肩で呼吸しながら、涙目で訴えかけてくる。 小動物的な愛くるしさに、昂ぶりが抑え切れない。 「ちょっと見てみようか」 卵の薄皮をはぐようなやさしい手つきで、その奥に潜んでいるクレバスを露わにさせる。 「う、うぅぅ…は、はずかしいの…みえちゃう…」 絶え間なく与えられ続けていた刺激に、少し赤みを帯びた様子は、恥ずかしがっているえみちゃんそのものだった。 幼さがまだ残るそこに愛液が絡み、小さな丘を淫靡に映し出している。 「……えみちゃんの、ここ、ヌルヌルしたの 出てきているね」 「あうぅ……そ、それはおにいちゃ―― せんせがいっぱいペロペロしたから……」 そういってもじもじと腰をゆするえみちゃん。 きっと隠したくてしょうがないのだろう。 感じていることに羞恥心を持っているのではなく、濡れてしまっていることがバレて恥ずかしい。そんな様子だ。 「………………」 そんなえみちゃんの顔に満足して、再び股間へ目線を落とす途中、ちょこんと主張した二つの突起―― 執拗に局部に刺激を与えられ、感じてしまった身体が胸という場所に表れていた。 小さな胸の中央にあるそれが、水着の上からでもわかるほどツンとしている。 「……! む、むねは見ちゃだめだよぉ……。 せんせのえっちー……」 僕の視線の先に気づいたえみちゃんがさらに恥ずかしがる。 今更胸に恥ずかしがるえみちゃん。きっと彼女なりのボーダーラインがあるのだろうか。 「……せんせ、ずっとむねばっか見てる……。 ちょっと、はずかしいよ……」 「あっ、ごめんね。つい……」 えみちゃんに言われて、思わず視線をそらしてしまう。 恥ずかしいと口では言っているが、えみちゃんはどこか嬉しそうだ。 「えみちゃん、続き、する?」 昂ぶった気持ちは抑え切れそうにない。 「う、うん……。せんせ……あたしのここね、 さっきから、ずっとうずうずしてる……」 「だから……足、なおしてくれたみたいに、 ここも……」 振り絞るような声で訴えてくる。 そんな声で言われたら、我慢なんて出来るはずがない。 「うん。えみちゃんのウズウズも治してあげるね」 「――んっ」 クロッチをずらしたまま、露わになった筋へと舌を這わせていく。 先ほどとは違い、今度はむせかえるような女の子の甘酸っぱい匂いが鼻腔に広がっていく。 「ひゃうっ! んっ! ふわぁ、あっ、んぅっ…… んっ、ぅ、んっ……」 水着越しとは全然感覚が違うのか、えみちゃんは大きく身をよじらせる。 「お、おにい……せ、せんせ……ん、はぁ…っ… あっ、ん、ぁぁぁ……」 「せんせぇ……あったかいの……あうっ…… んはぁ、あっ、あっ…くっ、ぅぅ、んんっ!」 「……! ンンンっ!!」 えみちゃんは僕の頭に力いっぱいしがみついてくる。 同時にえみちゃんの秘部がぴったりと口に張り付いてしまう。 「ふやぁ、あっ、んはぁ……せ、せんせの息… かかって……」 「……ぅん……くぅ、ぅぅ……ふぁぁ……ぁっ……」 舌でワレメを広げ、中にゆっくりと舌を入れていく。 「んぅぅっ! せ、せんせの……おまたに…… ぅくぅ、ぅんっ!!」 「ぅうう、おまたの中まで……ぺろぺろって…… ふわぁ、ぁぁ、ン、あ、あぁ……ぅぅ……」 えみちゃんの溢れる愛蜜が僕の口元を汚していく。 唇を当て、奥に溜まっている蜜を吸い出す。 「んぁぁぁ……あ、あぁっ……んくっ、ふわぁぁ!」 「あぁぁ、ぅぅ……ひ、ぅっ……んっ、はぁ、っあ…… せんせ……せんせぇ……くぅぅ……んんんっ!」 「ぅぅ、ぁああっ、せ、せんせ……んくっ、 す、すっちゃ……やぁぁ……」 えみちゃんも昂ぶってきているのか、だんだん甘い声が大きくなっていく。 頭が秘部へと押し当てられ、口いっぱいに蜜が広がっていく。 「ひうぅっ! そ、そこ……ふあぁぁっ……!!」 鼻先に小さな突起の感触。えみちゃんは敏感な部分に触れてしまったからか、一際大きな声を出してしまう。 「んぁっ、あっ……んくぅぅぅ、んんんっ…… ぁっ……………!!」 軽く果ててしまったのか、ピクンと体を震わせる。 「んんっ……ぅ……ぁ、ぅ……ンっ、うぅぅ…… おまた……び、びりびりって……」 「ふっ、ん、くうぅ……あっ……んぅぅ……」 さっきよりもさらに上気し赤く染まった頬。 うっすらと涙が浮かぶ大きな瞳に時折漏れる小さな吐息。 「ン、ちゅっ……ちゅる……」 昂ぶった気持ちを抑えるように、無心になってえみちゃんの筋に舌を這わせ中から染み出てくる蜜を吸い上げていく。 「ふわぁっ! せ、せんせ? ん、あっ…… うくっ……ぅぅ、んぅぅ……!」 「はぅ、ぅ、んっ……お、おまた……じんじん、 また……してきて……ぁぁ、んぁ、ふわぁ、ぁぁ……」 えみちゃんの昂ぶりも最高潮を迎えてきているのか、僕の愛撫に身を委ねている。 「ん、あっ……ふわぁ、ぁ、あっ、せ、せんせ…… あたし……くぅぅ…っっ……」 「せ、せんせぇ……せん、せ……ぅ、はぁ…… あぅ、くぅ、んっ……は、ぁ、ぁぁぁ……」 限界が近そうに僕の頭をぎゅっと押さえてくる。 本当は強い快感に心は拒否をしているのかもしれないが、今の僕にとって、その行為は“もっとして”としか捉えられなかった。 舌を懸命に動かして、小さな突起をすくうように舐める。 「んんっ! あっ……ぅんっ……はぁ、あぁぁ…… あっ……ぁ、ぁ、ぁ」 「ひゃっ! あっ……っ、んんぅぅ……っっ……!!」 こんな小さな体のどこにそんな力があったのかと思うほど、僕の頭を押さえびくびくと身体を震わせる。 ――このまま刺激を与え続けたら。 一瞬そんないたずら心が芽生えるが、懸命に声を抑えているえみちゃんの様子を温かく見守る。 「あっ、うっ、ぅぅ……はぁ、はぁ、ンっ…… あ、ぁ……ぁぁ……ぁ」 「はぁ、はぁ……せ、せんせので…… いっぱい、ふわぁってなっちゃった……」 このままここで窒息させられてしまうのでは、と思うほどの長い余韻に解き放たれ、見上げるえみちゃんの顔。 夢から覚めたばかりのようなトロンとした表情は、どこか色気を感じさせた。 先ほどのえみちゃんの胸同様、頭の中では冷静を装っていても、身体は正直だった。 薄手のズボンがテントを張り、その中でさらに大きくなろうとびくびくしている。 「……せんせのおっきくなってる……」 「なんだか、すごくくるしそう」 ピンクに染まった頬に、トロンとした瞳で僕のソレを見ているえみちゃん。 ――このまま。 今の時間、[ruby:ここ]保健室[/ruby]には誰もやって来ない。僕とえみちゃんの2人きり―― 浅くなる呼吸。 朦朧とする意識の中、無意識に手が股間へと伸びていく―― 「……!!!」 給食の時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。 「あっ! ……給食の時間、終わっちゃった」 「そ、そうだね。ははは、給食食べ損なっちゃったね」 チャイムの音で我に返った僕は慌てて取り繕う。 「うぅ、ごめんね、せんせ。 あたしのせいで……」 「ううん。えみちゃんのせいじゃないよ」 「えへへへ……」 ポンポンとえみちゃんの頭に手を乗っけてあげると嬉しそうな顔をしてくれる。 「さてと、みんな心配しているだろうし 教室に戻ろうか?」 「う、うん……んっ……あ、あれ?」 ベッドから降り立とうとした直後、ポテッと再びベッドに腰掛けてしまう。 「大丈夫? えみちゃん?」 「……えっと、なんか、からだがふわふわしてる。 うまく立てない」 多分、絶頂の余韻みたいなものがまだ残ってしまっているのだろう。 この後は授業がないし下校するだけだ。 ひょっとしたら、足が痛いのを我慢している可能性もあるし、またつってしまう心配もある。 「先に家に帰った方が良さそうだね。 先生が家まで送っていくよ」 「ホント? えへへへ♪ やったぁ♪」 えみちゃんは僕と一緒に帰ることが出来るのが嬉しいのか、蕩けそうな笑顔を見せてくれる。 「じゃあ、先生は他の先生に言ってくるから、 えみちゃんはここで待っていてね」 「うん♪」 「せんせー! えみちゃん、だいじょうぶ!?」 「……えみちゃんの足、だいじょうぶですか?」 廊下を出た瞬間、ののかちゃんとことねちゃんと鉢合わせになる。 ――危なかった。 あのままえみちゃんと最後までしていたら大変なことになっていたに違いない。 「うん。大丈夫だよ。ちょっと疲れが出ちゃった みたいだね。足の方は何ともなかったよ」 焦りを出さないように気をつける。 「2人共、心配してくれてありがとうね」 「そっかぁーー。よかったぁ」 「……えへへへ」 2人の頭をヨシヨシしてあげると嬉しそうに目を細めている。 「で、えみちゃんをこれから家まで送っていくん だけど、着替えとかえみちゃんの荷物、 保健室に持って来てくれないかな?」 「はい。わかりました」 「はぁい♪ すぐ持ってきまぁす」 そのまま教室に向かって駆け出そうとする2人。 「おっと! 2人共、廊下は走っちゃダメだよ」 「はーーーーーい!!」 「はーーーーーい!!」 さてと、これでえみちゃんの荷物は何とかなるだろうし……。 とりあえず職員室に行って他の先生に事情を話しておくか。 「おっ! 瀬田先生、橋本は大丈夫ですか?」 「戻りが遅いので、これから保健室へと 向かおうとしていたところでした」 職員室に入ると、ちょうど教頭先生と小野先生が席を立っていたところだった。 ………危なかった。毛穴という毛穴から冷や汗が出てくる。 「ご心配お掛けして申し訳ございません。 幸い、足がつっただけでしたので、 マッサージだけしておきました」 「ははは。足がつったのであれば、マッサージが いいですからな。瀬田先生、さすがです。 やはり都会の先生はわかっている」 「ははは……恐縮です……」 マッサージだけでなく、色々、その……致してしまったが……。 「それで、橋本さんですが、念のため今日は 家に帰そうと思います」 「足がつったのであれば、ぶり返す恐れもある でしょうし、様子を見た方が良さそうですな」 「そうですね。私が車で送って行ってあげられれば 良いのですが……」 「今日は生憎、校長先生が外出していて 私が学校を離れるわけにはいきませんし……」 「俺もまだ授業が残ってますし……」 上の学年はこの後もまだ授業があるし、遥先生も手が離せないだろう。 「では、僕が橋本さんを家まで送り届けます」 「わかりました。幸い、瀬田先生のクラスは あとは帰りの会だけですので、引き続き、 私の方で見ておきましょう」 「俺の方でも気に掛けるようにしますよ」 「ありがとうございます。 では、よろしくお願いします」 教頭先生と小野先生に一礼してから、職員室を後にする。 「ごめんね、えみちゃん。お待た――」 「ひゃうぅぅぅーーーー!!」 一瞬、えみちゃんの健康的な肌が見えたので慌てて目をそらしドアを閉める。 僕が職員室に行っている間に、ののかちゃんたちがえみちゃんの荷物を持ってきてくれていたみたい。 どうやら着替えの途中だったようだ。 「うぅぅ……せんせのばか…えっち、すけべ……」 先ほどまで、じっくりとエッチな部分を見てしまっていたから今更だと思うが。 女の子って難しい。 「せんせ、入ってきてもいいよ」 着替えが終わったようなので、再度、保健室のドアを開ける。 「ごめんね、えみちゃん。つい、うっかり――」 「…むぅぅぅぅ……」 スクール水着から私服に着替え終わったえみちゃんが顔を真っ赤にしていた。 着替えを一瞬とはいえ、見られたことがすごく恥ずかしかったようだ。 「さてと、帰りの準備は出来ているみたいだし 先生と一緒に帰ろうか」 そのことには触れず、何事も無かったかのように振る舞う。 「うん♪ えへへ、せんせといっしょだね」 さっきまでの不機嫌な様子とは一転して満面の笑顔になる。 まぁ、機嫌が直ったみたいなので良しとしよう。 「せんせと一緒にお家帰るの、久しぶりだね」 2人きりの帰り道。えみちゃんはご機嫌で時々、鼻歌を歌っている。 足を痛めたことがウソのように、えみちゃんははしゃぎ回っている。 「えみちゃん、また足が痛くなっても知らないよ?」 「だいじょうぶ! せんせがもみもみしてくれて いたいのなくなったから」 くるんとその場で一回転。 えみちゃんの動きに合わせキャミソールが、ふわりと舞い、かわいいおへそが顔を覗かせる。 「そんなに、はしゃいじゃ危ないよ?」 都会と違い、中途半端に舗装された道なのでつまずいたりして、転ける心配がある。 「さてと、次のバスがやって来るのは……」 えみちゃんの足のことを考えて、バスに乗れるのであれば、乗った方がいいだろうと思い時刻表を見る。 「むぅぅぅ……。せんせ、何みてるの?」 「……バスはあと30分後か……。 これだったら、歩いて帰った方が早そうだ」 「そうだよ! 歩いて帰った方がいいよ」 「そう? でも、足、大丈夫?」 「へっちゃらだよ。せんせ、心配しすぎ」 そう言って、ぴょんぴょん跳ねる。 どうやら、本当に痛みは全くないらしい。 「でも、そんなにはしゃいだら危ないよ?」 「へーき、へーき……うわっ!!」 ――言わんこっちゃない。 とたんに視界からえみちゃんが消え、下から声が聞こえる。 尻もちをついて気恥ずかしそうに手を頭にやっているところを見ると、心配はないようだ。 「ほら……だいじょ――」 短いスカートから細い脚が顔を覗かせ、さらにその奥に目がいってしまう。 そこにはあるはずのもの……、下着の姿が見えなかった、気がした。 いや、見間違うはずはない、先ほどまであんなに顔を寄せてみていたのだから。 「……? せんせ? どうしたの?」 「……あ、あの……。その、言いにくいんだけど……」 言おうか言うまいか悩んだ。 言ったところでえみちゃんを困らせるだけだし、あとはもう帰るだけだ。 でも、もやもやとした気持ちのままというのは性に合わず、はっきりさせたかった。 「えみちゃん、パンツ……穿いてる?」 「えっ? パンツ……?」 自分で視線を落としたところで見えるわけではないが、着替えたときのことを思い出しているようだ。 「――きゃぁぁぁ〜〜!! 見ないでぇ!!」 少しの間があり、顔を真っ赤にして悲鳴を上げるえみちゃん。 ――都会だったら今の悲鳴で捕まっていただろう。 もしかしたら今の悲鳴で誰か見ているかもしれないが、この半年で僕の顔も知られているはずだし大丈夫だろう。 大事にならずに済みそうだ。 「……ひう……はうっ、うぅぅぅ……こ、これは……」 てっきり、いつもみたいにえっちとか言ってくるものだと思ったけど、今のはかなり衝撃だったみたいだ。 少し嗚咽を漏らしているえみちゃんに、なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。 「ご、ごめんね」 余計な事を聞かなければよかったと、反省……。 「うぅぅ……だ、だって……おにいちゃんが。 あぅぅぅぅ……」 「(そういえば、保健室のドアを開けていた時  着替えの途中だったからなぁ)」 着替えている途中で、僕がやって来たから慌ててしまってパンツをはき忘れたのだろう。 外で、しかも僕がいる前でパンツをはくというのは恥ずかしいだろうし……。 「えみちゃん、立てるかな?」 パンツのことにはこれ以上触れずにえみちゃんに向かって右手を差し出す。 「……ぅん」 よほど恥ずかしかったのか、未だうつむいたままそれでも手を差し出してくれる。 その手を優しく引いて、えみちゃんを起こす。 「……ッ! んんっ!!」 えみちゃんの顔が歪む。 「……えみちゃん、足……?」 「だいじょうぶ……んっ……!」 バランスを崩すように再びへたり込む。 「……ちょっと見せてごらん?」 あれだけ注意したのにはしゃいだ罰が下ったのだろう。咎めるのもかわいそうになる。 「……ッ!!」 痛めた方の足に手を触れると痛そうな顔をする。 見た目に違和感らしきものはないため、恐らく軽い捻挫だと思う。 しかし痛そうにしているため、このまま歩いて帰るのは酷だろう。 「ほら?」 背中を向けてえみちゃんの前にしゃがむ。 この炎天下の中、バスを待つのも大変だろうし、おんぶして帰るしかない。 「え……ぇ? せ、せんせ?」 背中から声が聞こえるものの、一向に重さが来ない。 「どうしたの? おんぶしてあげるから」 僕に催促され、数秒、細い指が僕の肩に絡み、背中にえみちゃんの柔らかさを感じる。 「う、うん……ありがと…せんせ…。えへへへ♪」 照れはまだ残っているものの、声は明るい。機嫌が直ってくれてなによりだ。 「じゃあ、少し暑いかもしれないけど、 しっかりつかまっているんだよ?」 「うん♪ おにいちゃんの背中、ひろーい♪」 せんせからおにいちゃん――ここからは教師ではなく兄としての時間。 ――まったく。 けが人なのに背中の上で鼻歌を歌っている。 でも、僕自身も背中に感じるえみちゃんの体温に、少し胸がどきどきしていた。 「えへへへへ♪ おにいちゃん♪」 えみちゃんの甘えた声。何だか本当の妹みたいだ。 「(……本当の、妹、みたい?)」 ふと感じる違和感と、チクリとした胸の痛み。 えみちゃんのことを妹として考えるとなぜかモヤモヤする。 今までえみちゃんにしてきたことは果たして兄妹の戯れと言えるのか? そもそも僕はえみちゃんのことを一体、どう考えている? 妹? 妹みたいな存在? それとも―― シリアスな気持ちとは裏腹に、僕のお腹から場にそぐわない音が鳴る。 「……そういえば、お昼何も食べてないね」 「えへへへ、実はね、ののとことねちゃんが 給食のプリンを持って来てくれたんだ」 「お家に帰ったらいっしょに食べよ?」 「そっか。じゃあ、急いで帰らないとね」 「えぇーー。 もっとおにいちゃんの背中にいたい」 「……やっと、おにいちゃんと 2人きりになったんだし……」 学校では見せない甘えモードのえみちゃん。 ずっと我慢していたんだろうなと思うと、僕もどうにかしてあげたくなってしまうじゃないか。 「ははは、でも、どう頑張っても あと、2、30分はかかるしね」 「うん♪ それまでおにいちゃんの背中は あたしのとくとーせきだね」 もやもやした気持ちを振り切ろうとしても、えみちゃんの一言で、また胸がきゅんとなる。 顔がちょっと熱いのは、夏の暑さのせいだけではないだろう。 「…………」 できるだけ、えみちゃんの足が動かないようにゆっくりと静かに歩みを進めていく。 「――おにいちゃん……」 「ん? どうしたの? ひょっとして、足に響いちゃったかな?」 「そ、そうじゃなくて……その……」 言いにくそうに背中で唸っている。 「……ちょっとだけ、スースーして、ぅぅ……」 そうだった。 言われてみればスカートでおんぶだと、お尻が捲れかねない。 少しお詫びの意味も込めて、えみちゃんに気づかれないようにお尻に回した手でスカートの端をぎゅっとつかむ。 お姫様だっこにすればよかっただろうか。 「じゃあ、もうちょっとゆっくり歩こうか」 「え、えへへ……。ありがと、おにいちゃん」 あれから30分ぐらいだろうか、ようやく橋本家の近所まで辿り着いた。 えみちゃんは軽いので、おんぶしていても全く苦にならないが、日光は避けられない。 頬を伝う汗をえみちゃんが拭ってくれる。 「……ふぅ。あとちょっとでお家だね。 えみちゃん、足、大丈夫かな? 痛くない?」 「う、うん……。足はだいじょうぶだけど……」 けど、と煮え切らない返事に少し不安を感じる。 スカートもしっかり握ったままなので、捲れるはずはないものの、ずいぶん物静かになったのは確かだ。 「んっ……ぁ、お、おにいちゃ……んぅ、んっ……」 少し呻くように声を上げ、くったりと寄りかかってくる。 もしかして熱中症にでもなってしまったのだろうか。 「あとちょっとだからね。頑張って?」 「う、うん……そうだね……」 焦る気持ちを抑えながらも、日陰を選んで家へと向かう。 ………………………………。 「あれ? 敦子さん、出かけているのかな?」 ドアにはしっかり鍵がかかっている。 えみちゃんを背中に乗っけたまま、ポケットの鍵を取り出して、ドアを開ける。 「……やっぱり敦子さん、出かけているみたいだね」 家の中は静まりかえっていて、誰もいない。 「……おかあさん、今日おかいものにいくって いってたよ」 家について安心したのか、少し元気な声が背中から返ってくる。 買い物に出たということは、恐らく夕方までは戻って来ないだろう。 「えみちゃん、頭痛くない?」 「え? 頭? 全然へーきだよ」 熱中症を懸念しての質問だったが、今は何ともあっけらかんとしている。 もしかして疲れて眠たくなっていただけなのだろうか。 とりあえず体調に問題なくて、一つ肩の荷が下りた気がした。 ――あとは足か。 えみちゃんを座らせるため、椅子がある場所を思い出す。 「(勉強机か……)」 もし腫れ上がっているようだったらすぐに医者に診せた方がいい。 「到着。 まずは椅子に座った方がいいかな」 片手でえみちゃんのお尻を支え、もう片方の手で勉強机の椅子を引く。 「……んっ……こ、ここでだいじょうぶだから。 ひとりで降りられるよ?」 腰を屈め椅子に座らせようとするとなぜか抵抗してくる。 「……そ、それに……このままだと……」 やけに切羽詰った声。 「ダメだよ。足、ケガしているんだから」 何とか椅子に座らせようと後ろを向いた瞬間―― 「だ、だいじょうぶだって! えいっ!」 「……!!」 こともあろうに、えみちゃんは僕の背中から飛び降りた。 「……ッ……ぅ、ほ、ほら。だいじょうぶ。 足、もう治っちゃったから」 平気そうに振る舞っているが、無理をしているのは明らかだ。 「無理しちゃダメだよ。ほら、椅子に座ってね。 僕が足、診てあげるから」 「だ、だいじょうぶだって。足は、へーきだから」 頑なに椅子に座るのを拒否するえみちゃんに、別の疑惑が湧いてくる。 ――足“は”? 「……えみちゃん、ひょっとして別のところが……」 友達に対しても気を遣うようないい子だ。足以外にも何か隠し事をしているのかもしれない。 「えっ!? え、えーっと、その……んーと、 あう、うぅぅ……」 何が恥ずかしいのか途端に顔を真っ赤にさせて、もじもじしたまま、うつむいてしまう。 「えみちゃん、この部屋には僕しかいないから、ね?」 居候の身とはいえ、隠し事をされたままというのはいい気分ではない。ましてやえみちゃん自身のことだと思うとなおさらだ。 腰を落とし迷子で泣きじゃくる子供を相手にするよう目線を合わせ、警戒心を解いていく。 「ぅぅ……で、でも……その、うぅぅ……」 えみちゃんは、そのままスカートの裾をぎゅっと握ったまま固まってしまう。 一向に内容を得ないまま、時間だけが過ぎていく。 何か椅子とも関係があるのだろうか。 「……うぅ……ぅ……。実は――」 恥ずかしがったままであったが、しばらくすると、何かを決意したように口を開く。 「あ、あのね、おにいちゃん……。 あたしのこと、きらいにならない?」 今にも泣き出しそうな顔をしながら不安げな口調で聞いてくる。 「僕がえみちゃんを嫌いになる? どうして、大丈夫だよ」 「僕ら家族でしょ? だから、安心して言ってごらん?」 えみちゃんよりもずっと年下の子に聞かせるように、ゆったりとしたペースで話す。 「……ぅん……。あのね――」 えみちゃんはコクリと小さく頷いて、スカートを両端からゆっくりとたくし上げる。 「……!!」 突然のえみちゃんの行動に言葉を失ってしまう。 スカートをたくし上げ、隠す物が何も無くなり、露わになった1本の筋―― その隙間からヌラリとした透明な蜜が溢れ、内股全体を艶めかしく光らせていた。 「あ、あのね……。あたし、おかしいの……」 「おにいちゃんにおんぶしてもらって…… ここ、スースーしたら……むずむずして……」 自分の身体の変化に頭が追い付かないのか、精一杯の表現で自分の身体に起こったことを説明する。 「でね、ここ、じーんってして……それで…… ずっとそのままなの……」 太股をすり合わせながら、モジモジしている。 「へ、へんなお汁がいっぱいでてきて、とまらないの……。 あたし……びょーき?」 「そっか……じゃあそのお汁はいつからかな?」 医者が診察するように、1つ1つ言葉を選びながら質問をしていく。 すぐに結論を言ってしまうことはしない。 自分の口から喋らせて、1つ1つ答えてあげる方が安心感を与えられる。 「あのね……おにいちゃんにおんぶしてもらって…… むねがふわぁってなってきて……」 「それからね……ここが、むずむずって……」 顔を真っ赤にしながら、自分の状態を教えてくれる。 「前はこんなことなかったのに…… どうしてかな? あたし、おかしいのかな?」 「…………」 えみちゃんの言葉に心臓がドキンとする。 今あるパズルのピースを集めれば、答えは明白だった。 女心に疎い僕でも、こんな顔でこんなことを言われてしまえばわかる。 それはきっと僕のことを意識しているのだろう。 兄や先生でなく男として。 しかし過程が問題だった。 えみちゃんの無知をいいことに、過度なスキンシップをした事に自覚はある。 でもそんな僕に好意を抱いている……? ダメだ。頭が混乱して考えがまとまらない。 「今もなんだよ? おにいちゃんにみられている だけで、いっぱい……むずむずしてる」 その不安いっぱいの顔があまりにもかわいくて、力いっぱい抱きしめたくなる。 「……これ、やっぱりおかしいの? むずむずとまらない……」 「――あたし、どうなっちゃうの?」 ふらふらとおぼつかない足取りで僕の胸元に飛び込んでくるえみちゃん。 こんな僕が彼女を抱きしめる資格があるのだろうか。 その一瞬の迷いのせいで、えみちゃんを受け止めきれず、ベッドに倒れこんでしまう。 「……っ!!」 「おにいちゃぁん……」 間近に感じるえみちゃんの柔らかさと甘いミルクのような匂い。 言ってあげないといけないことはいっぱいあるはずなのに……。 大人として止めないといけないのに……。 ――もう、えみちゃんで頭がいっぱいだった。 「……えみちゃん、 安心して、僕も一緒だよ?」 「えみちゃんと一緒にいると、 むずむずしてくるんだ」 「えっ? お、おにいちゃんも?」 湧き上がる衝動を抑えることが出来ず、僕のモノはすでにギンギンになってしまっている。 さっきのプールでのこともあってか、欲求を解放させてくれと訴えかけてくる。 「そっか、おにいちゃんもおんなじなんだ……」 「へへ、おにいちゃんの、 さっきみたいにおっきくなってる」 今にも泣き出しそうだったえみちゃんの顔に笑顔が戻る。 ふわりと香ってくるミルクの甘い匂いと女の子の匂いに頭がクラクラする。 もうダメだ……。 「……おにいちゃん? どうしたの? くるしいの?」 心配したえみちゃんが、さらに体を密着させてくる。 その行動がトドメとばかりに僕の理性を崩していく。 「……だいじょうぶ、だよ」 怖い思いをさせてしまうかも知れない。痛い思いをさせてしまうかも知れない。 本当にいいのか? 「おにいちゃん……あたし…がんばるから……」 「今度はおにいちゃんのむずむず、なおしてあげたい」 頬をさらに上気させ、太股をモジモジさせている。 その健気な姿に邪な気持ちが強くなってきて、理性が完全に吹き飛んでしまう。 「……えみちゃん。ひょっとしたら、ちょっと 痛かったり辛かったりするかも知れないけど」 「い、痛いことするの? ……ぅん、おにいちゃんとならがまんできる」 コクリと小さく頷くえみちゃん。 その反応を見て覚悟を決め、ゆっくりとズボンのチャックを下げる。 押さえつけていたものから解放されたソレは勢いよく下着の隙間から顔を出す。 「……おにいちゃんの、ぴくぴくってしてる……」 ズボンから飛び出たソレは、えみちゃんの下でビクビクと勝手に動いている。 下半身のたぎりが熱くなってくる。落ち着かない。 「えみちゃん、ちょっとだけ、 どいて貰ってもいいかな?」 今にも犯してしまいそうな欲望を押さえながら、何とかリードできるよう、えみちゃんをどかそうとする―― 「……やっ!」 先ほどの椅子の一件同様えみちゃんが僕に体重をかけてきて、首を横に振る。 「で、でも…このままだと、すごく痛いかも 知れないよ?」 「それでもいい。おにいちゃんの、あたしが なおすんだから」 初めてだから、リードしてあげようとするも頑なに嫌がられてしまう。 えみちゃんの声がどこか強ばっていて、緊張が伝わってくる。 「し、知ってるよ? おにいちゃんのここ、 きもちよくしてあげたら、治るって……」 「えみ、ちゃん……?」 「ののと一緒に 公園でひろったマンガにかいてあったの……」 「だからね、今度は、あたしがおにいちゃんのこと きもちよくするの」 都会の子ならいざ知らず、ここの子たちはこういう行為の知識は無知だと思っていたけれど……。 「あたしがするんだから……。おにいちゃんの、 ここ、いっぱいきもちよくするんだから……」 「プールのときはあたしだけ きもちよくなっちゃったから…… だから、次はあたしが……」 そう言いながら、唇をきゅっと結ぶ姿に、彼女なりの決意が見て取れる。 これ以上僕が申し出たところで、きっと譲りはしないだろう。 何度もやり取りさせるのも野暮だと思った。 「――あたし、もう子供じゃないよ? ちゃんとできるよ?」 えみちゃんの気遣いが僕の背中の最後の一押しだった。 しかし言い切ったきり体を密着させたまま、動きを完全に止めてしまう。 多分、詳しいことや具体的な方法までは知らないということだろう。 「……えみちゃん」 僕にしてあげたいっていう健気な様子がたまらなく嬉しくて、気持ちが昂ぶっていく。 「おにいちゃん。ここはあたしに……。 ちゃんと、がんばる、から……」 「じゃあ、一緒に、はダメかな? 僕もえみちゃんに気持ちよくなってほしい」 初めての経験で気持ちよくする自信はなかったが、こういった行為にはお互い歩み寄ることが大事だ。 「……一緒に?」 きっと、頭の中がいっぱいになってしまっていたのだろう。 どこか強がりつつも、少しだけ安心したような、そんな表情を見せる。 「そう、一緒に、 僕はお手伝いするだけ、だめかな?」 「……う、うん……。でも、ちょっとだけ、だよ?」 遠慮がちな表情がたまらなく可愛い。 早く奪ってしまいたい気持ちに駆られるが、そこは我慢だ。 「えみちゃんの気持ちは素直にうれしいけど、 いきなりは無理だよ」 「まずはゆっくり、ね?」 そういいながらえみちゃんの割れ目を、ガチガチに勃起した僕のペニスで愛撫する。 「んっ、はぁ、ぁ、ん…う、だ、だめだよぉっ……」 やはり僕に動いてほしくないのか、抗議の意を表すえみちゃん。 見様見真似で恐る恐る腰を前後させる。 初めての女の子相手に全く動かないというのも、なんだか胸が痛い。 「ふわっ、あぁ、あ……あぁっ…ン、あっ…… お、おにいちゃんの…あ…あつい…よぉ」 お互いの恥ずかしいところが触れる度、背中にゾクゾクとした感覚。 プールの時に聞いていたあの甘い声を、今度は抑えることなく聞かせてくれる。 「はぁ、ぁ、ぁぅ、ん……お、おにいちゃん…… ……どう…かな……?」 「うん。えみちゃんの気持ちいいよ」 擦れ合う度、くちゅ、くちゅ、と音が鳴り、僕の耳をくすぐってくる。 「…んっ、は、はぁっ……あっ…ぁ…ぁ…」 「お、おにいちゃ…ぅ、ふわぁ、あ、あ…んんっ!」 慣れないながらも自ら位置をずらして気持ちのいいポイントを探っている。 そんな様子に少しだけ調教したような気になり、僕の中のサディスティックな一面が顔を覗かせる。 「…っ……あっ、んぅぅーーーっ……!!」 お気に入りの場所を見つけたのか、亀頭の裏で陰核あたりをしきりに行き来する。 場所もさることながら、その行為も相まって僕も声が出そうになるほど、快感に溺れていた。 「ん、はぁ、あぁ……こ、ここ、へんなの……。 ぴりぴりって……しちゃう……」 「そう? 無理しないでね?」 「……へ、へんだけど、いやじゃないよ? ふわふわってするだけ……」 少し焦ったような返答に、えみちゃん自身、嫌じゃなく、もっと、と言っているように感じてしまう。 今までだったらきっと抑えていたところだが、今日は違う。 ――もっと感じてほしい。 「じゃあ、少し交代しようか」 さすがに自分でコントロールするのが難しいのか、ただ一度、小さくうなづくと僕の身体に体重を預けてくる。 「ふわぁ、あっ……んっ…ぅ、は、あっ……」 「ンンンっ! う、あっ……はぁ、ぁ……ン、 ぅ、っあぁ、ま、また…あっ、ぅぅぅ……」 動きの幅を大きくし、強弱をつけながらスジ全体を擦っていく。 陰核に触れる度に、えみちゃんは声を上げ体をよじらせる。 そのよじる動きがまた違った快感となり、僕の股間を襲う……。 「……く、ぅぅ……」 「はぁ、はぁ…はぁ……あのね、いっぱいむずむず してきちゃってる……」 「――ねぇ、おにいちゃん……」 不安とも甘えとも取れるような顔で、僕をまっすぐ見つめてくる。 「うん?」 「いっしょに、ね…… 気持ちよく……だよ?」 僕がうめき声をあげてしまったため、少し気を遣ってくれるえみちゃん。 自分の身体は大きな快楽に飲まれそうになっているのに、こんな時にでも僕を見てくれる。 それから、ゆっくりと腰を動かし始める。 「んっ、んっ……ふわぁ、あっ……ぅ、ん……」 「おにいちゃんの…どんどんおっきくなって…… んっ……んっ、きもちいい?」 「うん。ありがとう。すごく気持ちいいよ」 まだまだぎこちない腰遣いではあるが、たまらなく気持ちいい。 「えへへ。よかったぁ……」 「だったら、あたし、もっとがんばるから……」 嬉しそうに僕のモノを擦り続けてくる。 「ふわぁ……あっ……あっ……ンッ、あふっ…… んっ、ぅ、ん……」 「はぁ、はぁ……おにいちゃんので…おまた… いっぱいむずむずする……」 僕も僕で気持ちよさのあまり、先っぽから我慢汁が溢れてしまっている。 えみちゃんの蜜と混じって、いくつも糸を引いてしまっている。 「んっ、ふわぁ……お、おにいちゃん…… へんだよぉ……」 「おまたがうずうずして……お腹が、きゅんきゅん してきて……ここ、すごくぬるぬるしてる」 トロンとした瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。 えみちゃんもすっかりうっとりとした様子で、僕を見つめる。 えみちゃんが、というよりも、もう僕の方が耐えきれなくなってきた。 ――そろそろ頃合いか。 「それはね、えみちゃんの体がね、僕のを受け入れる 準備が出来たってことなんだよ」 「はぁ…ん? じゅ、じゅんび? うけいれる……?」 えみちゃんは頬を上気させながら小首をかしげている。 僕も余裕がなくなっているみたいで―― ついつい難しい言葉を使ってしまったからかな。 「…………」 でも、セックスする準備が出来たんだよなんて生々しいことは言えないし。 「……よくわかんないけど、うけいれる? ってするとどうなるの?」 「そうだねぇ。僕のうずうずもえみちゃんの うずうずも一緒に治っちゃうよ」 なんか言葉巧みに騙しているようで、胸がチクリと痛む。 でも、ここまできた以上、引くなんてことは出来ない。 「そっかぁ。あたしの、おにいちゃんのうずうず治す じゅんびができたんだ……」 えみちゃんはすごく嬉しそうな顔をしている。 僕にしてあげるってことがそんなに嬉しいのかと思うと一気に愛しさがこみ上げてくる。 「ここからは少し痛いかも知れないけど、 大丈夫かな?」 「うん。だいじょうぶだよ……。 おにいちゃんだったら……いたいのがまんできるよ?」 「あたしので……おにいちゃんを、いっぱい きもちよくしてあげたい……」 目をトロンとさせながら、うつむいている。 「………………」 ゴクリと生唾を飲み込んで、覚悟を決める。 これからえみちゃんと――焦る気持ちを抑えつつ、先っぽをえみちゃんの入口へとあてがう。 「……こ、ここから、どうしたらいいの?」 「ゆっくり腰を下ろすんだよ? ゆっくり、ゆっくり、ね」 「ぅん……。がんばる……」 えみちゃんは僕に言われたとおり、肉棒に向かってゆっくりと腰を落とし始める。 「―――――――――ッ!!!」 亀頭の先っぽが秘穴に入った瞬間、えみちゃんは苦痛に顔を歪ませる。 やはり、えみちゃんの身体にはキツすぎたか。 「焦らなくていいからね。少しずつ、少しずつ、ね」 「…ッ……う、うぅ……んくっ…うぅぅううっ!!」 瞳に涙をいっぱい浮かばせながら、頷くえみちゃん。 それでも健気に腰を沈めようと頑張ってくれている。 「んっ、ぐっ…っ…あっ…ぅ、んんんっ……ッ…」 「…は、あっ……うくっ…ぁ、ぅ…くぅ………」 亀頭が全て埋まったところで、えみちゃんの動きが止まってしまう。 動きたいけど、あまりの激痛でそれができないもどかしさが伝わってくる。 「えみちゃん、大丈夫?」 「……だ、だい……じょうぶ……だから……。 あたし、がんばれるから……」 そんな必死な顔をされてしまっては、もう何も励ます言葉は出てこない。 ただ……黙って見守る。 「……う、うん……はぁー、はぁー……」 「……んっ……ぅ、んん……くっ、くぅぅぅ……!」 心が折れそうになったら止まって深呼吸。勇気が戻ってきたら腰を下ろす、の繰り返し。 決して引くことはしないえみちゃんの姿に、お姉さんらしい強い一面も垣間見れる。 こんなお姉ちゃんだったら、身を任せてもいい、そう思えるようになっていた。 肉棒の上部分が完全にえみちゃんの膣内に収まり、膣肉が亀頭の根元を痛いぐらいに締め付ける。 ――ゆっくり、ゆっくり。 言葉にしない分、励ますように何度も心の中でエールを送っていた。 そしてそれは自分にも言えること。 このまま一気に奥まで挿れたら、すごく気持ちいいに違いない。 だけど、そうしてしまったらえみちゃんに大きな負担をかけてしまうことになる。 それだけは絶対に避けないと。 「……んはぁ……はぁ、はぁっ……んくっ……んっ」 止まっては動き、止まっては動く、えみちゃんからすれば永遠とも思える苦痛にいよいよピークが訪れる。 「―――――ッッ!! ンン、ぅんんっ!!」 先っぽにコツンとした感触がした瞬間、えみちゃんが苦しそうな声を上げる。 どうやら、亀頭が処女膜に届いたみたいだ。 「……えみちゃん……。最後だよ?」 苦痛を我慢しているえみちゃんの頭を撫でて上げたい気持ちに駆られるが、迂闊に動くわけにはいかない。 「……あ、あとちょっとなんだ……。 が、がんばる……」 こうしている間にも膣肉は痛いぐらい僕のを締め付けてくる。 ここまで一人で頑張ったえみちゃんに、最後の壁を破るくらい力を貸したかった。 だけど……いや、だからこそ最後までやらせるべきなんだろう。 「……あっ……くっ、んくっ……んんっ、あっ、ぁぁ」 処女膜への刺激があまりにも痛いのか僕のシャツを力一杯握りしめている。 「んんっ……ん、くっ…あっ、ぐっ……あぁぁ……」 「んあっ……は、あっ、あくぅぅ……うぅぅぅ…… ンンぅぅ……!!」 えみちゃんが思わずあげてしまった大きな声と共にブチブチと何かを破く感触が伝わってくる。 そして“一緒”になった証が目に入る。 「……あっ……んっ、う、んくっ……ぅぅ……んんっ!!」 処女膜が完全に破れ、ようやく僕のモノが全てえみちゃんの膣内へと収まる。 時間はかかったけれど、やっとえみちゃんと1つになることが出来た。 「はぁーー、はぁーー……は、あっ…… は、はいっちゃった……おにいちゃんの、ちゃんと」 「えみちゃん。よく頑張ったね」 えみちゃんの頭をなでなでしてあげる。 「え、えへへ……。あたし、いっぱいがんばったよ」 痛がりながらも、すごく嬉しそうだ。 「んっ、あっ……足、ぷるぷるしちゃってる」 何分も痛みを堪えながら、空気椅子みたいな状態を続けていたのだから無理もない。 腰を動かして、気持ち良くなりたいけど……。 「じゃあ、頑張ったご褒美に今度は僕が 気持ち良くしてあげるね」 このままでは、まだ痛いだけだろうから気持ち良くして、少しでも痛みを和らげてあげたい。 陰核の部分を指の腹でコリコリしてあげる。 「……ひうっ、んっ……ふあっ、あぅ……あっ、ぅ、んっ!」 「お、おにいちゃ、だ、だめ……! そんなことしたら あたしが……きもちよく、なっちゃ……ぅ」 「一緒に、って言ったでしょ?」 「んはぁ、い、いっしょに……うっ、ん……いっしょ」 よほど我慢していたのだろう。一緒という言葉のおかげで、少しだけゆとりを見せるえみちゃん。 「ひゃっ、あっ、んはぁ、あっ、あっ、ぅんっ!」 いつも運動をしているえみちゃんの中は、きつく、大きく躍動していた。 びくびくと身体を動かすたび、ねじるような動きが加わり、僕の下半身を痺れさせる。 ――あまり持ちそうにない。 「んっ……んっ……んっ……」 執拗に愛撫で気を紛らわせつつ、腰を動かす。 かすかに――ゆっくりと。 「はっ……んくっ……んっ、ふわぁ……あ、うっ、 んぅぅ……」 まだ少し早かったが僕も後には引けなかった。 動かずにイってしまう。 ただ、男としての無駄なプライドがえみちゃんを苦しめているのもわかっている。 苦痛と快楽を同時に感じ、嗚咽にも似た声をあげる。 「あふっ、んっ……んあっ……お、おにいちゃんの、 ぐりぐり……ふぁ、ああぁ……んんっ!」 「ぁ……あふぅ……ひ、や……あ……ぁ、んっ…… はぁ、あっ……あ、あたしも……がんばる……」 傷をえぐられるように痛いはずのえみちゃんが、まだ僕を気持ち良くさせようと腰を動かし始める。 その気遣いが、また僕を昂ぶらせていく。 「……ぐ、ぅぅ」 いつの間にか、えみちゃんと同じくらい汗を掻いていた。 呼吸も浅くなり、意識が朦朧としてくる。 限界だ。 せめて、えみちゃんの痛みが消えて気持ち良くなるところまでしてあげたいのに……。 「んくっ……んっ! お、おにいちゃんの…… 中で……びくんって、んんっ……!」 「は、ぐっ……あ、うっ、んっ、くぅ……ぅ、ん……!」 えみちゃんは痛そうにしているというのに、あまりの気持ちよさに腰が勝手に動いてしまう。 「あうっ! ん、くっ……あ、ぅん! んっ! ひうっ……くっ、ぐっ、ぅぅぅ……」 「おにいちゃんの……おくまではいってる…… あたしのおくに……んっ、ふぁ、あぁぁ……」 腰の動きが速くなってしまい、えみちゃんが上下に揺れ始める。 そうしているうちに、下半身から次から次へと熱い衝動がやってきて、止められそうにない。 「…はぁ、はぁ……あっ……ううっ!!」 えみちゃんの腰を掴む手に力を入れて、最奥までモノを潜り込ませ、溜まっていたものを解き放つ。 「んっ、んんんっ……あ、あぁ……ぁ…… おにいちゃんの、奥で……びくびくって……」 「……あ……ぁ、ぁ、あったかぁい…… おなかの中に……いっぱい、んっ……ぁぁ」 緊張から解き放たれ、えみちゃんの膣肉が僕のモノ全体を柔らかく包み込んでくれる。 「……くっ……んぅぅ……!」 何だこれ? 背中がゾクリとする。 幼いながらも女性として、精液を受け止めようと膣内がうごめく。 「……あっ…ぁぁ……い、いっぱいでてる…… おにいちゃんから、んっ……ふわぁ……」 「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……はぁはぁ……」 今まで感じたことのない射精感に、呼吸をするので精一杯だった。 「……んっ」 「ひゃっ……んうぅぅっ……!」 射精し終わるとえみちゃんの膣内から肉棒を引き抜く。 えみちゃんの秘部は小さな穴が開いたままで、そこから愛液や破瓜の血、精液が混じった液体がとろりと零れ落ちていた。 「えへへ……お腹あったかい…… おにいちゃんので……いっぱい……」 額に汗を滲ませながら、でもウットリしながらお腹をさすっている。 本当はまだ痛みが残っているだろうに……。 さっき暴走してしまった自分がなんてバカだったのだろうか。 「ん? おにいちゃんの、まだおっきいまま… うずうず、なおってない?」 そんな後悔の念も露知らず、文字通り僕の愚息は未だびくびくとしている。 「……えみちゃん……もうちょっとだけ?」 「うん……。いいよ。おにいちゃんのうずうずが ちゃんとなおるまでがんばる」 えみちゃんは瞳をウルウルさせながら、コクリと小さく頷く。 その様子に、収まりかけていた衝動が再び押し寄せてきた。 足を開かせるのも忍びなく思い。膝を抱えるように丸くなったえみちゃんの上から覆い被さる。 「じゃあ……」 恥ずかしさを隠すため短く声をかけてまだ傷も癒えぬ小さな入口にあてがい、ゆっくり一息で侵入していく。 「……ッ! んんんっ! あっ、あっ……う、ぅン、 お、おにい……ちゃぁん……!!」 とはいえまだ膣肉が異物を押し返そうと抵抗を見せる。 その抵抗を押しのけ、奥まで進む快感は何とも言えない。 「……ん、あっ、あぁ、ぁぁ……ふぅ、ンン、 ひゃっ……あっ、あぁ、ぅぅぅぅぅ……」 「あっ、ん、はぁ……おにいちゃんの、 また……おなかに入ってくるぅ……」 昔、都市伝説程度だが、横向きでエッチすると苦痛が和らぐ噂があった。 それが本当かどうかはわからないが、今、目の前のえみちゃんは、2回目とはいえ、こうして僕を受け入れている。 「んあっ……おにいちゃぁん……くっ、ぅ、んぅぅっ……!」 「大丈夫だよ。今度は僕に任せてね」 だけど、ひょっとしたら、まだ痛いのかも知れない。 先ほどよりは冷静な頭でえみちゃんの様子を窺いながら、動きを大きくしていく。 「……う、んぁ……あ、くっ……はぁ、あぁ、ぁぁ」 「あうっ、ぅん……おにいちゃん、おにいちゃん…… ふあっ……んッ……は、あぁ……」 何度も漏らす“お兄ちゃん”という言葉に、“先生”とは違う別の何かが駆り立てられる。 さすがに体格差もあるためすべて入りきれないが、先端に壁を感じ、そこが子宮口だということ教えてくれる。 「え、えへへ……おにいちゃんので、 ンっ……んんっ……おなか、いっぱい……」 そういってうっとりとした顔を見せるえみちゃんに、心の奥がぽっと温かくなる。 抱えてわかるえみちゃんの小さな存在。 抱きしめればそのまま潰れてしまいそうなその身体で僕を受け止めてくれている。 汗で張り付いた髪の毛が少し色っぽく見え、そんないろいろなえみちゃんが僕を魅了する。 「……? おにいちゃん? さ、さっきみたいにしないの?」 「あたしなら、だいじょうぶだから……。 おにいちゃんに、きもちよくなってほしいから」 動かない僕を心配したのか、不安そうな声を上げる。 正直このままずっといたい気持ちもあるが、僕の下半身は素直にぴくぴくと痙攣している。 「……う、うん。じゃあ、ちょっとずつ動くから。 痛かったら、ちゃんと言ってね」 自分で聞いて恥ずかしくなったのか、小さく無言で頷く。 「……あうっ……んはぁ、はぁ……ぅ、くっ……」 「んっ……んっ、んっ、あっ、あ、ぅ、ん…… ふわぁ……あっ、あっ……あうぅ、ぅん……」 まだ慣れない感覚に戸惑いつつも、どこか詰まったような喘ぎ。 少し堪えるようなその声が、次第に僕の中の何かを大きくしていく。 「……えみちゃん……えみ、ちゃん……」 切なくなって、名前を何度も呼んでいた。 ――突くたびに何度も。 激しくしないように、乱暴にしないように……。暴走しそうになる心を懸命に抑える。 「んっ……おにいちゃん……んはぁ、あっ、ぁぁ!!」 深いところに入ると、苦痛にも似た声を上げる。 ……やさしく……やさしく……。 えみちゃんの内側を撫でるように、ゆっくりとした動きに溜息のような声へと変わっていく。 腰を引き、入口あたりを浅く撫でていく。少しだけもどかしそうに身体を震わせるえみちゃん。 そんな素直な反応が僕を悦ばせる。 「……は、うぅ……あっ、ふぁ、あ……ぅぅん……」 「んっ、んっ……」 「んはぁっ……あふっ、あっ、ぅん……はぁ、あっ…… あぁぁ、ん、は、ぁぁ……」 「お、おにぃ……ちゃぁん……ぁ、んん、 ふぁ、ん……ぁ、ぁ、ぁ」 うっとりとした声で呼ばれ、背中にゾクゾクとした快感が流れる。 「……んん、ぁ……? びくびくって、してる? あたしの……きもちいい?」 「うん。すごく気持ちいいよ」 ゆっくり動くことでよりえみちゃんの中を繊細に感じることができ、僕自身もかなり敏感になっていた。 「へへ……よかったぁ……ちゃんときもちいいんだ」 「えみちゃんは? 気持ちいい、かな?」 「……う、うん。よくわかんないけど…… おにいちゃんがうごくとね、じんじんってする」 感受性が豊かなのか、気遣いだったのかはわからないけど、えみちゃんの中は呼吸に合わせて締めつけてくれる。 その気遣いに僕は甘えていた。 「……ンっ! ンっ! ンっ!」 「ひゃうぅぅっ! あっ! あっ! んはぁ… あふっ、ふぅ…う、ぅぅ……んぅ……」 再び奥をノックするように、大きな動きへと変えていく。 さっきは少し痛がった様子を見せていたが、だいぶ痛みはなくなったみたいで、甘い声を上げてくれる。 「はぁ、はぁ……えみちゃんの、 ぎゅっ、ぎゅって……」 「エッチなところも熱くて……蕩けそうだ……」 「…うくぅぅっ! え、えっちじゃないもん……」 だいぶ僕も朦朧としていたのか、いつの間にか言葉に出てしまっていた。 しかし、えみちゃんは恥ずかしがりながらも一層締め付けを強くする。 ――もしかして。 帰りからずっとむずむずしていたえみちゃん。 羞恥心によって快楽を得るタイプなのだろうか。 どちらにしてももっと困ったえみちゃんが見たかった……。 「でも、えみちゃんのココから エッチなお汁、いっぱい出ているよ?」 まるで二人でこそこそしているように、耳元で囁くように―― 「ひゃうう…そ、そんなとこ…見ちゃ、いや……」 ぞくぞくと身悶えしながら力なく抵抗を見せるえみちゃん。 言葉とは裏腹に、今もなお、僕のものを締め付けてくる。 「……ほら、また……ぎゅってしてる」 囁く声に合わせ、奥を突く度、ぐりぐりと子宮をこじ開けるように動かす。 「んひゃ……あっ…え、えっちじゃない…… んっ……あうっ…あっ、あっ、あ、んんっ」 「お、おにいちゃんのいじわるぅ……あっ、あっ…… あ、う、ぅぅ……んっ……ふわぁぁ……」 きっと部屋どころか、家中に聞こえるくらい甘い声を漏らしている。 さらにあふれてくる愛液が、くちゅ、くちゅと音を立て、それがまたえみちゃんの羞恥心を刺激しているようだ。 「ふわっ、あっ、あ、あ、あうっ、ぅぅ……んんん、 はぁ、あ、うくっ……くぅぅ……」 気のせいだろうか。 僕の腰の動きに合わせ、少し身体を揺すっている感覚。 最初は痛みに耐えるため少し逃げているように感じていたが、奥を突くたび、お尻を突き出しているようだ。 「えみちゃんも動いている? そこ、気持ちいい?」 「……わ、わかんないよぉ……で、でも…… なんか……勝手に……」 自分が感じているのかどうかも分からず、困ったように戸惑うえみちゃん。 普段は決して見せない弱々しい顔。僕にしか見せない顔。 ――もっと見たい。 「それはきっと気持ちいいってことじゃないかな?」 「はぁ、はぁ……えっ? あ、あたし……きもち、よく……?」 えみちゃんの知識とは関係なく、女としての部分が僕を求めているようだった。 そう思うだけで自然と腰に力が入る。 「んひゃうっ! あうっ! くぅぅっ! んんっ! んはぁっ! あっ! あっ! あっ!」 抜けるぎりぎりまで腰を引き、一番奥まで押しこむ。 今度は奥をえぐるように、肉壁を引っ掻くように全体をくまなく腰をゆっくりと大きく動かしていく。 「あくっ! おにいちゃんの……いっぱい…… ふわぁっ、あうっ、あんんっ!」 「……ん、はぁ、はぁ……へ、へんなの…… うずうずだけじゃなくて、わかんないの……」 えみちゃんの小さな体がギュッと縮こまる。 同時に痛いぐらいモノ全体が締め付けられていく。 「はぁ、はぁ……くっ……」 もっと、その姿がみたい。 汗が目に入り、僕の視界を遮ってくる。 目をつむるとえみちゃんがいなくなってしまいそうな感覚に、頭を撫でてその存在を確かめる。 下半身に感じる感触、耳に入ってくるえみちゃんの声に、何度も、何度も腰を強く打ちつける。 「ん、あっ、んあぁぁっ……へ、へんなのいっぱい…… や、ぁ、あぁっ……んんんっ……!!」 「おにいちゃぁん……ふわぁ ……あうっ、くぅ、ぅんん……」 えみちゃんの中からさらに大量の蜜が分泌されて、僕のモノを優しく包み込んでいく。 暖かい……気持ちいい……。 全身が性感帯になったように空気を震わせるえみちゃんの呼吸もこの肌で感じることができそうだ。 「はっ、はっ、はっ……」 「あうっ、んんっ、んくっ、んっ、んっ……」 「へんだよ、おかしいの……おにいちゃん…… おにいちゃん……うっ、あぁあぁ……」 えみちゃんも達しそうになっているのか、体が小さく震えてきている。 僕も油断したらすぐにでも出てしまいそうだが、えみちゃんをちゃんとイカせてあげたい。 暴発寸前のソコを歯を食いしばりながら抑え、必死に腰を動かしていく。 「どんどんくる……あたま、ふわふわってきて……」 「お、おかしいの……こんなの……いやぁ…… あっ、あぁあ……ううぅぅ……」 えみちゃんの言葉に拒否の声が混じる。 聞こえてはいたがすでに僕の中で、その言葉は悦びの意味にしか聞こえなかった。 「んはぁ……んっ、んっ、ひゃ、あっ、あぁ、ん……」 「これ、なにぃ……? わかんないのくる…… た、たすけて……くる、んっ、うくっ、ぅぅ……」 「えみちゃん……えみちゃんっ――!!」 名前を呼ぶ度に、我慢の壁が崩れていく。 ギシギシと悲鳴を上げるベッド、その音が一層僕の男の部分を駆り立てる。 「はうっ…んんっ、んぅっ、んっ、あっ、うっ」 千切らんとするばかりの小さな穴を、幾度となく押し広げる感覚。 「あぁぁっ……や……おかしいの、へんなの…… いっぱい、いっぱい……ゃぁぁぁぁ……」 躍動する狭い中から引き抜き、搾り取られるような快感。 ――えみちゃん、えみちゃん! もう言葉には出なかった。 ただ、押し寄せる快感に溺れないように、えみちゃんにつかまっているのが精いっぱいだった。 「あっ、あぅ!! ……だ、めぇ……! だめ、だめっ、あっ……ぁぁああ――」 「―――――ッッ!!」 「だめっぇぇぇっっ……!? ふぁ、ぁ、ぁ、くっ、や、ぁ…… ンぅんんんっっ…………!!」 射精したと同時におおきく中が波打つ。それは痙攣ではなく、全体をなでるような感覚。 「あっ…あっ…ぁぁ…ぅぅぅ……んくっ…っ……」 射精するたびもっと注ぎ込みたくなる衝動に駆られ、何度も子宮口に押しつける。 「はぁーー、はぁーー…あ、は、あぁ……」 朦朧とした意識がだんだんと帰ってくるのがわかる。 「……あっ……ぁっ……ぅ……」 腕の中で小さく身体を震わせるえみちゃんも、きっと気持ちよかったに違いない。 ――そう思っていた。 「え、えみちゃん……!?」 「……ぅっ、うくっ……ひっく……ぐすっ……」 身体を震わせていたのは快感ではなく、恐怖だった。 何とか呼吸しようと、肩を上下しながらえみちゃんは……。 泣いていた。 「……ぅ、ひぅ……」 必死でそれを隠そうと声を抑えようとすると、より苦しくなって声が漏れていく。 背中に感じる風がやけに冷たく感じた。 「ぇう……んくっ……ぐすっ、うくっ……っ……」 初めて見るえみちゃんの様子に、僕は何も声をかけられなかった。 まさか、大切な家族を、一人の女の子を泣かしてしまうだなんて。 「――えみちゃん」 「……えっく……うく……ぅ……うぅぅ……」 むせかえるような暑い部屋の中、えみちゃんの名前が漂い、消えていく。 僕はなんて残酷なことをしてしまったんだ。 それから僕は汚してしまったシーツを片付けてえみちゃんをベッドで寝かしつけるだけで精一杯だった。 小さな寝息を立てて眠っているえみちゃんの涙をそっと指でぬぐってあげることしかできない。 どうしてこんなことになったのだろう? やはり行動が性急すぎたか? 怖い思いをさせてしまったのか? 後からやってくる自己嫌悪と後悔で胸が押しつぶされそうだった。 数日後―― 「…もぐ…もぐ……もぐ………」 「はぐ、はぐ、むしゃ、むしゃ……んっ……」 「ぷはぁ! ごちそーさまぁーー!」 朝の食卓。 「はぁーー………」 早々に食べ終わるゆうきくんを尻目にえみちゃんは時々箸を止めてボーッとしている。 てっきり、寝て起きたらいつものえみちゃんに戻っていると思ったが……。 どうやら考えが甘かったようだ。 「…! ひうぅ………」 目が合うと、すぐに背けられてしまう。 「……ずずず」 ごまかすように味噌汁をひとすすり。 初めての行為で泣かしちゃってから、えみちゃんはずっとこんな調子だ。 「……………………」 「えみ? 早く食べないと遅刻するわよ?」 「あっ…う、うん……。ごちそうさま……」 えみちゃんは箸を置いて、食卓から離れてしまう。 「なぁ、敦子。最近、えみ、元気ないんじゃないか?」 「今日だって、朝飯、半分も食ってないし どこか具合でも悪いのか?」 隆司さんが不安そうな表情で敦子さんに問いかける。 「うーん。そういえば、そうだけど…。 でも、えみもほら、思春期の女の子だし」 「そういうものか…。だったらいいのだが…」 「………………」 えみちゃんの異変に心当たりがありすぎる僕は内心冷や汗を流しながら2人の会話を聞いていた。 「ふふふ。そのうち、お父さんの下着と一緒に 洗うのは嫌、とか言い出すんじゃない?」 「…!!?」 敦子さんがいたずらっぽく言うと、隆司さんがこの世の終わりみたいな顔をする。 「それに、えみもお年頃だし。 そのうち、家に男の子、連れてくるんじゃない?」 「…ゆ、許さん! そんな奴は俺がこの拳で――」 隆司さんが拳を握りしめて、わなわなと震えている。 いつもは温厚で気さくな人だけど、娘のこととなるとここまで変貌してしまうのか? 「学校では誠人だけが頼りだ。 えみに近づく悪い虫が居たら…わかるな?」 「…は、はい…心しておきます……」 心臓が激しく高鳴る。 まさか、その悪い虫が僕ですなんて言えるはずがない。 「あなた、何を馬鹿なこと言っているの? ほら、早く出ないと遅刻するわよ」 「何を言っているんだ? 敦子? えみの一大事だというのに、会社なんて 行ってられるか!?」 どうやら、えみちゃんに悪い虫がついたと思い込んでしまったようだ。 「はぁーー。これでは先が思いやられるわね」 隆司さんの態度に敦子さんが深くため息をつく。 「ご馳走様でした」 朝食を食べ終わってから箸を置く。 これ以上、ここにいたら迂闊なことを口走ってしまうかも知れない。 早々に立ち去ろうとすると。 「あっ、誠人さん。ちょっと」 「…?」 あまり聞かれたくない話なのか、敦子さんに手招きされて、顔を寄せる。 「主人にはあぁ言ったけど、えみのこと 少し気に掛けて貰ってもいいかしら?」 「……?」 「あの子ね、隠し事をしている時はあんな 感じなのよね。だからお願いしてもいいかしら?」 「はい。かしこまりました」 敦子さんの言葉にギクリとしてしまう。 さすがは母親。よく見ている。 「では、行ってくる」 「あなた、間違ってもえみの学校に行っては ダメですからね?」 「……! わ、わかっている」 隆司さんはビクリとするが、そのまま何事もなかったかのように出て行く。 敦子さんが釘刺してなかったら、本当に学校に姿を現していたかも知れない。 「…………」 …………………………。 「はい。じゃあ、この問題は……、 ことねちゃん」 「はい。124です…。 せんせい。その問題……その、2回目です」 「あっ……」 黒板を見直すと、全く同じ計算問題が板書されてある。 どうやら注意散漫になっているらしい。 「なぁなぁ、せんせ、さいきん、へんだよ?」 「…せんせい? どこかわるいの?」 ことねちゃんに心配されて、ハッとする。 教え子にこんな状態を気づかれてしまうなんて、教師失格だ。 「心配してくれてありがとう、ことねちゃん」 ことねちゃんの頭を撫でてあげる。 「んっ…えへへ……」 「ねぇねぇ、おれは? おれにはぁ?」 クラスの男の子が頭を差し出してくる。 「そうだね。でも、君たちは今、 ドリルをする時間だよね?」 「…あっ…やべっ……」 男の子はバツの悪そうな顔をして席へと戻って行く。 男の子たちの座席に視線を移す。 「すー、すー……んんっ……」 「……はぁーーー…………」 ののかちゃんは小さな寝息を立てて夢の中。 最近では授業中、ののかちゃんが居眠りしたらえみちゃんが起こしてくれていたけど……。 外を見つめ、ため息を吐きながらボーッとしている。 「はい、じゃあ次は上の学年だね。 ドリルの答え合わせするよ」 「では、問1を…ののかちゃん!」 「ふやぁっ! ひゃいっ!!」 いきなり名前を呼ばれたののかちゃんが立ち上がる。 「…あっ……!」 椅子が勢いよく引かれる音がして、えみちゃんがハッとする。 「おはよう、ののかちゃん。 じゃあ、早速、この問題をやってくれる?」 「あ、ううぅ……えみちゃぁん…答えは?」 どうやら1問も解かずに居眠りしてしまったみたいだ。 即座にえみちゃんに答えを聞いている。 えみちゃんもすぐに答えないところを見ると、ののかちゃんと同じく問題を全く解いてないということか。 元々、算数は苦手にしているみたいだし、少し時間を与えてあげるか。 「ののかちゃん。そういうことは先生に 聞こえないようにしようね?」 「はうぅぅ…ごめんなさぁい……」 「じゃあ、次の問題はえみちゃんにお願いするね」 「…は、はい……」 えみちゃんが慌てて問題に取りかかる。 「で、ののかちゃんは、これから先生と一緒に この問題を解こうね」 「はぁい♪」 手招きして前に呼ぶと、嬉しそうにやって来る。 「おっと、その前に――」 ポケットからティッシュを出して、ののかちゃんの口元についている涎を拭いてあげる。 「あっ…。むぅぅぅぅ……」 「んっ…んんん……。ありがと、せんせー♪」 「…1.4+2.3っと」 それから背中を向けて、算数ドリルの1問目を黒板に板書する。 ちなみに上の学年の子たちに今教えているのは小数の計算だ。 「さてと、ののかちゃん。 この問題、まずはどうするんだっけ?」 「えーっと、いちばん右の数をたし算する?」 「うん。その通りだよ。じゃあ、たし算すると?」 「ええと、ええと、んーっとぉ…7?」 算数が苦手とはいえ、1桁の足し算。ののかちゃんは不安そうであるが、すぐに答えを出す。 「よく出来ました。じゃあ、みんなに分かるように 黒板に書いてみようか?」 「うん♪ えーっと、7…っと……」 チョークを貸してあげると、嬉しそうに黒板にデカデカと7の文字を書く。 「じゃあ、次はどうするんだっけ?」 「…んーっと、左の数をたし算する?」 「うんうん。その通りだよ」 「えへへへ♪ えーっと、3…と……」 僕が言う前に答えを出して黒板に書いていく。 「できたぁーーー♪」 満足そうに笑いながら席に戻ろうとするが、残念ながら小数点を付け忘れている。 「おっと、ののかちゃん。 大切なことを忘れているよ?」 「ん? たいせつなこと? うーん……」 小数点だよとすぐにでも言ってあげたくなるが、ここは我慢。 自分で答えを出さないと、また同じミスを繰り返してしまうからな。 「んーっと、ほっぺにちゅー?」 「へっ?」 斜め上過ぎる答えに口をポカンと開けてしまう。 「んななな、の、のの、ほ、ほ、ほっぺにちゅーって… おにぃ…っ…せんせに!?」 「ののかちゃん…、その…ちがうとおもう」 「ふえぇぇ、ちゅー…って、ちゅーー!? ののちゃん!?」 「深海がちゅーだってさ、せんせいにちゅーっ!」 教室中がざわめき立つ。 「えぇ〜、だって、ののん家はいつも パパとママがやってるよぉ? ほっぺにちゅーって」 「いつも、パパがお家出る時ね、ママがたいせつな ことわすれてるって、ちゅーってするよ?」 突如、暴露される深海家の日常。 ののかちゃんの爆弾発言で、教室は大騒ぎだ。 「はい、みんな静かにしようね」 パンパンと手を打ちながら、何とか騒ぎを収めようとする。 だけど、一度切れた集中力はすぐに戻らず騒ぎが収まらない。 「…はうぅぅ……ちゅー……ちゅーって……」 こういう時、率先してみんなを注意してくれるえみちゃんも、顔を真っ赤にしてまごまごしている。 この手だけは使いたくなかったけど、仕方ない。 「みんな、静かにしないと今日の宿題、 いっぱい出しちゃうよ」 「えぇ〜…それはこまるよぉ……」 「おいっ! みんな静かにしようぜ!」 宿題がいっぱいという言葉が効いたのか、一気に静かになる。 効果覿面ではあるが、宿題を増やすというのは罰を与えるということなので、やり方としては好ましくない。 「コホン。ののかちゃん、ほっぺにちゅーじゃないよ。 ほら、数と数との間に……」 教室が静かになってから、再度、ののかちゃんにヒントをつけて問いかけてあげる。 「ん? 数と数のあいだ? うーん、んーー……」 「あっ! わかった! “点”だぁ♪」 ののかちゃんは3と7の間にチョークをグリグリして小数点をつける。 「じゃあ、この問題の答えは?」 「3.7ぁ!!」 自分で解けたことが嬉しかったのかののかちゃんは大きな声で答えを言って、スキップしながら自分の席へと戻っていく。 「はい、ののかちゃん。よくできました。 じゃあ、次の問題をえみちゃん」 「…ひうっ……! ご、5.9……」 目が合うと、えみちゃんは恥ずかしがりながらもきちんと正解を言ってくれる。 「はい、正解です。良く出来ました」 えみちゃんの様子にうっかり口調が固くなってしまう。 「…? えみちゃん……?」 「……………………」 夕方、職員室で1人、午後の社会の授業で行った小テストの採点をしようとする。 だけど全く手がつかない。 「…はっ……だ、ダメだ…。 ちゃんと集中しないと……」 「……………………」 集中しようとして、またボーッとしてしまう。 頭の中に浮かんでくる、えみちゃんの泣き顔。 こうして1人になるとつい思い出してしまう。 えみ (0000) 共通『…ぅっ、うくっ……ひっく……ぐすっ……』 えみ (0000) 共通『…えっく……うく……ぅ……うぅぅ……』 今でも耳にしっかりと残っている嗚咽を漏らす声。 心がズキズキと痛んで、張り裂けそうだ。 きっとご両親もえみちゃんがいつも元気な子であるようにと、“えみ”という名前を付けてあげたのだろう。弟のゆうきくんにしてもそうだ。 取り返しのつかないことをしてしまった。 大切なえみちゃんを自分の手で傷つけてしまった。 …最低だ…僕は…。 「…えみ……ちゃん……」 どうしたら、えみちゃんは再び笑いかけてくれる? どうして、僕はあの日、自分を律さなかった? どうしたら、えみちゃんは、こんな僕におにいちゃんって笑顔で呼びかけてくれる? どうして、僕はあの日、欲望に溺れてしまった? どうしたら……? どうして……? 何度も心の中で繰り返す自問自答。 どんどん強くなる罪悪感と自己嫌悪。 あれから毎日、1人になると同じことを繰り返している。 いっそ、えみちゃんの前から姿を消してしまったらいいのでは? 僕がいなくなれば、えみちゃんはきっと―― いや、それでも傷つけた事実は変わらない。 どうしたらいい? どう償えばいい? 「……せんせ……………瀬田先生……?」 「…! は、遥先生?!」 「ふふふ、そんなに根詰めて、どうしたのですか?」 「えぇ、ちょっと考え事を」 「そう? だったらいいんですけど…」 態度が露骨に出ていたらしい。 遥先生にまで心配かけてしまうなんて……。 「校長先生愛用のちょっとお高いお茶なんです。 他の先生たちには内緒ですよ?」 いたずらっぽく笑いながら机に湯気が立ち上る湯飲みを置いてくれる。 「ありがとうございます。いただきます」 遥先生に淹れてもらったお茶を一口。 「瀬田先生、子供達って大人の変化にすごく 敏感なんです。だから無理は禁物ですよ」 「はい。気をつけます」 一息ついた後、小テストの採点を再開する。 このままでは、クラスのみんなに心配かけてしまう。 しっかりしないと……。 「…はぁ。なんだか疲れが溜まっているな」 仕事を終えて帰る途中。 校門の前では、高そうなスーツを着た男性と遥先生が何やら話し込んでいた。 「…あの男性、どこかで見たような……?」 状況がわからないので、とりあえず目の届く位置から、様子をうかがってみる。 「もうっ! おとうさん? 来るなら来るって ちゃんと連絡ぐらいしてよ」 「そう怒るなって。たまたま近くまで来たから 遥の仕事を見学させて貰おうと思ってな」 「…ひょっとして校長先生に無理言ったの?」 遥先生は少しご立腹のようだ。 「いやぁ、今日は実に良いものを見させてもらった。 黒沢校長に無理言って頼んだ甲斐があったよ」 「ん? 良いものって?」 「真ん中の学年の先生、えーっと瀬田先生だったか? 彼、なかなか良いものを持っている」 「へぇ、瀬田先生の授業を見たんだ」 「あぁ。授業のペース配分もいいし、言葉も 適切な言葉を使っている」 「まぁ、少し気になる点はあったが……」 「気になる点? 瀬田先生に?」 「少し生徒との距離が近すぎではないのかと 思ってな。そこは意識すれば改善できると思うがの」 「それって改善しなければいけない点なの?」 「あぁ。事実、途中、収拾がつかない場面も あったからな。生徒に舐められてはいけないよ」 「それにしても瀬田先生か……。 まだ若いし将来性もある。なかなか良い人材だ」 「そう……」 「ところでお父さん、今日はこのまま帰るの?」 「あぁ。もっとゆっくりしていきたいが、 明日は朝から会議が入っていてな」 「うん。じゃあ、駅まで送ってあげる」 遥先生と男性は2人で職員用の駐車場へと向かっていく。 「…どうやら、遥先生のお知り合いのようだ」 問題なさそうなので、そのまま家に帰る。 ――週末。 「あら? 誠人さん、今日はお仕事?」 「えぇ、校長先生に呼び出されてしまいまして…」 本来なら休日なのだが、校長先生に呼び出されてしまった。 休日にわざわざ呼び出すということは生徒たちに絶対に聞かせたくない話があるということだろう。 平静を装ってはいるものの、昨晩から心臓がバクバクしている。 「おっ、黒沢校長に呼び出し食らうとは 誠人、何かしでかしたのかい?」 「いえいえ、何もしてないですよ」 あるとしたら、えみちゃんとの関係に気づかれてしまったか? だが、明るみになるような言動は一切していないと思う。 「あっ! せんせーだぁ! やっほー♪」 「…おはようございます」 家から少し歩いたところで、ののかちゃんやことねちゃんと出会う。 いつもみたいに3人で遊んでいると思ったがえみちゃんの姿がない。 家にもいなかったし、どこに行ったのだろうか? 「あれ? 今日はえみちゃん、一緒じゃないの?」 「えみちゃんもさそったんだけど、 なんかねぇ、学校に用事があるんだって」 「えみちゃん、さいきん元気ないみたい。 また風邪ひいたのかな?」 えみちゃんは学校にいるのか。ひょっとしたら、会えるかも知れないな。 「そうそう。なんかね、1人でぼーっとして ばっかりなんだよぉ」 ののかちゃんからも、ことねちゃんからもえみちゃんをすごく心配している様子が伝わってくる。 「えみちゃん、お家でもぼーっとしてるの?」 「うん? お家ではいつもどおりだよ?」 ことねちゃんの頭を撫でながら、心配させないための嘘をつく。 「んっ――だったらいいんですけど…」 「そっかぁ、お家ではいつものえみちゃんかぁ。 てっきりせんせーとおんなじかと思ったよぉ」 「ほら、せんせーもたまにぼーっとしてるし。 どっか、悪いのかなぁって…」 ののかちゃんの言葉にうっとなる。 遥先生の言っていた通りだ。生徒たちはこっちが考えているよりもずっとするどい。 「あの……せんせいは――」 「ん? どうしたの? ことねちゃん」 「………いえ、なんでもないです」 何かを言いかけて、そのまま口をつぐんでしまう。 「そっか。じゃあ、僕は学校に行くから、 2人共車に気をつけるんだよ」 「はぁい♪ じゃあねぇ、せんせー」 そのまま元気よく走り出すののかちゃんと、小さくお辞儀をしてからののかちゃんを追うことねちゃんを見送る。 「……………………」 これ以上、引き延ばすわけにはいかないな。 やはり、えみちゃんと2人で話をしてみよう。 そう決心して、学校へと急いだ。 「お待たせして、申し訳ございません」 学校に到着したのは、校長先生と約束した時間ぎりぎりだった。 職員室には他の先生はおらず校長先生が1人だけだ。 「いえ、時間通りですからお気になさらず」 「今日はお休みのところを呼び出してしまって 申し訳ございません」 いつもよりも固い口調の校長先生。 その態度に不安になる。 「それで、本日はどのような」 「…はい。実は瀬田先生に転勤の打診がきました」 「…………えっ!?」 校長先生の言葉に耳を疑う。 転勤してきたばかりなのに、また転勤。 ひょっとして懲罰的な意味合いがあるのではと勘ぐってしまう。 「…あ、あの……僕……」 頭が真っ白になって言葉が出て来ない。 心臓が高鳴り、嫌な汗が噴き出してくる。 「そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ。 転勤とは言いましたが、ヘッドハンティングの ようなものです」 「先方が瀬田先生の仕事をご覧になり、ぜひにと」 「…それで、どこの学校からなのですか?」 「都会の学校で、瀬田先生もよくご存じの――」 校長先生から聞かされた学校の名前は確かに僕がよく知っている学校の名前だった。 国内最高学府への合格者を沢山輩出するだけではない。 その学校を卒業している人には国会議員や賞を取る程の学者、他にも各業界でトップに立っている人が大勢いる。 学生時代からずっと夢見た有名学校の教師としての誘いだった。 「もし話を受けるとなりましたら、 来年度からの赴任となります」 「ですが準備の関係もありますので、 遅くとも年内には答えを聞かせて頂ければと」 「……かしこまりました。 ですが、しばらく考えさせてください」 以前の僕ならば即決するぐらいの話だが、すぐに答えを出すことが出来ない。 なぜか、嬉しいとは思えなかった。 「わかりました。大切なことなので じっくり考えてください」 「…はい」 「はぁー。どうしよう……」 晩ご飯を頂いたあと、すぐに自分の部屋に引きこもった。 あれから、いっぱいいっぱいになってしまってえみちゃんとは会わずにそのまま家に帰ってきてしまった。 何もする気になれず、満天の星空を眺めながら1人物思いにふける。 「これって夢が叶う大チャンスだよな」 断ったら、こんなチャンス二度と訪れない。 それなのに、どうしてこんなに悩むのだろう。 夜空に浮かぶ僕の生徒たち。 まだ出会って数ヶ月しか経っていないというのに、過ごした時間の濃さは桜峰の生徒たちよりも何倍も濃い。 「…えみちゃん……」 今夜、しっかりと話をしようと思っていたのに。 結局、それも出来ないままだ。 「…はぁーー」 ため息ばかり出てくる。 何もかもが中途半端な自分が心底情けない。 「…ひょっとして……」 えみちゃんのことが気にかかっているから転勤の話を即決できないのか? そもそも僕はえみちゃんのことをどう思っている? 大切な教え子の1人?いや、そんな軽いものじゃない。 大切な妹みたいな女の子?それも違う気がする。 だったら? 「…まさかね。そんなこと……」 出そうになった答えをありえないと即座に否定する。 考えないといけないことが沢山ある。どうやら今夜は眠れそうにないな。 「おはようございます」 結局、あれから横にはなったものの満足な睡眠は取れなかった。 重たい体を引きずりながら、朝の挨拶をする。 「おはよー、おにいちゃん」 「あら? 今日はお休みだから、 もうちょっと寝てたらいいのに」 「ははは、そういうわけには……」 朝の食卓。えみちゃんの姿がない。 「あれ? えみちゃんは?」 朝早くからどこか遊びにでも行ったのだろうか? 「えみなら、朝早くから出かけたわよ。 学校の図書室に行くとか言っていたわ」 「…学校の図書室、ですか?」 そういえば、昨日も学校に行っていたらしい。 図書室か。何か調べ物でもあるのかな? 「えみもとうとう勉強に目覚めたのか。 朝一から図書室とは感心じゃないか」 「ふふふ。ひょっとしたら誠人さんの影響かしら?」 「そうかもな。なんせ、誠人は学校の先生だ。 勉強はすごく出来るだろうしな」 「いえ、それほどでもありませんよ」 「ははは、そう謙遜するなよ。誠人は以前、 都内で教鞭をふるっていたからな」 「ひょっとしたら、将来、戻って来いとか 言われるかもな」 「…! ごほっ! ごほっ!」 隆司さんのピンポイントすぎる一言にむせてしまう。 「あら? 大丈夫?」 「…はい。ちょっと変なところに入っただけで……」 最近、ずっと気まずいとはいええみちゃんのいない食卓はどこか寂しい。 「ごちそーさまぁ。あそび行ってくるぅ」 「待ちなさい、ゆうき。ちゃんと下げてからね」 「はーい」 「そういえば、誠人は今日はどうするんだ?」 「はい。少し調べたいことがあるので 自室に籠もろうかと」 「あら? 調べ物だったら隣町の図書館は? あそこは結構大きいし、何だったら車出すわよ?」 「いえ、大丈夫です。ネットで事足りますから」 「ほぉ、インターネットかい。さすがは若者だな」 「お家に居ながら調べ物が出来るのね。 便利な世の中になったものだわ」 「でも、パソコンは1階にしかないし…… 線、届くかしら?」 「大丈夫です。ケーブルがなくてもネットが できるパソコンなので」 2階でも電波がきちんと届くのは確認済みだ。 「ほぉ。インターネットを買う時に、 電気屋のせがれに一番新しい奴って言ってはいたが きちんと仕事してくれたみたいだな」 「もうっ、あなた? 浩二くんに失礼よ。 店を継いで立派に頑張っているんですからね」 「ははは。あいつ、若い時は東京行くって 聞かなかったんだがな。結局、地元の嫁さん貰って 落ち着いたな」 「……。ご馳走様でした」 話題が妙な方向に進みかけているので早々に朝ご飯を食べ終え、食器を流しへと持っていく。 「………………」 自室へと戻り、ノートパソコンを立ち上げる。 ブラウザを開き、ブックマークしていた学校のホームページを開く。 都内でも、いわゆるお金持ちが集まる地域に立てられた学校で有名私学に何人も合格させている。 会社の社長や大きな病院の子息はもちろん、芸能人や各著名人の子息も通うほど有名な学校。 ここで教鞭を執るということは、教師として最高のステータスになる。 無論、強烈なプレッシャーがあるらしいが……。 「はぁーーー」 そんな学校から、教師としてお誘いがきたというのに気分は全く浮かない。 ため息ばかり出てくる。 「………………」 ブラウザを閉じて布団に横になる。 全身の力が抜けていき、多少の抵抗すらなくした身体が、布団に包み込まれていくようだ。 「…………」 おそらく、昨夜眠れなかったからだろう、今になって急な睡魔に襲われる。 そんなものに抗うつもりもなく、僕の意識は急速に遠のいていく。 「ふわぁ…。結局、休日無駄にしてしまったな」 目を覚ましたときには、既に日は暮れていた。 ――すっかりと眠ってしまったみたいだ。 自室にいるのも落ち着かないので、1階に降りる。 「ただいまーー。あっ……!」 学校から帰ってきたえみちゃんと遭遇する。 本でいっぱいになった手提げ袋が重たそうだ。 「おかえり、えみちゃ――」 「あ、あたし…借りてきた本、読まないと……」 えみちゃんはすぐに自分の部屋へと引っ込んでしまう。 避けられているみたいだ。 「あら? えみの声が聞こえたと思ったけど」 「はい。借りてきた本を読まないといけないとかで」 「ふふふ。ずいぶん勉強熱心ね」 「はは、そうみたいですね」 勉強に目覚めたってことだったらどれだけいいか。 学校の図書室で調べ物。それに僕を避けている態度。 一体、どうしたのだろうか? えみちゃんのことが、ますますわからなくなっていく。 それからというもの、僕は転勤の打診で悩み続け徐々に心の余裕を無くしてしまっていって……。 えみちゃんとのすれ違いの日々は続いた。 ………………………………。 「……………………」 「……あむっ……もぐ…もぐ……」 「もぐもぐ…。ん?」 朝の食卓、無言の僕とえみちゃんをゆうきくんが不思議そうな顔をして眺めている。 「ん? えみ? どうしたんだ?」 「んくん…。えっ!? なんでもないよ」 「ほらほら、あなたも早く食べないと遅刻しますよ」 雰囲気の変化に気づいた敦子さんが気を遣ってくれている。 あれほど賑やかだった食卓が静かなものになっている。 「ご馳走様でした。では、僕はやることがあるので」 朝ご飯を早々に切り上げ、学校へと向かおうとする。 「…あっ……おにいちゃん……」 「ん? どうしたの?」 えみちゃんに声を掛けられて嬉しいはずなのに素っ気ない態度を取ってしまう。 「ううん。なんでもない。いってらっしゃい」 そのまま足早に学校へ。 僕自身、えみちゃんとどう接したらいいかだんだんわからなくなっている。 それから数日間―― 転勤のことで悩むだけでなく、えみちゃんとぎくしゃくしたままの日々はまだまだ続いている。 「………………」 「……あっ! せんせ……」 廊下でえみちゃんとすれ違う。 ボーッとしていたから、気づくのが遅れた。 「あっ、えーっとその……あぅ…うぅぅ……」 えみちゃんはうつむきながら、僕の前からさっさと姿を消してしまう。 「…えみ、ちゃん……」 まさか、ここまであからさまに避けられるなんて。 もっと早く話をしていれば、こんなことには。 考えれば考えるほど、深みにはまっていく。 日が経つにつれて、何をどう話していいかわからなくなる。 僕とえみちゃんの距離がどんどん開いていく。 「はい。じゃあ、今日はここまでだね。 えーっと、宿題は――」 黒板に宿題の内容を書き出していく。 「ふえぇぇぇ! せ、せんせー? おおすぎるよぉ」 「そうだ! そうだ! こんなにいっぱい できないよぉ!」 宿題を出したところで、生徒たちからのブーイング。 すぐに黒板を見直す。 「あっ…確かにちょっと多いかもね。 じゃあ、ここを削って――」 ボーッとしてしまったせいか、大量の宿題を出してしまっていた。 「びっくりしたぁ。 せんせーがおかしくなったのかと思ったよ」 「…はは、ごめんね。ののかちゃん、みんな。 じゃあ、寄り道しないで帰るんだよ」 言うことだけ言って、そそくさと教員専用のデスクに腰掛け、日誌をつける。 「えみちゃん、今日、遊べる?」 「…ごめんね、のの。 ちょっと図書室に行こうかなって」 「…? 今日も図書室?」 「うん。ことねちゃん。 ちょっとわからないことがあって」 「ふえぇぇ…。えみちゃんがお勉強? ぶんがくしょーじょだぁ」 「そ、そんなんじゃないよ。 だから、ごめんね、のの」 えみちゃんは荷物をまとめると、教室から出て行ってしまう。 その後、残った生徒たちが集まってカーテンで体を隠しながら何か話し合っている。 何だか懐かしい光景だ。僕もみんなと同じぐらいの歳の時はあんなことやったな。 「なぁ、さいきんの橋本ってなんかへんじゃない? なんていうか、元気がないっていうか……」 「だよねぇ。…どうしちゃったのかなぁ?」 「…えみちゃんだけじゃないような気が……」 「せんせもちょっとへんかな? 今日だって、しゅくだい、すごくいっぱいだったし」 「ん〜そういえばそうかも。私がいねむりしても おこらなくなったし……」 「えみちゃんもののかちゃんを起こさなくなりました。 どうしたのかな?」 「ことちゃんもそう思う? 二人ともヘンだよぉ」 「だよなぁ。前は橋本、せんせ、せんせって せんせーのあとばっかついていったよなぁ」 「あっ! そーいえば、えみちゃん、せんせーの こと話さなくなったね」 「…ひょっとしてけんかでもしたのかなぁ? だったら、仲なおりさせないと……」 「……………………」 最近、えみちゃんだけじゃなくて生徒たちとも何かぎくしゃくしている気がする。 初めてみんなと出会った頃のような少し壁がある状態に逆戻りしているような感じがする。 僕自身が壁を作ってしまっているといえば、それまでだが……。 それでも時間はどんどん経っていき、夏休みまであと少しという時期に差し掛かっていた。 「さてと――」 職員室に戻ってきた後、自分のデスクに腰掛ける。 もうすぐ夏休み。通信簿をつけなければいけない。 生徒たちのこれまでの頑張りを振り返る。人数が少ないとはいえ、大事な仕事に変わりない。 「……はぁーーー」 「どうしたのですか? 瀬田先生? ため息なんかついて」 「先生は通信簿をつけるのは初めてですかな? こんなのガーッとやってバーッと終わらせたら いいんですよ」 遥先生と小野先生も机に向かって、同じように通信簿をつけている。 「小野先生? 通信簿は大事なものです。 しっかりやって下さらないと」 「はい。申し訳ございません。教頭先生」 小野先生が教頭先生に頭を下げている。 「…何でもありませんよ、遥先生。 さてと、まずは――」 出席番号1番の斉田くんから。 国語に関心を持ち、進んで学習に取り組む、か。 「…算数は得意だけど、国語は……」 だけど、最近、ちゃんと単語の意味調べとか忘れずにするようになっている。 その意欲を潰さないために◎をあげよう。 「瀬田先生、甘い採点はよくありませんからね。 心を厳しくして採点して下さい」 「はい。かしこまりました」 心情としては全員にオール◎をあげたいけど。そうもいかない。 「みなさん。いいですか? 私達は評価を 下す立場にありますが、決しておごり高ぶらない ようにお願いします」 「生徒達1人1人に目線を合わせて、しっかり考える。 その心構えを忘れないように」 生徒1人1人に目線を合わせるか……。 「……あれ?」 校長先生の一言に途端に仕事がストップしてしまう。 そういえば、僕、最近、生徒たちのことをしっかり考えていたか? 斉田くんは最近どんな様子だった? えみちゃんは? ののかちゃんは? ことねちゃんは? 「………………」 ダメだ。全然浮かんでこない。 自分の事ばかり考えていて、生徒たちのことが目に入ってないのではないか? 「おや? どうしたのですかな? 瀬田先生」 「いえ、何でもありません」 「はは、根詰めても仕方ないですよ。 どうです? 今夜?」 小野先生は右手でジョッキをくいっと上げる仕草をする。 「ダメですよ、小野先生? ただでさえ、お酒に弱いんですから」 「…確かにそうですが……。何て言うか あの雰囲気が好きなんです」 「…そう言って、結局すぐに酔っ払って寝てしまう じゃないですか?」 小野先生は、遥先生の言葉に息を詰まらせている。 「…でも、週末でしたら、わたしもご一緒したいです」 「おや、遥先生が? そいつはいいですな。 どうです、瀬田先生? 週末のご予定は?」 「ははは、考えておきます」 …ひょっとしたら、遥先生や小野先生にまで気を遣わせてしまっている? 「…瀬田先生。もっと体の力、抜いてもいいんですよ」 「たった数ヶ月で生徒たちは瀬田先生に 心を開くようになりました。ご立派です」 「…そうですか」 「もっと自信を持って下さい。瀬田先生に元気が ないと生徒たちは心配してしまいます」 「…僕、そんなに元気ないように見えますか?」 「私たちが気づくぐらいには、と言ったところ でしょうか?」 「気をつけます」 他の先生たちが気づいているってことは生徒たちも気づいているに決まっている。 そういうことを校長先生は言いたかったのだろう。 とはいえ、悩みがなくなるわけでない。 僕はどうしたらいいのだろう? 考えれば考えるほど、底の見えない暗闇に落ちていってしまいそうだ。 皆に心配掛けないために、早く解決させたい。 焦れば焦るほど、どんどん深みにはまっていく。 ………………………………。 そんな思いを持ちながら、さらに数日―― えみちゃんとはぎくしゃくしたままの状態で、夏休みが目前に迫っていた。 「はい。今日はこれまでだね。じゃあ、今日の 日直の――」 黒板に書いてある、日直 橋本えみを見て少し言葉に詰まってしまう。 「コホン。じゃあ、えみちゃん号令お願いね」 「……………………」 「ん? えみちゃん?」 「えみちゃん、せんせーが呼んでるよぉ」 「…は、はい…! き、起立ぅ! 礼っ!」 ボーっとしていたえみちゃんは噛みながら号令をかける。 「はい。じゃあ、みんな、車に気をつけるんだよ」 それから、いつものように日誌をつけ始めながら横目で生徒たちの様子を窺う。 「ふぃーー。やっとおわったぁ♪」 「ねぇねぇ、えみちゃん、ののちゃん、 どっかあそびいこーよ」 「おっ! いーね。えみちゃんも行くよね?」 「…うーん。ごめんね。日直のお仕事しないと いけないし……」 「そっかぁー。ちゃんとやらないと 怒られちゃうしね」 「そうだねぇ。あっ、ことちゃんは?」 「…ごめんなさい。わたしも今日はおけいこが」 「そっかぁ。ざんねんだなぁ」 「ごめんね。また今度。今度はぜったい行くから」 「約束だよぉ、えみちゃん」 「うん。ありがとね、のの」 「あ、あの…えみちゃん…」 「ん? どうしたの? ことねちゃん」 「…ちょっとだけ、いいですか? ふたりだけで……」 「…? いいよ」 「………………」 生徒たちが教室から出た後、職員室へと戻る。 僕以外、誰もいない職員室でカリカリとペンを走らせ、通信簿をつけている。 小野先生はグラウンドで遊んでいる生徒たちの監督をしていて、遥先生は用事で先に帰ってしまった。 教頭先生も校長先生も所用で席を外している。 「……うーん。あとここだけなんだけど……」 通信簿は残り1人、えみちゃんを残すだけ。 今日中に校長先生に提出しないといけないのに、『担任の先生から』という項目でつまづいてしまう。 「……………………」 何を書いていいかわからない。 えみちゃんとこのところ、会話らしい会話なんてしていない。 だからといって当たり障りない事を書くなんて絶対に出来ない。 頭を抱えていたところでドアをノックする音が聞こえてくる。 「…? はい、どうぞ」 「失礼します」 「おや? ことねちゃん、どうしたの?」 机の上に散乱している通信簿を急いで引き出しの中にしまう。 「あ、あのせんせい。お聞きしたいことが…」 ひょっとして宿題でわからないところでもあったのか? それにしては、妙に堅苦しいような気がするが。 「うん。いいよ」 「は、はい……そ、その…えーっと…うぅ……」 ひょっとして言いにくいことなのかな? ことねちゃんはその場で固まってしまっている。 「…うん」 ことねちゃんは頷くと、小さな口を開く。 「…せ、せんせいは…え、えみちゃんのこと… どう思っているんですか?」 「……えっ!?」 予想もしなかった一言に面食らう。 「…ど、どうって……。大切な生徒だよ? もちろん、ことねちゃんも」 「そ、そうじゃなくて…その…え、えーっと すき、なんですか?」 「…うん。すきだよ。 先生はね、みんなのことちゃんと好きだよ?」 「あうぅぅ…え、えーっと…そのすきじゃなくて その…うぅ…」 どうやら僕の答えは納得がいくものではなかったみたいだ。 「………………」 ひょっとして、ことねちゃんが聞きたい事っていわゆる、男女の好きということなのか? いや、それは考えすぎか……。 「…せんせいとえみちゃん、さいきん、少し おかしいなって…」 「前はあんなになかよしさんだったのに… えーっと、えーっと、その、へんだなぁって」 語彙力が追いついていないせいか自分の言いたいことが上手く言えないみたいだ。 だけど、何が言いたいのか、ちゃんと伝わってきて言葉を失ってしまう。 「そ、それで、さっきえみちゃんとお話したの。 そしたらえみちゃん、くるしいって」 「…苦しい?」 「は、はい…。せんせいと目があったりすると おむねが苦しくなるって……」 「ちゃんとせんせいとお話ししたいけど、 勇気がでないって…」 「そ、それって、その…つまり…すきはすきでも みんなのすきとちがうってことで」 「で、えみちゃんのすきとせんせいのすきって いっしょのすきなのかなって」 一生懸命、僕に伝えようとしてくれることねちゃん。 たどたどしい言葉の1つ1つが矢のように胸を射貫いていく。 えみちゃん、そこまで悩んでいたなんて……。 どうして僕はちゃんとえみちゃんと向き合わなかったのだろう? すぐに2人で話をしていればこんなに苦しめずに済んだのに……。 「ことねちゃん」 「は、はい……!!」 「えみちゃん、まだ教室に残っているかな?」 「今日は日直のおしごとがあるって言ってました」 「ありがとう、ことねちゃん」 ことねちゃんの頭を撫でてから席を立つ。 こうしちゃいられない。 大切な生徒たちにここまで心配掛けてしまったんだ。これ以上逃げることは許されない。 そう思うと、ことねちゃんを職員室に残したまま教室へと駆け出していた。 「…! せ、せんせ?」 「はぁ、はぁ、はぁ……」 放課後の教室、息を切らしている僕を見て瞳を大きく広げているえみちゃん。 「え、えーっと…日誌終わりました… すぐ帰ります……」 目をそらして、急いで荷物をしまおうとするのを尻目に早足でえみちゃんの下へ向かう。 「…待って。少しだけいいかな」 「…う、うん……」 えみちゃんの前の席にある椅子に腰掛ける。 こうしてえみちゃんと向かい合うのは何日ぶりだろうか。 「………………」 すごく緊張する。 心臓がずっとバクバクと鳴り続ける。こんなに緊張するのは採用試験以来か。 落ち着け、落ち着け……。心の中で何度も自分に言い聞かせる。 「えみちゃん…ごめん……!!」 太股に手を置いた状態で頭を下げながら言う。 「…せ、せんせ? ごめん…って……?」 今にも泣き出しそうな、搾り出すような声。 違う! 僕が言いたいことはこんなことじゃない。 「…色々不安にさせちゃったり…… それに、あの日、泣かせちゃって…ごめん……」 何日も前、えみちゃんを初めて抱いた日。 その時、泣かせてしまったことでずっと言おうと思っていた謝罪の言葉。 謝って許されることではないと分かっているけれど。 頭をさらに深く下げて言う。 「おにいちゃん、どうしてごめんなさいするの?」 えみちゃんは後ろを向いてしまう。 『せんせ』から『おにいちゃん』に変わっている。余裕がなくなっているってことだろう。 「どうしてって……」 特に咎めることなく、そのまま話を続けていく。 「おにいちゃんが、あの日、あたしにしたことって ごめんなさい…しないといけないことなの?」 泣き出しそうな、いや、ひょっとしたら泣いてしまっているのかも知れない。 「それは…違うんだ……。そんないい加減な 気持ちでしたんじゃないよ」 「僕は――」 ゴクリと生唾を飲む。 えみちゃんみたいな歳の離れた女の子に本気になってしまうなんて間違っている。 そう思い込もうとしていた。 生徒としてではなく、家族としてではなく1人の女の子として好き。 その感情を頑なに認めようとしなかった。 「…おにいちゃん?」 えみちゃんの不安そうな、そのまま消えてしまうのではないかと思うぐらい儚げな声。 僕の本当の気持ちをちゃんとえみちゃんに伝えないといけない。 なのに、言葉が出てきてくれない。 「…僕は大人だから、ちゃんとしないと いけないのに…できなくて……」 「えみちゃんのこと何よりも大切なのに…… あんなこと…教えちゃって――」 僕は何てヘタレなのだろう。 言わないといけない言葉を言うことができず結局、話をそらしてしまっている。 「…おとなじゃないとダメ、なの?」 再び謝罪の言葉を言おうとしたところでえみちゃんが立ち上がり、僕の方を向く。 目にはいっぱい涙を溜めていて、今にも零れ落ちそうだ。 「……あたしには…まだ…早いってこと?」 「え、えーっと…その…うん、つまりは……」 「あたしたち、いけないことしちゃったの?」 「いや、いけないことでもなくて…… その、えーっと……」 「がまん、できなくなっちゃうから……? がまん、しないとダメ、なの?」 久しぶりに聞く、えみちゃんの甘えが入った声。 「ほら、だって…。こういうことはちゃんと してからじゃないと………」 「で、でも…決していい加減な気持ちじゃなくて… 僕は本気で……でも…えみちゃんを悲しませて」 頭が完全に真っ白で、おたおたしてしまっている。 年上の僕がこんなことでどうするんだ。 「……あたし、ちっともいやじゃなかったよ?」 「あの日、おにいちゃんにいっぱいぎゅって してもらって、すごくうれしかった」 「えっ!? でも……」 「…実は、ちょっとだけ怖かったの」 「そっか…。怖がらせちゃったんだ」 「ち、ちがうの……! おにいちゃんが怖かった とかじゃなくて…その…あうぅぅ……」 体をモジモジさせながら、頬を赤らめるえみちゃん。 「あのね…おにいちゃんがしてくれた時ね… 頭がふわふわぁっていっぱいしちゃって」 「まるで、あたしがあたしでなくなっていくような… このままとけちゃうって、怖くなって……」 「……あっ!」 今更になって思い出す。 あの時、えみちゃんを気持ち良くさせてあげたいといっぱい、いっぱいになっていて。 えみちゃんが絶頂が何かわからず戸惑っていたにも関わらず気を遣ってあげられなかった。 暴走してしまっていた。 「それでね。それからずっとおかしかったの」 「…おかしかった?」 「おにいちゃんと目が合ったり、おにいちゃんの こと考えたら、むねの奥がぎゅーってする」 「それでね、おにいちゃんにぎゅってされたこと 思い出したら、おまたがぬるぬるってしてきて…」 「おかしな病気になっちゃったんじゃないかって…。 でも、こんなこと誰にもいえないし……」 そうか。だからえみちゃんは……。 「あたし、なんとかしようっていっぱいお勉強したよ」 「そしたら、あぁ、そういうことなんだって」 照れくさそうに笑う。 「でも、おにいちゃんはどこか遠くなって… それで、おにいちゃんはちがうのかなって」 えみちゃんをこれ以上傷つけまいと距離を意図的に取ってしまっていた。 さらに追い打ちをかけるように、転勤の話が舞い込んで、さらに距離を開けてしまった。 僕の独りよがりが結果として、えみちゃんをこんなに苦しめてしまっていたなんて。 「…えみちゃん……!」 感情がどんどん高ぶってくる。 席を立って、えみちゃんを抱きしめる。 「…え、えへへ……おにいちゃん……。 また、ぎゅってしてくれた。久しぶりだよ」 僕の腕の中でシャツを掴みながら嬉しそうに言ってくれる。 抱きしめる腕に力を込めて、えみちゃんごと椅子に腰掛ける。 「…おにいちゃぁん……えへへへ…」 えみちゃんが僕の胸に顔を擦りつけてくる。 間近に迫るえみちゃんの頭から甘い匂いがしてきてクラクラしてしまう。 「………………」 二度と感じることは出来ないのではないかと半ば諦めていたえみちゃんの感触。 もう離すものかと、しっかりと受け止める。 「……………」 えみちゃんが顔を上げる。 頬を赤らめ、目をウルウルさせながら僕の顔をじっと見つめてくる。 「…がまん、しなくてもいいよ?」 「――んっ」 「んっ………ちゅっ……んぅぅ……」 吸い寄せられるかのように引かれ合う唇と唇。 「ん、んぅぅ……んはぁ、ちゅっ…ぅん…ちゅる…」 唇と唇を合わせるだけでなく、舌をえみちゃんの口内へ潜り込ませていく。 「ふわぁ、んっ、ちゅっ…んちゅ、ん、んぅぅ」 えみちゃんが僕に合わせるように、小さな舌を絡ませてくれる。 こうしているだけなのに、頭の中がえみちゃんでいっぱいになっていく。 「ふはぁ……え、えへへ…おとなのちゅー、だね?」 唇が離れると、互いの口元から唾液の糸が垂れる。 「…えみちゃん……」 感情がどんどん高ぶってくる。 「…え、えへへ……。おにいちゃん…」 再び目を閉じて、ちょんと小さく唇を突き出している。 「んっ…んんんっ……んん…ちゅ……んっ」 軽く唇を合わせる。 すると、今度はえみちゃんの方から唇を押しつけてくる。 「んちゅ、ちゅっ、ちゅるっ…んっ……んぅぅ… ちゅっ、ちゅぅ……」 小さく開いた口の中に、再び舌を潜り込ませ互いに絡ませ合う。 頭の芯まで痺れてしまうような濃厚なキスをしてしまっている。 「んっ――」 危うく激しくしてしまいそうになる気持ちを抑え、ゆっくりと舌を奥へと潜らせる。 えみちゃんの唾液が流れ込んできて、それを味わいながら、舌と舌とをさらに絡め合う。 「んんっ……! ん、ちゅっ…んんっ……」 えみちゃんが目を固く瞑ったところで、舌を戻し、唇を離す。 焦りは禁物。濃密な時間を楽しむぐらいの余裕を持たないと。 「んはぁ……はぁ……お、おとなのちゅーって すごいね?」 「いっぱいちゅーってしているだけなのに… ドキドキしてきちゃう」 「うん。僕も同じだよ。ドキドキしている」 「おにいちゃんもあたしとおんなじなんだ。 嬉しいな」 「えみちゃん、もっと、しようか?」 「うん♪ いっぱい、いっぱいしようね」 「んっ……ん、ん、んちゅ…ちゅっ、んんんっ…… ちゅる、ちゅるる……」 唇が触れ合った瞬間、えみちゃんの方から舌を突き出し、僕の口の中に舌を入れてくる。 それに応えるように、舌を絡ませ合う。 「ふわぁ…ん、ぁ……んっ、ちゅ、ん、んっ……」 「ん、んふっ……ちゅっ、んちゅ、んっ、ぅん…… ちゅぶっ、ちゅっ、ちゅぅ、ん、ん……」 ここが学校だということも忘れてしまい完全に2人だけの世界に入り浸っている。 僕もえみちゃんも夢中になって大人のキスを続けていく。 「んはぁ……はぁ…はぁ、んっ…ちゅっ……」 呼吸が苦しくなると、口を離す。 だけど、すぐにまた口づけをして舌を絡ませ合う。 離れた距離を取り戻すかのように互いに体を強く密着させながら、何度も繰り返す。 「ン、はぁ…ちゅっ、ちゅぶっ、んっ、んぅぅぅ……」 舌を絡ませるだけでなく、お互いの口内を隅々まで舌で舐めていく。 時折漏れる、甘く切ない吐息に感情はなお昂ぶり続けてしまっている。 「…んっ! ひゃ、うっ……んんっ……」 自然と腕がえみちゃんの小さな膨らみに伸びてしまっていた。 「……んっ…ちゅっ……んぅぅ…ふわぁ…ぅ、んっ」 えみちゃんは一瞬、ぴくりとしただけで僕に体を預け、キスを続ける。 「ン……んっ、んっ……」 ちょこんと主張したえみちゃんのそれが、段々と硬くなっていくのが分かる。 「ふやぁ…あっ…んっ……ふわぁ…んっ… ぅ、んく……」 えみちゃんは声が出そうになると、恥ずかしいのか、唇を押しつけて声を殺す。 その可愛らしい様子を眺めながら、優しく胸を指の腹でコリコリしていく。 「んっ…あふっ……あっ、んっ、は、あっ……」 「おにいちゃんに…やさしくされて…… はぁ、あっ……からだ、あつくなってくるよぉ…」 胸を触っていた手は徐々に下へ下へと下がっていく。 下腹部から太股の上部、そして―― 「…んっ、ひゃっ……んんんんっ!!」 敏感な部分に指が触れた瞬間、えみちゃんが体を大きく震わせる。 大きな声が出てしまわないよう、歯を食いしばっているみたいだ。 「…えみちゃん……これ……」 コットン生地から漏れた蜜は、触れただけで僕の指にねっとりと絡みついていた。 「あうぅ……恥ずかしいよぉ……」 太股をモジモジさせながら、恥ずかしがっている。 「おにいちゃんが、むねとかさわったから…… ここ、すごくジンジンってしちゃって」 「えみちゃん、ここ、もっと触ってもいいかな?」 「…うん……。おにいちゃんが、そうしたいなら…」 指先でスジをゆっくりと一撫でする。 「んっ! ぅ、んんっ……ぅん…ふわぁ…はぁ…… あっ、あうっ……んんっ……」 えみちゃんの反応を確認しながら、指を上下に優しく動かしていく。 「えみちゃんのここ、どんどんヌルヌルに なっていくよ」 「そ、それは…おにいちゃんがさわってるから……」 「おにいちゃんにさわられると…そこ、ぴくぴくって して…いっぱいぬるぬるしちゃう」 「じゃあ、もっといっぱい触ってあげるね」 スジを指の腹全部を使って、優しく擦っていくと、えみちゃんの愛蜜で指がすぐにヌルヌルになる。 「ひゃうぅっ! …ふぐっ、ぅんっ……」 指の腹が小さな突起に触れ、えみちゃんが可愛い声を上げる。 「ここ、気持ちいい?」 パンツ越しに小さく膨らんだ突起を弄りながら聞いてみる。 「はうっ……あっ、んはぁ…そ、そこ…… あっ、んっ、ふわぁ、ぁぁ……ぅぅ……」 触れるか触れないか、ギリギリのラインで突起に触れていく。 えみちゃんは、小さく身をよじらせながら自分から腰を前へと進めてくる。 「んはぁ、はぁ……あ、あたしばっかじゃ… だめ……」 「うっ…ッ……!」 小さな手がギンギンに張り詰めている股間に触れ、思いもしない刺激に小さく声を上げてしまう。 「…おにいちゃん? ひょっとしていたかった?」 「ううん。全然痛くないよ。ちょっとびっくりした だけだよ」 「あのね、あたしもおにいちゃんをきもちよく してあげたい」 「男の子って、ここ、こうされるときもちいいん だよね?」 えみちゃんがゆっくりと手を動かす。 ズボン越しだからか、十分に伝わってこないのがもどかしい。 「えみちゃん、僕のコレ、気持ち良くしてくれる?」 「もちろんだよ。あたしのおててで おにいちゃんの、いっぱいきもちよくしてあげる」 チャックを下ろすと、昂ぶりきったモノが即座に姿を見せる。 「ふわぁ…おにいちゃんの、すごくおっきく なってる」 「すぐに、きもちよくしてあげるから……」 えみちゃんの小さな手が直接、亀頭に触れる。 ただ触れているだけなのに、気持ちいい。変な声が出てしまいそうだ。 「…おにいちゃんのあったかいね。 それに、ぴくぴくしてて苦しそう……」 まるで小動物を撫でるみたいな手つきで亀頭を愛撫してくれる。 「…んっ……は、ふっ……」 思わず息を漏らしてしまう。 「…おにいちゃん、こうしたらいいのかな?」 さすがにモノを手で扱くという具体的なことはわかっていないみたい。 ぎこちない手つきで亀頭を撫でているだけ。 「気持ちいいよ、えみちゃん。 そのまま続けてもらってもいいかな?」 それでも気持ちいいものは気持ちいい。 「うん。おにいちゃん、いっぱいきもちよくなってね」 正直に続けて欲しいと頼むと、えみちゃんは嬉しそうに亀頭を撫で続けてくれる。 「んっ……っと……」 僕はお返しにとばかりにえみちゃんの秘所への愛撫を再開する。 「んひゃっ! あぅっ…だ、だめだよぉ…… あたしがきもちよくしてるのにぃ…」 「僕もえみちゃんに気持ち良くなって欲しいんだよ」 「どうせなら、一緒に気持ちいいこと、 させあいっこしよう?」 「えへへ、そうだね。いっしょ…うん… いっしょ、かぁ」 一緒っていう言葉が嬉しいみたいで、えみちゃんは上機嫌だ。 「ンっ……んぅ……」 「ふわぁ…あっ、あふっ…ん、ぅぅ……ぁ、ん……」 えみちゃんが僕の亀頭を小さな手で包み込み、僕はえみちゃんのスジを丁寧になぞっていく。 「おにいちゃんの、どんどんあつくなってくよ?」 「えみちゃんのだって…あったかいの、どんどん 出てくるね」 「うぅぅ…だって、おにいちゃんの指…… きもちいいんだもん」 どちらかが、相手を気持ち良くさせるのではない。 一緒に気持ちいいところを刺激し合う。 こんな簡単なことなのに、気持ちの昂ぶりが止まらない。 「…はぁ、はぁー、おにい…ちゃん……」 「んっ、んっ…は……あっ……っ……ン…… ふぁ、あ…ぁぁ…んんっ……!」 互いの吐息に熱がこもっていく。 「…ッ……くっ……」 限界が近づいている。もう射精してしまいそうだ。 「…おにいちゃん……あたし…おまたがいっぱい… うずうずって……してる……」 「…は……あっ…っ……あのときみたいに…… 頭…ふわふわぁってしてきてる」 「僕もだよ。えみちゃんのおててで…… 頭がとろけそうだよ」 「…あたしだけじゃないんだ……え、えへへ…… おにいちゃんも…なんだ……」 「そうだよ。えみちゃんに気持ち良くしてもらって イキそうになっているんだ」 「…んっ……ふぁ…こ、これが…イクってこと?」 「うん。だから心配しないでいいからね」 「僕もイキそうだから、えみちゃんも……」 「うん♪ いっしょに、だよ……」 どちらからともなく、唇を重ね合う。 「…んっ、は…ぁ……ふぅ……ちゅっ…ン……」 舌を絡ませ合いながら、一緒に昂ぶり合う。 「…ちゅっ、んっ…んはぁ……おにいちゃん… んっ、んっ……」 「えみちゃん……んっ……えみちゃん……」 お互いの名前を口に出しながら、手の動きを速くしていく。 「おにいちゃん…あたし……あたし…もう……」 「僕も…だから……い、一緒に……」 「うん…いっしょだよ……いっしょに…… んっ、んっ……あっ、あっ、んあぁ……ぁ……」 えみちゃんが一際、大きな声を漏らす。 小さな手が亀頭をぎゅっと包み込み、射精しそうになった瞬間、突起を指で押し上げる。 「ふわぁぁぁ…ぁっ…んっ、はあぁぁぁ……!」 「…ん、あっ……あ…ぁぁ…ぅぁ………」 えみちゃんの体がビクビクと震えるの同時に勢いよく射精してしまう。 「…はぁーー、はぁーー。ありがとう、えみちゃん」 「え、えへへ…おにいちゃんの…いっぱいでたぁ」 手を僕の精液でべっとりさせているにも関わらず、ウットリしている。 「えみちゃんがいっぱい気持ち良くしてくれた からだよ?」 「そっかぁ。あたし、おにいちゃんの いっぱいきもちよくできたんだぁ」 息を切らしながら、達成感に満ちた顔を見せてくれる。 「…ごめんね。えみちゃん、よごしちゃった」 「んーー? 別にいいよぉ」 「でも…おにいちゃんの、まだおっきいままだし… それに、あたしも…」 下半身をモジモジさせている。 このぐらいでは物足りない。もっとしたいと思っているのはえみちゃんも同じみたいだ。 「…おにいちゃんの、あたしのここで、 もっと、きもちよくなれる?」 「うん。僕もコレでえみちゃんをさっきよりも 気持ち良くさせてあげたい」 「えへへ。じゃあ、またいっしょだよ?」 「いっしょに、さっきよりももっときもちいい ことしよ?」 「…あうぅ…おまたが、むずむずしてすーすーする」 パンツを脱がせてから、えみちゃんを抱き寄せる。 愛液でトロトロになっているから、余計に敏感になってしまっているのだろう。 「ふわぁ……ンっ……!」 僕のモノがビクンと跳ね、えみちゃんの秘部に触れる。 「おにいちゃんのすっごく元気だね?」 「待っててね。あたしので、すぐにきもちよくして あげるから」 「…ッ……んっ……!」 えみちゃんが、秘部をモノに押し当ててくる。 とはいえ、えみちゃんとしたのは何日も前のこと。 いくら、ソコが濡れそぼっている状態でもすんなりと入っていかない。 「…んっ…んっ…ご、ごめんね。すぐ、するから」 「慌てなくても大丈夫だからね。 ゆっくりでいいから」 「…ふわぁ…あっ…えへへ……」 頬を優しく撫でて上げると、ふにゃっとした蕩けたような顔をする。 その魅力的な表情を堪能しながら、肉棒の根元をずれないように固定する。 「ひゃっ、あっ、くううぅ……!」 先端が秘穴に当たると、可愛らしい声を上げる。 「…おにいちゃんの…あたって…入っちゃいそう…」 トロトロ溢れている愛蜜が亀頭を濡らしていく。 愛撫はさっき十分にしたし、挿れても大丈夫なぐらいほぐれているだろう。 「じゃあ、えみちゃん。そのまま――」 「うん…。おにいちゃんといっしょに きもちよくなりたい……」 「……っ……んんっ……!!」 えみちゃんが苦しそうな声を上げる。 だけど、極限まで濡れた秘唇はぬるりと僕のモノを飲み込んでいく。 「…ごめんね。痛かった?」 「ううん。痛くないよ? ちょっとびっくりした」 「んっ、んっ……ぅ、うくっ…んんんん……!」 声を漏らしながら、腰をさらに沈めていく。 「…ふぅ……んっ……」 思わず声が漏れてしまう。 まだ受け入れることになれていないソコはものすごい圧力で僕のを締め付けてくる。 「あっ、んあぁ……おにいちゃんの…… 奥まで…はいって……」 「あたしのおくに…おにいちゃんのちゃんと 届いたよぉ……」 「うん。えみちゃんの中、すごく気持ちいいよ。 蕩けちゃいそう」 「そっかぁ。あたしので、おにいちゃんを きもちよくさせてあげられてるんだ……」 「そうだよ。じゃあ、今度は僕がえみちゃんを 気持ち良くしてあげるね」 えみちゃんの膣内を堪能しつつ、ゆっくりと腰を動かし始める。 「ひうぅぅっ! はっ、んっ…ふあっ、あっ……」 「はぁーー、はぁーー、ンっ…くぅぅ……。 おにいちゃんの…すっごく…固いよぉ……」 頬を上気させ、甘い声を発しながら訴えてくる。 モノが馴染んできて気持ち良くなっているようだ。 「…んっ! んんっ…あっ…あ…ぁぁ…ぅ…ん……」 「お、おにいちゃぁん…そ、そこ…ふぁ…… あ…ふっ…くぅぅ……」 一番奥を亀頭で突いてあげると、子犬のような声を出す。 「ここ、気持ちいいかな?」 「うん…おにいちゃんのが、むずむずするところに きて……きもちいい……」 「あっ! んっ! は、ぁ、ぁんっ…ぁぁ…っ…!!」 腰を大きく動かして、膣内全体をモノで擦る。 愛蜜ですっかりヌルヌルになっているので、滑らかに膣内を行き来する。 「はぁ、はぁ…あっ……あたしも……」 「…んくっ……ぅぅ……!」 僕の動きに合わせて、えみちゃんが自分から腰を動かす。 膣内の感触がより強く感じられ、下から上へ電気のような快感が走る。 「おにいちゃん、声、でてるよ?」 「えみちゃんも、だよ?」 「はうぅ……だ、だって…おにいちゃんが… するから……」 恥じらう姿が可愛くて、とても愛しくなる。 よくわからないものがこみ上げてくる。 「ひゃううぅぅっ! そ、そこ……あぁぁっ…!」 夢中になってしまい、つい指先がお尻の穴に伸びていた。 指先が菊門にほんのちょっと触れただけなのに、えみちゃんは大きく体を揺すぶらせる。 「ひゃっ! あっ! んあっ…んっ…んくぅぅっ!」 「…や、ぁ…そ、そこさわっちゃ…ばっちいからぁ」 お尻を動かして、僕の指から逃げようとする。 「んんんっ! あ、うっ、ふわぁ、んはぁ……」 すると、モノが膣内の奥を突き、えみちゃんの体がビクリと震える。 「えみちゃんのだから平気だよ? ばっちくなんかないよ?」 「で、でも…ひゃうっ…うくっ……お、おにいちゃん… いじわるだよぉ……」 過敏に反応するえみちゃんを見ながら思い出す。 そういえば、以前、座薬を入れてあげたときすごく敏感な反応をしていた気がする。 ひょっとしたら、えみちゃんって―― 確かめるように、尻穴の周りを指先でなぞる。 「…んくっ…あっ、あうっ…ふわぁ、あっ、あっ… んんんっ……ぅん………!」 「ん? えみちゃん、ここ、やっぱり嫌かな?」 答えはわかっているけど、意地悪っぽく聞いてみる。 「…ぅぅぅ…そ、そうじゃなくて……その……」 えみちゃんの反応に悪戯心が芽生えてくる。 「うん? その…何かな?」 「おにいちゃんが、お尻のさわると… お腹がきゅんってなっちゃう」 「よくわかんないけど…じわぁってなって…… あうぅぅぅ……」 気持ちいいことは気持ちいいけど、それが何なのかよくわかっていないみたいだ。 「大丈夫だよ。僕に任せて」 お尻の穴に指先を当てて、入ってしまわない程度に力を込める。 「んんん…んんっ…あっ、うぅ…んはぁ……」 「お、おにいちゃぁん…おしり…へんだよぉ……」 「怖がらなくてもいいよ、えみちゃん。 ここが気持ちいいのって、普通のことなんだよ」 アナルで感じることが普通かどうかは知らないが。 こう言ってあげると、安心すると思う。 「だから、力を抜いてね」 「う、うん……おにいちゃんが、そう言うなら…」 今度は秘穴から溢れている蜜を指にからませてから、汁を擦りつけるように尻穴を弄っていく。 「んっ、んっ、んくっ…あ、う、ふわぁ、あぁ……」 「えみちゃん、どうかな?」 「ん、はぁ…な、なんか…おしりもむずむずって してくるよぉ……」 もう少しだけ、強めに愛撫しても良さそうだ。 指の第一関節まで尻穴の中に埋めてみる。 「うくっ……んっ…んんんっ……!」 「ごめんね。痛かったかな?」 「ううん……痛くないけど…へんなかんじ…」 えみちゃんの尻穴は熱を帯びていて、僕の指を押し返してくる。 「じゃあ、もうちょっとだけ――」 「んくぅっ! んっ……ぅん…んんっ…んはぁ……」 中を傷つけないように、少しずつ、少しずつ指を沈めていく。 「はぁ、はぁ…あっ…はぁーーっ、ん、はぁ……」 指が半分ぐらいまで入ったところで、えみちゃんの呼吸が荒くなる。 これ以上は、さすがに辛そうだ。 「……んっ……んっ…」 えみちゃんの呼吸が落ち着いたのを見計らって、入れている指でほぐすように尻穴の中を弄る。 「ふわあっ…あっ……お、おにいちゃんっ……」 「あっ、あっ、んあぁっ……んっ…んくっ…ううぅ… あ…あぁぁ……ぁぁ……」 中がほぐれてくると同時に、漏らす声に甘さが強くなっていく。 「ふわぁ…んっ…んは、あぁ…あっ…あっ…んくっ… ンン、うぅ……んんっ……」 快感が強くなってきているのか? えみちゃんの膣内が僕のモノを強く締めてくる。 「…っ……くっ…んっ……」 途端に射精感が上り詰めてくる。 耐えるように息を押し殺して、えみちゃんの尻穴の愛撫を続けていく。 「はぁ、はぁ、っ…んっ…な、なんかへん…だよ… おしりなのに…頭のふわふわ…きちゃってる……」 不安そうなえみちゃんの声。 「大丈夫だよ。お尻で気持ち良くなるのって おかしいことじゃないからね」 「そうなんだ……よかったぁ……」 励ましながら、ゆっくりと指を動かしていく。 動かせば動かすほど、膣内の締まりが強くなって油断したらすぐに射精しそうな程、昂ぶってしまっている。 「…はぁ……はぁ……んっ……くっ……」 「…おにいちゃん、くるしいの?」 「その逆だよ…。えみちゃんのが気持ち良すぎて」 「そっか、おにいちゃんも、きもちいいのが いっぱいなんだ……」 そう言っているうちに、お尻の中はずいぶんほぐれたみたいで、指がスムーズに動く。 「……おにいちゃん……あ、あのね…あたし…… もう…がまんできなくなってきてる……」 尻穴を弄っているうちに、快感が上り詰めてきたみたいだ。 「うん……。僕もだよ」 「…あたし、またおにいちゃんといっしょがいい」 「おにいちゃんといっしょに…いっぱい…あの… ふわふわぁってしたい」 「いいよ。じゃあ、ちょっとだけ強くするからね」 コクンと小さく頷くえみちゃん。 それを見てから、お尻の中の指を早く動かす。 「あっ…んはぁっ……はぁっ……んっ…んっ……」 「んあっ……あ、あたし…あたし……もう…っ…!」 えみちゃんが自分から腰を動かしてくる。 「おにいちゃん…おにいちゃん…あっ、あっ、あっ… んはぁ…あっ……ぁぁ…んっ…くぅぅぅ……」 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ……」 指を出し入れしながら、腰を早く動かす。 「ひうぅっ! お、お尻もおまたもすごいの… いっぱい…いっぱい…じんじんくる……」 「さっきよりもすごいの…どっちもくる…… んっ、んっ……んくっ……んぐっ……!」 えみちゃんの中が小刻みに震え、新たな快感を与えてくる。 「んんんっ! あっ、あくっ…んっ、んっ…… くぅっ、うくっ…ぅぁぁ…あぁぁっ……!!」 「はぁ、はぁ……あっ……うっ……んんんっ!」 「あっ、あっ、ぁぁ、あ、あぁあぁあぁぁぁ……!」 肉棒がえみちゃんの一番深い部分に当たり、指が全部埋まった瞬間、えみちゃんが大きな声を上げる。 あまりにも強烈な締まりに堪えきれなくなり、えみちゃんの中で射精してしまう。 「……あっ……はぁ……はぁっ……あうっ…… あ、あったかいの……はいってきてる……」 「おにいちゃんの…あたしのお腹で…ぴくぴくって… いっぱい…でてるぅ……」 「…う、うん……。えみちゃんのすごく気持ちいいよ」 「え、えへへ…よかったぁ……。 おにいちゃんといっしょに…きもちよくなれた…」 「そうだね。また、一緒、だったね」 えみちゃんのお尻から指を抜いた後射精の余韻に浸りながら、えみちゃんを抱きしめる。 「おにいちゃん…あったかいよ……」 えみちゃんがぎゅっと抱きしめ返してくれる。 女の子の甘い匂いと汗の匂いが混じった香りが鼻腔をくすぐる。 腰がガクガクしていて、しばらく動けそうにない。 「…おにいちゃんにぎゅってしてもらうと、 むねのおくがポカポカしてくる」 甘えるように、じゃれ合うように頭を胸元へとグリグリとすり寄せてくる。 そんなえみちゃんの頭を優しく撫でながら、心地よい疲れに身を委ねていた。 …………………………。 ………………。 …………。 あれから、えみちゃんの股間をティッシュで綺麗に拭いて、2人でまったりしていた。 一体どれぐらいの時間が経ったのだろうか? 外から聞こえていた生徒たちの声は完全に聞こえなくなっている。 「えみちゃん、もう大丈夫?」 「うん。だいじょうぶだよ」 絶頂の余韻もようやく収まり、足取りもしっかりしている。 「………………」 「ん? どうしたの? おにいちゃん?」 黙ってしまった僕を心配して、声をかけてくれる。 ちゃんと口に出して言わないといけないことがある。 緊張で心臓の鼓動が早くなっていく。 「………………」 えみちゃんは僕の態度を察してか、黙って、僕の顔を見つめている。 「えみちゃん」 「は、はいっ!」 「…僕、えみちゃんのこと、好きだよ」 「…!」 搾り出すように言った一言で、えみちゃんは大きな瞳をさらに大きく開ける。 「すきって、どれぐらいの“すき”? みんなと同じの“すき”?」 不安げに聞いてくる。 もっとはっきりと言ってあげないと……。 「もっと強い、特別の“好き”だよ」 生徒としての“好き”ではない。もちろん、家族としての“好き”でもない。 1人の女の子として“好き”―― それをきちんと伝えたいのだけど、上手い言い方が思いつかないことが情けない。 「えへへへ。そっかぁ、とくべつの“すき”かぁ」 照れながらも満面の笑みを浮かべてくれている。 どうやら、ちゃんと伝わったみたいだ。 「そっか。やっぱりそうだったんだ」 「おにいちゃんも、あたしと同じだったんだ」 『やっぱり』という言葉からえみちゃんも、どこか察するところがあったようだ。 「うん。待たせてゴメンね?」 「えへへ。あのね、おにいちゃん」 「あたしもおにいちゃんのことすき―― だいすき」 「ちゅっ――」 えみちゃんは、僕に抱きついてきて唇を合わせてくる。 「んっ……」 目を閉じて、えみちゃんからのキスに応える。 お互いの“好き”が通じ合ってする初めてのキス―― 体が熱くなって、そのまま溶けてしまいそうだ。 学校からの帰り道―― あたりはすっかり暗くなってしまっていた。 「〜〜〜〜〜♪」 えみちゃんはご機嫌で、子犬みたいに僕の周りをうろちょろしながら歩いていた。 「えみちゃん、そんなにはしゃぐと危ないよ?」 「ん? だって、嬉しいんだもん」 こんな元気な姿を見るのは久しぶりだ。それはそれで、良いのだけど……。 「…また、転んじゃっても知らないよ?」 教室での行為で、パンツを汚してしまったのでえみちゃんはパンツをはいていない。 以前みたいに尻餅をついてしまったら、あらぬところが丸見えになってしまう。 「あうっ…! うぅぅ…おにいちゃんのえっち」 真っ赤になりながら、スカートの裾を押さえている。 太股をモジモジさせているのは、意識してしまったからなのか。 「ほら、えみちゃん」 「あっ…。うんっ! えへへへ♪」 手を差し出してあげると、嬉しそうに握り返してくれる。 「そういえばお腹空いたね。 今日の晩ご飯は何だろう?」 「あたし、ハンバーグがいいな。 おかあさんの作るハンバーグ、おいしいもん」 「そうだね。敦子さんの作るハンバーグ、 とても美味しいよね」 「うん! そうぞうしたら、お腹ぺこぺこに なっちゃった」 「じゃあ、早くお家に帰らないとね」 「うーん…もうすこし、このままがいいな」 えみちゃんの手に力が入る。 もう少し2人きりがいいということかな。 家に帰ったら、2人きりというのは無理だろうし、僕も少し名残惜しい。 えみちゃんと手をつなぎながら、いつもよりもゆったりとしたペースで歩くことにする。 「ねぇねぇ、おにいちゃんは明日、学校?」 「ん? そうだね…… えみちゃんは? お友達と遊ぶの?」 本当は少しやり残した仕事があるけど、今はこの時間をゆっくり過ごしたくて、僕はその言葉を飲み込んだ。 「うーん、誰とも約束してないし……。 ねぇ、明日はおにいちゃんもお休み?」 そんな上目遣いでお願いされたら断れない。 仕事自体、家でもできることだ。後でこっそり済ませておこう。 「そうだね。明日は休もうかな?」 「そっかぁ。えへへ……。 おにいちゃんもお休みなんだ」 嬉しそうな声を上げるえみちゃんだけど、どこかまだ物足りない言い方だ。 ――僕が引っ張ってあげないと。 「えみちゃんさえよければ、明日、僕と一緒に 遊びに行かない?」 「…ふえっ!? い、いいの?」 「うん。仲直りのデートなんてどうかな?」 「で、デート!? おにいちゃんと……」 「うん。えみちゃんさえ良ければ、2人で……」 「そっかぁ。2人だけかぁ……。 えへへ、えへへへ……」 嬉しそうに笑っている。 ずっと、思い悩んでいる顔だったから、こういう笑顔を見ることが出来るのは嬉しい。 「えへへ。明日はおにいちゃんとデート♪」 「明日が楽しみ♪」 それからも、僕たちはすれ違った時間を埋めるように色々な話をした。 家に着くまで、たっぷり1時間はかかったと思う。 帰宅すると、敦子さんが出迎えてくれた。 「えみ、遅かったわね。あら? 誠人さんも 一緒だったの?」 「ええ。偶然、帰りが一緒になりまして」 さすがに、教室であったことを話すわけにはいかない。 「ふふ、手までつないじゃって。 仲良しさんね」 そういえば、ずっと手を繋いだままだった。 「うん♪ なかよしさんなんだよ♪」 えみちゃんは嬉しそうに敦子さんに答えている。 「もうご飯出来ているから、2人共、手を洗って いらっしゃい」 えみちゃんが家でこんなに元気なのは、久しぶりだからか。 敦子さんは安心したような顔をして、そのまま奥へと引っ込んでいく。 「…………」 思えば、僕のせいでたくさんの人に心配をかけてしまった。 もっとしっかりしないと―― 転勤のことも、そう遠くない日に決断しないといけない……。 ――翌朝。 「はぐはぐはぐ――おねえちゃん、ウインナー 1本ちょうだい」 「しょうがないなぁ。はい」 「やったぁ♪ ありがとぉ♪」 みんな揃っての朝食、えみちゃんはすごくご機嫌だ。 「おっ! えみ、どうしたんだ? やけに嬉しそうじゃないか?」 昨晩から、えみちゃんはすっかり以前までの元気を取り戻していて、隆司さんも嬉しそうだ。 「うん♪ あのね、これからデートなんだ」 「ぶっーーー!!」 えみちゃんの一言で隆司さんが飲んでいたお茶を吹き出してしまう。 「うわっ! おとうさん、きたなーい」 「もうっ! あなた? お行儀が悪いわよ。 子供たちの前なんですから」 「だ、大丈夫ですか……」 いつも持ち歩いているハンカチを取り出し、隆司さんの背中をさする。 正直原因が僕自身という事もあり、なんだか嘘をついているようで胸が痛い……。 「ゴホッ! ゴホッ! はぁ、はぁ、はぁ……。 あ、敦子、お前も何を落ち着いているんだ?」 「今、えみ、言った。デートって、デートって!」 隆司さんは盛大に取り乱している。 「えみもお年頃なんですから、 デートぐらいするわよ、ねぇ?」 「ねぇって……い、いや、隆司さん、 デートと言っても――」 「いや、いくら何でも早すぎるっ! えみはまだ社会人じゃないんだぞ」 どうやら学校を卒業しないと認めないということか。 デート1つでこれなのだから、娘さんを下さいなんて言った日にはどうなるのか? 「………………」 寒気がしてくる。今は考えるのはよそう。 「それで、えみ。どこに行くの?」 「あのね、おにいちゃんと隣町でデートするの」 「…やっぱり誠人さんとか。 ふふふ、誠人さんと一緒なら安心ね」 まるで、わかっていたかのように言う。 「な、なんだ、誠人とか。だったら問題ない。 危うく心臓が止まるかと思ったよ」 「いーな、いーなぁ。ぼくもでーといきたい」 「こら。ゆうきは今日、お友達と約束して いるんでしょ?」 「そうだぞ。男の子は約束を破っちゃだめなんだ」 「うん。そーだね」 ついて来たがるゆうきくんを隆司さんと敦子さんがたしなめている。 ゆうきくんには悪いけど、ほっとしてしまった。 朝食後、一旦、自室に戻って出かける準備をしてから1階に降りる。 隆司さんはゆうきくんと出かけたみたいで、2人の姿はすでになかった。 「えみちゃん、準備できた?」 「うん、あたしも準備できたよ。おかしくないかな?」 愛用の服に身を包んだえみちゃんが居間にやってくる。 やはり、女の子だからか、服装が気になるらしい。 「ちっともおかしくないよ。可愛いよ」 「ふえっ!? か、可愛いって……。 えへへ、おにいちゃんに言われるとうれしいな」 「あらあら、えみがおしゃれに気を遣うだなんて…」 「ふふ、そんなに誠人さんとのデートが嬉しいの かしら?」 「もうっ! おかあさん、からかわないで!」 「はいはい。あら? えみ、ちょっとじっとして」 「ん?」 「寝癖が少し残っているから……。 せっかくのデートなんだから、ちゃんとしないとね」 敦子さんがえみちゃんの髪をほどき、ブラシでとかしてから、丁寧に結っていく。 「……これでよしっと!」 「おかあさん、ありがと♪」 「ふふふ、どういたしまして」 「そういえば、2人共、お昼はどうするの?」 「そうですね。せっかく隣街まで出るので えみちゃんとどこかで食べて来ようかと」 「えっ!? おにいちゃん、いいの? やったぁ♪」 「よかったわね、えみ。 でも、誠人さんに迷惑かけちゃダメよ? ちゃんと言うこと聞くのよ?」 「うん! あたし、子供じゃないからわかってるよ」 「それでは敦子さん、行ってきます。 夕方には戻ると思いますので」 「えぇ。えみのことお願いしますね」 家を出発してから、すぐにえみちゃんと手をつなぐ。 にこにこしているえみちゃんと他愛もない話をしながら駅に向かってゆったりと歩いて行く。 その時間が思いの外楽しいもので……。あっという間に駅に着き、来た電車に乗る。 「へー、こっちは賑やかなもんだね」 隣町の駅前商店街―― 電車で数駅ぐらいなのに、住んでいる亘理町とはずいぶん違う。 都会の駅のように人混みに溢れているわけではないがそれなりに賑わいを見せている。 さてと、まずはどこへ行こうか? ちらりと時計を見てみる。 「…11時か」 昼食をとるには幾分早いし、どうするか。 「えみちゃん、どこか行きたいところあるかな?」 「んーー。おにいちゃんといっしょだったら どこでもいいけど――」 「あっ! そうだ! あたし、お洋服屋さんに 行きたい!」 「洋服屋さんか、そういえば……」 駅前でちょっとお洒落な服屋があったから、そこに連れて行くか。 それにしても洋服か。 えみちゃんも年頃の女の子だし、オシャレに興味を持ち始めたってことかな。 「みてみて! これ、よく雑誌の女の子が 着ている服だよ」 えみちゃんがニコニコしながら、最近の都会の女の子が着ているような服を手に取る。 あのワンピースみたいなのって何ていうのだろう? よく見かけるが、こういうことに疎いから、名前が分からない。 「ねぇ、どうかな? 似合ってる?」 服を手に取り、前で合わせている。 「うん。よく似合っているよ」 贔屓目無しで、えみちゃんによく似合っていると思う。 裾が短い気もするが、あれは確か下に長ズボンとか着るものだったはず。 「へぇ、これ、チュニックって言うんだ」 値札に書かれている内容を見て、えみちゃんが手に取った服がチュニックっていうものだと知る。 「…………」 その下に赤字で書かれている値段を見て絶句してしまう。 量販店で売られているような服とは比べものにならない値段だ。 普段、お金を使うことがないから買ってあげることはできるが……。 あまり高価なものを与えると、敦子さんたちに悪い気がする。 「他のも見てみたらいいよ」 「うん。そうだね。カワイイのいっぱいある」 えみちゃんは、服を戻してから他の服を物色し始める。 「………………」 他の客たちが怪訝な目で僕たちを見ていて何だか落ち着かない。 中には携帯電話を片手に何らかのアクションを取ろうとしている女性もいる。 兄妹にしては歳が離れすぎているし、親子にしては歳が近すぎるから怪しいってことか。 「うぅぅ……さすがにこれは…… ちょっと恥ずかしいけど……」 えみちゃんが手にとっているのは、胸元が大きく開いた際どいデザインのキャミソール。 それを見た客たちは僕を不審者を見るような目で見てくる。 携帯電話を持っている女の人は番号を押している。 このままでは通報されてしまう。 「…えみちゃんには、もう少し大人しいデザインが 似合うかな」 「そっかぁ。じゃあ、他のを見てみる」 キャミソールを元に戻して、大人し目のデザインの洋服を見ている。 「………………」 他の客達の視線が突き刺さる。 さて、どうしたものか。 考えを巡らせていたところに、モデル体型のスラッとした店員らしき女性が近づいてきた。 「あっ、すいません。ちょっといいですか?」 店員が声を掛けてくる前に、こちらから声を掛ける。 若い店員はおどおどしながらも、しっかりと丁寧に対応してくれる。 「実はこの子に服を買ってあげたいんですが、 どれが似合いそうですか?」 「えっ!? おにいちゃん、いいの?」 服を買ってあげるという言葉に反応したようだ。 えみちゃんが僕のことを“おにいちゃん”と呼んだことで、兄妹と認識されたみたい。 それを皮切りに他の客も僕たちから視線を外す。 携帯電話を持っていた女性は、鞄に携帯電話をしまっているし、一安心だ。 「僕はこういうことに疎くて……。 どれがいいかオススメしてあげてくれませんか?」 それでしたらと、店員はニコリと笑いながら他の売り場へと案内してくれる。 えみちゃんの手を引いて、店員さんに付いていく。 「あーーーー! えみちゃんとせんせーだぁ♪」 「あら、瀬田先生、娘がいつもお世話になっております」 案内された先には、なんとののかちゃんとののかちゃんのお母さんが一緒にいた。 「へー、ののもこっちにきてたんだ」 「うん♪ きょうはね、ママとお買いものなんだよぉ」 「そっかぁ。ママとお買い物なんだね。 よかったね、ののかちゃん」 いつものクセでののかちゃんの頭を撫でてしまう。 「えみちゃん、ひょっとしてせんせーと デートぉ?」 「え、えーっと…その……う、うん……」 ののかちゃんの一言に恥ずかしながら首を縦に振っている。 「あらあら、いいわね、えみちゃん」 娘同様おっとりしたののかちゃんのお母さんは微笑みながら2人の会話を聞いている。 これが都会だったら、問題に発展するんだろうな。 「いいなー。私もせんせーとデートしたいよぉ」 「だめ〜。今はあたしがデートしてるの♪」 「ふふ、そうよ。のの。それに、この後、 パパも一緒に3人でデートするんでしょ?」 「はぁい。せんせーとえみちゃんはらぶらぶだし、 私はパパでがまんする」 「もうっ、ののったら。そんなこと言ったら パパ、泣いちゃうわよ?」 「…はうっ…ら、らぶらぶって……。 もうっ! ののったら……」 まんざらでもなかったのか、嬉しげに体をモジモジさせている。 「それで、ののかちゃんは可愛いお洋服を 買ってもらったみたいだね」 「ん? せんせー、見たいの? じゃじゃーん♪」 ののかちゃんが、紙袋から買って貰ったものを取り出す。 シンプルなデザインの可愛らしいキャミソールだ。 「ふわぁ、かわいいね〜」 「うん♪ さいきん、おむねのところが ちょっときゅーってするから、あたらしいの 買ってもらったの」 「えっ!? むねがきゅーって……まさか…… えっ……そんな……」 同い年の女の子の成長に唖然とするえみちゃん。 「のの、パパ、駅前に着いたみたいよ」 ののかちゃんのお母さんが携帯電話を確認しながら言う。 「うん♪ じゃあね、えみちゃん。 また明日ねーー♪」 ののかちゃんはお母さんと手をつないで店から出て行く。 「(僕はえみちゃんのむね、好きだよ)」 店員に聞こえないようにこっそり耳打ちする。 「えっ!? でも、あたしのそんなに おっきくないよ?」 「えみちゃんのだから、だよ」 「えへへへ♪ そうなんだぁ♪」 途端に上機嫌になるえみちゃん。 それから、店員に勧められた手頃な値段のチュニックを買ってあげ、店を出た。 「おにいちゃん、ありがと♪」 チュニックが入ったお洒落な紙袋を手提げ鞄にしまい、嬉しそうなえみちゃん。 「はい。どういたしまして。さてと――」 時計を確認すると、12時を少し回っている。 「そろそろお昼ご飯だね。 えみちゃん、何か食べたい物あるかな?」 駅前はファミレス、喫茶店、ファーストフード店、一通り揃っている。 「んーと、そうだ! あそこのクレープ食べたい。 イチゴのやつ」 えみちゃんが指さしたのは、屋台のクレープ屋。 評判の店なのか、すでに何人か並んでいる。 「うん、いいよ。じゃあ、買ってくるから ここで大人しく待っていてね」 「うん。ありがとう、おにいちゃん」 えみちゃんを置いて、クレープ屋へと向かい列に並ぶ。 5分ぐらい経ってから、ようやく順番が回ってきた。 「いらっしゃい。何にしましょう?」 「えーっと、ストロベリーと…… ツナサラダを1つずつ下さい」 「はいよ。すぐに出来るからね」 クレープ屋は熟練の手つきで、僕が注文したものを焼いていく。 目にも止まらぬ早業、すぐに出来上がっていく。 「へい、クレープ2つお待ち! 熱いうちに食って下さい」 「はい。ありがとうございます」 料金を支払い、クレープを2つ受け取る。 濃厚な甘い匂いがここまでしてくる。これは美味しそうだ。 「ごめんね。待たせちゃって。 はい、イチゴのクレープ」 買ったばかりで温かいクレープを手渡してあげる。 「えへへ、ありがと♪ あまーーい♪」 クレープにぱくつき、蕩けそうな笑顔を見せてくれる。 「うん。さすがひょうばんのお店だね。 一度、食べてみたかったんだ」 「そっか。やっぱり評判のお店だったんだね。 はむっ――」 ツナサラダのクレープをかじると、ジューシーなツナに新鮮な野菜の味がマッチしている。 さすが評判になるだけある。 「おにいちゃんは何にしたの?」 「ん? ツナサラダだよ。一口食べてみる?」 「うん♪ はむっ……もぐもぐ……」 僕の食べている方を口元に近づけてあげると、パクリと小さな口で食いつく。 「どう? 美味しい?」 「甘くないクレープって、ふしぎな感じ。 でも、すごくおいしいよ」 「ねぇ、おにいちゃん。あたしのも一口食べて。 はい、あーん……」 えみちゃんが自分のクレープをひょいと差し出してくれる。 「ありがとう。あむっ……」 甘みの強い品種のイチゴだろうか? 上品な甘みにクリームのほのかな甘みが口いっぱい広がっていく。 「どう? おにいちゃん? 甘いのおいしい?」 「うん。とっても美味しいね」 「でしょ? えへへへ、よかった」 えみちゃんが満面の笑みを浮かべる。 これぞ恋人といったやり取りに、道行く人たちが色々な視線を向けてくるが気にしない。 「さてと、これからどうしようか?」 空いている方の手を差し出しながら聞く。 「おにいちゃんといっしょだったら、どこでもいい」 手を握り返して言ってくれる。 「そうだね。だったら歩きながら考えようか?」 「うんっ!」 それから、手を握りながら隣町を2人で散歩した。 休日ということもあってか、クレープ屋以外にも色々な屋台が出ていて、まるでお祭りの縁日みたいだった。 商店街を抜けたところに、ちょうど映画館があったので2人で話題の映画を見た。 映画が終わるころには、すでに夕方になっていたので駅前へと引き返した。 「…もうこんな時間か。そろそろお家に帰らないとね」 「うぅ…。もっとおにいちゃんとふたりでいたいよ」 楽しい時間が過ぎるのはあっという間で、えみちゃんは名残惜しそうだ。 「ほら、デートは今日だけじゃないからね」 「もうすぐ夏休みだし、そしたら、もっといっぱい 遊べるよ?」 「えへへ、そうだね。そっか、もうすぐ夏休みだ」 不満げな顔が一転して笑顔になる。 ニコニコしているえみちゃんと一緒に電車に乗り、亘理町へと戻って行った。 えみちゃんとの初デートが終わった日の夜―― 「えーー! おねえちゃんとおにいちゃん、 アネゆきみたのぉ? いいなー、いいなー」 「いいでしょー? すごく面白かったぁ」 「あとね、駅前のクレープ屋さんのクレープ食べたよ。 イチゴがね、すっごく甘くておいしかった」 食卓で、今日のことを嬉しそうに家族に話している。 ゆうきくんはうらやましそうにえみちゃんを見ている。 「ふふふ、よかったわね、えみ。 誠人さんも、今日はありがとうございました」 「いえいえ、僕もすごく楽しかったですから」 「でね、おにいちゃんにお洋服買ってもらっちゃった。 すっごくかわいいの!」 紙袋からチュニックを取り出して、みんなに自慢している。 「あら。ほんと、ごめんなさいね、誠人さん」 「えみちゃんに似合いそうだったので……。 今日は特別ということで」 「それに、いつもお世話になっているので せめて、これぐらいは……」 恐縮する敦子さんに言う。 「なぁ、えみ。今度はお父さんと2人で デートしないか?」 「えーー、あたし、おにいちゃんとがいい」 「あらあら、えみったら。 ほんと、2人は仲良しさんね」 「そっか……。ははは、誠人の方がいいか…… はは……ははは……」 ニコニコしている敦子さんとは対照的に隆司さんはこの世の終わりのような絶望した顔をしている。 「いいなぁ。おにいちゃん、こんど、ぼくも アネゆきみにつれてってよぉ」 「…! ゆ、ゆうきも…だと……。 そ、そんなに誠人の方がいいのか…?」 「うん♪ ぼくもおにいちゃんとでーとしたい」 「だ、ダメだよっ! おにいちゃんはあたしと デートするの! ゆうきにはわたさないから!」 「ふふふ、誠人さんったら、モテモテねぇ」 「じゃあ、今度、お母さんも誠人さんと デートしてもらおうかしら?」 「なっ……! あ、敦子……お前まで……!?」 「おかあさんもダメだよっ! おにいちゃんはあたしのなんだからっ!」 「ふふ、冗談よ」 「ははは……」 思わず愛想笑い。 隆司さんの視線がさっきから、すごく怖い。 「ごちそーさま。さてと、テレビ、テレビ。 今日は豪腕ダッシュの日だ」 「ん? そういえば、えみちゃん。 宿題終わってるの?」 確かえみちゃんの学年の子には計算問題のプリントを宿題として渡しているはず。 「…あっ……! すっかり忘れてた」 「じゃあ、宿題が終わるまでテレビはお預けね。 ゆうきはちゃんと宿題やったの?」 「うん。ぜんぶおわってるよぉ」 「うぅ、おにいちゃんとのデートがたのしみすぎて すっかり忘れてた」 「ねぇ、おにいちゃん、宿題おしえてくれる?」 捨てられた子犬のような瞳で見つめてくる。 「ダメよ、えみ。宿題は1人でやらないと」 「そうだぞ、えみ。それに誠人はこれから お父さんと男同士の話があるんだ。なぁ?」 そう言って、ビール瓶を持ち上げる。 「はい、頂きます」 グラスを差し出すと、隆司さんがビールをついでくれる。 「えー、ぼくは? ぼくもおとこのこだよ?」 「ははは、ゆうきにはまだちょっと早いな」 「むぅぅぅ…。おとうさん、おにいちゃんを ひとりじめして、ずるい!」 「はいはい、えみ。あなたは宿題を終わらせないと いけないのよ。早く部屋に戻りなさい」 敦子さんに促されて、しぶしぶ部屋へと戻っていく。 「さてと、誠人。今日のえみとのデート、 詳しく聞かせてもらおうか?」 「あら? だったら、おつまみ用意した方が 良さそうね。何かあったかしら?」 それから隆司さんは今日の出来事を根掘り葉掘り聞いてきた。 つまみを持って来た敦子さんは、隆司さんの隣に座り、終始ニコニコ顔で僕の話を聞いていた。 「ほら、誠人。遠慮することはない。 どんどん飲んで、喋ってくれ」 「は、はい……。頂きます」 「乾杯!」 隆司さんの晩酌を断ることが出来ず……。 えみちゃんの宿題が終わり、居間に戻ってくる頃、僕は完全に酔い潰されてしまっていた。 数日後―― 「やっと、なつやすみだぁ♪ いーーっぱいあそぶんだぁ♪」 明日から夏休みということで、教室は生徒たちの声でとても賑やかになっていた。 「のの、夏休みは明日からだからね? でも、あたしもすごくたのしみ」 「…? 今日はもうおべんきょうないよ? なつやすみは、もう始まっている…!」 「あとは、せんせいから通信簿をもらうだけですね」 「はうっ!? つーしんぼ!? わ、わすれてた…。あうぅぅ……」 通信簿に怯えるののかちゃんと対照的にえみちゃんは楽しみにしてくれているらしい。 今日は終業式だけで、授業はない。 この後、1人ずつ通信簿を渡してから夏休みの注意事項を話して解散となる。 「はいっ! じゃあ、これからみんなのお楽しみ、 通信簿を渡すからね」 「ちゃんと、お家の人に見せないとダメだよ?」 机に通信簿の束を置きながら言うと、教室が一斉に静かになる。 「あうぅ…。全然たのしみじゃないよぉ……。 なつやすみ前のしれんだよぉ……」 「お、おれ……あんま自信ない……。 とーさんとかーさんに説教されるかも」 成績が心配な子たちは、それぞれ不安そうな顔をしている。 「通信簿かぁ…。せんせ、どんなこと かいてくれたのかな? たのしみ♪」 「だよねぇ。先生からのひとこと、 どんなこと書いてるんだろうねー」 反面、成績が良い子たちは楽しみでしょうがないって感じだ。 「こほん。では、順番に渡していくからね」 「まずは、斉田くん」 はいっ!と元気に返事をして、出席番号1番の斉田くんが取りに来る。 「1学期、よく頑張りました。2学期も先生と 一緒に頑張ろうね」 通信簿と一緒に、夏休みの宿題を渡す。 待ちきれないといった様子で、すぐに中を確認している。 教室が賑やかになっていく中、1人1人、名前を呼び、通信簿と宿題を手渡していく。 「次は、ことねちゃん」 「はい!」 「はい、ことねちゃん。よくがんばったね」 「…は、はい。ありがとうございます」 「じゃあ、次は――えみちゃん」 「はーい♪」 名前を呼ぶととてとてと小走りでやってくる。 「はい。1学期、よくがんばりました」 「えへへ……。ありがと」 通信簿を手渡してあげると、待ちきれないといった様子で通信簿を開いて眺めている。 「えへへ、みんなのおねえちゃんか……。 なんか照れちゃう…それも、せんせといっしょに」 えみちゃんの通信簿に書いたメッセージは、『みんなのお姉ちゃんみたいなえみちゃん。 これからも先生と一緒に楽しいクラスにしていこう』 “お姉ちゃん”と“一緒に”という言葉が嬉しかったみたいだ。 「えみちゃんはおねえちゃんなんだぁ。 ねぇ、ねぇ、私は?」 楽しみがこらえきれなかったのか、ののかちゃんは名前を呼ぶ前にすでにやってきていた。 「ののかちゃん、よくがんばったね。はい」 「わーい♪ ありがとー♪ わたしは何て 書いてあるのかなぁ?」 えみちゃんと同じように、その場で通信簿を開いて中を見ている。 「そっかぁ。わたしが元気いっぱいだから、 せんせー、楽しいんだ」 僕の書いたメッセージで満面の笑みを浮かべているが、その後、すぐに目が点になる。 「…せんせー? 算数のとこ、 もっとがんばりましょうがいっぱいあるよ?」 本当は“よくがんばりました”ってつけてあげたかったけれど、心を鬼にして“もっとがんばりましょう”にした。 「…だって、のの、算数の時間、居眠りばっかだし」 「ふえぇぇ!? さ、最近は居眠りしてないよ」 「うん。ここ最近は確かによくがんばっているね」 「でしょ? だったら……」 「でもね、それで“よくがんばりました”にしたら 最初から頑張っていたみんなに悪いよね?」 「むぅ〜……。たしかにそぉだよね……」 しょんぼりしながらも、納得してくれている。 「だから2学期は“よくがんばりました”に なれるようにしようね?」 「うん♪ 2学期はぜったい、居眠りしない! 約束するよぉ」 決意表明をしてから、えみちゃんと一緒に自分の席へと戻っていく。 「さてと、通信簿も配り終わったし 次は夏休みの注意だね」 夏休みの注意事項が書かれたプリントを1人1人に配っていく。 「じゃあ、先生が読むから、みんな後に続いてね」 「知らない人には絶対についていかない――」 書いてある内容を読み上げると、すぐにみんなが続いてくれる。 こうして、1つ1つ、書かれている内容全てを読み上げ、復唱させて、終業式は終わった。 「はるかせんせー、さよーならー」 「車には気をつけるのよ。あと、寄り道はダメよ?」 「なぁ、これからサッカーしようぜ!」 「小野せんせー、キーパーやってよ」 「おうっ! そうしてあげたいのは山々なんだがな。 これから先生たちは会議があるんだ」 職員が揃って、校門前で生徒たちを見送っていく。 「せんせい、さようなら」 「うん。ことねちゃん、車に気をつけてね」 「はい。気をつけます」 ことねちゃんは深くお辞儀をしてとことこ歩いて行く。 「あれ? せんせは帰らないの?」 その後、すぐにえみちゃんがやってくる。 「うん。これから用事があるんだよ」 「それで、今日、帰り遅くなるかも知れないから 敦子さんにも、そう言っておいてね」 生徒達の見送りを終えたら、他の先生たちと1学期の反省会をする。 その後は、近所の居酒屋で打ち上げをする予定だ。 「うん。わかった、おかあさんに言っておくね」 「ねぇねぇ、えみちゃん、これから遊ぼーよ」 「うん、いいよ。どこで遊ぶ?」 「じゃあ、私ん家でゲームしよっ」 「あっ、わたしもいくーーー」 わいわい騒ぎながら、えみちゃんとクラスの女の子たちが去っていく。 「よしっ! これで全員か?」 「そうですね。では、職員室に参りましょう」 小野先生と遥先生と3人で職員室へと戻っていく。 校長先生や教頭先生も含めた全員で1学期の反省会を行う。 反省会といっても、決して重いものではない。 教え子たちの1学期での成長をそれぞれで自慢していく楽しいものだった。 紆余曲折、色々なことがあったがなんとか1つの区切りを無事に終えることが出来た。 さぁ、これから夏休み。今年の夏はどんなことが起こるのだろうか? 楽しみだ。 「………………」 夏休みに入ったとはいえ、僕たち教師まで夏休みというわけでなく……。 この暑い中、結構な距離を歩いて学校へと来る毎日だ。 授業がないからといって、仕事がないわけではない。 2学期への抱負というか、自らの反省点レポートを校長先生に提出しないといけない。 「あら? 瀬田先生、お疲れ様です」 本日のプール監督をしていた遥先生が職員室に戻ってくる。 「あっ、遥先生。プールの監督、お疲れ様です」 乾ききっていない濡れ髪が妙に色っぽい。 それ以上は何も感じないのは、えみちゃんへの想い故なのか。 「はぁ、みんなすごく元気いっぱいで……。 ふふ、わたしももう歳なのかしら?」 「いえいえ、そんなこと……。 遥先生はいつもお美しいです」 「あら、瀬田先生? ずいぶん、お上手なんですね」 「でも、そんなこと言ってしまうと……。 ほら、ね?」 遥先生が入口の方にチラリと視線を向ける。 「むぅぅぅ! せんせ、えっちな顔してる!」 「ねぇねぇ、私はぁ? うつくしい?」 「…わたしは?」 プールに来ていたであろう、えみちゃんたち仲良し3人組が職員室の前に立っていた。 「はは、ははは……。みんな、今日はどうしたの?」 「あのね、せんせに宿題教えてもらおうと思って」 「そうだよぉ♪ 家でやるよりも、がっこーで せんせーとした方がいっぱい終わるかなぁって」 「…わたしも……はい……」 「あらあら、瀬田先生、大人気ですね。 夏休みまで生徒たちがやって来てくれるなんて」 「えぇ。ありがたいことです」 「ここではなんだから、みんな教室に行こうか?」 「うん♪ じゃ、先、教室に行ってるから 早く来てね、せんせ」 「あっ! 待って、えみちゃん! 私もー」 「こらこら、廊下は走っちゃダメだよ?」 仕事に来ているからといって、えみちゃんと離れるわけではない。 こうして友達を連れて、僕に会いに来てくれる。 そのことがとても嬉しい。 こうした具合で、賑やかな夏休みは過ぎていく。 みんなと一緒にというのも楽しいけれど、えみちゃんと2人だけの時間というものも欠かせない。 すでに日は傾き窓からはまぶしい西日が差し込んでいる。 今日は珍しく朝から家でのんびりと過ごしているえみちゃんは、パジャマ姿で僕とお留守番をしていた。 敦子さんはゆうきくんを連れて街まで買い物に出かけ、隆司さんは仕事中。 ほんのわずかな2人きりの時間。 「おにいちゃん、ふたりだけ…だね?」 しーんとした家の中、静かに目を閉じて唇を突き出すえみちゃん。 「うん。そうだね。んっ――」 「んっ…んっ……ちゅっ……んぅ……」 ゆっくりと唇を重ね合わせる。 えみちゃんの口の中の感触を堪能しながら、ゆっくりと胸の膨らみに手を添えていく。 「…ンっ! んはぁ…あっ……う、んっ…んぅ……」 控え目な吐息を漏らすえみちゃん。 同時に胸先が徐々に固さを帯びていき、指で優しく転がしてあげる。 「ふわぁ…んっ……おにい…ちゃぁん……」 甘えた声を出しながら、抱きついてくる。 これだけで辛抱し切れなくなった僕は、えみちゃんの秘部に手を添える。 「ひゃうっ…! んっ…ぅ…そこ…恥ずかしい……」 えみちゃんのソコはすでに幽かな湿り気を帯びていた。 「恥ずかしくないよ? ほら、僕も……」 えみちゃんの手を握り、僕の股間を触らせる。 「ふわぁ、おにいちゃんのも、すごく元気になってる」 「うん。えみちゃんと一緒に気持ちよくなりたい」 「えへへ、いいよ。あたしも、おにいちゃんと したいな……」 ズボンの中から、すでに張り詰め反り返っているモノを取り出す。 えみちゃんのパンツを少しずらし、スジの部分にそっとモノをあてがう。 「んっ、あっ…あっ……おにいちゃんの…… あたってるよぉ……」 時間もあまりないことだし、すぐにでも挿れたいけど。 えみちゃんのソコは、まだ湿っているという程度で今、挿入したら痛い思いをさせてしまうかも知れない。 「んっ…っ……んっ……」 裏筋で秘唇をなぞるように、ゆっくり動かす。 「…おにいちゃん……ま、まだ…しないの?」 僕が気を遣っていると思ったのか、ちょっぴり不安そうな顔をしている。 「うん。えみちゃんの擦っているだけで、 気持ちいいから」 「そっかぁ。あたしの、こするだけできもちいいんだ」 ホッとしたような笑みを浮かべる。 モノに被さる柔らかな布の感触と暖かい秘部の感触を同時に堪能させてもらいつつ刺激を与えていく。 「ふわぅ、ン……はぁ…あっ……んっ、うっ…ん……」 「……おにいちゃんので…あたしも…おまた…… うずうずってしてくる」 わずかな湿り気を帯びていただけだったところが、徐々に潤ってくる。 2人しかいない静かな家の中、くちゅくちゅと粘っこい水音がこだまする。 「ひうぅ…おにいちゃん。えっちな音してるよぉ」 エッチな汁が溢れていることを自覚して恥ずかしくなったのかな? えみちゃんが顔を手で覆ってしまう。 そんな可愛らしい様子に、嗜虐心がくすぐられる。 「そうだね。えみちゃんの、ヌルヌルって エッチなお汁、いっぱい出てるね?」 「うぅぅ…。えっちな音、きいちゃやだよぉ……」 いやらしく言うと、さらに恥ずかしがってしまう。 「えみちゃんの、もっとヌルヌルにしてあげるね」 腰を大きく動かし、亀頭で小さな陰核を突いてみる。 「ンっ! んあっ…そ、そこ……ぴりってする……」 「…おにいちゃんのさきっぽ、あたって…… ん、ンっっ……うずうず、もっとしてくる……」 えみちゃんも多少感じてきたのか、愛蜜が次々と溢れてくる。 「僕、えみちゃんの顔見ながら 気持ちよくなりたいな?」 「…うん。やっぱり、あたしもおにいちゃんの 顔、見たい……」 えみちゃんが手を離すと、すでに顔が真っ赤になってしまっていた。 「ありがとう。じゃあ、お返しに――」 「んんっ……は、はぅ……ふあぁ、あっ、ぅんっ」 「おにいちゃん…そ、そこ……ン、ひうぅぅ…… ぴりぴりって…しちゃう…から……」 亀頭で陰核を刺激してあげると、えみちゃんが小さく震えている。 同時に愛蜜もさらに量を増してきている。 僕の我慢汁と混じってしまっていることもあり、裏筋がヌルヌルになっている。 「ンっ…あふっ……あっ、あっ……んっ、んくっ… は、はうぅ……んぅぅっっ……」 「…もう、へーきだから……おにいちゃんの……」 挿れて欲しいということかな? 確かにえみちゃんの秘部は、もうトロトロになっていて、僕のを受け入れる準備が整っているみたいだけど……。 「…もう少し、ね?」 「あうっ……おにいちゃんの…いじわる……」 「んんっ……あ、うぅ…ン、んくっ…はぁ…ぁ……」 えみちゃんの切ない顔を見ているとついつい意地悪してしまう。 とはいえ、そろそろ敦子さんたちが帰って来そう。 それに僕も、我慢の限界に来ている。 「えみちゃん、もう、いいかな?」 「…う、うん……。いいよぉ……」 「おにいちゃん、えみのここで、いっぱい きもちよくなってね」 えみちゃんはそう言うと足を少しだけ広げ、体の力を抜き、僕に身を任せる。 「んっ……じゃあ、いくよ?」 挿入しやすいようにパンツを脱がしてあげる。 それから先端を入口にあてがい、ゆっくりとモノを埋めていく。 「あっ、んっ、あぁ…おにいちゃんの…… はいってくる……」 一気に全部挿れるなんてことはしない。 えみちゃんの膣内の感覚を堪能しながら少しずつ、奥へと進ませていく。 「…ぅん……ん、はぁ……はぁーー、はぁーー…… ふあっ、あっ、あぁ…ぅぅ……ンンっ……」 モノが膣内を進む度に、深い呼吸をするえみちゃん。 あれから幾度となく肌を重ね合わせたけれど……。 えみちゃんの穴は変わらず狭いままで、中に進む度に、強烈に締め上げてくる。 「はぁ、はぁ……ンン、くぅぅ……ふあぁ…… どんどんはいってくる………」 「おにいちゃんので…いっぱいになってきて…… ふわぁ、あぁ……ン…はぁ、ハァ、あぁ……」 さすがに、もう痛がる素振りは全く見せず、息を吐きながら、瞳をトロンとさせている。 「ンっ……んくっ……あっ、あっ……あうぅ……」 「どんどんくる…おなかの…うずうずしてるとこに… おにいちゃんのが……んんっ……んぅぅぅ……」 愛液の潤いを利用し、滑るようにモノを最奥まで沈めていく。 「ひゃうっ! んっ、ンンンっ……!」 モノ全体がスッポリ収まり、先端に何かが当たる。 それと同時にえみちゃんが一際大きな声を上げてしまう。 「全部、入っちゃったね」 「うん。おにいちゃんの、ちゃんととどいたぁ」 嬉しそうに報告してくる。 こうしているだけで、えみちゃんの膣内はウネウネと動いて快感を与えてくれる。 「…おにいちゃん、もっとしても、いいよ?」 額に浮かんだ汗を指で拭ってあげてから、ゆっくりと腰を動かしていく。 「んんんっ、ふあぁ、はぁぁ……あっ、あんっ…… ン、んくっ……ぁ、ぁ、ぁぅ……」 「あ、あっ、あぁぁ…おにいちゃん…… おにいちゃぁん……」 甘えた声で僕を呼ぶえみちゃんの声に気分が昂ぶり、暴走しそうになる。 そこを何とか抑えて、緩いペースで腰を動かす。 「はっ、はぁっ、ん、はぁ…ン、う……ンっ…… あっ…あっ…あぁ…あうっ、う、んぅ……」 「あたし…へーきだから…もっと…いっぱい…… しても…ンンンっ……いいよ?」 「…じゃあ、もうちょっとだけ……」 ペースは上げず、ストロークの幅を大きくする。 モノ全体でえみちゃんの膣内全体を堪能するように腰を大きく動かしていく。 「んはぁっ…はぁ、はぁっ…あっ……んあぁ…… あっ、あっ、ン、うぅぅ……」 「はぁ、はぁ、はぁ…おにいちゃんの…… びくびくってして……んっ……うくぅぅ……」 「うん。えみちゃんの中、暖かくて、ヌルヌルしてて すごく気持ちいいからだよ」 えみちゃん自身も昂ぶってきているのか、呼吸がだんだん荒くなってきている。 「ふわぁ、あっ、あっ…おまた…うずうず… すごくして……おにいちゃんの…きもちいいよぉ」 膣内からどんどん溢れる愛液がモノ全体を暖かく包み込んでいく。 情けないことに、これ以上激しくしたらあっという間に果ててしまうに違いない。 「……ッ…ぅ…ンっ!」 絶頂するなら、えみちゃんと一緒がいい。 自分だけ果ててしまわないよう、歯を食いしばる。 「はぁ、ンっ…ンっ……おにいちゃん……ンン… がまん…しなくても…いいよ……」 「…あたしの中に…あついの…だして…いいよ……」 「うん。でも、やっぱりえみちゃんと一緒がいいな。 だから、えみちゃんも……」 さっきから我慢しているのは僕だけじゃない。 えみちゃんも、必死になって先にイッてしまわないよう堪えているのは伝わってきている。 「……うぅん……おにいちゃんを先に…きもちよく したい…から……」 「…今日は……あたしが………んっ、んっ… ふわぁ……あっ…おにいちゃんを……ンぅぅ…」 先にイキそうになってしまっているのを一生懸命耐えているえみちゃん。 「はぁ、はぁ、んっ…んっ…んっ……!」 僕を先にイカせたいというえみちゃんの健気な態度に胸が熱くなる。 汗を飛び散らせながら、射精へと向けて腰の動きを早くしていく。 「んんっ! あ、あふっ…ふあぁ……んっ…… うんんっ……はぁ、あっ……ンンっ……」 「…あっ…ぅ、ぁぁ……おにいちゃん…… あたし…ふわふわってきて…ン、くうぅぅぅ……」 「…あと…ちょっとだから……」 「うん…がんばる……もうちょっとがんばる…」 「…おにいちゃんに…いっぱい…きもちよくなって ほしい……」 「んんんっ……あ、あぁぁ……んぅぅ……んっ… んっ……んくっ……ひうぅうぅ……」 えみちゃんはとうとう我慢の限界に達したみたいで、大きな声を漏らしてしまっている。 それでも懸命に耐える様子が愛おしくて、射精感が限界を超え始める。 「…えみちゃん……僕……もう…っ………」 「うん……そのまま…あたしできもちよくなって……」 「おにいちゃん…いっぱい…して…ふぁ…ぁ…ぅん、 んっ、んっ…んぅぅぅ……!」 くぐもった声と同時にえみちゃんの膣内がさらにぎゅっと締まる。 そのまま堪えきれなくなってしまい、えみちゃんの膣内深くで射精してしまう。 「んんっ…んんんっ……あっ……あっ、あっ…… あぁ…ぁぁぁ……!!」 「…おにいちゃんのから…あついの…お腹のおくに… いっぱい入ってきて……」 「……ンッ!」 射精しながら、腰を突き出し、先端を奥へ当てる。 「ひゃあぁぁっ…あっ…あっ……ンっ…あたしも…」 「…あっ…あっ…あぁぁ……くぅぅぅ……!!」 どうやら、えみちゃんもちゃんとイッてくれたみたい。 体を強ばらせ、ぴくぴくと小刻みに震えている。 「え、えへへ……あたしも……ふわふわって しちゃった」 照れくさそうに笑うえみちゃん。 「えみちゃん、僕の気持ちよくしてくれて ありがとね」 「…え、えへへ……。どういたしまして。 おにいちゃんので…おなかのなか、あったかい」 額から汗を流しながら、満足そうに笑っているえみちゃんを見ていると心が満ち足りてくる。 射精を終えた後も、すぐに抜かずに余韻に浸る。 えみちゃんの膣内が、射精したばかりのモノを優しく包み込んでくれていて、すごく気持ちいい。 「…おにいちゃんの、まだ元気いっぱいだね?」 「うん。それはね、えみちゃんのが すごく気持ちいいからだよ?」 こんなに可愛くて愛しいえみちゃんだから、1回や2回で満足できるわけがなく。 僕のモノは萎えることなく、未だにえみちゃんの膣内で元気なままだった。 「そっかぁ♪ だったらね、もう1回、しよ?」 「あたしもね…もっとおにいちゃんと…したいな?」 照れながら言ってくれる姿があまりにも可愛くて、また、ふつふつと昂ぶりがやってきてしまう。 「…じゃあ、もう1回――」 しようと言いかけたところで、玄関のドアが開く音がする。 「あうぅぅ…。おかあさんたち、帰ってきちゃった」 「うん…。って、こうしてまったりしている 場合じゃないね」 慌てて、えみちゃんの中からモノを引き抜き、ティッシュで僕が出した精液を拭ってあげる。 「ただいまーーーー♪」 「えみ、誠人さん。おやつ買って来たわよ」 玄関から聞こえてくる声に、慌ててしまう。 「はーい! すぐ行くから置いておいて」 えみちゃんが行為で汚してしまったパンツを履き替えながら答える。 「はぁ。今日はここまでだね」 すっかり萎えてしまったものを仕舞いながら言う。 「むぅぅ…。これからだったのに……。 おかあさんたち、帰ってくるの早すぎ」 「焦ることないよ。んっ――」 「…ちゅっ…んっ……」 軽いキスで行為を締めくくり、えみちゃんと一緒に居間へと向かっていった。 …………………………。 ………………。 …………。 こういった具合で、僕とえみちゃんは夏休みに入ってから、ゆっくりと仲を深め合っていた。 僕とえみちゃんの関係は誰にも言えるはずがない。 将来はともかくとして、今は禁断の関係を続けていくしかない。 それはえみちゃんも分かってくれているみたいで、両親はもちろん、友達にだって内緒にしてくれている。 「ぶくぶくぶく……。ぷはぁっ! えへへ、これで7個目だ。ののは?」 「私は5個だよぉ……」 「やったぁーーー♪ ということは あたしの勝ちだね♪」 「…2人ともすごい…わたし、たった2つ」 生徒たちはプールの中に沈めたボールを拾い合う遊びで数を競い合っている。 今日のプール開放日は僕が監督を担当している。 「ははは、瀬田先生のところは全員集合ですか? みんな、仲が良くていいですな」 「すいません、今日は僕が担当なのに 手伝って頂いて……」 本来、僕1人で担当するはずだったのだが……。 参加人数が予想よりも多く、急遽、小野先生に手伝ってもらうことになった。 「いえいえ、構いませんよ。こうして生徒たちと 体を動かす方が楽しいですからな」 「小野先生のところも、いっぱい来ていますね」 「まっ、男子は全員集合ってところですな。 女子は……まぁ、色々あるのでしょう」 上の学年ともなると、“男の子”というものを多少、意識し始めるようになるらしい。 「ねぇ、せんせもこっち来てぇ」 「瀬田先生、ここは俺が見ておきますから 生徒たちと遊んできては?」 「そうですね。では、小野先生、お願いします」 お言葉に甘えて着ていたパーカーを脱いで、プールの中に入る。 「せんせ、えーーーいっ♪」 「おっと!」 えみちゃんがいきなり抱きついてくる。 ふよっとした胸の感触にちょっとだけドキっとする。 「あーーー! ののもーー!」 反対側にののかちゃんが抱きついてくる。 えみちゃんよりも、ちょっとだけ、ふよんとした感触がする。 「わたしも…!」 遠慮しがちにことねちゃんが腕に抱きついてくる。 「あー、みんなずるーーい! わたしもぉーー♪」 女の子の生徒たちに抱きつかれてしまうちょっとしたハーレム状態。 「ひゅーひゅー♪ せたせんせ、モテモテじゃん」 「いよっ! もてるおとこはつらいねぇ」 すかさず男の子たちがからかってくる。 「えへへ、いいでしょー」 「はははは、瀬田先生、いいですな」 「ほらっ、お前ら! 俺の胸に飛び込んで来い!」 プールサイドの上から両手を広げる小野先生。 「えーー、どーせなら、はるかせんせーがいいっ!」 「うん! おのせんせ、かたそうだし ちっそくしちゃう」 「…うーむ………」 その気持ちはよくわかる。 男の子はやっぱり男の子ってことか。 「はるかせんせーのおっぱい、 すっごくふかふかできもちいいんだよぉ」 「へぇ。そうなん――ッ! んんっ!」 えみちゃんに太股をつねられる。 「ふんっ! せんせのばか…えっち…!」 不機嫌そうに頬を膨らませているえみちゃん。 「…はは、ごめんね」 「んっ……えへへ……」 小声で謝り、頭を撫でてあげる。 えみちゃんはすぐに上機嫌に戻ってくれる。 それから、身をかがめ、そっと耳打ちする。 「あとで仲直りしようね?」 「…う、うん……。いいよ……」 「じゃあ、保健室で……」 こくりと頷くえみちゃん。 プールが終わった後、えみちゃんと―― 意識したら、股間が大変なことになりそうなので自制する。 「…10、11……っと。全員いるね?」 お昼前になったところで、プールの開放時間は終わり。 全員をプールから上がらせて、数を数えていく。 「うん。じゃあ、今日のプールはこれで終わりだね」 「みんな、ちゃんと髪乾かしてから帰るんだよ」 「えーー、こんなに暑いんだから、 ちょっとぐらいだいじょーぶだよ」 「なぁ、このまま海パンいっちょであそびにいこーよ」 「ダメだよ? それに風邪引いちゃったら、 夏休み、遊べなくなっちゃうよ?」 「そうだよ。みんな、せんせの言うことを 聞かないとダメだよ」 「はぁい、風邪ひくのやだし…ちゃんとするよぉ…」 「だなぁ。やっぱ、ちゃんと服着てから 遊びいくか」 「うん。みんな、いい子だね」 「ところでみんな、夏休みの宿題、ちゃんと 進んでるかな?」 「えっ!? あっ……あうぅ……」 えみちゃんはギクリとした様子で、僕から視線を逸らしている。 「おや? えみちゃん、ひょっとして……」 「ち、ちがうよっ! ちゃんとやってるよ。 ほ、ほんのすこしだけ、できてないのがあるだけ」 目が完全に泳いでる。 これは、帰ってから進捗度をチェックしてあげる必要がありそうだ。 「私、ちゃんと計算やってるよ♪ 今日もね、がっこー来る前にちゃんとしたの」 「そっか。ののかちゃん、えらいねぇ」 「えへへ♪ でしょー? もっとほめてー」 「わたしもちゃんと毎日、してます」 「…やばっ……まったくやってない……」 「わたしはもーすぐぜんぶ終わるよぉ。 すごいでしょー?」 担当しているクラスの子たちが集まって来て、矢継ぎ早に報告してくる。 それぞれ、夏休みをしっかり楽しんでいるようで先生としては一安心だ。 「…思ったよりも時間かかったな」 プールが終わった後、戸締まりをして一旦、職員室に戻って報告書を書いて―― もっと手早く終わらせるつもりだったけど、なんだかんだで30分ぐらいはかかってしまった。 えみちゃんと待ち合わせしている保健室へと足早に歩いて行く。 「えみちゃん、ごめんね。遅くなっちゃった…!?」 「むぅぅ、おそいよぉ、おにいちゃん」 ………………………………。 なぜかスクール水着のままのえみちゃんに言葉を失ってしまう。 「えみちゃん、着替えはどうしたの? それに、学校では先生、でしょ?」 「はっ! え、えへへ……2人きりだから、つい…」 「それに、これからおにい―― せんせとえっちなことするから……」 言ってて恥ずかしくなったのか、頬を赤らめてモジモジし始める。 「…えみちゃん……んんっ……」 「…ンっ……んぅ、ぅ、ぅん ……」 その姿がたまらなく可愛らしくて、抱き寄せてから、キスをする。 学校で、しかもスクール水着のえみちゃんと―― 今更ではあるが、背徳感にドキドキして昂ぶってきてしまう。 「んっ……はぁ…ンぅぅ………」 キスをしたまま、ゆっくりとベッドに押し倒す。 「…んはぁ、せ、せんせぇ……あたし…もう……」 唇を離すと、えみちゃんは切なげな声を出しておねだりしてくる。 目はトロンと垂れ下がり、頬はピンク色に上気している。 よく見ると、えみちゃんのソコはすでに濡れていてクロッチの部分だけ、色が濃くなっている。 ん? プールが終わったのは30分以上前だし、この暑さなら乾いていても良さそうだが……。 「えみちゃん、ひょっとして……」 「ひうっ! だ、だって……せんせがわるいんだよ?」 「ずっと待ってたのに…。せんせ、なかなか来ない から……」 それで、待ちきれなくなって1人で―― やめておこう。深く考えることはデリカシーに欠ける。 「待たせちゃってゴメンね」 「今日は先生が、えみちゃんのこと いっぱい気持ちよくしてあげる」 「ふわぁっ……あ、んっ…お、おにぃ…… せんせ…ん、うっ……ンンっ……」 「ンっ……んぅぅ……」 顔をえみちゃんの股間に埋め、まずは女の子の甘い香りと塩素の匂いが混じった独特の香りを吸い込む。 鼻先がヌルリとするほど、えみちゃんの秘部はすでに潤っている。 「ひゃう……っ…はぁ、あ……くっ、う、ンっ!」 ザラリとしたスクール水着の質感とヌルっとした愛液の感触を舌で味わう。 さらに、舌先で染み出た愛蜜をすくい取る。 それだけで、えみちゃんはビクンと小さく震える。 「…えみちゃんの、エッチなお汁がいっぱいだね」 「…そんなこと、いっちゃやだ…。はずかしい……」 えみちゃんの太股に顔がぎゅっと挟まれる。 「んぅっ……ふあぁ……あっ、んぅぅ……っ……」 舌全体でえみちゃんの秘唇をなぞると、さらに強い力で顔を挟まれる。 女の子の香りがより強くなり、塩素の鼻につく匂いを完全にかき消している。 「んはぁ。えみちゃん、今日はすごくエッチだね?」 「先生が来る前に何をしていたのかな?」 顔を離し、わざとらしく聞いてみる。 「な、なにもしてないよぉ……」 目を泳がせながら言うえみちゃん。 「本当かな? でも、ここは――」 「うぅぅ、い、今…みちゃ…やだ……」 クロッチをずらすと、秘穴からは愛液がコポコポと溢れてしまっていた。 「あれ? えみちゃん、いつもよりもいっぱい 出てるよ?」 「…あぅぅ……ちょ、ちょっとだけだから……」 「せんせが来る前に、ほんのちょっとだけ…… そこ……さわっちゃった……」 観念したえみちゃんは、モジモジしながら切なげに言ってくる。 「………………」 えみちゃんはMの気質があり、意地悪されると感じてしまうようだが……。 やり過ぎてしまうと、また思い悩んでしまうだろうしここらへんで止めておくか。 「じゃあ、先生がえみちゃんのキレイにしてあげるね」 「んひゃっ……あ、あふぅ…ふぅ、ん、くぅぅ……」 「せ、せんせ……舌……あっ、ああっ……ン…… 声、でちゃう……」 「ン、んっ……ダメ、だよ? 誰か来ちゃうから」 「…ぅぅ……で、でも……せんせの…ふあっ…… きもちいい…から……」 「んんんっ……ぅ、んっ……もう…ふわふわって… うずうずって…きちゃってるよぉ……」 どうやら、もういっぱい、いっぱいって感じみたい。 僕の頭をぎゅっと抱きしめ、快感に耐えている。 「…えみちゃん、そんなに我慢しなくてもいいよ」 「今日は先生が……。んっ……」 「ンっ、んっ……ふぅぅぅ……っ……」 「あっ……ひゃぁ、あぁ、んっ…く、う、ン… せんせ……あたし……んぅっ……」 えみちゃんの秘肉がヒクヒクとしている。 イク寸前ということか。 「ンっ……んぅぅぅ〜〜……」 舌を目一杯伸ばして、尻穴近くから陰核までねっとりと舐め取る。 「ひゃっ! そ、そこ……っ……あうっ……!」 一番気持ちいいポイントを刺激したからか、体がびくりと震える。 あと少し―― 「ひっ、くっ…し、舌…あたって…き、きちゃう……」 「せんせ…せんせ……あっ、あっっ……ンっ……」 えみちゃんの体が力を入れて強ばっていく。 口を陰核に押しつけて、強めに吸ってあげると―― 「ひあぁっ! ンっ、うッ……ンンンンっっ!!」 僕の頭を力一杯抱きしめながら、達してしまう。 「…ちゅっ……じゅるるっ!」 秘穴に口を当て、中に溜まっている愛蜜を思い切り吸い込んでいく。 「…んくぅぅっ! んんンっ! んぅぅぅっ!!」 「せ、せんせ…ダメ……今、そこダメ…… あぁぁ……ぁぁ……ひやぁぁぁっ……」 絶頂している状態だからか、えみちゃんが体を大きく震わせる。 「もっほ、きもひよくひてあげる」 どうせなら、とことんイカせてあげたい。 未だ絶頂が続いているえみちゃんの秘部を舌で愛撫し続ける。 「はううぅ…、またきてる……いっぱいくる…」 「…へ、へんになる……あたま…ボーッとしてくる… せんせ…あたし……こわれちゃうぅ……」 「ンン、んはぁ…大丈夫だからね。 先生を信じて――」 「うん……。わかった……ンン、ああぁ、ン……」 アソコだけでなく、おしりの穴の方にも舌を伸ばし下から上へ、股間全体を丁寧に舐めていく。 えみちゃん自身の甘い味とちょっぴりしょっぱい汗の味で、感情がたぎってきてしまうけど……。 今日はえみちゃんにいっぱいしてあげるんだと自分に言い聞かせ、愛撫を続けていく。 「はぁぁっ……あうっ……ま、また……あたし…… また……」 「くる…さっきよりもいっぱい……ン、あっ…… あっ、あっ…あぁぁ……」 我慢しきれなくなったえみちゃんがとうとう声を上げてしまう。 保健室は職員室から距離もあるし大丈夫とは思うけど……。 「いいよ。えみちゃん、もっと気持ちよくなって……」 「ふっ…んはぁ…せんせの舌、なでられるだけで… ビクってする」 「…お腹の中もビクビクってして…… なに、これ? …あたし…へんになってる」 続けざまに絶頂しそうになり、困惑しているようだ。 「大丈夫だから、そのまま……」 えみちゃんが二度目の絶頂に達しそうになっているので、舌を上に動かし陰核を重点的に責める。 「ひゃうっ! せんせ、そこダメ……ダメだから…… そこ、そんなにされたら……」 「あ、ああぁ…きちゃう……おっきいのきちゃう……」 秘穴からドボドボと大量の蜜が溢れ出し、ワレメがヒクヒクし始めている。 さらに、小さな陰核はぷっくりと固さを帯びていく。 「んあぁぁぁっ……あぁ、あっ……あぁぁ……」 「もうダメ……あたま、ふわふわってしちゃう…… またふわってきてる……んんっっ……ぅぅンっ」 えみちゃんは果ててしまう寸前になっている。 ここぞとばかりに、舌先をすぼめ、ひくついている穴へと挿れる。 「ふあぁ、あっ…はいってくる……せんせの舌…… 中にはいって……」 「…ぅぁぁ…っ…ふあ、あぁあぁぁぁーーー!!」 えみちゃんが甲高い声と共に、ビクビクと大きく体を強張らせる。 秘穴から固まりのような蜜がゴポリと零れ出し、口の中がいっぱいになる。 「んはぁ…はぁ、はぁ……」 口の中の蜜を飲み込んでから、顔を離す。 「…あっ……ぁっ……はぁ……はぁ……ぁぁ……」 続けての絶頂の負担が余りにも大きかったのか、えみちゃんはポーッとしたまま、呼吸を荒げている。 「ふわふわとか、うずうずとか、いっぱい しちゃった」 「えみちゃんがそこまで気持ちよくなってくれた 事がすごく嬉しいんだよ?」 ニコリと笑いかけながら言う。 「えへへ、そっかぁ。せんせ、嬉しかったんだ」 僕に応えるように満面の笑みを見せてくれる。 ベッドのシーツを剥がしながら、ちょっとやりすぎちゃったかなと心の中で反省した。 …………………………。 ………………。 …………。 誰にも邪魔されずに2人きりというわけにはなかなかいかなくて……。 周りの目を気にしながらも、隙を見計らってはえみちゃんとエッチなことをする日々。 もどかしいと思いつつも、これまでの人生で一番充実した夏を過ごしている。 夏休みも終わりに差し掛かったある日、思いもよらないチャンスがやって来た。 「じゃあ、誠人さん。えみのことお願いしますね」 「はい、お任せ下さい」 「なぁ、やっぱりえみを置いていくのは……」 「ダメです。宿題をきちんとやっていない えみが悪いんですから」 敦子さんは教育ママっていうわけではないが、やるべき事はしっかりやるということは徹底させている。 「それに、お家に残ることはえみから言い出したのよ」 隆司さんと敦子さんは、ゆうきくんを動物園に連れて行くことになっていた。 えみちゃんも一緒に行く予定だったのが、夏休みの宿題がたくさん残っているということで僕と一緒にお留守番だ。 もちろん、僕の役目はえみちゃんの監視だ。 「みんな、楽しんできてね」 当のえみちゃんは、動物園に行けないというのに落ち込んだ様子はない。 むしろ、すごく嬉しそうだ。 「おねえちゃん、ほんとうに行かなくていいの?」 「うん。あたしは宿題やらないといけないからね」 「ゆうき、ちゃんとおかあさんたちの言うこと きくんだよ?」 「うん♪ じゃあ、いってくるね」 えみちゃんは夏休みに入ってからというものますますお姉ちゃんっぽく振る舞うようになった。 ゆうきくんとのやり取りを隆司さんと敦子さんが嬉しそうに眺めている。 「夜には帰ってくると思うから、それまでちゃんと 勉強するのよ? 遊びに行っちゃダメだからね」 「わかってるよ、おかあさん。 おにいちゃんにちゃんと教えてもらうから」 「ほら、早く行かないと動物園で あそぶ時間、なくなっちゃうよ」 「そーだよー。おとうさん、おかあさん、 はやくー」 「ゆうき、そんなに引っ張るなって。 では、誠人、家のことは頼んだぞ」 ゆうきくんに引っ張られて、隆司さんと敦子さんが3人で家を出る。 それからすぐに、外から車のエンジン音が聞こえてきた。 待ちに待った2人きりの時間がようやく訪れるが……。 「さてと。じゃあ、宿題、早く終わらせよう」 「うん。そうだね」 やる気満々のえみちゃんを連れて、えみちゃんの部屋へと向かっていく。 「さてと。残っている宿題は何かな?」 早速机に向かい、問題集を並べる。 「んーとね、算数の宿題。他はおわってるよ」 そう言いながら、算数の問題集を開く。 最近は頑張っているけど、えみちゃんは算数を苦手としている。 「えーっと、まずはと――」 どんな問題が残っているのかをザッと調べてみる。 「……計算が少し。文章問題が全部と、 図形問題が全部手つかずってところか……」 さすがにこの量を今日1日で終えるのは不可能。 それに、あまり長い時間は集中力が続かないので学習としては非常に効率が悪いと言える。 「はぁぁ……。いっぱい残ってる……」 しゅんと顔をうつむかせる。 「じゃあ、今日は残っている計算問題と 文章問題を終わらせてしまおう」 まずは計算問題を全部終わらせて―― それが終わったら、少し休憩を入れて文章題に取りかかって―― 頭の中でタイムスケジュールを練っていく。 「とりあえず、左の列の計算問題から 終わらせていこうか?」 「うん。それなら大丈夫そう。えーっと――」 小分けにすることで、ゴール地点が分かるようにしてあげる。 目標が見えたからか、えみちゃんが俄然張り切り出し問題集へと向かう。 短時間で出来ることを繰り返すことが集中して勉強をするために有効な手段だ。 「えっと……これは、まず上の83を32でわって……」 1問目からいきなり、手が止まっている。 「えみちゃん、頭の中でやろうとしちゃダメだよ? こういうのはね、ちゃんと筆算を書いた方がいいよ」 「そっか。ありがと、おにいちゃん」 問題集の空いているところに、書き込み始める。 持論だが、あまり良いやり方とは言えない。 「それだと字が小さくて見えにくいでしょ? これに書いて、計算してごらん」 こんなこともあろうかと、計算用紙用に準備した大きめのマス目が並べられた方眼用紙を渡してあげる。 もう少し上の学年や、計算が得意な子ならともかくえみちゃんには、こっちの方がやりやすいと思う。 「ありがとう。832割る32と―― おにいちゃん、これ、すごく書きやすいよ」 マス目に数字が1つ1つ収まるようにえみちゃんが計算問題を書き写していく。 「ふふ、何を隠そう僕が学生の頃に使っていた 秘密兵器なんだよ」 「へぇー。おにいちゃんが使っていたのなんだ」 「これなら、いっぱいがんばれそう…!」 やはり、えみちゃんに合っていたのか、スラスラと問題を解いていく。 頭の中だけで計算しようとしていたから出来なかっただけってことだったみたい。 「よし、できた! 26っと。 こんなに簡単にできちゃうんだ」 「計算用紙がなくなったら、いつでも言ってね。 いっぱい用意してあるから」 「うん! えーっと、次の問題は……」 「874÷38は、まず上の87と38で……」 解けると嬉しいのか、楽しそうに計算問題を進めていっている。 2問目、3問目と答えが次々と埋まっていく。 初めて見た頃とは段違いの計算スピードに思わず笑みがこぼれてしまいそうだ。 「別の紙にかくと、こんなに早くできちゃうんだ。 さいしょから、こーしておけばよかった」 ちなみに問題は、筆算で書かれていなくて216÷24といった具合で横に書かれている。 それでえみちゃんは、筆算を使ってはいけないと思い込んでしまったのだろう。 計算用紙のこともそうだけど、授業できちんと教えてあげるべきだったと反省する。 「ふぅ! かんせー。全部できたぁ」 10分ぐらいで最初の目標にしていた左列の計算問題が全て解かれていた。 「よく頑張ったね。少し休憩する?」 「ううん。まだまだへーき。もうちょっとがんばる」 休憩を挟まず、すぐさま右列の計算問題へと取りかかっている。 右列は余りのある割算の問題だが、解き方が劇的に変わるわけではないので、ペースを落とさないまま答えを出していく。 えみちゃんは、右列の問題もさっきと同じように10分ぐらいで解き終わってしまう。 「えへへへ♪ これで算数は全部しゅーりょー」 まるで暗号のような数列の呪縛から解き放たれ、満足そうなえみちゃん。 「さて、次は……あぐっ……!」 そのままの勢いで、今度は文章形式の計算問題に差し掛かるが途端に手が止まってしまう。 「……おにいちゃん、これ教えて?」 「うーん。もう少し、自分で考えてごらん」 教えてあげたいのは山々だが、すぐに式や答えを教えてしまうことは、えみちゃんのためにならない。 「むぅぅ、お家だから、せんせにならなくても いいのに」 頬を膨らませて、文章問題と向き合っている。 「えーっと、たろうくんは1個50円のおかしを 120個買いました。全部で何円でしょう?」 「…120個っていくらなんでも多すぎだよ。 そんなに食べたら、たろうくん、おなか こわしちゃうよ」 問題に突っ込みを入れている。 「えみちゃん、まずは式を書いてみようか?」 「ん? えーっと、50÷120?」 さっきまでずっと割り算の問題を解いていたからか割り算で式を立てている。 「うーん、でも、これってまだならってないから……。 わかった、120÷50だ」 嬉しそうに120÷50と書いて、計算を始めようとする。 「………………」 さすがに、手助けしてあげた方が良さそうだ。 「ちょっと待っててね。よっと――」 方眼紙に簡単な図を書いて、えみちゃんに見せる。 文章問題が分からないときは、図式化するってことを教えたはずだけど……。 「…あっ! これ知ってる! たしか、かけ算を使うやつだ」 絵に見覚えがあったようで、すぐに分かってくれる。 「ってことは、50×120で…… んーっと、6000円!」 式を書いた後、すぐに筆算を書いて計算し正しい答えを出す。 「うん。正解だよ。次の問題も同じように 絵を描いてやってみようね」 「んー、次はジュースが45本あります。 15人でわけたら、1人何本でしょう?」 ……………………。 うーっと、うなり始めてしまうえみちゃん。 「……これ、どうやるんだっけ?」 どうやら、文章問題は時間がかかりそうだ。 女の子の声 (0775) ののか「えーみーちゃーん、あーそーぼー」 図を書いてあげようとしたところで、ベランダから聞き覚えのある女の子の声がしてくる。 「あっ! ののだ! ちょっと休憩〜」 苦手な文章問題から逃れたいからなのか。 えみちゃんは勢いよく立ち上がり、ベランダに出て顔を出す。 「ののーー! こっち、こっち!」 「やっほー、えみちゃん。ねぇ、これから うちでゲームしようよぉ」 「うーん、でも…いま……」 「あのねぇ…昨日、パパに新しいゲーム買って もらったんだ。じゃーん♪」 「あーーー! それ、昨日出たばっかのやつだ」 えみちゃんが窓から身を乗り出して反応する。 「いいでしょー。ねぇ、これからいっしょに やろうよぉ」 「うーー……。で、でも……あうぅぅ……」 ののかちゃんからの誘惑に悩んでいるようだ。 「……んっ?」 注意しようと、えみちゃんの方に振り向く。 ふりふりと左右に揺れる小さなお尻から下着がチラチラ見え隠れしている。 「………………」 ゴクリと生唾を飲む。もっと近くで見たい。 ののかちゃんから見えないように、身をかがめじわりじわりと、えみちゃんに近づいていく。 えみちゃんのスカートをまくる。 「ひゃうううっ!」 丸見えになったパンツ。よく見ると秘部のところは小さなシミが出来ている。 「……んっ」 顔を埋め、秘部をパンツの上から舌でなぞってみる。 不意打ちだったからか、えみちゃんが可愛らしい悲鳴を上げてしまう。 「ン…んぅ……ンっ……」 「んはぁ、んっ……い、今、だ、ダメだよぉ…。 ののがいるから……」 切なげな声で訴えてくる。 「んんっ? えみちゃん、どーしたのぉ? 何かあったのぉ?」 「な、なんでもないよっ!」 「後ろで…えーっと、ゆ、ゆうきが暴れているから 叱っただけ!」 「ゆうき? あっ! ひょっとして、えみちゃんの弟?」 「…そうそう。お部屋で暴れているから……ンっ… 注意しただけ……」 「そっかぁ。えみちゃん、おねえちゃんだねぇ」 「おにいちゃん…。そこ、ぺろぺろしちゃ だめだよぉ……。へんな声、でちゃう……」 「これはね、お仕置きだよ? 宿題を 途中で止めちゃったからね」 「ひゃううぅ……んっ、んぅっ、ンンン……」 お尻の穴の辺りを舐めてあげると、体をぴくっとさせて、声を張り上げる。 「えみちゃん? だいじょーぶ?」 「うん、へーきだよ。のの、どんなゲームだった?」 僕の責めから逃れながら、ののかちゃんに話題を振っている。 「えーっとね、まだちょっとしかやってないんだけど 絵がすごくキレイでカワイイんだぁ」 「それに、たたかいとかも、すごい迫力で――」 ののかちゃんは嬉しそうにゲームの内容を話している。 そう言えば、ののかちゃんは、ゲームの話をし始めると止まらないんだっけ。 「んっ……れろっ……」 心の中でののかちゃんに感謝しつつ、恥ずかしがるえみちゃんの秘部を舌で愛撫し続ける。 「…んくっ……ぅ……ンっ……ぅんんっ……」 声を押し殺しながら、我慢しているみたい。 「んはぁ…だ、だめ……おにいちゃぁん……」 えみちゃんの秘部は、パンツ越しからでも分かるぐらい濡れそぼり、熱さを帯び始めてきている。 「んんっ、んうぅ……ン……んぁっ……ンンっ……」 「…ん、はぁ…おにい…ちゃん……あたし…… もう……んっ……ふぁ、ぅ、ぅぅん……」 太股がぷるぷる震え始め、甘えた声を出している。 これは、えみちゃんが果てそうになってしまっているというサインだ。 「おにいちゃん……ン……ふわふわってしてる…… あたし……このまま……」 あと少し愛撫をしたら絶頂してしまうところで、えみちゃんの秘部から顔を離す。 愛撫しているだけで、気持ちが昂ぶりチャックを下ろした瞬間、張り詰めたモノが勢いよく飛び出してしまう。 「…んひゃっ……! お、おにいちゃん……!?」 モノをえみちゃんの秘部へと押し当てながら立ち上がる。 「あーーー! せんせーだぁ! おはよぉ♪」 僕の顔が見えると同時に、ののかちゃんが元気よく挨拶してくれる。 ののかちゃんのところからだと、思った通り、僕たちの様子は見えないみたいだ。 「おはよう、ののかちゃん。今日も元気だね」 「うん。私はいつも元気いっぱいだよぉ♪」 「…うぅぅ……ののがいるのに…… おにいちゃんのあたってる……」 えみちゃんが小声で呟いている。 「ところでののかちゃん。夏休みの宿題は もう終わったかな?」 あえて、気にすることなくののかちゃんと話を続ける。 「ちゃんとやってるよぉ……」 目が完全に泳いでいる。 ここの子たちは、純粋というか何というか。嘘がつけないみたいだ。 「…はっ……んっ、んくぅぅ……っ……!」 えみちゃんの秘部に、僕の股間を押し当てると、可愛い声を漏らす。 「へぇ、ちゃんとやっているんだ。偉いねぇ」 「じゃあ、これからののかちゃんのお家に 行って、見せてもらってもいいかな?」 「ふえぇっ!? そ、それはダメだよぉ!」 「せんせーがお家に来てくれるのはうれしいけど…。 宿題はダメだよぉ。乙女のヒミツなんだよぉ」 ののかちゃんと会話しながら、モノをえみちゃんにグリグリと押しつけていく。 「…おにいちゃんの、すごくおっきくなってる… うぅ……なんか…うずうずって、せつないよぉ…」 「ん? どこが切ないのかな?」 「うぅ……おにいちゃん、いじわる……。 わかっているはずだよぉ」 「そういえば、えみちゃん。最初から パンツにシミが出来ていたよ?」 「ねぇ、どうしてかな? 勉強していたん だよね?」 えみちゃんの恥ずかしがる様子が僕の嗜虐心に火をつけてしまったみたいだ。 わざといやらしく、ねっとりとした口調で言う。 「…そ、それは……今日はおにいちゃんと ふたり、だから…朝からずっと、うずうずって」 「うずうずしてたから? それでどうして 欲しいのかな?」 「……おにいちゃんの…ほしぃ……」 聞き取れないほどではないが、とても小さな声で呟いている。 「ん? よく聞こえないよ? もっと大きな声で言ってごらん?」 股間をさらに擦りつけながら、耳元で囁く。 「…んうっ…ぅっん…ンっ……ほ、ほしいの…… ほしいよぉ……!!」 自分からお尻をふりふりして、僕のモノに秘部を押し当ててきている。 スイッチが入ってしまったかな? 「へ? ほしいって? 何を?」 えみちゃんのおねだりは外にいるののかちゃんにも聞こえてしまったみたい。 「…! ののに聞かれちゃった……」 えみちゃんが慌ててしまっているが……。 「ん〜ダメだよぉ。いくらえみちゃんでも、 買ったばかりだから、あげられないよぉ」 ののかちゃんは、えみちゃんがゲームが欲しいと言っていると勘違いしちゃったみたいだが……。 「ち、違うよ、のの。ゲームじゃないよ。 そ、その…こっちの話」 「なぁんだ。ビックリしたぁ」 ののかちゃんはそれ以上、追及してこない。 そんなののかちゃんに、えみちゃんは安心したのか気が抜けてしまっている。 「……そうだ」 ちょっとした悪戯心が芽生える。 「ん? おにいちゃん? えっ?」 油断しているえみちゃんのクロッチを指でずらし、トロトロになっている秘穴へモノをあてがい一気に奥まで挿入する。 「…んくっ……ぁっ……ン…う、くぅ…んぅぅ……」 えみちゃんは先端が最奥に到達した瞬間、くぐもった声を漏らしながら、上り詰めてしまう。 「…ぅあ……ぁ、ぁ……ぁ、ぅん……ンくぅ……」 体がビクビクと小さく痙攣してしまっている。ちょっとやりすぎてしまったか。 「あれ? えみちゃん? どーしたの?」 えみちゃんの異変にののかちゃんが気づき、心配そうな声を上げる。 「えみちゃん、ののかちゃんが来るまで ずっと算数の宿題をしていたからね」 「それで、ちょっと疲れちゃったみたいなんだ」 「そっかぁ。算数はつかれるもんね」 くたりとしているえみちゃんに代わって、咄嗟にフォローを入れてはみたが……。 天然なののかちゃんが相手で良かったと心底思う。 「でも、まだいっぱい残っているからね。 先生がずっと見てるんだよ」 「うーん、だったら、おじゃましちゃダメだね」 「せっかく来てくれたのに、ごめんね。 ののかちゃん」 「ううん。いーよー。じゃあ、私、 今日はお家、帰るねぇ」 「はぁ、はぁ……ま、またね、のの」 えみちゃんが絶頂の余韻に耐えながら、ののかちゃんに声をかける。 「うん、ばいばい、えみちゃん。 あした、いっしょにゲームしようねぇ」 「ののかちゃん。ゲームもいいけれど、 宿題もきちんとしないとダメだよ?」 「あうっ……わ、わかってるよぉ……。 これからすぐやる…。ゲームは終わってから」 ののかちゃんは、僕たちにブンブン手を振ると、そのまま帰ってしまった。 「ふぅ。あぶなかったね」 えみちゃんの中にモノを挿入させたまま声を掛ける。 「んっ…ふぁ……ヒ、ヒドイよ、おにいちゃん……」 「…ののの目の前で、それもいきなり…だなんて……」 絶頂の余韻がまだ残っているのか、どこか切なげな声で言ってくる。 「ごめんね、えみちゃん。 えみちゃんが可愛かったから、我慢出来なく なったんだ」 「…え、えへへ……。そっか、がまん、できなかった んだぁ。あたしがかわいいからかぁ」 照れくさそうな笑顔を向けてくれる。 「じゃあ続き、してもいい?」 「うん……。おにいちゃんの…元気なままだもんね」 この状態で一旦引くなんて出来そうにない。 それに、一度スッキリさせてからの方が捗るに違いないと自分に言い聞かせる。 「んっ――」 「んっ……んくぅぅ……う、あっ、ふぁぁぁ……」 「はぁ、あっ……おにいちゃん……んっ、んっ…… ぅん……んんぅ……」 緩く腰を動かし始めると、すぐに甘い声を漏らしてしまっている。 一度、絶頂したからか中がきゅっと強く締まってくる。 「……おにいちゃん……ふあぁ、あぁ、ンっっ…… ひあぁぁぁ……」 腰を小さく動かし続けると、えみちゃんは大きな声を上げてしまう。 「…えみちゃん、声、お外に聞こえちゃうよ?」 「んぅぅぅっ……だ、だってぇ……」 「えみちゃんのエッチな声、他の子に聞かれても いい?」 「…ぅぅ……それは、やだ……」 「うん。だったら、声、我慢しないとね」 と言いつつ、腰をお尻に打ち付ける。 「ひゃぁっ……ぅんっ……ンっ……くぅぅぅ……」 声が出そうになったのを必死に我慢しているみたい。 そんないじらしいえみちゃんを見ていると、エッチな気持ちが昂ぶってきてしまう。 「はう、ンっ……ひ、ゃぁ…ぁっ…ッ…ぅぅン……」 「く、ンっ! ふあぁ……ンぁ……ぁっ…ぅン…… んんんぅ……」 腰を早く動かし、えみちゃんが声が出てしまうのを我慢する様子を堪能する。 「誰かに見れちゃうかも知れないね?」 耳元でこっそりと囁く。 「ひゃっ……や……ぁ、ぅぅぅ……」 えみちゃんは、以前、パンツを履き忘れたまま外を歩いている状態で感じていたことがある。 意識してしまったのか、膣内の締め付けが強くなる。 「……えみちゃんの…すごく熱くなってるよ? どうしてかな?」 「…そ、それは……あうぅぅ……おにいちゃんの いじわるぅ……」 本人にもちょっとだけ自覚があるのかな? 僕のモノをきゅうきゅう締め付けてきて、このままでは……。 「ふあぁ…おにいちゃんの…お腹のなかで、 ぴくぴくしてる……」 えみちゃんの膣内が小さく蠢くものだから、絶頂感がふつふつと沸いてきてしまう。 考えれば考えるほど、止まらなくなっていく。 「…んっ……くっ……えみ、ちゃん……」 「んあっ……ぅんんっ……おにいちゃん…… そこ…ふあっ…や…こえ、でちゃうぅ……」 たまらなくなり、腰が速く動いてしまっているところに、えみちゃんの甘えた声。 もう、抑え切れない―― 「んはっ…あっ……はっ……んくっ……んぅぅ……」 「…あぁ……だ…め……おにい……ンンン…… くぅぅぅ……ンンっっ……!」 激しくなる動きに我慢し切れなくなったのか、えみちゃんの声が大きく漏れてしまっている。 果ててしまわないよう、歯を思い切り食いしばり、ペースを上げていく。 「…おにいちゃん……あたしも…だから…… いっしょ……次は…いっしょがいい……」 一緒にイキたいとおねだりしてくる。 「うん。一緒だよ。僕に合わせて――」 「…う、ん……あっ、あっ、はぁぁ……ンンン…… ひうっ……うくぅぅ……」 「あっ、はぁ、はぁ、ンン……あたし……あたひ…… もう……ふあぁ……ぁぁぁぁぁ……」 えみちゃんの体がぷるぷる震え始めている。 「…えみちゃん……いくよっ……!」 えみちゃんの腰を掴み、一番奥へとモノを潜り込ませて―― 「ひあぁ…ぁ…ッ……ンンンぅぅぅぅぅーーーー……」 えみちゃんが必死に押し殺した声を上げるのと同時に、上り詰めていたモノを解放する。 「…ぅぅっ……んっ……お、おにいちゃんの…… おくで、どくどくしてるぅ……」 「あったかいよぉ……おなかにおにいちゃんの…… あついの…いっぱいでてるぅ……」 小さく痙攣しながら、ウットリした口調で呟いている。 「……ッ……ンっ……」 射精して、敏感になっているところに膣肉が柔らかに包み込んでくる。 それがたまらなく気持ちよくて、声を漏らしてしまう。 「はぁ…はぁ……は…ぁ……んっ……はぁ…はぁ……」 えみちゃんはウットリした顔のまま息を荒げている。 僕もモノを収めたままの状態で、呼吸を落ち着かせていく。 「えみちゃん、すごく気持ちよかったよ」 汗で額にピッタリ張り付いた髪の毛を拭ってあげる。 「…ンっ……あたしもきもち、よかった……」 「朝からむずむずってしてたの、スッキリしちゃった」 照れくさそうに笑いながら言ってくれる。 この笑顔だけで、心がすごく満たされていく。 …………………………。 ………………。 …………。 行為が終わった後、敦子さんが用意してくれたお昼ご飯を食べて、宿題を再開する。 スッキリしたこともあってか、えみちゃんは集中力を途切れさせることなく机に向かっている。 「…これは……450÷25で、えーっと…… 18枚ずつっと」 「うん。正解だよ」 コツを掴んだのか、スラスラと文章題を解いていってくれている。 白紙の部分がえみちゃんの可愛い文字で埋まっていくのを満足げに眺める。 「そろそろ休憩入れる?」 「ううん。あとちょっとだから。全部やっちゃう」 終わったら“ご褒美”ってことを言ってあげたからか、休憩を挟むことなく、問題を解いていく。 こっちが少し心配になるぐらい集中している。 「ふぃーーー。しゅーりょーー♪」 途中でエッチなことをしてしまったこともあり、夕方までかかると思っていたけど……。 えみちゃんは僕が予想していたよりも、ずっと早く今日のノルマを終えてしまう。 「おにいちゃん、ごほうびは?」 「まだだよ。チェックしてからね」 今日解いた問題をざーっと確認していく。 ご褒美欲しさに雑にやったとかそういうのはない。 どの問題も、きちんと解かれている。 「うん。よくがんばったね」 隣に腰掛けて、僕が確認するのを眺めていたえみちゃんの頭を撫でてあげる。 「えへへ……。ごほうびって、なでなでだけじゃ ないよね?」 「もちろんだよ。えみちゃん、ご褒美は何が いいかな?」 「……え、えーっとね……また、ほしいな……。 おにいちゃんの……」 モジモジしながらおねだりしてくる。 あの様子だと履き替えたばかりのパンツはまたシミが出来ているに違いない。 「うん。でも、その前に……ンっ……」 「ちゅっ……んっ……」 唇を合わせると、目を閉じて応えてくれる。 「んっ……ひゃ……ぅ、んっ……」 キスしながら、手を秘部に当てるとくちゅっと小さな音がした。 恥ずかしがるえみちゃんの手を取り、僕の股間へとあてがってあげる。 「…あっ……おにいちゃんも………」 「そうだよ。だから、いっぱいご褒美あげられるよ?」 「うん。やくそくだよ? ごほうび、いっぱい ちょうだい」 えみちゃんの手を取り、ベッドへと場所を移す。 それから、みんなが帰ってくるまでえみちゃんに“ご褒美”を与え続けたのは言うまでもないだろう。 ………………………………。 教師としても男としても楽しいと思える夏休みはあっという間に過ぎていく。 夏がこんなに早く感じるなんて、いつ以来だろう? 「――というわけで、小野先生は脱線することが 非常に多いので、そこ、気をつけてくださいね」 「…はい。気をつけます」 「さてと、次は瀬田先生ですが……」 「はい。よろしくお願いします」 夏休みも残り1週間となったある日、教職員全員が集まり、2学期の模擬授業を行った。 校長先生と教頭先生が教師1人1人に注意点やアドバイスを送っている。 「瀬田先生、授業のやり方がかなり変わりましたね」 「はぁ、す、すいません……」 目上の人を前にすると、必要以上に緊張してしまうのは相変わらずだ。 「いえいえ、別に非難しているわけではありませんよ。 生徒の目線に立った、とても良い授業でした」 「私も校長先生と同じ意見です。 以前の瀬田先生は、カリキュラムを忠実に こなそうとするあまり、焦ることがありましたから」 教頭先生の言葉にドキッとしてしまう。 そう、僕は“評価”を気にするあまり、進捗が遅れてしまうことを怖がっていた。 そこをしっかりと見抜かれてしまっていたようだ。 「瀬田先生、自信を持って下さい。 分かりやすくて、面白くて……わたしも 瀬田先生に教えてもらいたかったです」 「…それに、ちょっとした小ネタが実に面白い。 瀬田先生は博識ですな」 「いえいえ、恐縮です」 「あとは、そうですね……、たまに難易度の高い 入試問題を出題することがあるので、 そこは注意した方が良さそうです」 「はい、気をつけます」 早い段階から入試を意識した問題を解かせようとしてしまうのは、名門校への誘いがある故か。 えみちゃんと仲直りしてからというもの考えることを後回しにしてしまっていた。 正直、まだ結論は出ていないが、そろそろ具体的に考えていかないと……。 「さてと、次は遥先生ですね。 遥先生は――」 校長先生と教頭先生が遥先生にアドバイスを送っているさなか、将来についてちょっとだけ考えてしまった。 「はぁい、次はことちゃんが鬼だよぉ」 「つかまっちゃった……」 「あたしはどこににげよーかなぁ?」 だからといって、これといった行動を起こすわけでなく返事を保留にしたまま、いつものように過ごしていた。 残暑が厳しい中、校庭で元気に走り回る生徒たちを見ていると、このままっていうのも悪くないのではと思えてしまう。 だけど、名門校で教鞭を振るうのは長年の夢で、教師になった切っ掛けでもあるし……。 「せんせ? お腹でもいたいの?」 みんなと鬼ごっこしていた、えみちゃんが駆け寄ってくる。 顔に出てしまっていたか。 「うん。ちょっと、考え事をね」 「かんがえごと? せんせー、何を考えてるの?」 「うん。実は夏休みが終わった後にする テストの問題を考えていたんだよ」 本当のことを言うわけにいかない。 「テ、テスト……! そんなのかんがえなくても いいよぉ!」 「ののの言うとおりだよ! テストなんて しなくてもいいっ」 「そういうわけにはいかないよ。 夏休みの宿題から出すからね」 何とか取り繕うことが出来た。 「…………」 まだ結論を出すまで時間はいっぱいある。 夢を取るか、ここでの生活を取るか。 どうしたらいいのか、全く分からない。 だけど―― 今は、このかけがえのない時間を何も考えないで楽しもう。 せめて、夏休みの間だけは……。 「………………」 あれから、あっという間に時間は流れてしまい、季節は晩秋を迎えていた。 肌寒さを感じながらノートパソコンを起動させ、ブラウザを立ち上げる。 見ているページは、転勤の打診がある名門校のものだ。 「…はぁーー……」 自然と深いため息が漏れてしまう。 「返事は今月いっぱいか……。どうしよう……」 転勤に関しての返事の期限が迫っていた。 答えは全く出ていない。 相談できる相手もいないし、正直行き詰まっていた。 「…えみちゃん」 ふと、えみちゃんと気まずくなった時のことを思い出す。 初めての絶頂が怖くて泣いてしまって……。 自分のことなのに分からなくて戸惑って、悩んで……。 1人で何とかしようと、隣町の図書館で難しい本を読む毎日を過ごしていた。 僕はえみちゃんの不安に気づいてあげることが出来ず、あろうことか避けてしまっていた。 誰にも相談出来ず、1人不安な毎日を過ごしていたに違いなかったのに……。 …そうか。えみちゃんもこんな気持ちだったんだ。 自分の愚かさに気づいて、胸が痛む。 「………………」 やはり、僕が自分1人で答えを出さなければいけない。 そう腹を括ってから、ブラウザを閉じてノートパソコンの電源を切る。 「今なら、まだ大丈夫か?」 お世話になっている手前、隆司さんや敦子さんだけには話をしておかないといけない。 この時間なら、えみちゃんやゆうきくんはもう寝ているだろうし、隆司さんたちだけに伝えるにはもってこいだ。 「あら? 誠人さん、まだ起きていたの?」 1階に降りると、真っ先に敦子さんが声を掛けてくれる。 きょろきょろと辺りを見渡し、えみちゃんやゆうきくんが居ないことを確認する。 「ん? どうした? 誠人。そんなに改まって……」 「…実は、隆司さんと敦子さんに話がありまして」 腰を下ろし、正座をする。 「…どうやら、大切なお話みたいね」 何かを察した敦子さんが、温かいお茶を淹れて持って来てくれる。 「ありがとうございます」 お茶を1口飲んで、気分を落ち着かせる。 「で、大切な話っていうのは?」 「はい、実は――」 えみちゃんたちに聞かれないように、声のトーンを落として、静かに話し始める。 都会の名門校から教師としての誘いが来ていること。 そろそろ返事をしないといけないこと。 もし、受けるとなったら今年度いっぱい、春には都会へ戻らないといけないこと。 全てを包み隠さず話した。 「そうか…。誠人、すごいじゃないか」 「お前を誘っている学校って、俺でも名前を聞いた ことのある名門校だぞ? 大出世じゃないか」 「そうね。そこ出身の政治家、けっこういるわよね」 隆司さんと敦子さんは、まるで自分のことのように喜んでくれる。 「誠人さんがいなくなると、少し寂しいですけど…」 「おいおい、敦子、何を言っているんだ? 誠人にとって、大チャンスじゃないか」 「誠人、答えはもう決まっているんだろう?」 「いえ、まだ決めかねています」 「…そうか。まっ、男には色々あるわな」 てっきり、受けないと勿体ないということを言われると思ったけど……。 隆司さんは敦子さんの淹れてくれたお茶を飲み干して、うんうん頷いている。 「幸い、まだ時間はありますので最後の最後まで じっくり考えてから結論を出そうと思います」 「一生に関わることだからな。後悔しないように じっくり考えた方がいい」 「まっ、困ったら俺たちを頼ってくれ。 人生の先輩として、何かアドバイスが出来るかも 知れないしな」 「はい。ありがとうございます、隆司さん」 「それで、えみちゃんとゆうきくんには――」 「そうね。伝えるにしても、ちゃんと決まってからの 方がいいわね」 僕がここから去るということを知ればえみちゃんは悲しんでしまうに違いない。 いつかは絶対に伝えないといけないことだけど……。 不安にさせたくないし、結論が出るまで黙っておきたい。 それからというもの、決断を保留しながら思い悩む日々を過ごし続けた。 隆司さんも敦子さんも気を遣ってくれているのか例の話には触れてこない。 「えーっと、じゃあこの問題は……」 ザーッと教室を見渡す。 夏休み以降、苦手だった算数の成績が急上昇しているえみちゃんが、当ててもいいよという視線を送ってきている。 一方、夏休み前の宣言通り、居眠りをしなくなったののかちゃんはノートとにらめっこしている。 「じゃあ、自信がありそうなえみちゃん」 「はーい♪」 やった!という感じで席を立ち、黒板に向かって歩いてくる。 「はい、えみちゃん。がんばってね」 チョークを手渡しながら言ってあげる。 「任せて、せんせ」 よほど自信があるのか、嬉しそうにチョークを受け取り、黒板に可愛い文字を書いていく。 ギクシャクしていた頃は、悩んでいる事が思い切り顔に出てしまった。 同じ過ちは二度としないと、気を遣い平静を装う。 「……?」 「ん? ことねちゃん、どうしたの?」 「…! な、何でもありません……」 ことねちゃんはすごく勘がいいから、僕が自分でも気づかないことに気づいているかも知れないな。 気をつけないと……。 夢を選ぶのか? それともここでの生活を選ぶのか? 数ヶ月前だったら、迷うこと無く決断できていたはずのことなのに、ここまで長引くとはね。 時間は恐ろしいほどの早さで流れていく。 もう決断を下さないと……。 焦りだけが募っていく。 期限が目前まで迫ったある日の夜中―― 「すー、すー、すー……」 隣で安らかな寝息を立てながら眠るえみちゃんの頭を撫でながら考えていた。 えみちゃんは、夜中にこっそりと僕の布団に潜り込んできて、そのまま眠ってしまった。 「えへへ、おにいちゃん……」 夢の中で僕が出てきたのかな? 寝言で僕のことを嬉しそうに呼んでいる。 結局、えみちゃんには名門校から誘いがあることを一切話していないままだ。 「……えみちゃん…………」 結論が出せない一番の理由はえみちゃんの事だろう。 えみちゃんは、僕の中でかけがえのない存在になっている。 もし、夢を選ぶとなれば、えみちゃんとはお別れしなければいけない。 いっそ、えみちゃんも一緒に連れて行くことができれば……。 何度も考えては、現実的ではないと思い直している。 「…答え、もう出さないと……」 「……? 答えって?」 えみちゃんの言葉にドキリとする。 まさか、聞こえてしまった? 「すー……すー……んん……」 どうやら寝ぼけているだけだったようで安堵する。 「……はぁ………」 考えても出てくるのはため息ばかり。 決断の日まで残りわずかだというのに、気持ちは揺れ動いたままだった。 …………………………。 「せんせー、さよーならぁー」 「うん。車には気をつけてね。あと、寄り道しちゃ ダメだよ?」 「ほーい♪」 かじかむ手を擦り合わせながら、校門前に立ち、生徒たちを見送っていく。 この地域は冬が来るのが早い。 まさか、こんなに早く初雪を見ることになるとは思ってもみなかった。 「あーー! 今日はせんせーなんだぁ」 「せんせい、さようなら」 続いて、えみちゃんとののかちゃんとことねちゃん、仲良し3人組がやって来る。 「ねぇ、せんせ。今日はいつかえってくるの?」 「うーん、いつもより、ちょっとだけ遅くなるかも」 「うん、わかった」 「…えみちゃんと、せんせー、 なんかうちのパパとママみたい」 「しんこんさんみたい、です」 「えぇぇ……パパとママって……しんこんさんって はうぅぅぅぅ……」 ののかちゃんたちの何気ない言葉に、えみちゃんは顔を真っ赤にして照れている。 新婚さんか……。そう言われると僕もちょっと照れてしまうが、まんざらでもないな。 「あーーーっ! せんせも顔、まっかっかだぁ!」 「こらっ、ののっ!」 「ののかちゃん、大人をからかっちゃいけないよ?」 「へへ、はぁい♪ じゃー、また明日ね、せんせー」 ののかちゃんが駆け出してしまう。 「ののかちゃん、前見ないと危ないよ」 「あ、のの、待ってよーーー」 「あうぅぅぅ……」 えみちゃんとことねちゃんもののかちゃんに続いて走り出していくのを見届ける。 「………………」 さっき、えみちゃんにちょっと遅くなると言ったのは、今日が決断の日だからだ。 これから校長先生と話すことになっている。 なのに、結論は全く出ていない。 「お疲れ様です、瀬田先生。 どうしたのですか? 暗い顔をして……」 「いえ、ちょっと考え事を……」 「そういえば、遥先生はどうしてこの学校に?」 遥先生は若くて、模擬授業を見る限り教師としての実力もある。 それなのに、どうしてこんな田舎の学校にいるのか? ひょっとしたら、決断を下す切っ掛けになるかも知れないと藁をもすがる思いで聞いてみる。 「ふふふ、これまた突然ですね」 「きっかけは……、教育実習の時、ですね」 「教育実習?」 「えぇ。わたしが実習に行ったのは都会の学校 なんです」 てっきり、ずっとこの学校にいたとばかり思っていたから、驚いてしまう。 「やっほー遥先生。ひさしぶりー」 遥先生が言葉を続けようとした矢先、通りかかった女の子2人組に遮られる。 えみちゃんたちよりも、ずっと大人びた様子の女の子たち。 遥先生のことを知っているみたいだけど、ひょっとしてここの卒業生なのかな? 「あっ、遥先生、男連れてるぅ。 ひょっとして彼氏ですか?」 「もうっ! 違うわよっ」 「この方は瀬田先生。今年からここにいらっしゃった 新しい先生よ」 「へぇ、瀬田先生かぁ。あたし、山本桃子! よろしくね」 「瀬田です。よろしく」 初対面であるはずの僕に気軽に挨拶してくれる。 「それにしても、若い男の先生かぁ……。 いいなぁ。私たちの担任、小野先生だったし」 「だよねぇ。今の子たちがうらやましいな。 小野先生、オッサンだもんね」 「山本ぉ。誰がオッサンだ? 誰が?」 タイミングよく、外出していた小野先生が戻ってくる。 「ひぃぃぃぃぃっ! お、小野先生、 いつの間にいたんですか……!」 「小野先生はいつ見ても若くてカッコイイですね。 私、憧れちゃいますぅ」 「はぁー……。お前たちは卒業しても相変わらずだな。 口ばっかり、達者になって」 小野先生は呆れつつも、すごく嬉しそうだ。 「じゃ、あたしたちはこれで……」 「遥先生、小野先生、あと瀬田先生。まったねぇ。 今度遊びに行きますから♪」 「おうっ! 待ってるからな。気をつけて帰れよ」 女の子たちを見送り、小野先生は校舎へと戻っていく。 「ふふふ。こういうことなんですよ」 「…こういうこと?」 「はい。私が実習にいった学校は、ここよりも ずっと生徒数が多くて、勉強熱心な子たち ばかりでした」 「それで、少し気になったことがあったんです」 「気になったこと?」 「えぇ。実習を終えても印象が残らなかったなって。 わたしの力不足が原因なのですけど」 「だから、勤務先は生徒数が少ない学校を 選んだんです。生徒たち1人1人にしっかりと 向き合いたかったので」 「………………」 遥先生の話を聞いて、ハッとさせられる。 僕はどうして、有名な学校の教師になりたかったのか? 有名な学校な教師になって何を成し遂げたかったのか? 「わたし、ここの先生になれて本当に良かったと 思っているんです」 「さっきの子たち、私がこの学校に来たばかりの 時の卒業生なんです」 「別に担任をしたわけでもないのに、遥先生って 卒業した後も声をかけてくれて……」 遥先生は誇らしげに話してくれる。 「…遥先生がうらやましいです。 でも、僕もいつか、きっと」 「ふふふ、瀬田先生だったら大丈夫ですよ」 「クラスの生徒さんたち、卒業した後も毎日 学校に遊びに来るんじゃないですか?」 「えぇ。みんなの成長した姿を見るのが 今から楽しみです」 さっきの小野先生の笑顔と目の前の遥先生の笑顔。 それに、卒業生の女の子たちの笑顔。 「そうか……。そうだったんだ」 悩む事なんて何もないじゃないか。 「ありがとうございます! 遥先生! おかげで決心がつきました」 「いえいえ。お役に立てて何よりです」 こうしてはいられない。 遥先生にお礼を言うと、一目散に校長先生が待つ職員室へと駆け出していった。 「ただいまー。うぅぅ、寒っ……!」 あれから、校長先生と話し込んでしまってすっかり帰りが遅くなってしまった。 そろそろ、僕も車を買うことを考えた方がいいかも知れない。 そしたら、えみちゃんと2人きりの時間がもっと取れるだろうし……。 「あら、誠人さん。今日は遅かったのね」 台所の奥から敦子さんが出てくる。 えみちゃんとゆうきくん、それに隆司さんの姿は見当たらない。 「でも、良かったわ。私もこれからちょっと 町内の集まりに行かないといけなくて……」 「ひょっとして、隆司さんも?」 「えぇ。ゆうきを連れて先に行ってるわよ。 えみは、今、お風呂ね」 「そうですか。大事なお話があったのですが、 戻られてからにします」 「大事な話? ひょっとしてあのことかしら?」 「はい、今日、ちゃんと決めて 先方ともお話させて頂きました」 「そう。それで、どうすることにしたの? やっぱり、都会に戻ってしまうのかしら?」 敦子さんが伏し目がちに言ってくる。 「そのことなんですが――」 言おうとしたところで、ガタリと物音がする。 「…うそ……だよね?」 「…おにいちゃん、都会に戻るって…… そんな……そんな……」 風呂上がりのえみちゃんが青ざめた顔で立っていた。 しっかりと話をしないといけないと思っていたしちょうどいい。 「うん。えみちゃん、実は――」 「…ぃや……。聞きたくないっ!!」 「あっ! えみちゃんっ!」 瞳に涙を浮かべると、部屋へと走って行ってしまう。 「…ごめんなさいね。まさか、こんなに早く 上がってくるなんて」 「いえ、いつかはちゃんと話をしないと いけないと思っていましたから」 「それよりも、敦子さん、お時間大丈夫なのですか?」 「…あら? もうこんな時間。でも……」 「敦子さんは町内の集まりに行って下さい」 「えみちゃんには、僕から先に話、しておきますので」 「そう。ごめんなさいね。じゃあ、えみのこと よろしくお願いします」 敦子さんに任せて下さいと言ってから、えみちゃんの部屋へと向かう。 幸い、ドアの鍵はかかっていない。 部屋を真っ暗にしたまま、えみちゃんはベッドで布団をかぶってしまっていた。 「…えみちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ」 ベッドに近寄って、話をする。 「やだっ! 聞きたくないっ!」 布団をかぶったまま、僕の方に振り向きもしない。 「大事な話なんだ。えみちゃんに聞いて欲しい」 「…ぐすっ……さっき聞いちゃったもん…… もどるって……ここから出て行くって……」 えみちゃんの声には嗚咽が混じっている。 「えみちゃん、僕は都会に戻るつもりなんて 全くないよ」 「ふえっ!? で、でも……さっき……」 勢いよく飛び起きて、僕の方を振り向く。 「そのことだけど、実は僕にこっちの学校で 働かないかって誘いがあったんだ」 涙を指で拭ってあげながら、言葉を続ける。 ゆっくりと今までの経緯を分かるように説明してあげる。 「それで、さっき、はっきりとお断りしてきたんだ。 校長先生には、ここでずっと働かせて欲しいってね」 「…ほんと? おにいちゃん、いなくならないよね?」 涙混じりの不安げな声で言ってくる。 「うん。もちろんだよ、約束する」 「…ぅん……ぜったい…だよ? んっ……」 自然と唇と唇が引かれ合う。 「んぅぅ……ん……んん……」 えみちゃんは口を小さく開き、舌を僕の口内に潜り込ませてくる。 舌と舌とが絡まり合い、互いを求め合っていく。 「…えみちゃん……僕……」 今までにないぐらい、感情が昂ぶりきってしまっている。 「…うん……おにいちゃん……あたしも……」 潤んでトロンとした瞳に、上気した紅色のほっぺ。 焦る気持ちを抑えながら、えみちゃんの衣服に手をかけて、1枚1枚、ゆっくりと脱がしていく。 パンツ1枚だけのあられもない姿になったえみちゃん。 「…はずかしい……」 「えみちゃん、ここもいいかな?」 パンツに手をかけつつ聞いてみる。 「……おにいちゃんになら…見られても…いい……」 「あたしの…ちゃんと…見てほしい……」 「ありがとう。えみちゃん」 緊張し、震える指で最後の1枚を脱がしていく。 「…おにいちゃんに、ぜんぶ、みられちゃってる……」 生まれたままの、一糸纏わぬ姿でベッドに横たわるえみちゃんを見て、ゴクリと生唾を飲み込む。 ほどけた髪がいつもとは違う雰囲気を醸し出している。 透き通るような肌は、ほんのりと桜色に染まっている。 そういえば、えみちゃんの裸を見るのはこれが初めてだ。 「………………」 言葉が出て来ない。 何でだろう? 胸がすごくキュッとなる。 これまで何度も肌を重ね合わせたというのに、こんなこと初めてだ。 「…おにいちゃん?」 黙ったままの僕に不安そうに声を掛けてくる。 「ごめん。あんまりにもキレイだから、つい……」 「はうぅぅ…そ、そう言われると……なんだか はずかしいな……」 耳まで真っ赤にし、太股をすり合わせ―― 瞳をトロンとさせながらモジモジしてしまっている。 「もっと見てもいい?」 「…う、うん……。おにいちゃんが見たいって いうなら……」 じっくりとえみちゃんの全身を上から下まで眺めていく。 「あぅぅ……はずかしいのに……」 「おにいちゃんに…もっとみてほしいって 思っちゃうよぉ……」 ただ、見られているというだけでえみちゃんは感情が昂ぶってきてしまっているみたい。 乳首がひょこっと起きてきて、縦筋がうっすらと光沢を帯びていく。 「…あたしだけじゃなくて……おにいちゃんも……」 「うん。そうだね」 えみちゃんがこうして全てをさらけ出してくれたんだ。 だったら、それに応えるべきだと思い、服を全部脱いでいく。 「ふあぁ…。おにいちゃんの、いつもより…… おおきい……」 僕が興奮しているのがわかって、嬉しそうに目を細めるえみちゃん。 僕のモノはお腹にくっつくぐらい勃起してしまっている。 「あたしも……ここ、もう、こんなに……」 気がつくと、秘部からはトロトロと蜜が零れてしまっている。 染み出た蜜で、ベッドのシーツにシミが出来ている。 「えみちゃん。…ん……んっ……」 「んっ……ちゅっ……んっ…んぅっ……」 手を握り、指と指とを絡ませ合ってえみちゃんに覆い被さっていく。 モノをスジに当てながら、優しくキスをする。 手を握りながらキスをしていただけなのに、感情がさらに大きく昂ぶっていく。 えみちゃんの方も、愛蜜の量がさらに増していき、僕のモノをトロトロにふやかす。 「…んっ、はぁ……ふあっ……はぁ……ぁ……」 モノがスジの上を動くだけでくちゅりと音を立てる。 えみちゃんのソコはすでに僕のを受け入れる準備が整っているようだ。 「…おにいちゃんの…ほしい……」 「うん。僕もえみちゃんが欲しい」 焦らすことはせず、思ったことを正直に口に出す。 するとえみちゃんは、蕩けそうな顔をしながら小さく頷く。 「…おにいちゃん……きて……」 亀頭を入口にあてがい、ゆっくりと腰に力を入れていく。 「…ぅんっ……んっ……おにいちゃんの…… はいってきて…る……」 愛蜜でヌルヌルになっているそこは、十分柔らかくなっていて、モノを受け入れていく。 「えみちゃんの、暖かいよ」 まだ亀頭が全て入ったってだけだが、膣肉が柔らかく包み込んできてくれている。 「んっ……んぅぅ……くぅ…ぅぅ、んっ……」 僕の手をギュッと握りしめながら、受け入れてくれている。 小さく漏れる甘い声が、僕の興奮度を高めていく。 「ふあぁ…あぁ、あぁぁ……おにいちゃんの… あついの…どんどんきてる……」 「…ぅぅ……んっ……はぁ……あぁぁ……」 膣肉がモノを受け入れながら、締まってくる。 まだ全部挿れていないというのに、頭が蕩けてしまうほど気持ちいい。 「んんっ……も、もう…きてる……いっぱい……」 「ふあぁ、あっ……ぅ、んっ、んん…っ……!」 くぐもった声が漏れると同時に強烈な圧迫感を感じる。 ひょっとして、これだけで軽くイッてしまったのか? 手をさらに強く握りしめ、全身を強張らせている。 「ンっ……」 小さく蠢く膣内に、ちょっとだけ強引に腰を押し進め、モノを深く潜り込ませていく。 「んっ…んはぁ…はぁ、はぁ……はいったぁ……」 「おにいちゃんの…ぜんぶ…はいっちゃった……」 モノが全て収まりきる頃には、えみちゃんはすでに呼吸を荒げてしまっていた。 すぐにでも腰を動かしたいのを我慢し、落ち着くまで待とうとするが……。 「…おにいちゃん……きょう、あたしね…… ちょっとへんだ……」 挿入させ、止まったままの僕に小さく呟いてくる。 「どうしたの? 具合でも悪い?」 「ちがうの…。奥がね、すごくうずうずする……」 「…お腹のずっと奥が…きゅうきゅうして…… なんだか、せつないの」 「これって…おにいちゃんにぜんぶ見られちゃった から、なのかなぁ?」 こうして、裸をさらけ出すということでいつもよりも興奮しているってことかな。 だったら、僕と同じだ。 僕も、もっと激しくしたいって気持ちが抑えきれなくなっている。 「…僕も一緒だよ。いつもよりも、いっぱいしたい」 「そっかぁ。おにいちゃんもなんだ。よかった」 安堵した表情を見せてくれる。 「今日はちょっとだけ激しくしていいかな?」 いつもは、激しくしないように心がけてきた。 でも、今日はなぜだか、深く強く愛し合いたいと思わずにいられない。 「うん。いいよぉ」 「…あたし、へーきだから。 おにいちゃんがしたいようにしてもいい……」 「ありがとう。じゃあ、いくよ――」 えみちゃんの手をしっかりと握り直す。 膣奥を突きながら、モノ全体を膣内に行き来させ、打ち付けるように腰を早く動かしていく。 「んっ…んっ…んぅぅっ……おにいちゃん…… おにいちゃん……ふあぁっ……あぁぁっ……!」 「…えみちゃん……大丈夫? 痛く…ない……?」 「へーきだよ…。おにいちゃんに…んんっ…… いっぱいしてほしい…から……」 えみちゃんが自分からして欲しいとおねだりするのは珍しい。 「うん……。はぁ……んっ、んっ……」 呼吸を荒げながら、腰を激しく動かしていく。 「んあっ……んんっ……ひうっ! んぅぅ……ンッ… んぅぅぅ……!」 「…声、勝手にでちゃう……ダメ……なのに…… ンンン……んぅぅぅっ……!」 ひょっとして、まだ家に誰かいると思っているのかな? 「…今は誰もいないから。声出しても大丈夫だよ?」 「我慢しなくてもいいからね」 歯を食いしばり、声が漏れないように我慢するえみちゃんに囁くように言ってあげる。 「…う、うん……。んっ…あぁぁ……」 「…ああぁ……くぅぅ、ふああ、あぁぁっ!」 声を張り上げて、感じているえみちゃん。 膣内がさらにヌメリを帯びて、痛いぐらいに締め付けてくる。 「はぁぁ…あっ、あっ……あぁぁんんっ!」 「あっ、はぁ、ン、あぁっ……ひあぁぁぁっ……!」 目を閉じて、体を小さく震わせている。 同時に膣内のうねりが激しくなり、根元から先っぽまで断続的に刺激を与えてくる。 「……うくっ……くぅぅ……」 それがあまりにも気持ちよすぎて、変な声が勝手に出てしまう。 抑えが完全に利かなくなり、動きが激しさを増していってしまう。 「んはぁぁ……あっ、ああっ……ンンっ…… あっ……あうっ……」 「…おにいちゃん……おにいちゃん……んんんっ! はぁ、んっ、はぁぁ……」 お互いに呼吸が乱れ、汗びっしょりになっている。 「…っ……えみちゃん……」 名前を呼び合いつつ、絡ませた指をさらに強く結び合う。 「ふあぁ…あっ……ま、また…してる…… おおきいの……ふわふわって…くるぅ……」 「おなかきゅんきゅんする……んっ……んあぁあ…… あぁぁ……うくっ…っ…ンンンっ……!」 えみちゃんが驚いたような声をあげる。 すると膣内がさらに柔らかくなり、これまで入ったことがない最奥へとモノが導かれていく。 「ンぁぁ……おにいちゃんの…おなかまできて……」 「…すごいのいっぱいきちゃう……ふああぁぁ…… ンっ……ああぁぁっ……!」 先っぽがすごく締め付けられる。 「んんっ…んはぁ…あっ……うんっ……んっ…… はぁ、はぁぁっ……ああぁ……っ……!」 「…ンン……」 体が溶けてなくなってしまいそうなぐらい気持ちいい。 射精感が急速に上り詰めてきてしまい、これ以上、我慢出来なくなってくる。 「…んくっ……えみちゃん……僕、もう……」 「…いいよぉ…ふあぁ……そ、そのまま…中に……」 「おにいちゃんの…ンっ……ふぁぁ…あ、あたしに… いっぱい……っ!」 無意識だろうか、えみちゃんは足をさらに広げる。 膣口が開いて、さらに奥深くまで亀頭が到達する。 「んんっ…おなかのおくまできちゃって…… あ、あっ……あたし……もう……」 「ンっ…はぁ……ぁ…っ……ああぁぁぁっっ!」 えみちゃんが大きな声を上げて絶頂すると同時に、上り詰めたものを我慢しきれず、射精してしまう。 ドクドクとモノが蠢きながら、奥の奥に直接、精液を吐き出してしまっている。 「…っ…んっ…はぁぁ…はぁ……あっ……はぁ…… はぁー……はぁーー……」 「お腹にあついのがいっぱい… おくで……まだ…でてるよぉ……」 最奥に潜り込ませたまま、射精を続ける僕に息を切らしながら、切なげに言っている。 「…はぁ……はぁ……はぁ……」 ようやく射精が終わり、全部出し切ったという脱力感がやってくる。 「えへへ…おにいちゃんので…おなかいっぱい……」 「ん……」 「…ちゅっ……んっ……ん……」 射精を終えたというのに、一向に萎える気配がない。 繋がったままの状態で、キスをする。 「ンっ……んぅぅ……ぐすっ……んんっ……」 突然、嗚咽を漏らし始めるえみちゃん。 ひょっとして、乱暴にしすぎたのか?不安になって顔を上げる。 「…えみちゃん?」 「…あれ? どうしてだろ?」 「おにいちゃんとチューしたら、心がふわぁって 暖かくなって……それで……」 涙を浮かべうっとりとした様子で僕を見つめてくる。 「…なんかね、いつもとちがったの」 「おにいちゃんとすると、すごく気持ちいいけど… 今日はね…おにいちゃんと一緒になれた気がした」 「うん。僕もだよ」 お互いの体が溶けて、1つのものになった感じと言えばいいのだろうか? これまでは一緒に絶頂することはあったけど、こういった感覚は得られなかった。 ひょっとしたら、壁みたいなものがあったのかも知れない。 僕はここにずっといるという決心をして、えみちゃんは僕に全てをさらけ出して―― それが“壁”をぶち壊したのかも知れない。 「…もう少しだけ、このままでもいいかな?」 「うん。あたしも、おにいちゃんとこうしていたい」 くたりとえみちゃんに寄りかかり、未だ繋がったまま、優しく抱きしめる。 「えへへ……おにいちゃん……ちゅっ……」 唇をくっつけるだけのキス―― なのに頭が真っ白になって蕩けてしまいそう。 それから、隆司さんたちが帰ってくるまで、僕たちは裸のまま抱き合っていた。 …………………………。 ………………。 …………。 隆司さんたちが町内の集まりから帰って来てすぐに、僕は今の学校に残ることを報告した。 「ふふふ、誠人さん。残ることにしたのね」 どこか安堵した様子の敦子さん。 「名門の誘いを蹴るとはな。もったいないことする じゃないか?」 「おとうさん? なんでそういうこと言うの?」 えみちゃんが隆司さんを睨み付けながら言う。 「…おいおい、えみ。そんな怖い顔しないでくれよ」 隆司さんがたじろぎながら言う。 「あの、それで今後のことなのですが……」 この町でずっと働くことを決心したので、いつまでも居候のままではいられない。 だから、アパートか何か見つかるまでは居候させて欲しいと頼んでみた。 「あら? 気にすること無いわよ?」 「あぁ。部屋は余っているし、わざわざ借りること ない。ずっと居ればいい」 「そうだよ! おにいちゃん、ずっと家にいたら いいよ! 出て行っちゃうのはやだ」 「ふぁぁ……。ぼくもおにいちゃんといっしょがいい」 橋本家総出で僕を引き留めてくれる。 嬉しさで涙腺が緩んでしまいそうだ。 「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」 「ふふふ、えみ、ゆうき、良かったわね? 誠人さん、ずっと居てくれるって」 「やったぁー。おにいちゃん、ずっとだぁ」 「おうっ! 嫁さん貰うまでずっと居たらいい。 誠人、お前もそろそろいい歳だしな」 隆司さんの一言にドキリとしてしまう。 僕にはもうえみちゃんしか考えられないけど……。でも、それを言うわけにはいかない。 「でも、この町に誠人さんと歳が近い人って……」 「学校に1人、若い女の先生がいただろう? あの、ほら…そう、五十嵐先生!」 「あぁ、遥先生がいたわね。誠人さんと歳も近いし いいんじゃないかしら?」 「むぅぅぅぅぅ……」 隆司さんと敦子さんのやり取りに、えみちゃんの機嫌が悪くなっていく。 「んーー? おにいちゃん、およめさんもらったら おにいちゃんじゃなくなるの?」 「そうね。でも、えみと結婚したらゆうきの お義兄ちゃんになるわよ?」 「へー。だったら、おねえちゃん。 はやく、おにいちゃんとけっこんしてよぉ」 「け、け、けっこん!? おにいちゃんと!? あうぅぅ……あたしがおにいちゃんのおよめさん」 明後日の方向を向きながら、顔を赤くしている。 きっと、想像しちゃったりしているんだろうな。 「なるほど、誠人とえみか……。 歳が離れているが、その辺の男にくれてやるより ずっといい。誠人だったら信用できる」 「うふふ。誠人さんが義理の息子かぁ。 それもいいわね」 穏やかに笑う隆司さんと敦子さん。 「とりあえず今はやりたいことが見つかりました ので、結婚はそれからですね」 「ん? やりたいことってなぁに?」 「今はまだ内緒だよ」 えみちゃんの頭を撫でてあげながら言うと、目を細めながら、わかったと返事してくれる。 今の学校で、この町で、ずっとやっていく。 傍らで嬉しそうに笑うえみちゃんとずっと一緒。 色々な悩みが全部吹っ切れた。こんなにスッキリした気分になるのは久しぶりだ。 それからさらに季節は巡っていき―― あたり一面が銀世界っていう状況を驚くことなく受け入れられるようになるぐらい町に慣れ親しんでいた。 「えーいっ♪」 ある日の休日、えみちゃんと一緒に雪合戦をしていた。 嬉しそうに、僕に雪玉を投げてくる。 「おっと。当たらないよ?」 「むぅぅぅぅ! 負けないもん」 こうしていると、ちょっと前のことを思い出す。 パジャマを見られたバツだと、一方的に雪をぶつけてきたっけ。 それが、今やパジャマどころか、その中でさえ見せてくれる。 えみちゃんとこんな関係になれるだなんてあの時は考えもしなかったな。 「あーー! おにいちゃんとおねえちゃん、 らぶらぶだぁ♪」 外に出てきたゆうきくんが茶々を入れてくる。 「えへへへ♪ いいでしょー♪」 冷やかされると恥ずかしがっていたえみちゃんは今や、ご覧の通り、余裕を見せている。 「よっと!」 「うわっぷっ! おにいちゃん、ひきょーだぞ」 それから、ゆうきくんも交えて3人で雪合戦。 迷いがなくなり、心の底から日々を楽しむことが出来ている。 ――冬休みも目前と迫ったある日。 放課後、教員用の椅子に腰掛け前の学校で教えてもらった怪談話を生徒たちに聞かせてあげる。 「………………」 「…………」 クラスの生徒たちが周りを囲み、じっと僕の話に耳を傾けている。 国語の授業で、ちょっと怖い話が出てきてもっと怖い話を知っていると言ってしまったことが発端だったりする。 「――あなたの名前は……? …………………………知らない……」 「――あなたのお母さんは……? …………………………知らない……」 しーんとした教室で、声のトーンを落としゆっくりと怪談を話していく。 いよいよクライマックスだ。 「――じゃあ、あなたを殺したのは……?」 締めのところを言う前に、息を溜める。 「……ごくり……」 ののかちゃんの喉がゴクリと鳴ったところで―― 「お前だーーー!!!」 みんな (1638) えみ「「「きゃあぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」」」 最後の一説で声を張り上げると、みんなが悲鳴を上げる。 「…びっくりした! せんせ、ヒドイよ……」 涙目になりながら言ってくるえみちゃん。 「………………」 よほど怖かったのか、ことねちゃんが目に涙を溜めて言葉を失っている。 「…うぅ……ぐすっ……怖かったよぉ……」 ののかちゃんは半泣きになりながら、えみちゃんに抱きついてしまっている。 「お、俺は怖くなかった……。ちっとも怖くなんて なかったからな」 足を震わせながら強がる男の子たち。 「ははは。みんな、ごめんね」 「…ほんとだよ。心臓、止まるかと思った」 「うぅぅ…。こんな怖い話があるなんて……。 とかいって怖いよぉ……」 「……1人で眠れなくなりそう」 前いた学校でした時は、生徒たちのリアクションは薄かったから大丈夫だと思ったけど……。 ここの生徒たちには効果覿面だったみたい。ここまで怖がらせるつもりはなかったのだが。 「ねぇ、せんせ。他のお話は?」 「えーっと、じゃあ、次の話は――」 怪談を終えた後、すぐに次の話のリクエストが来る。 さすがに怖がらせたままというのはと思い、今度はもう少し軽いものを思ったのだが……。 「…きょ、今日はほら、もうお外も暗いしぃ……」 「そうだね。た、楽しみは後にとっておかないと」 えみちゃんやののかちゃんはさっきのが余程怖かったのか、遠慮してしまっている。 「おっ。もうこんな時間か。じゃあ、続きは また今度だね」 リクエストをしてきた子はちょっぴり残念そうだが、えみちゃんとののかちゃんは勢いよく首を縦に振っている。 こんな感じで、僕は楽しい日々を過ごすことが出来ていた。 それからさらに時は流れ、学校は冬休みに入り、年の暮れが訪れた。 年末で慌ただしい橋本家。 敦子さんにえみちゃんのことを頼まれて、デート感覚で近所の神社に散歩に来ていた。 「…………………」 えみちゃんの視線が境内に貼られたチラシに釘付けになっている。 「どうしたの? 面白いものでもあった?」 「うん、これなんだけど……」 「へぇ、巫女さんのお手伝い募集中か」 つまり、巫女のアルバイト募集ということだろう。 「えみちゃん、やってみたいの?」 「えーっと、このお洋服、すてきだなぁって……」 と遠慮がちに言いながら、ポスターに描かれている巫女さんの写真を指さしている。 やってみたいけど、遠慮しているって感じだ。 それに巫女装束を着たえみちゃんか。似合いそうだ。 「おっ! 瀬田先生と、橋本。 こんなところで何をしているんだ?」 ジャージにスポーツタオルを首にかけた小野先生が声を掛けてくる。 「えぇ。えみちゃんとお散歩していたんです。 小野先生は?」 「俺はいつものトレーニングですよ。 いつも体を動かしてないと落ち着かなくて……」 「ん? 橋本、何を眺めているんだ?」 「えっ……あ、あの……これ……」 小野先生に言われ、ポスターを指さしている。 「あぁ。巫女さんの募集のやつか。 橋本、ひょっとして巫女さんやってみたいのか?」 「えっ…。う、うーんと…その……ちょっとだけ…」 えみちゃんの様子で、言いたい事をピタリと当ててしまっている。 生徒のことをよく見ている。見習わないといけないな。 「んーー。だったら俺から聞いてみようか?」 「小野先生、いいんですか?」 「なぁに、ここの神主さんとはガキの頃からの 知り合いだからな」 「奥にいるだろうから、ちょっと聞いてみる」 そう言うと、小野先生はそのまま境内へと入って行ってしまう。 こういうちょっと強引なところは小野先生らしい。 それから待つことしばし―― 「待たせたな。神主さん、いいってよ」 「えっ!? ほんと!?」 声を弾ませているところを見ると、やはり巫女さんをやってみたかったらしい。 「あぁ。募集はしたものの、人が集まっていなくて 困っていたらしい」 「よかったな、橋本」 「うん。小野せんせー、ありがと」 「すいません、小野先生」 「なぁに、いいってことよ。 それに橋本にとっても良い社会勉強になるしな」 根本にあるのは、生徒のためになること。小野先生のこういう姿勢は是非とも見習わないと。 「で、神主さんもきちんと話をしたいと言っていた から」 「かしこまりました。では、僕が両親の代わりに ご挨拶しておきます」 「おうっ! 後は頼んだ、瀬田先生」 小野先生は右手をシュタっと挙げて、駆け出して行ってしまう。 それから、えみちゃんを引き連れて境内の中に入り神主さんに挨拶した。 神主さんは好々爺そのものな人で、えみちゃんが巫女さんをやりたいということを心から喜んでいる様子だった。 でも、一応、親の許可が必要らしいので、その場で隆司さんに連絡を入れる。 これも社会勉強だと、小野先生と同じことを言い隆司さんは二つ返事でOKしてくれた。 「隆司さんもいいって。えみちゃん、頑張ってね」 「うん。しっかりがんばるよ」 「あたしが巫女さんをするところ、 おにいちゃんにいっぱい見てもらうんだ」 えみちゃんは嬉しそうにはしゃいでいる。 「…そのことなんだけど」 残念なことに、僕はこれから一度都会へと戻らなければならない。 僕のことを誘ってくれた名門校の理事長に改めて挨拶しておく必要があるからだ。 しかも、理事長と約束した日はえみちゃんがお手伝いする日とかぶってしまっている。 「うぅぅ…そっか。おしごとじゃ、しょうがないね」 えみちゃんにそのことを告げると露骨にがっかりした顔をする。 とはいえ、僕もえみちゃんの巫女姿が見たい。 「なるべく早く戻るようにする。 もし間に合ったら、すぐに駆けつけるよ」 「ほんと!? やくそくだよ?」 えみちゃんと指切りをする。 それから家に戻り、夕方の便で都会へと戻った。 えみちゃんのお手伝いの日当日―― えみちゃんは今頃頑張っているに違いない。 おみくじの販売という大役を与えられたみたいで、すごく張り切っていたからな。 さっさと理事長への挨拶を切り上げて、戻ろうと思っていたのだが……。 さすがは名門校の理事長、たくさんの教育関係者が集まった宴会が行われていた。 中にはテレビに出演している著名な人もいて。 すっかり舞い上がってしまい、教育論について語り合ってしまった。 挨拶をしたら、すぐにお暇するつもりだったが、予定の時間を大きく上回ってしまい……。 結局、最終の便で戻ることになってしまった。 「…約束、守れなかったな……」 時計を見ると、もうすぐ日付が変わりそうな時刻だった。 宴会でも行われていたのか、居間にはほんのりと酒の匂いが残っていて、台所には汚れた食器が山のように積み上げられていた。 みんな、もう眠ってしまっているようだ。 せめて寝顔だけでもと思い、えみちゃんの部屋へと向かう。 「あっ、お兄ちゃん。おかえり」 2段ベッドの上でゆうきくんが眠っているからか、小さな声で出迎えてくれる。 「ただいま。起きていてくれたんだ」 いつもならとっくに夢の中にいる時間なのに……。 僕が帰ってくるのをずっと待ってくれていたのだろう。 そんなえみちゃんの健気さと、約束を守れなかった申し訳なさでいっぱいになる。 「ごめんね。約束、守れなくて」 「ん? しょうがないよ。 おにいちゃん、おしごとだったんだし……」 てっきり不機嫌になると思いきや、ニコニコ笑っている。 そんな様子に安堵し、お手伝いはどうだった?と聞いてみる。 「えへへ、おみくじをわたすの、すごく楽しかったよ」 「でも、ずっとたちっぱなしだったから、 もう足がパンパン」 嬉しそうに巫女さんのお手伝いの話をしている。 きっと、みんな目尻を下げながらえみちゃんからおみくじを買ったんだろうなぁ……。 その光景が目に浮かぶ。 「そっかぁ。えみちゃんの巫女さん、 見れなかったのが残念だ」 「…おにいちゃん、ちょっと待ってて」 そう言うとえみちゃんは僕を部屋に残し、出て行ってしまう。 「………………」 ブーンという暖房の音に、ゆうきくんの安らかな寝息の音。 手持ちぶさたになった僕は、意味も無くじーっと暖房の薄いオレンジ色の光を眺めているだけ。 「おまたせー」 しばらくすると、えみちゃんが戻ってくる。 「…!」 「おにいちゃん、どうかな?」 予想もしていなかった巫女姿に唖然としてしまう。 隙間から差し込む柔らかい光で、行灯袴姿のえみちゃんが神々しく見える。 「なんか、神様みたいだね」 咄嗟に上手い言葉が浮かんで来なかった。 「…神様かぁ……」 どうやら、まんざらでもないみたい。 「でも、えみちゃん、それって……?」 「うん。おせんたくしてから、かえさないと いけないみたいだから」 「おにいちゃんに見せたくて、ずっと起きて まっていたんだよ?」 帰りの電車の中で、えみちゃんの巫女姿は見れないと諦めていた。 思いがけないサプライズが嬉しくて、巫女姿のえみちゃんをじっくり見てしまう。 「ねぇ、おにいちゃんは“はつもうで”行った?」 「ん? まだだよ。 挨拶に行って、それからすぐに帰ってきたんだ」 「そっかぁ。ってことは、まだおねがいごと、 してないんだよね?」 「そうだね。初詣は明日、行こうと思っていたよ」 「だったら、今、あたしにおねがいごとしたらいいよ」 一瞬、えみちゃんが何を言っているかわからなかったが。 恐らく、僕がさっき“神様みたい”なんて言ったものだから“お願い事”ってなったのだろうと解釈する。 巫女さんにお願い事をするなんて聞いたことないけど、この際、細かいことは考えるまい。 「(…何をお願いしよう?)」 すぐに浮かんでくるのは、いつまでもえみちゃんたちと一緒にいたいって事だけど。 それは本当の神様に任せるとして、えみちゃんにだったら―― 音を立てないよう、両手を2回合わせる。 「えへへ、なんか本当の神様になった気分だ」 まんざらでもない様子のえみちゃんに聞こえるように“お願い事”をする。 「――えみちゃんといっぱいエッチなことが 出来ますように」 「…えっちなことって……。おにいちゃんの すけべ……」 「うん。だって、ずっと我慢していたから……」 「…しょうがないなぁ。じゃあ、今すぐお願いを 叶えてあげる」 「でも、その前に―― おにいちゃん、何か忘れてない?」 目を瞑り、唇を前に突き出している。 「…んっ…ちゅっ……んっ……」 唇を合わせ、お帰りなさいのチューをする。 こうしてキスするのは、出発前にこっそりいってきますのチューをして以来だから3日ぶりか。 「…んぅ……んっ……」 えみちゃんの体から力が抜けて、しなだれかかってくる。 離れている間、ずっと禁欲生活をしていたからかすぐに興奮してきてしまう。 「……おにいちゃんの…元気になってるよ?」 僕の興奮を感じ取ったのか、耳元で囁いてくる。 「ずっと我慢していたから……」 「そっかぁ。がまん、してたんだ。 あたしも…んぅ……」 唇を強く押しつけてきたので、応えるように小さく口を開けて、舌を潜り込ませる。 「…んぅぅ……ちゅぅ……んっ……ちゅっ……」 お互い、昂ぶりが抑え切れなくなってきてゆうきくんが近くで眠っているのにも関わらず求め合ってしまう。 「んはぁ……おにいちゃぁん……」 瞳を潤ませ、甘えた声を出している。 スイッチが入ってしまったのは僕も同じだ。 「…えみちゃん……」 「うん。いいよ。このまま……」 少ない言葉で互いの言いたい事を察知し合う。 とはいえ、ゆうきくんが寝ているから激しいことが出来るはずがなく……。 それならと、互いの下半身が頭に来るように体勢を変える。 ズボンを下ろすと、いきりたったモノがすぐに顔を出す。 「ふあぁ……おにいちゃんの、びくびくしている」 「うん。これから、えみちゃんとって思ったら……」 溜まっていることもあってか、凶悪なぐらい反り返ってしまっている。 「…おにいちゃんの辛そう……。どうしたらいい?」 「えみちゃんの舌でペロペロして貰いたいな」 してもらいたいことを素直に告げると、小さく首を動かしてくれて……。 「…んっ……れろっ……」 柔らかな舌が亀頭に触れ、うっかり声を漏らしそうになってしまう。 「……ぺろっ……んっ……んっ……どうかな?」 「すごくきもちいいよ」 「そっか。きもちいいんだ。だったら、もっと してあげる」 「んっ、んっ…ちゅっ……れろ……」 ぎこちない舌の動きに、背筋がゾクリとする。 ただ、舌を亀頭に這わせているだけだというのにたまらなくなってくる。 「僕もえみちゃんに……」 えみちゃんにしてあげたくなってきて、袴に手をかける。 「……?」 袴をたくし上げると、予想した白い布らしきものが見えてこない。 ほのかな潤いを帯びた縦筋が見えてくる。 「あれ? えみちゃん、パンツは?」 「ん? こういうの着る時って、 パンツ、はいちゃだめなんだよ?」 どうやら、着物か何かの作法だと勘違いして下着を身につけていないみたい。 詳しいことは僕もよくわからないが、確かこういう行灯袴では下着をつけるものでは? …待てよ……。ということは……? 「えみちゃん、まさか、お手伝いの間ずっと?」 「うぅぅ……。そうだよ……。すごく恥ずかしかった」 予感が的中してしまった。 えみちゃんは巫女さんのお手伝いの間もずっと下着を着用していなかったらしい。 「そっか。ずっとパンツをはいてなかったんだ」 「ひょっとしたら誰かに見られたかも知れないよ?」 「はうっ! あぅぅぅ……」 わざといやらしい口調で言うと、体をビクンとさせて恥ずかしがってしまう。 「みんなの前でパンツをはいていないなんて……。 エッチな巫女さんだねぇ」 「うぅ…えっちって……そんなこといっちゃ…や…」 さらに体を震わせて、愛蜜を溢れさせてしまう。 羞恥心を煽られて感じてしまっているようだ。 「ん? えみちゃんの、エッチなお汁が いっぱいだね?」 「…しらない……。かってにでちゃうの……」 身をよじらせながら答えてくれる。 「キレイにしてあげるね」 舌を伸ばし、スジに這わせていくと量を増した蜜が口いっぱいに広がっていく。 「んひゃっ……ぅ、んんっ……」 「あたしだけじゃ……。んぅ、れろっ……んっ……」 お返しとばかりにえみちゃんが亀頭を舐めてくる。 「…ぅ…っ……にがいの…でてきた……」 「んっ、んっ…ちゅっ…れろ…っ…れろ……。 きれいにしてあげる……んっ……ちゅっ……」 舌先で我慢汁を舐め取られ、何とも言えない快感がやって来る。 えみちゃんに負けじと、舌を伸ばし入口近くを重点的に責めていく。 「ひゃっ……っっ……!」 うっかり声を上げそうになったのか、慌てて声を押し殺している。 我慢している様子が可愛くて……。 ゆうきくんを起こしてしまう危険性があるのにも関わらず、舌で愛撫を続けてしまう。 「んぅ…んっ……ぅくっ……んっ……れろっ…… れろっ……」 「…ふあぁ…ん…ちゅっ…ぅぅ……んんっ……」 僕の愛撫に感じながらも、一生懸命、先っぽを舐め続けてくれている。 もう少し、して欲しい。 「えみちゃん。それ、もっとお口の中に入れて もらってもいいかな?」 「ふぁむ……んっ……んっ……」 亀頭全体がえみちゃんの口内へと入っていく。 口腔内の粘膜がねっとりとしていて、膣内とは違った気持ちよさを感じる。 「んぅぅ…じゅるっ…んっ、んっ…ちゅるっ……」 動きにつたなさはあるが、それがかえって快感をもたらしてくる。 「……んっ…はぁ……おにいちゃん…どう?」 「すごく気持ちいいよ」 「ん。じゃ、もっとしてあげる」 「……んぅぅ……ちゅっ…んくっ……んっ…… んっ……ちゅる……じゅるる……」 舌と口内の感触で、さらに昂ぶってくる。 「僕も……んっ……んっ……れろっ……」 どんどん溢れてくる愛蜜を舌ですくいつつ、興奮でコリっとなっている陰核を刺激してあげる。 「…! んぅぅっっ……!」 愛撫していて敏感になっているせいか、えみちゃんがたまらず腰を落としてくる。 顔面に秘部を押しつけられ、女の子の甘くて濃厚な香りに、さらに興奮させられる。 「んぅっ……おにいちゃんの…お口でビクってした」 「もっとぺろぺろしてあげる……。んっ、んっ…… あむぅ……んく、んぅぅ……」 小さな口をいっぱい使って、僕のを丹念に舐め続けてくれる。 「んぅぅ……んむぅ……あむっ……んっ…… ちゅっ……んくんっ……」 モノを口でゆっくりと扱きつつ、溢れている我慢汁を吸い出していく。 それがたまらなく気持ちよくて、つい、手を伸ばしてしまう。 「んくっ……!」 指先がお尻の穴にちょっと触れただけで、小さな悲鳴を上げている。 そんな様子につい、悪戯心が芽生えてしまい指先で尻穴を弄ってしまう。 「んんんっ! んはぁ…そ、そこ…だめ……」 口からモノを抜き、身をよじらせている。 そのおかげで爆発寸前だった射精感がなんとか落ち着きを取り戻す。 「ぅ、んっ…そんなところ、おいたしたらだめ…」 と言いながら、尻穴を指に押しつけてきている。 「んっ…は、ぁ……おしり…はいっちゃう……」 「…あっ……ふあっ……ぅ……くぅ……んっっ……」 第一関節がお尻の中に入っただけで、ビクリと体を震わせている。 軽く絶頂してしまったのだろう。 「…はぁ、あぁ…んっ……だめって…ゆったのに……」 呼吸を荒げ始めている。 指を入れたままの状態で、落ち着くのを待つ。 「えみちゃん、お尻気持ちいいんじゃないかな?」 「…あうぅ…わかんない…。わかんないけど……」 「そうか。だったら、確かめさせてあげるね」 いきなり全部挿れるのは……と思い、第一関節だけで、尻穴の入口付近をマッサージするようにほぐしていく。 「んっ、ぅぅぅ……あっ…あうっ……ンっ……」 「…おしりなのに…むずむずしてきちゃう……」 「むずむず? ここかな?」 指で尻穴をほぐしつつ、舌先で秘部を愛撫する。 「…っっっ……!」 両方を一度にというのは刺激が強すぎたのかな? 必死に押し殺した悲鳴を漏らしながら、体を強く震わせている。 「んぅぅ…ぁぁ…ふあぁ…あっ…ぅっ、んっ…」 「おにいちゃん…おしり…へんになっちゃう……」 しばらくほぐしてあげていると、慣れて来たのか自分から腰をくねらせてくる。 「ひっ……んっ……くぅぅぅ……」 試しに指を半分まで埋めていくと、苦しそうな声を漏らしている。 体が強張っていて、尻穴が指を痛いぐらいに締め付けてきている。 「痛かった?」 「はぁ、はぁ…い、いたくはないけど……」 どうやら、まんざらでもなかったみたいだ。 「ゆっくりしてあげるから、力抜いてね」 「…う、ん……」 「……んっ……! くっ……うっ、ぅぅん……」 一旦、指を第一関節まで戻し、少し経ってから再び半分まで埋めていく。 尻穴の肉の動きに注意しながら、中を丁寧にほぐしていく。 「んあっ……んんっ……んくぅぅ……」 苦しみがだんだん和らいでいっているみたい。 だからと言って慌てることなく、秘部を舐めつつ、お尻の愛撫を丁寧に続けていく。 「ふあぁ……んっ……はぁ…あっ…ぅ…んぅ……」 声がだんだんウットリしたものへと変わっていく。 体の力が抜けていき尻穴は徐々に柔らかさを増していく。 「はぁ…はぁ…なんかへん……」 「おしりも…あつくなって…うずうずしてきてる……」 元々、お尻が感じやすかったこともあってこうなるまでにさほど時間は必要なかったようだ。 とはいえ、まだえみちゃん自身、お尻で感じてしまうことに不安を感じているようだ。 「えみちゃんはきっと感じやすい体質なんだね。 それはいいことじゃないかな?」 「ほんとう? おしりがきもちいいって おかしくない……?」 「うん。お尻が気持ちいいって人、 いっぱいいるみたいだよ」 「そっか。あたしがへんなわけじゃないんだ。 おにいちゃんが言うならだいじょうぶだね」 僕自身、エッチな本の受け売りではあるが……。 えみちゃんを納得させるには十分だったみたい。 「そうだよ。 だから、こっちでも気持ちよくしてあげるね」 「んんんっ…はぁ……んはぁ……んっ……ぅくっ…… んっ……んっ……ぁっ……ぁぅ……」 「…お、おしり…で……いっぱいきてる……」 指の動きを少しだけ速めてあげると、しっかり感じてきてくれたようだ。 「ひゃっ……あっ……あッ……!」 中で指を軽く曲げると、さらに敏感な反応をしている。 「いいよ。そのまま、ね?」 「う、うん……はぁ…あくっ…んっ…ぅん……」 「はぁ……はぁ……あっ…あっ…んはぁ…… うぅっ……ぅくぅっ……んんっ……」 「えみちゃん、お尻、どんな感じかな?」 「んっ…あつくなって…うずうずって…きてる……」 反応を確かめて、指の動きを多少激しくする。 「んぅぅっ……ひあっ……おにいちゃん…もう… んんんっ……」 「うん。そのままお尻でイッていいからね」 「…んあっ……あっ……あたし……おしりで…… あっ……あっ……ぁぁ……」 「んぅぅぅぅ……!!」 指が全部入った瞬間、えみちゃんは体をビクリとさせ果ててしまう。 秘部からは愛蜜が洪水のように溢れ出し、お尻の穴は指を食いちぎるぐらい締め付けている。 「…はあぁ…はぁ…あたし…おしりで…… きもちよくなっちゃった……」 うっとりしながら、余韻に浸っている。 一方、僕はえみちゃんの絶頂する姿で興奮してしまったせいか、モノがギンギンに張り詰めてしまっている。 「…えみちゃん、僕も……」 「うん。今度はおにいちゃんの番だね」 「あたしで…いっぱいきもちよくなってね」 すっかり呼吸を整えたえみちゃんが体勢を変えようとすると―― 「ふわぁぁ……おねぇちゃーん……」 上からゆうきくんの声がした。 即座にモノをしまって立ち上がり、ゆうきくんの方を確認する。 「んぅぅぅ……むにゃむにゃ……」 ゆうきくんはスヤスヤと眠っている。 「…なんだ、寝言か……」 「…ゆうきったら……。びっくりしちゃった」 普段なら、これで一発で萎えてしまいそうだが……。 溜まりに溜まっているからか、モノはすぐに張り詰めてきてしまう。 「えみちゃん、このまま続き、いいかな?」 「このままって、その、立ったままするの?」 「うん。もう我慢できなくなっちゃって……」 「…ちょっと恥ずかしいけど、おにいちゃんが したいっていうなら……」 僕のせいにしてはいるものの、いそいそと衣装の帯に手をかけるえみちゃん。 そんな光景を眺めながら改めて思う。 ちょっぴり不器用で、でも正直なえみちゃんが僕は大好きだ。 「じゃあ、こっちにおいで――」 「うぅぅ…おにいちゃん、はずかしい……」 えみちゃんの体を寝静まるゆうきくんの顔が見える位置まで持ち上げる。 何かの拍子で目を覚ましたら、えみちゃんの恥ずかしい部分が丸見えになってしまう。 危険極まりない体勢だというのに、背徳感でどんどん興奮してきてしまう。 「…んっ……んぅぅ……」 ゆうきくんが寝返りを打つと、えみちゃんがビクンと体を震わせる。 「…! おにいちゃん、だめ……。 ゆうき、起きちゃう……」 「大丈夫だよ。ほら、ゆうきくんグッスリ眠って いるから」 「…ぅぅ…そ、そうだけど……」 「それに、えみちゃんの…すごいことに なっているよ?」 見せつけるような恰好になっているソコからは愛蜜が溢れ出し、太股をねっとりと伝っている。 入口の部分にモノをあてがっただけで、くちゅりと水音を立ててしまうぐらい潤っている。 「…ひゃうぅ……おにいちゃんのも…だよ…?」 僕のモノは一刻も早くえみちゃんの中に入りたいとビクビクしてしまっている。 こんな状況だというのに、互いに求め合っている。 「えみちゃん、いいかな?」 「…こんなの恥ずかしい……。でも……」 弟に見られてしまうかも知れないという羞恥心がえみちゃんを興奮させている。 もう、欲しくてたまらないって様子だ。 「…そーっとだよ? ゆうき、起きちゃうから……」 えみちゃんの体を持ち上げて、先端を濡れそぼっている秘穴にあてがい……。 ゆっくりと挿入させていく。 「…ん、はぁ……ぅぅ……んうぅ……」 亀頭が膣口を広げ、中に入った途端押し殺した嬌声を漏らしている。 音を立てないように、ゆっくりと中に進入させていく。 「ふあぁ……あぁ……んっ……ぅっ……んくぅぅ……」 「…はぁ…声…だめなのに……。ゆうき起こしちゃう かもしれないのに……」 漏れる吐息が熱いものへと変わっていっている。 恥ずかしいのに感じてしまっているからか、膣内は僕のをぎゅうぎゅうと締め付けてくる。 「…うーん……」 「…! うっ……ンっ……!」 ゆうきくんの寝息が聞こえてくるたびに、締め付けが強くなる。 眠りはかなり深いようで、余程のことがない限り目を覚まさないと思うが……。 「…んっ! んっ! ぅくっ……んんっ……!」 「んんんっ…ぁっ…ふあぁ……すごいおくに… おにいちゃんの…きてる……」 この体勢だからか、いつもよりも深くまでモノが入っていく。 ゆうきくんを起こしてしまわないように、ゆっくりと抽送を続けていく。 「…ふぁ……ぁっ……んっ……くっ……ぅんっ……」 途切れ途切れで、嬌声を漏らしている。 声が出てしまうのを必死になって我慢しているみたい。 「…はぁ……ぁぁ……ぅ…んっ……ンンっっ……!」 「……っ……!」 一番奥に亀頭が当たった瞬間、膣内が痙攣しながらモノを責めてくる。 うっかり声が漏れそうになるのを必死に堪える。 「…みられちゃうかもしれないのに… すごい…はずかしいのに…」 「お腹…おくがうずうずしてきて……あたし…… ふぁ…あっ……ぁぅ……んぅっ……」 吐息が強くなり、体の震えも大きくなっている。 それがさらにモノを刺激してきて、早くも射精感がフツフツと煮えたぎってくる。 「おにいちゃんの…びくびくってしてる……」 「えみちゃんも、だよ?」 「うん…。おかしくなってる……。 ゆうきの前なのに……見られたら…だめなのに…」 身を縮こまらせ、耳まで真っ赤にさせているえみちゃんがあまりにも可愛くて……。 「んっ……! おにいちゃん……あっ……んぁ…… う、くぅぅ…っ…!」 ゆうきくんを起こしてしまうかも知れないのに、腰を激しく動かしてしまう。 「ふあぁ、あぁ…んっ…おにいちゃん…… あっ…あっ……ンンンっっ……」 「おなか…きゅうってなる……んあっ…あっ…… だめ……あっ…あっ…ふあぁぁぁ……」 さらに強くなる締め付けに、射精感が限界まで立ち上ってくる。 「…えみちゃん、僕、もう……」 「うん……。おにいちゃんのいっぱい欲しい……」 えみちゃんが小さく頷くのを見てから、先端をさらに奥まで進ませる。 「んっ……! あくっ……ぅっ……ンンっっ……!」 えみちゃんが必死に耐える声を漏らすのと同時に膣内の奥で射精してしまう。 ドクン、ドクンとモノが大きく脈動し大量の精をお腹の中で放ち続ける。 「…んあぁ……いっぱい…でてる……」 「おにいちゃんのあついの…おくでびゅびゅって してるぅ……」 ウットリとした声を出しながら、クタリとした様子で身を預けてくる。 射精を終えて、膣内からモノを抜く。 「…おにいちゃんの、こぼれちゃってる」 溜まりに溜まっていたからか、膣口から大量の精液が零れ出てしまっている。 それなのに、モノは萎える気配が全く無い。今日は色々あったし、疲れマラというやつか? 「えみちゃん…もう少し、いいかな?」 一度射精しただけでは、満足出来ない。 「…う、うん……。あたしも…おにいちゃんの もっとほしい」 まだしたいという気持ちはえみちゃんも同じみたいだ。 「ンっ……」 たぎる気持ちが抑えきれず、お尻の穴に亀頭をあてがう。 「ふえっ!? おにいちゃん、そこ…ちがう……」 驚いた声を上げながら、首をぷるぷると横に振っている。 「…今度はこっちでしてみたいんだ」 「こっちって…おしりでするの?」 「うん。やっぱり、ダメかな?」 「うぅぅ…おしり…だめじゃないけど……」 「でも…そんなにおおきいの…はいらない……」 興味あるけれど…といった感じか。 「優しくするから……」 「…やさしくしてくれるんだったら……。 おにいちゃんがおしりでも きもちよくなりたいんだったら……」 覚悟を決めたみたいで、えみちゃんの力が抜ける。 「ありがとう、えみちゃん。んっ……」 「ひうっ……! んっ……んぅぅぅ……っっ……」 亀頭の半分だけをお尻の穴に押し込んでいく。 先ほど指で十分ほぐしていたからか、思っていたよりもすんなりと入っていく。 「あっ……んくっ……おしりにはいってくる……」 異物を入れられているからか、苦しそうな声を漏らしている。 焦らずに、ゆっくりとモノを馴染ませながら挿入を進めていく。 「えみちゃん、痛くない?」 「う、うん……ちょっと苦しいけど…へーき……」 耳元で声をかけ、反応を確かめる。 あまりにも痛がるようであれば、すぐにでも止めるつもりだったが、まだ大丈夫そうだ。 「うん。もっと力を抜いてごらん?」 「んんんっ……うくっ……んぅっ……はぁ…… はぁ……んっ……」 荒い息を吐きながら、僕の言う通り力を抜こうとしている。 それが挿入を促し、愛液と精液まみれになったモノを半分ぐらいまで飲み込んでいく。 「んあっ……あっ……おしり、あつくなってる……」 「おしりなのに…あたしの…ジンジンしてくる……」 感じ始めてきたのか、中が幾分柔らかになっていく。 とはいえ、慣れていないソコは異物を吐き出そうとうごめき、それがかえって射精感を湧き上がらせる。 「んくぅっ……ま、まだ…はいってくる……」 「うん。あと少しだよ」 一気に全部入れたい気持ちに駆られるが、傷つけないようにゆっくりと挿入を続けていく。 「…っく……」 「…はぁ…はぁ……おにいちゃん、苦しいの?」 うっかり漏らした吐息に気づいたえみちゃんが心配そうに声をかけてくれる。 「…違うよ。えみちゃんのが気持ちよすぎて……」 「あたしのおしりもおにいちゃんをきもちよく させているんだ……」 「だったら、いいよ? おにいちゃんの全部…… あたしに……」 「うん」 うっかり射精してしまわないよう、踏ん張りながら残っている部分を埋めていく。 股間の部分に柔らかな桃尻の感触が伝わってくる。 「…はぁ…はぁ……ぜ、ぜんぶ……はいった……」 「おにいちゃんの…おしりでもちゃんとできたよ?」 うっすらと涙を浮かべながら、嬉しそうに微笑みかけてくれる。 膣内と違い、圧迫感を絶え間なく感じる。 こうしているだけで、すぐにでも射精しそうだ。 「えみちゃん、大丈夫かな?」 「うん。なんかね、おなか、すごくうずうずしてる」 「くるしいのが、だんだん、なくなってきてる」 思った通り、お尻の方も感じるようになっている。 「んっ……!」 「ひゃうっ……うぅ……んぅぅぅ……」 奥を突くと可愛い声を漏らしている。 同時に中がぎゅっと熱くなり痛いぐらいに締め付けてくる。 「んはぁ……あっ……おしり…おにいちゃんので んんんっ……はぁ、あ…ぁ…ぅ……ンっ……」 ゆっくりと抽送を続けると、声が大きくなってくる。 さらに強い刺激がやってきて、さっき射精したばかりだというのに、また射精してしまいそうになる。 「はぁ、はぁ…おしりでもおにいちゃんの感じる…… ビクビクってしてるの……わかるよぉ……」 「おしりでもいい……おにいちゃんのあついの… だしてもいい…よ……」 体を快感に震わせながら、優しく射精を促してくれる。 「うん……。こっちにも……んっ……」 お尻の方でも上り詰めたい一心で、腰を小刻みに動かし続けていく。 「んぅぅっ……おしりでも…いっぱいくる…… あたま…ふわふわぁってくる……」 「えみちゃん。こっちでも一緒に――」 「…んっ……んっ、あぁ……はぁ……あっ……」 「んぅぅ……くっ……ンンっっ……!!」 「…くっ……ぅぅ……っ……」 絶頂を迎えたえみちゃんの中がぎゅっとしまり、大量の精液を吐き出してしまう。 「んぅぅぅぅっ! んんんっ……おしりに…… あついの…すごい…でてるぅ……っ……」 初めての腸内射精に戸惑いながら、必死に声を押し殺している。 それがさらに締め付けを強くして、搾り出されるように射精を促してくる。 「あ…ぁぁ……おなかにちょくせつ…あついの… どろどろってしたの…くるよぉ……」 脱力し、ウットリした声で小さく呟いている。 きゅっとくる心地よい圧迫感を堪能しながら射精を続けていく。 「…ひゃっ……んっ……!」 射精を終え、モノをお尻から引き抜くと小さく声を上げる。 ゴポっとした音を立てながら、尻穴から精液が溢れ出してしまっている。 「…うぅぅ……ぅっ……おしりから、でちゃってる…」 「おにいちゃんが出したのでて…へんな音もして… うぅぅ……はずかしいよぉ…」 お尻から鳴る小さな音がよほど恥ずかしかったのか、瞳から涙が零れている。 「…えみちゃんのから、お汁がいっぱい出てる。 お尻だけじゃなくて、こっちも……」 前の穴からも後ろの穴からも、大量の汁が溢れ出てきてしまっている。 「…いじわる…しないで……」 「おにいちゃんが…いっぱいきもちよくして くれるから……あたし…また……」 前でも後ろでも絶頂してしまって、完全に火が付いてしまったみたいだ。 控えめにおねだりしてくる様子があまりにも可愛くて……。 大量の精を放ったにも関わらずすぐに復活してくる。 「…ここ、やっぱり恥ずかしいよぉ…。だから……」 ゆうきくんが眠っているすぐ側だからということもあってか、消化不良って感じだ。 だけど、それは僕も同じ。 「…僕の部屋、行こうか?」 「うん。おにいちゃんのお部屋で…続きしたい……」 「ちゅっ…んっ……んっ……ちゅっ……んぅぅ……」 あれからすぐに、僕の部屋へと移動し、一糸纏わぬ姿となったえみちゃんとキスをする。 真っ暗な部屋、薄い月明かりに照らされたえみちゃんの肢体に見とれてしまう。 「んっ…ちゅっ……んんっ……」 「んはぁ……ふぁ……ちゅっ……れろ……」 行為をし、互いに上り詰めたばかりだというのに抱きしめ合い、求め合いながら激しいキスを続ける。 真冬で冷え切っている部屋なのに、寒さを一切感じない。 漏れる吐息が白いもやを作るだけだ。 「…おにいちゃん……ちゅっ…ちゅぅ…んっ……」 手をお互いの秘部に触れながら、離れることなく舌を絡ませ合う。 「ふあっ……んっ……んぅっ……」 脱力したえみちゃんが、布団の上に座り込む。 合わせるように、布団に座り込み両手の指を絡ませ合いながらキスを続ける。 「…はぁ…はぁ……んっ……んぅ……」 感情が昂ぶりきっているのか、瞳を涙でうるませて小さな吐息を漏らしている。 その様子を見ているだけで、今日、何度か射精しているにも関わらず、下半身の疼きがこみ上げてきてしまう。 「…おにいちゃん……あたし……もう……」 言葉をこれ以上交わす必要はない。 流れに任せ、蜜と精液が溢れている蜜壺へ挿入していく。 「…っ……んはぁ……はぁ、あっ…あぁ……」 「おにいちゃんの…おおきいの…また入って きて……んっ……んぅぅ……」 すでに十分な潤いを帯び、ほぐされきっているソコは簡単にモノを飲み込んでいく。 心地よい締め付け感を与え続けてきてくれる。 「んっ……くうぅ……はぁ、あっ……ふあぁ……」 ウットリと漏らす吐息が、興奮を高めてくる。 「…んっ……ぅくっ……」 あまりの快感に声を漏らしながらも、奥へ奥へと挿入を進めていく。 「ひゃっ……うくっ……んっ、うぅぅ……」 亀頭にコツンとした感触がする。一番奥まで届いたみたいだ。 「…えみちゃん……えみちゃん……」 名前を繰り返し呼びながら、モノを擦りつけるように抽送し続けていく。 「ふあぁっ……おにいちゃん……あっ、あっ…… あついので……いっぱいになる……」 「あっ……んぁぁ…あうっ……ンっ……ひうっ…… あぁぁ……はぁ……はぁ……ひあぁぁ……」 熱のこもった声を漏らしながら、僕の動きに合わせてえみちゃん自身も動き始めている。 「んっ……んっ……」 「ちゅっ……んうぅぅ……ちゅるっ……んちゅっ……」 下半身から出る淫靡な水音をかき消すかのように濃厚なキスをする。 キスをしているだけで、熱い気持ちがこみ上げてくる。 「んはぁ…おにいちゃん……んっ、んっ……」 「ちゅっ……んぅぅ……んふぅ……」 舌を激しく絡ませ、口内を貪り合う。 「ん…んくっ……れろ、れろ……ちゅっ…… んぅぅ……んはぁ……」 舌が離れると、透明な糸が伸びている。 「えみちゃん……んっ……」 「んっ……んんっ……あっ……ンっ……」 離れてもすぐに求め合ってしまう。 手を力一杯握り合い、より強く深く密着していく。 「んはぁ…はぁ……あむっ……んぅぅ……」 互いに漏れる息をキスで押し殺しながら、行為に酔いしれていく。 膣内を往復する度に、ぴくりと小さく震え淡い吐息を漏らしている。 「ふっ…んぁっ……あっ……あぁぁっ……!」 奥を突けば一際大きな声を上げ、その声を抑えるためにキスをして、さらに動かすスピードを上げていく。 「んはぁ…あっ…ふあぁ…あっ、あっ……あぁぁ……」 「んっ……んくぅぅ……んっ……ちゅっ……ンっ……」 上り詰めそうになったら、動きを止めて激しくキスをする。 「んはぁ……え、えへへ……。 やっぱり、こーいうのがいい……」 「ん? こういうのって?」 「さっきみたいに、後ろからっていうのもいいけど…」 「やっぱりおにいちゃんのお顔みながらの方がいい」 「うん。僕もだよ――」 「んっ…んぅぅ……ちゅっ……」 愛しいえみちゃんと見つめ合いながら、深く交わっていく。 感じているえみちゃんがすごく可愛くて、気持ちがどんどん昂ぶってくる。 「ふあっ……おにいちゃんの、またおっきくなった?」 「えみちゃんが、かわいいからだよ?」 「え、えへへ……おにいちゃんのがぴくんって するとね、あたし、すごくきもちよくなる」 照れながら言うところが、どうしようもなくかわいくて、さらに腰を進めてしまう。 「ひゃっ……ンっ……おくがいっぱい……」 「おにいちゃんのどんどんきて……あっ、あっ…… ン…はぁ……うくぅぅ……んぅぅぅ……!」 一番奥を責められて、軽く絶頂してしまったみたいだ。 膣内がビクビクと断続的にモノを締め付けてくる。 「…はぁ……はぁ……はぁ……んっ……はぁ…… あっ……あっ……」 責め続けることはしないで、まったりしながらえみちゃんが収まるのを待つ。 「…おにいちゃん……んっ……んぅぅぅ……」 落ち着くと、自分から口づけしてくる。 小さな舌が僕の口内をまさぐるので、応えるように舌を絡ませていく。 「んはぁ、んっ……ふぁ……ちゅっ……ンっ…… れろ……んっ、ぅぅ……」 これを幾度となく繰り返す。 そうしているうちに、僕の方も限界まできてしまい。 「はぁ…はぁ…おにいちゃんの…すごいビクビクって してるよ?」 「えみちゃんのだって、中がすごくきゅうきゅう しているよ」 小さな絶頂を何度かくりかえして、膣内は僕のをねっとりと包み込み震えている。 その気持ちよさを堪えるのが限界にきている。 「おにいちゃんがいっぱいきもちよくしてくれるから、 お腹、ずっときゅんきゅんしてる……」 「そっか。じゃあ、もっと一緒に……」 射精感を抑えつつ、腰を早く動かす。 入口から最奥まで、モノを膣内全体に滑らかに抽送していく。 「はぁ、んっ……はうっ……ひうっ……あっ…… んっ…ふあぁ……あぁ……んんっ……」 「ふあぁっ……うくぅ……んんんっ……はぁ…… あぅぅ…いっぱいきてる……」 えみちゃんは相当昂ぶってきているのか、自然と足が開いてきている。 さらに挿入感が強くなり、堪えきれない快感が襲ってくる。 「はぁ、はぁ……えみちゃん……ンっ……」 「うん…。だしていいよ。おにいちゃんのあついの 全部ほしい……」 おねだりするえみちゃんに、腰を思い切り動かし射精へ向けてラストスパートを開始する。 「あくっ…んっ、んっ……ふあぁ……あっ、あっ…… あぅっ……んぅぅぅっっ……!」 「おにいちゃ……おにいちゃん……あたし、あたし… ふあぁっ……あぁ……あぁぁぁ……」 目がトロンとし、体がビクビクと震えている。 そんな姿に気持ちの昂ぶりが抑え切れない。 腰が勝手に動き、激しくモノを抽送し続けてしまう。 「…んはぁ……あっ……あっ……おにいちゃん…… んんっ……くっ……うぅぅ……」 「…えみちゃん……僕……もう……」 激しく動かしているせいか、これ以上射精感をこらえることが出来なくなってしまい―― 「はぁぁ……あぁ……っ……ううぅうぅぅんっ……!」 一番深いところに射精するのと同時に、えみちゃんがビクビクと痙攣し始める。 「…ッ……くっ……!」 さらに、腰を止め密着したままの状態で射精し続ける。 「んんんっ……あくっ……くぅぅっ……!」 「あっ……っ……ぁぁ……あったかい……。 おにいちゃんのから…いっぱいでてる…」 「…からだ、びくびくってして…ふあぁぁ……んっ… んぅぅ……うくぅぅぅ……っ……!」 耐えきれなくなったのか、声を漏らしてしまっている。 「…ンっ! んぅぅっ……んんんっ……!」 声がこれ以上漏れないよう、キスで口を塞ぐ。 射精の勢いは止まらず、密着したまま、膣内にありったけの精液を注ぎ込む。 「…はぁ……はぁ……いっぱいでたぁ……」 長い射精が終わると、全身をピクピクと震わせながらウットリした顔を見せてくれる。 繋がったままのえみちゃんの秘部から精液が溢れ出し、どれくらい射精してしまったのか表していた。 「え、えへへ……。からだ…ふわふわして…… ちから、はいらない……」 「はぁ…はぁ……僕もだよ……」 息が完全に上がったままの状態で答える。 「…おにいちゃんの…なかから漏れちゃってる……」 「そうだね。えみちゃんのすごく気持ちよかったから」 「そっかぁ。あたしで、こんなにでちゃうぐらい きもちよかったんだ」 瞳を涙でうるわせながら、嬉しそうに微笑んでいる。 心がきゅんとなる。 「…ちゅっ……んっ……」 そんなえみちゃんがたまらなく愛しくなり、再びキスをする。 貪り合うのではない。互いをゆっくり感じ合うだけの優しいキスをする。 それからしばらく繋がったまま、ゆったりと行為の余韻に浸っていた。 …………………………。 ………………。 …………。 行為が終わった後、えみちゃんはそのまま僕の布団に横たわっている。 抱きしめ合い、お互いの体温を感じ合う。 「えへへ。おにいちゃんのお願い事、ちゃんと かなえたよぉ」 えみちゃんは得意げな顔をしている。 「そうだね。いっぱい、しちゃったね。 こっちでも……」 「ひゃっ!? そこ、だめっ……」 指をお尻の穴にあてると、ビクリとする。 「…おにいちゃんのえっちぃ」 「ふふ、ごめんね」 もう真夜中だというのに……。 眠ることなく2人でまったりしながら、他愛もない会話を続けていく。 「そういえば、えみちゃんはもう“お願い事” した?」 「うん。ちゃんとしたよ。おさいせん、ふんぱつ しちゃった」 「おにいちゃんとこれからも、ずっといっしょに いられますようにって神様にお願いしたんだ」 『ずっと一緒に』か―― 僕と全く同じことをお願いしてくれていたんだと思うと嬉しさがこみ上げてくる。 「実はね、僕の本当の“お願い事”はえみちゃんと エッチなこといっぱいできますようにって ことじゃないんだよ」 「まぁ、えみちゃんとエッチなこといっぱいしたい っていうのも決して嘘じゃないけど……」 「へぇー。おにいちゃんの本当の“おねがい”って 何?」 「ん? それは内緒だよ?」 えみちゃんの口に人差し指を当てながら答える。 こんなキザなことをしてしまうなんて、舞い上がってしまっている証拠だろう。 「むぅぅ……。おにいちゃんのケチ……」 頬を膨らませて、少しだけふてくされた顔をする。 別に意地悪で内緒って言ったわけじゃない。 “お願い事”って他の人に言うと叶わないっていうし、絶対に叶えたい願いだから、験を担ぐことにした。 「…そういえば、ずっと聞きたかったんだけど」 「おにいちゃんをおさそいしてくれたところって、 すごく有名なところだったんでしょ?」 隆司さんや敦子さんにでも聞いたのだろうか? そう言えば、僕が残った理由をいつか話すと言って、そのままだった。 ちょうどいいかも知れない。 「少し長くなるけど、聞いてくれるかな?」 「うん! 聞きたい」 力強く返事をするえみちゃん。 「実は――」 えみちゃんの瞳をしっかりと見つめながら1つ1つ、ゆっくりと言葉を紡いでいく。 有名な学校の教師になりたいと思っていたこと――ここを足がかりにのし上がろうとしていたこと―― そして“評価”ばかりを気にしていたこと―― 全てを赤裸々に告白した。 「………………」 えみちゃんは横やりを入れたりすることなく、真剣なまなざしで僕の言うことを聞いてくれている。 「でもね、ある日気づいた―― ううん。気づかせてもらったんだ」 「…? きづかせてもらった?」 答えを出さないといけない日に偶然通りかかった学校の卒業生たちに気づかせてもらった。 僕は有名な学校で教師をするという世間の“評価”だけを追い求めていた。 それは別に悪いことではないと思うし、そういう目的があっても良いとは思う。 だけど、僕が本当に追い求めたものはそれではなかった。 未熟な自分に気づかせてくれたんだ。 「……学校を卒業しても、先生はずっと先生なんだって」 「ん? せんせはずーーっとせんせだよ?」 言うことが難しすぎたのか、えみちゃんは目をぱちぱちさせながら、困惑している。 「そうだね。先生はずっと先生―― それがここに残った理由なんだ」 上手い言葉が見つからず、えみちゃんをさらに困惑させてしまう。 今の生徒たちが卒業して、進学して、それから社会に出て行っても、ずっと僕は彼らの先生なんだ。 確かに有名な学校であれば、それだけ関わる生徒数も多くなるに違いない。 中には印象に残らない子や、接点が薄いままの子もいるだろう。 それが嫌だと思った。 「この学校だったら、ずっと一緒……。 だから、ここに残ろうと決めたんだよ」 将来、町から巣立っていく子もいるだろう。 だけど、学校で過ごした思い出は残っているに違いないし、残るような素敵な思い出を与えてあげられるよう精一杯努力する。 「えへへ。そっかぁ。おにいちゃん、ずっと 一緒なんだ」 嬉しそうな声を出しながら、僕の胸に顔を埋めてくる。 僕を誘ってくれたところが有名な学校だと知っていつか行ってしまうのではと不安になっていたのかも知れない。 「大丈夫だよ。ずっと一緒だから」 えみちゃんの背中に両手を回し、ぎゅっと抱きしめる。 「うん!」 それからすぐに睡魔がやって来て……。 抱きしめ合ったまま、安らかな眠りにつくのであった。 ――数ヶ月後。 「はい。じゃあ出席を取ります」 新しい年度を迎えて数日。 僕はそのまま上の学年の担任を任されていた。 ちなみに遥先生が真ん中の学年で小野先生が下の学年の担任をしている。 町おこしの甲斐あってか、新年度を迎える頃には転入生が何人か増えて、去年よりも少し賑やかになっている。 とはいえ、まだクラスを分けられるほどの人数ではないので、クラス数は3つのままだ。 「橋本えみちゃん」 「はいっ! 元気です」 「うん。えみちゃん、今日も元気だね」 「深海ののかちゃん」 「はぁい! 元気でーす♪」 「よしよし。ののかちゃんはいつも元気いっぱいだね」 思い起こせば、1年前――こうして出席を取ることから、ここでの教師生活は始まった。 「よし、みんな元気だね。 それでは朝の会を始めよう」 「起立! 礼! 着席!」 えみちゃんの合図で、クラス全員が一斉に席を立ち一礼してから再び席につく。 今までは号令をかけるのは日直の仕事だったが人数が増えたこともあり、今年度から学級委員を擁立しようという運びになった。 始業式でその話をすると、えみちゃんが真っ先に立候補してくれて、そのまま委員長になってしまった。 委員長になってからのえみちゃんの活躍は目を見張るものがあった。 転入してきたばかりで馴染めない子たちをあっという間に学校に溶け込ませてしまっていた。 教師として、これほどありがたいことはなかった。 「今日の朝の会は、来週の遠足のお話をします」 遠足の話だからか、クラスが賑やかになる。 「えみちゃん、おやつはやっぱり300円までぇ?」 「そうだよ、のの。おやつの食べ過ぎは良くないよ。 それに、のの、最近――」 「えみちゃんっ!? それ以上言っちゃダメぇっ!」 「なぁ、橋本。ゲーム、やっぱ持っていっちゃダメ? 少しぐらいいいじゃん?」 「ダメだよ。それにせっかくの遠足なんだから もったいないよ?」 1つ上の学年の子を相手にしても怖じ気づくことなく堂々と振る舞っている。 まだ新しいクラスになって数日しか経っていないのに上の学年の子たちにも認められている。 口調もだいぶお姉さんぽくなり、日々の成長を感じ、何とも言えない気分だ。 「えみちゃん、自由時間ってやること決まってる?」 「うーん、うちのクラスはドッジボールになっているけど、 他に何かやりたいことあるかな?」 「私、かくれんぼがいい!」 「俺はサッカーがいいなぁ。ボール持っていくから」 「えぇー、ケイドロやろうよ。みんなでやると ぜったい楽しいよ」 それぞれが自由時間にやりたいことを言い始める。 「いろいろあるみたいだから、あとでみんなで 決めよう」 それでも、僕が口を出す前に、えみちゃんの一言でクラスが落ち着きを取り戻す。 来年はこのクラスに、ことねちゃんたちが加わり、さらに賑やかになるに違いない。 一番上の学年の子たちが卒業して、今度はえみちゃんたちが一番上の学年になってそれから……。 まだずっと先の卒業式のことを想像しただけで泣きそうになってしまう。 えみちゃんたちの卒業式では、きっと人目もはばからず号泣してしまうに違いない。 つい、1ヶ月ほど前に小野先生がそうだったように。 「――今日の放課後に班決めをしますので、 みんな、ちゃんと残ってね」 色々考えている間に、朝礼が終わっていてえみちゃんが締めに入っている。 えみちゃんの呼びかけにクラス全員が返事をしている。 「えみちゃん、いつもありがとう」 「委員長として当たり前だよ、先生」 学校では凛々しくも可愛らしい女の子。 でも、家では途端に甘えてくる小さな女の子。 僕の自慢の生徒であり、自慢の恋人。 これから、どんな女の子になっていくのか?今から楽しみで仕方ない。 「さぁ、これから授業を始めるよ。 みんな、教科書を開いてね」 「今日は国語のお勉強からだね。 みんな、意味調べはちゃんとやってきたかな?」 そう言うと、去年よりも一際大きな返事が返ってくる。 生徒たちの元気な声に今日もがんばるぞという気にさせられる。 それから意味調べの宿題に出していた単語を黒板に書き並べていく。 楽しい1日の始まりだ。 ――数日後。 夕食後、橋本家のみんなに大事な話があると残って貰っていた。 「大事な話っていうのは前、言っていたことか?」 「はい。まだ答えは出ていませんが……。 えみちゃんたちに話しておこうかと思いまして」 決断の日が目前に迫っている。 相変わらず答えは出ていないけれど、答えを出す前にえみちゃんたちに話しておこうと思った。 「…………」 重苦しい雰囲気を感じ取ったのか、えみちゃんもゆうきくんも黙ってしまっている。 「えみちゃん、ゆうきくん。 ここに居るのは今年度いっぱいになるかも知れない」 「……!」 「えっ……!? なんで? おにいちゃん、 よそにいっちゃうの!?」 ショックだったのか、目を大きく見開いて固まってしまっているえみちゃん。 ゆうきくんは目に涙をいっぱい浮かべながら理由を聞いてくる。 「実は僕に都会の学校で教師をしないかって お誘いが来ているんだ」 それもすごく有名な学校からということを話していく。 「やだっ! おにいちゃんがいなくなるのやだよぉ!」 ゆうきくんは、ひたすら泣きじゃくっている。 えみちゃんもショックを隠し切れず、呆然としてしまっている。 「あのね、ゆうき。これはね誠人さんが頑張っている 事が認められたということなのよ?」 「まぁな。ここから都会の有名学校の教師。 大出世だ」 見かねた隆司さんと敦子さんがゆうきくんに諭すように話している。 「…ひっく……おとうさんもおかあさんも…… おにいちゃんいなくなるの、さみしくないの?」 「…寂しいけれど、これは誠人さんにとって 大チャンスなのよ?」 「それも一生に一度あるかないかっていうものだ」 「…うくっ……でも……でもぉ……」 嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるゆうきくん。 「…仕方ないよ」 黙ったままのえみちゃんが、ゆうきくんの頭を撫で、あやすように言っている。 「え、えへへ……。おにいちゃん、そんなすごい 学校から誘われるなんて、すごいんだね?」 「えみちゃん……」 無理矢理作ったような笑顔が痛々しい。 泣いてしまうのを必死になって我慢しているのだろうな。 それからさらに数日間、思い悩む日が続く。 えみちゃんが見せた、悲しげな笑顔が頭から離れない。 それが反って決断を鈍らせる。 「えみちゃん、分からないところある?」 「んー、もう少しだけ、がんばってみる」 いつもなら、分からない問題があるとすぐに教えてって言ってくるのだが……。 あの日以来、えみちゃんは分からない問題でも自分の力で解こうとする。 「そう? でも、どうしてもわからなかったら いつでも聞いてね」 「うん。ありがと」 「でも、なるべく1人でがんばる。 おにいちゃんが心配しないように……」 えみちゃんが気を遣ってくれているのがわかる。 僕がちゃんと決断出来るように、不安にさせないようにって気遣ってくれている。 「それにね、おにいちゃんががんばるんだったら あたしも、もっとがんばらないと」 机に向かうことが増えたえみちゃん。 そんなひたむきな姿勢に心を打たれる。 えみちゃんは僕と別れることになるかも知れないのに前向きに今、出来ることをしっかり頑張っている。 僕がうじうじしたままでどうするんだ。 「ありがとう、えみちゃん」 大切なことに気づかせてくれたえみちゃんの頭を優しく撫でてあげる。 「えへへ、どういたしまして」 有名な学校の教師になるということは、やはり、僕がずっと追ってきた夢なんだ。 もっと前向きに考えよう。 確かに距離は離れてしまうが、お別れってわけではない。 会おうと思えばいつだって会える。 ようやく決心がついた。 今の学校にやってきたのは決して遠回りではない。 えみちゃんたちとの生活で教師としてあるべき姿というものを教えられた。 だったら、それを生かしてもっと多くの生徒たちと共に成長していきたい。 そしていよいよ、決断の日―― 授業が終わり、生徒や他の先生が帰宅した後、職員室で校長先生と話をした。 「そうですか。やはり行ってしまわれるのですね」 「えぇ、この学校で得られたものは 非常に大きいものでした。 みんなには感謝してもしきれません」 「瀬田先生、貴方は思った通り、いや思った以上に 素晴らしい先生になりましたね」 「今の貴方であれば、どの学校でもきっと 生徒たちと上手くやっていけるに違いありません」 校長先生のお褒めの言葉に照れてしまう。 「とはいえ、まだ時間はあります。 それまでは生徒たちの事、よろしくお願いしますね」 「もちろんです。残りの日々をここにいるみんなで 楽しく過ごしていきたいと思っています」 それから校長先生を通して、学校の理事長にお世話になることを伝える。 3月末まではこの学校で教師をして、新年度が始まる4月から新しい学校で教師をすることが決定した。 翌日―― クラスの生徒たちには早めに知らせた方が良いということで、ホームルームの時間を利用してみんなに話すことになった。 「えぇぇええっ! せんせー、いっちゃやだぁ!!」 「瀬田せんせがいなくなるの、やだぁ!!」 僕が今年度いっぱいで、他の学校に移る話をした瞬間、ののかちゃんたちは泣き出してしまった。 「俺も…やだ……」 泣きじゃくる女の子たちとは対照的に、男の子たちは静かに肩を震わせ、耐えている。 収拾がつかない状態になってしまうが……。 「みんな、そんなこと言っちゃだめだよっ!」 えみちゃんが声を張り上げる。 「だって、だってぇ! えみちゃんはいやじゃない? さみしくないの!?」 「あたしだって、せんせがいなくなるのはさみしいよ」 「でも、せんせ、すごいところに行くんだよ? だったら……」 泣きそうになりながら、クラスのみんなを説得している。 「…えみちゃんの…言うとおり」 「ことねちゃん……?」 「お別れじゃないよね……? ちょっと、遠くになるだけだよね?」 嗚咽の混じった声でののかちゃんに答えている。 両親が遠くにいることねちゃんならではの言葉にののかちゃんが黙ってしまう。 「…みんな、泣いちゃだめだよ。 せんせ、しゅっせするんだから……」 「そうだよな……。橋本のいうとおりだ……」 「…うん……。そうだよ、ね……」 騒ぎが収まり、生徒たちの嗚咽だけが静かに聞こえてくる。 「先生がよそに行くのは春だから……。 それまで、みんなといっぱい思い出作りたいんだ」 「せんせーが忘れられないような、すごい思い出 いっぱい作るよぉ。ねっ、えみちゃん?」 「うん! みんなで楽しい思い出、作ろうね」 えみちゃんの呼びかけに、クラス全員が大きく頷く。 「…みんな……」 涙腺が決壊しそうになるのを必死に抑える。 この学校に来て、このクラスの担任になって、本当に良かったと心から思った。 それからというもの、全力でこの学校での日々を過ごした。 「じゃあ、この問題を――ののかちゃん」 「はぁい♪」 ののかちゃんは居眠りをしなくなったどころか、勉強に対してかなり積極的になった。 「うん。正解。よくできました」 「えへへ♪ らくしょーだよ。 私、べんきょーにめざめたんだから」 何でも大きくなったら都会に行くのだとか……。 テストも満点を取ることが多くなったし、やればできるを地でいっている。 「じゃあ、今日の体育はみんなで遊ぼう!」 「やりぃ! なぁ、サッカーしようぜ?」 「わたし、雪合戦やりたい…!」 「いいね、ことねちゃん。雪合戦なら、 みんなでできるね」 「雪合戦かぁ。藤堂、負けないからな」 「…うぅ……わ、わたしも負けないもん」 「よぉーし! 女の子の力、見せてやるぅ♪」 引っ込み思案だったことねちゃんも、最近ではこんな感じで自己主張をすることがある。 おどおどしているのは相変わらずではあるが、それでも自分から話しかけていこうと努力している。 ののかちゃんやことねちゃんだけじゃなく、それぞれがゆっくりではあるが、成長している。 それを感じることが何よりも嬉しい。僕も頑張らないと、という気にさせてくれる。 「はい、おにいちゃん。あーん♪」 「…あむっ…っ…あちっ……」 「もうっ! ちゃんとふーふーしないからだよ」 授業がない日は、こうしてえみちゃんとデートだ。 都会に戻ったら、時間や距離のこともあり簡単に会うことができない。 だから、いまのうちにたくさんデートをする。 「えみちゃん、今日はどこに行こうか?」 「あのね、新しく出来たお店があるの。 そこのパフェ、すごくおいしいんだって」 「そっか。じゃあ、今日はそこに行く?」 「うん♪」 えみちゃんは繋いでいた手を離して、自分から腕を組んでくる。 「ん? えみちゃん、ちょっとだけ背、伸びた?」 「えへへ。この前、保健室ではかったら ちょこっとだけおっきくなってたよ」 ちょっとだけ大きくなったのは身長だけじゃない気もするが、それはあえて言うまい。 もちろん、えみちゃんの成長は体の成長だけじゃない。 「ごちそーさまぁー」 「ゆうき、まだ残っているよ。 ちゃんと全部食べないとだめだよ」 「えぇーー! だって、ピーマンきらいなんだもん」 「こらっ! 好き嫌いしちゃだめだって。 せっかくおかあさんが作ってくれたんだから」 「うぅぅ、むりだよぉ……」 「ほら、おねえちゃんのハンバーグ、少し分けて あげるから、これと一緒に食べなさい」 「……わかったよぉ……んっ……んぐっ……」 家ではしっかりお姉ちゃんをしている。 「あらあら、えみったら」 娘の成長を敦子さんが嬉しそうに眺めている。 それでも、たまにゆうきくんに手をあげてしまうことはあるけれど……。 でも、それはゆうきくんがおいたをした時だけだ。 理不尽に手をあげることは、一切なくなった。 楽しい時間は、あっという間に過ぎ去っていく。 年が明けたと思ったら、すぐに節分、ひな祭り、卒業式と次から次へとやってきて……。 えみちゃんたちと思い出を作りつつ、新しい学校の準備に忙殺される日々を送っていた。 3月末日―― ここを出発し都会へと戻る日がやってきた。 朝一番で、荷物を新しい住所へと送り、お世話になった隆司さん、敦子さんに挨拶をしてから学校にやって来ていた。 「…………」 誰も居ない教室、教卓の前に立ちながら感傷に浸る。 ここにやって来て1年――たった1年だというのに、今までの人生で一番濃い時間を過ごすことが出来た。 まだ雪が残っている時に、この町にやってきた。 『何もない…。こんなところで教壇に立つのか』という第一印象。あの時は不安しかなかった。 でも、諦めるのはまだ早いと、自分を奮い立たせたりもした。 それから、えみちゃんたちと出会って―― 『……い〜だっ!』 そういえば、お尻に雪玉をぶつけられたっけ……。 『今日の朝、あたしのパジャマ見たバツなの!』 愛しい少女の顔が浮かんでは消えていく。 出会ったばかりの頃は、どう接していいかわからなかった。 果たして仲良くできるのだろうか? ありがたいことに、そんな懸念はすぐに消えた。 慣れてくると、僕をおにいちゃんと呼び懐いてくれた。 それから、可愛い妹から大切な女の子へ―― 仲が深まる度に、えみちゃんに対する想いも強くなっていった。 「ふふふ……」 自然と笑みが漏れてしまう。 ガランとした教室をただ歩き回っているだけなのに、みんなと過ごした日々が頭の中に浮かんでくる。 それから最後の挨拶をするべく職員室へと向かう。 「瀬田先生、頑張ってください」 「まさか、あそこから誘いが来るとは……。 瀬田先生、やりますな」 見た目は厳ついが情に厚い小野先生はすでにうっすら涙を浮かべている。 そう言えば、卒業式の日は号泣していたな。 「遥先生、小野先生。短い間ではありましたが 大変お世話になりました」 「はい。こちらこそ、ありがとうございました」 「もし近くに来ることがあったら 是非、遊びに来てください」 遥先生、小野先生と固い握手を交わす。 「瀬田先生、1年間お疲れ様でした」 校長先生に続いて、僕の後任の先生が声をかけてくれる。 彼女は、僕の後を受けて真ん中の学年を担当することになっていて、引継ぎはすでに終わっている。 「前田先生、そんなに力入れなくても大丈夫ですよ。 ここの子たちは、優しく受け入れてくれますから」 みんな、出会った日からすぐに僕を受け入れてくれた。 1人で頑張らなくてもいい。彼らと一緒に成長していけばいいと伝える。 「この1年でずいぶん変わりましたね」 「えぇ。瀬田先生は立派な先生になりました。 その証拠に――」 教頭先生が窓の外を指さす。 「…みんな」 僕が担当している生徒たちだけではない。 学校の生徒たちみんなが集まっていて窓の外から職員室を眺めていた。 熱いものが奥からこみ上げてきて、職員室を飛び出してしまう。 校門に出ると、すぐに生徒たちが集まって来る。 「やっほー♪ せんせー。きちゃった」 ののかちゃんを筆頭にクラスの子たちに囲まれる。 「うぅぅ……。瀬田せんせ、どっか行っちゃうの 寂しいな」 「先生、都会に戻るんだってな。 都会で教えるのって、なんかすげぇ」 中には先日、学校を卒業したばかりの子たちもいる。 「うん。来てくれてありがとう」 担任をしたわけではないのにこうして会いに来てくれるなんて嬉しい限りだ。 「せたせんせ…これあげる……」 遥先生が担当しているクラスの子たちが僕に色紙をくれる。 「ありがとう。すごく嬉しいよ」 1人、1人の頭を撫でてあげながら色紙を受け取る。 「瀬田せんせ、私たちからもだよ」 続いて、小野先生が担当しているクラスの子たちが色紙を渡してくれる。 こういう時の定番ではあるが、こんなに嬉しいって思ってしまうなんてな。 少ない人数なのに、色紙はカラフルな文字でびっしり埋まっている。 担任をしているわけではないのに……。 僕に何か伝えようと必死になっている姿を想像すると涙が零れ出てしまいそうだ。 「えへへ、最後はわたしたちだね。でも……」 ののかちゃんの顔が曇る。 「…えみちゃんがまだ……」 「…………」 みんな集まっている中、えみちゃんの姿だけがどこにも見当たらない。 ずっと気丈に振る舞っていたけれど、いざとなったら、家で泣いているのではないだろうか? 心配で胸が張り裂けそうになる。 「ごめーん! 遅れちゃった!」 不安になったのもつかの間。 校門の外から、色紙を胸に抱えて走ってくるえみちゃんの姿が見え、胸をなで下ろす。 「えみちゃん、遅いよぉ! はらはらしたよぉ!」 「はぁ、はぁ……みんな、ごめんね」 息を切らしながら、みんなに謝っている。 「せんせ、これ、あたしたちから――」 「うん。みんな、ありがとう」 目頭が熱くなる。 溢れる感情を必死に抑えながら、えみちゃんから色紙を受け取る。 1枚の色紙には表だけじゃなくて、裏までも生徒たちの文字で埋め尽くされている。 それから、しばしの間、生徒たちと思い出話をする。 非情にも、時の流れは速く流れあっという間にお別れの時間になってしまう。 「みんな、ありがとう」 生徒たちの前に立ち、感謝の言葉を言う。 「…わたし…せんせーのとこ、あそびにいくから」 「せんせいの授業楽しかったです」 僕を笑顔で送りだそうとしてくれているのだろう。 誰もが涙を堪えながら、笑顔を作っている。 少々名残惜しいが、このままだとさらに辛くなる。 生徒達に背を向けてゆっくりと歩み始める。 「せんせ、ちょっと待って!」 校門を出る間際になったところで、えみちゃんが走り寄ってくる。 「…これ、電車の中で読んでね」 ちゃんとした便せんでは無く、恐らくノートの切れ端かなんかだろう。 丁寧に飾り折りされた手紙を手渡してくれる。 「うん。絶対、読むから」 手紙をポケットにしまい、再び歩き出す。 後ろから聞こえてくる、先生、また来てねの大合唱―― もちろんだよ。そう答える僕の言葉は少し震えていたと思う。 新幹線に乗って、都会へと戻る。 新しい住居は学校が職員寮として用意してくれたワンルームマンションらしい。 席に着いてから、生徒たちから貰った色紙のメッセージをじっくり読む。 拙い字から生徒たちの想いが伝わってきて涙が頬を伝っていく。 隣に誰もいなくて良かった。 全部を読み終えた後、ポケットに手を入れてえみちゃんからの手紙を取り出す。 表にはいつものえみちゃんの字で、『せたせんせへ』の一言。 どの手順で折ったのか、学生時代の記憶をたどりながら、破かないように飾り折り手紙を解いていく。 その小さな紙に書かれていたのは規則的に描かれた表のようなものだった。          【じゅぎょうたいど】               ○         【きゅうしょくのじかん】               △           【やすみじかん】               ○         【あたしのおにいちゃん】               ◎ そして最後の“ひとこと”の項目には。           『また遊びにきてね』 今まで手紙だと思っていたそれは、まるで、僕に宛てた―― つうしんぼだった。 「……そうだね。永遠の別れってわけじゃない」 「また、遊びに行くよ」 手紙から浮かんでくる、満面の笑みを浮かべたえみちゃんへ伝える。 僕の夢を応援してくれているえみちゃんのため前向きに頑張ろう。 目的地を告げるアナウンスを聞きながら、新しい一歩を踏み出した。 ハーレムルートが解放されました。 共通ルートの最後に、選択肢が追加されます。 僕はののかちゃんの様子を窺うことにした。 なんというか目が離せない。 フワフワと漂うように泳いでいたと思ったら、うつ伏せのまま、手足をだらんとさせて、浮いているだけになる。 あれじゃ土左衛門だ。 「(大丈夫かな……)」 「大丈夫ですよ」 僕の心を読んだかのように、遥先生が話しかけてきた。 「ののちゃんですよね?」 「あ、はい」 「ほら、泳ぎだした」 遥先生の言う通り、ののかちゃんはまた漂うように泳ぎはじめる。 「疲れたから、休んでるだけだそうですよ」 つまり、ののかちゃんは以前からずっとああで、あの状態は、お馴染みの光景なのだろう。 とはいえ、勘違いするから休む時は背泳ぎみたいに、仰向けになってくれないだろうか。 「全員注目っ! 宝探しはじめるぞっ!」 突然の大声に、ののかちゃんから視線を離し、声の発生源を探す。 プール脇の小屋に行っていた小野先生が、何やら小さなカゴを持っているようだ。 カゴの中には、小さなカラーボールみたいなのが沢山入っている。 小野先生は生徒たちをプールの端に寄せると、そのボールをプールに向かって放り投げはじめる。 「あ、僕も手伝います」 なるほど。潜って拾う、宝探しということだろう。 小野先生からいくつかボールをもらい、出来るだけバラバラになるように放り投げていく。 もちろんボールは水に浮かばずゆっくりと波打つ水面に沈んでいく。 「青は3点、その他の色1点だ」 水の中だと見えづらい青が高得点ってことみたいらしい。 「それじゃ――スタート!」 そう言って、小野先生は手を叩いた。 毎年の恒例イベントなのか、生徒たちは大騒ぎしながら、宝探しを開始した。 ののかちゃんは、ちゃんと参加しているだろうか? 散り散りになった生徒の中、目を皿にして探していく。 するとのんびり泳いでいたののかちゃんの目の色が変わっていた。 表情はいつもとそんなに変わらないけど、最近、なんとなくわかるようになってきた。 ――あれはやる気になった時の目だ。 ただ、ののかちゃんは、誰かと奪い合ったりすることなく、人がいない場所を選び静かに潜ってボールを拾っていく。 水面から顔を出したののかちゃんの手には青いボール。 取り合いしている周囲をよそに、着実にボールを増やしている。 「よし、終わりだ、みんなボール持ってこい」 10分くらいだろうか、大体拾い終わったのを見計らい集計に入る。 「優勝は……深海の15点だ、みんな拍手」 なんと、ののかちゃんが一位だった。 「おねーちゃん、すごいっ」 「いやあ……」 みんなの拍手や賞賛を受けて、照れくさそうに後ろ頭を掻いている。 優勝したとは思えない、締まりのない顔だ。 十個近く拾って、勝ったと思っていた上級生の男の子が唖然としている。 ののかちゃんが拾ったボールの数は五個と平均的だったが、それは全部が青いボール。 総得点にすると、断トツの優勝だったのだ。 恐らく脅威の記憶力を発揮して、青いボールの位置を全て把握したのだろう。 ののかちゃんは、興味があることだと驚異的な集中力を発揮する。 こういうのを見ると、将来大物になるんじゃないかって気がしてくるのは、担任としてもうれしい限りだ。 もちろん、これから次第。伸びしろが大きそうだが、勝手に伸びるとは限らない。 何も興味を持たず、ただのグータラした女の子になってしまう可能性もあるだろう。 側にいて成長を促し、見守ってあげたい。 ののかちゃんを見ていると、そんな風に思えてしまう。 でも、僕はもっとレベルの高い学校の教壇に立ちたいと思っていて……。 …………。 まあ、今はこの学校の先生を一生懸命やるしかないわけで、まだ深く考えなくてもいいのかもしれない。 ふと、そんなことを考えていると、プールから出たののかちゃんがトテトテと歩み寄ってきた。 「一番じゃないか、すごかったね」 「すごかった?」 「うん」 「えへへー」 再びあのちょっと締まりのない笑顔を浮かべた後、モジモジとしはじめた。 「あ、あのね、せんせー……」 急に切なそうな目で僕を見上げてきた。 一体何事だろうか。 「お、おトイレ……」 ああ、そういうことか。 「行っておいで」 「う〜ん……」 「どうしたの? 行かないの?」 「一緒に行ってあげてください」 側にいた遥先生が、僕にそう声をかけてきた。 「一緒に……ですか?」 「2、3年前から 防犯上、引率するのが決まりなんですよ」 「ああ、そうなんですか」 そこまでしなくてもいいとは思うけど、先生とは決めごとを率先して守る立場だ、決まりというならば仕方ない。 「じゃあ、ののかちゃん。行こうか」 「うん」 ののかちゃんを促し、プールサイドを出て、校舎のトイレに向かう。 防犯か……。 言い方が悪いかもしれないが、こんな田舎でもそういうことに気をつける時代になったのだろう。 いや、むしろ周りに人目がない田舎だからこそなのかもしれない。 校舎に入ると誰もいない廊下に、ぺたぺたとののかちゃんのかわいい足音が響く。 「もれちゃう、もれちゃう……」 少し楽しんでいるように僕の前に躍り出るののかちゃん。 と足下にポタポタと水が垂れていることに気づいた。 きっと面倒くさいからと言って、あまり拭いてこなかったのだろう。まだ水着がかなり濡れてるみたいだ。 「ののかちゃん、ちょっと止まって」 「ん?」 「廊下が濡れちゃうから、 もう少し拭いてから行こうね」 僕は首にかけていたフェイスタオルを広げ、これで拭くように差し出すが、その手を無視されてしまう。 「はぁい、どうぞ〜」 母親に対してするように、両手を上げ、足を少し開いて、僕に拭いてもらう体勢を作った。 「そうじゃなくて……」 「ん?」 「(まぁ、いいか……)」 タオルを押し当てるようにして、上から拭いていく。 「…………」 ここまで近づくと、ののかちゃんのにおいが強く感じられる。 汗のにおいというわけではなく、プール特有の塩素のにおい。 そして、濡れたせいなのか、一段と香ってくるやさしい石鹸のような香り。 公園のときにも嗅いだにおいだが、それを嗅いでいると、なんだか懐かしいような気持ちになる。 ののかちゃんくらいの年齢の頃。水着姿の女の子をドキドキして見られなかったのを思い出す。 その頃にタイムスリップした気がして、自然と顔が熱くなってくる。 今まで、いろいろな学校で生徒たちの水着姿を見てきたが、ここまで生徒と接したことはない。 水着姿のののかちゃんを可愛いとは思っているが、それは教師として―― 頭ではそう言い聞かせていても、先ほどからドキドキが止まらない。 「(まずいな……どうしちゃったんだろう)」 上から徐々に下へ―― 胸を通過する時になにか言われるかと思ったが、何とか腰のあたりまで拭き終わった。 これから、一番水が染み込んでいる場所にいくのだが……。 「どうしたの? せんせー」 「いや、なんでもないよ」 そう答えて、何事もなかったかのようなふりをして股間部分にタオルを当てる。 「ん……」 少し身体をこわばらせ、声を漏らす様子になんだか邪なことを考えてしまいそうになる。 何か会話をして気を逸らした方がいいかな。 「ええと……ちゃんとプールに入る前に、 トイレ行っておくんだよ?」 「ん〜……でも、プールだと水飲むから どうしてもおしっこしたくなっちゃう」 「ああ……」 それじゃ仕方ないと、一瞬納得しかけて疑問がわき上がる。 「(なんで水飲むんだ?)」 設計上プールサイドに水飲み場はあるけど、授業中にののかちゃんは一度も行っていなかったと思う。 「泳いでるといつも飲んじゃうんだよぉ」 泳いでる時にということは、そういうことだろう。 「まさか、プールの水ってこと?」 「うん」 「…………」 なかなかのおバカっぷりについ顔がほころんでしまう。 宝探しで優勝したことに感心させられたと思ったらこれだ。 天才となんとかは紙一重、というやつなのかもしれない。 でも、そんなののかちゃんを可愛いと思えるようになってきている。 僕は今、そんな可愛いののかちゃんの股間に触れてる……。 「ふふ、せんせぇ、おまたのところばっかり くすぐったいよぉ……」 軽く身をよじって、訴えてきた。 「い、い、いや、ほら、ここが一番水が 物理的にたまるというか……」 よぎったやましい気持ちに思わず返事に焦りが出てしまう。 「ぶつりてきに?」 「わ、忘れて……!」 終わりにしようと、タオルを離そうとするが、ののかちゃんは、小さな手で僕の腕を掴んできた。 「……ここ、もっと拭いてもいいよ」 「え?」 「なんかね、ぽーってなってふわふわするの……」 顔を上気させているののかちゃんを見て、思わず生唾を飲む。 「(このまま前みたいに触りっこを……)」 いや、だめだ。何を考えてるんだ、まだ授業中だ。 なにより、怪しい人物から守るため、ののかちゃんに付き添ってるのに、このままでは僕が怪しい人物になってしまう。 「いや、拭くのはもう十分かな、 トイレに行こうね」 誘惑を振り切り、優しくののかちゃんの手を引いていく。 2階へと昇る階段の近くにトイレはある。トイレに着いて出入り口で待とうとした僕の腕をののかちゃんが掴んだ。 「ん?」 「…………」 ののかちゃんは無言で、僕の腕を引っぱる。 「……もしかして、一緒に入って欲しいの?」 「うん……」 「んー、さすがに女子トイレには入れないよ……」 「なんで? つきそいは中まで、だよ?」 「え? そ、そうなの?」 「うん」 「だとしても、 男が女子トイレに入るっていうのは……」 「せんせーだからだいじょぶ!」 そんなバカな……。 高校時代にバイト先でトイレの清掃をしていたが、それでも女子トイレというのは気が引ける。 「つきそいは学校の決まりだよぉ? 守らなきゃダメだよ?」 決まりごとは教師として、守らなければならないことだが、……本当だろうか? 「んー……だったら遥先生に来てもらおうか……」 「んぁ、もれちゃうぅぅぅう……」 股に手を当てて、だだをこねる子供のようにぺたぺたと足踏みしはじめた。 本気かどうかはわからないが、グズグズしてここで漏らされても困る。 「わ、わかったよ」 結局、ののかちゃんのわがまま(?)に押し切られ女子トイレに足を踏み入れた。 「ん、しょ……」 何やらもぞもぞと個室の前で、水着を脱ごうとしているののかちゃん。 「何してるの?」 「だってぬ、がない、っと……できないよ?」 「ぜ、全部脱がなくても、 おまたのところちょっとずらせばできるでしょ?」 何とか肩紐をずらしたあたりで制止させる。 「ん〜? どうするの?」 本当にわかっていないのか、甘えているのか。 そのまま個室にまで連れ込まれてしまった。 「これじゃ、水着におしっことんじゃうよぉ」 僕の説明通りに股間部分の当て布を横にずらして屈み込んだののかちゃんは、そう言って怪訝そうな顔をした。 「戻ったらシャワーするし、 消毒槽にも入るから大丈夫だよ」 「あ、そっかぁ〜」 「じゃあ、僕は出てるから……」 「終わるまで待ってて……」 ズボンの裾を掴まれ引き止められた。 「え?」 「今開けたらみんなに見られちゃう……」 構造上、丸見えとはならないが、切なそうな目で見つめられてしまい、振りきれなくなってしまう。 「……わかったよ」 「えへへ……それじゃあ」 ちょろちょろ……。 「はふぁぁ…………」 心地良さそうな顔でおしっこしている。 ののかちゃんのその表情はエッチなことをした時の恍惚とした顔に似ていて、見ているとドキドキしてくる。 そして、ほのかに香ってくるおしっこのにおい。 においそのものに興奮する趣味はないが、水着姿のののかちゃん……教え子が僕の前で放尿しているという事実を強烈に実感させられる。 その背徳感に、妙な気分になってきた。 そもそも、水着をずらした時に、ちらりとアソコが見えてしまい、欲望を抑え込んでるのがやっとだ。 「……? せんせーのここもぞもぞしてる……?」 「っ!?」 まだ、勃起はしていなかったけど、意識してしまったことで段々と大きくなっていく。 「ふふ♪ おっきくなってきた」 男の生理現象をどこまで理解しているかはわからないが、もう何も知らない子じゃない。 勃起=欲情していることは理解しているのだろう。 「い、いや、その……」 誤魔化しようもなく、いったん外に出ようと―― 「(……ん?)」 トイレに近づいてくる足音を聞いて、僕は身を潜めた。 「まったく、プールに入る前に、 ちゃんとトイレに行っとけよ?」 この声は小野先生だ。 僕と同じことを言っているから、たぶん、向こうも生徒の付き添いだろう。 「俺はここで待ってるから早くしてこい」 「はーい」 幸い連れてきたのは男の子のようで、こっちに入ってくる心配はなさそうだ。 というか、小野先生は廊下で待ってる。 あの小野先生が、学校の決めごとを守らないわけがない。 ということは、中まで付き添うのが決まりっていうのは嘘だったのだろう。 冷静に考えれば当たり前だが、これはどうしたものだろう。 非難の視線をののかちゃんに向けると、例のやや締まりのない笑顔を浮かべた。 「ののかちゃん、どういうことかな?」 小野先生たちが立ち去るのを待って、ののかちゃんに問いかける。 「えへへ〜……バレちゃった〜。 せんせーはののと一緒はイヤだった?」 少し困ったようにぺろりと舌を出しておどけてみせる。 「嫌じゃないけど……」 「だよね? せんせーのもおっきくなって うれしそう……」 ズボンの前が張り出たまま。 それを指摘されて、羞恥心で顔が熱くなっていく。 この恥ずかしさから脱するには、僕が主導権を取るしかないだろう。 それに、このいたずらっ子にちょっとおしおきした方がいいかもしれない。 「確かに大きくなってるね」 「でしょ〜?」 ののかちゃんはどこか誇らしげだ。 「誰のせいかな?」 「ん〜……のの、なのかな? えへへー」 少し考える素振りを見せた後、上目使いで答えた。 「じゃあ……責任とらないとね?」 「……せき、にん?」 「ここを大きくしたなら責任もって 鎮めないといけないんだよ」 僕はペニスを引き出し、ののかちゃんの前にさらけ出した。 「わぁ、おっきい……」 ののかちゃんにペニスを見せるのは、かなり恥ずかしいけど、どこかくすぐったい気持ちよさがある。 「ふふ、こんにちわぁ」 決して声に反応したわけではないけど、挨拶を受けて、ますます大きくなっていく。 「これをしずめるってどうするの?」 「ここを気持ちよくしてごらん?」 さて、どうしようか……。 改めて水着姿のののかちゃんを見下ろす。 湿った紺色のスクール水着はとても魅力的で、そんな光景にあることを思いついた。 「それじゃ、身体を使ってしてもらおうかな」 「からだ……おっぱい?」 胸元に僕の視線を感じたのか、言葉の意味をあっさり理解した。 「なんか、おもしろそうっ」 嫌がったらすぐに引っ込めようと思ったんだけど、いつもの興味津々の目つきで食いついてきた。 「どうするの?」 「ののかちゃんのおっぱいで、これを擦るんだよ」 そう言いながら、腰をずらし胸元にペニスを擦り付ける。 ずっとプールサイドにいた僕の股間は熱を帯びていて、水気で少しひんやりとした水着の感触は、想像以上に気持ちいい。 「…………っ」 声が漏れそうになって堪える。 つるつるした素肌もいいけど、少しさらさらとしたナイロンの布地の程良い抵抗感がたまらない。 「これぇ……あっ」 ののかちゃんは何かを思い出したように、声を上げる。 「どうしたの?」 「……えと、ぱ……ぱ、いず、り……? ってやつでしょ?」 またよからぬところで知識を身に付けてきたのだろう。思い出すようにその4文字を口にする。 「せんせー、ののがパイズリやってみるね」 僕が何か答える間もなくののかちゃんが自ら率先してくれる。自分からやってみたかっただけみたいだ。 「じゃあ、任せるよ」 そう伝えて自分から擦るのをやめる。 すると、ののかちゃんは肩を竦め、体を縮こまらせるように小さくなる。 「あれ? んー……んー?」 困ったような顔をして、何やらもぞもぞと身をよじらせている。 「どうしたの? 擦ればいいんだよ?」 「んー……はさめない……」 ――どうやら胸を寄せて、ペニスを挟もうとしていたようだ。 確かにののかちゃんは同年代の女の子に比べて、若干発育がいいとはいえ、挟むのは到底不可能だろう。 「ののかちゃん、そのままでいいよ?」 「ううん、だいじょぶ……! ちゃんと、する……」 本気になったののかちゃんは、なんとかペニスを挟もうと頑張っているけど、物理的に不可能なのは明白だ。 そもそも挟むという行為まで知っているのか? 「ののかちゃん、やり方知ってるの?」 「公園で見つけた本で ぱいずりしてたの思い出したの」 「公園で見つけた本? また新しい本……?」 「うん」 公園に落ちてたエロマンガに、パイズリしているシーンがあったのだろう。 「う〜ん……マンガみたいにするのは無理だよ」 「……そうなの?」 やはりマンガみたいにしたいと思っていたようで、残念そうに溜息をもらす。 同時に、さっきまでのやる気に満ちた表情が消えていく。 基本、性格は穏やかだが、興味を持ったり失ったり、その振れ幅は大きい。 「これじゃ、せきにんとれない……」 自分の小さな胸を見つめて、残念そうに声を漏らす。 もう一度ののかちゃんにやる気を出してもらわなければ……。 生徒のやる気を引き出す。これはある意味、先生としての腕の見せ所かもしれない。 「そんなことないよ、ののかちゃんなら、 挟めなくてもできるって思ってるよ?」 こちらの期待を示して、やる気を引き出しにかかる。 「胸が大きければ、 気持ちよくさせるのは簡単だよ」 「それがイージーモードだとすれば、 ののかちゃんくらいだと、 ベリーハードモードだね」 さらにののかちゃんの好きなゲームでたとえると、はっとして僕を見上げてきた。 「ベリーハード?」 「うん、ののかちゃんなら、 ベリーハードモードでもクリアーできるよね?」 「うん、クリアーできる……!」 「それじゃ、もう1回やってみよっか」 「すりすりすれば気持ちいい……だよね?」 「うん」 返事をすると、ののかちゃんは上体を動かし、胸を擦りつけてきた。 「ん、しょ……すりすり……すりすり……」 挟めない代わりに抱き寄せるようにして胸に押し当てていく。 つぶやきながら、上下だけじゃなく、左右に体を振ってペニスを刺激していく。 「ののかちゃん……。 先っぽが乳首にあたるようにしてみて」 もっとやる気になってもらうために、少しだけアドバイスする。 「……ちくび?」 一瞬聞き慣れない単語に動きが止まるののかちゃん。 「そう、マンガに描いてなかった? おっぱいの先っぽのところだよ」 「ん? こうかな……」 体の位置を若干調節して、亀頭に乳首を擦りつけてくる。 「……はうっ!」 ビクンと驚いたように身体を震わせるののかちゃん。 「は、ぁふ……ぴりってきた……」 素直な感想を漏らしながら、さらに夢中になって乳首に擦りつけてきた。 いつの間にかののかちゃんは目を細め、甘い吐息を漏らしている。 「もっと、すりすりぃ……」 「いいよ、その調子」 「すーりすりぃ……ん、ぁ……はぁ、はぁ……」 感じてきたのか、ののかちゃんの呼吸が弾む。 乳首が硬くなったのが、水着の上からでも分かるようになってきた。 「せんせーの熱くて……ビクビクしてぇ……」 「はふぅ、せんせーを気持ちよくしたいのに、 ののが気持ちよくなってきちゃったよぉ……」 「ののかちゃんのおっぱいはふわふわで、 僕もちゃんと気持ちいいよ」 「えへへー、二人で気持ちいいんだね。 じゃあ、もっとするね?」 一緒に気持ちよくなっているのが嬉しいのか、立派に主張しているそれを楽しそうに乳首に押しつけ、より大胆に擦ってくる。 「く、うぅ、それ……」 堪えきれず、声が漏れてしまう。 僕の声を聞いて、手応えを感じたのかののかちゃんはますます激しく擦りつけてくる。 「熱くなってきちゃった……あぁ……んっ…… ん、んぁ……んふっ……はふぅ……」 「……はっ、ぅくっ」 夏場の個室で体を動かすののかちゃんは、物理的にも暑さを感じているのだろう。 額に汗を浮かべ、うっとりとした声をこぼし始める。 「はぁ、はぁ……ぅん……? せんせぇ? 先っぽからお汁出てきた……」 張り詰めた亀頭から先走りが溢れ、ののかちゃんの胸元を汚していく。 「あっ、はふ……せんせー、 もうぴゅってしちゃうの?」 「……のの、か……ちゃん……!」 求めるように聞こえるののかちゃんの声に急激に射精欲がこみ上げてきた―― その瞬間だった。 「まったく、手間かけさせるなよ、 さっきのヤツと一緒に来ればよかっただろ?」 「――――っ!?」 不意の声に、体を大きく震わせる。 「(ま、まずい! 小野先生が戻ってきた!)」 「先生、仕方ないよ、 こういうことは所構わずっていうんだよ」 「所構わず? 出物腫れ物所嫌わずって話か?」 「あ、うん、それそれ」 「いや、これはおならのことだぞ」 「へぇ、そうなんだ」 「まあいい、早くしてこい」 「はーい」 今度も男の子の付き添いみたいなので、こっちに入ってくることはないようだ。 「それにしても、 瀬田先生たちはどこに行ったんだ……」 油断したところで僕の名前が出て、再び緊張で身体が強張る。 さすがの小野先生でも女子トイレにははいってこないだろうと、祈りつつ音を立てないように身をひそめる。 教え子に勃起したペニスに奉仕させているところを見られたら、色々終わってしまう。 行為をやめさせようと視線を落とすと、それを察したのかののかちゃんは小さく頷いた。 「ん……しょ……」 気持ちが伝わったかと思ったが、さらに激しくペニスを擦ってくる。 「(ち、違う、違う……!)」 思わず肩を掴んで体の動きを静止させる。 と今度は口元をペニスに寄せて―― 「……れる、ん」 「……くぅ!?」 舌を伸ばし先端を舐めてきた。 不意打ちに思わず小さく声が漏れてしまい、とっさに自分の口元を押さえる。 「ふぁ、お汁がいっぱい出てきたぁ……」 ささやくように呟いて、さらにぺろぺろと舐める。 先ほどまで無防備だった亀頭が刺激され舌が触れる度に、腰に甘い痺れが広がっていく。 緊張感と、心地よすぎるその舌の感触に訳がわからなくなってくる。 「れる……れろぉ……れる……れる…… れるれろぉ……ん……んふ……れろれろ……」 恐らくやり方自体は知らないのだろう。次々とあふれてくる我慢汁を丁寧に舐めとっているようだ。 敏感な鈴口を重点的に刺激され、いつの間にか僕の主導権はののかちゃんに握られていた。 そんな僕の戸惑いも気にせずに、一心不乱に先っぽの小さな割れ目に舌を這わせ続けるののかちゃん。 さすがに舌の動きを止めさせることができず、声を出さないよう、物音をたてないように必死に堪えることしかできない。 僕が静かにした分、ののかちゃんがペニスを舐めるぴちゃぴちゃという音がよく聞こえてきて、それが余計に僕を興奮させる。 こ、これはまずい……。 「先生お待たせ」 「それじゃ行くぞ」 そんな声が聞こえたが、こちらの音は特に聞こえてないらしく、生徒と共に立ち去っていく足音が聞こえた。 「(助かった……)」 「っは……はぁ、はぁ…… の、ののかちゃん、何やってるの……?」 念のために遠ざかっていく足音が完全に聞こえなくなってから、ののかちゃんを叱る。 「ちゅ、れるっ……ん?」 舐め回し続けながら、小首を傾げる。 「ぴちゃ……れちゅ、ちゅ……ここ? いっぱい、でてくる。 れろ……れろ……れるぅ……」 「ち、違うっ、そうじゃなくて……」 「んーー?」 「たくさんあふれてきたから舐めてみたの、 そしたらもっといっぱいでてきたから……」 「きもちいいのかなぁっておもって。 ののもきもちいいとたくさんでるよ?」 やはり行為そのもののやり方云々ではなく、単純に興味から出た行動なのだろう。 報告を終えると再び行為に没頭するののかちゃん。 「れる……ん……れるれる……んぅ…… すりすりぃ……れろ……すりすりぃ……」 ペニスの先割れを舌先で舐めながら、胸を擦りつけてくる。 あまりの快感に先ほどまでの小さな怒りはどこかに飛んで行ってしまう。 「く、うぅ……」 絶え間ない刺激にそろそろ我慢の限界を感じてくる。 「んぅっ……れろれろ……ちゅ、れちゅ…… れちゅ……れろ、れろぉ……ちゅ……れろぉ……」 先端だけ刺激され続ける快感に、頭がおかしくなりそうになる。 「う……あぅ……く……!」 「れる……ん、ちゅ……」 もう少しでイけそうというところで、舌使いが穏やかになる。 どうしたのかと見下ろすと、ののかちゃんは僕を見上げていた。 「く、は……はぁ、はぁ……どうしたの?」 「せんせー、すごく気持ちよさそうな 顔してるなぁって……」 いつの間にかののかちゃんよりも僕の方が汗びっしょりになっていた。 おそらく、小野先生の件もあるのだろうが、イけそうでなかなかイけない強烈な刺激に耐えるため、知らず知らずの間に力んでいたのかもしれない。 「なんだか、改めてそう言われると、 照れくさいね」 「照れくさいの? ののは、せんせーが気持ちよくなってくれると すごくうれしい♪」 「……そう?」 健気なことを言うののかちゃんの頭を撫でる。 「せんせー、セキニンとるため、 もっとがんばるね……!」 撫でられて嬉しそうなののかちゃんは、再び透明な粘液を舐めとるように舌を這わす。 「れるれる……れるぅ、れるぅ…… れろ……れる、れるれる……んぅ……れる…… いっぱい気持ちよくなって、れろれろぉ……」 フェラチオともいえないぎこちない舌の動きに、焦らされるような感覚を覚え、腰がビクビクと動いてしまう。 いっそ自分が動けばすぐにでも絶頂できるかもしれない。 しかし、これはののかちゃんに対する罰―― だが今となってはそれが足枷となり、鈍く甘い快感として僕を苦しめているのかもしれない。 まるで子猫がミルクを求めるように鈴口を執拗になめ続けるののかちゃん。 それと一緒に左右に体を振って、ペニスの裏筋を水着で刺激する。 個室に充満するののかちゃんの匂いもさらに濃さを増し、僕の理性をかき乱す。 「れろぉ、れろぉ……んっ、ん……れるれる…… ちゅ……れるれる……ん、れる……れろぉ……」 「の、ののかちゃん……っ!」 教え子であるののかちゃんに、完全に翻弄されている。 だけど、何故かそんなに悪い気はしない。 体の力を抜いて、この小さな女の子に身を任せる。 「ん、んっ……れるれる……れろぉ、れちゅ…… れる……んん……ん……れちゅぅ、れろぉ……」 「ぐぅ……!」 先生たちに怪しまれないように、一刻も早くイってしまうのが正しいのはわかっている。 しかし、このぎりぎりのラインに居続けることが、更なる快感に結びつくのを体が知っていて、無意識に下腹部へ力を込めてしまう。 そんな駆け引きをしていると口をすぼめ、先っぽに口づけしてきたののかちゃん。 「……ちゅぷ」 「そ、そこにキスなんて……っ」 「ちゅ、ちゅるる……」 「ちょ、そんなに……吸わっ……うぁぅっ!」 突然の行為に思わず大きく声が漏れてしまう。 「ん、んっ…… ちゅゅゅっ、ちゅゅるるぅぅぅぅうっ!」 キスをしたのかと思いきや、一心不乱に吸い付いてくる。 「(す、吸い出される……!)」 もしかすると、ストローの要領で、精液を吸い出そうとしているのかもしれない。 当然、吸い出すことなんてできないけど、吸われる感覚は、とんでもなく気持ちいい。 オナニーなんかじゃ絶対に味わうことのできない感覚だ。 「(ダメだ、もう我慢できない!)」 「ぢゅゅゅるるゅゅぅぅううぅぅぅっ!」 とどめとばかりの少し乱暴な吸い付きに、腰が浮く。 あまりの快感に目の焦点が合わなくなり視界がぼやける。 そして、頭も真っ白になって―― 「はっ、うぐっ……ぅぅ!」 呻き声と同時に、暴発気味に射精していた。 「……んっ、んん! ……むぅ、ん、ん……」 驚いたような反応を見せるののかちゃんの口の中に、大量の精液を流しこむ。 ペニスの筒先を逸らそうと思ったけど、ののかちゃんが吸い付いているためなかなか離れない。 「くっ……! う、うぅ……」 なおも吸われる感覚に、自分の意志とは関係なく、ガクガクと腰が震えてしまう。 ののかちゃんの小さく熱い口内に、幾度となく精液を流しこむ。 「んぷ、んん……ちゅ、む……」 ののかちゃんは射精を興味深そうに感じ入りながら、口の中で味わっているのだろうか。 「くぅぅっ、ご、ごめんっ……」 どれくらいため込んでいたのか、信じられない程長い間、放出し続ける。 「……ぷぁ、はふ……ん、まら、れれう……」 さすがに耐えきれなくなったようで、息継ぎをするように口を離し、解放される鈴口。 射精の快感と自らの教え子という背徳感にゾクゾクしながら最後の一滴まで吐き出し、一息吐いた。 「は、あ、ぅぅぅ……」 改めて視線を落とすと、精液を口いっぱいに含んで少し困ったような顔を向けるののかちゃんの姿。 その口の端からこぼれた精液が、事の終わりを物語っている。 「……おわっらろ?」 声を出す気力も吸われてしまったのか、僕はただゆっくりと頷くだけだった。 それを確認すると、ののかちゃんは口元のこぼれた精液を指ですくい、練るようにして弄びはじめた。 「ねばねばぁ……」 粘着質な精液が、指の間で糸を引いているのを見て、無邪気な笑顔を見せるののかちゃん。 「ん……んん」 しばらくして飽きたのか、弄ぶのをやめゴクンと喉を鳴らした。 そして、自慢げな顔をして僕を見上げてきた。 「……もしかして飲んじゃったの?」 「……んぁ……うん、体にいいんだよね?」 そう言って飲んだとばかりに口を開いてみせる。 実際に見たわけではないが、指についていたものではなく、口に入ったものはかなりの量だっただろう。 ましてや最初の濃いものが、と思うが、ののかちゃんの口の中にそれはなかった。 「体にいいなんて、それどこで聞いたの?」 「この前テレビでネバネバのものは 全部体にいいって言ってたよ」 「あー……」 この時期よくある夏バテ対策の特番か何かであったんだろう。 しかし本当のところどうなんだろう。 精液が体にいいってたまに聞くけど、男が女の子に精液を飲ませるための嘘だと思う。 でも、体にいいと思って飲めば、思い込みの力……プラシーボ効果があるかもしれないし、否定する必要もないか。 「はは、それじゃそうかもね」 「だよねー」 「それはそうと、 小野先生が来たのにどうして続けたの?」 一段落して、改めて注意しておこうと、話を切り出す。 「せんせーのちょっと元気なくなって きちゃったから」 あっけらかんと言った。 確かに、緊張で萎んでいたかもしれない。 ののかちゃんらしいちょっとズレた返答だけど、今回はズレたままにはできない。 「バレちゃったらまずいのはわかるよね?」 「うん、でも、バレなかったし、 ……いいよね?」 これまたののかちゃんらしい答えだ。 「んー……」 「せんせーは気持ちよくなかった?」 なんと答えていいものか悩んでいると、切なそうな目で見つめてきた。 射精まで導いてくれた女の子を、叱るなんてできない。 むしろお礼を言わなきゃいけないくらいだ。 「いや、気持ちよかったよ、ありがとう」 「これでセキニンとれたかな?」 律儀にもしっかりと役割を覚えていたののかちゃんに、わずかだが顔がほころんでしまう。 「十分だよ」 「やった、ベリーハードモードクリアーだね」 「ふふ、そうだね」 クリアーのご褒美に僕もののかちゃんを気持ちよくさせてあげたいところだけど……。 女の子のトイレとはいえ、これ以上遅れたら誤魔化すことが難しくなる。 「そろそろ、戻ろうか」 「はーい」 隣接した水飲み場で口をすすぎ、僕らはプールへと戻る。 ちょっと先を歩くののかちゃんは、出すものを出してすっきりとしたのか、軽い足取りで振り返る。 「せんせー、みてみて? ここ、かたつむりのあとみたいになってる」 水着の胸元を見せつけるようにグイとひっぱり、僕に見せつける。 「うわ……ちょっと待って……!」 慌ててののかちゃんを引き留め、タオルでごしごしと拭き取ろうと必死になる。 そこには先ほどの行為の“痕跡”。拭き損ねてしまった僕の粘液が、太陽の光に当てられキラキラと光っていた。 そんな無邪気な様子に、改めて背徳感が湧き上がってくる。 「せんせー」 ののかちゃんの前で膝立ちになり必死な僕をまっすぐ見つめてくる。 「ん? どうした」 「トイレでのこと、みんなにはナイショだよね?」 「あ、ああ」 ちゃんとわかってくれているようで、ほっとしつつも、そこまで聞きわけがいいと、逆に悪いことをしたという気持ちも湧いてくる。 ののかちゃん自身はナイショの遊びのように、楽しくて仕方ないみたいだけど……。 「(いつか、ちゃんと教えないとな……)」 こういうことは好きな人とするんだ。って―― プールに戻ると消毒槽に浸からせて、シャワーを浴びさせてからみんなの元へと送り返す。 と、小野先生が声をかけてきた。 「お、瀬田先生、遅かったですね。 何かありましたか?」 「すみません、紙がなくて二階のトイレに 行ってました」 前もって考えていた言い訳をすると、小野先生は耳元に顔を近づけてきた。 ひそひそ話をする体勢だ。 そんな小野先生の様子に一気に冷や汗が噴き出る。 「……深海、プールの水を飲みすぎて お腹を壊したんじゃ?」 「え……?」 聞こえていなかったわけではないが、予想とは違う質問につい聞き返してしまう。 「違いますか?」 どうやらトイレでの事ではなかったことに、身体の緊張が一気に解けていく。 「あ、はい、さっき水を飲みすぎたって 言ってました」 「やっぱりそうか。去年もそうだったんですよ。 まったくあいつは変わらんな」 「でも、腹の調子は、そんなにひどくなかった ですし、もう大丈夫みたいですよ」 怪しまれないようにあえて小野先生の話を拾っていく。 「それはよかった。 中でされたら大変なことになりますからなぁ」 そう言って、ガハハと大笑いした。 いつものことらしく、あまりののかちゃんの体調は心配しておらず、プールのことが心配だったようだ。 そのまま離れていく小野先生の後ろ姿を見届けながらほっと胸をなで下ろした。 予想はしていたが、プールの後は気だるい雰囲気が教室いっぱいに漂っていた。 今日はこの後、給食を食べてから下校となる。 「ののか、どんな裏ワザつかったんだよ」 「うらわざ?」 「プールの宝探しのことだよ」 「青だけあつめるなんて、 ズルでもしないかぎり無理に決まってんじゃん」 「まけてくやしいだけでしょー?」 「まあまあ」 ののかちゃんは、ヒートアップする二人を他人事のように窘める。 「裏ワザかズルかわからないけど、 トクベツに青だけ集めるやり方を 教えてあげてもいーよ?」 「やっぱり何かあるんじゃん」 「ふふん♪ それはねぇ……」 若干、もったいぶってからゆっくり話しはじめた。 「せんせーたちが投げた時に、 青いのがどこに行ったのか全部覚えておくの」 「……で」 「それだけ〜」 「それだけ……」 「えへへ……簡単でしょ?」 もちろん簡単なことではない。やる気になった時のののかちゃんしかできない芸当だ。 「え……? あ、お、おう、次は負けねーぞ」 あまりの答えにかろうじて捨て台詞を言って、毒気を抜かれたような表情で退散していった。 「あはは、やるね、のの」 「ん〜? 何が?」 「何がって……」 えみちゃんは、相手をやりこめるために、言ったと思ったんだろう。 しかし、当の本人は本気で攻略法を教えたつもりのようだ。 「それより、えみちゃん! 今日の給食なんだろうねぇ」 そんなマイペースなののかちゃんの様子に、ただ苦笑いを浮かべるえみちゃん。 おバカなのかすごいのか……。とりあえずののかちゃんには変わらず成長してほしいものだと心から思った。 給食の後、帰りの会を終え、下校時間になる。 そんな放課後の時間、ののかちゃんは、えみちゃんと一緒にことねちゃんの席の周りに集まっている。 ああいうことをした日は、ののかちゃんのことがいつも以上に気になってしまい、ついつい聞き耳を立ててしまう。 「――ううん、ぜんぜん大丈夫です……」 「大丈夫じゃないよ、なんか顔色悪いよ。 せんせに言ってほけんしつ行こ?」 そんな声が聞こえてきた。 プールの前から少し元気のなさそうなことねちゃん。もしかして体調でも崩してしまったのだろうか。 急に割って入るのも悪いと思い、明日の授業の準備をしながら、もうしばらく様子を窺う。 「プールで疲れちゃっただけだから……」 どうやら、今年初のプールの授業でかなり体力を消耗してしまったみたいだ。 そういえば、プールの時間の時もずっと緊張している感じだったのを思い出す。 「んー……それじゃ、早くお家にかえって お休みしたほうがいっか」 「でも、このあと、 うさぎさんのお世話があるから……」 「じゃあ、私がやったげる」 今まで黙って話を聞いていたののかちゃんが声をあげた。 「(えらいじゃないか、ののかちゃん)」 空気は若干読めないののかちゃんだけど、気遣いができないわけではない。 「え? ののがやるの?」 「うんいいよ〜、うさちゃん好きだし」 「前にめんどくさいって言ってなかったっけ?」 「うさちゃんはかわいいんだけど、 まいにちはね〜……」 あまり押し付けられたり、強要されたりするとやる気がなくなってしまうのだろう。 「でも、今日はがんばって行くよ。 えみちゃんは、ことちゃんと一緒に かえってあげて」 えみちゃんは、ののかちゃんに言われて、少し考えている。 「そっか…… あたしは飼育係のことわからないし――」 「あ、あの……えっと……」 ことねちゃんは自分を置いて、話が決まっていくことに戸惑っているようだ。 どうやら、ことねちゃんは、二人の厚意に甘えることに、躊躇いがあるみたいだ。 せっかく助け合っているんだ。ここは背中を押してあげた方がいいかもしれない。 「ことねちゃん、体調悪いの?」 歩み寄ってことねちゃんに声をかけた。 「あ、せんせい……」 「ことねちゃん、プールで疲れちゃったみたいで、 あたしが家まで送って行くって話してたの」 「それで私がうさちゃん当番代わるんだ〜」 「へ〜、2人ともえらいじゃないか。 困った人は助けてあげないとね?」 「でも……」 申し訳なさそうに僕を見上げることねちゃんの頭を軽く撫で、ことねちゃんの声を制す。 「んー……たまには、お友達に頼るっていうのも いいんじゃないかな?」 できるだけ優しく諭すようにことねちゃんに伝えると、少し考えた後、小さくコクリと頷いた。 そして、改めてののかちゃんを見つめる。 「ののかちゃん、うさぎさんのお世話、 お願いしてもいい?」 「うん、まかされた!」 「でも、のの、ホントにうさぎのお世話できるの?」 「ふふん、前に1回遥先生に……たしか……」 だんだんと自信がなくなり声が小さくなる。そしてえへへと、例の締まりのない顔で笑った。 「ちょっとちょっと……」 「でも、なんとかなるでしょ」 「…………」 えみちゃんだけじゃなく、ことねちゃんも心配そうな顔になってきた。 今日は学校も昼までなので、僕も時間はある。 「そ、そうだな。 僕も手伝うから安心していいよ」 「え? せんせが?」 「前にことねちゃんがお世話してるの、 側で見てたからやり方はわかってるし、ね?」 同意を求めるようにことねちゃんを見やる。 「やったぁ、せんせーといっしょ〜♪」 喜んでいるののかちゃんをよそに、なんだかちょっとえみちゃんが不機嫌そうになる。 僕がののかちゃんに甘すぎるのが不満なのかもしれない。しかし、今は我慢してもらうしかない。 「えみちゃん、ことねちゃんのこと、頼むね。 付き添ってくれれば、僕としても安心だ」 「あ、う、うん……」 なんとなくご機嫌取りみたいになってしまったけど、えみちゃんを頼りにしているのは事実だ。 「それじゃあ、ことねちゃん、帰ろっか?」 「えみちゃん、 いろいろごめんね……?」 「ううん、困ったときはお互い様だよ。 気にしないで」 二人は帰りの準備をすると、僕にペコリと頭を下げた。 「せんせい、さようなら」 「さようなら」 また家で会うのはわかっているが、えみちゃんも律儀に挨拶をする。 その表情にもうかげりはない。気持ちの整理はついたみたいだ。 「さようなら、気をつけて帰るんだよ」 「ばいばい、また明日ね〜」 えみちゃんたちは、ののかちゃんと手を振り合って、教室を出ていった。 その背中を廊下が折れる所まで見送る。 「じゃあ、その前に僕は職員室に用事があるから、 ウサギ小屋の前に集合でいいかな?」 「は〜い」 気の抜ける返事を返しながら軽い足取りで昇降口へと向かっていった。 「ごめん、お待たせ」 待ち合わせ場所のウサギ小屋へ向かう途中、しゃがみこんで、地面をじっと見つめているののかちゃんを見つけた。 「ううん、だいじょうぶ」 少し名残惜しそうに視線を落としながら立ち上がりそばへ寄ってくる。 「それじゃ、行こうか」 「うん、行こぉ」 校舎裏の飼育小屋の中では、うさぎたちが元気に跳びはねている。 「うさちゃん、ひさしぶり♪」 そう言ってうさぎに手を振った後、僕を見上げてきた。 「せんせー、まずは何するの?」 可愛い容姿に反して、うさぎは結構小屋を汚す。 せっかくこういう機会ができたんだ。生き物を飼うということがどういうことか、改めてしっかり知ってもらおうかな。 「まずは、掃除かな、食べ残しや、 小屋のフンを綺麗にするんだ」 一緒に小屋の中に入り、そう指示する。 「あ、それわかる」 手渡した小さなスコップで、ののかちゃんは早速後片付けをしていく。 時々めんどくさがり屋なののかちゃんだけど、汚いフンの処理を嫌がったりはしない。 「うさちゃんのお部屋、きれいにしなきゃね〜」 どうやら、やる気になっているみたいだ。 座って行う授業が苦手なだけで決して不真面目な子ではない。 全てはののかちゃんを、やる気にさせることができるかどうか教師次第。 僕もそう再認識して、教師としてののかちゃんを上手く導いてあげなきゃと、改めて思った。 「ふぅ、これでおわったかな?」 「うん、そうだね」 一生懸命なののかちゃんのおかげもあり、あっという間に片付いた。 「最後にお水を入れ替えてくるから、 ちょっと待ってて」 「はぁい」 水道まで行き、戻ってくると、ののかちゃんはうさぎを抱っこしていた。 「うさちゃん、かわいーねー♪」 うさぎを抱っこして、顔を寄せ、もふもふしているののかちゃんの様子に、思わず心が温かくなる。 「(見てるだけで、なんだか癒されるな……)」 水入れを持ったまま、うさぎと戯れるののかちゃんをぼーっと見守る。 やはり、こんな無垢な子にエッチなことをし続けるのはよくない。 これからは自制して自重しないと……。 「……あっ」 ぴょんと、ののかちゃんの腕の中から飛び出て、別のうさぎに近づいていく。 やがて二羽のうさぎは、体を擦り合わせるようにしている。 これはこれで可愛い。 「(……仲がいいみたいだな)」 と思ったのも束の間、上に乗りかかるようにして、カクカクと動かし始める……。 こ、これって……交尾!? ついさっきまで僕が自重しようと思ったのに、うさぎの方は全く自重していない。 確かここのうさぎは去勢しているはずだけど、本能なのだろう。 マウンティングしているうさぎの動きは、乱暴で荒々しい……。 「お、おおー……!」 そんな光景に、ののかちゃんは目を丸くして見入っている。 その表情は好奇心というより、見かけの可愛さからは考えられない乱暴な動きにあっけに取られた様子だ。 「――の、ののかちゃん」 慌てて飼育小屋に入る。 「せんせー、あれ」 「あー……うん、そういう習性なんだ……」 「で、でも」 「ほ、ほら、もう終わったから帰ろうね」 僕は適当に誤魔化して、その場から逃げるように飼育小屋を後にした。 あれからののかちゃんがウサギ小屋に戻らないように、一緒に帰る準備をして帰路に着く。 ののかちゃんはうさぎの交尾を見てから、ずっと何か考え込んでいるようだ。 結局心配なので、そのまま家まで送っていくことにした。 「う〜ん……」 さっきから何度も唸っている。いつもの元気な様子もあまり感じない。もしかしてショックを受けているのだろうか。 「ののかちゃん、大丈夫?」 「……ねぇ、せんせー? うさちゃんのあれってなあに?」 「それは……」 質問されることは予測できていたが、うまい言い回しが思いつかず、ののかちゃんの顔を見つめていると小首を傾げた。 「あのうさちゃん、いじめられてるの?」 「い、いや、そんなんじゃないよ。 そうだなぁ、むしろ仲がいいからというか なんて言ったらいいかなぁ……」 とりあえず、性的な好奇心を呼び起こさないよう、変な感じにならないように、慎重に言葉を探す。 「あれは―― その……交尾っていうんだよ」 「こーび? こーびってなぁに?」 「遥先生の授業とかで習わなかった?」 「んー……」 少し考える素振りを見せるが、一向に思いだす気配がないところを見ると、そういったものは教えていないようだ。 いや、もしかして話が難しいと思って、寝ていたのかもしれない。 「……そうだなぁ……」 ののかちゃんに教えるには、もう少し噛み砕いてあげる必要がありそうだ。 「ほら、ゲームのポッケモンで♂と♀の モンスターを預けると卵が産まれるでしょ。 それは交尾してるからなんだけど……」 「卵を…… じゃあ、さっきこーびしたうさちゃんは 卵産むの?」 学校のうさぎは去勢してるので、子供を産むことはない。 でも、そこを説明したらややこしくなるので、必要最小限のことだけを伝える。 「卵は産まないよ、ええと、妊婦さん…… お腹が大っきくなってる女の人って 見たことない?」 「あ、お腹に赤ちゃんがいるんだよね?」 そこはわかるようだ。 たしかののかちゃんに妹や弟はいないけど、親戚の人とかで妊婦さんを見たことがあるのかもしれない。 「つまり、交尾すると、お腹が大きくなって、 赤ちゃんを産むんだ」 「なるほどー…… 赤ちゃんを産むためにこーびするんだね」 一応大まかな行為の意味は伝わったようだ。 「うん、そういうこと」 「パパとママもあんな風にこーびしたんだ……」 「…………」 そう説明したつもりはないが、今の話を総合するとののかちゃんの中ではそういうことになってしまうのか。 「…………」 ののかちゃんは、難しい顔をしている。 さっきのうさぎの荒々しい交尾を自分の両親もしていると思うと、複雑だよな……。 ここはフォローしておく必要がありそうだ。 「ええと……ちょっと難しいんだけど、 人の交尾は、お互い愛し合ってるからすることで、 決して、変なことでも怖いものでもないんだよ」 「あいしあう……」 「好き同士なら普通ってことだよ」 「好きだからこーびするんだね……」 呟くように言って、また考え込んでしまった。 気持ちを整理するのに時間がかかるのだろうと、声をかけずに家路を進む。 それにしても、ののかちゃんは、公園で見たエロマンガや、これまでしたエッチなことを、どう考えているんだろう……。 そういうことも含めて改めて説明しなきゃいけない日がくるかもしれないな……。 「そうだ、この話も先生とだけの 秘密にしてくれるかな?」 『パパとママはうさぎみたいに交尾するの?』とか言われたら、きっと両親も困るだろう。 「……どうして?」 「こういうことって、 あまり人に話すことじゃないからね」 「そっか、わかったあ」 素直なののかちゃんだ。 こういう時は、何もわかってないののかちゃんを騙しているような気持ちになる。 「えへへ、せんせーとの秘密、また増えちゃったね」 罪悪感を吹き飛ばすような笑顔でそう言ってくれた。 この、ののかちゃんの笑顔には、救われるな……。 「あ、ママ、ただいま〜」 家の前でガーデニングをしていたお母さんを見つけて、ののかちゃんは小走りで駆け寄った。 「のの、おかえりなさぁい」 「どうも、お母さん。こんにちは」 僕はやや遅れて、ののかちゃんのお母さんに挨拶した。 「あら〜、送ってきてくれたんですか? ありがとうございますね」 以前家庭訪問のときにもお会いしたがののかちゃんに似て、朗らかな人だ。 「いえ、ののかちゃんが、飼育小屋の掃除の お手伝いをしてくれたんで……」 直接的な理由になっていない説明をして、帰ろうとしたんだけど……。 「せんせー帰っちゃダメ」 ののかちゃんに腕を掴まれ、引き留められた。 「ええと……どうしたの?」 「まだ、お勉強の途中だよ」 「……は?」 「さっきのお勉強、終わってない」 お勉強って……うさぎの交尾の話か?納得してくれたんじゃないのかな……。 それとも何か別の……。 きわどい話になりそうなので、お母さんのいる前じゃできない。 「まあまあ、こんなに勉強熱心になって…… 先生のおかげですね」 「うん、おうちでせんせーに教えてもらうの」 「ののか、えらいわねぇ、 どうぞどうぞ、上がって下さい」 「あ、はい……」 断ることができず、ののかちゃんの家にお邪魔することになってしまった。 「ゆっくりしてってくださいね」 お茶を持ってきたお母さんは、少し世間話をした後夕飯の買い物があるから、ののかのことをよろしくと、部屋を出ていった。 僕は何気なく部屋を見回した。 自分の生徒とはいえ、やっぱり女の子の部屋は落ち着かない。 ましてや二人きりというこの状況。 「せんせー、つづき、おしえて?」 お母さんがいなくなると、ののかちゃんは、さっそくそう問いかけてきた。 ある程度予想はしていたが、その話を振られ再びどうしたものかと、少し頭を抱える。 「あの、マンガにのってたの…… 人のこーびでしょ?」 枕元の大きなぬいぐるみを抱き寄せて、自分の股間に押し当てた。 どうやら、交尾のことを知ったことで今まで断片的に教えたことが繋がってきたのだろうか。 ちゃんと教えること……。それを、いつかなんて言ってる場合じゃないのかもしれない。 「マンガでは おちんちんをおまたのところに入れて、 腰動かしてたの……」 そこまでわかっているなら、もう誤魔化しても仕方ないだろう。 「うん、そうだよ。 あれが人の交尾だね」 素直にそう教える。 「まぁ、人とうさぎじゃ、 やり方が少し違うんだけどね」 「へぇ……」 少し納得していないのかあまり良い返事が返ってこなかった。 「のの、やってみたいな……」 「や、やってみたい……!?」 「……うん」 知識だけに留まらず、それを実践して記憶するのは教育上としても非常に良いことなのだろう。 しかし、この場合、話は別だ。 「そういうことはののかちゃんのパパとママみたいに 愛し合った相手とするって教えたよね?」 「せんせーは……?」 「……僕?」 「ののは、せんせー好きだよ? せんせーは、どう?」 「嫌いなわけないじゃないか」 「じゃあ、せんせーの言ったこと、 まちがってない、よね……?」 恥ずかしさというよりは、ひとつひとつ答え合わせをするように、僕を見上げてくる。 おそらくののかちゃんの場合、男女としてではなく、お友達としての好きを混同しているのだろう。 これから肌を重ねる相手に対してその“好き”じゃ、ダメだろう。 好きの種類が違うってことを、ののかちゃんに理解させることができるだろうか。 「普通に好きっていうのと ちょっと違うっていうか……」 「せんせーの好きは特別だよ」 間髪入れずにそう訴えてきた。 ののかちゃんの様子はいつもと違い、どことなく真剣といった様子が窺える。 「ののかちゃん……」 「せんせーのこと考えると、 胸がどきどきして……」 「ここのところがあつくなって……」 そう言いながら少し恥ずかしいのか、手にしたぬいぐるみの股のあたりをさする。 「前にせんせーがしてくれたみたいに、 ここでふくしゅーしたり……」 一瞬、復習の意味が分からなかったが、もしかして暗にオナニーしていると言っているのだろうか。 自分の勝手な妄想で、僕もなんだかドキドキしてきたかもしれない。 「でもね、いくらしてもむずむずが消えないの……」 「……むずむず?」 男であれば1度すれば大抵治まるものだが、女の子相手となると―― 教師とはいえ、そこまで学んでいない。 話をまとめると、もしかして欲求不満ということなのだろうか……。 「うん…… のの、どうにかなっちゃいそうなの……」 辛そうにぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。 焦っている時でさえ、どこか心に余裕がある感じで、切羽詰まった様子は見せない。 そんなののかちゃんが、今、目の前で心細そうにしている……。 しかしその答えを出すにはあまりにも軽薄で、自分でも自惚れているのではないかと思う。 「(性感を刺激しすぎて  身体が僕を求めている……?)」 そんな考えが浮かぶが目の前のいたいけな少女を目の前に、選ばれた嬉しさと罪悪感が支配する。 「せんせー、のののお願いきいて……」 この告白は、ののかちゃんなりに恥ずかしかったようで、言い終えるとぬいぐるみで顔を隠した。 なりゆきとはいえ、中途半端に教えてきたエッチなことが、ののかちゃんを追い詰めてしまっていたのかもしれない……。 「のの、せんせーのこと好きになっちゃ、 ダメだったのかなぁ……」 「ダ、ダメじゃないよ!」 珍しく弱気でシリアスなののかちゃんの言葉に自分でも驚くほど大きな声で答えていた。 「せんせぇ……」 僕がグズグズ考えていたせいで、ののかちゃんにいらない心配をさせてしまっている。 「その……好きになってくれたのは、 ……すごく嬉しい」 それは僕の本心だ。 「……それじゃなんで?」 「これは軽い気持ちで、しちゃいけないんだ」 「かるく……ないよ? せんせーのことうーんと好き」 「のの、せんせーのこと、 うーんとうーんと好きだよ!」 『うーんと』のところで体を縮めるようにして、必死に訴えてきた。 「ののかちゃん……」 今のののかちゃんを見ていると、胸がギュッとしてくる。 しかしこれが罪悪感なのか愛情なのか僕自身頭の中がぐちゃぐちゃでわからない。 ただ、思っている以上にののかちゃんは僕に好意を抱いてくれている。 この好意が、結婚したいっていうような好きかどうか、本当のことはわからないけど。 ここまで想ってくれている人がいるのであれば、僕も何とかその人の力になってあげたい。 「わかった、じゃあ……」 「ホントに?」 「うん、僕がうずうずを取ってあげるから」 「せんせー……」 「でもね、マンガのようにはいかないよ。 はじめてはすごく苦しくて痛いんだ」 始める前に、このことは伝えておかなきゃいけない。 「い……いたいの?」 さすがのののかちゃんも“痛い”という単語に不安そうな様子を見せる。 「もちろん僕もできるだけ優しくするけど、 ののかちゃん小さいから……」 「でも、我慢できなくなったらちゃんと言うんだよ。 僕はののかちゃんを苦しませたくないんだ。 言えばすぐにやめるから――」 僕だって女性経験豊富というわけではない。ましてや今回は小さな女の子。 できる限り心配させないよう、ののかちゃんの味方であることを伝える。 「わかった……! 我慢できなかったらいう!」 ――嫌がったら途中でやめればいい。 これでののかちゃんの興味が薄れてしまうのは少し寂しいけど、信頼をなくされてしまうのはもっと寂しい。 「じゃあ」 「うん」 あまり長く会話するのも恥ずかしくなってしまい、ついぶっきらぼうな口調になってしまう。 「まずは、準備しようね……? こっちにおいで?」 ぬいぐるみを抱いているののかちゃんを後ろからそっと抱き締めた。 「交尾の前に、今までしてきた気持ちいいことを いっぱいするんだ」 「……そうなの?」 そう言うと、ちょっと興奮気味に僕を見上げてきた。 「じゃあ、せんせー、ちゅーして……」 首を回し、僕を見上げて唇を求めてくる。 ぷるんとみずみずしそうなピンク色の唇を少しとがらせる。 「それじゃあ、愛し合ってる人同士の キスしてみようか?」 「するぅ」 興味津々のののかちゃんの唇に、ゆっくり自分の唇を重ねた。 「ん……ちゅ……」 余計なことを考えず、ののかちゃんを求める。 「ん……ののかちゃん、お口を開いて」 「ん? あー……」 半開きになった口の中に、舌を入れる。 「んぅ? んぅ……」 一瞬、驚いたみたいだけど、僕の舌を受け入れてくれた。 早速、口内で舌を絡ませ合う。 「のの、かちゃん……ちゅ、ちゅむ…… ん……れる……ん……れちゅ……」 ののかちゃんの小さな舌が触れると、ゾクゾクしてくる。 教えてるつもりが、僕が癖になってしまいそうだ。 「せん、せぇ……ちゅ、ん……ちゅ…… れるぅ……んちゅ……ちゅ……」 ひとしきりののかちゃんの口の中を堪能して、唇を離した。 「ふはぁ……これがあいしあってるチュー?」 「そうだけど……嫌だった?」 相手が“好き”とはいえ、やはり異性の唾液が口に入るのは嫌だったのか、少し不安になる。 「ううん、ぽーっとして、 おまた、もっとあつくなってきちゃった……」 ご満悦そうにうっとりした顔をみせるののかちゃん。もしかしてキス魔なのだろうか? 「はぁ、はぁ……のの、どうなっちゃうの?」 身体の異変に少し不安を感じたのか、上目使いで僕を見上げてくる。 「前に病気じゃないって言ったよね? ののかちゃんの体が交尾の準備をしてるだけだよ」 「じゅん、び……」 「もっと準備しようね」 そう言って、ゆっくりとののかちゃんの股間に手を伸ばす。 「ふぁ……ん、せんせぇ……」 少しこそばゆそうに身を竦める。 それでも気持ちよくなるかと思い撫で続けると、噴き出すように笑い出した。 「あははっ、くすぐったいよぉ……」 肌への刺激に敏感なののかちゃん。いきなりアソコへの愛撫は早かったのかもしれない。 「ふひぃ……ふふ」 くすぐったがるののかちゃんは僕の腕の中で締まりのない顔で笑っている。 今日はどこかシリアスだったけど、少し緊張が解けていつものののかちゃんが戻ってきたみたいだ。 そんなののかちゃんに思わず苦笑いしつつ、同時に愛おしく思えてきた。 僕はちょっとぬけたののかちゃんが好きなのかもしれない。 股間から一旦手を離し、性感を高めるために、体を解すように愛撫していく。 「んぅ、ん……ん……」 それもはじめはくすぐったそうだったけど、段々と息が弾んでいく。 「はぁ……はぁ…… ののは何もしなくていいの?」 「うん、そのまま僕に任せてくれればいいよ」 「わかったぁ」 答えを聞いて、改めて股間に手を伸ばす。 「ぁっ」 ビクンと反応したけど、今度はくすぐったがらない。 体の愛撫でしっかり感じていたようで、股間はしっとりと濡れている。 「このままここを触るね」 「う、うん……」 少しふっくらとした小さな二つの丘を指の腹で押すように弄ぶ。 「……ん、ぁ……ふ、んん……」 マウスのクリック動作のように左右の感触を、それぞれ別の指で味わう。 そのマウスはあまりに僕の手には小さすぎるが、そこは身体のどこよりもやわらかく、どこまでも僕の指先を魅了する。 「せ、せんせぇ……ぁ……ふぁ」 つい柔らかな感触に没頭してしまっていると、少しだけ切なそうな声を上げるののかちゃん。 ――少し指をずらし、いよいよクレバスへと指をあてがう。 「ん、んぁ……はぁ、はぁ…… そこビリビリするぅ……あぁ……んぅ……」 少し指を押し当てるだけでののかちゃんの割れ目から、じんわりと蜜があふれ出て、僕の指を湿らせていく。 「はぁ……はぁ……」 少し厚めで柔らかな下着の下に感じる、ふにふにとした感触。 ふっくらとしたののかちゃんの体型もあってか、まだそこはぴったりと閉じられていた。 「(……しっかりほぐさないと)」 割れ目を開くように指を押し当てると、くちゅ、と小さな水音が耳をくすぐる。 「……ぁ」 その音がののかちゃんも聞こえたのか、少しだけ恥ずかしそうな素振りを見せる。 そのたっぷりの蜜の中に、ゆっくりと指を滑らせ入口を探していく。 「はぅ……!」 一際深く指が侵入していく場所。膣口に触れると、一瞬ののかちゃんは肩を竦めた。 「い、痛かった?」 「う、ううん……だいじょぶ」 「それじゃ、ここを解していくね」 「ほぐす……?」 「ここにおちんちんを入れるのが交尾なんだ。 だから、入りやすいように……ね?」 「やっぱり、ここなんだ……」 自分でも触っていたためかある程度の予想はしていたようだ。 「続けていい……?」 膣口の付近を撫でながら、クリトリスも刺激する。 「ふ、ふぁ……! んぅ……あぁ……」 僕の質問の返事をしようとしたのか、甘い声と混ざったかわいらしい返事が返ってくる。 「す、すごいの、体のむずむずが すごくなって……ぁ、んぁ……」 「そのまますごくなっていいからね」 「せんせーの手が……ふぁ…… さわったところが、あついよぉ……」 「もう少し様子を見てみようね?」 そう伝えて、あまり深く侵入しないように気を遣いつつ指先を挿入させる。 「ん、んぅ……」 チュプっと柔らかな粘膜に中指が飲み込まれ、爪の付け根辺りまでがギュッと締め付けられる。 「ぅん、は……ぁふ……」 特別僕の指は太い訳ではないが、少し辛そうな声に動きを止めてしまう。 「せ、せんせぇ……?」 しかしののかちゃんの様子を見てみると、僕の心配をよそに、先ほどよりも切なそうな吐息を漏らしている。 体格差はあれど、このまま進めても問題ないと感じ、ゆっくりと入口をなじませるように指を出し入れする。 「あ、せんせー……はぁん、あぁ……あぁ…… ん、んぁ……ん……ふぁ……ああ……ぁふ……」 指の動きに合わせて、リズミカルな喘ぎ声をあげるののかちゃん。 「どう、ののかちゃん?」 「あたまがぼーっとして……全身じんじんして…… はぁ、はぁ……すごいよぉ……」 「大丈夫? 苦しくない?」 「だいじょぶだけど……ちょっと怖い……」 「僕が一緒だから、心配しないで」 「そうだよね、せんせー、もっとすごくして…… ふぁ……あ……あぁん……ん、ん……」 膣を解すために丹念に指を出し入れさせていると、ののかちゃんはゆっくり昂ぶっていく。 「あっ、あっ……はふ、ん……せんせぇ、 ん、はぅ……はぁ、はぁ……」 「あっ……くぅぅ、んんっ……はふ、あっ…… あぅ、ん、ン、あぁぁ…………なに、か……」 そんなののかちゃんのかわいい顔を見ていると、つい、指の動きも激しくなってしまう。 「せんせぇ……なんだか……は、うぅ、ぁ…… ふわふわ、して……きてるよぉ……」 つたない言葉で何とか絶頂が近いことを伝えてくるののかちゃん。 そんな切なそうな表情に、罪悪感を感じる。 しかし、今の僕にとってはそれすらも興奮の材料となり、既にそれを罪悪感と言っていいのかすら怪しかった。 「せんせー……ずっと一緒に……いて…… のののこと見ててね……はぁ、はぁ……」 「今のののかちゃん、 すごく可愛いから、 目を離せっていう方が無理だよ」 「ふわぁ、ぁ、あっ、んぅ…… せんせー……うれし……はぅぅ…っっ……」 「せ、せんせ……あ、あっ、せん、せぇ…… はぅ、あ、んっ……は、はふ、ぁぁぁ……」 授業では絶対に聞くことのない甘い声で、何度も僕のことを呼んでくれる。 その響きが何とも言えない情欲を駆り立て、僕までつられて興奮していく。 「……ああっ! んっ……はんっ、はぁ、あぁぁ…… あっ……ぁ、ぁ、ぁ」 「のの、みててぇ…… あ、ああ……あぁ、ひ、ひぁっ――」 息を詰まらせたかと思うと、ののかちゃんは体を強張らせ、おとがいを反らせた。 「はぁ、はぁ、せんせぇぇぇえっ! んぅぅーーーーーーっ!!」 ののかちゃんの中に入っている指先をぎゅぎゅっと締め付けながら、呻くような声を上げる。 「――は、あぅっ……あ……はぁ…っ!」 強烈な快感に、驚いたような表情をして、断続的に、ビクンと身体を震わせる。 僕はそんなののかちゃんの頭を撫でながら、約束通り見守り続けた。 「あ、あぁ…………ぁ………… はぁ……はぁ……」 甘く呻きながら、ののかちゃんはしばらく絶頂の余韻に浸っている。 「はぁ……はぁ……すごかった、よぉ……」 「ふふ、可愛かったよ、ののかちゃん」 僕の言葉に、ののかちゃんは気怠げだったけど、嬉しそうに微笑んだ。 「このまま続けられる?」 「うん、する。 まだなんだかおくのほうが……」 そういって今度は少しふっくらとした自分のお腹をさすって見せる。 何よりも性に対して興味が強いののかちゃん。 無鉄砲なところもあるし、このまま放っておけば、自分のアソコに何か変なものでも入れかねない。 「それじゃ、今度は横になってごらん」 ののかちゃんを心配する気持ちとは裏腹に、僕の股間は痛いほど膨れ上がっていた。 「うん♪」 改めて意思を確認して、ののかちゃんをベッドにエスコートする。 少し疲れてしまったのか、そのままうつ伏せでベッドに身体を預けるののかちゃん。 顔が見えなくなってしまうのは残念だが、ウサギと同じように教えた方がいいと思った手前、これは好都合だった。 「そのまま足もベッドに上げて、 丸くなってごらん?」 「……こう?」 膝を畳んで言いつけ通り背中も丸くする。 「そうそう、そんな感じ」 ついに、ののかちゃんと交尾……。一線を越えてしまう。 興奮を隠しながら少し震える手でののかちゃんのパンツを脱がし、僕もチャックを下ろし準備に入る。 「ののかちゃん……」 ののかちゃんの大切な部分をガードしていた、最後の布が取り払われ、これから僕を迎え入れてくれる幼い入口を見つめた。 こんなに小さな穴に僕のペニスが入るのかと、改めて不安になる。 そんな気持ちをよそに、不謹慎と思いつつも僕の身体は正直に、あの小さな穴に今すぐにでも入れたい、と反応する。 「……せんせー?」 顔が見えないことに少し怖くなったのか、心配そうな声を漏らすののかちゃん。 あまり待たせるのも可哀想に思い、溢れてくる愛液を絡めるように、ペニスを割れ目に擦りつける。 「んっ、ぁ……ふぅ、ん、んっ……」 そして、それが竿全体に行き渡るようにお尻も使って愛液をコーティングしていく。 「う、はぁ……」 ののかちゃんのすべすべとした肌と、愛液のぬるぬるが混ざり僕の亀頭をとろけさせる。 それが終わるとお尻の谷間に埋め、ペニス全体できめ細かい肌の感触を楽しむ。 ふっくらとしたののかちゃんのお尻は、程良い弾力とやわらかさで、僕のペニスを刺激してくる。 「んっ、ん、……ふふ、せんせー……?」 先走りも出てきて、僕のペニスはさらにヌルヌルになっていく。 「あははっ、せんせー、くすぐったいよぉ……」 「……あ」 当初の目的を忘れてしまい、いつのまにかののかちゃんのお尻に夢中になってしまった。 「うさちゃん、こんなことしてたかなぁ……」 「ごめん、ごめん、これは交尾とは関係ないよ。 ののかちゃんのお尻が魅力的でつい……」 「みりょく? えっちぃってこと?」 「どちらかというとかわいいってこと」 僕一人で楽しんでる場合じゃない。ののかちゃんのむずむずを解消するため、気を取り直す。 「それじゃ、いい?」 「……うん……いいよ、せんせー……」 すでに一度しっかりと解したとはいえ、まだまだ体は不安でいっぱいだろう。 なんとなくののかちゃんの少ししおらしい返事に、そんな感情が流れ込んでくる。 でも、どんなことでも最初は不安なものだ。 そう思い、気後れしそうな心を奮い立たせる。 先っぽを入口にあてがい、今度は挿入を意図したようになじませ、愛撫していく。 「ふぁ、あ、ぁ、ぅん! はぅんっ…… ン、あぅ……」 期待なのか快感なのか、気づけばののかちゃんの息が弾んでいる。 もちろん、それは僕も同じだ。 「……怖い?」 「……はぁ、はぁ、うん、だいじょーぶ」 改めてののかちゃんの意思を確認し、ゆっくりと力を込めていく。 「んっ……あ、ぅ……」 「……くぅ」 指でするときはすんなりと受け入れてくれたけど、やはり初めてのモノとなると全然入っていかない。 愛液で的がずれないようしっかりと狙いを定めつつ、押し進めていく。 「……ふっ、ぅぅ、ん……はぁ、はぁ」 亀頭は愛液と先走りで十分にヌルヌルしているが、先っぽがほんの少しめり込んだだけだ。 もしかするとまだ入ってすらいないのかもしれない。 「だ……大丈夫?」 「……んっ……ぅん」 緊張しているののかちゃんの様子があてがっているペニスから伝わってくる。 ののかちゃんが望んでいるとはいえ、無理に侵入して痛がらせてしまってはかわいそうだ。 ゆっくり、少しずつ力を込めていく。 「……あっ、は……う……くぅ……! は、入って……る?」 痛みが出ないように、少し進んでは入口まで戻りを繰り返す。 「んぅ……はぁ、あ、うぅ…… ふぅ、く、あ……!」 「ふぁっ……んっ、は……はふ…… ぅぅぅ……はぁ、はぁ」 ののかちゃんの反応を見つつ、慎重に―― 「せ、せんせぇ……あ、ぅん…… はぁ、はぁ……まだぁ?」 少し弱音を吐き始めたところで行き詰った感触。 恐らくここが鬼門だろう。 「これから……!」 「……うっ、くぅ…ん……」 やはりゆっくりとした力ではその先へ進むことができず、何度もその場所で往復を繰り返してしまう。 「は、く……うぅ……」 そんな冷静な思考をよそに、ののかちゃんから断続的な刺激が与えられ続け、つい、情けなくうめいてしまう。 「はぁ、はぁ…… むずむずがおっきくなってきてる……」 入口付近をペニスでグリグリされる感覚にさらにののかちゃんは昂ぶって切なそうな声で訴えてくる。 きっとののかちゃんのむずむずは、好奇心と性欲の固まりなのだろう。 ここを越えて、ちゃんと最後までしないと解消しないのかもしれない。 「の、ののかちゃん、 もう少し力を入れるよ……?」 というよりもここでもたもたしていると、僕が果ててしまいそうだった。 お尻をガッチリ掴み、ぐっとペニスを押し込む。 「ん……んぐ……!」 苦しそうなののかちゃんの声が胸を締め付ける。 あと少し……。 「ののかちゃん……ごめんね」 「んっ、く……だ、だい……じょ……ぶぅ」 ののかちゃんのお尻を僕の方に引き寄せ、更に力を入れて腰を押し出す。その瞬間―― 「――――っ!?」 ペニスの先で、何かがぷつんと弾け、先ほどとは異なる感触が亀頭を包み込む。 先っぽを撫でまわすようにうごめき、みっちりと張り付いてくる。――これがののかちゃんの中。 ギュッと全体を締め付けられ、ペニス越しに感じる“初めて”の感覚。 見るとののかちゃんは息を詰めて、肩をビクビクとさせている。 「あ……くっ……はっ、はぅ……」 「い、痛い?」 「ちょっと苦しいけど、そんなにいたくない…… つづけてぇ……」 いつものゆっくりとしたののかちゃんらしい口調が、いまは切羽詰まり、弱々しく、辛そうだった。 それでも気を遣ってくれて健気に答えてくれるののかちゃん。 そんな我慢してまで、まだ続けたいっていう意志を尊重してあげたい。 「わかった、またゆっくり動くね?」 少し腰を後退させ、角度を調節する。そして、再びゆっくりと奥まで侵入させる。 「ん……あ、あついのが……は、入って……くる…… ぁ……ん、んん……」 小さな穴を隙間なく僕のペニスが埋めていく。 正直、侵入を阻もうとしている中に進んでいる以上、痛みにも似た感覚が僕の股間にも感じる。 でも、教え子の処女を破り、さらにペニスを挿入しているという事実が僕を激しく昂ぶらせる。 背徳感が快感に変わり、僕の頭を甘く痺れさせる。 「く、はぁ……」 何度目かの出し入れに先っぽに壁を感じ、最深部まで届いたことを確認する。 「はぁ、はぁ……せんせー……ちゃんと入った?」 さすがに根本まで、とはいかなかった。 ただ、それでもののかちゃんの中は十分な快感を僕に与えてくれる。 「ああ、入ったよ、よく我慢したね」 「え、えへへぇ……」 振り返るようにこちらを見て笑ったののかちゃんの目には、涙が溜まっている。 やっぱり我慢してくれていたみたいだ。 「う、くぅ……こ、これからうさちゃんみたいに、 こ、腰をうごかすんだよね……?」 まだちゃんと説明してなかった。 「今日、ののかちゃんがしてくれたこと覚えてる?」 痛みが治まるまで少し休んだ方がいいし、一旦先生に戻って、ののかちゃんに説明することにした。 「はぁ、はぁ……え、えと、 ぴゅっぴゅって出たせーえき……?」 「そう、腰を動かしてののかちゃんの中で おちんちんを擦って、精液を出して交尾は 終わるんだ」 「あ、のむものじゃなかったんだ……」 ここにも誤解が潜んでいたようだ。 「はは、そうだね。 あれはこの中に出すものなんだよ」 苦笑いを浮かべながら、ののかちゃんの認識を修正する。 「せんせぇ、それまでやってくれるの?」 ののかちゃんは、好奇心旺盛な目で訴えてきた。 「え、っと……中に?」 「……うん」 「それは……」 ののかちゃんを、孕ませるわけにはいかない。 無理だと言おうとして、はたと気がついた。 「おかしな質問かもしれないけど、 ここから血が出たことある?」 「チ? なぁにそれ」 ののかちゃんの返答にある1つの事実が判明する。 ――決して孕むことのない身体。 そう自分の中で呟くと、得も言われぬ感情が昂ぶってくる。 そして今、自分の下半身を包んでいる感触に背筋がゾクゾクとしてきた。 「頑張ってみる……?」 「……がんばるっ」 「じゃあ、これからが本番だよ……」 ゆっくりペニスを引き、カリ首付近まで出たところで、再びゆっくりと押し込む。 「くぅ……ん……!」 まだ痛みが消えないのだろうか。辛そうな声を上げた。 考えてみれば、傷口をグリグリされているようなものなのだ。破瓜の瞬間より痛いかもしれない。 「……つ、続けられそう?」 「大丈夫……せんせぇ……はぁ、はぁ…… くるしいけど体の中があったかくて ……うれしぃ……」 苦痛のせいか、額に粒のような汗を浮かべながらそう訴えてきた。 「うぅっ!! ぅぐっ……う、んっ……」 なるべく痛みが出ないように、様子を見ながら慎重に動かす。 「はぁ、あぅ……はぁ、はぁ……」 荒い息づかい。呼吸の度に、ぎゅっぎゅっとペニスを締めつけてくる。 「ん……んぅっ……く、はぁ……ん……!」 頃合いを見て、少しずつ力を加えていく。 「あ、はぅ、うっ……う、ぅぐっ……! はぁっ、はぁ……あぅ……あぅうっ……」 ゆっくりとした出し入れのおかげか、中が解れ、段々とペニスが沈んでいく。 「ぅく、はぁ、はぁっ……お、おくが…… あ、つい……よぉ……」 何度も奥をノックされ甘い声を漏らしていく。痛みが少し和らいできたのか、ののかちゃんの口から言葉が返ってくる。 「(こんなに頑張って……)」 健気なののかちゃんの様子に、僕自身、興奮が隠せず、つい中で反応してしまう。 「はぁ、あっ……ふぁッ……! い、今……ぅく、んうぅっ、 ……おっきく、なった……?」 「……ご、ごめん。 ののかちゃんが可愛くてつい……」 「え、へへぇ……そうなんだぁ、ちょっと、 あ、んぁ……びっくり、しちゃったけど…… はぁ、んっ、うぅん……いたく、ないよ?」 頑張るののかちゃんが愛おしくなって、愛でるように背中を撫でながら腰を動かす。 「はぁ、はぁ、せんせーは気持ちいいんだよね?」 膣の中はもちろんのこと、中に入ってない根本もお尻の肉で刺激されて気持ちいい。 「うん、気持ちいいよ……はぁ、はぁ……」 「よかったぁ……はぁ、はぁ…… ん……く……ん……んぅ……んくぅ……」 ペニス全体でののかちゃんを堪能しながら、絶頂に向けて昂っていく。 「……んっ……あぁん……」 もう少し……というところで、ふと、ののかちゃんが少しだけ、違う声を漏らしていることに気づいた。 「ののかちゃん……?」 「な、なんか……ぞくぞくって…… はぁ、はぁ……ん……こ、これ……何ぃ……」 少しは感じてきたのだろうか。 「ふぁ……はっ、あっ……せんせぇ……? 不思議なの……中が、ふわふわぁって……」 ののかちゃんの旺盛な好奇心のおかげなのか、初めてが辛い思い出だけにならずにすみそうだ。 「……はっ、く……ごめん、そろそろ……!」 もう少し感じていてほしい気持ちとは対照的に僕はもう限界に近い。 「はっ、くっ……ののかちゃんの中に出すよ……?」 「あっ、あうぅう……うん、 いっぱいぴゅっぴゅしてぇ」 まだ、性的な快感より、交尾という行為に関心があるみたいだ。 「いくよっ! ……くうっっ!」 これまでで一番深いところまで押し込み、込み上げてきたものを解放した。 精液が我先にと尿道を駆け上り、ののかちゃんの膣奥に大量に注ぎ込む。 「きゃっ、はぅうっ!! ふぁあっ、あっ、あつっ……!! せ……せんせ、ぇ……んぅっ!!」 驚き、ぎゅっと締めつける動きを感じつつ、僕はののかちゃんの中で果てていた。 「はぅっ、はぅ……また、ぴゅっ、て……! ふぁっ! はぁ……す、すごい……」 ののかちゃんは驚いたような声を上げながら、僕の精液に感じ入っているようだ。 「ご、ごめんののかちゃんっ……! 止まら……!」 これまでののかちゃんに何度かお世話になっていたが、やはり比べ物にならない快感に勢いが止まらない。 「あっ、ぅんっ! ……はぁ、はぁ…… ……ぜんぶ、だしていいよぉ……」 精液を受け止めてもらえるということの幸福感が、僕の体を激しく震わせる。 「はぅ、はぁ……あったかいのが、 中でじわぁって広がってる……」 ののかちゃんは気持ち悪いのか気持ちいいのか、そんな風に感想を言いながら動かずに僕の全てを受け止めてくれた。 「くっ……はぁ、はぁ……」 「ぁ、んん……はぁ、はぁ、おわった……?」 最後の一滴までお腹の中で感じ、うっとりとした様子のののかちゃん。 しばらく二人の呼吸する音だけが、部屋の中に響いていた。 「うさちゃん、こんなふうにしてたんだね…… 大変だね……」 すべて出し終わると、ののかちゃんはそう感想を漏らした。 「(大変か……。  ののかちゃんも大変だったろうに)」 「これで赤ちゃんできるの……?」 汗を拭い、服の乱れを直しながらののかちゃんは独り言のようにぽつりとつぶやいた。 まだ、大きな誤解が残っていた。 今日の勉強の仕上げに、ちゃんと説明しておかなければならない。 「実は……まだののかちゃんの身体は、 準備ができていないみたいなんだ」 「え? そうなの?」 きょとんとまんまるな目を向けるののかちゃんに、もう一言付け加える。 「こういうことをするのは、 何も赤ちゃんを作るためだけじゃないんだ」 「じゃあなんで?」 「え?」 予想はしていたが、改めて聞かれると答えがなかなか出てこない。 「つまり、気持ちよくなるためっていうか…… 恋人同士のコミュニケーション……?」 あまりの自信のなさに、だんだんと声が小さくなってしまう。 「ん〜……そっかぁ、 大好きな人と気持ちよくなるのは嬉しいもんね」 幸い、僕の言葉の中から、わかる範囲で理解してくれたのだろうか。 「う〜ん……ごめんね? もう少ししっかり説明して あげられればいいんだけど……」 教師という立場なのに何ともふがいない。 とはいえこれはかなりデリケートな部分でもあり、今一生懸命考えたところで、答えは出なさそうだった。 「んーん、せんせーありがと♪」 そんな様子が顔に出てしまっていたのだろうか。気を遣うように笑顔を見せてくれるののかちゃん。 なんだかさらに借りができてしまったような、そんな気持ちになってしまう―― 交尾の勉強を終えてののかちゃんの家を出ると、既に日は傾き、空は紅色に染まっていた。 えみちゃんも心配するだろうと、家路を急ぐ。 小走りしながら、ののかちゃんとのエッチのことを思い出す……。 あれから時間が経ったことで、興奮がさめて、後悔に似た感情が湧き上がってきた。 確かに、ののかちゃんのことは好きだけど……。 こんなことを、こんな形で教えてしまってよかったのかな……。 考えてみれば、僕からののかちゃんに好きってちゃんと伝えてなかった気もする……。 結局、ののかちゃんの好奇心に押し切られた感じだ。 「(う〜ん……)」 少なくともののかちゃんを大切に思っているのは間違いない。 何があってもその気持ちは忘れないようにしよう。 そうすれば大きな間違いは犯さないはず。 後悔や不安をかき消すように、僕はそう思い込んだ。 「(どんな顔していればいいんだろうか……)」 そしてののかちゃんは、どんな顔をするのだろうか? 女の子が“経験”をしたということは、精神的にも重大なことだし、何より身体の方も心配だ。 あんな小さな体で受け止めて、きっと僕が思っている以上に大変だったと思う。 「あ、せんせー、おはよぉ」 しかし向こうからやってきて僕に挨拶するののかちゃんは、拍子抜けするほどいつも通りだった。 僕が意識し過ぎなのだろうか。 それなら、こっちもいつも通りでいようと思ってはみたものの……。 普段どんな顔をしていたのか、全く分からない。 当然ではあるが、意識していなかったことを意識的にやろうと思うと難しい。 「どしたの? せんせー」 「な、なんでもないよ。 おはよう、ののかちゃん」 なんとか今できる精一杯の笑顔を作り挨拶を返すと、ののかちゃんは僕の袖を掴んだ。 「せんせー、こっちこっち」 「? どうしたの?」 僕を柱の陰に引っぱりこむと、鞄の中から何か取り出した。 「ほら、これ見てっ」 「……それ」 前に公園で見つけたエロ本だ。 「こ、こんなの学校に持ってきちゃだめだよ?」 声を潜めつつ、できるだけ優しくたしなめる。 「誰にも見せないからだいじょーぶ」 秘密を守る気はあるみたいだけど、色々と危険な気がするなぁ……。 「ねぇ、せんせー、 このお口でぱくんってどうやるの?」 僕の心配も気にせずに漫画でフェラチオしているシーンを見せながら訊いてくる。 「ねぇねぇ、ぱっくんしたらせんせー嬉しい?」 「うっ」 前の僕の忠告を覚えていないのか、ぐいぐいと迫ってくるののかちゃん。 この前の行為でも全然好奇心が満足してないようだ。 「え、えと……ののかちゃんは、こういうこと、 もっと知りたいの?」 たしなめようか、どうしようかと考えながら訊くと、ののかちゃんは、さらに迫ってきた。 「うん、ののもっともっと色々知りたい」 「ののかちゃん……」 勢いに押されつつ、こちらに向けられる真っ直ぐな目を見つめ返す。 知りたいっていう好奇心でキラキラ輝いた目だ。 教え子にこんな目を向けて欲しいから僕は先生になったとはいえ、少し方向性の違いに戸惑う。 「それじゃ、後で二人きりになった時にね」 とりあえずその場しのぎの答えだが、今はこうして様子を見るしかない。 「やったぁ、せんせー、優しくてなんでも 教えてくれるから大好き」 「ははは……」 なんでも教えてくれるから大好き―― その内容がどうあれ、僕はののかちゃんにとっての先生。 そう思った時、僕は簡単な事実に気がついた。 ののかちゃんは“先生”の僕が好きなんだろう。 『うーんと好き』と言ってくれたけど、それは先生としてで、恋人じゃない。 むしろあこがれに近いような感情なのかもしれない。 信頼関係を崩さないためにも、今後、ののかちゃんの要望には応えたいところ。 気持ちだけでも“先生”として教えていくしかない。 休日の午後、子供たちが公園に集まって、サッカーをしている。 ここ数日雨が降っていたせいで、地面は所々濡れていて、足下も滑りやすい。 そういう状況もあってか、僕はえみちゃんに頼まれて、保護者としてここに来ていた。 「みんな、足下気をつけてね!」 「うん、気をつけてまぁす♪」 僕の声に反応して手を振るのは、ののかちゃんだ。 雨続きでくさくさしていたのか、えみちゃんだけじゃなく、ののかちゃんも珍しくサッカーに参加している。 僕はののかちゃんに手を振り返しながらここ数日のことを思い返した。 ののかちゃんは、以前にも増して『もっと教えて』と求めてくるようになっている。 もちろん、エッチなことだ。それは遊びじゃないってことは、ちゃんと理解してはいるみたいだけど……。 ののかちゃんの好奇心に応えたいって気持ちはある。でも、このままでいいのか……。 「ぱーす! ぱーす!」 と、ののかちゃんの元気な声で我に返る。 どうやら、珍しくやる気のようだ。 ゲームや勉強のように頭を使う場合、やる気次第で出てくる結果の差は大きい。 だけど、運動能力はやる気になっても少年マンガのように突然上昇するわけじゃない。 一生懸命ボールを追いかけてはいるものの、えみちゃんほど安心しては見ていられない。 動きもおぼつかない様子で、あれじゃ、いつか誰かとぶつかりそうだ。 心配だなぁ……。 「よぉし」 そんなことを考えていると、心配をよそにののかちゃんにボールが渡った。 パスがよかったのかすでに独走態勢のののかちゃん。二本の空き缶で作ったゴールに向けて、ドリブルしていく。 「のの、ここは通さないよっ!」 そして最後の壁、えみちゃんがゴール前で立ちふさがる。 ふらふらと慣れないドリブルをする様は、まるで一昔前に映画で流行った酔拳のような動きだ。 すごく嫌な予感がする……。 「ふふん、まけないよぉ」 負けじと見よう見まねでフェイントらしき行動をとるののかちゃん。一対一の勝負だ。 「……って、う、うわ……!」 しかしののかちゃんは自分の足元しか見えていないのだろうか。 全く予想のつかない動きにえみちゃんは戸惑っているようだ。 そんなえみちゃんに、ののかちゃんがそのまま突っ込んでいく。 大丈夫か……? 「気をつけ――」 「の、ののっ、ちょっと」 「あ、え? きゃぁっ!」 「きゃっ……って、のの?」 嫌な予感が当たり、声を掛ける寸前で事件は起こった。 いや、これは……事件というより事故だろうか。 「のの? 大丈夫……?」 えみちゃん自身も何が起こったのか分からない様子で唖然とたたずんでいる。 結果から言えば、突っ込んでいったののかちゃんの方が仰向けに倒れていた。 したことのないフェイントで、誤ってボールをふんづけてしまったようだ。 「あうぅぅ……」 かなりの勢いで転んだのか、いまだに脚が上を向いている。 「ちょっと、みんなタイム!」 サッカーを中断させて、慌てて駆け寄る。 「……あれぇ? お空? なんで寝てるの」 頭を打ってしまったのか、今起こったことに気づいてないみたいだ。 「たぶんボールを踏んづけてしまったみたい。 ……大丈夫?」 傍らに屈み込み、尋ねる。 「へへぇ、ぐるぐるするぅ……」 少し恥ずかしそうに笑っているところを見ると大事には至らなかったようだ。 「頭痛くない?」 「うん、だいじょぶだよ」 「本当に大丈夫?」 「うん、へーきへーき」 気を使って嘘をつくとは思わないが、やはり自分の生徒に何かあっては心配だ。 「ほら、ののかちゃん起きれる?」 首の後ろに手を添えて、ゆっくり抱えるように上体を起こしてあげる。 「うん」 「……」 少し不安そうな表情を浮かべ見守っている様子のえみちゃんがそこにいた。 「んしょ」 「ホントに大丈夫? って、 うわぁっ、背中ドロドロになっちゃってる」 「ホントだ」 ぬかるんだ地面に仰向けに倒れたせいで、立ち上がったののかちゃんの背中は泥だらけになっていた。 「およ?」 自分の背中を見ようとして、何度も首を左右に振りはじめた。 尻尾を敵だと思って、その場で回る犬のようで何とも可愛いらしい。 「ほらほら、あんまり頭を揺らしちゃダメだよ?」 「……せんせー、サッカー続けていいー?」 ののかちゃんにケガがないのがわかってか、男の子の一人が焦れたように訊いてきた。 「ああ、そうか、うん、いいよ」 とりあえずののかちゃんは一旦下がらせるかな。 サッカーをしている場所から少し離れて、改めてののかちゃんがケガをしていないか確認する。 よかった。服が汚れただけみたいだな。 「あたしのせいで…… ごめんね、のの」 えみちゃんも心配して、一緒に来ている。 「ホントにへーきだよ」 「それに、私が一人でころんだんだから、 えみちゃんのせいじゃないよ」 「でも……」 「まぁまぁ」 客観的に見ても、えみちゃんは悪くはないだろう。 でも、えみちゃん自身、プレッシャーをかけたことに責任を感じているんだろうか。 そんな二人のやり取りに自宅で見せる弟への思いやりとは別の、親友としての気遣いを感じる。 「ケガもなかったし、 気にしなくていいんじゃないかな?」 「でも、服がドロドロに……」 そう言ってはっとして手を叩いた。 「あ、そうだ、ウチに寄って着替えてこない?」 「えみちゃんの家に?」 「ここからだとウチの方が近いでしょ? 早く洗わないと落ちないかもだし……」 「それで、汚れた服は お母さんに洗ってもらえばいいし」 「…………」 えみちゃんの話を聞いて、ののかちゃんは何故か僕の方を見た。 「…………」 えみちゃんもののかちゃんを説得してくれと僕を見つめてくる。 えみちゃんの判断は正しいだろう。ここは背中を押してあげた方がいいかな。 「ののかちゃん、そうしてもらいなよ」 「うん、そうする〜」 こうして三人で一旦家に帰ることになった。 「だだいまー」 郵便受けの確認でもしていたのか、丁度、外に出ている敦子さんと出会った。 「おかえりなさい、ののちゃんも……あら?」 「こんにちわ〜」 「泥だらけじゃない、ほら、こっちにおいで」 敦子さんは、ののかちゃんを見ると、家の中に引っぱって行ってしまった。 どうやら敦子さんは、ののかちゃんをお風呂に連れていったみたいだ。 「えみも、一緒に入っちゃいなさい」 居間で待っていると、敦子さんのえみちゃんを呼ぶ声が聞こえてきた。 「どうしよう……」 えみちゃんは公園に戻るつもりみたいだけど、戻っても、時間的にそんなに遊べないだろう。 「今日はもう、サッカーはお終いにしたら?」 「んー……そうだね。 じゃあ、あたしもおふろ入ってくる」 「いってらっしゃい」 えみちゃんもお風呂場に行ってしばらくして、敦子さんが、居間の前を通った。 「まあ、仕方ないわよね……」 「どうしました?」 「ふふ、なんでもないわ」 なぜか苦笑いを浮かべている敦子さん。この笑顔に若干の不安を感じるのは僕の思い違いだといいが。 ともあれ、そろそろ夕飯の準備の時間だし、色々と忙しそうだな。 「僕も何か手伝いましょうか?」 「大丈夫よ、服が乾くまで 二人の相手してあげて」 「そうですね、わかりました」 もともとそのつもりだったので頷くと、敦子さんはそそくさと、台所に行ってしまった。 しばらく待っていると、その二人が戻ってきた。 「…………」 「パジャマ?」 「雨続きで、着替えがないんだって」 「ああ、そうか」 ん? ってことは、ののかちゃんは……。 「せんせー」 ……そうきたか。 どうやら、えみちゃんの体操服を借りたらしい。 さきほど敦子さんが『仕方ないわね』と苦笑いしていたのはこれか―― 「今日はもう公園行かないんだよね?」 「うん、パジャマ着ちゃったしね。 服が乾くまでここで遊んでよ」 「それならテレビ見ていい?」 「あはははは!」 「…………」 ののかちゃんは、テレビで今流行の一発芸を見て、大笑いしている。 だけど、えみちゃんはつまらなさそう。 ――いや、もしかして眠いのかな? 「……すぅ……すぅ……」 しばらくすると完全に眠り、船をこぎはじめた。 サッカー張り切ってたからな。疲れたのかもしれない。 それに、いつもパジャマに着替えると、すぐに寝るから、習慣で眠気のスイッチが入ったのかもしれないな。 まだ、夕飯まで少しあるから、部屋で寝かしておくかな……。 「ののかちゃん、 えみちゃんをベッドに連れて行ってくるね」 「……うん……」 完全に上の空ってわかる返事だ。ののかちゃんはテレビに夢中みたいだな。 まあいいか、今のうちにさっと行って戻ってこよう。 僕はえみちゃんをだっこすると、居間を出た。 「せんせー」 部屋に戻ると、待ち兼ねたように、飛びついてきた。 さっきまでやっていたお笑い番組が終わっている。 残されたことに気づいて、一人居間にいるのが、居たたまれなかったのかもしれない。 「服が乾くまで何してようか?」 なんとなく、家主の家族がいない居間では、くつろぎづらい気もするし、かといって、体操着で外に連れ出すわけにも……。 「んー、せんせーのおへや見たい」 少しだけ考える素振りを見せて屈託のない笑顔を向けてくる。 「ん……何もないけど。いい?」 「うん」 ののかちゃんを、僕の部屋に連れて行くことにした。 「ほんとせんせーのおへやって、 何もないんだねぇ……」 自分の部屋と比べているのかしばらく、部屋を見回し観察している。 「そうだね。いつも学校でお仕事して、 ご飯も敦子さ……。 えみちゃんのお母さんが作ってくれるからね」 「……そっかぁ」 興味があるのかないのか上の空で返事をする。 ――と、しばらくして。 「……せんせー?」 甘えた様子で見上げてくるののかちゃん。 この上目使いはわざとじゃなく、天然なのがまた……。 僕の心を惑わせる。 「はは、いきなりどうしたの?」 最近、二人きりになると、いつもこうだ。 予想はしていたから驚きはしないが戸惑いはする。 「ふぇ、らちお……? っていうのおしえて?」 「それ、学校で教えてあげたよね?」 「じっせん、じっせん」 エロマンガを見せて、ぱっくんを教えてと言ってきた後、フェラチオについて教えた。 もちろん“言葉”で。 ののかちゃんはいつか実際にしようと機会を窺っていたのかもしれない。 「ねぇ、いいでしょ?」 どうしたものかな……。 ののかちゃんのあの可愛らしい口に咥えてもらう……。 それを想像すると、なんでもなかった体操着姿が、急にエッチなものに見えてくる。 「せんせーも、してほしいよね? ね?」 相変わらずこういう時はぐいぐいくる。 ののかちゃんの好奇心と貪欲さはものすごい。 僕が断って、万が一、僕以外の誰かに『教えて』と言うようになったら……。 「(それはまずい……)」 「わ、わかった、わかった……静かにね?」 「うんっ」 また流されてしまった……。 しかたない。あくまで先生として、最低限の節度を持って好奇心を満足させてあげよう。 「じゃあ、こっちに来てごらん?」 僕は、ののかちゃんを招き寄せると、ズボンを脱いで目の前に、ペニスを晒した。 「……? まだ小さいよ?」 もう何度か見たものにもかかわらず、未だに興味津々といった様子だ。 そんなののかちゃんの好奇心に溢れた視線に触れて、無意識に反応していく。 「お、ぁぁぁ……!」 僕のペニスの変化に感嘆の声をあげながら、じっと見つめている。 「やっぱり、おっきい方がカッコいいね……! のの、これすき」 エッチの時の、ののかちゃんのこの無邪気な感じがたまらなく可愛い。 「……こ、この状態を、 勃起っていうのは教えたよね?」 ののかちゃんに対して気持ちが入りすぎないように、先生ぶって説明する。 「うん、ぼっきぼっき♪」 恥ずかしい単語を連呼するノリノリなののかちゃん。 ののかちゃんの興味が薄れないよう、いつも口にしているお菓子や食べ物に例えながら、行程を教えていく―― 「――それじゃあ、教えた通りにやってごらん?」 「うん、やってみる」 竿の根本に目一杯出した舌をつけて、頭ごと動かして舐め上げるようにする。 「れろぉ……」 「うっ、くっ……」 一舐めされて、ぞぞぞと、寒気に似た快感が背筋を走り抜ける。 「れろ……れろぉ……れるぅ……れろれろ…… ちゅ……ちゅ……れるれる……ちゅむ……」 繰り返し舐めるだけじゃなく時折キスをして僕を昂ぶらせていく。 「い、いいよ、ののかちゃん」 先ほどまでしてもらうことを想像しながら教えていたため、少し焦らされ敏感になった僕のペニス。 想像以上に気持ちよくて、膝が震え、内腿までも甘く痺れてくる。 「れる……れる……あ、先っぽお汁が出てる。 気持ちいいと出るんだよね?」 「そのお汁の名前、覚えてる?」 「かうぱーせんえきだよね?」 興味あることにはさすがの記憶力だった。 「ガマン汁とか先走り液とか、 そんな風に言うこともあるんだよ?」 「がまんじる? あははっ、なにそれ〜」 語感が気に入ったのかころころ笑う。 この状況で笑われると、なんとも言えないこそばゆさを感じる。 「まあ、出ないように我慢していると いっぱい出てくるからかな」 「がまんしてるの? だしていいよ?」 「いや、別に我慢してないよ。 普通に気持ちよくても出ちゃうものだから」 「ふ〜ん、じゃあつづきするね?」 再び行為に戻ると今度は丁寧にその粘液を舐め取るように舌を使う。 「れるれる……ん、ちょっとしょっぱい……?」 「基本的に無味らしいけど…… 汗が混じってるのかな?」 さすがに自分では舐めたことがないのでこのあたりは何とも言えない。 「んぁ、れろ……じゃあ、汗っかきさんだね」 「はは、そうかもね」 汗と聞いても嫌がらず、むしろ溢れ出る先走りを嬉々として舐めている。 「れるれる……れるれる……れる……ちゅむぅ……」 「うっ……く、 さ、先っぽだけじゃなくて、 根本の方も舐めてみて」 「こう? んぁ……れろぅ……ちゅ、んん……」 大きく口を開け、短い舌を目いっぱい伸ばして裏筋をちろちろと舐めまわしていく。 「裏側の少し張り出てる辺りを舌でつつつって 舐めるのもいいんだよ」 「わかったぁ、あぅ、ん〜……れる……」 ずっと主導権を握っていると、教え子にさせているという背徳感が強まって、余計興奮してくる。 「んっ……せんせー、ベロつかれちゃったぁ、 もうぱくってしていい?」 あくびのような仕草をしながら、次の指示を求めるののかちゃん。 フェラチオ行為というより、咥えることに興味があったみたいで、ずっとそれをしてみたかったのかもしれない。 「いいよ、咥えてみようか」 「えへへ、いただきまぁす……」 食事の時の挨拶をするののかちゃん。なんだか本当に食べられる気がして、一瞬背筋が凍る。 「ちょ、ちょっと待って!」 咥えようと口を開いたまま、小首をかしげている。 「噛みついちゃダメだよ? しゃぶるだけだからね」 「えー、ちょっとだけはぐはぐしちゃダメ? 先っぽのぷにぷにしたとこ……」 『はぐはぐ』は、完全に歯を立てる擬音だ。 「だ、だめだめ、ここは敏感なところだから、優しくね」 「はぁい、じゃあはむはむする」 『はむはむ』がどういうことかわからなかったけど、ののかちゃんはそう言うと、ペニスを咥え込んだ。 「はぅ……ん……」 嫌悪感はないのか、躊躇いなく咥えた。ののかちゃんは、小さな口の中に、僕の勃起したペニスを迎え入れてくれた。 「くっ……」 可愛らしい面差し……その小さな口に僕のペニスが頬張られている。 先っぽを咥えたその光景は、ある意味、セックスより背徳的かもしれない。 「くぅ……」 「ん……んぅ……」 見ているだけで思わず射精しそうになって、咄嗟に尻の穴を締めて堪えた。 射精欲がひとまず収まり一息つく。 ののかちゃんは頭を動かさず、舌の上で転がすように口をもごもごしていた。 これが『はむはむ』なのだろうか。 「(お、思ったよりも……)」 「はむ……はぅ……ん……はむ……」 カリ首を確かめるように舌を這わせ、形が気に入ったのか、裏筋の継ぎ目あたりをちろちろと小刻みに動かす。 口内は熱くて蕩けそうで、これだけでもたまらなく気持ちいい。 このまま頭を動かされたらひとたまりもないかもしれない。 予想できない動きにドキドキしながら、ののかちゃんの次の動作を期待していたが……。 「…………」 突然舌の動きが鈍くなり、どうするの? って感じの視線で見上げてきた。 咥えてどうするか、細かくは教えてなかったし、ののかちゃんが参考書にしているマンガではそんなところまで分からないだろう。 ここは改めて指示してあげた方がいいかもしれない。 「ええと、口の中で……そうだな、 アメを舐めるみたいに、舌を使ってくれるかな?」 「ふぁかっら」 「ぅくっ……!」 咥えたまま喋ったことで、不規則な舌の動きに加え、小さな歯が絶妙な刺激を与えてくる。 「しゃ、しゃべらなくていいから……」 急な刺激に腰が引けてしまう。 「……んぅ」 今度は鼻息を漏らしながらこくりと頷いて、舌を動かしはじめた。 「ほら、そのエラみたいなところまで…… そうそう……」 今度は僕の指示を受けて、舌を忙しなく動かす。 先ほどとは違い、愛撫としての舌使いでカリ裏まで舐められてたまらない。 「れる……ちゅ、れるれる……ん…… ちゅ、ちゅ……れろれろ…… れるっぷ、れるっぷ……んちゅ……」 「い、いい感じだよ……」 「れろ……ん、んちゅ……ちゅく……ちゅく…… れろ……れろ……んふぅ……れる……れる……」 僕の興奮が伝わったのか、咥えながら、表情がぽーっとしてきて、こそばゆそうに内股をモジモジとさせている。 「んぁ……ちゅぷ、れろ……ん、んはぁ はふぅ……あっ、あっ……はふ、ん……ん、はぅ」 「ぁ、ん……んう、はふ…… れる、ちゅ……んん、ぁん」 次第に舌を動かしているときにでる声とは別に、うっとりとした声を漏らしているののかちゃん。 その声に反応して、視線を落とすと自分の股間を弄りはじめていた。 「ふぁ……あふ……ん、れろ、れろ……ちゅっ…… ちゅく、ちゅく……んふぅ……あ、はぁ……」 決して慣れた手つきではないが、自分なりに気持ちいいポイントを探しながらうっとりと舌を這わせている。 「う、うぐっ」 その光景があまりにもいやらしく、口内で先走りが漏れる。 それも気にせず卑猥な水音を立てながら、ののかちゃんは僕のアソコをしゃぶり続けている。 「んっ……ちゅく、ちゅく、あふん……んぅ…… ふぁ……れるれる……ちゅっ……んふぅ……」 このままでも十分気持ちいいが、そろそろ、次の段階に……。 「そのまま先っぽを咥えたり出したりしてみて……」 ののかちゃんに指示すると、もう返事もなく、うっとりとしたまま頭を動かしはじめた。 「ぐぷ、ぐぷ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅぱ、ちゅっ れろれろ……ちゅく……ぐぷっ……ぐぷ、ぐぷっ」 亀頭を咥えたり出したりしながら、ののかちゃんもより昂ぶっている感じだ。 「そう、そのまま、もっと……」 「んっ、んっ、んぶっ、ちゅ……んふっ……ちゅ ちゅ、ちゅ……んっ、んっ、んっ、んっ、んっ」 段々と首振りが巧みに、リズミカルになっていく。 「んちゅ……ちゅ、ちゅ……ふぁ……んっ、んっ、 んっ……んっ、んっ、んっ、ふぁ……んん……」 小さな口内は僕の亀頭でいっぱいになり、全体をまんべんなく刺激する。 「いいよ、も、もうすぐ射精するから……」 その声を聞いて、ののかちゃんの様子が変わった。 「ぢゅっ! ぢゅっ! ぢゅっ! じゅぷっ! じゅぷっ! じゅぷっ! ぢゅる、ぢゅるっ!」 「そ、それは……くぅっ…!」 プールの時と同じように吸いついてきた。しかも、今度は頭を動かしながら……。 この前、注意していなかったため、誤解したままなのかもしれない。 「ちゅるるっ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ! ちゅゅっ! ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ! ぢゅゅるるぅぅ……」 無意識だろうけど、吸いつきも強弱をつけてきて末恐ろしいテクニックを披露し僕を弄ぶ。 「こ、このままじゃ、口の中に出しちゃうから 離していいよ」 前回は暴発気味に口内に出してしまったが、何度も苦しい思いをさせるのも悪いと思い、離れるよう促す。 しかし必死に射精を我慢しながら最後の警告をするも、ののかちゃんは股間を弄りながら、夢中で吸いついている。 「ちゅゅゅっ、ちゅゅるるっ! ぢゅるぢゅるっ、ぢゅるぢゅるぢゅるっ!」 一段と強い吸いつきに、今にも限界を超えそうだ。 「く、はぁ……い、いいの? 本当に、口の中に出しちゃうよ?」 「んふぅ……んっ、んっ」 ペニスを咥えたまま興奮した顔でコクコク頷く。 そのイレギュラーな動きが、新たな快感を生み、それがトドメとなった。 「の、ののかちゃん……うぅっ!」 『精液を出すよ、飲んでごらん?』とか、大人ぶる余裕はなかった。 ののかちゃんが愛おしくて仕方ない。ここまでしてくれたののかちゃんの頭をなでながら、込み上げてきたものを解放した。 「んぷっ! ん、んんん〜〜〜〜っ!」 咥えられたまま脈打つペニス。大量の精液が、ののかちゃんの口内に噴き出されていく。 「ん、んふぅ……ん……んぅ……」 口内射精されたののかちゃんは、ブルブルと体を震わせている。 やはり苦しかったのかとも思ったが、少し違うようだ。 そのうっとりとした顔を見た感じだと、僕の射精にシンクロしてイッているのかもしれない。 「うぅ、はぁ……く……!」 「ん……ん、んぅ……んん……ふぅ……」 精液を出しきり、口からペニスを引き抜くと、ののかちゃんは目をうっとりとさせた。 「はぁ、はぁ…… ののかちゃんも気持ちよくなっちゃった?」 「せんせーが、気持ちよくなってるって思ったら ののもぽーっとして……あっ」 甘い吐息を漏らした後、何故かはっとして、ペニスに舌を伸ばしてきた。 「あむ……ちゅ、ちゅ」 精液と唾液で汚れたペニスを舐めはじめた。 「ちょ、ちょっと何してるの?」 射精した直後ということもあり、敏感な亀頭の刺激に思わずびくんと反応してしまう。 「漫画でぴゅってした後、おそうじって言って ぺろぺろしてたよ?」 「い、そんなことしなくてもいいよ」 「でも、おそうじは大事だって学校で……」 う、うーん……。ここは先生として、ノーとは言えない。 「じゃあ、してごらん……、 でも、ゆっくりだよ?」 「ふぁい……ん、れるれる……ちゅ、ぷ……」 漏れそうな声を必死に抑え、丹念なお掃除フェラを必死で耐える。 「ん、ちゅ……れろ、れろ…… ぁむ、んん……れるれる……」 まだあふれ出てくる精液をすくいとるため、先っぽを重点的に責められ、再び下半身に血が集まってくる。 「……ぷは、まだおっきいままだよ?」 ののかちゃんの丁寧な舌使いに、僕のペニスは完全に元の硬さを取り戻していた。 「せんせー、したい?」 包み隠さない無邪気な問いに思わずペニスがビクンと震える。 「ののがあいては、いや?」 うっとりとした瞳で、そう問いかけてくる。 ののかちゃんはエッチなことに貪欲だけどこういった行為をしたということは周りに対してちゃんと黙ってくれている。 だからセックスしてしまってもかまわないんじゃないか……。 そんな誘惑にも駆られる。 「…………」 僕もののかちゃんとセックスがしたくないわけじゃない。体は完全に期待している。 だけど、これ以上、先に進んだら先生でいられる自信がない。 実際、フェラチオされて、最後の時なんてののかちゃんが愛おしいという気持ちが溢れて、先生なんて忘れていた。 でも、僕がののかちゃんを好きになったとしてもののかちゃんの好きは、あくまでも先生として……だと思う。 仮に先生という肩書を抜きにしたものだとしても、一番大きな問題として、いつまでこの学校にいられるかわからない。 もっと大きな場所で先生をやりたいという夢がある以上、この問題は避けては通れないだろう。 だから、これ以上深い関係になっちゃだめだよな……。 「せんせー、どうしたの?」 ののかちゃんが心配そうに話しかけてきた。 「ええと、ほら、もうお洋服、 乾いたんじゃないかな?」 「そうかな?」 「そうだよ、だから続きはまた今度、ね?」 「んー……そうだね、わかった」 素直なののかちゃんは可愛い。 でも、今後もあくまで先生としてののかちゃんの期待には応えてあげるべきだ。 エッチなことを教えるにしても、ののかちゃんの好奇心を満足させるためであって本番行為はできれば避けていきたい。 僕はののかちゃんを見ながら改めてそう思った―― 「せんせー、せんせー」 授業が終わり、廊下に出るとののかちゃんが声をかけてきた。 振り向くとトテトテと小走りで駆け寄ってくる。 このパターンだと、エッチなことを訊いてくるに違いない。 先生として教えるだけ……どんなエッチなことを訊かれても冷静に受け答えするんだ。 「ののかちゃん、何かな?」 「せんせー、なんで私の顔見てたの?」 「え?」 予想外の問いかけに小さく驚いてしまった。 以前もよくののかちゃんを見ていたけど、この前セックスをしてから、暇があると見てしまう。 ののかちゃんにはバレていたみたいだ。 「せんせー、耳かしてー」 ひそひそ話かな? 動揺を隠し腰を曲げると、ののかちゃんは僕の耳に口元を寄せてきた。 「全部、ちゃんと黙ってるから、だいじょぶだよ」 声を潜めてそう言ってくれた。 でも、誰かに話すんじゃないかって疑ってたわけでも、警戒してたわけでもない。 ののかちゃんを見てしまっていたのは単純なことだ。 はじめて女の子に恋をした時のような……。 ついつい、好きな女の子を目で追ってしまうようなそんな感じだ……。 「見られるの嫌?」 「あんまりせんせーに見られると なんだかドキドキする……」 口元を手で隠しながら、上目使いで言ってきた。 その可愛らしさに、好きだって気持ちを伝えて、ぎゅっと抱き締めたくなる。 「(……だめだ、だめだ)」 僕は教師……ののかちゃんの先生。 話を逸らさないと……。 「それじゃ、居眠りしないね」 「居眠り?」 「また居眠りするんじゃないかって 心配で見てたんだよ」 「だいじょぶだよ。 せんせーの授業面白いもん」 その言葉は、すごく嬉しかった。 やっぱり、ののかちゃんの先生でいたい。 僕を慕ってくれる教え子としてのののかちゃんを大切にしよう……。 「そうだ、ののかちゃんは、将来の夢とかある?」 エッチなことを教えるより、先生としてののかちゃんの夢をかなえる手伝いをするべきだな。 「んー……ないな〜」 ないのか……。 だったら、僕がすべきことは、ののかちゃんにエッチなことを忘れるくらいの夢を持たせてあげることだろうか。 大きな課題に少し不安を感じつつ見つめるののかちゃんの表情は、今日もおひさまのような笑顔だった。 「(そう思っていたんだけど……)」 ののかちゃんのエッチに対する好奇心は消えず、夢を持たせるどころじゃなかった……。 「せんせー、ちゅっ」 放課後、2人きりになりたかったのか、他の生徒が帰るまで教室でまっていたののかちゃん。 突然抱きつくように元気にキスをしてくる。 一見、大好きなお父さんにキスをするような健気な感じだけど……。 「せんせー、前のちゅーして?」 求められているのは、明らかにお父さんにするキスじゃなかった。 「な、何を言ってるのかな?」 「知りたいんだもん」 「何を?」 「のののどきどきはちゅーのせいなのか、 せんせーと2人だからか……」 「…………」 ののかちゃんの突飛な好奇心に僕は言葉を失った。 「いいでしょせんせー、んー」 迫ってくるののかちゃんを突き放せず、流されるままに唇を交わす。 「ん、ちゅ、れるれる……」 僕の口の中のツバを掬うように舌を使ってくる。 「れるれるぅ、れるぅ……ちゅ……ちゅゅっ、 ぢゅぷ……ちゅ、れろれろ……れるぅ……」 「……ん……んぅ……」 ののかちゃんは大胆で、完全に僕は受け身だ。 「ん……ごくん……ちゅむ……ごく……」 キスをしてあふれ出てくる唾液を、吸い取っては飲み込んでいるみたいだ。 「もっと……ちゅ……むちゅ……ちゅむぅっ」 よほど大人のちゅーがお気に召したのか、以前よりも大胆になってくるののかちゃん。 僕の唾液を甘い蜜のようにほしがってくる。 「ちゅむ……ちゅぱ……こく…… んー、ちゅむぅ……ん、ん……」 激しい吸い付きにだんだんと口の中がカラになっていく。 「ちゅゅっ、ちゅゅゅっ、こく……んっ、 れるれるれる、ちゅるちゅる……ん、ん」 「(な、なんか息苦しくなってきた……)」 「れるれちゅ……こくん……ぷはぁっ!」 「ふぅ……これがせんせーの味なんだねぇ」 僕の口内を味わい尽くしたようで、やっと唇を離した。 「はぁ、はぁ……満足した?」 酸素を取り込みながら、問いかける。 「んー……なんかもっと どきどきしてきちゃった……」 あんなキスされて、僕もドキドキしてるけど……。 「せんせぇ、まただめ……?」 内股をモジモジしながら、訴えてくる姿は可愛い。 もちろん、『だめ』というのはセックスのことだろう。 「だーめ」 ののかちゃんの機嫌を損なわないように軽くあしらう。セックスだけはしない。あれ以来僕は自分の中でそう決めた。 「せんせー、いいでしょ? ね? ね?」 以前の調子でぐいぐいと責めてくるののかちゃん。 僕はこれに弱い。 「だから……今度ね?」 結局、ののかちゃんのお願いを完全には断れず、延期してもらうことでなんとか納得してもらった。 ののかちゃんの好奇心は、まだまだ収まらない。 お昼休みに廊下でののかちゃんと出会い、トイレへと引っ張り込まれてしまう。 「こんどは味のちょーさをしてるの」 ののかちゃんの“調査”はまだ続いているようだ。 こんなことをするのに、罪悪感はあるけど、ののかちゃんが求めてくるのを断ることの方が罪が重いように思えて、断れない。 「いたかったら言ってくださぁい」 どこかの歯医者さんで聞いたセリフを言いながら、喜々とした様子で舌を伸ばしてくるののかちゃん。 「う、うん……」 「れるれる……んー……れるぅ……」 カリ首や裏筋、色々な場所を舐め上げては、目を瞑って味わっている。 「れるれる……ん……うん…… ここは、あんまりしないかな……」 「付け根はしょっぱいかも……」 部位によって味が違うのだろうか。そんなこと当の本人の僕も知らなかった。 「もっと下はどうかな? れるれる――」 こうして僕はののかちゃんの調査対象として、弄ばれていた。 あらかた全体を舐め終わり、満足そうなののかちゃん。 「いろんな味があって、なんかおもしろーい」 「あ、うん……満足したかな?」 一通り舐め終わったようなので、尋ねるとののかちゃんはコクリと頷いた。 「うん、まんぞくしたぁ」 「それじゃ、終わりにしようか」 絶頂もせず終わるのは少し惜しい気もしたが、ここは学校のトイレ。 あまり人が来る場所じゃないけど、危険がまったくないわけじゃない。早く終わりにした方がいい。 「まだ、お汁を出してないよ?」 「……へ?」 「せーえきは? くるしくない?」 「で、でも前にいっぱいごっくんしたよね?」 「この前はおべんきょーだったから……」 ののかちゃんの好奇心は止まらない。 もはやエッチなことをしているというよりなんかの実験をされているようだ。 「で、でもさ……」 「せーえきは体にいいんだからいいよね?」 そういえば、そういうことになってる事を思い出す。 「いいというか、体に悪くはないけど…… 無理して飲むようなものじゃないんだよ?」 説得を試みると、ののかちゃんは切なそうな顔をした。 「せんせー、ののはいやじゃないよ?」 「うっ」 上目遣いで訴えてくるののかちゃんはなんとも可愛くここまでされて射精したいのは事実だ。 「わかった、それじゃ、射精させてごらん」 結局、自分への甘えもあり、ののかちゃんのお願いを断ることができなかった。 しかしなんとか取り繕って、ののかちゃんに教えているというスタンスを取る。 「やったぁ」 喜んで再びペニスに舌を伸ばしてくる。 「ん、れる……れる、れるぅ……」 ペニスに少しも嫌悪感がないみたいで、なんだか少し楽しそうにも見える。 「れる……れろれろ……れろん……ん……」 裏筋を舐め上げたかと思ったら、また亀頭に戻ってペロペロなめる。まさにアイスキャンディーを舐める仕草そのものだ。 「ちゅ……せんせー……いっぱい出してね…… れる、れる……れちょ、れるれる……」 あっという間に、ペニスが唾液まみれになっていく。 「……くっ」 先ほどの味見で十分に昂ぶっていたので、もうすぐにでも射精できそうだ。 「ののかちゃん、精液出るよ、用意して」 「うん」 先っぽに口を添え、受け入れの態勢を取ると同時に、僕の頭が真っ白になる。 「……んんっ! んぁ……ん、んぷ……」 精液を出そうと跳ね上がるペニスが、口元から外れないように両手で抱えて受け止めるののかちゃん。 僕も何とかコントロールしようとするも、歯止めがきかず、どくどくと溢れさせてしまう。 「んー、ん……ぁん、む……」 ののかちゃんは、口に飛び込んだ精液を早速味わっている。 ののかちゃんには何度も飲んでもらっていたけど、改めて“味”と言われると気恥ずかしい。 なんというか、評価がちょっと気になる。決しておいしいものではないのはわかるが、まずいと言われるのも少しショックだ。 「……ど、どんな感じ?」 「ぅん? ん〜…へんなあじ…… ホシ2つぅ〜」 味の評価はまぁ想像どおりだったが、結果的に満足してくれたようだ。 「ええと、これで味わうのは終わりだね?」 「うん、ありがと、せんせー」 よかった、今度こそ本当に満足してくれたみたいだ。 これからは夢探しのために、色々と体験させてあげようかな。 もちろん、勉強ももっと教えて……。 そう思ったんだけど……。 僕の味に対する興味を満足させただけで、エッチなことに対する好奇心はまだまだ収まらず貪欲に求めてくる……。 結局、先生らしいことはできず、エッチなことを繰り返し……。 そして、夏休みになった―― 居候の身として文句を言える立場ではないが、僕の部屋はもちろん。橋本家にはエアコンというものがない。 扇風機と風鈴の音で涼を取る、古き良き、昭和の生活がそこにあった。 前の学校では生徒の数も多かったので、夏休みとはいえ、学校へ向かい、クーラーの効いた職員室で仕事をしていた。 しかし、今年は全く反対の夏休みだった。自室でノートパソコンを開き少し仕事をして、えみちゃんやゆうきくんの相手をする。 そんな毎日を繰り返していた―― そしてあっという間に今日は登校日。 生徒たちを送り出した後、職員室に戻ってきたけど特に用事がない。 「自分が残ってるんで、 やることないなら帰っていいですよ」 手持ち無沙汰にしていると、小野先生がそう言ってくれた。 レベルの高い名門校の教壇に立つためにもバリバリ仕事したい。 だけど、バリバリやろうにもやるものがない。 このままぼーっとここにいても仕方ないので、お言葉に甘えて帰ることにした。 「あ、せんせー」 学校を出ると、えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃんたちと出会した。 三人はすぐに帰らずに、教室でお喋りでもしていたんだろう。 「せんせ、一緒に帰ろ?」 「ああ、いいよ。帰ろうか」 楽しそうに話している三人を見守りながら歩く。 「でね、私はそこに行ったんだよ」 少し興奮して話すののかちゃんの様子を窺う。 最近、エッチなことを色々教えているけど、みんなで居る時に、その手のことを話したりしない。 心配しすぎな僕が、独り相撲しているような状況だ。 「ホントだよ、こんなに大きなの」 「怖いです……」 「怖くないよ、お口とエラをパクパクさせて、 可愛い感じだったし」 お口とエラ?なんか変な話をしてるな……。 さっき僕が物足りないって思ったのを察したわけじゃないよね……。 「パクパクしてるのが可愛いの? あたしは少し気持ち悪い感じするけど……」 「気持ち悪くはないけど、 ちょっとにおうけど……」 「くさいの?」 「でも、ちょっと突いたら汁飛ばして 元気なくなっちゃうの」 くさくて汁飛ばして元気なくなるって……。 「ええと、ののかちゃん、なんの話してるの?」 「コイだよ」 ……恋? 「あれは、たぶん沼のヌシだね」 腕を組んでうんうんと頷いている。 「あ、ああ、鯉ね」 口とエラがパクパクして汁を飛ばしたのは鯉か……。 ののかちゃんはずっと約束を守って黙っててくれてるのに、話すわけないよな。 「ちょっと行ってみようか。どこで見たの?」 「ゲタ沼のところだよ。 あそこ楽しいよね」 通称ゲタ沼、本当の名前は知らない。多分、昔誰かがゲタを落としてこういう風に言われてるんだろう。 前に理科の課外授業で行ったことがあるけどここから、ちょっと遠いかな……。 「ゲタ沼……」 ことねちゃんが困ったような顔をして、僕を見上げてきた。 あそこは少し危険な場所だから、心配なのかもしれない。 「僕もついていくよ」 そう言うと、ことねちゃんはほっとした顔をした。 「よおし、みんなで行こうか」 「はぁい……」 「あれ? 急にやる気がなくなったの?」 「んー、ゲタ沼は好きなんだけど、 行くまでがめんどくさいんだよねぇ……暑いし」 相変わらずなののかちゃんだった。 「めんどくさいばっかり言ってると、 楽しいことものがしちゃうぞ」 「のの、せんせの言う通りだよ」 ののかちゃんは僕をみつめ、いつもの締まりのない笑顔を浮かべた。 「じゃあ、がんばる……!」 こうして四人で寄り道することになった。 本来であれば寄り道しちゃいけないが、僕も乗せてしまった手前、保護者としてついていくことにした。 子煩悩……? 「(ちょっと生徒に甘くなってきたかな……)」 沼に行った後、みんなでえみちゃんの家にやってきた。 結局、沼のヌシの鯉は見つけられなかった。 炎天下の中歩いて汗だくになったので、えみちゃんが冷たいものをご馳走すると、みんなを誘ったのだ。 「……あれ?」 玄関を開けようとしたけど、鍵がかかったままだ。 ゆうきくんは、公園あたりで遊んでるんだろう。まだ帰って来ていないみたいだ。 ポケットからスペアキーを取り出し、玄関を開ける。橋本家は親が留守のことが多いので、慣れたものだ。 「みんな上がって」 「おじゃましまーす」 「おじゃまします」 みんなで冷たい麦茶を飲んで一息吐く。 「あついぃ……」 「そうだね……」 冬場のときにうすうす思っていたが、この家にはエアコンという近代機器は存在しない。 冬は石油ファンヒーター、夏は扇風機である。 「う〜ん……お風呂場で水浴びでもしよっか♪」 「さんせー!」 「ことねちゃんも、いいでしょ?」 「……うん♪」 遠慮しそうなことねちゃんも乗り気だ。汗でシャツがくっついて気持ち悪いんだろう。 「……せんせも一緒に入る……?」 えみちゃんが少し照れながら訊いてきた。 「は?」 冗談? それとも何かの罠か? 「ええと……僕は後で入るから」 そう答えると、えみちゃんは少し残念そうな顔をした。 本気で言ってくれた……のかな? 若干ことねちゃんもがっかりしていて……。 そこまで心を許してくれたのだと思うと嬉しくもあるけど……。 ののかちゃんは……感情がよくわからない。例の締まりのない笑顔を浮かべていた。 みんなのいるところで、いつもみたいにぐいぐい迫ってくることはないと思うけど……。 ここは遠慮しておいた方がよさそうだ。 「いいから、みんなで入っておいで」 そう促すと、それ以上は誘ってこず、三人でお風呂場に向かった。 しばらくすると、壁の向こうから無邪気な声が聞こえてきた。 それをほほえましく思いながらも、お風呂場での姿を想像すると、股間がずきんと反応してしまった……。 本当に入らなくてよかった……。 こんなに敏感になってるのは、ののかちゃんのせいだ。 セックスは避けてるけど……週に一回くらいだろうか? 僕の部屋や、何らかの形で二人きりになって、エッチなことを教えている。 いつか満足してくれると思っていたんだけど、ののかちゃんの好奇心は尽きることがなくて……。 ……どうすれば満足してくれるだろう? 最近はいつもセックスしたいってせがんでくるけど、しないとダメなのかなぁ……。 ようやく部屋の空気が入れ替わり、外から涼しい風を感じる温度になった頃三人は戻ってきた。 「はふぅ〜……さっぱりした」 「うん、さっぱりしました」 「せんせ、お待たせ、入っていいよ」 全員元の服だ。えみちゃんもつき合って、着替えなかったみたいだな。 「じゃあ、僕も汗流してくるよ」 みんなには悪いけど、僕は着替えることにして服を取りに一旦部屋に戻った。 もう夏休みも半分終わったんだよな……。 ……どんな風に過ごしてるかな? ののかちゃんたちくらいの年齢は思いっ切り遊べばいいと思うけど……。 これからも続いていく学生生活の中、夏休みをいかに過ごすかってことは重要だ。 休暇の中の、時間の使い方とか、教えてあげられればいいんだけどな……。 そう考えて、苦笑いをした。 「はは、ちゃんと先生らしいこと 考えてるじゃないか」 ののかちゃんとのことがあって、意識的に先生であろうとし続けてたけど……。 そんなこと関係なく、僕は先生であって、人を導く教師という職業が好きなんだ。 「ののかちゃんを導く、か……」 なんとなく先延ばししてたけど、セックスについても、先生としてちゃんと教えないとな……。 もちろん、ののかちゃんの求めに応じて一緒に実技をすることじゃない。 いつか誰かと恋をして、その相手と一緒に学び成長していくべきだってことを……。 言ってたとおり水風呂に入ったのか、水が張ったままだ。 僕の可愛い教え子たちがここの水に浸かって……。 ののかちゃんたちのにおいがする……。 気づけば、そのにおいにペニスが反応していた。 さっき、みんなを導く先生であろうと決意したのに、何をやってるんだ……。 僕は風呂の水を抜き、シャワーで頭から水をかぶる。 こんなんじゃいけない。頭を冷やして、冷静になろう……。 「せんせー……?」 不意に後ろから声がして、シャワーを止める。 ののかちゃんが屈み込んで、僕を見ていた。 い、いつの間に!? 「せなかながしに来たよー」 「い、いや、そんな……あれ、みんなは?」 みんなでやってきたのかと思ったら、ののかちゃんしかいない。 「疲れたみたい。寝ちゃってる」 「あー……」 なんだかんだ、ゲタ沼ではしゃいでいたからな。風呂上がりで、涼しい部屋に入って眠くなったんだろう。 ののかちゃんだけでよかったと、ほっと一息吐く。 「せんせー、ね、せなかながしてあげるから、 そこに座って」 「大丈夫だよ。自分でできるから」 「そういうこと言ってると楽しいことも のがしちゃうよ〜」 ののかちゃんは僕がさっき言ったようなことを言って、迫ってきた。 「わ、わかったよ…… じゃあお任せしようかな?」 「えへへ〜まかされましたぁ」 なんだか頼られて満足そうな笑顔のののかちゃん。 しばらくすると後ろでクシュクシュと泡を立てる音が聞こえてくる。 そして背中に感じるクシュクシュとした感触。 「おきゃくさん、かゆいところはありませんか〜?」 恐らく美容院をまねてしているんだろうが、一歩間違えればそういったお店に来てしまったみたいだ。 「ふふ、大丈夫だよ。ありがと」 そんな他愛もないやり取りに少しだけ顔がほころぶ。 「――じゃあ、次はてを洗うので、 てを伸ばしてくださ〜い」 そう言って次の場所を洗う。 ………… 「――次は……」 …… … ……なんでこんな体勢に? 「ええと……この格好は何のために?」 「ぜんしん洗ってきもちよくなろうかな〜って」 バレちゃったか、と言わんばかりに、少し照れた様子で笑ってごまかすののかちゃん。 「……気持ちよく?」 「うん、だから、せっくす♪」 「ののかちゃん……」 やっぱり、はっきりノーと言えない。 こうやってキラキラした目を向けられると弱い。 でも、実際にするわけにもいかない。 そして、さっきこの問題を先延ばしにしないって決めた……。 「そのね、セックスは――」 僕が言い終える前にののかちゃんが切なそうな声を上げた。 「せんせー、のの、沼に行ってるときも ずっとうずうずしてたの……」 すでにスイッチが入ってしまったのか、もう冷静に話を聞ける状態ではないようだ。 とりあえず、気持ちよくさせ、すっきりさせてから、説得しようと試みる。 「……わかった、じゃあお勉強しようね? でも静かに、だよ?」 「ヒミツのおべんきょー? やったぁ」 ののかちゃんの笑顔を見ると、やっぱりいつまでもこの顔がみたくなって、自分に甘くなってしまう。 「そうだな……まずは、このまま擦りつけて、 自分の気持ちいいところ探してみようか?」 先生ぶってそう提案すると、ののかちゃんは素直に頷いた。 「やってみる……!」 そう言うと、泡まみれの僕の腰の上で、ゆっくり前後に動かしはじめた。 「あはっ、なんか、ちょっとくすぐったい」 こそばゆそうに体をゆらしたけど、それが僕には気持ちよくて、ペニスが徐々に硬さを増していく。 「あ、せんせーの……ごつごつしてきて…… はぁ、はぁ……じんじんしてきたよぉ……」 腰をくねらせるようにして、擦りつけられ、ますますペニスは大きくなる。 「ほんとにフシギ……はぁ、はぁ、 中にホネが入ってるみたい……ん……あぁん……」 次第に、僕のペニスを探るような動きに変わった。だが、それがまたたまらなく気持ちいい。 「ぐっ……んっ……」 濡れたパンツ越しの割れ目の感触に気づけば僕のペニスは最大限に大きくなっていた。 「はぁ、はぁ……せんせー、気持ちいい?」 「十分気持ちいいよ。 だから、気にせず集中してごらん?」 「……うん」 頷くと、湿ってきたパンツをぐっと押しつけてきた。縫い目のところが微妙な刺激となる。 「あふぅ……あ、あぁ……んぁ……あん…… 熱いよぉ……はぁぁん……」 ペニスを手で弄りながら、自分の股間を擦りつけ、次第に甘い声を上げていくののかちゃん。 「あ、あふぅ……ああぁ……ん、んぁ……ふぁ……」 僕も自分から動きたいけど、自重してののかちゃんがするがままに任せる。 「ガマンできないよぉ……はぁ、はぁ…… せんせーともっとぴったんこする……」 ぴったんこという言葉に質問を返す間もなく、あっという間にののかちゃんは次の行動に移る。 「んっ、せんせーのと、ちゅ」 パンツをずらすと、そう言いながら直に割れ目を擦りつけてきた。 「はぅ、ぁ、せんせー…… びくびくしてるのわかるよぉ……はぁ、はぁ」 「の、ののかちゃん……」 直接的な刺激もさることながら、その大胆な光景に思わずびくんと反応してしまう。 パンツ越しも気持ちよかったけど直接擦れると、吸いつく感じがして気持ちがいい。 「あ、あぁん……せんせーの熱い…… ふぁ……あぁぁ……ん……あふぅ……」 そしてなによりののかちゃんのふっくらとした恥丘が、挟み込むように裏筋を刺激していく。 「せんせぇ……ぬるぬるして、ん、ぁ…… はぁ、はぁ、ぴくぴくしてるぅ」 僕のペニスで感じているののかちゃんが可愛くて仕方ない。 でも、その気持ちに身を任せてしまったら、暴走しかねない。 「セックスしなくても気持ちいいでしょ? このままイッちゃっていいからね」 そう言うと、ののかちゃんは切なそうな目で見つめてきた。 「せ、せんせーは、せっくすしたくないの?」 「ののかちゃんが気持ちよくなってくれるだけで 僕は幸せだよ?」 「……むぅ〜〜! せんせーといっしょがいいの! だから、したくなって……!」 「ちょ、ちょっと」 僕を挑発しようと、必死に腰を使ってくる。 それに乗るわけにはいかない。きっちりののかちゃんだけイッてもらう。 「……く、はぁ……うぅ……」 ののかちゃんは、僕を籠絡しようと、小気味よく腰を動かす。 射精は堪えていたけど、大量の先走りが迸った。 「あ、ぅん、はぁ……ほら、先っぽから がまんじる出てるよ?」 「は、はは……気持ちいいよ、 ののかちゃんは上手になったね」 油断したら今にも射精しそうなのに、我慢して、余裕のある振りをする。 「はふ、あ、ぁ……し、したくなった?」 「みんな寝てるっていっても、 いつ起きてくるかわからないからさ……」 「ん、だいじょぶ……だよぉ」 そう言うと、手でペニスを押さえながら、腰を押し出すようにして、擦ってくる。 ののかちゃんの小さな手と割れ目で挟まれて、よりたまらない。 「あぁん、おちんちんあつくてビクビクして…… ののにも伝わってくるよぉ……」 僕を感じさせようとする行為が、自分の割れ目に強く押し当てる形にもなってののかちゃんも感じているようだ。 「は、はげし……ん、んっ……はぁ……」 腰の動きも段々と速くなっていき、擦れている部分からくちゅくちゅと音が立つ。 「あ、あ……くぅ、はぁ……ののだめぇ…… あ、ああん、ふぁ……あ、ああぁぁぁっ!」 ののかちゃんは全身を躍動させている。 僕を感じさせようとして、逆に自分を追い詰める結果になっている。 「ん、んんんんっ! まだ、ダメなのぉ……!」 息をつまらせ、体を硬直させた。 苦しそうに絶頂を耐えている姿が妙に色っぽい。 「っ……ぁ、ぅぅ……はぁ、はぁ……」 「ののかちゃんが感じてる顔、エッチだね」 ついそう言ってしまった。 先生ではなく、男としてののかちゃんを見ていることに気づいて自重する。 「はぁ……はぁ…… せんせー、どう?」 何度も訊いて……どうやら、今回ののかちゃんは本気みたいだ。 何か理由でもあるのだろうか。 「……どうしてそんなにしたいの?」 「そんなのきまってるよ……。 せんせーと、いっしょに、 気持ちよくなりたいの……」 当然といった顔だ。気持ちは嬉しいけど、それは違うってちゃんと言おう。 「それだけでセックスはしちゃダメなんだよ」 「……どうして? のの、せんせーのこと好きだよ?」 小首を傾げながら言ってきた。 「ののかちゃん、恋ってしたことある?」 「……コイ?」 「魚の鯉じゃないよ?」 「わかってるよぉ…… コイって……好きってことでしょ?」 「そうだね……でも、きっと今のは恋じゃなくて、 パパやママに対する好きと同じ。 ……なんじゃないかな?」 「本当はののかちゃんも、いつか恋をして、 その人とセックスすべきなんだ……」 「ぼ、僕とじゃなくて……」 そう言った途端、胸がチクチク痛んだ。 僕はこれをののかちゃんに言いたくなくてずっと引き延ばしてたのかもしれない……。 複雑な想いを抱えながら、ののかちゃんを見つめる。 「ののの好きは、コイじゃないの? わかんないよぉ……」 「…………」 泣きそうな声……瞳には涙が溢れていて僕は言葉を失ってしまった。 「せんせーが、はじめてこーびのこと教えてくれた時 トクベツな好きじゃないといけないって教えて くれたよね?」 「うん……」 「ホントはよくわからなかったの……」 「それで、のの、ママにきいたの…… パパの好きってトクベツなの? って……」 「そしたら、パパはトクベツで、 出会った時、まわりがキラキラしたんだって」 キラキラか……上手い説明かもしれない。 「焦らなくても、ののもいつかそういう人と 出会えるって、おしえてくれたの」 「でね、うれしかったの……」 「ん?」 「のの、せんせーのことが好きになって キラキラしてるから……」 「パパもママも、えみちゃんたちや、 学校の他のせんせーも好きだよ、 でも、せんせーだけだよ、キラキラしてるの……」 「ののかちゃん……」 「でも、フシギなの……」 「せんせーが大好きなのに 今はすごく苦しい……」 そう言って、ぽろっと涙を零した。 ……それは恋だ。 まだまだ小さな恋だけど、確かにそれは恋だった……。 ののかちゃんに辛い想いをさせて……何をやってるんだ、僕は……。 考えてみれば、ののかちゃんは僕に真っ直ぐな想いをぶつけてきていて、それは明らかに特別だった……。 僕は臆病だった。 先生だから好きとか、そんな風に思って逃げてたんだと思う……。 ここでこの想いを受け止めなきゃ男じゃない。 それに、僕はさっきわかってしまった。 僕自身も、ののかちゃんに恋してるってことに……。 他の人に取られたくないってことに……。 「そっか、ありがとう、 もう、無理しなくていいよ?」 「……せんせー?」 「僕ね……」 この緊張感に自分でも驚くほど、声がかすれてしまう。 「先生だから、ののかちゃんに恋しちゃダメだって 思ってたけど……」 何とか自分の言葉で伝えられるように、大きく深呼吸する。 「――僕もののかちゃんが大好き」 僕の言葉に、ののかちゃんはちょっと驚いたような顔をしている。 「……ののにコイしてくれてるの?」 「うん。恋、してる」 「やったぁ、さっき沼で見つけられなかった コイ見つけたよぉ」 意外と上手いことをいうののかちゃんに思わず僕もつられてしまう。 「ふふ、そうだね。 案外近くにいたのかもしれないね?」 「ふふ、せんせーと、りょうおもい……」 「……ののかちゃん?」 改めて今の体勢が恥ずかしくなって、言葉少なく許可を取る。 「うん」 「それじゃ……どうしてほしい? 言ってごらん」 ののかちゃんはパンツを脱ぐと、腰を浮かせ膣口に亀頭を押し当ててきた。 ののかちゃんに泣かれて、少し萎んでいたペニスが完全復活する。 「ここに入れて……せんせー…… ずっとしたかったの…… いっしょに気持ちよくなりたい」 「うん。わかった」 僕はそう答えて、腰を押し出した。 「ん、んっ……あぁ……ふぁ……んっ」 ペニスはゆっくり入っていく。二回目でも挿入の感動はまったく薄れない。 「……痛くない?」 「だいじょぶ…… 入ってくるの……嬉しい……はぁ、はぁ……」 「……それはよかった」 この体位は騎乗位って言うんだと教えようとして、もう先生ぶらなくていいんだと気づく。 今言うべきことは……。 「ののかちゃん、好きだよ」 言葉に反応してののかちゃんはブルブルと震えた。 「うれしい……うれしくて…… え? だめぇ、あ、ああっ、んぁぁぁぁ……!」 素股で十分に高まっていたせいもあって、ののかちゃんの反応は敏感だった。 「ん、んぁ……ああっ、あ、ああっ! ああぁぁぁぁっ、ふぁぁぁぁぁぁぁっ!」 奥まで至ると、膣がギュッと締まる。おとがいを反らせ、ひときわ高い声を上げた。 「んぅっ! あ、あ、ああっ、ああぁぁ…………」 体をビクビクと震わせる。どうやら軽くイッてるみたいだ。 「はぁ……はぁ…… うれしくなって……なんか頭ぽーっとしてる……」 「……気持ちよかった?」 「うん、まだ気持ちいいよ…… ずっとこのまま繋がってたい……」 「はは、ののかちゃんはエッチだなぁ」 「……エッチなのダメ?」 「ううん、むしろ好きだよ」 そう言うと、ののかちゃんは目を細めてうっとりとした。 「せんせーが好きでいてくれるなら、 ずっとののエッチでいるね」 ののかちゃんの健気な言葉に、思わず腰を動かしていた。 「あ、あぁっ! せ、せんせぇ」 ののかちゃんは眉根を寄せて、辛そうな顔をしている。 「ごめん、痛かった?」 「ううん、そうじゃなくて…… エッチなののが動くからじっとしてて」 今は、ののかちゃんの気持ちを受け止めるべきかもしれないな。 「じゃあ、任せるよ」 ののかちゃんはさっそく腰を動かしはじめた。 腰を浮かし、下ろす。もしかしたら、練習でもしてきたのかもしれないな。 「はぁ、はぁ……こんな感じでいいかな? せんせー、気持ちいい?」 僕を気持ちよくさせようという想いは伝わってくる。 でも、これはセックスというより、スポーツでもしてるかのような感じだ……。 「ののかちゃん違うよ」 「……気持ちよくない?」 「僕のことは気にせずに、 自分が気持ちよくなるように動けばいいんだよ」 「そ、そんなのダメだよ……」 「ダメじゃないよ。好きな相手が自分の体で、 気持ちよくなってくれるのはすごく嬉しいんだ」 「……嬉しいの?」 「当たり前だよ。 ののかちゃんが感じてくれれば僕も気持ちいいよ」 先生っぽくなったけど、これは先生として教えたわけじゃない。大好きな相手に、年長者としてのアドバイスだ。 「それじゃ……ののは、せんせーのおちんちんで、 いっぱい気持ちよくなればいいの?」 「うん、そういうこと」 ののかちゃんはしばらく考えた後、再び腰を動かしはじめた。 「ん……こう……かな……んっ」 初めはぎこちなかったけど、すぐに自分が気持ちよくなれる動かし方がわかったみたいだ。 「あぁん、気持ちよくなるように動くって…… すごいかも……あぁっ、あっ、ああん、ふぁっ」 ののかちゃんは腰振りに没頭して、自身の性感を高めていく。 「ん、んんっ、あぁ……あ、ああっ…… これへんになっちゃう……あぁん……あん…… はぁ、はぁ……あぁ、ん、んぁ……ああぁんっ」 「はぁ、はぁ……変になったって構わないよ、 これから何度だってしてあげられるんだから」 「せんせぇ、嬉しいよぉ……あ、ああぁ…… あふっ、ん、あぁんっ、んぁ……ふあぁ……」 「僕もすごく嬉しい……気持ちいいよ」 「あふぅ、せんせぇも一緒ぉ……あんっ、んっ! んっ、んんんっ! ぁあん……ふぁぁっ!」 僕も感じてるとわかって、ののかちゃんは、更に激しく腰を使ってきた。 「せんせー……も、もう……ん、んん…… あぁん、ぁ……あ、くっ、ぁ……あぁ、あぁんっ」 結合部から愛液が零れ、睾丸の袋を濡らす。当然、膣がぬるぬるになって、僕もより気持ちいい。 「ひぁぁっ! き、気持ち……いい! あ、ふぁっ! ん、ん〜っ! あ、ああぁぁっ、んぁ〜っ!」 声が切羽詰まってきた。発情したののかちゃんの甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。 「せんせーとせっくす……ああ、いいのぉ! あ、あんっ、んんんっ、んんんっ! んん〜っ!」 昂ぶっていくののかちゃん。絶頂を迎えようとしている。 同時に、ぎゅうぎゅうとペニスを締めつけてきて、たまらない。僕もあと少しでイけそうだ。 「あ、ああぁぁっ! んっ、くぅ……んぐっ! せんせーのおちんちん、中で、ビクビクって……」 「うん、もうすぐ出そうだよ」 「ののも、もうすぐ……んぁ……あああっ! ののも……イッちゃう! あ、あああああっ!」 「ののかちゃんっ!」 一段と激しく腰を振り、最後ひときわ強く、深く挿入した。 「はぅっん……あ、あついぃ! ん、ぁあっ! んんっ、んんんんんんんんんんんっ! あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 おとがいを反らし、絶頂の声を上げる。同時に僕は、下半身に滾ったものを解放した。 目の前が霞み、全身に甘い痺れが走る。 「ん、んんっ! んっ……らめぇ! あ、ああっ! イッて……んんっ! あ、ああ、あああああっ!」 大好きだという想いを込めて、ののかちゃんの一番奥に精液をぶちまける。 「あっ、おくに……あ、ああっ! す、すごい! あ、あっ! い、イくッ! ん、んーーーーっ!」 僕の激しい迸りを受けて、ののかちゃんは体を硬直させた。 「んんんんんっ! ふぁぁぁぁぁぁぁっ! あああああああああああっ! あ、ああああああああっ!」 連続で絶頂を迎えたののかちゃんは、口元を緩ませ、目を虚ろにしたまま大きな声を上げる。 「んんーーー……は、は……ぁ」 ののかちゃんは絶頂を味わい尽くすと、一気に力を抜き、肩で息をしながら幸せそうに快楽の余韻に浸った。 「はぁ、はぁ……すごかったぁ……」 「はぁ、はぁ、僕も気持ちよかったよ……」 僕も乱れた呼吸を整えながら、ゆったりと余韻に浸る。 「せんせぇ……」 甘えた声で僕を呼ぶののかちゃん。 「満足した?」 しばらくして、そう尋ねるとののかちゃんは首を横に振った。 「ううん」 「もっとしたいの? ののかちゃんは本当にエッチだね」 「せんせーだって、まだかたいままだよ?」 そう言って、自分の下腹部に手を当てた。 そこの下にある僕のペニスはまだガチガチだ。 エッチだとからかっておいてこれだ。 「はは、僕もエッチみたいだ」 「だから、今度は僕がののかちゃんの体で 気持ちよくなっていい?」 「うん、いっぱい気持ちよくなって」 ののかちゃんは、喜んで僕を求めてくれた。 濡れた服を脱がせ、ののかちゃんのすべてが見えるような態勢に変える。 「ふぁ……」 あまり慣れない格好だったのか、少しだけ不安そうな声をあげるののかちゃん。 「こういう格好、嫌?」 「ちょっとだけ恥ずかしいけど……だいじょぶ」 そう言うと、顔を隠していた手を離し、僕に笑顔を見せた。 「せんせーもいっぱいきもちよくなっていいよ?」 「ありがとう、ののかちゃん、いくね」 ペニスを膣口に押し当て、腰を押し出した。 「んっ……ふぁ……」 上から貫くようにして、ののかちゃんの中に挿入した。 中の精液が潤滑油になり、ちゅぷりと飲みこまれていく。 それにしても……この格好、まさにセックスしているって感じだった。 興奮して、ペニスもののかちゃんの中で更に存在感を増す。 「中でぴくぴくしてる……」 「すごく気持ちいいからね」 このまま乱暴にしてみたい気持ちだけど、それをぐっと堪え、以前より奥まで入るようになった膣を味わうようにゆっくりと腰を振る。 「んっ、あ……ふぁ……ん……」 「気持ちいいよ、ののかちゃん……」 「んぅ……せんせー、激しくしていいよ?」 ちょっと拍子抜けしたような表情でそう言ってきた。 「ふふ、少し違ったことしてみようか? 激しくするだけが近道じゃないんだよ?」 「こうやって、ゆっくり動くのはどう?」 言いながら、ののかちゃんの一番奥まで挿入し、ゆっくり引き抜く。 「ふ、ぅぅぅんっ、せ、せなか……ぞわぞわぁって……」 「ふふ、でしょ?」 ののかちゃんが小刻みに震えているのがペニスを通じて伝わってくる。 「なんかね、ぬく時、びっくりするくらい、 ちからもぬけちゃうよぉ……ぁ、んぁ……」 狭い粘膜の穴に押し入っていく感覚は、当然ながらいいものだ。 それ以上に、締めつけてくる膣から引き抜くと、ある種の切なさと同時に、ののかちゃんと同じで背筋がゾクゾクしてくる。 「じゃあ、こういうのはどう?」 引くことをよりじっくり味わわせる腰使いをする。 「あぁん……はぁ、はふぅ……はぁぁぁ……」 押し込むと、息を詰まらせ、引き抜くと、深く息を吐きだしながら感じ入る。 そんな愛おしいののかちゃんの様子を見ながらゆっくり出し入れを楽しむ。 「あぅ……ん、はぁ……はぁ……」 ふと、ののかちゃんは僕を上目使いで見つめてきた。 「どうかした?」 「なんか切ないよぉ……」 目を少し潤ませながら言い、自分の下腹部を撫でた。 「ここが変な感じなの……」 もしかしたら、ゆっくりとした動きに体は焦らされたのだろうか。 「そろそろ大丈夫かな?」 「ず、ずんずん……するの?」 「うん、ちょっと激しくするけど、 苦しかったら言うんだよ」 「せんせー、ののはだいじょぶ…… いっぱい、して……?」 もどかしそうなののかちゃんは、情感たっぷりにそう言って僕を求めてくれる。 その言葉に応えて、体重を乗せるようにして勢いよく奥まで押し込む。 「……んぁっ!」 悲鳴にも聞こえる声をあげ、思わず腰の動きを止めてしまう。 「ごめん……苦しかった?」 「ううん、ちょっとびっくりした、 せんせー、つづけて……?」 「じゃあ、徐々に強くしていくからね」 先ほどとは異なり、押し込む動きに緩急をつけていく。 「うんっ! はっ、あっ、あっ……! ふぁ……んん! ふっ、ぅく、んっ!」 ののかちゃんの表情を見ながらレベルを上げていく。 「ふぁっ! す、すごいよぉっ! あ、ふぁ……ああぁ、ふぁ……ん、んぅっ!」 身体は床に押しつけられ、逃げ場のない子宮口に、荒々しくノックを繰り返す。 「せんせーがのので気持ちよくなる番なのに、 ののがいっぱい気持ちよくなっちゃう……ふぁん」 「気にしなくていいよ。僕が気持ちよくなって、 それでののかちゃんが気持ちよくなってくれるなら 最高だよ」 「うれし、い……あ、ああっ! あ、あんっ! ふぁ、ああぁっ、ああぁんっ、はふっ、んんっ!」 更に力強く出し入れする。その腰の動きに応じて、ののかちゃんの脚がパタパタと宙を扇ぐ。 「はぁ、はぁ、ののかちゃんの中、 すごく気持ちいい、止まらないっ!」 ののかちゃんの中……ヌメヌメの肉壁が、僕のカリの裏側にまで張りついてくる。そんな膣を掻き回すのは最高だった。 「ののも気持ちいい……うれしいよぉっ! ずっといっしょがよかったの……!」 まだ未発達なひだが情熱的に絡みついてくる。手で脚を押さえ、腰の動きを切迫させる。 「あ、あんっ! くぅ、あふぅっ!」 激しい腰使いに、ののかちゃんが敏感に反応する。 「あ、あっ、あ、ああぁ……も、もう……すごいぃっ あ、あああっ! く、くぁっ! ああぁぁぁっ!」 ぐちゅ、ぐちゅ、といやらしい水音が立ち、結合部から泡立った愛液と精液が溢れ出す。 「は、はふっ! おかしく、なっちゃうっ! あああぁぁぁぁ……あぁ、んぁ……ああぁっ!」 「あ、あぁぁぁっ、イッちゃうっ、ああぁっ! あ、あぁぁぁぁぁっ、ふぁぁぁぁぁぁっ!」 急に肩を竦めるようにして、体を強張らせた。 「あ、ああっ、んんんっ! あぁっ! んぁぁっ! あぁぁぁぁぁっ! ぅんんっっっ――!」 また軽く絶頂を迎えたのか、僕のペニスをきゅっきゅとリズミカルに締め付ける。 「く、くっ」 絶頂中の膣内は心地よく、暴発しそうになったが、堪えて腰を動かし続ける。 「せっ、せん、せぇっ…… のの、今はぁ……んっ、んぁっ!」 絶頂しながら、中を掻き回されて少し苦しそうに訴えかける。 「ののかちゃん、 女の子は何度も気持ちよくなれるみたいだから もう少し頑張ってみよっか?」 先生としてなら、絶対止めていた。 でも、溢れ出るののかちゃんへの愛おしさのせいで腰が止まらない。 「んあ、あっ……が、がんばるぅ……」 僕の気持ちが伝わったのか、すぐに覚悟を決めて、受け止めてくれる。 「あっ! あああ……はっ、ん、あっ、あ、あぁっ、 あぁ……あぁ……ん、んん……」 中は一段と潤い、掻き回すと、甘酸っぱい匂いと、ぐちゅぐちゅといやらしい音が立つ。 女の子の発情したにおいが、僕をより昂ぶらせる。 「ののかちゃんっ、奥まで僕を味わって」 「お、おくぅっ! すごく、グリグリしてるよぉ…… あ、あぁ……んぁ、あぁ……んぁっ!」 膣奥の反応がいい。何度も何度も抉るように腰を突き入れる。 「いっぱい、きてる……はぁ、はぁ、 なんかからだが、 ぞくぞくするぅ……あ、ああっ!」 ののかちゃんがこっちを見ているけど、その目はどこか焦点が合っていない。 そこまで感じてくれたののかちゃんが愛おしくて仕方ない。 「はぁ、はぁ、ののかちゃん、大好きだよ」 そう問いかけると、ののかちゃんは緩んだ口元を開いた。 「ののも大好き……あ、あぁっ、あぁっ! すごいよぉ、これからもいっぱいしてくれる?」 「ああ、もちろんだよ。 これからずっと僕はののかちゃんを いっぱい気持ちよくしてあげるっ」 「うれしいっ、せんせぇ……ぅんっ! おちんちん、気持ちいいっ! ひっ! あ、ああぁ、ん、んぁ……く、ふぁ……!」 「僕もののかちゃんの中が気持ちいいよ」 「ひ、ひうっ! ん、んぁ……あ、ああぁ…… あ、ああぁ……んんっ! ああぁぁ……!」 緩んだ口元から舌がだらしなく出る。目もさらに虚ろになっている。 「あっ、はぅっ……こっ、こわれちゃうぅ……」 「うっとりして、可愛いよ」 「あ、あっ! あふっ、ああ、あっ、あ、あぁっ! んぁ……あ、ふぁ、あっ、あああっ!」 もう、ただ喘ぐだけになったののかちゃんを、滅茶苦茶に突き上げる。 「あぁ、あぁ、んんんっ! ああぁっ! ん、んぅっ! んんんんっ! あぁぁっ!」 愛おしさを込めて、腰を突き上げるとさらに様子が変わった。 「ひっ! おくぅ! あぁっ! あ、ああ、あああぁぁぁぁぁっ!」 体から力が抜けて、僕の腰の動きに合わせて、頭がガクガク揺れる。 「はぁ、はぁ、大丈夫? 辛い?」 さすがに心配になって訊くと、ののかちゃんは首を横に振った。 「あ……だいじょぶ……せんせー……のの…… もっとすごく……なれそ……ふぁ……」 息も絶え絶えにそう言ってくれる。 「じゃあ、そのまますごくなっちゃおうか」 「う、うんっ、あっ、あああぁ……あふっ、 あん……あ、ああああぁぁぁぁぁっ!」 「ののかちゃんっ!」 「ん、ん、んん、んんんんんんんっ!」 大きな声を上げた後、歯を食いしばり、体を縮こまらせてビクビクと震える。 「僕もイクから、もう少しだけ……!」 「うん、んっ! ん、うんっ!」 呻き声を上げながら、コクコクと首を振る。僕と一緒にイクために、絶頂しそうになるのを必死に堪えている。 ののかちゃんを苦しめるわけにいかない。急いで自分を追い詰める。 「はぁ、はぁ、ののかちゃんっ! これでイって!」 腰を小刻みに振り、最後にずんと奥を突き上げた。 「イく、イッちゃうっ! あ、ああああぁぁぁ〜〜〜っ!」 堪えていたものを解放するかのように、声を上げた。 「せ、せんせぇ――だめぇぇぇぇええっ!!」 言葉を表すように、膣内が精液を絞り出すように躍動する。 「く、くぁぁっ!」 奥まで貫いたまま込み上げてきたものを解放した。 「ふぁ、あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ああぁぁぁぁぁっ! あぁーーーーーーーーっ!」 子宮の入口に押し当て最深部まで流し込むように何度も射精を繰り返す。 「は、あ……あぁぁ……………………」 あまりの快感だったのかその後すぐ、呼吸を忘れてしまったような様子で金魚みたいに口をぱくぱくさせていた。 「ののかちゃん、ののかちゃん……!」 達成感に包まれながら、しつこくののかちゃんの膣に精液を吐き出していく。 中に入りきれなかった精液が、変な音を立てて結合部から滴った。 「あぁ……あ……ぁ……ぁ……」 未だ絶頂を味わい尽くしているののかちゃんの顔に垂れていく。 「あぁ……あふぅ……」 泣いているような幸せそうなどっちともとれる顔をして余韻に浸り……がくんと力を抜いた。 「ののかちゃん、大好きだよ」 「ののも好きぃ……」 半分意識がない状態でもののかちゃんはそう言ってくれた。 僕の頑ななプライドのせいで遠回りをしてしまったけど、こうして僕たちは恋人になった―― 夏休みが終わり、通常授業がはじまってしばらく経ったある日―― ののかちゃんがノートを持って、職員室にやってきた。 「せんせー、書き取り終わったよぉ」 今日、宿題を忘れた罰として、漢字の書き取りをやらせたのだ。 「これからは宿題忘れちゃダメだぞ?」 手渡されたノートを受け取った後、ののかちゃんは、そっと手を握ってきた。 微笑みを浮かべて、僕を見つめてくる。 「うん、次からはちゃんとやってくるね」 そうは言うものの、反省しているというより、手を繋げて嬉しいって感じの顔だ。 ののかちゃんは、しばらく手を繋いだ後去っていった。 気づけば、手の中にはアメ玉が残っていた。 まったく、ののかちゃんは……。 やれやれと思いながらも、にやけそうになる顔を引き締める。 最近のののかちゃんは周りに気をつけつつも、手を繋いだりと、スキンシップを取ろうとする。 考えてみると、夏休み前はこんなことはなかった。 以前から変わらず好きであったはずなのに、ののかちゃんはののかちゃんなりに空気を読んで、感情を抑えていたみたいだ。 こんな風になったのは、登校日の後、お風呂で気持ちを確かめ合ったあの時からだ。 そういえば、あの後大変だったな……。 ののかちゃんの服は濡れているし、パンツもびしょびしょになった。 ひとまず僕のTシャツを着せ、昼寝しているみんなを起こさないように扇風機で乾かしたんだよな……。 僕たちの関係、バレてないけど、これからどうなるかな……。 若干心配になりながら、ののかちゃんの持ってきたアメを口へ運ぶ。 いちごみるく味のそれは、とっても甘かった。 ――まあ、なんとかなるか。 「せんせー、ちゅーして」 放課後、ののかちゃんがそう言って目をつむった。 「ダーメ」 ポンと頭を叩いて、目を開かせる。 「なんで? 昨日、いっぱいしたのに」 昨日、僕の部屋に来たののかちゃんとちゅーだけじゃなく色々したけど……。 「学校じゃダメってこと」 「じゃあ、なんでののに残るように言ったの?」 「補習って言ったでしょ」 「え? ホントに?」 すっかり僕が呼び出すのはエッチなことをするからだと思っている。 両想いだとわかってから、若干がっついたところはあるけど……。 今日、残らせたのは、本気で補習をしようと思ったからだ。 居眠りすることもなくなったし、素行はかなりよくなってきたけど、根本的に、勉強は好きじゃないみたいだ。 勉強がつまらないと思い込んでるののかちゃんに面白さを知ってもらう。 先生としては、ぶっちゃけて言えばえこ贔屓だ。 だけど、もうそんなの関係ない。ののかちゃんは恋人なんだから。 「問題集のこのページやってみて」 「……はぁい」 若干めんどくさそうにしながらも、問題集に取りかかった。 ののかちゃんが不得意な、計算問題だ。 ちゃんと解けるみたいだけど……遅い。 やる気もないみたいだけど、それだけじゃなくてもっと本質的なところが問題な気がする。 特に桁の多い割り算が遅いな……。 もしかして九九をちゃんと覚えてないのか? 解いている姿を見守りながら、ふとそんなことを思った。 桁の大きな割り算は、九九をちゃんと覚えていないと難しい。 でも、記憶力のいいののかちゃんが九九を覚えてないなんてことがあるかな……。 「ののかちゃん、九九ってわかる?」 問題をといている途中のののかちゃんに話しかける。 「わかるよ」 「8×8は?」 「……64」 一瞬間があった。やっぱり変だ。 聞き方がまずかったのかもしれない。 「ののかちゃん、ちゃんと九九を覚えた?」 「……えへへー」 締まりのない笑顔を見せた。 「覚えてないでしょ?」 「だって足せば答えが出てくるのに 覚えても仕方ないよ」 ……ってことはどういうことだ? 「もしかして、今まで足し算で、 九九の計算をやってたってこと?」 「うん」 3×3なら頭の中で3+3+3ってその度にいちいち考えてたんだな……。 いくら記憶力がよくても覚えようとしなければ宝の持ちぐされっていうことか。 「計算が楽になるんだから ちゃんと覚えなきゃダメだよ」 「……そうなの?」 九九をノートに書いて覚えるように手渡すと、渋々覚えはじめた。 「ええと、にはちじゅーろくぅ……」 頭を掻きながら悪戦苦闘している。 ののかちゃんの驚くべき記憶力はやる気にならないと発揮されない。 「覚えたらチューしてあげるから」 ご褒美で釣るのはズルイけど仕方ない。そう言うと目を輝かせた。 「ホントに?」 「うん、だから頑張って」 「がんはるっ」 それから、1分。 「覚えたよ!」 「え? もう!?」 九九を一の段から言わせると、ちゃんと九の段まで諳んじることができた。 「じゃあ、7×6は」 「42」 念のため確認すると、今度は即答だった。 「9×4」 「36」 どうやら完璧みたいだな。 こんなにあっさり覚えられるなら、なんで足し算で計算していたんだろう? その方がめんどくさい気がするのに……。 まあ、そういうところがののかちゃんらしいけど。 「じゃあ、問題集やってみてごらん」 改めてコツを教えつつ、桁の大きな割り算をやらせてみた。 「……簡単だ!」 「わかったでしょ?」 もちろん、割り算だけじゃなく、かけ算も解くスピードが格段に上がった。 すらすら解けるのが楽しくなったのか、問題集を自分からやりはじめた。 なんというか、ここまで成長が顕著だと教え甲斐があるなぁ。 気づけば空が紅色に染まっていた。 「今日はこのへんにしようか」 「せんせー、まだぁ」 「ん?」 「ちゅーしてくれるって言ったよ」 「そ、そうだっけ……」 周囲を見回して、誰も居ないのを確認してからそっとキスをした。 「頑張ったんだから、もっとぉ」 頑張った甲斐がないと思うようなご褒美じゃ、今後、やる気を出してくれなくなってしまう。 改めて屈み込んで、ちゃんと目を合わせて唇を交わす。 「んちゅ……ん……れちゅ……」 「ん……」 ののかちゃんの方から舌を入れてきた。 拒絶するわけにもいかず、僕の口の中で受け止める。 「れるれる……ちゅ……」 僕の口内でののかちゃんの舌が元気に動いている。 口の中をマッサージでもされているようで気持ちいい。 それにしても、いつも教えている教室で、こんなディープキスなんて……。 背筋がゾクゾクしてきた。 「れる……ちゅ……れるれる……」 「ん……ちゅ……」 しばらく、背徳感のあるキスを堪能して唇を離すとののかちゃんはにっこりと笑った。 「満足した?」 「うん、でも、せんせーが満足してないよね?」 「は?」 「せんせー、おっきくなってるみたい」 ののかちゃんの視線の先は僕の股間で……ズボンの前が膨らんでいた。 「……ぺろぺろしてほしい?」 耳もとで囁くように訊いてきた。 正直してもらいたいけど、理性をかき集めて遠慮することにした。 今の時間、生徒はいないけど、見回りの先生が来るかもしれない。 「また今度ね。 その時まで待っててね」 「ためておくの? じゃあ、一人でしちゃだめだよ」 それはののかちゃんもじゃないかと思いながら、エッチなことも急成長中のののかちゃんだった。 その後も、定期的に補習を続けた。 ののかちゃんの学力を見直し、引っかかっているところを共に考えた。 時にご褒美でエッチなことをしたりして、先生としても恋人としても充実した毎日を送った。 そして、冬が近くなったある日、僕は校長先生に呼び出された。 「瀬田先生、急に呼び出してすみませんね」 校長先生の前にやってくると、そう切り出してきた。 「いえ……」 なんの用だろう? こういう風に改まって呼び出されたのははじめてかもしれない。 緊張しながら次の言葉を待つ。 「ののかさんの件なんですが……」 の、ののかちゃんの件!? 「は、はい」 まさか、イチャイチャしているのがバレたとか……。 「テストの結果、見せてもらいましたよ」 「あんなに成績を上げるとは驚きましたよ。 よく頑張ってくれましたね」 逆に褒められて拍子抜けした。 ののかちゃんへの補習の効果はてきめんで、二学期のテストでは、ことごとくいい点数を取ったのだ。 「いえ、ののかちゃんが頑張っただけですよ」 「そうですね、 でも、瀬田先生の指導の賜物でも あると思っています」 「ありがとうございます」 校長先生はコクリと頷き、僕を改めて見つめてきた。 「その指導力をもっと試してみたいと思って いるんじゃないんですか?」 「え? それって……」 校長先生は僕の言葉を咳払いで一旦止める。 「コホン、本題はここからです。 異動希望のままでよろしいんですね?」 「あ、はい」 しばらく、ここにいるしかないけど、いつかは大きな学校で教えたい。 そう答えると、校長先生は小さく頷いた。 「以前通っていた学園の校長先生に伺いました」 「もっと、大きな学校で教えたいという 希望を持っていると」 「お知り合いだったんですか?」 「いえ、向こうから連絡してきたんですよ。 どうやら、前の学校の校長先生も気にして おられたようですね」 「心岳学園に欠員ができていて、そちらに 移動できるように推薦してくれているそうです」 「もちろん、私からも推薦しようと思います」 心岳学園は、都内の大きな学校で、僕が行ってみたいと思っていたところの一つだ。 僕が知らないところで話が進んでいるみたいだ。 「でも……いいんですか?」 学校の教師は異動が多いけど、一年で移るっていうのはあまりない。 「こちらは気にしなくて大丈夫ですよ」 「正式に決まって、内示が出るのはもう少し後に なりますが、心の準備をしておいてください」 「はい」 最後にお礼を言って、校長先生の前から離れた。 「おめでとうございます」 自分の席に戻ると、職員室にいた遥先生が話を聞いていたようで祝福してくれた。 「いえ、まだ決まったわけじゃないんで……」 心岳学園か……。最新設備が整っていて、有名校への高い進学率を誇る。 期待と緊張で足下がフワフワしたような気分だ……。 「でも、本当に異動になったら クラスの子たち悲しむでしょうね」 「あ……そうですね……」 ふと、僕の教え子たち……ののかちゃんのことを思い出し現実に引き戻された。 心岳学園に行くってことは、当然、ののかちゃんから離れるってことだ。 このまま心岳学園に行ってもいいのかな……。 それからしばらくして……。 異動の件をどうしたらいいか決断ができずにいた。 断るなら、早くしなきゃいけない。 色々と考えた末に、ののかちゃんに話してみることにした。 今日は補習の日だ。 帰りの会が終わって職員室で自分の仕事をした後教室に戻った。 勉強の面白さをわかりはじめたののかちゃんは既に教科書を開いて一人で勉強していた。 「せんせー、なんでヨリトモは弟を やっつけたのかなぁ」 「ああ、源義経の話ね」 ののかちゃんは以前、社会……歴史の勉強はただの記憶の羅列だと思っていた。 そのためか、まったくやる気を見せなかったんだけど……。 「歴史上の人物も人間だからね。 どんな人だったか想像してストーリーを考えながら 覚えるといいよ」 そう教えると、ののかちゃんは興味を持ってくれた。 歴史的事実に『なんでそうなの?』と一つ一つ質問されるけど、根気よく答えて、わからないところは二人で調べた。 「義経か……優秀すぎる弟は妬ましいものだよ」 「そっか……でも、私なら全部まかせちゃうなぁ」 ののかちゃんに優秀な妹とかいたらもっとぐーたら人間になりそうだ。 その後、しばらく補習を続けた後、僕は本題を切り出した。 「……その、ののかちゃん? 来年、別の学校に行くことに なりそうなんだけど……どう思う?」 「別の学校の先生になっちゃうってこと?」 「うん」 「どこに行くの?」 「都会の大きな学校だよ」 「おっきな……せんせーは、おっきな学校で せんせーになることが夢なんだよね?」 前にちらっと話したことがあった。ちゃんと覚えていてくれたみたいだ。 「よかったね、せんせー」 「あ、え、うん……」 ショックを受けたような様子はない。 「ええと、つまりこの学校の 先生じゃなくなるってことなんだけど……」 「ののと会えなくなるのが寂しいの?」 「まあ、そういうことかな……」 「だいじょぶ、毎日でんわしてあげる」 「…………」 本当にわかっているのかな? もしかしたら、心配掛けないように明るくふるまっているだけなのかもしれない。 「はは、ありがとね、ののかちゃん」 考えてみれば、今生の別れってわけじゃない。 なんだか、少し気楽になった気がする。 「それじゃ、今日のところはこの辺にして帰ろうか」 「うん」 ののかちゃんと話をしてからしばらくして……。 僕は何も解決していないことに気づいた。 学校のこと……どうしようかな。 行かないでと言われたら、僕は異動を断ったろう。 そこまで言わなくても、ののかちゃんが悲しんだら、行かない方に気持ちは、大きく揺らいだはず。 考えてみると、ののかちゃんがいつも通りでよかったかもしれない。 これは自分の意志で決めなきゃいけないことだ。 このまま夢だった学校に行くべきか、それともここに残るべきか……。 う〜ん……。 結局あれから決断できないまま、月日は更に過ぎ季節は秋から冬に変わっていった。 もうだいぶ寒くなった日の算数の授業中、この前やったテストを返却すると、教室は騒然とした。 「のの、99点なの?」 「うん! じゃ〜ん!」 隠す様子もなく、テスト結果をみんなに見せている。 自慢している感じになってるけど、悪い点数を取っても隠すことはないのでいつものことだ。 「ののが、算数でそんな点数とるなんて……」 「えへへー」 オーバー気味に驚いているえみちゃんは、ののかちゃんをバカにしているわけじゃない。 暗記が得意だった分、国語や社会のように応用が必要ないものは、それなりに点数が取れていた。 しかし、公式を覚えてもそれが使えなかったから、理科算数系は本当にひどい有様だったからだ。 「す、すごいね、ののかちゃん……!」 「せんせーが、ほしゅーしてくれたからだよ」 ののかちゃんがそう答えると、生徒たちが一斉にこちらを見た。 「せ、先生っ、おれもほしゅーっ!」 「何言ってるんだよ、 ガッコ終わっても勉強するのは バカだけって言ったじゃん」 「じゃあ、おまえがビリな〜」 「だって、ビリは深海で……あ」 ののかちゃんの成績が上がったということは、誰かが他にビリになるという事実に気づきはっとした。 「せ、先生っ、俺もほしゅー!」 「あ、それなら、せんせ、あたしも」 「わたしも……」 一人一人声をあげて、ついには全員補習をやりたがった。 「んー……基本的に補習は苦手なところを やるんだよ。みんな、できる?」 ののかちゃんに刺激されて、みんなやる気満々で頷いた。 いい機会かもしれない。みんなの苦手な部分が見えてきて、どうにかしてあげたいと思っていたのだ。 ただ、ののかちゃんはすぐに結果が出たけど、苦手を克服するには、時間がかかるかもしれない。 転勤で中途半端で投げ出すことになったら、余計に苦手にしてしまうかもしれないな……。 「ええと……じゃあ、考えておくね」 僕はそう答えて保留しておいた。 「せんせー」 「やあ、ののかちゃん」 昼休み、いつもと同じように校庭の隅でぼーっとしているとののかちゃんがやってきた。 ののかちゃんは、みんなとサッカーや、ことねちゃんのようにうざぎの世話をしたりもしていない。 だから、こうやって僕のところに来ることを不思議に思われないみたいだ。 もちろん、こんな場所でエッチなことはできないし、別の子が来ることもあるけど、昼休みは二人きりになれる貴重な時間だ。 「みんなにほしゅーしてあげないの?」 他愛ない雑談をしていると、ふと訊いてきた。 「んー……ののかちゃんみたいに、 一人一人時間を取って教えなきゃいけないと 思うんだけど……」 「ののかちゃんと一緒に過ごす時間が 少なくなっちゃうけど……いいの?」 みんなに教えることの問題の一つがこれだ。 「せんせーは、みんなのせんせーだもん、 仕方ないよ」 こんなに気を使う子だったかな……? 「……無理してない?」 「むりなんてしてないよ。 少しくらい離れてても全然だいじょぶだよ」 「どうして?」 「だって、せんせーはのののこと 好きでいてくれるんでしょ?」 ののかちゃんはあっけらかんと言った。 ああ、そういうことか……。 別に大人になったわけでも、達観しているわけでもないみたいだ。 ののかちゃんは、初めから思った通りの素直な子だった。 僕の好きっていった言葉を疑うことなく、素直に信じている。 だから、何があってもブレないんだろう。 ある意味、プレッシャーでもあるけど、好きと言われるよりも、嬉しい気がした。 「そうだね。大好きだよ、ののかちゃん」 「えへへ、だよね」 学校を異動しても、愛情は変わらないと信じてくれてるんだろなぁ……。 それがわかったら、逆に離れがたい気がする。 好きだから……愛し合ってるからこそ離れるのが辛いってことを、ののかちゃんは、まだわかってない……。 でも、立派な先生になるためには、ののかちゃんとも離れなきゃいけない……。 僕は早く立派な先生になりたかった……。 ののかちゃんと同じ年頃に、僕に人生を教えてくれた先生のような……。 …………。 …………。 待てよ……。 別に僕の通っていた学校は名門でも有名校でもなかったけど、尊敬すべき立派な先生だった。 立派な先生になるってことは、名門校や有名校に行くことが絶対条件じゃない。 今さらながら、そんな事実に気がついた。 いい学校に務めれば、社会的にも認められて、両親も安心してくれる。 そんなこともあって、いつのまにか手段が目的になっていたみたいだ。 まだまだ先生として未熟な僕は、ここで頑張ることが立派な先生になる近道かもしれない……。 だったら、大好きなののかちゃんと別れてまであの学校に行く意味はないんじゃないか? 「どうしたの? せんせー」 「ごめん、ちょっと用事思い出した」 僕はここに居るべきだ。 少なくとも、ののかちゃんが卒業するまでは……。 そう思ったら、居ても立ってもいられなくなって、職員室に駆けだしていた。 昼食を食べ終え、お茶を飲んでいた校長先生に近づく。 「すみません、校長先生、今大丈夫でしょうか?」 「ええ、いいですよ。どうしましたか?」 「心岳学園のことですが……」 「ああ、それですか。 一度、先方が会いたいと言ってくるかも しれないので、その心づもりを……」 「そのことなんですが、 お断りしようかと考えています」 「え?」 「あれから色々考えて、 ここで教師を続けていきたいって 思ったんです……!」 校長先生は僕の顔をじっと見つめてきた。 「……わかりました。 お断りする旨、連絡しておきますね」 色々と訊かれると思ったんだけど、あっさり認めてくれた。 「ご面倒をお掛けして、申し訳ありません……」 「いえいえ、むしろ嬉しいですよ。 これからもよろしくお願いしますね、瀬田先生」 校長先生はそう言って、微笑んでくれた。 「はい」 きっと校長なりに気を使ってくれたのだろう。 とはいえ、この学校に残ることに関して、前向きに対応してくれたことにほっとして、自分の席に戻る。 「物好きですなぁ」 小野先生は話を聞いていたようで、少し呆れたように言った。 「ただ、残るっていうなら、 今度キャッチボールしましょう」 「……キャッチボール、ですか?」 どういうことだろう? 「最近やってないでしょ? きっと投げられなくなってますよ」 「ボールくらいちゃんと投げられないと 生徒にナメられますからなぁ」 「教師は生徒に舐められたらイカンですよ」 そう言って、ガハハと大きく笑った。 どうやら僕が残ることを小野先生なりに歓迎してくれてるみたいだ。 「どうしたんですか? 何か楽しいことでもありました?」 午後の授業の準備をしに、遥先生が職員室にやってきた。 「ああ、瀬田先生が異動を 断ったんですよ」 「え? 本当ですか?」 「はい、色々考えて、ここに残ろうかと」 「せっかくのチャンスなのに……いいんですか?」 「まだまだ、この場所で学ぶことがあると思って…… 改めてよろしくお願いします」 「そういうことでしたら、私がなんでも教えますよ」 そこまで真顔で答えると、急にふっと笑った。 「ふふ、なーんてね。 教わるのはお互い様ですよ。 こちらこそよろしくお願いしますね」 遥先生らしくないテンションの反応だった。 遥先生も、残ることを喜んでくれているみたいだな……。 僕は改めて職員室を見回した。 教頭先生がこちらを見ていて、目が合うと小さく頷いた。 これからも頑張りなさいってことかな。 ここの先生たちは、まるで家族みたいに親身になってくれる。 色々と教えてもらったり助けてもらったのに、その恩を返さずに、出て行かなくてよかった……。 僕が異動しないことを知って喜んでくれた先生たちを見て、僕はそう思った。 放課後になって、心岳学園への異動を断ったことをののかちゃんに伝えた。 「ここの学校で先生を続けていきたいから、 心岳学園には行かないことにしたよ」 「ええとぉ……」 「つまり、このまま来年も この学校にいるってことだよ」 「ホントに!? せんせーの夢は……いいの?」 「うん、僕の本当の夢は立派な先生になることで、 ここでもなれるってわかったからさ」 「それに、今は何よりもののかちゃんと 一緒にいたいんだよ」 「せんせー……」 ののかちゃんはそこまで言うと、急に黙り込んで俯いた。 「どうした?」 「のの、嬉しい!」 顔を上げると、ぽふっ、と抱きついてきた。 少しだけ無理してたのかもしれない。 すりすりと、顔を擦りつけてくるののかちゃん、やっぱり、可愛いなぁ……。 「好きだよ、ののかちゃん」 「ののも、せんせー、だいすきぃ」 その後、みんなに補習もするようになって以前よりののかちゃんと一緒に居る時間は減ってしまった。 今日は久しぶりにののかちゃんの補習の日の番で、二人きりの時間を堪能しつつ勉強をした。 すっかり遅くなってしまったので、僕はののかちゃんを家まで送っていくことにした。 「あ、そうだ、この前のことだけどね」 「……この前?」 「せんせーが、来年も一緒だって言ってくれた時、 すごく嬉しくて……」 「のの、ホントはせんせーとずっと一緒に いたかったの」 そう言って、照れたように笑った。 健気なののかちゃんが可愛くて、エッチなことがしたくて仕方なくなってしまった。 だけど、基本的にののかちゃんが求めてきて、それに応える形だったから、こっちからどう迫ればいいんだ? う〜ん……。 「ののかちゃん……」 「ん? なーに?」 無垢な笑顔で見上げてきた。 この子とエッチなことしたなんて信じられない……。 よりドキドキしてきたけど、余計に迫りづらくなってしまった。 結局、言い出せないまま、ののかちゃんの家の前まで来てしまった。 なんたる腰抜けだ……。 多分、お願いしたら断ることはないとわかってるのに、切り出すのが妙に恥ずかしいのだ。 「おうちについたぁ♪」 改めてののかちゃんを見つめる。 悶々とする気持ちはあるけど、これからずっと一緒だし、焦らなくたっていいよな。 「じゃあ、また明日ね」 「うん、バイバイせんせー」 ののかちゃんが自分の家に入るのを確認して、僕は踵を返した。 「先生っ!」 数歩歩いたところで、後ろから声をかけられた。 振り向くと、ののかちゃんのお母さんが外に出てきていた。 「どうしました?」 「ののかを送ってくれて ありがとうございます」 「いえ、むしろ遅くなってすみませんでした」 「補習してくださってるんですよね?」 「あ、はい」 「そのお礼も兼ねてなんですが…… 夕飯食べていきませんか?」 「ええと……」 「せんせー、ご飯一緒に食べよ」 ののかちゃんも戻ってきて僕を誘ってくれた。 ここはお言葉に甘えようかな。 ののかちゃんのお父さんも帰ってきて、家族全員との食事会となった。 「元気に育ってくれればいいって、 自由にさせてはいたんですが……」 食べ終わった頃にお父さんはそう切り出してきた。 「それでも、成績のことはまったく気になってない わけじゃなくて、多少気にはしてたんですよ」 「先生に教わるようになって 勉強が好きになってくれたみたいで、 安心していたんです」 「ええ、家でも勉強をよくするように なりましたし……」 「前は眠そうな目でいつも学校に行っていたのが 最近は学校に行くのが楽しくて 仕方ないって感じで家を出ていくんです」 「先生が来年もここに残ることになって 本当によかったって思ってるんですよ」 どうやら、僕がここに残ると知って、食事に招待してくれたみたいだ。 「ののかに一体どんな魔法を使ったんです?」 愛し合っているから、ののかちゃんをここまで変えられたっていうのはあると思う。 さすがにそのことを正直には言えないけど、ののかちゃんは僕にとって特別だってことはちゃんと伝えておきたい。 「魔法じゃなくて、一緒に歩むといいますか……」 「一緒に……ですか?」 「一方的に僕が教えるだけじゃなくて、 ののかちゃんに色々教えてもらってます」 「せんせー、ののに教わってるの?」 黙ってご飯を食べていたののかちゃんが訊いてきた。 「うん、そうだよ。ありがとね、ののかちゃん」 「ののかちゃんは僕にとって特別な存在で、 これからもずっと見守っていきますから」 そう言うと、ののかちゃんの両親は少し驚いたような顔をしていた。 まずいな、変に思われたかな……。 「ありがとうございます、 そこまでウチの娘を思っていただいて」 「これからもよろしくお願いしますね」 二人は僕の手を取って感謝してくれた。 僕とののかちゃんの関係をまったく疑っていないようだ。 安心したけど、なんだか嘘をついているような気持ちになる。 でも、今言っても変に波風立てるだけで、ののかちゃんにいいことはないだろう。 心の中で、謝罪しつつ、もう少し大人になったらちゃんと話そうと決意した。 あともう少しで、冬休みになる。 年末になって、補習だけでなく書類仕事も急に増えて、ますます忙しくなった。 仕事を終えて、学校を出るともう真っ暗だった。 「寒いな……」 ポケットに手を突っ込んで、帰ろうと足を動かそうとして……。 物陰に何か動くものがあった。 ……野生動物か? 「せんせー」 身構えたけど、ののかちゃんだった。僕を待っていたみたいだ。 「どうしたの? こんな時間に」 「せんせーと一緒に帰りたくて待ってたんだよ」 授業が終わってから、三時間以上は経っている。 寒空の下、一人で待っててくれたのか……。 「寒かったでしょ?」 「寒くないよ。せんせーを待ってるって思うと、 ぽかぽか温かいよ」 そう言って笑うののかちゃんは、とんでもなく健気で可愛い。 たまらなくなって、周囲も確認せずに抱き締めてしまった。 「ののかちゃん、待たせてごめんね」 「ううん、ののがせんせーと一緒に 帰りたかったんだもん」 「じゃあ、家まで送っていくよ」 手を繋いで、一緒に家路につく。 ののかちゃんの家まで十五分くらいだろうかそのために三時間以上も待ってくれた……。 申し訳ない気持ちになるけど、すごく愛されてるって実感する。 まさに公私共に充実してるって感じかな……。 ただ、一人で待つのは後で注意しておこう。これからもっと日が暮れるのは早くなるんだから。 「そうだ、明日は早く上がれそうだから 久しぶりに遊ぼうか」 「ほしゅー?」 「ううん、勉強抜きで」 「やったぁ」 「じゃあ、放課後またここで待ってて」 「うん」 急な仕事が入ったので少し遅くなったけど、約束した合流場所に急いだ。 「ののかちゃん」 昨日と同じ場所で待っていてくれた。 「あ、せんせー」 こっちに気づき、ブンブンと手をふるののかちゃんがとても可愛い。 「ごめん、待たせちゃったね」 「ううん、いいよ。 一人でのんびりしてるの好きだし」 そう言って微笑んだ。 多分、気を使ってるわけじゃなくて、本当にそうなんだろう。 そんなののかちゃんだから、僕もあまり気を使わなくてすむ。 一緒にいると、とても安らいだ気持ちになる。 僕にとっての癒し……こういうのは年齢差は関係ない。 改めて愛情が湧き上がり、抱き締めたい気持ちが溢れてきたけど、ぐっと抑える。 「それじゃ、今日は何して遊ぼうか?」 「んー、せんせーと一緒ならなんでもいいよ」 「なんでもいいか……」 僕としてはののかちゃんと一緒にいられるだけで楽しい。 だから、そう言われるのが一番困るなぁ……。 「あ、でも、疲れるのはいやだな〜」 「ははは」 ののかちゃんらしい言葉に苦笑いしながら改めて『何をしようか』と考える。 ののかちゃんにはあまり気を使わなくてもいいけど、周囲に対しては気を使わなきゃいけない。 あくまで生徒と先生って見えるようにしないと……。 「とりあえず、一旦家に帰って荷物を 置いてから考えようか」 「うん!」 二人で並んで家路を歩く。気持ち遅く歩くとののかちゃんと歩調が合う。 横にいるののかちゃんを見つめると、向こうもこちらを見上げてきた。 「せんせー、今日はなんで遅くなったの?」 「ああ、みどり通信に載せるから、二学期中に 表彰された人をまとめてってお願いされたんだよ」 みどり通信とは、先生たちが作る学校新聞だ。 学校でどんな行事が行われたか、これから何が行われるか、親御さんたちに見せることを想定して作られる。 その他、鐘マークが何点溜まったとか、表彰された人の名前なんかも載せる。 「次のみどり通信には、 ののかちゃんの名前も載るよ」 「おお〜」 ののかちゃんは夏休みの読書感想文のコンテストで入賞した。 読んだ本はなんてことない児童書だったけど、着眼点がよくってクラスの代表としてコンテストに応募したのだ。 贔屓目かもしれないけど、ののかちゃんは色々な才能を秘めていると思っている。 それが開花するのを、ののかちゃんを好きな人間の一人として見てみたい。 だけど、同時にそんな日が来たら、ののかちゃんが僕から離れていなくなってしまうんじゃないかって心配にもなる。 なんて、そんな先のこと考えても仕方ないかな。 「ののかちゃ――」 あ、あれ? さっきまで隣を歩いていたののかちゃんがいない? いつかじゃなくて、今いなくなっちゃったよ! 僕は妙な胸騒ぎがして、来た道を駆け出していた。 一体どこに行ったんだ!? ここにもいない……。 周辺をぐるりと回って戻ってくると、ののかちゃんが道の端に座っていた。 「の、ののかちゃんっ!」 「あ、せんせー」 「美野のおばちゃんに コレもらってたんだよ」 美野のおばちゃん?この辺に住んでる農家だったっけ? 駆け寄ると両手に大きな蜜柑を持って、こっちに突き出してきた。 「は?」 「ぽんかんだよぉ」 「勝手にいなくなっちゃダメでしょ?」 「いなくなってないよ? そこで美野のおばちゃんと挨拶したら せんせーがいなくなってて……」 「……そうなの?」 コクリと頷くののかちゃん。 僕が歩きながら考え事をしている間に、ののかちゃんが美野さんに呼び止められ、知らずに置いて行ってしまったってことか。 「私、知ってるんだよ。はぐれたらはぐれた場所で 待ってるのが一番だって」 「ああ、まあそうだよね……」 気抜けして一息吐くと、ののかちゃんは怪訝な顔をした。 「せんせー、ののを探してくれたの?」 「あ、うん、どこかに行っちゃったかと 思って心配したんだ」 そう言うと、急にすまなそうな表情を作った。 「ごめんなさい、せんせー……」 「いや、僕が焦りすぎただけだよ」 「焦んなくても、ののはどこにも行かないよ?」 「それに……もし、はぐれてもこうやって 元の場所で待ってるから、だいじょぶ」 ののかちゃんは、そう言ってぽんかんを手渡してきた。 「もし、せんせーが、向こうに行っちゃったとしても、 ずっとここで待ってるつもりだったんだよ?」 「そっか……」 ぽんかんを受け取り、ののかちゃんの頭を撫でる。 ののかちゃんはずっと僕を待っていてくれる。 ただ僕がしっかりしてさえすれば、ののかちゃんを失うことはない。 「せんせーが、ののを探して戻ってきた時、 ちょっと嬉しいって思っちゃった」 「そうなの?」 「うん、顔真っ赤にして、息ハアハアして……」 いわゆる『必死すぎ』という状態だろう……。 なんだか急に恥ずかしくなってしまった。 「か、顔を真っ赤にするのは当然だよ。 僕はののかちゃんが大好きだから」 『恥ずかしい』ところにさらに『恥ずかしい』台詞を言う。 マイナスにマイナスをかけるとプラスになる要領で、恥ずかしさを押し殺す。 「大好きな人がいなくなったと思えば……」 言葉を続けようとしたところで、ののかちゃんが手で顔を覆うようにして蹲った。 「……どうしたの?」 「ド、ドキドキしてきちゃった……」 そう言って見上げてきたののかちゃんの顔は真っ赤っかだった。 「はは、ののかちゃんも顔真っ赤だ」 「あー……うー…… なんかすごく疲れるよぉ……」 「ドキドキするの嫌?」 「ううん、でも、せんせー…… なんでこんなにドキドキするのかな?」 「仕方ないよ。 ののかちゃんが僕のことが大好きなんだからさ」 もうどうとでもなれと、恥ずかしい台詞を重ねると、ののかちゃんは顔を真っ赤にしながらも微笑んだ。 「そっか、じゃあ仕方ないね、えへへー」 一見いつもの締まりのない笑みに見えるけど、これは照れ隠しってことなのかな? 前よりののかちゃんのことを理解できた気がして嬉しい気持ちになった。 「もうはぐれないように手を繋いでいこうか」 「うん」 その後ははぐれることもなく、無事に橋本家の前までやってきた。 「ののかちゃん、ちょっと待ってて」 ののかちゃんを待たせて荷物を置きに家に入ろうと思ったんだけど、玄関のドアが開かない。 ……誰もいないのかな? えみちゃんとゆうきくんはどこかに遊びに行っているんだと思うけど……。 敦子さんはどうしたんだろう? 「敦子さん?」 声をかけながら、居間に入るとテーブルの上に紙が一枚置いてあるのに気がついた。 見ると『街のスーパーまで買い出しに行ってきます』と書いてあった。 街まで出たとなると、しばらくは帰ってこない。 つまり、今ならののかちゃんと二人きりになれるってことか……。 「ののかちゃん、誰も居ないみたいだし、 うちで遊ぼうか?」 外で待っていたののかちゃんにそう提案した。 「うん!」 ちょっと意味深なお誘いになってしまった気がするけど、ののかちゃんは笑顔のまま頷いてくれた。 「ぽんかんおいしいね」 二人で半分こして食べる。 「意外と甘いんだ」 「うん、はむ」 美味しそうに食べるののかちゃんは豪快だ。 皮ごとぱくっと食べて、種だけ出す。 「ほら、僕が剥いてあげるから」 一房、皮を剥いて、ののかちゃんに渡すと口を開いた。 「あ〜ん」 仕方ないので口の中に放り込むと、はむはむと、可愛らしく咀嚼する。 「んく……せんせーが剥いてくれたのあま〜い」 「そう?」 皮を剥くと、甘さが引き立つとかあるのかな? 「お礼にむいてあげる」 「え?」 自分で剥かないから僕が剥いてあげたのに……。 なんだか意味のないことをしている気もするけど……。 いいや、違うな。ののかちゃんが剥いてくれてるぽんかんを是非頂きたい。 「んしょ……」 ののかちゃんは手先があまり器用じゃないので、果肉をブチブチと潰しながら、時折果汁で濡れた指をペロとなめながら剥いていく。 普通なら汚いって言うところだけど、大好きなののかちゃんなら、望むところだ。 すっかりののかちゃんが大好きになってるんだなと改めて実感しながら、剥いてくれるのを待つ。 「今度はののが食べさせてあげるね」 「あーんして」 口を開くと、ののかちゃんが僕に食べさせてくれた。 なるほど、確かに甘い。 ただ、実際に甘いわけじゃない。好きな人に食べさせてもらってるから甘く感じるってだけだ。 こんなことしてくれるののかちゃんが可愛くてたまらない。 ぽんかんを食べた後は、僕の部屋に……。 「あ、これやろ!」 どう誘おうか考えているうちにののかちゃんは居間のゲーム機に食いついてしまった。 ゲーム機の近くに転がっていたケースをののかちゃんは拾うとパッケージを開けて、レースゲームのディスクを取りだす。 ののかちゃんが好きだからこそ、したいと言っていることを蔑ろにして、僕の欲求を優先することなんてできない。 仕方ない、ゲームで遊んでからだな。 そして、遊ぶなら楽しまないと! 「うん、やろうか。 この前は全然だめだったけど、 こっちのヤツなら負けないぞ」 こっちに来てからというもの、ゆうきくんとえみちゃんの相手をしていたため、それなりの自信はあった。 が、すぐコツをつかんだののかちゃんに、全く歯が立たない。あっという間に、僕より上手くなっていく。 「勝ったぁ」 「すごいな、ののかちゃんは」 「えへへー」 基本的に僕もののかちゃんは勝敗には執着しないので、いまいち盛り上がりに欠ける。 前の時のように、コントローラーは振動しないので、エッチな気持ちにもならないし……。 「そうだ、勝った方が、好きなところにちゅーして いいっていうのはどうかな?」 思い切って提案すると、ののかちゃんは僕を真っ直ぐ見つめてきた。 ちょっと露骨だったかな……。 それにしても、自分からエッチなことを言い出すのは恥ずかしい……。 「うん、それいい!」 そう言うとすぐに僕に抱きついて、唇を寄せてきた。 「ちゅ」 「んぅ? いきなり唇!?」 「えへへー、なんか甘酸っぱいね」 「そ、それは……ぽんかんのせいじゃないかな」 「そっかー」 僕も甘酸っぱく感じられたけど、少なくとも僕の方はそれだけじゃない気がする。 最近、あまりエッチなことをしていないから、ののかちゃんとのキスに胸が苦しくなるほどドキドキしている……。 「あぁん、負けた〜」 実力はののかちゃんの方が上だけど、結果はお助けアイテム次第というゲームの性質上、あれから勝ったり負けたりを繰り返していた。 そして、僕の方から何度目かのキスの番……。 「それじゃ、次は……」 完全にスイッチが入ってしまった……。 舌を伸ばし、ののかちゃんのほっぺたを舐め上げる。 「ん……れる……」 ののかちゃんのやわらかなほっぺた。この変態的な行為に激しく昂ぶってくる。 「ふふ……くすぐったいよぉ」 嫌がったりはしていない。くすぐったそうだけど、どこか楽しそうだ。 「せんせー、それちゅーじゃない、だめ〜」 「ぺろぺろするのも、ちゅーのうちだよ」 「んー、じゃあこんどは ののがせんせーのことぺろぺろしちゃうからね」 「もちろん構わないよ、 でも、僕に勝ったらね」 「じゃあ、次は負けないよぉ」 挑発したけど、されるのも悪くはないと思った。 でも、わざと負けては興ざめだろう。 正々堂々とやって負けなければ……! だけど、その後、何故か強力なお助けアイテムを引き当ててしまう。 悶々がピークに達したとき、ついにののかちゃんが勝った。 「やったぁ〜、かった〜♪」 「ふふん♪ せんせー、どこぺろぺろしてほしい?」 少し誘うような含み笑いを浮かべ、勝利の余韻に浸っているののかちゃん。 この流れで僕の部屋に行って―― 「ののかちゃん、僕の部屋に」 誘おうと、口を開いた瞬間―― 「ただいまー!」 玄関が開く音と共に、ゆうきくんの元気な声が響いた。 声そのものにも驚いたが、やましい気持ちがあり思わず身体が跳ね、エッチな気分が一気に冷めていく。 居間にやってきたゆうきくんは、すぐにののかちゃんに気づいた。 「あ、ののかおねえちゃん、きてたんだ」 「きてたよぉ」 動揺する僕とは違い、ののかちゃんはいつもと同じ様子だ。 「あ、カートやってる! ぼくもやるよ!」 「うん、みんなでやろ〜」 「そうだね」 僕もなんとか取り繕って冷静に答える。 これで、もうきっかけをなくしちゃったな……。 まあ、仕方ないか……。 しばらく、ゆうきくんを含めて遊んだ後、ののかちゃんを送っていくことになった。 夕方の肌寒い風が、僕の中の悶々としたものを冷ましてくれている。 「かゆいの?」 「ん?」 「ここ、何度も掻いてるよ?」 僕のヒジを指差しながら言った。 どうやら無意識で掻いていたみたいだ。 ここではじめて秋を越えたけど、気候が合っていないのか、体が乾燥して痒いときがある。 「寒くなったからかな、乾燥して痒くなるんだ」 「かんそー?」 「カサカサになるってことかな」 そう答えると、ののかちゃんは僕のヒジをさすってきた。 「うわぁ、せんせーのヒジかっさかさぁ」 そう言って、自分のヒジを僕に向けてきた。 「ほら、私はつるつるだよ?」 「どれどれ」 触ると、小っちゃいヒジはつるつるで、それでいてしっとりしている。 「あはは、ホントだ、肌触りいいね」 触っていると気持ちよくて、しつこく撫で回すとののかちゃんは笑い出した。 「あははっ、くすぐったいよぉ」 エッチなことをするのもいいけど、こういうのも楽しい。 他愛のない話とスキンシップをしながら、ののかちゃんの家の前まで辿り着いた。 「それじゃ、また明日ね」 そう言って、来た道を引き返そうとすると、僕の腕を掴んできた。 「せんせー、ご飯食べていかない?」 「んー……この前もご馳走になったしなぁ」 「パパとママが、せんせーをもっと呼んでって 言ってたよ」 「そうなの?」 「うん、もっと仲良くなりたいんだって」 どうしようかな……。 これからのことを考えると、仲良くしておくことには同意なんだけど……。 「わかったよ。でも、本当に大丈夫か お母さんに訊いてきてくれる?」 「うん」 頷くとののかちゃんは家に入っていき、しばらくすると、お母さんと一緒に出てきた。 「せんせー、大丈夫だって」 そういうことなら、またご馳走になるかな。 すぐに、ののかちゃんのお父さんも帰ってきて家族団欒に加わっての夕飯になった。 「ホントすごいの。 せんせーが取ったバッタ一番大きかったんだよ!」 今日の出来事を聞かれて、ののかちゃんにしては珍しく興奮気味に語っている。 課外授業で、裏山の虫たちを調べに行った時、みんなでバッタを取ったのだ。 「まあまあ、先生はバッタ取るの得意なんですね」 「あ、はい……」 「帰りに雲の名前も教えてくれたの、 先生なんでも知ってるんだぁ」 僕のことを、誇らしげに語るののかちゃんだ。 そんな風に言われるのはくすぐったさがあるけど、もっとくすぐったいのは、お父さんたちの目だ。 今日の出来事を語るののかちゃんだけじゃなく、僕のことも温かい目で見つめているのだ。 「いやぁ、そうなんですか、 ののかに色々と教えてくれて ありがとうございますね」 「い、いえ、ののかちゃん自身、 何でも興味があって非常にいいことですし……」 そんな感じで和気藹々とした食事会が終わった後、お父さんはプリンを出してきた。 「ちょうどプリンを買ってきたんですよ。 どうぞ食べてください」 ただ、プリンは三つしかない。僕が来ることは想定していなかったから、家族分だけ買ってきたんだろう。 「あの……僕は大丈夫ですから」 「私は美味しそうに食べているのを見るのが 好きなんですよ。だから、遠慮なさらずに」 こういう場合、あまり遠慮するのは、むしろ失礼だ。ここはおいしく頂くとしよう。 「わかりました。いただきます」 「パパ、それじゃ、私のあげるわ」 そう言うと、ののかちゃんのお母さんは自分のプリンを掬ってお父さんの口元に持っていった。 「はい、あーん」 「はむ……」 「ふふ、美味しそうにたべるパパ可愛い」 「いやいや、大好きなプリンを 半分くれるママの方が可愛いよ」 「もうパパったら」 す、すごく、仲いいんだな……。 「――はッ」 「――はッ」 僕が見ているのに気づき、顔を真っ赤にする二人。 「ラブラブですね」 見てないふりはもうできない。茶化して場を和ませようと試みる。 「らぶらぶぅ?」 「は、恥ずかしいところを……」 「いえ、夫婦が仲良くしている方が 教育上いいですし……」 「僕も将来、お父さんたちみたいにいつまでも 仲がいい夫婦でありたいと思いますよ」 「は、はは……」 「ねぇ、らぶらぶって?」 「ののかちゃんのお父さんとお母さんみたいな ことだよ」 「へぇ、そなんだ」 「え、ええと……先生には今、 お付き合いされてる方とかいるんですか?」 「え?」 反撃されてしまった……。 「それは……」 無意識にののかちゃんを見ようとしてしまって、慌てて視線を逸らす。 「ここに来たばかりですし、 今はののかちゃんたち生徒のことだけで 精一杯ですね」 「恋人はいらっしゃらないの?」 「はい…… あ、でも、いずれはと思ってますよ」 「じゃあ、ののか、将来の先生のお嫁さんに 立候補したらどうだ?」 ののかちゃんのお父さんが、急にののかちゃんに水を向けた。 「うん、りっこーほする」 どういうことかわかっているのか、ののかちゃんは右手を上げて立候補の意を示した。 「どうしますか先生」 どうやら茶化したことの仕返しみたいだ。 「先生が面倒を見てくれれば、安心だって この前食事した後、話してたんですよ」 「い、いやぁ……」 なんとも答えられず、そう言って頭を掻くと、お父さんはさらに迫ってきた。 「今は流石に早いけど、きっとののかはママに 似て美人になりますよ」 「もうパパったらぁ……」 「でも、ののかのこと、今から予約しておいた方が いいかもですよ? ふふふ」 「よやくよやくっ」 「は、ははは……」 既にもらう決意をしているので、逆になんとも答えられない。 それにしても、ののかちゃんの両親はぐいぐいくるな。 僕とののかちゃんをくっつける気なのかな?それともただの冗談? ここは深入りしない方がいいな。 「ええと……それにしても、またご馳走になって、 なんかすみませんでした」 慌ててプリンを食べると、話題を変える意味でもそう切り出した。 「いやいや、先生がののかを大切に思ってくれている ように、私たちも先生を大切にしなきゃいけないと 思ってるんですよ」 「自分の家だと思って、気軽に来てくださいね」 そう言うと、お母さんが席を立った。 「あ、皿洗いなら、僕がやりますよ」 ご馳走になったお礼を兼ねて、家事を手伝おうとしたんだけど……。 「先生はゆっくりしててください。 それにパパが手伝ってくれるので」 「ええ、できるときは、後片付けは二人で やってるんですよ」 そう言ってお父さんも席を立った。 本当に仲がいいんだなぁ……。 「夫婦円満の秘訣は、できることはなんでも 二人一緒にやるってことです」 「それじゃ、僕が入って邪魔しちゃ悪いですね」 「そういうことです」 「あ、そうだ、お風呂が沸いているので 入っていったらどうですか?」 「は?」 「外は寒かったでしょ、 ゆっくりしていってください」 「え、あ……」 「どうぞ、どうぞ」 この親にしてこの子ありとはまさにこのことか。 結局断れず、お風呂に入ることになってしまった。 湯船に浸かりながら、さっきのことを考える。 僕とののかちゃんをくっつけようとしてたけど、本気なのか……。 半分冗談だとしても、ちょっと嬉しかったりする。 「ふぅ……」 それにしても、あのぐいぐい来る感じ……ののかちゃんと同じだ。 やっぱり親子だな。 そんなことを考えて、思わず含み笑いをした瞬間、ゴソゴソ物音がした。 脱衣所で何かしてるんだろうか? そんなことを考えていると、急に戸が開いた。 「せんせー!」 「の、ののかちゃん!?」 ここではまずい。 僕たちの関係がバレないように、気を使ってると思ってたのに……。 「ママがおんがえししてきなさいって」 「お、恩返し?」 「せんせーの背中とか洗ってあげるんだよって」 お母さんから言われたってことか……。 「でも、なんで裸なの?」 「だって濡れちゃうよ?」 「まあそうだけど……」 両親が居間にいるのにさすがに変なことはしてこないだろうし……。 この場は大人しく背中を洗ってもらった方がいいな。 「わかったよ。綺麗にしてもらおうかな」 「うん!」 浴槽から出て、洗い場でののかちゃんに背中を向ける。 「頼むよ」 「じゃあやるね」 早速ボディソープで洗いタオルを泡立てて背中を擦りはじめた。 「んしょ、んしょ」 小さなかけ声と共に一生懸命洗っている。 「せんせーの背中おっきいね。 大変だぁ……」 「はは、疲れたら、やめてもいいよ」 「ううん、全部洗う」 めんどくさがり屋のののかちゃんが一生懸命やってくれているってことだけで価値がある。 「んしょ、んしょ……」 背中を洗われる心地よさに気づけばペニスが少し硬くなりはじめていた。 ゲームでキスの時も中途半端で終わったし、僕が思っている以上に体が欲求不満になってるみたいだ……。 「(南無南無南無南無南無……)」 気を紛らわせて、これ以上勃起するのを堪える。 「終わったぁ」 最後にシャワーで石けんを流して、背中洗いは無事に終わった。 なんとか勃起するのを堪えた。後は湯船に入って気を鎮めよう。 「ありがとう、あとはもう自分でやるからいいよ」 「まだおわってないよ……?」 「ひっ!」 背中にひやっとするものをかけられ、ビクンとした。 「ちょ、ちょっと、何したの?」 振り向いて尋ねると、ののかちゃんは満面の笑みを浮かべた。 「はちみつぅ〜」 ののかちゃんの手には、大きなはちみつのボトルが握られている。 「カサカサしたらはちみつがいいって ママが言ってたもん」 「え? お母さん、そのはちみつ体に塗ってるの?」 「これじゃないけど…… なんとかよーほーじょーから送られてくる はちみつ使ってるよ」 なんとか養蜂場という名前だと恐らく化粧品会社の事なのだろう。 「お母さんが使ってるのはたぶん化粧品だから。 それは食用だ。食べ物で遊んじゃダメだよ」 「んー……でも、はちみつははちみつでしょ?」 「まあ、そうなんだけど……」 「せんせー、ご飯たべてる時も、体掻いてたよ? だから、ののがはちみつぬってあげる」 「ち、ちょっと……」 「ぬりぬりしてあげるからね〜」 小さな手で、まずは背中からはちみつを塗り始めた。 毒じゃないし、まあいいか……。あとでお母さんに謝っておこう。 狭いお風呂場に、はちみつの甘いにおいが充満していく。 なんだか、お菓子の国の妖精と戯れているみたいな錯覚を覚える。 「ぬりぬり……ぬりぬり……よし」 僕の体の背中側を塗り終わったのか、ののかちゃんは僕の正面にきた。 「せんせー、手出して」 手を前に伸ばすと、特にヒジに丹念にはちみつを塗った。 「じゃあ体も塗りまぁす」 自分の胸にはちみつを塗って、それを擦りつけるようにしてきた。 「ん……」 ぬるぬるとした中に感じる、ののかちゃんの小さな突起がアクセントになり、得も言えぬ快感が襲う。 まずい……! 「あ」 はちみつを塗られる心地よさに、すっかり大きくなっているペニスを見て目を丸くしたののかちゃん。 格好悪いけど、隠すのも余計に格好悪い気がして動けない。 「……ここも塗る?」 「い、いいよ、ここはカサカサしてないでしょ」 「うん、いつもヌルヌルだよね」 『いつもはぬるぬるしてないよ』と言いそうになって口をつぐんだ。 今はそんなことはどうでもいい。早く塗ってもらって終わりにしよう。 「これで、終わりぃ」 「じ、じゃあ、後は流すだけだね……!」 頭上にあるシャワーヘッドに手を伸ばそうとすると、それを阻止されてしまう。 「流しちゃダメだよ?」 はちみつの成分が浸透するまで待つということだろうか。 はちみつまみれのまま待つのはかなり恥ずかしいけど仕方ない。 「流すなんてもったいないよ……」 「…………?」 そう言いながらののかちゃんは僕の体にしなだれかかってきた。 「はちみつ……おいしそう……」 少しうっとりした様子で胸板あたりに顔を寄せて舌を伸ばしてくる。 「な、何してるの?」 「? はちみつすきだからもったいないなぁって」 「ちょ、ちょっと、うわぁ」 「れるれる……れろぉ……れるぅ……」 僕の胸に塗ったはちみつを舐めはじめた。 シャワーで流しちゃダメってそういうことなの!? 「く、くすぐったいよ…… ののかちゃん、そんなぺろぺろしちゃダメ……」 「でも、ゲームで勝ったからののの番だよね?」 一瞬何言ってるのかわからなかったけど、すぐに、えみちゃんの家でやっていたゲームのことを思い出す。 「こ、ここでそれ言うの?」 「やくそくはやくそくだよ……ん……れる…… れる……ちゅ、れちゅ……」 舌の感触が心地よくて、無意識に体がビクビク震える。 「でも、僕の体をそんな風に舐めて…… き、汚くない?」 脇の下なんかも平気で舐めるののかちゃんに尋ねるとぶんぶんと首を横に振った。 「せんせーだもん、きたなくないよ…… れるれる……れる、れるれる…… ん……れるぅ……れろれろ……」 「ふ、くぅ……」 「ふぁ……ぽんかんと同じで…… 甘くなってる……おいしいよぉ……」 こんなこと、やめさせた方がいいんだけど、目を細めて幸せそうな顔をするののかちゃんを突っぱねることなんてできない。 こうなったら仕方ない。ののかちゃんが満足するまで大人しくしてよう。 「れるれる……れる……れるぅ……ちゅむ…… ちゅ……れるれる……ちゅむぅ……」 時折唇で啄むようにしながら、僕の体のはちみつを舐めていく。 「せんせー、もっとぺろぺろするね…… れるれる……ちゅむぅ……れるれる……」 柔らかい唇と舌の感触。 そして、ののかちゃんが身動ぎすると、軽くペニスが擦れる。 くせになりそうだ。 受け入れてしまうと、そこはもう天国だった。 全身舐められるのが気持ちいい。やましい気持ちと癒される気持ちで、なんだか全身が性感帯になったようだ。 「れちゅ、れる……せんせー……おいひ…… ちゅむ……ちゅ……れるれろぉ……」 「は、ぅ……!」 「はぁ……はぁ…… のの、体があつくなってきちゃった……」 「はぁ、はぁ……熱く? つ、疲れたなら、やめてもいいよ?」 名残惜しいけど、そう言うと、一旦舌を止めてののかちゃんはじっと僕を見つめてきた。 「……どうしたの? やめる?」 「……じらすのがいいんだって」 「……焦らす?」 なんの話だろう……? 「男の人はえっちしすぎちゃうと 飽きちゃうって……」 確かに一面的には事実かもしれないが、どこでそんな情報を仕入れたんだろうか。 もしかしたら、またどっかでエロ本を探し当てたのかもしれない。 「だから、せんせーとえっちなことしないように してたの……」 最近エッチなことをしてこなかったのは、そういう理由だったのか。 「でも、ののの方が我慢できなく なっちゃったよぉ……」 「体があつくなって……もう……」 「それじゃ、気のすむようにしていいよ」 「ふふ、はぁい♪」 嬉しそうに言うと、ののかちゃんは自分の股間を僕のペニスに当てて擦り立ててきた。 えっ!? 「ん……はふぅ……」 「……っ!」 急にペニスを擦られてびっくりしたけど、なんとか声を出すのを堪えた。 「気持ちいいよぉ……」 「き、気のすむまでって……?」 「……えっちするの」 そう言うと腰を浮かして、挿入しようとしてきた。 「ちょ、ちょっと待って、それはダメだよ」 慌てて制止させる。 「ん、んぅ……だめ?」 「お母さんたちに見つかっちゃうよ?」 前もここでエッチなことをしたけど、セックスはやり過ぎだ。 僕を信頼して、ののかちゃんを預けているのに、緊張感と罪悪感でどうにかなってしまいそうだ。 「でも、もっとせんせーと気持ちよくなりたい……」 両手を口元に持ってきて訴えてきた。 「と、とりあえず、前みたいに擦るだけで……ね?」 あざといくらいの可愛さに、僕は陥落しかけたが、なんとか堪えて折衷案を出した。 「……うん、わかった」 ののかちゃんは納得してくれたようで笑顔で僕の股間を擦りはじめた。 ぷにぷにのドテと割れ目の上をペニスが行ったり来たりする。 「うっ……あぁ……は……あぁ……ん…… あ……あぁ……ん、んぁ……あぁぁ……」 久しぶりだからかののかちゃんの様子が違う。 感度がいいみたいで、すぐに甘い吐息を漏らし、時折ビクビクっと震える。 「せんせー、変だよ……気持ちいいのに…… もっといっぱい気持ちよくなりたいって思って…… はぁん……ののえっちになってるよぉ……」 僕を焦らしていた?せいで、結果的にののかちゃんも焦らされているみたいになっているようだ。 前より快感に敏感に、貪欲になっている。 「はぁ、はぁ、だめぇ、おっきい声出ちゃう…… はぁん、あ、あふぅ……んん……あぁぁんっ」 「ののかちゃん、少し落ちついて ゆっくり擦ってごらん」 「だめぇ、止まらないよぉ……はぁん……んぅ……」 このままじゃ本当に大きな声を出してしまいそうだ。 なんとか気を逸らさないと……。 「ののかちゃん、どんな風に気持ちいいの? 僕に説明してごらん」 先生ぶってののかちゃんに返答を迫る。 「え? あ…… あ、んとね……体がむずむずしてるの……」 「それはかゆいってこと?」 「ううん、気持ちいいむずむずなの…… ふとももとひざのところがじんじんして……」 「はぁ、はぁ……でも、なんか足りないよぉ…… 前はこれで幸せいっぱいになったのに……」 やっぱり、ののかちゃんは敏感で貪欲になっている。 「はぁ、はぁ……せんせー、したいよぉ」 「い、いやダメだよ……」 「こんなにかたいのに?」 「今日は擦るだけで我慢して、ね?」 「ほら、これならもっと気持ちよくなれるでしょ?」 ペニスを太股の間に入れて、割れ目を擦りやすいようにした。 「んっ、おちんちんビクビクしてるのわかる……」 ののかちゃんの方からも、股間を押しつけてきた。 「ふ、ふぁ……こ、これ……いいかも…… ぞわぞわするよぉ……あ、あぁぁ……ふぁ……」 ペニスが立ち上がろうとして、ののかちゃんの可愛い割れ目に、ガッチリ挟まり込んでいる。 「ん……んぅ……んぁ……」 息苦しそうに肩を竦めている。 「そんなに強くして痛くない?」 少し辛そうなので問いかけると、ののかちゃんはフルフルと首を横に振った。 「だいじょぶ、気持ちいいよ」 快感が大きくなってるのは確かみたいだ。クリトリスが勃っているのがペニスでわかる。 「そ、それじゃ動くね……」 そう言って、ゆっくり腰を動かしはじめた。 「おさかなのエラみたいなとこが くりくり引っかかって、ぁ、んん! おまた気持ちいいよぉ……あ、あぁん……」 ののかちゃんが擦れて気持ちいいなら、当然、僕の方も擦られて気持ちいい。 「はぁ、はぁ……ののかちゃん、僕も気持ちいいよ」 「もっといっぱい気持ちよくなろ」 少し腰を浮かせて、亀頭を割れ目に擦りつけてきた。 「はぁん、ん、んぁ……あぁぁ……あ、あぁ……」 「先っぽだけ擦るなんて…… どこでそんなこと……おっ、くぅ……」 これは亀頭責めなのか?本当にどこで覚えてくるんだろう。 「ん、んっ……もっと、強くするね……」 そう言うと、更にグリグリ強く押しつけている。 敏感な亀頭を責めているのかと思ったけど、これは違う。 「……ののかちゃん? いれようとしてる?」 そう訊くと、ののかちゃんお馴染みの締まりのない笑みを浮かべた。 「えへへぇ……」 ばれちゃった、と言わんばかりの笑顔。 「だからそれはダメだって……」 「でも、せんせーも、気持ちいいでしょ」 「それはそうだけど……」 「だったらぁ……」 「ぼ、僕はののかちゃんと こうやって擦りつけてるだけでも気持ちいいよ?」 「ののはしたいよぉ」 久しぶりにぐいぐい迫ってきた。そんな、ののかちゃんを僕は止めることができない。 「の、ののかちゃん……」 「はぁ、はぁ……せんせぇ……」 肯定も否定もしないまま、無言で股間を擦り合わせる。 段々と割れ目が湿ってきた。それと同時に、ふぁっと甘酸っぱいにおいがして、たまらなくなってきた。 「せんせぇ……」 改めて腰を浮かして、挿入を試みるののかちゃん。先っぽがほんの少しだけめり込んだ。その瞬間―― 「ののかが迷惑かけてないですか?」 不意に聞こえてきたののかちゃんのお母さんの声にビクンと体を震わせる。 ののかちゃんのお母さんが脱衣所にいる。 のほほんとした声の調子から、僕たちが何をやっているかはわかっていないだろう。 でも、このまま入ってこられたら。 男が裸になっているんだから、そう簡単に中に入ってくることはないはずだ。だとするならば、落ちついて返事をすればいい。 まずは、平静を取り戻さないと……。 「迷惑なんてかけてないよ。 せんせーの体洗ってるだけ」 ののかちゃんが、いつもの調子で答えた。 ののかちゃんもビクンとしていたから驚いたことは確かだ。 先にののかちゃんが平静を取り戻したってことだろう。 ののかちゃん、僕なんかよりキモが座ってるな。 そんなことを考えていたら僕も落ちついてきた。 「ええ、綺麗にしてもらってますよ」 「それならよかった」 「ママ、このまま先生と一緒にお風呂入っちゃうね」 「先生に迷惑でしょ」 「はは、お風呂も広いので、 全然迷惑じゃないですよ」 「ゆっくり入ってもらおうと思ったのに…… すみませんね」 本当にすまなそうな声の調子。ののかちゃんのこと、僕が異性として見ていないと信じてるようだ。 それなのにこんなことしている自分。 罪悪感はあるが、それが背徳感となってペニスはますます硬くなる。 「じゃあ、先生、ののかのこと頼みますね」 「ええ、任せてください」 脱衣所から立ち去ってもしばらく大人しくして様子を窺った。 扉の向こうからの気配はない。恐らく居間に戻ったのだろう。 「せんせぇ、つづきぃ……」 もどかしそうに訴えてきた。 「ののかちゃん、やっぱりセックスはやめよう」 少しペニスがしぼんでしまったこともあり、やはり先ほどの言葉を聞いてしまうと、親御さんに申し訳ない気がしてしまう。 「え〜、いやだよぉ……」 当然の反応だろう。 「やめる代わりに、 僕が動いて擦ってあげるから」 「せんせーが?」 「うん、僕に任せて、ののかちゃんは 気持ちよくなることだけ考えていいからね」 「やったぁ、せんせーにおまかせ〜」 してもらえるのが嬉しいみたいで、ののかちゃんは素直に頷いてくれた。 そんな無邪気な笑顔に僕のペニスは再び硬さを取り戻し、ののかちゃんのお尻からちょこんと顔をだす。 期待に応えないとな。 手でののかちゃんの腰を支えながら、割れ目に強く擦りつけるように腰を動かす。 「ん……んぅ……」 挿入してしまわないように気をつけながら、ふにふにとした二つの丘をかき分ける。 「せんせーが動いてくれて……うれしいよぉ…… あ、ああぁん……ふぁ……ああぁ……」 太股に力を入れてガッチリペニスを挟んできた。 「くぅ、そ、それいいよ……」 むっちりとした太股の感触にまるで挿入している気分になってくる。 「んっ、んぅ……んっ……あぁ……ふぁ…… あぁ……ん……くぅ……んぁ……はぁん……」 「ののかちゃん、気持ちいい?」 「うん、自分で動くのと……ぜんぜん、ちがぅ…… あ、あぁ……ふぁ……ん、ん……くぅ……」 とろんと目を細め、幸せそうな顔をみせるののかちゃん。 このまま本番はなしでいけるだろう。 もっとも、今、この行為自体、やっていいことではないが……。 「ふぁ……おちんちんビクビクしてきた…… すごいよぉ……」 やっぱり、僕は変なのかもしれない。 いけないことをしていると思うと、ペニスが反応してしまう。 でも、それはののかちゃんが好きであればこそだ。 「もっと気持ちよくなっていいからね」 「せんせーも気持ちよくなって…… あ、あぁん……ん、んぁ……2人で一緒にぃ……」 「大丈夫。僕も気持ちいいよ……」 「よかった……せんせーと一緒に……んん、ふぁ…… いっぱい気持ちよくなるの……あ、ふぁぁん……」 太股はすべすべだし、割れ目はますます滑ってきて気持ちいい。 「ん、んぁ……くぅ……うぅ……あっ……はぁ…… はぁん……ん……んん……はぅ……ん……」 何よりふっくらとした恥丘が、程良い圧迫感を与えてくれる。 そんな快感をもっと求めたくて、つい加速しそうな腰を抑え、優しく丁寧に擦る。 「ふはぁ……せんせー、もう少し激しくしても、 大丈夫だよ?」 ののかちゃんのお言葉に甘えて、少しだけ速く腰を動かす。 「はぁ……こ、こすれるぅ……はぁ……はぅっ んん……あぁ……んぅ……あぁぁ……んぁっ」 愛液とはちみつが僕のペニスでミックスされ、さらにスムーズに動けるようになってきた。 「せんせー……おまたあついぃ、はぁ……んぅ あっ、ふぁ……ん、んぁ……あぁぁんっ、 あっ、あん……ふぁ、んん、ああぁん……」 もう完全に喘いでしまっている。 「の、ののかちゃん少し声抑えて」 段々大きくなっていっている声を注意する。 「んぅっ、はぁっ、あっ、あ、あぁっ……んん、 でも、ふぁ、体が……あ、ああぁ……んぅ……」 「はぁ、はぁ、体がどうかしたの?」 「気持ちよすぎて、声を、止められないの…… で、出てきちゃう、ああぁぁん、んんんんん……!」 まるで全身が性感帯になったかのように、少し動くだけでびくびくと身悶えする。 「ふぁ……んっ、んっ、はあっ、あっ、ああっ、 ふぁ、あぁ……せんせーは気持ちいい?」 「うん、気持ちいい……」 「うれしい……ああっ、あ、あ、あああっ、 一緒だともっと感じちゃうよぉ……」 ののかちゃんはもう止まらない。一段と体をブルブルと震わせる。 早くイかせてしまった方がいいかもしれない。 「ののかちゃん、僕の体舐めて」 声を塞ぐために、ののかちゃんに体を舐めさせつつ腰を動かす。 「う、うん……れるれる……甘いよぉ……ふぁ…… れる、れる、ちゅぱ……れるれる……ぺろぉ……」 「くぅ……すご……い……」 素股しながら舐められて、僕の方がより興奮してしまう。 「せんせー……れるれるぅ……れる、はぁん…… れるれる……すごくおいしいよぉ……」 「んぅ、れるれるぅ……んぅ……れるぅ……」 絶頂寸前まで昂ぶっていたののかちゃんははちみつを舐める行為に必死になり、少し落ち着いたようだ。 一方の僕は、体を舐められる感触とペニスで濡れ濡れな割れ目を擦る感触に激しく昂ぶってきた。 「くぅっ……!」 ののかちゃんを気持ちよくさせると言っておきながら、僕の方が先に限界を迎えていた。 「はぁ、はぁ……ん、ぁん、 ぴゅってせーえき出すの? ぴくぴくしてるよ?」 「ご、ごめん、もう……出そう」 「ん、は……い、いいよ、 はぅ、んん……出して、気持ちよくなって……っ!」 ののかちゃんに許可をもらったらもう耐えきれなかった。 「あ、ああ……出るよっ!」 「うれしい、いっぱいぴゅってして!」 最後に腰を突き出すようにして割れ目を擦り上げ、込み上げてきたものを解放した。 「くっ……!!」 「う、うう……」 「あったかぁい……おまたでビクビクして…… とろとろしたのが……ぁん、ん、はぅ」 割れ目の上を伝ったのか、時々甘い喘ぎ声を漏らしながら僕の精液を感じ、うっとりしている。 「はぁ、はぁ……いっぱい、でた?」 「う、うん……」 質問に答えながら、射精を続ける。 「気持ちいい?」 「う、うん、気持ちいいよ」 まだ、質問に答えながら、射精を続ける。 「どんな感じに?」 「こ、腰がとろける感じ……」 まだまだ、質問に答えながら、しつこく射精を続ける。 「まだ出てる?」 「う、うん、出てるよっ」 質問に答えながら、もう一回腰を打ちつけ迸らせた。 「それはののがすきだから?」 「はぁ、はぁ……うん、大好きだからだよ」 「ふふ、やったぁ」 ののかちゃんはイッてないので、射精しながら質問攻めにあってしまった。 だが、なんかそれもいい。 先生として生徒に質問されるのは大好きだ。それと射精の快感……これはちょっとした新境地だった。 ぐったりとしていると、ののかちゃんが迫ってきた。 「せんせー、いいよね? ここおっきいままだしせんせーもしたいよね?」 まだ、勃起したままのペニスに指をかけながら訴えてきた。 溜まっていたので、一回出したことですっきりするどころか、よけいに滾ってきている。 それに、ののかちゃんをイかせることができていないのでこちらに引け目もあって突っぱねることができない。 「いいよね……?」 そう言うと、腰を浮かし、亀頭を膣口に当て、そのまま下ろしてきた。 「くっ」 「は、あぁぅ……」 ずぷぷと、音を立てながら入っていく。 「は、入ってきたぁ…… あ、あふっ……んん……はぁぁ……」 絶頂したばかりということもあり、敏感な亀頭がひだで刺激され思わず呻いてしまう。 「はっ、くぅぅ……!」 中は濡れ濡れで、あっさりと僕のペニスを咥え込む。 だけど、緩いわけじゃなく奥まで挿入した瞬間、強烈に締めつけてきた。 まるで僕の形を覚えたかのような締めつけだ。 あのキツかった膣がこんな風になるなんて、ちょっとした独占欲に溺れる。 いや、今はそれどころじゃない。 「の、ののかちゃん、勝手に入れちゃダメだよ」 「せんせー、ののとせっくす嫌なの?」 「い、いや、嫌なわけないよ」 「じゃあいいよね? ね?」 少し気を紛らわせるように注意してみたが、こんな状況でも、ののかちゃんはぐいぐいくる。 親子相伝の押しの強さは、僕には好ましいものに思えた。 仕方ない、親御さんに見つかったら土下座して謝った後、その場でプロポーズしよう。 「わかったよ、じゃあ。 気持ちいいセックスしようか」 「うん」 腹を括って、ののかちゃんを下から突き上げる。 「ん、んっ、あ、あぁ、これすきぃ…… せんせーが動いてるのわかる……んんっ」 「はぁ、はぁ……ののかちゃんっ」 名前を呼びながら突き上げる。 「はぁんっ、い、いつもと同じずんずんなのに、 なんかっ、あっ、ちがう感じ……あついよぉ……」 結婚するという決意をしてのピストンだ。精神論で言えば違って当然だ。 「ののかちゃんのお母さんとお父さんみたいに、 僕たちもラブラブになろうね」 「はぁ、はぁ……らぶらぶ? どうするの?」 「大好きって気持ちを いっぱい相手にぶつけるんだよ」 言った通りに、大好きと想いながら腰を送り込む。 「あ、あぁん、ふぁ……んんっ、 こ、このずんずんがらぶらぶなの?」 「そうだよ、これ好き?」 まるで子宮口を開かせるように、大きく、力強くノックしていく。 「ずんずん、すきぃ、もっとらぶらぶしてぇ、 あふっ、んぅ、あぁ……あ、あん……ああぁん」 「はぁ、はぁ……ののかちゃん、僕で思いっ切り 気持ちよくなっていいからね」 「ん……あぁ、あんっ、いいよぉ、 せんせーもいっぱいのので気持ちよくなってぇ」 ののかちゃんの体に手を回し、固定して自身の腰を押し出す。 「ああぁ! いっぱい感じちゃうっ、あ、あぁっ、 せんせー、だいすきぃ、あ、あぁん、ふぁぁっ」 お互い気持ちをぶつけ合って求め合う。しかし敏感な僕の下半身はあっという間に限界がくる。 ま、まずい。今度は一人で先に射精するわけにいかない。 「くぅ……はぁ、はぁ……」 射精を遠ざけるために、腰の動きを緩慢にすると、ののかちゃんは不思議そうな顔をした。 「はぁ、はぁ……せんせー?」 「え、ええと……ヒジはどうなってる? つるつるになってるかな?」 ののかちゃんにヒジを向けると、顔を寄せて舐めてきた。 「れるれる……んちゅ、れちゅぅ……」 「ちょ、ちょっとっ」 「カサカサのヒジ……ののが舐めてつるつるに してあげるね」 「れるれる……」 体を丸めて、僕のヒジを丹念に舐めてくれている。 「甘い?」 「あまいよ、それで、 せんせーの味とまざっておいしいー」 どういう味か想像もつかないけど、僕にラブラブしてくれてるから美味しいんだろう。 「じゃあ、僕にも舐めさせてよ」 そう言うと、ののかちゃんは僕のヒジをこっちに押し出してきた。 「そうじゃなくて、ののかちゃんのだよ」 「のののヒジ? はちみつ塗ってないよ?」 「大好きなののかちゃんが僕のヒジを 舐めてくれたんだからこっちも 舐めてあげたいんだ」 「う、うん」 セックスの時より恥ずかしそうにヒジを向けてきた。 「れるれる」 「きゃう」 「ふふ、ののかちゃんも甘いよ?」 恥ずかしがるののかちゃんははちみつがついていたのか実際甘かったし、ののかちゃんへの想いもありより甘く感じた。 「ホントに?」 僕に甘いと言われて自分のヒジを舐めようとして、 「あれ、ヒジ舐められない」 体の構造上、自分のヒジって舐められないんだ。はじめて知った。 ののかちゃんのおかげで一つ勉強になった。 「ふふ、ののかちゃんがヒジを舐めたかったら、 僕がいつだって舐めてあげるから」 「あ、ののも舐めてあげるよ」 そんな馬鹿なことを誓って笑い合う。 挿入したまま、ヒジを舐め合うのは楽しかったけど性感にはつながらず、だいぶ射精が遠のいた。 「それじゃ、続けるよ」 そう言って腰を動かす。ガッつかずにゆっくりと……。 「あぁ……またきたぁ……ふぁっ、ん……んぁっ、 んんん……ふぁ……あぁん、ふぁ……」 「あ……あ、あれ……すごく感じちゃう……」 「これくらいでも気持ちいい?」 「うん、せんせぇのがゆっくりこすれて…… これもすきぃ……はぁ、はぁぁん……」 さほど激しくしているわけじゃないのに気持ちよさそうだ。 僕はこれまでセックスを性欲処理の方法の1つくらいに思っていた。 しかし、自慰などとは全く違う、ゾクゾクするような昂ぶりを感じる。 お互いの体に慣れて、本当のセックスの快感を感じることができたってことなのかもしれない。 いや、それもあるけどお互いが好きっていう気持ちが高まっているせいかもしれない。 「好きだよ、大好きだ」 「すきって言われるの嬉しい…… ののもせんせーだいすきぃ」 「んぅ……ののかちゃん、 いつか二人で子供つくろうね」 好きって気持ちが高じて、僕はそんなことを口走っていた。 「うん、せんせーと、こどもつくるっ」 まだキテないからできないけど、子作りのつもりで、ののかちゃんとセックスを続ける。 「ん、んん……あ、ああっ、せんせーの、かたいの、 形がよくわかるよぉ……あ、あぁ……あん……」 「はぁ、はぁ……ののかちゃん、ののかちゃん……」 「あ、あぁぁ……せんせー、はぁ、はぁ…… のの、気持ちいい……あ、あぁん……ふぁ……」 締めつけつつ、ペニスから精液を絞ろうと、膣が甘くうねうね動いている。 「ん、んんっ! くぅっ!」 ののかちゃんの上体の様子も変わった、体を竦めるようにして震えている。 「ののかちゃん、もしかしてイキそう?」 「うん、も、もう……ちょっとで……」 今度はののかちゃんが先にイッてしまいそうになっている。 ののかちゃんを先にイかせてもいいんだけど、ここまできたら昂ぶりを重ねてみたい。 「もう少し我慢して、一緒にイこう」 「う、うん、が、我慢する……!」 自分を追い詰めるために、腰をできるだけ速く動かす。 「はぁ、はぁ……!」 「ふぁ、あぁんっ! ん、んん……! あ、あぁ……んんっ! が、がまんっ、がぁっ」 ひときわ大きく口を開いた途端、ダラダラと涎が零れてきた。 「ぁん、せんせーの顔にののよだれ…… はぁ、はぁ……ご、ごめんなさぃ……んふぁっ」 僕の口の中にも垂れてきた。 「ん……甘くて美味しいから、 気にしなくていいよ」 ののかちゃんの味を堪能しながら、腰を突き上げる。 「ずんずん……す、すご、ああ ああぁ……! あ、あぁ……ああぁぁ……ん、んんんっ!」 「はぁ、はぁ、も、もうちょっと」 「ひぃ、あふぅ、あ、ぅ、あぅぅぅ……!」 イクのを我慢しすぎなのか、喘ぎ声がおかしくなっている。 「もうらめぇ……ふぁ、んんっ! せんせぇ……あ、あっ…げんかぃ……!」 「あぅ、はっ……せんせーも、まだぁぁ! んぁ……あ、ふぁ、あっ、あああっ!」 一段と熱くなった膣が、ペニスに吸いつきながら搾るように強く締めつけてきた。 「うっ、ぐ……っ!」 「あっ、ん、んんんっ! んんんんんんっ! いぅッ! んんんんーーーーーーっ!」 「もういいよ、一緒にっ!」 「ぅんっ!」 とどめと言わんばかりに目いっぱい腰を打ちつける。 「ん、んんんっ! ん、んんんんんっ!」 僕の上でののかちゃんが、激しく体を震わせる。 小さな子宮口に少しでも僕の種が入るようぴったりとくっつける。 ののかちゃんに僕の種で孕んでほしい。 現実には無理なんだけど、そんなことを考えながら、ののかちゃんの一番奥ですべて出しきった。 「ん、んんんんんっ! んんん、んんんんっ! ん、んんっ! んーーーーーっ!」 ののかちゃん自身も本当に子供がほしいかのように、膣内は一滴残さず吸い出そうとうごめき続ける。 「ん、んーーーーーーーーーー…………!」 声を詰めて、大声を出さないようにしている。 愛情を込めて精液を注ぎ込んでいく。それが鳥肌が立つほど気持ちいい。 「んっ! ん、んんっ! んーー……」 強烈な絶頂。意図的に絶頂を合わせて、二人同時にイクとここまで感じることができる……。 「あ、あ……ふぁ……」 「はっ、あぁ……」 射精が終わると次の快感が待っていた。 下半身が融けて、一つになっているような感覚。ふわふわとした快感がなかなか終わらない。 こんな幸せな絶頂ははじめてだった。 これが本当のセックスなのか。 「せんせー、すきすきぃ……」 「はぁ、はぁ……僕も大好きだよ……」 お互いの息を交換するかのような距離で何度も告白しあう。 そうやって絶頂の余韻を十分に楽しんで、最後に僕たちは長い長いキスをした―― 「せんせー、はちみつー」 改めて僕に抱きついて舌を伸ばしてきた。 「待った。汗と色々な汁がまじってるし、 もういいから」 ののかちゃんを押し止めて、さっさとシャワーではちみつを流してしまった。 「あぁ〜あ、もったいなぁ」 「そんなことより、ののかちゃんの体を洗うよ」 まだはちみつを舐めたそうなののかちゃんに苦笑いしつつ、洗いタオルを持って手招きする。 「じ、自分で洗えるよぉ……」 真っ赤にして、僕からタオルを取った。 「そう? じゃあ、僕は風呂に入ってるね」 ののかちゃんはあまり恥ずかしがったりしない。 でも、ののかちゃんはののかちゃんなりに恥ずかしいポイントがあるみたいだ。 ヒジを舐められるのも恥ずかしがっていたし、今後ののかちゃんの恥ずかしポイントを探すのは楽しいかもしれない。 しばらくして、ののかちゃんが体を洗い終わると一緒に湯船に浸かった。 「ねえ、せんせー、 私もみどりつーしんみたいなの作ってみたいなぁ」 「みどり通信……学級新聞ってこと?」 「うん、それそれ」 学校の人数が少ないので、定期的な学級新聞を作っていなかった。 でも、作ること自体いい経験になるし、やってみるのもいいかもしれない……。 「新聞作るのって結構めんどくさいよ。 それでも作れる?」 「うん」 「よし、今度のホームルームで提案してみようか」 それにしても……。 「ふふ」 「ん? どうしたの」 子作りエッチをしたのに、こんな普通な学校の話をしているのがなんだかおかしかった。 結果的に言えば、土下座してプロポーズはしなかった。 二人きりになったののかちゃんの両親の方もこっそりいちゃいちゃしていたみたいだ。 僕たちのことを感知する余裕はなかったみたいだ。 んー……似たもの親子? 僕もいずれは、あの両親の息子になるかもしれないので、そういうことでいいかもしれない。 将来の義理の両親に帰りの挨拶をして家路についた。 家に帰ると丁度えみちゃんがお風呂から出てきたところだった。 「あ……帰ってたんだ……」 「ただいま」 「ののかちゃんの家のご飯美味しかった?」 ののかちゃんの家でごちそうになる前に連絡は入れておいたのだ。 「うん、美味しかったよ」 「ふ〜ん……」 「最後にプリンが出たんだけど、 それがすごく美味しくてね」 「…………」 えみちゃんの目がなんだか冷たい。 「もしかして、プリン食べたかった? それならどこで買ってきたか聞いてきて……」 「違うっ」 「おねえちゃんは、ぼくたちだけであそんだのを おこってるんだよねー」 「ああそうか」 ののかちゃんとは入れ違いみたいになっちゃったからな。 「じゃあ、今度一緒に遊ぼうか」 「あ、ぼくもあそぶー」 「も、もういいもんっ」 えみちゃんはそう言うと、自分の部屋に行ってしまった。 いったいどういうことだろう……。 「うふふ、まあ気にしないで大丈夫よ」 台所にいて話を聞いてた敦子さんがそう言って苦笑いを浮かべた。 不機嫌な理由、敦子さんにはわかってるのかな……。 ゆうきくんも全然わかってないみたいだし、女の人にしかわからない理由かな……。 今日は、色々あったなぁ……。 残った仕事をしながら、今日一日のことを思い出す……。 ののかちゃんの両親、ラブラブだった……。 あんな中で育ったからののかちゃんがのほほんっとした性格なのかもしれないな。 そんなことを考えていると、ドアがノックされた。 「どうぞ」 なかなか中にはいってこない。 「入っていいよ」 「ここでいいよ……」 「えみちゃん?」 「お、お兄ちゃん、今度遊ぶ約束……いい?」 「あ、うん、いいよ」 「二人でだよ?」 「わかった」 「だったら、ゆるしてあげる」 よくわからないけど、僕は許されてなかったみたいだ。 「じゃ、じゃあ、おやすみね」 「うん、おやすみなさい」 足音が遠ざかっていく。 僕と二人で遊びたかったってことだろうか。 なんか嬉しいな……。 ここには僕を必要としてくれている人がいっぱいいる。 その人たちの期待に応えていきたい。 そんなことを思いながら、ふとヒジを掻いている自分に気づいた。 ああ、僕は本当に無意識に掻いてたみたいだな。 改めてヒジを触る。 「あ、つるつるになってる」 その言葉は、まさに寝耳に水だった。 「え? もう一度言ってもらえる?」 昼休みにいつもの場所で二人で話していると、ののかちゃんが言ったのだ。 「もいっかい?」 「うん」 「しゃ、せ……カンリ……? たしかこんなことばだったよ」 「かん字がむずかしかったから、 おうちの辞書でしらべたんだ〜♪」 毎度の調子で突拍子もないことを聞いてくるののかちゃん。 しかも今度はわからない漢字を調べてきたらしく、いつにもまして自信たっぷりの様子だ。 すでに管理されている気もしなくもない。 「(要するに、悶々としないように定期的に……?)」 よからぬ妄想に思わず下半身が反応しかけ、頭を振って冷静さを取り戻す。 正しく理解しているのかは別としてそういった内容であればしっかり断っておく必要がある。 ののかちゃんとエッチなことをするのは嫌じゃないししたくてたまらない時もある。 しかしこれは話が行き過ぎている。 何と説明すればいいものかと、さまざまな言葉が頭の中を漂う。 その行為自体は欲求を解消するためにするわけじゃなく―― 「(違うな……)」 お互いの気持ちが高まった時にする愛のいとなみ……愛情を確かめる行為であって―― 「(――何と説明したものか)」 「ええと、なんでそんなことしたいのかな?」 僕の気持ちを押しつけるんじゃなく、そんなことを言い出した経緯、まずそれを訊いてみることにした。 「その方が、せんせーをいっぱい気持ちよくして あげられるでしょ?」 若干、興奮気味に言う。 「……ど、どうしてそう思ったの?」 「ふふん、べんきょーしたの」 記憶を辿ってみるが、秘密基地での一件ではそんな内容はなかった気がする。 この前も飽きないように僕を焦らすって言っていたし、もしかして別の“本”が存在するのだろうか。 「ののかちゃん、何か別の本を 見つけたりした?」 「うん、見つけた。落ちてたの」 そう言って、にっこりと笑った。 どうやらまた見つけてきたらしい。 家庭訪問のときにも感じたが、ののかちゃんは基本インドア派だ。 数少ない外出の上、このエンカウント率に昔のことを思い出す。 その手の本を見つけるのが異様に上手い、通称、トレジャーハンターと言われるヤツがいた。 きっとそのハンターがののかちゃんなのだろう。 「本のこと、どうして僕に教えてくれなかったの?」 「だって、せんせーに言っちゃうと ぼっしゅーされるから……」 「先にぜーんぶみて、 おべんきょうして、覚えたの」 そう言われて僕は複雑な気持ちになった。 自分で学ぶ力がついている。僕の教育の成果が出ているようだ。 それは嬉しいことだが、この場合は悪い方向に作用している気がする。 「……どしたの?」 僕の表情を読み取ったのか、ののかちゃんは困ったような顔を向ける。 自ら率先した行為に対して安易に違う、とは言いたくない。 「その……射精管理をどうするかの前に、 僕にもその本を見せてもらえるかな?」 推測で判断せずに、見てから色々話そう。 「じゃあ、こんどみつけたところに一緒にいこう」 「うん、わかった。約束ね」 改めてその場所を訊こうとしたところで、クラスの男の子たちが近づいてくるのに気がついた。 咄嗟にエロ本の会話を中断する。 「先生っ」 「どうしたの?」 「俺らでリフティング勝負するから シンパンしてよ」 「お? いいよ、やってごらん」 最近、他のクラスの生徒たちがこの場所にやって来ることも多い。 それは教師としては、嬉しいことだが……。 みんなが来るようになって、ここでののかちゃんとのんびり話すことができなくなってしまったのも事実だ。 横目でののかちゃんの様子を見ると、リフティング勝負をしている子たちを少し離れたところで見て笑っていた。 いつもと変わらない笑顔のはずなのに、なぜか僕の胸の奥がチクリと痛んだ気がした。 それから数日後、放課後の時間を使ってののかちゃんと例の本を見に出かけた。 あのあとすぐ、くらいに優先させたかったのだが、色々と忙しくて時間が取れなくなってしまった。 学校を出てしばらくすると、以前のように美野さんに出会い、走っていくののかちゃん。 またぽんかんをもらったのだろう。両手におおきなぽんかんを抱え、とことこと帰ってくる。 「そういえば美野さん? だっけ。 神社の新年会を楽しみにしてるって 言ってたけど、何かあるの?」 僕は先ほどののかちゃんが言われたことを訊いてみた。 「毎年、おじいちゃんおばあちゃんの前で 歌をうたってるんだよ」 「ああ、そういうことか」 新年にやる敬老会みたいなものかな。 「歌が終わると、いっぱいおかしもらえるんだ」 「それで行くんだ」 「えへへ」 嬉しそうな恥ずかしそうな笑顔を返すののかちゃん。その笑いは肯定ってことだろう。 ののかちゃんの人見知りしない性格は、お年寄りに愛されそうだ。 そんなののかちゃんが歌をうたえばちやほやされるのもわかる。 「今年はせんせーも一緒に行こ?」 「んー……」 ここにしばらくはいるって腹を括ったんだ。行事に積極的に参加してこの町に馴染むべきだと思う。 「そうだね、僕も参加するよ。 それでののかちゃんの歌を楽しみにしてる」 「うん!」 それにしても、新年会があるなんて知らなかった。 僕はこの町のことを何も知らない。改めてそんなことに気づいた。 バス停までの道の途中で、民家が一切ない区間がある。 「もう少し先だよ」 のどかな道を歩きながら、はじめてこの町に来た時のことを思い出した。 都落ちしたっていう気持ちだった気がする。 僕はこの典型的な田舎町であるここを早く抜けたいって思っていた。 「ののかちゃんはこの町のこと好き?」 「だいすき」 何気なく口にした問いに、ののかちゃんは、迷いなく答えた。 「せんせーは?」 まっすぐ返ってきた質問に、なぜかすぐには返事できなかった。 「(僕はどうなんだろう……)」 あの時とは違うけど、大好きと言うほどの思い入れはない。 「――正直に言うと、よくわからないかな」 「………」 僕の曖昧な答えにののかちゃんは、残念そうに目を伏せる。 期待にこたえられる回答ではなかったのだから仕方ない。 今の僕なら何となくわかる気がする。きっと、好きな人にも自分の住んでいる町を好きになって欲しいのだろう。 だからと言って、ののかちゃんを喜ばせるためだけに嘘をつきたくはなかった。 この町を好きかどうかは、僕たちの間でも重要な問題だから……。 「嫌い?」 「嫌いじゃないよ」 「ののかちゃんが大好きなら きっとこれから僕も大好きになるかも」 今はわからないけど、これからはどうなるかわからない。 僕はこの町のことをまだ知らなすぎる。 それが僕の素直な気持ちだ。 「だから、この町のいいところ、いっぱい教えてよ」 「…………」 笑顔で『うん』と言ってくれると思ったのにののかちゃんはキョトンとしている。 なんて声をかけようか悩んでいると、急に表情を崩した。 「えへへー」 顔を真っ赤にして、照れ笑いを浮かべている。 予想外の反応に、今度はこっちが戸惑ってしまった。 「ののがせんせーを教えるんだ、すごいね」 「教えるのが嬉しいの?」 「うん」 そういえば、お父さんたちの前でののかちゃんに教わってるって言った時も喜んでたな……。 「もしかして、将来先生になりたいとか?」 冗談半分でののかちゃんにそう尋ねると、首を横に振った。 「ううん、ちがうよ。 せんせーに教えるのがうれしいだけ」 「学校のせんせーは大変そうだし、 なりたくないなぁ」 そう言って笑った。ののかちゃんは正直だった。 「でも、なにかけんきゅーするせんせーになら なりたいかも……」 「そっか、ののかちゃんはそっちの方が 向いてるかもね」 ちょっと前までは将来なんて考えたこともなかったのに……。 少しは夢が具体的になってきたみたいだ。 あれからそんなに経ってないのに、ののかちゃんの成長を実感できる。 「せんせー?」 教師としての喜びを味わっていると、ののかちゃんに不思議そうな顔をされてしまった。 「ごめん、ちょっと考え事してた」 「ん、なんの?」 「ののかちゃんのことだよ」 「エッチなこと?」 「ち、違うよ」 「なぁんだ……」 包み隠そうともせず、ちょっぴり残念そうな顔を見せるののかちゃんに、つい僕も顔がほころぶ。 「ここだよ」 「ん?」 道から外れて、少し奥に入った草むらを指さした。 ここで何かやましい事をするのかと思い、一瞬、戸惑ってしまう。 「あたらしい本」 「あ」 そういうことだったと、照れ隠しで頭を掻きながら思い出す。 場所からすると、これを捨てたのは、おそらく、この辺の人じゃないだろう。 少し先がバスが来る幹線通りの近くだから、車で来て、捨て逃げしたのかもしれない。 「よい、しょっと」 ののかちゃんが指し示した場所に足を踏み入れるが、それらしいものは見つからない。 「ん? 何もないけど……」 「ここで見つけて…… 袋に入れて、こっちに入れておいたの」 背の低い植え込みの中に隠しておいたようで、細い枝の間に手を突っ込んで袋を取り出した。 千円くらいする単行本だろうか。 「それをののかちゃんは読んだんだよね?」 本を受け取りながら尋ねる。 「うん、もう3回来て読んだ〜」 三回、ここまで歩いて来たのか。 その姿を想像して微笑ましいというか、可愛いと思えてしまう。 あのめんどくさがり屋のののかちゃんが、ここまでえっちら歩いてきて、漫画を読み、これをしてあげようとか考えてくれていた。 可愛いし、すごく愛おしい感情が膨らんでくる。 「せんせー?」 僕の表情を見て何を思ったのか、不思議そうに見上げてきた。 今の感情を上手くののかちゃんに伝えることができそうにない。 「と、とりあえず、中身を確認していい?」 「うん」 植え込みの陰に隠れて、二人で読書する。 「んー……」 予想通りというか、予想以上というか。妹がお兄ちゃんを調教するような内容が延々と描かれている。 「ね? ね? このおにいちゃん、のんなちゃんに しゃせーかんりされてすごく嬉しそうでしょ?」 のんなちゃんとはこの物語の妹のことだ。 「う、うーん……」 確かに嬉しそうだ。 僕はののかちゃんとそういうことしたいわけじゃないってことをどう伝えたらいいものか……。 「これは“調教”って言って、お互いが好きだから やってるわけじゃなくて……」 「そうなの? すごくらぶらぶしてるように見えるけど……?」 どうしたものか。 調教する妹とされる兄との間の感情が愛じゃないと否定することは躊躇われた。 愛には色々な形がある。 僕とののかちゃんの関係だって、他人から見れば愛じゃないと否定される可能性だってありえる。 「僕とこのお兄ちゃんは違うんだよ」 とりあえず、今はそういう説明しかできなかった。 「でも、ののと先生と のんなちゃんたち似てるよね?」 「初めの頃は、おにいちゃんに教えてもらいながら エッチなことをして……」 「のんなちゃんは、エッチなことを覚えて、 おにいちゃんをいっぱい気持ちよくしてあげるの」 「ののものんなちゃんみたいに いっぱい気持ちよくしてあげたいなぁって」 名前が似てるから妹に感情移入したのかもしれない。 「これは漫画の中の出来事だから、 少し大袈裟に描いてるんだよ?」 「それにののかちゃんは ののかちゃんのままでいいよ?」 決して叱るわけではなく、優しく、心からののかちゃんのことを想って、一つ一つの言葉に気持ちを込める。 「せんせーがよろこぶかとおもったの……」 「ののかちゃんにはいつも気持ちよくして もらってるよ」 元気がなくなっていくののかちゃんの様子に少し胸が痛み、頭を軽く撫でてあげる。 「でも、もっと……」 たぶん、気持ちよく。ではなく、本に書いてあるようなことをやってみたくてたまらないのだろう。 これは説得するのは難しそうだ。 「それじゃ、本はあくまで参考ということで、 真似じゃなくて一緒に勉強して行こうか」 「せんせーとのので勉強?」 「うん」 「せんせーと一緒に勉強するっ」 ののかちゃんはそう言うと本を捲り、とあるページを指さした。 妹がおにいちゃんのお尻に指を突っ込んでいるシーンだった。 「せんせー、男の人はお尻をぐりぐりすると 気持ちいいの? のの、やってみたい!」 思わずお尻の穴がキュッと引き締まる。 「そ、そのうちにね……」 「うん、一緒に勉強だね」 「は、はは……」 苦笑いの僕と、満面の笑顔のののかちゃん。 その笑顔にいつか抗えなくなる日がくるの……かな? 冬休みが近づき、仕事は更に忙しくなった。 年末年始ということもあり、色々と学校の仕事が割り振られる。 暇だったのは、どこか仮入部的な扱いだったんだと気づいた。 何も知らないままここを出ることにならないでよかった……。 「どうしましたか?」 「あ、いえ、その…… 神社で新年会やるって知ってますか?」 考えていたことを正直に答えるのが恥ずかしかったので、咄嗟に思いついたことを訊いてみた。 「神社……ああ、敬老会のですな」 「我々教師は毎年手伝いに駆り出されるんですよ。 瀬田先生も行くことになりますよ」 「は、はあ……」 結局ののかちゃんに誘われなくても行くことになったようだ。 ここの地域の人たちとかかわっていくのも先生として重要だってことを改めて感じる。 僕はいままでそういうこともよくわかってなかった。 本当に先生としてまだまだだと痛感する。 でも、そう思えるということは、少しは成長できたのかもしれない。 忙しいけど、成長を実感できる充実した毎日だ。 ただ、ののかちゃんとゆっくりする時間が持てないのが何とももどかしくも感じる。 昼休み、いつもの場所にはたくさんの生徒たちが集まってきていた。 「さっちゃんやっぱり見たんじゃん」 「ゆ、ゆーくんのバカっ」 もともと、お昼ご飯を終え、ゆっくりするためにここに来たつもりだったのだが。 ののかちゃんと一緒にいるようになって、今ではクラス以外……下の学年の生徒たちもやってくるようになった。 これはこれで楽しいのだが。 この時間も、ほとんどののかちゃんと話せなくなってしまった。 「そうやっていじめてるのは ゆーくん、さっちゃんが好きなんでしょ?」 面倒見のいいえみちゃんが、間に入って男の子を窘める。 「え、え、ちがうよぉ」 男の子がわかりやすく動揺して、みんながどっと笑った。 ののかちゃんはみんなでいる時に、私が私がと前に出てくるタイプではない。 少し離れたところで、みんなの話に合わせて笑っている。 最後にちゃんと話したのは、二週間前にあの本を探しに行った時だった気がする。 他の子たちと触れ合うのは楽しいけど、ののかちゃんは別枠というか―― 「(ののかちゃんと二人で話がしたいな……)」 仕事を終えて学校を出ると、もう外は真っ暗だった。 一段と寒くなってきていて、いつ雪が降ってもおかしくない。 「せんせー」 「え?」 突然の声に驚いて視線を向けると、ののかちゃんがいた。 前と同じように、寒い中待っててくれたみたいだ。 嬉しくて体が震えた。でも、溢れてきた感情を咄嗟に抑える。 「これからもっと日が暮れるのが早くなるから 待ってちゃダメって言ったよね?」 いくら田舎とはいえ、夜道は危険だ。顔を無理矢理引き締めて、ののかちゃんをたしなめる。 「ごめんなさい…… でも、せんせーと話したかったの……」 素直な気持ちをまっすぐ言われてしまう。 ダメだ、怒った顔をこれ以上は続けられない。 「言いつけを破ったのはいけないけど…… 僕もののかちゃんと二人きりで話したかったよ」 「今日は送っていくから、ゆっくり歩いて帰ろうか」 「うん」 真っ暗で足元が見えず、僕らは自然と腕を組んで歩いていた。 「せんせー、疲れてる……?」 「わかる?」 「うん……」 「はは、ののかちゃんには隠し事できないな」 「ねぇ、せんせー、気持ちいいことしたら 元気出る?」 「そういうことでエッチなことはしなくていいよ」 「そういうこと?」 「励ましとかそういうのじゃなくて、 お互いそういう気持ちになったらっていうか……」 「好きっていう気持ちが高まった時に するもんなんだから」 「そんなの関係ないよ、 ののは、せんせーのこといつだって好きだし」 「僕もののかちゃんのこといつも好きだけど……」 「じゃあ、いいよね?」 腕にすりすりと体を擦りつけてきた。 「ちょ、ちょっと待って、ののかちゃんは 僕が疲れてるからエッチなことしようと思った んだよね? 元気づけようと思って」 「うん」 「それなら大丈夫、こうやってののかちゃんと 話してるだけで元気になるからさ」 「話すだけでいいの?」 「話すの楽しくない?」 「楽しい」 「元気出るでしょ?」 「うん」 「そういうことだよ」 「じゃあ、いっぱいお話ししよ」 「そうだね」 腕を組んだまま、ののかちゃんと話す時間はとても楽しくて毎日の疲れが飛んでいくようだった。 「ただいま、えみちゃん」 「……おかえり」 ののかちゃんを送って家に帰ってくると、えみちゃんが僕を睨むように見つめてきた。 どういうことだろう……。 あ、そうだ、あの件かな。 「二人で遊ぶっていうの、 できてなかったね、ごめん」 「ううん、いいよ、あたしと遊ぶ時間があるなら、 ゆっくりして」 「え?」 「なんか疲れてるよ」 ああ、僕を気遣ってくれたのか……。 「ありがとう、でも大丈夫」 「確かに大変だけど、毎日充実してるから、 えみちゃん、心配しないで」 「本当に?」 「うん、補習の効果も出て みんな成績上がってるしね、 先生として誇らしいよ」 そう言うと、えみちゃんは拗ねたような顔をした。 「あたしそんなに上がってない……」 「あ……」 「あたし、べんきょう頑張る」 「えみちゃんはあまり苦手なのがないからで、 そんなに無理しなくても……」 「ううん、頑張る。あたしも、お兄ちゃんにほこりに 思って欲しいから……」 「そっか、じゃあ、一緒に頑張ろうか」 「うん」 えみちゃんの気持ちと気遣いが嬉しかった。 昨日の夜から降りはじめた雪は、一晩中降り続けて、朝には田舎の風景をまっ白に変えていた。 そんな雪景色を見て、教師として思うことは、生徒たちが滑って怪我をしないかってことだ。 その日、僕たち教師陣は事故を警戒して、早めに登校してきていた。 僕と小野先生と二人で、やってくる生徒たちを迎え、遥先生たちは職員室で電話番をしている。 「おはようございまーす」 「おはよう!」 「大輝君、早いね、おはよう」 全員の生徒の名前だけじゃなく、性格などまで把握している。 もちろん受け持ちの生徒以外もだ。 以前いた学校でも、校門での出迎えをすることはあったけど、正直、名前も覚束ない子も多くいた。 一人一人と深く関わることができるここは、教師にとって理想的な場所なんじゃないかと思うようになっていた。 いずれは、有名校で教えてみたいという気持ちはあるけど、最近はこのままずっとここで教えていたいという気持ちも湧き上がってきている。 それに……。 「あ、せんせー、おはよー」 トテトテといつも以上に、覚束ない足取りで歩いてきた。 それがなんとも可愛いけど、小野先生の手前、なんとか表情を引き締める。 「ののかちゃん、おはよう、滑らなかった?」 「うん」 最後に先生としてではなく、恋人としての笑みを交わした。 続いてえみちゃんや、ことねちゃんも無事登校してきた。 「せんせい、おはよー!」 「お前ら遅いぞ!」 ギリギリの時間に何人かが校門に飛び込んできた。道中、雪で遊んでいたんだろう。 小野先生の叱責から逃げるように校舎に向かう。 「やれやれ」 「怪我する子とかいなくてよかったじゃないですか」 「まあ、そうですけどねぇ」 「前の学校にいた時は、滑って怪我した子とかいて 大変だったんですよ」 「やっぱり、田舎の子の方が足腰強いんですかね?」 「いや、人数の違いじゃないですか?」 「あ……」 その通りだ。人数が多ければ怪我をする人が出てくる確率も高くなる。 「そうですね。はは……」 当たり前の事実を指摘されて、僕は苦笑いを浮かべた。 「せんせー、雪だね」 「ののかちゃんは、雪好き?」 「んー…… 寒いからあんまりすきじゃない」 授業前にちょっとだけ話したが、ののかちゃんは、こたつで丸くなる、猫タイプのようだ。 でも、他の子たちは外で走り回る犬タイプみたいで、遊びたそうに目を輝かせている。 体育なんかあれば、急遽雪合戦とかできるんだけど残念ながら今日はなかった。 とはいえ、普通の時間をさいて遊ぶわけにもいかない……。 全体的に授業進度が少し遅れている。冬休みまでになんとかしないといけないのだ。 雪で遊びたいという生徒たちの視線をチクチク感じながら、一日の授業が終わった。 帰りの会が終わると、元気な子たちは解き放たれたように外に飛び出していった。 ののかちゃんはどうするんだろうかと、視線を巡らせる。 「あれ?」 ぐるっと教室を見まわしてみたが、ののかちゃんの姿が見当たらない。 寒いのが好きじゃないって言ってたので、遊びに出たとも思えない。 さっさと帰ってしまったのだろうか。 挨拶もしないなんて珍しい。すこしだけ寂しい気持ちになってしまう。 「せんせいも一緒に遊ぼうよ」 「雪合戦しよーぜ?」 残った生徒たちが、僕を誘ってきた。 雪が降った特別な日だし、できれば一緒に遊んで思い出を作りたいところだが。 「ごめんね? ちょっとやることがあってね。 みんなで遊んでてくれるかな?」 やるべきこと。仕事が色々とたまっているのだ。 今頑張らないと、冬休みに仕事を持ち越してしまう。 本来、冬休みにする仕事もあるから、今遊んでいたら冬休みは身動きとれなくなってしまうことになる。 「え〜っ」 「せんせ、忙しいんだから邪魔しちゃダメだよ」 困っていると、えみちゃんが間に入ってみんなを窘めてくれた。 「ごめんね」 僕はえみちゃんに感謝の視線を送りつつ、遊べないことをみんなに謝る。 「もし、時間があったら、僕も外に行くから」 それで納得してくれたようで、残りの子たちも先に出て行った子たちを追いかけるように教室を出ていった。 「はるかせんせ、はやくいこ」 「はいはい、手袋するからちょっと待っててね」 職員室にやってくると、遥先生が生徒たちに急かされるようにして、外に出ていくところだった。 自分の席に歩いていくと、その生徒のひとりが僕に気づいた。 「あー、せたせんせーあそぼ」 最近、下の学年の子たちともすっかり仲良くなったからか、僕も誘ってきた。 クラス以外の生徒に誘われるのは嬉しいし、特に小さい子たちに誘われると、無碍に断るのが躊躇われる。 「ええとね……ちょっと仕事があってね」 「しごと?」 「先生は、みんなと同じここでの一年生の先生だから 色々といそがしいのよ」 「それならしょーがないねー」 意味がわかったのかわからない。 少なくとも遊べないということは理解したようで、じゃあねー、と言って遥先生と一緒に職員室を出ていった。 見送って、改めて職員室を見る。 遥先生以外の三人が机で仕事をしていた。 僕も席に座り、校庭から聞こえる生徒たちの元気な声をBGM代わりに仕事を開始した。 まずは、冬休み前に返さなきゃいけない、テストの採点。 それが終わってもまだまだすることがある。 以前はこんな風に仕事をためることはなかった。 それは僕が、言われたことだけしかしてこなかったからだ。 四年ちょっとの教師生活の中で、僕はいつのまにか、言われたことをするだけの人間になっていたようだ。 言われたことだけをする、指示待ち人間はいけない。 自意識が目覚めるとそれは自然と理解するものだし、自分はそうじゃないと思っていた。 だけど、社会に出ると、指示をされたことを完璧にやれる人間の方が評価される。 知らず知らずのうちに指示待ちの人間になってしまったようだ。 それがいけないというわけではない。指示されたことを完璧にこなし、相手の要求以上のレベルまでやることは素晴らしいとは思う。 でも、それは僕の理想とする先生じゃなかった。 だから、僕は試行錯誤しはじめた。 自分なりに授業内容も工夫し、もちろん、補習も続けている。 そのせいで仕事がたまってしまったのは、先生として未熟ではあるけれど、そんな悪い気持ちじゃない。 これから成長していけばいいだけなんだから。 無心で仕事をしていると、ふと、手元が暗くなっていることに気づいた。 「自分は帰りますんで、後はお願いしますね」 「あ、はい」 小野先生が帰ると職員室には、誰もいなくなってしまった。 もちろん校庭にも生徒たちはいない。 僕は作りかけの手書きプリントを見つめた。 これを完成させてから帰ろうかな。 電気をつけようと席を立ち、出入り口近くのスイッチに手を伸ばす。 「ん?」 ふとドアの向こうに人の気配を感じた。 なんとなく、ある予感がして廊下に出ると、その予感は的中した。 ののかちゃんが、出入り口の横で足を抱えて座っていた。 「……あ」 「ど、どうしたの?」 「せんせーを待ってたの」 ののかちゃんはなぜか万歳をして元気に言った。 相変わらず可愛い様子のののかちゃんだが、待たなくていいと何度も言ったのに反省する様子がない。 どうやら、この件に関しては僕の言うことを聞く気はないようだ。 「もう、ののかちゃんは……」 校門のところで待ってるよりはいいが、ここでもかなり寒い。 軽く窘めつつ手を差し伸べる。 「もう少しかかりそうだから、職員室に入って」 「いいの?」 「うん、もう僕しかいないからね」 ののかちゃんは、こちらの手を掴んで立ち上がった。 その小さな手が冷たくて、僕は申し訳ない気持ちになる。 二人でストーブの前に行き、温まる。 「こんなに冷たくなって……」 ののかちゃんの小さな手を僕の手で包むようにして温める。 「はふぅ……あったかい……」 眼を細めてうっとりする姿は、どこかお年寄りのようだ。 それはそれでののかちゃんぽくて可愛いけど。 「今度から僕を待つのなら、ちゃんと言ってね」 「んー……」 なんとも歯切れが悪い。 言ったら帰るように言われると思ってるのかもしれない。 正直、待ってくれるのは嬉しいが、その辺も含めて、後でじっくり話そう。 「……せんせーと、もっと遊びたい」 ふと、ののかちゃんは呟くように言った。 「冬休みになれば遊べるよ。 そのために今頑張って仕事してるんだしね」 そう伝えると、ののかちゃんは包んでいる僕の手を逆に握り返してきた。 「それならののもお仕事手伝う」 「はは、その気持ちだけで十分だよ」 猫の手も借りたいような状況だけど、流石にののかちゃんに手伝ってもらうのは不可能だ。 「ののかちゃんはそこで温まってて、 仕事終えちゃうから」 そう言って自分の席に戻ると、何故か僕の後をついてきた。 「ののかちゃん?」 「のの、気持ちだけじゃいや。 せんせーに何かしてあげたい」 その健気な想いに、胸がきゅんとときめく。 「ちょくせつお手伝いはできないけど何か……」 ののかちゃんは視線を下ろし、ある場所で視線が止まる。 「どうし……あっ」 ののかちゃんの視線を追って視線を下ろし、僕も驚きの声を上げてしまった。 僕のズボンの前が張り出ている。 「せんせー、エッチなことしたいの?」 真顔で聞いてくるののかちゃん。 「これは……」 別に性的に興奮しているわけじゃない。 疲れマラというやつなのか、男には朝勃ちとか、無意識に勃起してしまうことがある。 それをどうやって説明したらいいものか。 「せんせー、 “ののを使ってしゃせーしていいんだよ?”」 「ちょ、ちょっと、何言って――?」 不意に放たれたエッチなお誘いに、僕のペニスはますます硬くなっていく。 「んふふ〜」 若干自慢げなののかちゃん。 こんな顔をするっていうことは、何か意図がありそうな気がして、記憶をたどっていく。 そういえば、さっきの台詞は、あの漫画の妹、のんなちゃんが言ってたものだった気がする。 漫画をネタに僕を誘ってきてるらしい。 「(どうしよう……)」 据え膳食わぬはなんとやら。 息抜きに、ちょっとだけなら、と小さな悪魔が僕に囁いてくる。 「じゃあ、使わせてもらおうかな?」 「うん、えへへ〜♪」 「じゃあ、ここに座ってもらえるかな?」 机の上のプリントを少し脇に寄せ、その上に寝かせ、かわいいののかちゃんらしい柄の入ったパンツに手をかける。 そうして、ズボンからペニスを露出させる。 「……やっぱりおっきぃ」 「ののかちゃんにこれを擦りつけてやる」 『使う』と言った流れで、いつもよりふざけて言ってペニスを割れ目に押し当てる。 「ん、あはっ」 腰を動かして割れ目を擦ると、少しくすぐったそうな顔をした。 「ん……あったかくて気持ちいい」 「ふふ、僕もあったかくて気持ちいいよ」 まだ温まりきっていない室内は僕らの体温をより感じさせてくれる。 その体温を味わうように擦りつけていると、ののかちゃんは、切なそうな顔で僕を見上げてきた。 「せんせー、もっといっぱいすりすりして……」 「もっと? じゃあ別のところも すりすりしてあげるね」 ペニスを割れ目に擦りつけながら、太股を手で撫でる。 「別の? んっ、手で……ふぁ……ん……」 手で撫でられるのは予想外だったのか、ビクンと身動ぎした。 「くすぐったい?」 「ううん、せんせーになでなでされるのすきぃ」 「じゃあ、もっと体、撫でてあげる」 「うん、してぇ」 足からののかちゃんの胸に手を伸ばす。 「そこぉ?」 「おっぱいは嫌?」 「ううん、のののおっぱいなでて…… そこも気持ちいいよぉ……ぁ、あぁん……」 年齢にしては少し大きめな乳房を撫でると、段々と吐息が甘くなっていく。 「次は……こっちを触ったらどうかな?」 胸から脇腹に手を移動させる。 「ひ、ひぁっ! あははっ、くすぐったいよぉ」 「はは、ごめんごめん」 少しふざけすぎたみたいだ。改めて太股を撫でながら、ペニスの先で割れ目をこする。 「あ……あん……それ、気持ちいい……」 「もっと気持ちよくなっていいよ」 割れ目を開き、既に湿っているその内側にペニスの裏筋をこすりつけるようにする。 「ん、くちゅくちゅってしてるよぉ……」 「そうだね、ののかちゃんのアソコ濡れてるね」 言いながらセックスしているように腰を動かし、ペニス全体でののかちゃんのアソコを擦る。 「おちんちんがいっぱいこすれて……変な感じぃ…… はぁ、はぁ……ぁっ……はぁ、はぁ……」 「変? 気持ちよくない?」 そう問いかけると、ののかちゃんは首を横に振った。 「んとね、変になっちゃうくらい気持ちいい、の……」 「じゃあ、このまま続けていいね」 「はぁん、せんせーにいっぱいしてもらって、 うれしいよぉ……あ、あぁ……ん、あ……」 高まっていくののかちゃんを見ながら、僕も嬉しい気持ちになる。 好きな女の子を感じさせると、こっちも嬉しい。それを僕はののかちゃんに教えてもらった。 感じて発散される甘酸っぱい匂いを吸い込みながら、腰を動かし続ける。 「気持ちよすぎて……体がぶるぶるする…… あ、あふぅ……あぁぁ……んんんっ」 女の子が感じはじめるとする独特の体の震えがはじまる。 「こっちはどう?」 クリトリスに亀頭を押し当てる。 「ひっ、あ、ああっ、ん、んん……!」 さらに力を込めて、亀頭でクリトリスを潰し、グリグリと刺激する。 「ひぁっ、ダ、ダメっ……あ、あぁ……ふぁ…… ああぁ……ん、んぅ……はぁ、はぁっ」 喘ぎ声が切羽詰まったものに変わっていく。 ののかちゃんの声が大きくなっていくにつれて、ふと緊張感が湧き上がってきた。 「(僕は職員室で何をやってるんだろう……)」 女の子にいたずらしているみたいなこの行為に背徳感を感じ、たまらなく僕を興奮させる。 「お、おちんちん……ほしぃ、よぉ……」 しばらく、擦りつけているとののかちゃんがそう訴えてきた。 「このままイッてもいいんだよ?」 「中で……せんせーと一緒に……」 そう言って僕を上目使いで見つめてきた。 そんな風に求められたら拒絶なんてできない。 ここは職員室だし、今日はちょっとだけにして終わりにしようと思っていたが―― 「せんせーはののとしたくない……?」 「さすがに職員室ではまずいかなって……」 「お外には誰もいなかったよ?」 耳を澄ましても、人の声は聞こえてこない。時折、木に積もった雪が落ち、ドサっと音がするだけだ。 「う、う〜ん……」 「おちんちんこんなに大っきくなってるのに しないの?」 「ののかちゃん……」 「ののはこんなに……もう、がまんできないよぉ……」 結局のところ、僕がののかちゃんのお願いを断ることなんてできない。 「ののかちゃん、好きだよ」 “ちょっとだけ”はここまでだ。ちゃんと愛のあるセックスをしよう。 「ののもだいすき……」 膣口に亀頭を押し当て、愛情を持ってゆっくりと腰を押し出していく。 「ふぁ……あふぅ……」 ののかちゃんの膣に埋もれていくペニス。心地よい挿入感に、甘い痺れが全身を包む。 「はぁ、はぁ、あ、あぁぁ……あついのが…… 上がって……入って……くる……」 久しぶりの挿入に僕の体も喜んでいる。逸る気持ちを抑えながら、ゆっくり腰を押し出していく。 「このまま奥まで入れるね」 「あ、あっ……ぁ……入って…… ふぁ……ああぁ……あっ、んんんんんっ」 十分に高まっていたせいもあって、ののかちゃんの反応は敏感だった。 「んっ、おくに……あ、あひっ! ん、んぁ…… ああっ! あ、ああ……! ん、んんん……!」 「我慢できないよぉ、き、きちゃうぅぅぅ!」 全てを収めると、膣が強く締めつけてきた。背中を反らせ、絶頂の声を上げる。 「んんっ、んっ! あ、あぁ、ああ、あああぁっ! あ、あぁ……あ、あぁ……あぁ……ぁ……」 全身をガクガクと震わせながらしばらくの間恍惚とすると、全身の力を抜いて肩で息をした。 「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……」 「大丈夫?」 「えへへ、我慢できなくって、イッちゃったぁ…… はぁ……はぁ……はぁ……」 職員室で、教え子をイかせてしまった。今まで何度もエッチなことをしてきたけど、これまでとは違う背徳感に背中がゾクゾクする。 「次は一緒に、ね?」 「はぁ、はぁ、う、うん」 イッてすぐに続けるのは嫌かと思い、頭を撫でていると、もどかしそうに僕を見つめてきた。 「う、動かないの?」 「少し休まなくても大丈夫?」 「うん」 そんなに強烈な絶頂だったわけではないようで、相変わらずうるんだ瞳で僕を見つめてくる。 「わかった、それじゃ続けるね」 早速、強めに腰を動かし、出し入れする。 「あん、ずぽずぽはじまって…… あぁ……んんっ……ふぁ、ああ……あぁん……」 段々と強く、机ごと犯すように、腰を打ちつける。 「んっ……ふ、んっ……」 「せ、せんせーはげしっ…… いつものせんせーじゃないみたい……ぁんっ!」 「辛い?」 「つらくないよ、せんせーいっしょけんめーで か、カッコいい、ああぁん、ふぁ……んんっ」 格好いいと言われてますます張り切る。 「あんっ、あふぅ、ずんずんきてるっ、あぁん! あ、あ、あああっ、んっ、ん、ん、んぁっ!」 激しい抽送に、結合部から白く泡立った蜜が溢れ、机に染みを作る。 「はぁ、はぁ、せっくす、せっくすしてる…… せんせー、これからもずっと せっくすしてくれる?」 「うん、ずっとセックスするよ。 むしろ、僕からもお願いしたいくらいだよ」 そう答えて、ののかちゃんを求め続ける。 「ああん、嬉しいっ、あ、ああぁ…… あ、あぁ……んぁ……んんんん……!」 嬉しいと言いながら、少し辛そうだ。今度こそ一緒にイクために、耐えているのかもしれない。 「もしかしてイキそう?」 「だ、だいじょぶ、もう少し……我慢できる」 やっぱり、イクのを耐えてたみたいだ。 「……苦しくない?」 「う、ううん、ののはせんせーとせっくすできて すごくしあわせだよ……ん、んぁ……ぁあ……」 「僕も幸せだ、一緒にイッてもっと幸せになろう」 「う、うん、なるっ、あ、あぁっ、あぁっ!」 感極まったように、ひときわ大きな声を上げた瞬間、くしゃっと音がした。 脇に寄せていたプリントを、掴んでしまったみたいだ。 「あ……ご、ごめんなさい……」 結構派手に握り込んだみたいで、書き直さなきゃならなそうだ。 「気にしなくていいよ」 すっかり快感が冷めてしまった様子のののかちゃんを優しく諭す。 「でも……」 「今は気持ちよくなることだけに集中しなきゃ」 罪悪感から引き離すために、膣奥をズンズン突く。 「ののかちゃん、大好きだよ」 「ふぁ……せんせー、ののもすきぃ…… あぁん、そこいい、もっとぐりぐりしてぇ……!」 「こう? こうがいい?」 リクエストに応えて、膣奥を抉るよう突き立てる。 「ぐり、ぐりってぇ、あああっ! んっ、もっと、もっとっ、あ、ああああっ!」 「もっと速くするよっ」 「あんっ! おくっ、ずんずんってされてる! あ、あんっ! んっ、あぁっ! ふぁぁぁっ!」 僕も段々と高まって、腰を小刻みに速く振る。射精に向けて腰を切迫させる。 「はぁ、はぁ、せんせー、しゃせーしそう?」 「すごいね、わかった?」 「いっぱいせっくすしたもん、おちんちんが、 しゃせーしたいよって言ってるのわかるよ」 「僕もののかちゃんがもう少しでイクってわかるよ。 はぁ、はぁ……一緒にイこうね」 「う、うんっ、せんせー……あ、ああ……! ん、んぁっ! ふぁっ、ん、んんっ、んぁぁっ!」 膣が一段と強く激しく締めつけてきた。 それだけじゃない、膣肉が吸いついてきているようにも感じられる。 「ひっ! あ、ああっ! おちんちんふかいっ、 あぁ、ああぁ……ん、んんんんんんんっ!」 心地よい膣内を何度も何度も掻き回す。 「はぁ、はぁッ! ああっ! んくっ! も、もう……! イッ、イッちゃいそっ!」 肩を竦めるような形で硬直し、体を震わせた。 「ん、んんんんっ!」 「ののかちゃん、もう少し頑張ってっ」 もしかしたら、軽くイッたかもしれない。でも、かまわずに腰を動かし続ける。 「あ、ああぁ、あぁ……! ん、んんんんっ! ぷはぁっ! はぁぁ……! が、がんばるっ!」 激しく掻き回し、ビクビクと震える膣を味わう。 「い、いつもよりすごくなっちゃうっっ! あ、ああっ! ひっ、あぁん、んんっ!」 「すごくなっていいよっ」 「う、うんっ、すごくなるっ! だからせんせーもすごくなってぇ……!」 「一緒にすごくなろう!」 快楽を貪りつつ、ののかちゃんにもいつも以上の快感を与えようと張り切る。 「ああぁっ! んぐっ、ああぁっ! ん、んぁっ! あ、あぁぁっ! あ、あっ、ふぁっ、あぁんっ!」 緩んだ口元から涎がこぼれる。もしかしたら、僕も涎を垂らしているかもしれない。 「あぁっ、んっ! ん、んんっ……す、すごいっ、 あああっ! あ、ああっ! も、もうっ!」 愛おしい気持ちを込めて、乱暴に突き上げる。 「ののかちゃんっ! ののかちゃんっ!」 「あ、ああ、ああああっ! あん……ん、んんんっ! すごぃっ! げんかいっ! ああぁぁぁぁっ!」 「の、ののかちゃん、中で出すよっ、 机汚れちゃうから、全部注ぎ込むからね!」 「う、うん! おくにだしてぇ! いっぱいぃっ! あ、あぁぁぁっ! せーえきいっぱいにしてっ!」 「いっぱいにしてあげる!」 「あふぅっ! あ、あ、あ、あああっ! んぁああああああっ! いくいくっ! イッちゃうのぉっ! あぁぁぁぁぁっ!」 「僕もっ! うぐっっ!」 「やっと一緒に、一緒にイクのぉっ!」 「ん、ああっ! き、気持ちいい……ふぁ……! あ、あっ! あっ! あ、ああっ! あぁっ!」 「も、もう出るっ!」 「びゅっぴゅしてぇ……!」 最後、ずんと、膣奥にしっかり亀頭を押しつけて、込み上げてきたものを解放した。 「――――――――っ!」 ののかちゃんは口を大きく開いたけど、声は出なかった。 おとがいを反らし、壊れたようにブルブルと震わせ、心配になったところで、ふっと声を漏らした。 「ふぁ……!」 堰を切ったように、声を上げはじめた。 「あ、あぁぁ……ああぁ……! あ、す、すごぃっ、あ、ああ、ああぁぁ……!」 緩んだ口元から大量に涎を垂らしながら、絶頂の声を上げ続ける。 どうやらイッたばっかりは、快感が強烈すぎて声が出なかったようだ。 「いいの……すごくいいよぉ……」 「はぁ、はぁ、僕もすごく気持ちいいよ」 射精が止まらない。久しぶりの射精に幾度となく、大量に噴き出してるのがわかる。 「お腹の中でどくんどくんって、 あついのたまってきてる……!」 感極まったように言って背中とアゴを反らせて体を震わせる。 どうやら、中出しされてもう一回イッたみたいだ。 「こ、零れないように、全部膣奥に出すからね」 「う、うん……いいよ、ぜんぶ…… ののの中をせーえきでいっぱいにしてぇ……!」 腰を押しだし、恥骨を当てたまま中に注ぎ込んでいく。 「ぐ、ぐぅっ!」 「ああぁーー…………!」 ビクンビクンと不規則に痙攣しながら、絶頂し続けている。 「ああ、す、すごい……あ、あ、あ、あぁ……」 いつもより長い絶頂に恍惚とするののかちゃん。 そんなののかちゃんの中に、最後の一滴まで精液を注ぎ込んだ。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 絶頂が終わっても、ののかちゃんはしばらく幸せそうに恍惚とし続けた。 快感を堪能して、ゆっくりペニスを引き抜いた。 「あれ……」 いつもどろりと精液が溢れてくるのにたいして出てこない。 もしかして、机汚さないようにって言ったのを気にしてるのかな? 「こぼれないように、ぎゅってしてるの?」 「うん、そうしようと思ってたけど……」 「ありがと、もう大丈夫だよ。 拭いてあげるから力抜いて」 「ん〜〜っ」 気張っているけど、精液は出ない。意図的に出すのは難しいみたいだな。 というか、気張るとアソコがヒクヒクしていやらしい……。 「そうだ、プリントごめんなさい」 出てくるまで待とうか、それとも指で掻き出すべきか、悩んでいると急にすまなそうに切り出してきた。 「全然構わないって」 「せんせーのお手伝いしたかったのに 仕事増やしちゃった……」 手伝うどころか足を引っ張る形になって気にしているみたいだ。 「大丈夫、作り直すからさ」 そう言って頭を撫でる。 「ありがと、せんせー」 やっとののかちゃんが笑顔を取り戻した、その瞬間、カツンカツンと足音が響いた。 誰か来た!? 「んーっ、せーえき出ない」 ののかちゃんは、足音に気づいていない。 「人が残ってたみたいだ」 声を潜めてののかちゃんに伝える。 「ふぇ?」 ののかちゃんは半裸のままだ。足音はそこまで来てる。もう着替えてる時間はない。 「ここに……机の下に入ってっ」 ののかちゃんを机の下に押し込み、蓋をして隠すように僕も着席した。 職員室に現れたのは遥先生だった。 「あれ、遥先生、帰ったと思ったのに どうしたんですか?」 ここは慌ててはいけない。落ちついて先に声をかける。 「車で生徒たちを送っていったんですよ」 「あ、それだったら、 そのまま帰ってもよかったのに」 「いえ、荷物置いたままでしたから」 「ああ、そうでしたか」 いつものように会話ができた。遥先生は何も疑うことなく、自分の席につく。 あとは、このまま帰ってくれれば、何も問題ない。 「それにしても、先生まだ仕事してたんですね」 「今日中にこのプリント作っちゃおうと思いまして」 「頑張るのはいいですけど、 体に気をつけてくださいね」 「はい」 「それじゃ、わたしも瀬田先生を見習って テストの採点をしていっちゃいましょうかね」 えっ!? という驚きの言葉が出そうになるのを、なんとか飲み込んだ。 帰って欲しいけど、ここで帰宅を勧めるのは変に思われそうだ。 黙ってやり過ごすしかない……。 そんな風に思った途端、股間に甘い刺激が―― 「くっ」 この感触の驚きは抑えられず、思わず声をあげてしまった。 「どうしました?」 さすがの遥先生も胡乱げな視線を送ってきた。 「え、あぁ! ……暖房つけてるのに、寒いですね」 寒さのせいで声が出てしまったという体で話を進める。 「ええ、そうですね」 今、こんなことをしているが、一応、まじめな教師を演じていたおかげで、遥先生に怪しまれずに済んだ。 遥先生の視線が外れるのを待って、体を引いて、机の下を覗き込む。 「はむ……ん……」 ののかちゃんは僕のペニスをその唇に迎え入れていた。 「んふ」 ちょっと笑っている。この状況を楽しんでいるみたいだ。 ここは下手に動かない方がいい。 「ん……ん……」 寒い外気に比べて、ののかちゃんの口内は温かい。すごく心地いいけど、ただ咥えているだけなら、なんてことない。 「……れる……」 「…………っ」 これなら耐えられそうだと思ったら、口内では舌を動かしはじめた。 「……れちゅ……ちゅく……」 亀頭に舌が使われて、小さく水音が立つ。 その音が聞こえるんじゃないかと体が強張る。 遥先生の様子を窺うが、何も気づいていないようだった。 暖房の音が、上手くかき消してくれているみたいだ。 「れろ……ん、んちゅ……ちゅく……ちゅく…… れろ……れろ……ん……ちゅ……れる……」 僕とのやり取りにののかちゃんもバレないと思ったのか、次第に舐めるのが大胆になっていく。 咥えたまま亀頭を舐る。エラの裏側にしきりに舌を這わせる。 妙な緊張感と、巧みな舌使いが僕をいやが上にも昂ぶらせていく。 「ん……ちゅく……ちゅく……ん……ちゅく…… れろ……れろ……ふんっ……ちゅ……」 そ、それ以上されたら、まずいぞ……。 「ん……ぷはっ……」 僕の願いが届いたのか、ペニスを口から吐き出した。 「ふぅ……」 「瀬田先生、顔が赤いですよ? もしかして風邪でもひいているんですか?」 いつのまにか僕の方を見ていた五十嵐先生が心配そうな様子で聞いてきた。 その問に対して即答せずに、どう答えるのがベストか頭をフル回転させる。 「じ、実はちょっとだけ熱っぽいんですよ……」 ここは否定せずに話に合わせた方がいい。僕はそう答えた。 「やっぱり、そうでしたか」 「心配されるんで、 あまり人には言わないでください」 「ちゅ……はむ……」 会話の途中で、再び咥え込んできた。 「ちゅく……じゅる……れろ……れろ……」 咥えたまま口内で舌を使ってくる。 流石にこれはまずいだろうと思ったけど、音は僕の体を伝って聞こえるだけで、そんなに大きくないみたいだ。 「ここだけの話ってことですね」 「ええ、お願いします」 遥先生は完全に二人だけだと思っているようで、他愛もない会話を続けている。 「ここだけの話と言えば…… わたし、瀬田先生が残ってくれてよかったって 思ってたんですよ」 「え? そうなんですか」 異常なシチュエーションに背徳感が刺激されて異様に興奮しているけど、なんとか声音だけは取り繕う。 「小野先生は男らしくて素晴らしい先生では あるんですが、話が合わないところが あるんですよね」 「その点、瀬田先生は……」 「小野先生と違って、僕は凡人ですからね」 「いえいえ、そういうんじゃなくて……ふふ」 遥先生は含みを持たせて笑って採点を再開した。 「ん……れろ……ん、れろ、れろ……ん、ちゅっ」 そんなやり取りを聞いて、嫉妬してしまったのかののかちゃんの舌使いが激しくなる。 「んぷっ……ちゅく、ちゅく、れろ……ん……」 ひとしきり舐めた後、唇で竿を締めつけてきた。 まさかとは思っていたが。 「んっ……んっ……んっ……んっ……」 予想通り、頭をゆっくり振って、唇でペニスをシゴいてきた。 遥先生の前で、射精するわけにはいかない。 注意をしようと机の下の様子を窺うと、上目使いのののかちゃんの視線とぶつかった。 嫉妬という感じではなく、ただ楽しそうだ。 「ふふふ〜」 鼻息で小さく笑って、再び頭を振りはじめた。 「ん……んっ、んっ、んっ、んっ…… んっ、んっ、んっ、んっ……」 竿の部分が唇で擦られる、縦にシゴかれ射精欲が一気に高まる。 「んちゅ……ちゅ、ちゅ……ふん…… んっ、んっ、んっ……んっ、んっ、んっ」 このままだと、遥先生の目の前で本当に射精してしまいそうだ。 「ちゅぅ〜〜〜…………」 僕が射精しそうなのに気づいて、吸いついてきた。 以前されたのよりは、優しい吸い付きだけど、この緊張感と相まって、たまらない。 「瀬田先生」 「は、はい?」 この状態ではまともに話せない。机の下に手を入れてののかちゃんの頭を軽く叩く。 「ん……」 ペニスが外気に触れてひんやりとする。口を離してくれたみたいだ。 「この後、私の車で送っていきましょうか?」 「……車で、ですか?」 「ちゃんとスタッドレスはいてるし、 心配ないですよ」 いつもと違う僕の様子に運転のことを心配していると思ったのだろう。 「いえ、そういうことじゃなくて……」 「れる……れる……」 また、喋ってる途中で舐めてきた。このタイミングで、愛撫を再開しているのは、どうやら意図的のようだ。 ののかちゃんは、いつからこんな意地悪ないたずらっ子になってしまったんだ。 「ありがたいんですが、 仕事終わるまでまだかかりそうですし、 気にせずに帰っていいですよ」 遥先生の厚意に失礼にならないように気をつけつつ、平静を装って答える。 「れろ……れろん……れろれろ……んっ……」 ののかちゃんは、そんな遣り取りをしている間もずっと舐めている。 「わかりました。もうすぐ採点終わるので 先に失礼しますね」 それから数分、仕事を終えた遥先生は職員室を出て行った。 改めて一息吐いて、机の下を見る。 「れろ……れろ……れろれろん…… ぢゅ、ちゅぷ……れろん……」 先生がいなくなったことも気づかず、熱心にカリ首を舐っている。 「ののかちゃん、遥先生は帰ったよ」 のっそりと机の下から出てきた。 「えへへ〜……どきどきした?」 どうしてこんなことをしたのか? と、問い質す前にののかちゃんは悪びれる様子もなく言った。 「心臓飛び出ちゃうかと思ったよ……」 「前ね、プールのときも気持ちよさそうだったから、 いいのかな〜っておもったの」 人に見られるかもしれないというドキドキが性的興奮を高める。 その辺のキモは理解してフェラチオしてきたみたいだ。 「せんせー気持ちよかった?」 つまり、意地悪やいたずらでしたわけじゃなくて僕を気持ちよくしたかっただけみたいだ。 やり過ぎだと叱ろうと思ったんだけど、楽しそうなののかちゃんに何も言えなくなってしまった。 「せんせー、もいっかいしよ?」 「おちんちんおっきくなったんだもん、 せんせーもしたいよね?」 フェラチオを途中でやめられてムズムズはしているが、そろそろやめた方がいいんじゃないだろうか。 何気なくののかちゃんがいた机の下の床を見た。 フェラチオしている間に股から垂れてたのか、ののかちゃんが足元に精液溜まりを作っている。 それが妙にいやらしくて、ペニスがビクビクと反応してしまった。 「ふふ、せんせーのエッチしたがってるみたい」 「せんせー、ののがしてあげるからね」 熱くなったのか上着を脱ぎ捨てると僕の膝の上に跨ってきた。 「ちゅ……ちゅ……」 膝の上に抱っこするような体勢になると、ののかちゃんは元気にキスをしてきた。 愛情と無邪気を合わせたようなののかちゃんらしいキスだ。 「ののか、ちゃん……ん……ちゅ……」 「ちゅ……んちゅ……ちゅ……」 舌を出すと、ののかちゃんは唇を開いて、僕を受け入れてくれた。 「ちゅ……ん……れる……」 「ん、ん……ちゅ、んゅ……ちゅむ……」 口内で舌を絡め合う。これまで何度もしているうちにキスが上手くなってきている。 気持ちいい。これだけでも射精してしまいそうだ。 「ののかちゃん……ちゅ……」 「せんせぇ……ちゅむ……」 しばらくキスを堪能して、唇を離すとののかちゃんは張り切った様子で目を輝かせた。 「こんどはののの番……」 僕の椅子の上に足をかけて、腰を浮かせた。 「このままするの?」 「うん」 ののかちゃんは僕のペニスを掴み、自分の股間に押し当てた。 「なんかドキドキする……」 自分から挿入することなのか、職員室ですることなのか。もしかすると両方に興奮しているのだろうか。 「い、入れるね……んっ……」 腰をゆっくりと下ろしてきた。 「は……うっ……」 ペニスが徐々に熱い膣に包まれていく。 「は……入って……くるぅ……」 中程まで入ったところでバランスを崩し、すとんと膝の上に腰が落ち、ののかちゃんはペニスで一気に貫かれる形になる。 「きゃぅんっ!! んん〜〜……!」 根元までがっちりと咥え込んでいる。一段と深く……亀頭がヘソの裏側くらいまで届いてる感じだ。 「お、おくまで、きてる…… はぁ、はぁ……はぁっ、はふぅ……」 「大丈夫?」 「だい、じょぶ……」 「本当に?」 「うん、なんかおなかの中いっぱいだね……」 はじめは驚いたように目を見開いたけど今は恍惚として結合部を見つめている。 どうやら心配なさそうだ。 「この辺まで入ってるんじゃない?」 さっき思ったこと、臍のあたりを撫でると、こそばゆそうに身を震わせた。 「せんせー、くすぐったいよぉ」 手を下ろし、ぷにぷにのドテの部分を撫でると、ののかちゃんは僕の脇の下に手を伸ばしてきた。 「お返しっ」 「ちょ、ちょっと、あははっ」 お互いくすぐりあう。その行為自体が楽しいし、笑うと膣が微妙に振動して気持ちもいい。 しばらくそうやって動かずに、イチャイチャしていると、さすがにもどかしくなってきた。 「せんせー……」 動こうとして……ののかちゃんに先んじられた。 「あん、ふぁ……ん、んぁ……ああん……」 小さな体を躍動させて、僕を貪りはじめた。 「あっ、あああ……はっ、ん、あっ…… あ、あぁ、あぁ……あぁ……ん、んん……」 既に中は十分に潤っていて、いきなりぐちゅぐちゅといやらしい音が立つ。 「あん……あぁ……んぁ、あぁ……んぁっ…… せ、せんせー、気持ちいい?」 「うん、気持ちいいよ」 「ののも気持ちいいよ……奥にずんってなると…… 目の前が、ちかちかして……ん、んん……!」 膣内は僕のペニスに馴染んでいて、情熱的に絡みついてくる。 「ののかちゃん、僕と一緒でうれしい?」 「はぁ、はぁ、ん? うん、うれしいよ♪」 「一緒にいてくれるだけでもしあわせだし、 一緒になれるのはもっとしあわせ……」 「せんせーのお顔じーっとみてると、 むねがぎゅーってなって、 おなかのあたりがきゅんきゅんしてくるの……んん」 「それはダメだよ」 「だ、ダメなの?」 先生としては注意しなければいけないところだけど、恋人としては嬉しい。 「うん、授業中はしたくならないように、 今、いっぱい気持ちよくなっちゃえばいいよ」 「うん、そうする」 頷いてセックスに没頭しはじめた。 「ひ、ひうっ! ん、んぁ……あ、ああぁ…… あ、ああぁ……んんっ、あぁん……ああぁっ」 緩んだ口元から舌がだらしなく出る。 「あ、ああ……す、すごぃ、いいよぉ……」 「ののかちゃん、エッチな顔してる」 「あ、あっ! えっちな顔……ヘン? あぁん、んぁ……き、嫌いになる?」 「ううん、いつも以上に可愛い、大好きだよ」 「えっちな顔、可愛いの?」 「うん、もちろんだよ」 「嬉しい……もっと感じて、えっちな顔するの…… ふぁ、ん……あぁん……あっ、ん……ふぁぁ……」 ののかちゃんの腰の動きは、益々激しくなっていく。 「の、ののかちゃん……すごいよ」 小さな割れ目に、グロテスクとも言える男性器が出入りしている光景はなんともなまめかしい。 一方で、必死に僕の上で動いている所作は公園の遊具で遊んでいるかのようだ。 その二つの相反する光景が、僕をより昂ぶらせる。 「あ、ああ……自分で奥をずんってするの…… なんか……す、すごい……よぉ……!」 この体位のせいで、いつもより奥が刺激されるみたいだ。 亀頭の上の部分が、膣奥に強く押しつけられると、ののかちゃんはビクビクと体を震わせた。 「あ、ああっ! ん、んぁ……あはぁっ! んんっ! ん、ん、んんんっ! くぁ! あ、あぁんっ!」 興奮して、分泌する液体が増す。お互いの性器が擦れ合いくちゅくちゅといやらしい音が大きくなっていく。 「くぅっ」 あまりの気持ちよさに、無意識に腰を動かす。 「せんせーはじっとしてて、 ののがもっとしてあげるから」 「う、うん」 ここはののかちゃんの自主性に任せよう。 こっちが動きを止めると、ののかちゃんは改めて腰を激しく振って、僕を貪ってきた。 「ふ、くぅ……い、いいよ、それすごい……」 「ふぁっ! あ、あぁ……ん、んぁ…… ののも、すごく気持ちいい」 「ののかちゃんっ……くぁっ、んんっ!」 「ああっ! あんっ、ん、んんっ! ん、あぁ……ああっ、ぐっ……あぁんっ! あ、ふぁ、ん、んぁ、ん、んんん……!」 次第にテンションが上がってくる僕たち。大きな喘ぎ声を職員室に響き渡らせる。 もし誰かが残っていて、近くにいたら驚いて様子を見に来るだろう。 そんな心配や緊張感も快感に変わっていく。 「あ、ああ……もっと、もっと……!」 考えてみると、ここまでずっとののかちゃんに任せたのははじめてかもしれない。 「はぁ、はぁ、ののかちゃん疲れてない?」 「ううん、全然つかれないよぉ、これだいすきぃ、 もっとしたいっ、あ、あぁん、ふぁぁぁ……!」 「じゃあ、任せるね?」 「うん、がんばるっ、ふぁ、ああぁんっ、 体がびりびりしてとろけちゃう、ぁ、んぁ……!」 「くっ、ぼ、僕もとろけそうだよ」 心地よさに大量の先走りが迸る。 「ん、んぁっ! 中でぴゅって……」 それにののかちゃんの膣が反応した。精液を搾ろうと蠢きはじめる。 なんだこれ……! 別の生き物とよく言うが、まるで精液を1滴もこぼさないようにと根元からぎゅっと締めつけてくる。 「んっ……ん、んんっ……! せんせー、ふぁっ! あ、ああっ! あぁぁん、んぁっ!」 ののかちゃんは僕を貪欲に求めてくるのに、こっちがもう限界寸前だった。 「も、もっと……も、もっといっぱい…… ずっとしてたいっ、ん、んんんっ、んんんっ!」 膝の上で乱れるののかちゃんに感動しつつ、射精を必死に堪える。 「き、きもちいぃ! あ、ああ、んんっ…… あ、あああ……ふぁっ!?」 腰を振っているののかちゃんが、挿入時のように、バランスを崩した。 「お、おおおっ」 膣内で予想外の擦れ方をして、僕は耐えきれなくなった。 「ぐ、くぅ……んん……」 強烈な射精感に、体を震わせる。 「ふぁ、出てる……」 「ご、ごめん、我慢できなかった」 「ううん、しゃせー、うれしい……」 腰の動きを止めて、射精している僕をきゅっと抱き締めてきた。 「どくんどくんって……ののの中に入ってくる…… もっといっぱい出して……」 ののかちゃんは、絶頂は迎えてないけど、うっとりとして中出しの感触を味わっている。 「あ、ふぁ……あぁ……」 ののかちゃんは射精が終わってもしばらくそのままでいてくれた。 「……まんぞくした?」 十分に余韻を楽しんだ後、ののかちゃんはそう訊いてきた。 二回も射精して満足したと言えなくもないけど、ここでやめるわけにはいかない。 今度はののかちゃんをイかせないと。 「ののかちゃんはどう? 満足した?」 そう訊くと、少し驚いたような顔をした後、首を横に振った。 「ううん、してない」 少し恥ずかしそうに告白してくれた。 まあ、あそこまで感じていたんだ、これでやめられるわけないだろう。 「いいよ、続けて」 「うん、するね。今度は一緒にイこ」 そう言うと、中断が余程もどかしかったのか、何かから解き放たれたように、腰を動かしてきた。 「う、おぅっ」 射精後の敏感なペニスをシゴかれて、呻き声を上げてしまう。 「はぁ、はぁ、せんせー、すごい顔してる」 「イッたばっかりは、敏感になってて、くっ」 「そうなの? でも、腰がとまんないよぉ…… ふぁっ、あぁん、ん、んぁっ、ああぁっ、んんっ」 「だ、大丈夫、くすぐったいっていうか、 痛いわけじゃないから……くっ、続けていいよ」 「あ、あぁっ、せんせー、だいすきぃ、 ああ、ふぁっ、あん、んんんっ、んんんっ」 初めは僕を気遣っていたけど、段々と快楽に没頭しはじめた。 「んっ、んんっ! ん、んん……!」 僕も次第に苦しくなるようなくすぐったさは消え去って、気持ちいいだけになってきた。 「せんせー、あ、あぁぁ、ふぁ、んぁ、 あぁぁっ、ふぁ、もっと気持ちよくなるのっ」 めんどくさがり屋なののかちゃんが額に汗して必死に頑張って腰を振っている。 それが健気でより愛おしくなってきた。 「もっと……おちんちんで、気持ちよくなる…… もっといっぱい……あ、ああ……んふぁぁっ」 もっと激しくしたいのに、疲れてきてできない感じだ。 だったら、こっちから……。 「僕も動くから、一緒に頑張って もっと気持ちよくなろう」 ののかちゃんの動きに合わせるように、腰を動かす。 「せんせーが動いて……す、すごい…… やっぱり、せんせーすごいよぉ……!」 理性をかなぐり捨てて、獣のように貪り合う。 はじめてした時、交尾って教えたけど、本当に交尾みたいだ。 僕も一匹の雄になって、雌のののかちゃんを攻め立てる。 「せんせー、ちゅーして」 上体を丸めてののかちゃんの口元に顔を寄せる。 「れるれるぅ……せんせー、んちゅ……んん……」 セックスしながら舌を絡ませる。下と上で繋がりながらするのはなんとも言えない満足感がある。 「ちゅ、ちゅゅゅっ」 キスをしたまま、思い切り突き上げた。 「んんんんぅっ!」 強烈な快感にののかちゃんのあごが自然と上がり、唇が離れた。 「ふぁっ、こ、これぇ……あ、ああっ! あ、あぁぁっ! んんんんんんんーーっ!」 強烈な快感に体を震わせている。眉根を寄せてイクのを必死に堪えている感じだ。 「はぁ、はぁ、先にイッてもいいんだよ?」 一緒にという言葉に縛られているのかとそう声をかけると、首を横に振った。 「ううん、なんかもっとすごくなれそうで…… せんせー、我慢するからもっと続けて!」 ののかちゃんは苦しさの中にもこれまで以上に感じられる何かを見つけたみたいだ。 「じゃあ、二人でいっぱい動こう」 「うん、んんっ! もっとずんずんしてぇ! ののも動くからぁ、ああぁぁっ! んんっ!」 リクエストに応えて、奥を壊すくらいの勢いで、ズンズンと腰を突き立てる。 「ひっ! ふぁっ、くっ、うっ、あああっ! あ、あああっ! あ、ああああぁぁぁぁっ!」 「はぁ、はぁ、く、くぅっ!」 もう出してしまいそうだけど、ののかちゃんも頑張っているんだ。射精欲を抑えて腰を突き上げ続ける。 「ひぃ、あぁん、……んっ! んふっ! ん、んんっ! ふぁっ! ひ、ひぅっ!」 絶頂を堪えて、もう一段高いところに飛びはじめ、理性がとろけたような顔をしている。 口元も緩み、涎は垂れっぱなしだ。 「あふぅっ! おひんひんっ、すごひぃ、あっ! ひ、ひぅっ、ずぽずぽいいのぉ、あああっ!」 呂律も回らなくなってきた。それでも僕のペニスを求めてくれるのが嬉しい。 「もっと奥までするよ」 「んっ! んんっ! あ、あああっ! あぐっ、おっ! ああっ、ふぁっ! んんんっ!」 ののかちゃんは目を細め、うるんだ瞳で僕を見続けている。 「す、すごいの……くるぅ! あ、ああぁ! あ、ああっ! も、もう! のの……もうっ!」 「ののかちゃんっ、ののかちゃんっ! 僕も、もうっ! あ、あぁぁっ!」 「いひよぉ、いっしょにぃ!」 一際強く突き上げたペニスに、肉ヒダが絡みつく。一緒にイこうと膣が全力を出してきた。 「せんせーの、すごひぃ……! あ、ああっ! ふぁっ、あ、ああぁぁぁぁっ!」 だらしなく緩んだ口から、舌を出して悶える。 「イッちゃうっ! ん、んんんんんんんっ!」 最後は絶頂を叫びつつ、体を仰け反らせた。 「僕もっ!」 ののかちゃんがイクのとほぼ同時に、ペニスの根元に滾っていたマグマが噴火した。 「んんっ、んあぁぁっ! でてるっ! あ、ああっ! くぁっ! ああぁぁぁぁぁっ!」 「ののかちゃんっ、ぜんぶ受け止めてっ!」 尿道をものすごい勢いで駆け抜けた白濁を迸らせる。 それを膣奥に受けたののかちゃんは、再び絶頂の声を上げた。 「イッてるのにイッちゃう! あ、ああぁぁっ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 「あ、あぁぁっ! うあぁぁぁぁぁぁっ! ふぁーー……」 「………………っ」 最後は声もなく悦び続け、僕の精液を全部受け止めてくれた。 「んぁ……い、いっぱい……お腹にいっぱい……」 しばらくして、絶頂から戻ってきたののかちゃんは余韻に浸りながら言った。 「はぁ……はぁ……せんせー…… す、すごかったよぉ……」 「はぁ……はぁ……僕もすごかったよ」 三回目の射精でさすがに僕のペニスも萎んで、精液と共に自然とののかちゃんの膣から抜け落ちた。 「いっぱい汚しちゃった……」 「ののかちゃんも、汁がいっぱい出たね」 そう感想を漏らすと、ののかちゃんは困ったような顔をした。 「せんせー、のの、どうだった?」 今日はいつも以上に乱れた。それを僕がどう思ったか心配になったみたいだ。 「んー……ちょっとエッチすぎるね」 「え?」 キョトンとするののかちゃんに冗談だと笑ってみせた。 「エッチなののかちゃんには、こうやってエッチな お仕置きしてあげないといけないね」 「えっちなオシオキ……」 「お仕置きされて、すっきりしたでしょ?」 ののかちゃんは小さく頷くと何か言いたそうに僕を見つめてきた。 「どうしたの? も、もしかして、まだすっきりしてないとか?」 「んぅ……? ううん、さすがにもう、つかれたぁ……」 いつものののかちゃんが戻ってきてなんだか僕はほっとした。 「今日じゃなくて…… またえっちなオシオキしてくれる?」 「ののかちゃんが エッチになった時はいつだってするよ」 僕はそう言ってののかちゃんの頭を撫でた。 「でも、僕の前以外じゃエッチになっちゃダメだぞ」 「うん、やくそくする」 僕たちは、裸のまま指切りげんまんをした。 寒くなってきたので、いそいそと服を着て身支度をすませ、まずは掃除をすることにした。 「なんか……変な感じだ……」 机の下に垂れた精液、椅子に飛び散った愛液を拭いている姿はシュールというか……なんとも言えない微妙な気持ちになる。 「変?」 この感情は、ののかちゃんにはまだ理解できないみたいだ。 「せんせー、掃除終わったら帰る?」 「プリント作っちゃうから、少し待ってて」 「うん」 ののかちゃんを暖房の前で待たせて、僕は仕事に取りかかった。 ののかちゃんがクシャクシャにしたプリントは学級新聞を作るにあたっての見本だ。 運動会などの学校行事を、僕が生徒たちと同い年だったらと仮定して書いている。 運動会では一人一人の活躍を記事にしているのだが―― 難しいのはののかちゃんについてだ。 僕個人の想いが強すぎて、他の子たちと同じように書けない。 「(どうしようかな……)」 運動会で出た種目の大抵はビリだったし、動きもどこか散漫としていた。 でも、何か琴線に触れたのだろうか、玉入れだけはとんでもない集中力を発揮し大活躍した。 考えすぎてもよくないと思い、僕は思った通りに書くように手を動かす。 数十分くらいで新聞は完成した。 作り直したことで完成度は上がった気がする。 改めて記事を読み直すと、僕がどれだけののかちゃんが好きなのか、わかってしまいそうな内容だ。 ちょっと恥ずかしいがここは同じ目線のののかちゃんに見せてみよう。 「ののかちゃん、これどう思う?」 暖房の近くで休んでいたはずのののかちゃんの姿がない。 僕はなんとも言えない不安感に襲われた。 僕はののかちゃんが好きだ。 異動の話を断った後、更に好きになった。もう、ののかちゃんなしの生活なんて考えられないとも思った。 しかし、ののかちゃんはどう感じているのか、本気で考えた事がなかった。 僕を好きでいてくれるのは実感してるし、そこに嘘はないってわかっている。 でも、今のののかちゃんの気持ちがずっと続くだろうか? 僕が、ののかちゃんの年の頃に好きだった人は何をやってるかすら知らない。 生まれて、学校に入って、就職して。僕は色々な人と出会い、少なくとも何人かの人を好きになった。 それがあるから、ののかちゃんが、今まで好きになった人の中でも特別だってわかる。 でも、ののかちゃんはそうじゃない……。 ののかちゃんは、この田舎町の限られた人にしか出会っていない。 都会に出て、沢山の人に出会い、別の誰かに恋をして―― いつか、僕の前からこうやってふといなくなってしまうんじゃないかと、不安に感じてしまう。 僕は慌てて首を横に振った。 前も不安になった時はあったが、ののかちゃんが好きになりすぎて、また同じようなことを考えてしまっている。 こんなのきっと杞憂だ。ののかちゃんを信じよう。 心配を封印し、ののかちゃんを探しに行こうと上着を羽織った。 帰ったってことはないよね。どこかフラフラと歩き回っているのかもしれない。 「(とりあえず、校舎内を探してみようかな)」 そう思った瞬間、職員室のドアが開いた。 「せんせー」 ののかちゃんが戻ってきた。 「探しに行こうと思ったんだよ、 どこに行ってたの?」 「ちょっとお外に」 「外? 寒いのは好きじゃないって 言ってたじゃない」 「えへへー」 勝手にいなくなったことを注意したいけど、こういう風に微笑む顔を見ると何も言えなくなってしまう。 最近、ののかちゃんに厳しくできていない。 ホレた弱みっていうのはこういうことを言うのかもしれない。 「せんせー、お仕事終わったの?」 「うん、ほら、プリントはもうできたよ」 本気で心配していたことを隠すように、出来るだけいつものトーンでののかちゃんに見せる。 「玉入れで頑張ってたからね、 そのことを記事にしたんだ」 「へぇ、学級新聞ってこういう感じなんだね」 「雰囲気だけだよ。何を書いたっていいんだ」 「じゃあ、私はせんせーのかつやくを書くね」 「い、いや、クラスメイトの活躍を書かなきゃ……」 「何を書いてもいいんじゃないの?」 「……まあ、任せるよ」 「やったぁ、のの、絶対せんせーのこと書くっ」 何を書かれてしまうんだろう……。 ちょっと心配だけど、僕との関係については迂闊なことを言わないので大丈夫だろう。 「じゃあ、そろそろ帰ろうか」 「うん」 コピーするのは明日にするとして、今日はもう帰ることにした。 いつの間にか手をつないで歩くことも、ごく生活の一部となっている。 校舎を出ると、突然ののかちゃんに引っ張られてしまう。 「もう暗いし、雪で遊ぶのは今度にしない?」 「遊ぶんじゃなくて……」 「ん?」 「いいから、きて」 手を引っぱられ、グラウンドの一角に連れてこられた。 そこには、妙な設えがしてあって……。 「あれ何?」 「んふふー」 ののかちゃんは意味ありげな笑みを浮かべる。 何か企んでいるみたいだ。訊いても答えてくれなさそうなので、そこに二人で近づいていく。 最初見た時は何なのか分からなかったが、ののかちゃんの言葉ですべて理解した。 「誕生日おめでとー」 そうだ。今日は僕の誕生日だった。 目の前にはお世辞にもよくできているとは言えない、雪でできた小さなケーキ。 「僕の誕生日、覚えてたんだ」 「当たり前だよ、せんせーはこいびとなんだもん」 「こいびとの誕生日は、さぷらいずなんだよ」 どこからか仕入れたのか、そう言っていつもの自信満々の顔。 社会人になってから、誕生日を祝ってもらうことなんてなかった。 「授業終わってから、準備してたんだ」 「はじめに職員室に来た時、 妙に手が冷たかったのはそういうことだったんだ」 「うん、それでさっきは最後の飾り付け をしてたんだよ」 このサプライズをするために職員室から出ていったのだろう。 いなくなったと思って不安になったが、僕のためだったのかと気づく。 ののかちゃんは僕が思っている以上に僕を想ってくれている。 「寒いの好きじゃないって言ってたのに……」 本当にサプライズで思わず目頭が熱くなるのを感じ、それをごまかすためにもう何度目かの同じセリフを口にしてしまう。 「せんせーのためなら、それくらいへーきだよ」 満面の笑顔で。自信たっぷりの笑顔で答える。 いつか失うなんて、やっぱり杞憂だった。 そう実感できて、ほっとしたのと、誕生日を祝ってもらったことの嬉しさで、視線を落とすと別のものまでこぼれてしまいそうだ。 でも、喜ばせようとしてやってくれてるのに、泣くわけにいかない。 無理矢理笑顔を作ったけど、それが変な顔になっていたみたいでののかちゃんは心配そうに僕を見つめてきた。 「せんせー?」 とりあえず、ちゃんとお礼を言わないと。 「お祝いしてくれてありがとう、ののかちゃん」 「ううん、ちゃんとした食べられる ケーキじゃなくてごめんね」 「これも食べられるよ」 「え?」 「美味しそうだな」 実際に食べるわけじゃない。大まじめにおままごとのような食べるふりをしようとして一旦止めた。 「でも、一人で食べるにはお腹壊しちゃうかもね。 半分こにして、一緒に食べようか」 近くに落ちていた枝を掴み、それをナイフに見立ててカットしようとすると、 「ののも一緒にやるっ」 ののかちゃんも枝を掴んできた。二人でケーキのホール型をした雪に枝先を差し入れる。 「……けっこん式みたい」 「確かに……」 いわゆる『初めての共同作業』みたいで……妙な照れ臭さを感じながらケーキを半分にする。 その時、ののかちゃんはふっと呟くように言った。 「のの、色々やってみたいって思ってるの……」 「色々?」 「しょーらいのこと、 頑張れば夢を叶えられるかもって せんせーに教えてもらったから……」 「でもね、一番の夢は せんせーとけっこんすることだよ」 「ウェディングドレスを着て、 こうやってせんせーと一緒にケーキ切るの」 笑顔で言うと、急に切なそうな顔をした。 「でも、それってずっと先だよね……」 「…………」 どんなにお互い大好きでも、卒業するまでは先生と生徒だ。 「……待ってくれる?」 ――いつになく心配そうな声。 「けっこんできるまで、 のののことを待っててくれる?」 「あ……」 いつも不安なんてないものだと思っていたののかちゃんだったが、僕が思っている以上にもっと大人なのかもしれない。 ののかちゃんだって僕を失うかもしれないっていう不安を感じていたことに胸が熱くなる。 僕もそうだけど、人を好きになるっていうのは、時に不安になるものだ。 さっき、ののかちゃんに不安を解消してもらった。今度は僕が安心させてあげる番だ。 「側にいてずっと待ってる」 いずれ名門校とかの教鞭を執りたいけど、今では僕の一番の夢も、ののかちゃんと一緒になることだ。 「ずっと?」 「うん」 「やったぁ」 「せんせー、卒業したらけっこんしようね」 「うん、約束だ」 「やくそくー」 こうして僕の誕生日は、僕たちの密かな婚約記念日になった。 「えへへ、これからずっとらぶらぶだね」 ののかちゃんはそう言って例の締まりのない笑顔をみせた。 それはとてもとても魅力的で僕の大好きな笑顔だった。 そうか、僕はこの笑顔に惚れたんだな……。 「ののかちゃん、大好きだよ」 「ののもだいだいだーーーーいすきっ」 その後も、ののかちゃんとエッチなことをしたり、勉強を教えたりして過ごした。 あっという間に時間は経過し、季節は冬になっていた。 そして、この前、心岳学園への異動の内示が出た。 断らなかったので、来年この学校を去ることは確実になった。 それをののかちゃんにも改めて伝えたけど、やっぱり、別に寂しがったりする様子はなかった。 あまりに寂しがらなかったので、逆にこっちが少し寂しくなってしまったのは秘密だ。 その日、恒例となった補習を終えると、もう真っ暗になっていたのでののかちゃんを送っていくことにした。 途中の公園に寄ってベンチに座り、空を見上げた。 「のの、はやぶさのお話好きなんだ」 暇をもてあましながら足をパタパタさせ、脈絡もなく、いきなりそう言ってきた。 「はやぶさ? えっと、宇宙の探査機の?」 「うん、作る人になりたいなって思ったこと あるけど、算数得意じゃないからむりだって 思ってたの……」 「でも、せんせーにおべんきょーの仕方を教わって、 がんばればなれるかもって……」 外灯に照らされたののかちゃんの笑顔が少しだけ寂しそうに見える。 「ありがと、せんせー」 夢を持つことができたってことかな。 それが一生の夢かどうかわからない。 でも、そう思えるようにしてあげられたってことが嬉しかったし、自分が誇らしかった。 先生になってよかったな……。 「叶えたかったら頑張らないとね」 「うん、せんせーがいなくなっても、 ちゃんとお勉強するよ♪」 「……本当に僕がいなくなっても大丈夫?」 「だいじょぶだよ」 「……寂しくないの?」 あまりに自信満々なので、つい、そんなことを訊いてしまった。 それが詮無いことと知りながらも……。 「ん〜……寂しいって言ったら、 いつもせんせーとお別れする時寂しいよ……」 「ののかちゃん……」 もしかして、無理してたのかな……。 余計なことを言ってしまったかもしれない……。 なんて声をかけていいか悩んでいると、ののかちゃんは笑顔になって話を続けた。 「でも、次会ったら何をしよう。 何をするのかなって、考えるの」 「そうすると、ワクワクして 楽しい気持ちになるの♪」 別れを悲しむんじゃなくて、次に会ってすることを楽しみにするってことか……。 「せんせーが学校をやめて、 次に会うときに何したい?」 「そうだなぁ……」 何をするのか……それは思いつかなかったけど、寂しい気持ちが遠のいた気がした。 「ふふ、お別れのことを考えて、 しんみりしてても仕方ないってことか。 先生なのに教えられたよ」 「うん」 「ののかちゃんはすごいなぁ」 「えへへー」 ののかちゃんは笑った。 それはいつもの締まりのない笑顔だったけど、僕はその笑顔を見て、惚れ直してしまった。 師走に入り更に慌ただしく月日が過ぎ、二学期の終業式を迎えた。 この時点で、僕はこの学校を……この町を去ることになった。 普通は四月からなのだけど、心岳学園の都合で一月から赴任になったのだ。 終業式が終わると、えみちゃんを中心にお別れ会を開いてくれた。 「せんせ、ありがとう」 代表して寄せ書きをプレゼントしてくれた。 「せんせい……」 ことねちゃんはベソをかいている。 えみちゃんも、瞳を潤ませている。多かれ少なかれ、他の子たちも別れを惜しんでくれているようだ。 僕は一人一人に声をかけ、お別れをした。 ののかちゃんは不思議と笑ったままだった。 「一年に満たない間ですが、 ご指導ありがとうございました」 職員室に戻り、僕はお世話になった先生方に挨拶をした。 「色々と勉強になって、 すごく有意義な時間を過ごせました」 「その恩を返せないうちに、 やめることになって……」 言いかけているところで、小野先生が僕の背中を叩いた。 「恩とか気にしないでくださいよ」 「そうですよ、小野先生の言う通りです。 やる気を持て余していたのはみんな知ってます。 向こうの学校で頑張ってくださいね」 教頭先生もコクリと頷いた。 「活躍を期待していますよ」 全員で優しく送り出してくれた。 ここに来てよかった。僕は改めてそんなことを思った。 大きな荷物は既に送ってある。 残りの荷物を持って、橋本家のみんなと最後のお別れをした。 敦子さんと隆司さんは、僕を励ましてくれて、ゆうきくんはいまいちよくわかっていないみたいで、また明日みたいな挨拶だった。 最後にえみちゃんが進み出た。 学校からずっと悲しそうだったえみちゃんが笑顔を作った。 「せんせ……楽しかったよ」 寂しい気持ちを抑えてそう言ってくれた。 「ありがとう、僕も楽しかったよ」 僕も笑ってそう答える。 あまり長引かせてしまってもお別れしにくくなると思ってだ。 必要最低限の言葉に今の気持ちを目いっぱい詰め込んで、その場を後にした。 いい出会いだったな……。 でも、もっと成長するために、僕はここを出て行く……。 寂しい気持ちを押し殺して、僕はバス停に向かった。 一つ心残りがあるとしたら、色々と忙しくて、ののかちゃんとちゃんとお別れできていなかったことかな。 後で電話とかすればいいかな……。 そんなことを考えていると、後ろから足音がした。振り向くとそのののかちゃんだった。 「はぁ、はぁ、えみちゃんの家に行ったら もう行っちゃってびっくりしたよ」 後ろからののかちゃんの両親もやってきている。 どうやら、家族でお別れしにきてくれたみたいだ。 ののかちゃんがご両親と合流し、バス停まで見送ってくれた。 ののかちゃんのお母さんが、『道中、これを食べて』と小さな包みを手渡してきた後、僕の目をまっすぐ見据えてくる。 「ののかが勉強を真面目にやるようになったのは 先生のおかげです。ありがとうございました」 「一度ちゃんとお礼を言おうと思ってたん ですが、最後になってしまって……」 ののかちゃんのお父さんは恐縮頻りだ。 「いえ、ののかちゃんが頑張ったからです。 僕はちょっと手を貸しただけで……」 「じゃあ、そのちょっとを感謝させてください。 ありがとうございますね」 お母さんがそう言って、夫婦でお礼を言ってくれた。 「はは、なんだか恐縮します。 ののかちゃんを教えることで、 僕も成長できたって言いますか……」 「ですから僕もありがたかったんですよ」 「それじゃ、お互いよかったってことで」 「そうですね」 三人で笑ってお別れとなった。 「せんせー、私を教えて成長したの?」 大人の話を黙って聞いていたののかちゃんが僕の袖を掴んで訊いてきた。 「うん、ありがとう、ののかちゃん」 「えへへー」 色々と話したいのに、妙な照れ臭さがあって、ののかちゃんにそれ以上言えなかった。 もっとも、色々と言ったら両親には聞かせられないことを口走りそうだっていうのもあるけど……。 「せんせー、さよなら」 しばらくして、バスがやってきて、ののかちゃんはお別れの言葉を紡いだ。 相変わらず悲しそうな様子はない。 「さよなら、ののかちゃん」 そう答えると、ののかちゃんは僕の側までやってくる。 「そうだ、さよならの後、 次に会ったら何するか思いついたの」 「ん?」 「昨日寂しくて寂しくて仕方なかったけど、 それを思いついたら笑顔になれたんだ」 ああ、別れることより、次に会うことを考えるっていう……。 ののかちゃんは、それを実践してたからずっと笑顔だったんだな……。 一体何を思いついたんだろう? 「それってどんなこと?」 我慢できずにそう尋ねると、ののかちゃんはイタズラっぽい笑顔を浮かべた。 両親のいる前で何を言い出すのか……嫌な予感を覚えながら、ののかちゃんの言葉を待つ。 バスが止まり、ぷしゅーと音を立てて乗車口が開いた。 「けっこん♪」 「せんせーとけっこんするんだ〜」 そうか結婚か。 責任を取る覚悟はあったけど、改めてそう言われるのは新鮮だった。 それに答えようとして、両親の前だということに気づき様子を窺う。 ののかちゃんのお母さんたちは苦笑いを浮かべていた。 どうやら、本気にしていないみたいだ。 だったら、僕も答えて大丈夫かな。 「わかった、次に会う時にはしようね」 もちろん僕も本気だ。 「ママ、パパ。のの、先生のお嫁さんだよ」 どう考えていいのか、困惑している両親を余所に、ののかちゃんは未来の旦那さんを紹介して少し自慢げだった。 「はは、それじゃ、失礼します」 突っ込まれたら色々とまずいので、僕はそそくさとバスに乗って、出発した。 「またね、せんせー」 ののかちゃんはいつまでも手を振ってくれた。 次に会う時は“結婚”……か。 さっきまで少し寂しかったけど、もう全くそんな気持ちはなかった。 むしろ、嬉しくてニヤニヤしてくる。 きっとののかちゃんもだろう。 未来のお嫁さんと、素敵な思い出を持って僕は新しい生徒の待つ学校へと向かった。 ハーレムルートが解放されました。 共通ルートの最後に、選択肢が追加されます。 やっぱりことねちゃんのことが気になる。 注意して見てみると……ことねちゃんはプールの隅っこのほうでほとんどプールサイドにつかまっている状態だった。 手がプールサイドから離れることはなく、「つかまり立ち」するみたいに恐る恐るといった具合だ。 ……お?ことねちゃんが急に決意したような顔をして―― ざぶ、と顔を水につけた。 それから十秒くらいして顔を上げる。 そして一生懸命がんばった、と自分に言い聞かせるように小さく頷いた。 可愛い仕草だけど水泳が苦手なことは明らかだ。 プールサイドにつかまりながら顔を水につけ、けのびの姿勢をとるくらいがことねちゃんの精一杯らしかった。 ことねちゃんは泳ぎが得意な子たちがはしゃぐのをぼんやりと眺めている。 その視線が誰かの上で止まった。 僕もそちらを見てみると、漂うように泳いでいくののかちゃんの姿があった。 ……クラゲみたいな泳ぎ方だ。天性のものとしか思えない脱力具合で上手に水に浮かんでいる。 ゆらゆら漂って自由に周回しながら、はしゃいでいる他の子を巧みに避けてえみちゃんに近づいていく。 ことねちゃんは興味津々にそれを見ていた。 うーん……あれを見本にするのは……。 と、そこまで考えてから気付いた。 ことねちゃんのことだから、泳ぎ方を教えて欲しい、と誰にも言い出せないでいるんだろう。 見よう見まねといった感じで、ことねちゃんはののかちゃんみたいに浮かぼうとして―― ――すぐに沈んでしまい、あわててプールサイドをつかみ直していた。 常にプールサイドにつかまっていないと不安なくらいなのに、自分なりに懸命に学ぼうとしている。 そんな姿に僕はひそかに心を打たれてしまった。 「よーし、全員いったんプールからあがれー! 前半終わり、休憩タイムだぞー!」 水泳が得意らしい子たちからは抗議の声があがるが、苦手らしい子たちは喜々としてプールサイドに上がってきた。 「ほら、並べー!」 教師にとっては大事なタイミング。 万が一、プールからあがってきていない子がいないか、点呼して確認をとっていく。 「全員いますね」 「はい、こちらも大丈夫です」 次は体調の悪そうな子がいないか、ひとりひとり顔色を見ていく。 ついでに二言三言話しかけるとだいたいの体調はわかる。 ことねちゃんのそばに来ると、彼女は顔を上げた。 「…………」 少し不安そうに僕の顔を見上げる。 いや……。不安もあるけど、期待もあるような。微妙な色を帯びた視線。 「プールは好き?」 「はい……」 その返事は後を引く感じだった。まだ言いたいことがあるけれど、言えないというような。 ……困ったな。 ことねちゃんの性格的に、この時間中に直接教えてあげるというのは難しそうだ。 先生に迷惑がかかるから、とか、他の子に悪いから、とか考えてしまう子だし。 何かしてあげたいけれど今は声をかけるくらいにしておくしかないだろう。 「さっきは顔を水につけるの、頑張ってたね。 それができるなら きっとすぐ泳げるようになるよ」 「ぁ……。は、はいっ」 嬉しそうに微笑んでくれる。 僕も素直に嬉しい。感情表現をまっすぐしてくれるようになってきたのを実感した。 そこで短いやりとりを終えて、その隣の子にも話しかける。 皆がいる場では平等に、ひいきのないように接するほうがことねちゃんは安心してくれるから。 ほどなくして休憩時間は終わり、小野先生が笛を口元にあてた。 「よーし、そろそろ休憩終わりだー! 後半いくぞー!」 歓声と水しぶきが飛び交う。 「こらあーーー! そこっ! 飛び込むな!」 威勢のいい掛け声は小野先生に任せ、僕はプールサイドから皆の様子を見ることに集中する。 25メートルのレーンを適当な間隔をあけて泳ぐ練習。 水泳が得意な子はクロールや平泳ぎで泳ぎ切り、普通の子は泳いだり立ったり。苦手な子は歩いて進んでいく感じだ。 ことねちゃんの番になった。 一番端のレーンで、プールサイドに片手でつかまりながら歩いていく。 真剣な表情で、ときどき体を傾けて泳ぎだそうとする。 体が傾ききる前にすぐに立ち上がってしまうけれど、彼女なりに頑張っていることは十分伝わってきた。 その頑張りがいい方向に作用するようになんとか手助けしてあげたい。 どうすればいいか――僕はうっすらとした計画を頭に思い浮かべていた。 水泳の時間の後、独特のけだるい空気の中、お昼休みを終えて放課後。 終始、ことねちゃんの様子を伺い、なおさら気にかかってしまっていた。 プール授業の休憩時間では慎ましい笑顔を見せまでしてくれたけれど……。 その後の時間はどこかぐったりした様子で、心ここにあらずといった感じだった。 かなり疲れてしまったようだ。 彼女なりに相当無理をして水泳に挑んでいたらしい。 「ことねちゃん?」 ぼうっと窓の外を眺めていることねちゃんに声をかけた。 「……? あ、せんせい……」 「みんなもう帰っちゃったよ。 今日は飼育係はいいの?」 「はい……。 ののかちゃんにかわってもらいました……」 どこかぼんやりした様子で言う。 大好きなゆきやミミの世話を交代してもらうほどとは、相当重症だ。 「今日は……僕と一緒に帰ろうか」 「え……せんせいと?」 「ちょっと遠いし、疲れてるみたいだからね。 おうちまで送っていくよ」 教室には他の生徒はいない。この状況なら、ことねちゃんも素直になってくれるだろうと考えてのことだけど―― 「ふふ……やったぁ」 ことねちゃんはほとんど何も考えていない様子であどけなく笑った。 いつもなら周囲を気にするそぶりを見せるはずなのに今はそれもしないし、丁寧語も少しとれてしまっている。 疲労で余裕がなくなっているだけといえばそうだけど、それでも素直な笑顔に強く惹かれた。 「さ、立って。 遅くなるとおうちの人も心配するからね」 「はい」 体調が悪いということもあり、心配して手を差し出す。 一瞬、躊躇したようすだったが、おずおずとした様子で手を伸ばしてくる。 小さな指が僕の手に絡む。 なんとなく手を離す理由もなく、つないだまま歩いていく。 こうして異性と手を繋ぐことに、年甲斐もなく胸が高鳴る。 「ことねちゃん?」 「はい」 あれ……? 疲れた様子だったのだが、思いの外しっかりとした返事に違和感を感じる。 何か考え込んでいるみたいだ。 こちらから声をかけたほうがいいか待ったほうがいいか、僕も少し考える。 ことねちゃんの家まではまだ少し距離がある。 ここは彼女の自発的な行動を待ってみるのがいいと判断し、歩調をゆるめた。 「…………」 するとことねちゃんが何かに気付いたみたいに見上げ、そして微笑した。 「せんせい……やさしいです」 「ん? どうしたの、いきなり」 答えながらちょっと舌を巻いた。 彼女が自分のペースで考えて話しやすいようにと思って歩調をゆるめた――それを察してのセリフらしい。 この年頃の子はどんどん成長していくんだな……。 都会の子を相手にするときとは微妙に違う、素朴な感情が湧いてくる。 「あの……せんせい?」 「うん?」 「えっと……プールのときも、 ありがとうございます……」 「何かしたかな」 「せんせいが、 ちゃんと見ててくれたって思って…… そのあともがんばれました」 「頑張ってたね。でも頑張りすぎて 少し疲れちゃったのかな」 「う……そうかもしれないです…… ねむくなっちゃって……」 その後のことを思い出したのか、ことねちゃんはばつが悪そうにした。 「プールのあとって眠くなるよねえ。 僕もそうだったよ」 「先生も……ですか?」 「高校生くらいの時とかね。お昼にプールがあると、 その後の授業はクラスの半分くらい寝てた」 「え……そしたら、せんせいが……、 ぇと、せんせいのせんせいが、 きっとこまっちゃいます」 「はは、そうだね。もうしょうがないなって顔で 寝てる人を起こさずに授業してたよ」 「くすくす……せんせいって、たいへん」 ことねちゃんが上品に笑いながら僕の手をきゅっと握ってくる。 「あ……えっと」 ひとしきり笑ったあとに僕の顔を見上げた。少し真剣な表情で。 「せんせいは、水泳はとくいでしたか?」 「ことねちゃんくらいの時は苦手だったかな。 でも、もっと上の学年になる頃には 得意になってたよ」 「そうなんだぁ……」 ことねちゃんが尊敬のまなざしで僕を見る。ちょっと面映い。 「わ……わたしも、 うまく泳げるようになりたい……です」 「うん。基本はできてるから、 きっとすぐうまくなるよ」 答えながら表情をうかがう。期待と不安の入り混じった色。 僕は意を決して言った。 「……僕が、教えてあげようか」 「ほんとうですか?」 ぱっと表情が明るくなった。 やっぱり泳げないこと、そして――それを誰にも相談できずにいることにかなり悩んでいたらしい。 以前のことねちゃんなら、苦手なものの話題を自分から振って、こんな風に話すことはできなかっただろう。 自分から少しでも話そうと思えたこと、それだけでも進歩だ。 「あ……でも、みんなの前だと……」 「恥ずかしい?」 「はい……。それに、せんせいはほかの子も 見なきゃいけないから……。 ごめいわく、かけちゃうかも……」 授業中に大方予想した通りの答えだった。 だけど――大丈夫。 そう言うだろうと思って計画を立てたのだ。 僕はその計画のことをことねちゃんに話した。 初めは不安げだったことねちゃんだけど、だんだん目がキラキラと輝き始める。 「じゃあ、しっかりお昼寝はしておくんだよ。 眠れなくても横になること。いい?」 「はい、せんせいっ」 「またあとでね」 「はい……えへへ」 ことねちゃんの手と体が離れる。はにかんだ笑みを見せながら家の門をくぐっていった。 ずっと感じていた体温がなくなって、帰り道の間ずっと寄り添っていてくれたことを初めて自覚した。 夜七時半。……そろそろ約束の時間だ。 夕飯は食べ終えて、部屋でくつろいでいる……というよりはそわそわしてしまっている。 「お兄ちゃん?」 「ん……ああ、えみちゃんか。どうしたの?」 「…………」 「な、何かな」 「なにか、隠してることあるでしょ?」 「急にどうしたの。別にないよ」 「ふぅ〜ん。 ごはんのときもぼうっとしてたのに?」 「そうかな。プールの授業で疲れたのかもね」 って、このセリフは隠し事にちょっとかすってる。危ない危ない……。 えみちゃんが相手だとつい口を滑らせてしまいそうだ。 「さて、ちょっと食後の散歩に行ってこようかな」 「あたしもいく!」 うわ、やばい。 このままだと計画が―― そう思ったところで台所のほうから声がかかった。 「えみー! ちょっと手伝ってくれるー?!」 「えーー!」 「えーじゃないでしょ?」 「はは……、ほら、呼ばれてるよ」 「むーーっ」 えみちゃんはまた僕の顔をじーっと見つめてから居間へと去って行った。 「ふぅ……」 これで一応難を逃れた。 この隙に出よう。 準備をして、部屋を出ようとしたところで―― 「…………」 「うわ!?」 えみちゃんが戻ってきた。 「お手伝い行かないと、お母さんが怒っちゃうよ」 「今行くもん。お兄ちゃんにはこれ、 しゅーってしてあげる!」 えみちゃんの手には虫除けスプレーが握られていた。 ……なるほど。彼女なりの善意だったらしい。 「ありがとう。えみちゃんは気がきくね」 素直に褒めてみると、えみちゃんは一瞬笑った。 でもすぐにツンとした表情に戻って―― 「早く帰ってきて、 ゲーム付き合ってよね」 そんなこまっしゃくれたことを言いつつスプレーをかけてくれた。 田舎と言えどまだ夜8時前。 もう少し人通りもあるかと思ったけれど――全然ない。 この分なら行き帰りの道で人目を気にする必要もなさそうだ。 日が落ちると真っ暗になり大人でも少し怖いくらいだ。 夏場のじめっとした空気が肌にまとわりつくのもなかなか雰囲気がある。 お……。門の前に小さな人影が見える。 約束通り、彼女は待ってくれていた。 「せんせいっ」 「こんばんは。待たせて悪いね」 「こんばんは。だいじょうぶです、 いまちょうど出てきたところで……」 「……ふふ」 今のやりとりだけを聞くと恋人同士みたいで少し顔が緩んでしまった。 「(いや……何を考えているんだ。  相手は教え子だぞ……)」 「? どうかしましたか?」 「い、いや、大丈夫だよ。 準備はできてる?」 「はいっ」 ことねちゃんは手にもった水着用のバッグを掲げた。 「お昼寝はできた?」 「……ぐっすり、ねちゃいました」 きっと畳の上で寝てしまったのだろうか。痕がついていないか頬を触りながら少し恥ずかしそうに言う。 「よくできました。僕の言ったことを守れたね。 じゃあ行こうか」 「はい……えへへ♪」 僕が昼間考えた、ことねちゃんのための計画。 それは――夜のプールでの個人授業だった。 「まっくら……ですね」 「そうだね。足元に気をつけて」 「……。せんせい?」 ことねちゃんが見上げてくる。 「…………」 僕はことねちゃんのほうに手を伸ばした。 「……ふふ」 すると彼女は僕の手をとり、きゅっと握ってくる。 昼間も手を繋いでいた。でもあのときはことねちゃんの体調が悪そうだったからという大義名分が一応あった。 今は……そう、暗くて足元が危ないから。そんなところでいいだろうか。 「きゃっ」 「おっと……大丈夫?」 僕がつまらないことを考えている間にことねちゃんはつまずいてしまっていた。 「はい……。 おてて、つないでてよかったです……」 「足、くじいたりしてない?」 「うーんと……、 はい。へいきです」 二、三歩確かめるように歩いてからことねちゃんは笑みを返してくれた。 「まっくらで、よく見えなくて……。 せんせいがむかえに来てくれてよかったです」 「そうだね。ここまで暗いとちょっと危ないかも」 「はい……。それに、おばけがでそうで……」 ことねちゃんが不安げな目で辺りを見回す。 大人の僕でもちょっと怖いくらいだから……ことねちゃんにとっては結構深刻かもしれない。 「僕がいるから、おばけが出ても大丈夫だよ」 「あ……。ふふ、えへへへ……」 ことねちゃんは肌が白い。だから夜目にもその頬がぽっと染まったのがわかった。 「せんせいは、おばけ、見たことありますか?」 「いやあ、無いね。 あいにく霊感とかはないみたいだよ」 「おばけって、いるのかなあ……」 「どうだろうね。僕はいないと思ってるけど、 いないとは言い切れないからね」 「うぅ……」 自然に答えたつもりだけど、この場合はおばけなんていないと言い切ったほうがよかったかもしれない。 だけど――不安そうにさらに身を寄せてきた数秒後、ことねちゃんは僕をまっすぐに見上げた。 「せんせい、あったかい……」 そんな風に言われると僕も心があたたかくなる。実際にことねちゃんの体温を感じているせいもあるだろう。 僕はことねちゃんの手を引いて、少しだけ身体を寄せた。 「あ……これなら、おばけがきても…… ぜんぜん、怖くないかもです」 「……うん」 まるで恋人同士。 誰かに見られでもしたら言い訳するのは難しそうだけど、今は気にしないでおこう。 「うーん……。あったかいけど、 ちょっと歩きにくいかも、です」 「はは……」 「ふふ……でも、楽しい……」 歩きにくいと言いつつ、ことねちゃんは体を離そうとはしなかった。 学校までの道。ゆっくり歩いていく。 夜の学校に二人で忍び込んだ。 そして息をひそめてこっそりとプールに向かう。 「よし……誰にも見つからずにここまで来れたね」 「? みつかったら、だめですか?」 「……うん。夜の学校に忍び込んで プールに入るのは、本当はいけないことだから」 「いけないこと……。 せんせいも、おこられちゃう?」 「実はそうなんだ。だから内緒だよ。 僕とことねちゃんの、秘密の授業だからね」 「せんせいと、わたしの……。 ……はい。ふふふ……」 ことねちゃんはなぜか少し嬉しそうに笑う。 「おくちチャック、がんばります」 「うん。期待してるよ」 さて。プールサイドからもう一度、見える範囲で誰かいないか確認する。――誰もいなさそうだ。 「よし……。じゃあ特訓開始だな」 「とっくん、ですか? ふふ、くすくす……」 僕のセリフにことねちゃんは楽しそうに笑った。 「? 何かヘンだったかな」 「いいえ。とっくん、っていうのが…… せんせいも、男子みたいだなあって」 「はは、確かにね。よし、ビシバシいくぞ!」 「はい……。あ、おて……おてやわ…… おてわや……?」 「おてやわらかに、だね。 手で柔らかく受ける感じだからそう言うんだよ」 「あ……。はいっ。おぼえました! おてやわらかに、おねがいします」 「うん。じゃあ着替えようか」 そう言って、僕はその場でいきなり服を脱ぎ捨てた。 「きゃっ!?」 目を覆うことねちゃん。だけど――僕は家でしっかり準備してきたのだ。 「……? あ……!」 「どうだ。先生はもう着替えたよ」 「ふふ、くすくす……。 せんせい、ほんとうに男子みたい……」 僕は服の下に海パンを着込んで来ていた。だから脱ぐだけで準備完了というわけだ。 「わたしも、おきがえ……」 ことねちゃんが更衣室のほうを見る。 「鍵がしまってるみたいだから、 ここで着替えよう。 誰もいないから大丈夫だよ」 「え……」 「……? どうしたの?」 「え、えと…… あっちむいてください……」 「あ、ああ……ごめんごめん」 僕が背を向けると、ことねちゃんは観念したのかごそごそと用意し始めた。 背中のほうから聞こえてくる。 「うぅ……まだぬれてる……」 一瞬変な想像をしてしまったが、濡れてるのはもちろん水着のことだろう。 「はぅ……」 微妙な声と衣擦れの音。 ぱた、という音は今着ている服が地面に落ちた音のはず。 それからズボンを脱ぐ音と……。 さらに小さな衣擦れの音。きっと下着だ。 思わず振り向きたくなる衝動に駆られるが我慢する。 ついで、ぎゅ、と濡れた化学繊維を引っ張るような音が聞こえてきた。 「ぅ……、ん、っしょ、ぅ……ん、っしょ……」 ぎゅっ、ぎゅっ、と無理矢理引き上げる音。 濡れたスクール水着だから相当着にくいんだろう。 可愛いかけ声のせいでまた衝動が高まってしまうが、なんとか我慢する。 「ふぅ……。きがえました」 「ん、よし! じゃあまずは体を水に慣らそう」 夜になったせいで気温が下がってはいるが、三十分程度なら水に浸かっても大丈夫だろう。 ことねちゃんはプールサイドに座って脚を水につけた。 「冷たくない?」 「だいじょうぶ、です。 いまがチャンス……です!」 珍しく勢い込んで言うから笑いそうになった。 僕も隣に並んで軽く水浴びしてからざぶんと水に入る。 「きゃ! ふふ、くすくす……」 笑っているのは水しぶきが飛んだのが楽しいかららしい。 「あ……。あそびじゃ、ないですよね。 しんけんにならないと……」 ことねちゃんは難しい顔をしつつプールに入った。 やっぱり水自体が怖いというわけではなさそうだし、最低限のところはクリアできている。 「とっくん、おねがいしますっ」 「うむ。とっくんは厳しいぞ、ことねくん」 「ついていきます、せんせいっ」 本当に珍しいくらい気合が入っている。 苦手なものを克服したい、皆に追い付きたい……そんな想いが彼女のなかにあることを実感した。 恥ずかしさや迷惑をかけてはいけないという縛りの先にある彼女の純粋な向上心。 教師冥利に尽きるじゃないか。 「じゃあ、まずプールサイドにつかまって けのびの姿勢をしてみようか」 「はい!」 ことねちゃんはプールサイドに手をかけてなんとか、けのびの姿勢をとろうとする。 だけどどうしても下半身から沈んでいく。 「下から支えるよ。なるべく力を抜いて」 「は、はい」 ことねちゃんの太股とお腹に触れて支えた。 ……ちょっと力が入っちゃってるな。これじゃ沈んでしまうわけだ。 「顔は上げたままでいいからね。力は抜いて……」 「っ、はぅ……」 なんとか僕の言う通りにしようと四苦八苦してるのが伝わってくる。 「ほら、ののかちゃんを思い出してみて。 あんな風に、だらーん……って」 「ぁ……ふふ……、はい」 そう言ってみると少しうまくいった。 僕の支えがある状態ならなんとか浮いていられるようになる。 「そのままプールサイドから手を離してみて。 大丈夫、先生が支えてるから」 「……っ」 手を離すのはやはり少し怖いみたいで、しばらく経ってからやっと手を離す。 「よし、よし……。このまま、浮く練習だよ。 力を抜いて……」 「……、ぅ、うう……わぷっ、きゃ!」 波が立った拍子に少し水を飲んでしまったようだ。そこで脱力を続けていられなくなり、慌てて立ち上がってしまう。 「ご、ごめんなさい……」 「謝ることなんてないよ。特訓なんだから。 失敗してもいいんだ」 「……しっぱい、してもいいんですか?」 「うん。最初から上手にできる人はいないからね。 失敗して上手になるんだよ。 何度失敗しても諦めないから、成功できるんだ」 「しっぱいして、上手になる……」 「今度は僕の手をプールサイドだと思って つかまるところから始めてみようか」 「はいっ」 右腕をことねちゃんに差し出すと、彼女は素直につかまってきた。信頼されているのを感じる。 「よし、またけのびの姿勢から」 ことねちゃんがおずおずと脱力してお尻を浮かそうとするのに合わせて、左手でお腹を支える。 「まだ力が入ってるかな。 しっかり息も吐いてみて」 「ん……はぁ、はふ……はぷ、ぷはっ……」 水の中にいるという意識があるせいか、ことねちゃんは水をかぶっていなくても切羽詰まった呼吸をしてしまうみたいだった。 「はぅ、せんせい……っ」 まだまだ体には力が入ってしまっている。ことねちゃん自身もそれを自覚しているのか、助けを訴えるような顔で見上げてくる。 ……正直そんな彼女が可愛くて仕方ない。そんな場合じゃない。がまんがまん……。 「大丈夫、ちゃんと支えてるからね」 「はふ……ん、ぷはっ……。 せんせいが、いっしょ……」 一生懸命頑張っているのは伝わってくる。 なんというか「できることならかわりにやってあげたい」と思うくらいのいたいけな仕草。 だけど僕にはこれ以上のことはできない。できるようになるのをただ待つしか……。 「せんせいと、いっしょ……。 ぅ、はぷ……。んっ、せんせい……」 ことねちゃんが僕の顔を見上げる。 泳いでいる姿勢としては多少無理があるけれど――犬かきに近い姿勢で、やがてことねちゃんがうまく脱力し始める。 「おお、できてる……できてるよ! その感じ!」 そうだった。 僕も初めて水に浮かべたときは、クロールや平泳ぎの姿勢じゃなくて、この犬かきの姿勢だったじゃないか。 簡単なことを忘れていた。簡単なことだから忘れていた。 上ばかり目指して、そのためにアピールできるような出来の良い生徒ばかりを見て……。 できないことにも一生懸命だった自分を忘れて―― 「せんせい……、わたし、じょうず?」 ことねちゃんの声で現実へと帰ってくる。 「うん、すごく上手だよ。 このまま、少しでいいから進んでみようか。 ゆっくり引っ張るからね」 「はい、せんせい……、はぷ、ぷは……、 すぅー、ぷふ、はぷ……」 ゆっくりゆっくり水のなかを後ろ向きに歩く。ことねちゃんにとっては前に進むように。 時々水をかぶって目をぎゅっと閉じたり、必死に息継ぎしたりしながらことねちゃんはついてきてくれる。 順調だ。この分ならきっと―― そう思った瞬間だった。 「きゃ!? はぅ、ぅぷ……!」 急にことねちゃんの体に力がこもり、沈んでしまう。 「大丈夫?」 全身を抱くようにしてすぐに水から引き上げた。 「ぷはっ、はぁ、はふ……ふぅ……」 「水飲んじゃった? 一度上がる?」 「すー、はー……。はい。だいじょうぶです……」 言いながらことねちゃんがぎゅっとしがみついてきた。 腕を僕の首にまわして、足まで腰に絡みつかせて。 思わず股間が反応しそうになるけれどなんとか押しとどめる。 「急に進みすぎたかな。怖くなっちゃった?」 「ううん……。ちがうんです……」 だとしたら何だろう。足がつった様子でもないし。 「ぇと……」 何か訴えかけるようにますます強くしがみついてくることねちゃん。 「……大丈夫。二人だけの特訓なんだから、 ゆっくりやればいいよ」 「あの……ち、ちがうんですっ!」 急に勢い込んで言われて戸惑う。 「う……。そ、その……。 おこりませんか?」 「怒るわけないじゃないか。 何でも言ってごらん」 「……はい」 僕がそう言ってもことねちゃんはまだ迷っていた。 だけどしばらくしがみついたままでいて、お互いの体温を感じて―― 「せんせい、ほんとうにおこってないし、 わたしにあきれてもいないんですね……」 ほっと小さく息を吐く。 「うん。大丈夫、大丈夫」 「はい。せんせいのやさしいのが伝わってきます。 あったかいです……」 それから意を決したように口を開いた。 「手が……その、あたるんです」 「うん? 当たる?」 「はい……。せんせいの手が…… わたしの、む…むねに……」 「あ――」 そうか。下から支えているうちに、左手が微妙な部分に当たってしまってたんだ。だからあんな風に、急に慌てて―― 「ごめん、全然注意してなくて」 「い、いえ、わたしだけどきどきして…… せんせいはとっくんしてくれてるのにって……」 「ああ、いや、いいんだよ。こちらこそごめん。 次は気をつけて当たらないように――」 「……えっと」 ……?ことねちゃんにはまだ言いたいことがあるみたいだ。 「ほんとうは、けっこう前から当たってて…… それで、力がぬけて、ふわってして……。 上手にできたんです」 「そ――そうだったんだ」 「はい。でもとちゅうからびくってなって、 それで……力が入って」 ――なるほど。 あの犬かきのような状態でうまくいっていたのは手が胸に触れてたからなのか。 でもずっと触れ続けてたせいで本格的に感じてきたということ。 「うぅ…… せんせいはいっしょうけんめいなのに、 じぶんだけ……ごめんなさい」 そう言って、ことねちゃんが僕を上目遣いに見上げた。 言葉では謝りつつも甘える視線にも感じとれる困った表情。 夜の暗いプールのなかでも、その瞳が濡れ光っているのがわかる。 「そっか……。そうなんだ」 「……ご、ごめんなさい、 もっとしっかりしなきゃ……」 そう言って僕から離れ特訓の続きに戻ろうとすることねちゃん。 そんな健気な彼女の様子が僕にとってとても魅力的で、愛おしく感じてしまう。 「ことねちゃん」 「……はい」 僕のまとう雰囲気が変化したのが伝わったのか、ことねちゃんは少し頬を染めた。やっぱり――肌が白いから夜目でもすぐわかる。 「じゃあ……続きをして、 もっとリラックスしようか?」 「…………」 無言のままこくんと一つ。 その笑みは妖しいと言ってしまってもいいと思う。控えめに僕を誘い、絡みつくような視線。 教師としての理性を崩してくるうるんだ瞳。控えめな言葉のほうがもっと求めたくなる。 「その、ふわってしたら、 上手にできるかも……、です」 そんなダメ押しまでされる。ことねちゃんが求めてくれているのがわかる。 僕はもう止まらなかった。 「ぁ……ん……っ」 小さな先端に指を這わせると、そこは既に固くしこっている。 「乳首、ぷっくりしてるね」 「ん……、そ、それはプール、冷たくて……」 確かにそれもあるだろう。だけどそれだけじゃないはずだ。 「せんせぃ……」 甘い声で鳴いてますます強くしがみついてくる。 「ことねちゃん、ふわってして力を抜く練習だよ? そんなにしがみついたら 力が入っちゃうんじゃないかな」 「あ……はい……」 僕が言うとことねちゃんは力をゆるめた。 その瞬間にまた乳首を愛撫する。 「んん……!」 「ほら、また力が入ってるよ」 「だってぇ……」 甘えん坊の声だ。だけど普段の子供っぽいだけの甘さとは別の甘さも含まれている。 だから僕はあえて厳しく言ってみた。 「だってじゃないよね。 ほら、ちゃんと力抜いて」 「はい……。ごめんなさい……」 「謝ってもだめだよ。 ちゃんとできるようになるまで続けるからね」 「ぅ……んっ! ぁ……はぅ……っ」 可憐に耐える様子に僕の興奮も増してくる。 気がつけば股間は大きくそそり立ち、ことねちゃんの秘部に当たっていた。 「ぁ……せんせいのも……」 ことねちゃんが軽く腰を浮かす。水着の生地越しでも僕の股間の状態にしっかり気づいている。 「こっちを気にしてる場合じゃないでしょ? ほら、力を抜く練習」 「ぅう……でもぉ……」 「でもじゃないでしょ。 ちゃんと練習しよう。ね?」 「っ、はい……。ふぅ、ん……! あ、はぁ……」 先端をゆっくりと優しくこねる。 ぷっくりと張りつめたその感触を指で味わうのは想像以上の満足感があった。 この体勢も普段なら支えるのに苦労するところだけど、何しろ今は水のなか。 ことねちゃんの体を弄ることに集中できる。 「おむね……じんじん……します、 ぅ、ん……!」 「いたい?」 「ううん……。あつくて……。 でも、ふわっとして…… おなか、ぎゅってなります……」 「なるほどね。ぎゅってするのは良くないね。 できるだけ力を抜いたままでいないと」 「がんばり、ます……」 ことねちゃんが懸命に脱力する。 そこを僕は弄ぶ。 男だって脱力しているときに強制的に擦り続ければなんともいえない感覚が訪れる。女の子も一緒だろう。 「ふぁ、はぁ……ん! へんな、かんじ……」 その表情は蕩けている。塩素臭い水の匂いに混じって、女の子の色香も立ち上り始めた。 お互いの首筋に鼻が近い姿勢。そして、暗くて視野はいつもの半分。 体温と匂いをいつもより強く感じる二つの原因。 「ん……! さきっぽ、くりくりって……」 「力を抜く練習だからね。触り方が変わっても、 ぎゅってしちゃだめだよ。 僕の手は水の流れだと思って」 「はい、ん……!」 およそ無理難題を言っていると思うけれど、ことねちゃんは素直に従ってくれる。 教師として大人として、この子をどうにでもできるという支配欲がわいてきてしまう。 「ほら、深呼吸して。二回ね。 すー、はー……って」 「すー、はー……。 すー、はー……ぅ、んんっ!」 息を吐いて脱力しきった瞬間を狙って乳首を強く転がした。 「ぁ、ん……! だめ、せんせい……っ、 ぴりぴりします……、ふぁ、ぁあ……!」 思った通りの反応が返ってきて嬉しくなり、勃起もますます強くなった。 僕はことねちゃんの股間に勃起を強く押し当てる。 「あ……、また、当たって……っ」 「そんなところばっかり気にしてないで、 ちゃんと力を抜く練習しようね」 「ぅう……。はい、ぅ、あ……っ」 指先で細かく何度もひっかく。 「ぁ、くぅん! はぅ、はぁ、ぁ……! ん、うう……!」 「胸だけでそんなに声が出ちゃうほど 気持ちいいんだ?」 「だって……せんせいが、いっしょで……。 ぎゅってしてくれて……」 「…………」 僕の存在を強く感じることが官能に繋がっているのなら――もうこれ以上我慢することもないだろうか。 そんな気分になってくる。 僕は自分の水着を下ろし、ペニスを露出させた。 自由になったそれをことねちゃんの股間に押し当て、擦り付ける。 「ふぁ、あ……!」 ことねちゃんもすぐにそれに気づいたみたいだった。 また全身に力がこもる。 「ことねちゃん?」 「は、はい……っ」 「ぎゅってしちゃダメって言ったよね。 自分から腰を動かさないで」 「ぁ……。うう……」 ゆらゆらと揺れることねちゃんの腰の動きに合わせ、スクール水着の弾力のある生地がペニスに触れるのはかなり心地よかった。 だけど――もう少しこの時間を引き延ばしたい。そして、ことねちゃんを言う通りにさせたい。 そんなちょっとした嗜虐心がわいてきてしまう。 「ほら、腰は動かさないで。 ことねちゃんは水に浮かぶ練習だよ」 「せんせい……っ」 甘えた口調で言われても今は応えない。普段ならいくらでも応えてあげるけれど、こういうことをしている時は別。 それをしっかり教え込んで―― 「……はぁ、ふぅ……。 ん、はぁ……」 僕が黙り込んだままでいると、ことねちゃんはまたゆっくりと脱力していった。 「そう、ぜんぶ僕に任せて」 普段ならなかなか言えないような歯の浮くセリフも、今のことねちゃんならきっと受け容れてくれる。 「はい、せんせい……」 ほら―― 僕は自分から微妙に腰を動かし、スクール水着の肌触りと、その生地の向こう側にある弾力を楽しんだ。 「はぁ、あ……! んん……!」 「ことねちゃんは力を抜いてね。 息をゆっくり吸ったり吐いたりして」 そんなひどい要求もしながら。 「すー、はー……、ん……。 せんせい……せんせい……っ」 甘い声にもぞくぞくする。 今までスクール水着に大した興味は持っていなかった。 教師として自制する心も働いてはいたが、それ以上に僕にそのフェティシズムが希薄だったと思う。 だけど今は違う。この少しざらついた固い感触はなんとも言えず心地いい。 雁首や亀頭にひっかかり、ときどき強い刺激になるのがたまらない。 そして――生地だけじゃなく、それを着ている女の子が実際に目の前にいるということ。 恥丘の骨とその上についた薄い肉。その下の、他に比較するもののない柔らかい場所。 ぷにぷに、という形容をあてるほかない秘密の肉感が僕をたぎらせる。 「ん、ぁあ……はぁ、ん……!」 耳元の声と鼻先の甘い香りで理性が徐々に消し飛んでいく。 股間に感じる柔らかさに我慢しきれず、僕はことねちゃんの水着をズラした。 「ひゃ!? あ……!」 「っ……」 肌で直接感じるその柔らかさは最高だった。 竿と亀頭を押し付けて腰を動かし、少しだけ粘膜を割り開く。 「ふぁ、はぁ……ぁあ……」 いわゆるスマタの体勢で、僕はゆっくりと腰を動かし続けた。 「せんせいの……くっついて…… こすれてます……」 「あ、ああ……」 「あ……ん……、これ、とっても…… ふわってなる……」 また力が入ってしまうかと思ったけれど逆だった。 今の感触はことねちゃんに確実な性感をもたらしているらしく、僕の腕のなかで小さな体がどんどん脱力していく。 乳首は普段の生活でも何かに擦れることくらいはある。だから力が入ってしまうのかもしれない。 でもここは絶対に触れることがない場所だから――はじめての感覚だけをことねちゃんにもたらしている。 「……いい感じだね。 これを覚えて……ふわってするといいよ」 「はい、せんせい……。 がんばって、おぼえます……」 僕の腕のなかでことねちゃんの体がゆらゆら揺れる。 「あ……、はぁ、あ……っ。 ん、ふぅ……はぁ、ふわふわ……します……。 はふ……ん……っ」 「……きもちいい?」 「え……? あ、はい……。 そっかぁ……こういうの、きもちいいって、 いうんですね……」 「普段のきもちいいのとどう違うのかな」 「えっと……ふわってして、 むねがきゅうってして…… あたまの中が、白くなって……」 それを聞いて僕はまたたぎった。ことねちゃんは確実に性の快楽を感じている。体はまだこんなに小さくて未熟だというのに。 「もう少し速く動かしてみるからね。 力は抜いたままで――」 「ふぁ、はぁい……。ん、ぁ……。 あ、あ、ん……!」 ことねちゃんが昂っているのを感じながら胸への愛撫も再開する。 「ひゃう! ん……! ぁあ、ん……っ。 ちから、ぬいて……。すー、はー……」 僕の言ったことを忠実に守り、深呼吸して。 「あ……ああ、はぁ……ん……。 きもちい……ふわってするの、とっても…… きもちいいです、せんせ……ぁ、はぁ……っ」 「その感じのまま、どんどんふわふわしていいよ」 「わかりました……。せんせい……っ、 ん、わたし、上手にできてますか……?」 「すごく上手だよ」 「えへへ……ん……はぁ、あ…… ぅう、ん……、あたまのなか、白いの…… いっぱい……っ」 脱力したまま、ことねちゃんの体が微かに痙攣した。 彼女がどんな感覚に支配されそうになっているのかはもう明白だった。 このまま――教え込みたい。僕の言う通りにして気持ちよくなれるということを。 「そのまま……そのままでいいからね」 「ふぁい……。はぁ、ぁ……、ん……! あ、れ……? ん……な、なにか、きます…… ふわふわとまっしろなのが……ぁ……!」 痙攣が断続的に激しくなる。下品に言えば、ヒクついている。快楽で。 「ぁ、はぁ、あ……! んっ、ぅううううぅぅ……っ」 一瞬ことねちゃんの息が止まった。 そのまま数秒。 「ふぁ、はぁ……はぁ……。ん……。 はあ、ふぅ……。はふ……」 ことねちゃんは絶頂に達した。 僕の腕のなかで、スマタされながら。 背徳的な性の悦びが胸を衝く。ことねちゃんは、全部僕に任せたまま、脱力して達することを知った。 僕が――教えた。 「せんせい……。 はふ……。ん……。せんせい……?」 「あ、ああ」 「ふわふわするのって…… すごい、ですね……」 「――うん。忘れないで……覚えておくんだよ」 「はい……。だいじょうぶです、わすれません」 「じゃあ今からもう一回……復習してみようか」 「え……。 さっきの、ですか?」 純真で、けれど快楽に蕩けた視線と声。 僕は自分も快楽を貪りたくて、大きく腰を引いた。スマタといえど思い切りピストンしたくて。 すると―― 「ひゃ!?」 その拍子にどこかに亀頭がもぐりこんだ感触があった。 「あ……くすくす……、せんせい? ほら……」 ことねちゃんの視線の先を見ると――スクール水着のいわゆる「水抜き」の部分に亀頭が入り込んでいた。 ことねちゃんにとっても少し面白い図だったらしく、笑みを見せている。 僕にとってはその笑顔もまた股間への刺激になった。 「このまま動かしていい?」 「え――はい」 興味もある。 スクール水着の感触を亀頭に感じつつ、ことねちゃんの粘膜で裏筋を擦ったらどうなるか―― 「ぁ、ん……! ふぁ、はっ……」 さっきよりもピストンのスピードを速く、そして動きも少しだけ大きく。 「……っ」 スクール水着にひっかかるせいでそれほど激しい動きにはできないけれど、ことねちゃんとより密着しているのを感じた。 裏筋の太く張り出している部分をぬめったあたたかさに包まれて、背筋を快楽が駆け上っていく。 「せんせ……、こんどはふわってするのが、 すぐ……ぁ、ん……あ……!」 ことねちゃんのほうもまだイッたばかりで敏感な感覚が残っているらしい。 粘膜が裏筋に吸い付いてくるようにすら感じる。 「あつくて……かたい、です……。 せんせいの……」 「ことねちゃんが可愛くて……。 それに、僕も気持ちよくて……」 「せんせいも、きもちいいですか……?」 僕は頷く。 するとことねちゃんは安心したような微笑を浮かべ、僕に強く抱きついてきた。 「よかった……。いっしょ、です。 せんせいといっしょ……うれしいです……」 多分意識してのものではないと思う。そのセリフと共にことねちゃんは自分から腰を動かし始めていた。 さっきまでなら力を入れないでと言うところだけど、今の僕にとってはその動きはとても好都合だった。 それに力が入りすぎているというわけでもない。 泳ぐときと本当に同じように、水の中から体を浮かしたり沈めたり自然に動き、裏筋に股間を擦りつけてくる。 「その調子だよ」 これできっと泳ぐほうもうまくいくはず――残ったわずかな理性はそんなこじつけの言い訳に飛びついた。 「せんせいと、いっしょに…… きもちよくなりたいです……。 もっとふわって、して……ん、ぁあ……」 細い鳴き声。まだ未成熟だけれど、どこかに匂い立つような色気がある。 「はふ……、ん、ぁあ、ぅ……ん! おまた、こすれるの……いいですぅ……」 水の中にいるというのに、裏筋で感じるぬめり気はますます強くなっていた。 ペニスが密着しているせいもあって、分泌された愛液が流され切ってしまわない。 おまけに――どんどん新しい愛液があふれでてきているのもわかる。 この分なら膣内に挿入までできてしまうんじゃないかという予感を抱かせる。 今はさすがに無理だ。でもしっかり準備すれば、きっと――この小さな体の小さい穴の中に。僕のが。 「……っ!」 「ぁ……ん! せんせいの、ふくらんだ……?」 実際の挿入を想像した途端に僕のものは強くたぎって隆起を増し、それがことねちゃんにも伝わっている。 だめだ、その一線はまだ越えられない。 だからせめて今は……このまま思う存分味わって、ことねちゃんの水着のなかに射精して……汚したい。 「ことねちゃん……っ」 「ん! ふぁ、は……はぁ、あ……!」 最大限まで勃起してしまったペニスを擦りつけ、亀頭でもスクール水着の肌触りを味わう。 もう大義名分も理性もかなぐり捨て、僕はひたすら快楽を貪り始める。 「せんせ……からだ、あつくなってます……」 「ああ……。ことねちゃんもだよ。 一緒、だね」 「はい……っ、うれしいです……! ん、ぁあ、はぅ……んぅ……っ」 「ふわってして真っ白になるの、またきそう?」 「ん……、ぁ、はい……っ、 さっきから、たくさんたくさん、 ふわってして……」 「それで、もっとふわってするのも、 もうすぐ……ぁ、ん……! きそう、です……!」 スマタされながら、まさか小さな絶頂を迎え続けていたというんだろうか。 こんないたいけな子が? ありえない、と思いつつも欲望はことねちゃんの言葉をそのまま肯定する。 そして――射精への感覚をどんどん強めていく。 「ふぁ、あ……! せんせいの、また…… おおきく、なってます……!」 ことねちゃんの性器と僕の性器が直接こすれ合っている。それで快楽を感じてくれてさえいる。 何より、ことねちゃんが僕のペニスの変化を感じ取れるだけの感度を持っている。 それが興奮をより高める。 「っ、もうすぐ、出そうだよ……!」 「ん、ぁ……、でそう……?」 「この前も見たよね……。 僕のから出る、白くてねばねばしたもの」 「は、はい……っ」 「先生が気持ちよくなった証拠、 またことねちゃんに、出すからね……」 「はいっ、ください……!」 思いのほか、積極的な返事だった。 「せんせいが…… いっしょに気持ちよくなってくれたしょうこ、 ほしいです……!」 まだ何もわかっていないはずなのに、僕と一緒が嬉しいという感情だけでそんなことまで言ってくれる。 その純真を汚すのが怖い。でもだからこそ汚したい。 「出る……出るよ、ことねちゃんも一緒に……!」 「ん、ぁあ、はぁ、ぅう……!」 粘膜と粘膜を強くこすり合わせる。 欲望のまま、裏筋だけでなく鈴口のあたりも使って慎ましい陰唇の柔らかさを味わった。 挿入したい。 でもそれはできない。まだ―― 「……っ!」 「ふぁ、はぁ……ぁあ、ん……! せんせい……、せんせい……んぅ、ぅううう!!」 腰が震える。水中で体が冷えているせいもあって、白濁の熱さが尿道に沁みるほどだった。 その分途方もない快感が押し寄せて、勢いよく先端が爆ぜたような感覚があった。 「あ……あついの、いっぱい…… はぁ、はふ、んぅ……」 勢いよく出た白濁はべったりとことねちゃんの肌とスクール水着の間に張り付いた。 スクール水着のなかに射精したような状態だけど、それでちょうど良かったと思う。 プールのなかに流れ出てしまうこともないし、ことねちゃんに出したということをより実感できるから。 「ん……、ぁ、べたべた……してます……」 「ご、ごめんね。汚しちゃって……」 「せんせいといっしょ……うれしいです」 「いったん出て、洗おうか」 「はい。ぇと……。でも……」 「どうかした?」 「いっぱいふわってなって……ちから、入らなくて。 だっこして、つれてってほしいです……」 「ふふ……わかった」 そのくらいならもちろん全然いい。申し訳なさそうに言われてこっちが申し訳ないくらいだった。 「ぇへへ……だっこ……」 ことねちゃんは嬉しそうに笑う。 「洗ってあげるよ」 「そ、それは……いいです。へいきです。 じぶんでします……」 「いや、でも――」 「せんせいは、あっち向いててください」 少し押し問答をするけれど、ことねちゃんは折れなかった。 こういうところは意外に頑固というか――裸を見せるのは恥ずかしいという乙女心なんだろうか。 後ろを向いて、背後で鳴る水音を聞く。 「わ……べたべた…… あらってもとれない……かも……」 ……申し訳ない。 「ふふ……♪ いっぱい、べたべたぁ……♪」 でも機嫌は悪くはなさそうだった。精液にも嫌悪感はあまり抱いていないようで意外だ。 「せんせいといっしょの、しょうこ……」 「ちゃ、ちゃんと洗わなきゃいけないよ?」 「あ、こっち見ないでくださいっ」 「見てない、見てないから」 そんな顛末の後にまたプールに入って、少し教えてみる。 狙い通りというには後ろめたすぎるけれど、ことねちゃんは水の中で力を抜く要領を掴んだみたいだった。 すっかり遅くなってしまった。 「せんせい」 「うん」 「とっくん、ありがとうございました」 なんと答えていいものか一瞬迷ってしまう。どういたしまして、と言うには余りにもなことをしてしまった。 「ふふ……ひみつのとっくん、なんですよね?」 「え――あ、ああ。そうだね」 「ないしょに、しますね。 せんせいとわたしの、ひみつ」 「……うん。僕とことねちゃんの秘密だ」 なんだか先回りして言われた気がする。 以前にも秘密にしようねという約束は何度かしたけれど――ことねちゃんから言われると不思議な気分だった。 「はいっ。じゃあせんせい、さようなら」 「はい、さようなら――あ、そうだ。 夜にお別れするときは、おやすみなさいって 言うんだよ」 「そうですね。じゃあ…… せんせい、おやすみなさい」 「はい、おやすみなさい」 ことねちゃんは控えめに手を振って、機嫌よく家の門をくぐっていった。 「……ふぅ」 こちらとしても無事に送り届けることができてよかった。 さて、あとは帰って――なるべくえみちゃんには怪しまれないようにしつつ明日の準備をするか。 数日後のプールの授業。 「よーし、じゃあプールサイド座って、 足から水につけてーー、こら! いきなり頭からかぶるな! 心臓が止まるぞ!」 「えー!? それくらいじゃとまんないよー!」 小野先生の明るい大声と生徒たちの賑やかな声。 僕はことねちゃんの様子をそっとうかがった。 「よし、まずは五分、自由時間だ! 調子が悪かったらすぐに先生に言うように!」 生徒たちがはしゃぎながらプールに入っていく。 「…………」 ことねちゃんもプールに入り、まず水に顔をつけていた。ここまでは今まで通り。 「おお……」 それから自然とプールサイドから手を離し、けのびの姿勢をとった。 それ自体は長くは続かないけれど、犬かきに近い姿勢で数秒浮かんで―― ――楽しそうに笑った。 まだほとんど浮かんでいるだけだけど、周囲の犬かきをしている生徒のほうを見ながら見よう見まねで少しずつ進んでいく。 「わー、ことねちゃーん」 ことねちゃんのそばをののかちゃんが通りかかる。今日は背泳ぎっぽい動きで浮かんでいる。 「泳げるようになったのー?」 「う……うんっ。 ちょっとだけ……上手になったの」 「じゃあ、いっしょにあっち行こう? おーい、えみちゃーーん!」 ののかちゃんは独特の泳ぎ方で先導した。 一生懸命に――そして楽しそうについていくことねちゃん。 そんな姿が見られたことは純粋に嬉しかった。 「あら……ことねちゃん。 泳げるようになったんでしょうか」 いつの間にかそばに来ていた遥先生と僕の視線がかぶってしまった。 ……これはちょっとまずいな。何も知らない、というわけにはいかないし……。 「ああ、えっと……。 一応僕が指導してみたんですよ」 「まあ。瀬田先生が?」 「はい。そんな大層なものじゃないですが……。 力を抜いて、犬かきみたいな姿勢でも泳げたら プールの時間も楽しくなるはずと思って」 「犬かき……。うふふ、ことねちゃん、 確かに犬かきしてますね。楽しそう……いい笑顔。 瀬田先生の指導のたまものですね」 「はは、僕もあのくらいの年頃には 犬かきしかできなかったので。 先生はどうでしたか?」 と、やんわりと話題をそらす。 「そうですね、私は――」 なんとか無事やり過ごして、つつがなくプールの時間は終わった。 ――週末。 「あら? 誠人さん、今日はお仕事?」 「えぇ、校長先生に呼び出されてしまいまして……」 本来なら休日なのだが、校長先生に呼び出されてしまった。 休日にわざわざ呼び出すということは生徒たちに絶対に聞かせたくない話があるということだろう。 いったい何だろうか?おかげで昨日から心臓がバクバクしている。 「……お前、何かしたのか?」 「いえいえ、何もしてないですよ」 あるとしたらことねちゃんとのことだけど……彼女のことだから、秘密は守ってくれていると思う。 ……夜のプールに忍び込んだことが誰かに知られていたとしたら別だけど。 「あれ? どうしたの?」 「あっ! せんせーだぁ! やっほー♪」 「こんにちは、せんせい」 家から少し歩いたところで、みんなと出会う。 「暑いのにみんな元気だね」 みんなしてきゃいきゃいはしゃぎながら僕の周りに集まってくる。 一学期を通してだいぶ通じ合えたんだなと実感した。 「せんせーもあそぼ? 今日はおやすみでしょ?」 「んー、ちがうんじゃない? 用事があるの?」 「せんせい、ちょっとまじめなお顔……」 「んん? おしごと?」 えみちゃんはさすが鋭い。 えみちゃんの反応を受けて、ののかちゃんとことねちゃんも心配そうな顔をしてくれる。 もし校長先生から何か言われて――この子たちと別れなければいけないとしたら結構辛いかもしれない。 いや、それは考えすぎ……だといいんだけど。 「校長先生に呼び出されててね」 「あはは、せんせーもよびだしだぁ〜! いたずらしたの?」 ののかちゃんはあっけらかんと笑って僕をいじってくる。 「せんせいが、せんせいに呼び出し……」 ことねちゃんは目を丸くしている。 それから何か思い当たったようで、ますます心配そうな表情になった。 「? ことねちゃん、どうしたの?」 「……ううん」 遥先生の言っていた通りだ。生徒たちはこっちが考えているよりもずっとするどい。 ことねちゃんは――今まで僕と積み重ねてきた秘密のことを心配してくれているんだろう。 そしてえみちゃんはすぐにことねちゃんの様子の変化に気付いている。 そんな態度から、僕はある意味では安心した。きっと秘密を守ってくれている。大人の、卑小な安心だとも思うけれど。 「ともかく、学校に行ってくるよ。 大丈夫、きっと大したことじゃないから」 「せんせー、あんまりおいたしちゃだめだよ?」 「……はは、そうだね」 ののかちゃんもダメ押しにいたずら疑惑を推してくる辺りとても鋭い。 「みんな、熱中症には気をつけて。 水はしっかり飲むんだよ」 「はーい」 「それ聞いたらさっそくのどかわいてきちゃった〜」 「えー、さっきもお茶のんでたのに」 「ことねちゃ〜ん、きゅうけいしよ〜〜」 「まだ早いよー! ね、ことねちゃん」 「ぇと……えっと……。 じゃ、じゃあ、きゅうけいしながら…… あそべば……」 えみちゃんとののかちゃんの間に立ってしどろもどろしていることねちゃんも可愛い。 夏休み前のプールの授業のおかげで、三人は更に仲良くなったみたいだった。 わきあいあいと遊んでいるのを横目に見つつ学校へと向かう。 「お待たせして、申し訳ございません」 学校に到着したのは、校長先生と約束した時間ぎりぎりだった。 職員室には他の先生はおらず校長先生が1人だけだ。 「いえ、時間通りですからお気になさらず」 「今日はお休みのところを呼び出してしまって 申し訳ございません」 いつもよりも固い口調の校長先生。 その態度に不安になる。 「それで、本日はどのような」 「……はい。実は瀬田先生に転勤の打診がきました」 「…………えっ!?」 校長先生の言葉に耳を疑う。 転勤してきたばかりなのに、また転勤。 ひょっとして懲罰的な意味合いがあるのではと勘ぐってしまう。 「…あ、あの……僕……」 頭が真っ白になって言葉が出て来ない。 心臓が高鳴り、嫌な汗が噴き出してくる。 「そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ。 転勤とは言いましたが、ヘッドハンティングの ようなものです」 「先方が瀬田先生の仕事をご覧になり、ぜひにと」 「…それで、どこの学校からなのですか?」 「ある著名な学校で、瀬田先生もよくご存じの――」 校長先生から聞かされた学校の名前は確かに僕がよく知っている学校の名前だった。 その学校を卒業している人には国会議員や賞を取る程の学者、他にも各業界でトップに立っている人が大勢いる。 学生時代からずっと夢見た有名学校の教師としての誘いだった。 「もし話を受けるとなりましたら、 来年度からの赴任となります」 「ですが準備の関係もありますので、 遅くとも年内には答えを聞かせて頂ければと」 「……かしこまりました。 ですが、しばらく考えさせてください」 以前の僕ならば即決するぐらいの話だが、すぐに答えを出すことが出来ない。 なぜか、嬉しいとは思えなかった。 「わかりました。大切なことなので じっくり考えてください」 「……はい」 「はぁー。どうしよう……」 晩ご飯を頂いたあと、すぐに自分の部屋に引きこもった。 あれから、いっぱいいっぱいになってしまって、部屋に直行して引きこもっている。 何もする気になれず、満天の星空を眺めながら1人物思いにふける。 「これって夢が叶う大チャンスだよな……」 断ったら、こんなチャンス二度と訪れない。 それなのに、どうしてこんなに悩むのだろう。 夜空に浮かぶ僕の生徒たち。 まだ出会って数ヶ月しか経っていないというのに、過ごした時間の濃さは桜峰の生徒たちよりも何倍も濃い。 「……ことねちゃん……」 このまま本格的に夏休みに入れば、ことねちゃんと会う機会は少なくなるはずだ。 寂しげな横顔を思い出す。 せっかく少しは心を開いてくれて……秘密も共有して、仲良くなれたと思ったのに。 あの子は僕がいないと――なんて大げさなことまで考えてしまう。 「…はぁーー」 ため息ばかり出てくる。 何もかもが中途半端な自分が心底情けない。 「…ひょっとして……」 ことねちゃんのことが気にかかっているから転勤の話を即決できないのか? ひょっとして、じゃないよな。 僕は明らかにことねちゃんのことを気にしている。 なんとか……あの子の手助けをしてあげたい。 救ってあげたい、とまで思うのは傲慢にしても。あるいは先生が僕じゃなくても、ことねちゃんはいつしか成長して皆に馴染めてたのかもしれない。 それでも……。 僕自身が彼女に関わっていたいと思ってしまっている。 「笑顔……」 そうだ。笑顔。 遥先生もことねちゃんの笑顔を見てほっとしたように微笑んでくれていた。 もっと笑顔でいられるようにしてあげたい。 ことねちゃんの控えめな笑顔には、周囲の人をあたたかい気持ちにさせる何かがある。 そんな彼女の魅力がもっとたくさんの人に伝わるようにしたいと思うのは大それたことだろうか。 回答は年内。年内……か。 今日もいい天気だ。 しかし……どこかこう、物足らないというか……。 物足らない理由はわかってる。 夏休みに入ってしばらく経ち、季節はまさに盛夏。暑いながらも気持ちはどこか浮き立つ。 だけど――ことねちゃんとはろくに話せていない。 えみちゃんやののかちゃんと一緒に遊んでいるところは目にするけれど二人きりになることはなかった。 「仲良くなれたと思ったんだけどなあ……」 いくら関係が深まったとしても教師と生徒。いつでもべったりというわけにはいかないのは百も承知だ。 けれど、もう少し何かがあってほしいなというか、触れ合うことができればという想いがあった。 声を聞きたい。あの小動物的な可愛らしい仕草を見ていたい。 ……笑顔を見たい。僕の前で笑っていて欲しい。 「……暑さで頭がおかしくなってるのかな」 そんな独り言をつぶやいたときだった。 「おにーちゃーん?」 「あ、ああ。なんだい?」 「あ、いたいた。お仕事はいいの?」 「今は大丈夫だよ」 新学期に向けて授業の資料作りや、校長や教育委員会向けの書類作りが今の仕事だ。 都会にいた頃は研修や自主勉強会にも積極的に参加していた。その報告書やレポートを作るだけでも大変だった。 けれど今はそうした催しに参加するにはあまりにも遠い場所にいる。 他の先生方が書いたレポートをネットで取り寄せる程度のことはしているけれど、都会にいた頃に比べるとずっと時間はある。 だからこそ余計なことを考えてしまうのだが……。 「ぅんと……。あのね、おとまり会」 「お泊り?」 「うん。ののかちゃんとことねちゃんと私で、 “がっしゅく”しようって言ってたの」 「合宿? そりゃまた、どうして」 「……宿題」 「ああ、みんなで宿題進めようってこと?」 「うん……。あんまり進んでないし……」 えみちゃんは微妙な表情をしている。宿題はイヤだけど、ちゃんと進めていないことで申し訳なさや後ろめたさも感じてるのかもしれない。 夏休みの宿題か。確かに難題だ。いや……まあ、宿題を出したのは僕なんだけど。 「お兄ちゃん、怒らない……?」 「え、どうして? 宿題やるための合宿ならいいことじゃないか」 「でも……けいかくてきに、って言われてたのに できてないから……」 「うーん、期限に間に合えばいいものだからね。 夏休み明けても終わってなかったら怒るけど、 今はまだ夏休み中だし。合宿はいいことだよ」 「……じゃあ、おこらない?」 「怒らない怒らない。 やる気になってるのはいいことじゃないか。 僕も応援するよ」 「ほんとう!?」 えみちゃんはぱっと顔を輝かせた。 「じゃあ、お兄ちゃんがカントクね!」 「監督?」 「うん! おとまりがっしゅくには ほごしゃが必要だから!」 詳しく話を聞いてみると―― えみちゃん・ののかちゃん・ことねちゃんの三人で宿題合宿をしようということになって―― 場所がまず問題になったらしい。 えみちゃんの家は二段ベッドで家族も多い。居候の僕もいるし、予備の布団はない。ののかちゃん家はあの広さ。 そこで白羽の矢が立ったのが、広い家にほぼおばあさんと二人きりで住んでいることねちゃんだったらしい。 だが、おばあさんが三人の面倒を見るには年齢や体調もあって少し荷が重い。 だから今度は僕が監督役、兼、保護者として適任だろうという話になったらしい。 「なるほどねえ……」 教師としては宿題をやる意志があるなら応援したい。 勉強はひとりで励むこともできるけれど、友達と切磋琢磨してこそ伸びる面もある。 将来の試験勉強を考えれば、友達と一緒に勉強したという経験は大事なものになる。 「ん、わかった! その監督役、引き受けよう」 「ほんとう!? やったぁーー!」 「もうみんな、お母さんやお父さんには 話してあるの?」 「ううん、ことねちゃんのおばあちゃんだけ。 これから話すんだよ」 「そう。じゃあ、自分できちんと説明してね。 こういう理由で合宿したいから、 お願いしますって話すんだよ」 「はーい!」 えみちゃんは笑顔で部屋を出ていった。 プレゼンというほどでもないけれど、企画要旨をきちんと説明することもきっと役に立つだろう。 僕は……。僕自身は、少しわくわくしていた。 みんな一緒とはいえ、ことねちゃんと話す機会もあるはずだ。 ……どうしてるかな。 元気は元気なんだろうけど……。 自然と口元に笑みが浮かんでくる。 せんせい、とまた呼んでくれるだろうか。 「それじゃ、あたしは奥で休んでるからね。 先生のいいつけを守って、 しっかり勉強おし」 「はぁ〜〜い」 ののかちゃんの気の抜けた声。大人にも物怖じしない、愛想の良い態度は彼女の天性のものだろう。 「お世話になります、ありがとうございます。 僕にできることがあればおっしゃってください」 「だいじょうぶ、だいじょうぶ。 ようけおるとにぎやかで、こっちも元気になるわ」 おばあさんは機嫌が良さそうに部屋を出ていった。 皆といると元気をもらえる、という感覚はわかる。僕もひとりで仕事をしていたときと比べてハツラツとした感じがあった。 ……僕はやっぱりこの仕事が好きなんだな。生徒といると元気をもらえる。その通りだ。 「さて……みんなの宿題はどんな具合かな?」 「う……」 「あう……」 「せんせー、みて〜〜。 まっさら〜〜〜」 ……これはひどい。 ののかちゃんが嬉々として見せてきた計算ドリルや漢字ドリルは全く何も記されていなかった。……というか新品ぴかぴかの状態だ。 とはいえ、ののかちゃんは根本的にはできる子だ。監視役がそばにいれば大丈夫だろう。 「えみちゃんとことねちゃんは?」 「あ、あんまり進んでないけど……」 「はんぶんくらい……。 でも、わからないところも多くて……」 えみちゃんは確かにあまり進められていなかった。おまけにところどころ間違えているのも見て取れる。 ことねちゃんは……一生懸命進めているらしく、進捗自体は悪くはない。ただ、わからないまま空欄にしているところも多かった。 勉強に関してはこの二人を重点的に見てあげなきゃいけないな。 「うん、わかりました。 せっかく冷房つけてるんだから、 しっかり進めよう」 「はぁ〜い……」 「がんばります……っ」 「のどかわいたー、お茶きゅうけいしたい〜〜」 「こら、まだ始めてもいないじゃないか。 とりあえず45分測るからね。 その間はおしゃべりも禁止!」 「え〜〜〜〜」 「おしゃべりは僕に質問するときだけ。 じゃあ始めるよ!」 問答無用でタイマーをセットした。 最初の45分が終わり、15分間の休憩。 その間に僕は三人の答案をチェックする。 えみちゃんは……。うん、ケアレスミスが多いけれど悪くはない。 なんだかんだで丁寧に進めているし、わからないところも自分なりに取り組んでいる。 「えみちゃん」 「は……はい」 「そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ。 しっかりやれてるね。 合宿でペースをつかんでいこうね」 「ぇへ……よかったぁ……」 「勉強は習慣だからね。 ついだらけちゃうのを我慢して、 一日のうち決まった時間を勉強にあてようね」 「うーん……。むずかしいかも……。 だって、お手伝いもあるし、 ゆうきのめんどうも見なきゃだし……」 なるほど。そういう要因もあるか。 「家族で相談して、宿題の時間を決めようか。 その時間は誰にも邪魔されずに勉強しよう」 「うん……。お兄ちゃんがいっしょに 話してくれるなら……えへへ」 「おにい……」 「ちゃん……?」 「せんせーじゃないの?」 「え、あ……!」 「おにい……ちゃん……?」 「あやし〜〜な〜〜〜?? ね、ことねちゃん」 「じ、じけんのにおいがしますっ」 「の、ののもこないだはるかせんせーのこと、 『ママ』っていってたじゃん」 「そだっけ? でも、なんとなくまちがえちゃうよね〜」 「…………」 「も、もう大丈夫? じゃ、次はののかちゃんね」 「は〜い。いっぱい進んだよ〜〜」 「……うん」 正直ののかちゃんの進捗ぶりにはまったく文句のつけようがなかった。 さすがというか何というか……やれば超できる子だ。誤答もほとんどない。 「ののかちゃんはやればできるんだから、 こつこつ進めることも覚えないとね」 「でも、まにあえばいいんでしょお?」 「うーん、そうなんだけどね。 自分のを早く進めて他の子に教えてあげる…… というのはどうかな?」 「うーん、でも……ののはせつめい、苦手だもん」 「のの……?」 「え、ののかちゃんって、自分のことを のの、なんて言うんだっけ? いつもは私、だよね?」 「え? う〜ん、そんなことないよ〜?」 ののかちゃんはわざとらしくもったいぶって、意味ありげな視線を投げてくる。 ……困った子だ。 「…………」 「のの……のの……」 僕をジト目で見てくるえみちゃんと、机に指でのの字を書きまくっていることねちゃん。 ……き、気まずい。 「と、ともかく、ののかちゃんは…… 誰かに教えることも考えてみて」 「計算の式の途中も省き過ぎてるかな。 もう少し丁寧に、ひとつひとつ書いてごらん。 そうしたら整理して説明できるようになるから」 「はーい、がんばりまーす。 そしたらせんせーのお手伝いできちゃうかも〜」 「次は……ことねちゃんね」 「は、はい」 「よくがんばってるね。字はとても丁寧だし。 ほら、この漢字の書き取りは二人も参考にして」 「わー……。ことねちゃん、すっごく上手!」 「ふわ! きれいな字だー」 「そ……そんなこと、ないです……」 「でも、計算はもう少し粘り強くやらないとね。 わからないから途中でやめちゃうんじゃなくて。 ほら……こことか、あともう一歩なのに」 「あー、これおしいよー。もうちょっと進めれば とけちゃうのに」 机に身を乗り出して、ののかちゃんが声をあげた。 「これで合ってたんだ……」 「計算のこたえもきれいにかいてる。 でも、ちょっとののかちゃんを みならったほうがいいかも、あははは」 えみちゃんの指摘はもっともだ。 ことねちゃんの解答欄は、解答スペースに式がきっちりと収まるようにわざわざ書きなおしたような跡がある。 これでは進みが遅くなるのも当然だろう。 一方、ののかちゃんの解答欄は気の向くまま――有り体に言えばわかればいいんだろうという調子でざっくり書いてある。 雑といえば雑だけど、理数系に取り組む態度としてはののかちゃんのほうが正しい。 「計算は綺麗に書き直さなくてもいいからね。 まず解くことが第一だよ」 「はい……。もんだい、とけたらうれしくて…… せんせいに、ちゃんと見てもらいたいって」 「大丈夫、 ことねちゃんのことはちゃんと見てるから」 言って、ことねちゃんの頭を撫でた。 「はぅ……ふふ……」 安心したように肩をふるふると揺らし、目を細めることねちゃん。 頭を撫でてもらうのが心地いいらしい。もっと撫でてやりたくなるが―― 「…………」 「なでなで、いいなーー」 「あ……っ。あの、その、これはっ」 「み、みんな、次の休憩時間まで頑張れたら なでなでもあるから! がんばろう!」 「むぅ……。よぉーし! めざせごほうび!」 「もえてきたかもぉー」 「……き、きあいですっ」 ……危ない危ない。なんとかごまかせたけど、ことねちゃんにはつい甘くなってしまう。気をつけないと。 「みんな、今日はよく頑張ったね」 「もうくたくただよ〜」 「ひさしぶりに勉強したなーーていうかんじ」 「たくさん、すすみました」 夕飯は、敦子さんがお世話になるからと言っておかずをたくさん作って持ってきてくれた。 おばあさんも含めて全員で食事を摂り、今はゆっくりしているところだ。 「ごはんもちょっと食べすぎちゃった……。 おなかがくるしい……」 「からあげ、おいしかったー」 「はい。わたしもおなかいっぱい……」 特にことねちゃんは、皆と囲む賑やかな食卓に目を輝かせていた。 いかにも食が細そうな体型のことねちゃんだが、えみちゃんやののかちゃんに触発されてたくさん食べていた。 それを微笑ましく見ているうちに僕もつい食べ過ぎてしまった。 「ねーせんせー、なにか、ごほうびー」 「ごほうびか……。いや、 宿題をするのは当たり前のことなんだよ?」 「あたりまえのことでも、ちゃんとできたら えらいとおもいまーす!」 ……一理ある。 「うーん、どうしようかなあ……」 何せ田舎だ。 この時間に手持ち無沙汰になってしまったらもうすることが何もない。 都会なら、この季節でごほうびといえば……。コンビニで花火でも買ってきて、花火大会というのもできただろうけど。 「……きもだめし……」 ことねちゃんがぽつりと言った。 「あ! いいかも!」 「おおー、ことねちゃん名案。 ちょうどおなかいっぱいで おさんぽもしたかったんだよねー」 「肝試しか」 それくらいで済むなら安いものだ。 食後の散歩がてらにもちょうどいい。 おばあさんに一言説明して、僕たちは肝試しという名の散歩に出かけることにした。 「わぁ……ふいんきある……」 「ふいんきじゃなくて、 ふんいきが正しいんだよね。 ね、せんせー」 「ああ、そうだね。でも口に出して言うときは 通じればいいんじゃないかな」 「へー、そういうものなんだー。 だったら私にはちょうどいいかも」 「ふんいき……ふいんき……?」 肝試しといってもことねちゃんの家の周りを一周する程度のものだ。 まさに食後の散歩といっていい。 これなら、以前ことねちゃんと夜の学校に行ったときのほうがよほど肝試しと言えると思う。 ただ、皆が一緒にいて、歩いていくのは楽しい……そう、楽しい「ふいんき」があった。 「僕のそばから離れちゃだめだよ。 何かあったときに困るからね」 「はーい」 「……大人が見張ってないと…… 出る、かもしれないよ……」 ちょっとおどろおどろしく言ってみると―― 「きゃーーー、あははは!」 「もう、せんせがそういう言い方しないでよ! ほんとにこわくなっちゃうよ〜」 「……おばけ……」 それぞれの反応があって、面白い。 ふざけて僕の脚に抱きついているののかちゃん。口をとがらせながらしっかりと僕のシャツの裾を握っているえみちゃん。 そして、ことねちゃんはあのプールに行った日とおなじように寄り添って来ている。 両手に花……というのとはまた違うけれど、可愛い教え子に囲まれて気分は悪くなかった。 「さ、歩いていこうか。足元に気をつけて。 ゆっくりでいいからね」 「はーい!」 「おばけでるかなー」 「うぅ……。あ、おばあちゃんが言ってた。 なみなみだぶつってすればだいじょうぶ、って」 「あはは、なむあみだぶつじゃない?」 「なみなみなみなみうみぼうず〜♪」 こんな山中じゃ海坊主は出ないだろう。しかし三人もいるとちょっとしたカオスだ。 「そういえばね……僕が都会の学校で 先生をしてたときに聞いた話なんだけど」 「え、なになに? こわい話!?」 「うぇ……」 「……!」 僕がムードたっぷりに話し始めると、三者三様の反応を示した。 ののかちゃんは興味津々ノリノリ、えみちゃんは意外にも苦手そうに、ことねちゃんは引きつった表情。 「これは今は言わないほうがいいかな……」 「えーっ! きになる! ちゃんと言ってよ! あ、でもほんとにこわい話はだめだよ?」 「せんせいのおはなし、ききたいです……」 もったいぶると消極的だった二人も興味ありげに見上げてきた。 「そんなに怖い話でもないんだけどね。 ちょっと不思議な話っていうか……」 「僕の同僚……友達の先生がね、 夕方くらいかな。家庭訪問を終えて、 学校に帰ろうとしてたとき……」 「家がたくさん並んでる路地を歩いていたら、 前から髪の長い女の人が歩いてきたんだって」 「……ごくり」 「はぅ……」 「美人さんだったの?」 「それが、夕日のせいでよく見えなかったらしい。 髪が長くて綺麗そうな感じはしたんだけど、 顔までは見えなくて……」 「……」 「何だか印象的な人だなと思ったけど、 そのときは普通にすれちがったんだって」 「……ほっ」 「な、なんだ、ぜんぜんこわい話じゃなかった!」 「……つづきがあるんでしょ?」 「ああ。それからまた路地を歩いてたら……」 「え? え?」 「また髪の長い女の人とすれ違ったんだよ」 「……!」 「さっきも似たような人とすれちがったな…… と思ったところで……」 「前から、また同じような 髪の長い女の人が……」 「きゃー! きゃーー!」 「ぅう……」 「すっごーい! せんせー、それほんとの話?」 「さあ、どうだろうね。 僕も聞いた話だからなんとも……って、 えみちゃん、ことねちゃん、歩けないよ」 二人が必死に脚にしがみついてきていて、調子に乗って怪談めいたことを話したことを少し後悔した。 この話には更にオチがあるんだけど、そこまでは語らないほうが良さそうだ。 「とかい……こわいです……」 「きょう、眠れないかも……」 「い、いまいちパンチのたらない話かなー」 ののかちゃんもそう言いながらしっかりと僕の脚に抱きついてきている。 「大丈夫大丈夫。ここなら道のずっと先まで 見通せるからね。もしそんなことがあっても 遠くから歩いてくるのをまず発見できるよ」 「そ、そっかぁ……。 にげるじかんはたっぷりあるね」 「なるほどー……。かお見知りじゃない人だと すぐにわかっちゃうし」 「ほっ……。よかったぁ……」 「ま、それでも夕方になったらひとりでは 出歩かないように気をつけてね。 必ず誰かと一緒に行くこと」 はーい、という三人のとても素直な返事を聞いて僕は少し笑ってしまった。 昔から怪談の効果というのはこういうところにもあるのかもしれない。 散歩がてらの肝試しを終えて、順番にお風呂に入ってから部屋に布団を敷いていく。 ことねちゃんの家の予備の布団は分厚くてかなり立派な作りだった。 田舎の家にはよくある、親戚やお客さんが法事なんかで泊まっていってもいいようにと揃えられた割と高級な布団だ。 えみちゃんやののかちゃんはそのふかふか具合に喜んでいて、ことねちゃんも嬉しそうにしていた。 「よし、みんな歯も磨いたね。 あとは寝るだけだ」 お風呂あがりのことねちゃんを見ると――浴衣姿で可愛いなと思う。 えみちゃんとののかちゃんもことねちゃんの浴衣姿を羨ましがっていた。 僕ももっと間近でじっくり眺めたいと思うが、さすがに皆がいる前でそれはできない。 「うん? どうしたの、三人で固まって」 三人は顔を寄せあって意味ありげに僕を見上げた。 「ひそひそ……」 「〜〜♪♪」 「…………」 「? みんなどうしたの?」 「これから“じょしかい”なの!」 「じょ、女子会?」 「みんなで、ないしょのおはなしです」 「せんせーはぁ、入ってきちゃだめだからねー」 「そ、そうか」 三人分の布団を敷くにはことねちゃんの部屋は少々手狭だから、ということでこの部屋で寝るのは僕だけになっていた。 三人は隣の、大きめの居間で寝ることになっている。 そこで女子会をするということだろう。 「みんな夜更かしはしちゃだめだよ」 「はぁい」 「せんせー、またあしたー」 「あ……。えっと、おやすみなさい、せんせい」 「はい、おやすみなさい」 三人がくすくす笑いあいながら隣の部屋に行った。 男子がいるわけではないし、枕投げという展開にはならなさそうだ。 女子会トークなら可愛いものだし、特に心配することもないだろう。 ことねちゃんの部屋で僕が寝るのは少々気が引けて落ち着かないけれど……。 とにかく布団に入ってしまおう。 「ふあ……んん……」 他人の家の慣れない布団。 だけど昼間みっちり勉強を見て僕も疲れていたのか、すぐに眠気が訪れた。 三人の声がしばらくうっすらと聞こえていたけれど、それが心地いい子守唄になって……。 「ん……」 気がつけば真夜中だった。 一瞬自分がどこにいるのかわからない。 ぼんやりしつつ思い出す。ここはことねちゃんの家だ。 慣れない環境のせいか朝までぐっすりというわけにはいかなかったらしい。 「……?」 いま少し人の気配がしたような……? ねぼけまなこをこすり、体を起こしてぼんやりと部屋を見回してみると―― ふらふらと白い人影らしきものが歩いてくる。 一瞬着物を着たそれは幽霊かとも思ったが―― 「……! ……あれ?」 「…………」 気配はことねちゃんのものだった。 彼女にとってはここがいつも寝ている部屋。寝ぼけて間違えてしまったのかと思ったが、しっかりと目を開けて部屋を見つめている。 「……こ、ことねちゃん?」 「せんせい……」 弱々しくことねちゃんが僕を見つめてくる。 今日が合宿の日だと気付いても、すぐにこの部屋から出ていくつもりはないらしい。 「……どうしたの? 眠れないの?」 「せんせい」 もう一度同じ言葉を繰り返して僕に擦り寄ってくる。 ……可愛い。 けれど、そんな風に浸ってる場合じゃない。えみちゃんやののかちゃんもいることだし……。 「その、きょう……たのしかった、です」 「あ、ああ。僕も楽しかったよ。 しっかり勉強もできたね」 しかしこんなことをわざわざ言うために来たわけじゃないだろう。 外を走る車の音もなく、耳鳴りがしそうなほどの静寂の中、ことねちゃんの次の言葉を待つ。 「じつは……」 「……こわいゆめ、見ました……」 「そうなんだ。怪談なんかしたからかな……。 ごめんね」 手が迷う。けれど結局僕はことねちゃんの頭を撫でていた。 「ぇと……そうじゃなくて」 「?」 ことねちゃんが身動ぎする。むずかるみたいに少し躊躇してから続けた。 「せんせいが……とおいところに行っちゃう…… せっかくなかよくなったのに…… とおくに行っちゃう、ゆめ……」 「…………」 それはもしかすると正夢なのかもしれない。 夏休みに入る前に校長先生に言われたことをぼんやりと思い出す。 「わたしは……せんせいといっしょがいい、です」 「……うん」 「なつやすみになって、せんせいとあんまり 会えなくて……」 ことねちゃんはそこで言葉を切る。迷う仕草。 だけど続けてはっきりと言った。 「……さみしかった」 「そ、か……」 「いちにち、ぼうっとしてすごすんです。 せんせい、いま何してるのかなあって…… おしごと、いそがしいのかなあ……とか……」 静かにわきたつ感情があった。 僕も――小さな頃は一日がとても長く感じた。会いたい友達や会えない友達がいると、気になって仕方がなくて。 大人になるにつれて時間が経つのは早くなり、そんな感情も忘れていく。 風邪で休んでいる日の、とてもとても長い一日。 何をしていても気分が晴れない日。時計ばかり眺めてしまって―― 小さな頃だけにある、長い時間。 「……僕もさびしかったよ」 「せんせいも、ですか?」 「うん。ことねちゃんと会いたいなって…… 思ってたよ」 「ほんとう?」 「本当だよ。だから……今日は会えて嬉しかったし、 それだけじゃなくて、二人で話したいなとも ずっと思ってた」 「……うれしい……」 ことねちゃんが僕にそっと抱きついてくる。 強く抱きしめるようにではなく、体を寄せて。額をこすりつけてくる。 「……せんせい、いかないで」 僕の胸元から響くくぐもった声。 「そばに……いてほしい、です……」 「…………」 この鋭さは何なのだろう。 ことねちゃんが僕に転勤辞令が出ていることを知っているはずは絶対に無い。 なのにこんな風に、僕の態度から何かを受け取って不安がっている。 「さみしいの、やだ……」 「どこにも行かないよ」 ずるい大人の発言だと思いつつもそう答える以外になかった。 「いっしょに、いてください……」 「いるよ。大丈夫――」 「でも……。おとうさんもおかあさんも、 おしごとで……遠いところに」 「…………」 僕は言葉につまってしまった。 ことねちゃんにとっての深刻な問題。いちばん大切な人がそばにいてくれない寂しさ。 「せんせいは……どうしたら いっしょにいてくれますか?」 「それは――」 「せんせいと、ずっといっしょにいたいです……」 どう説明してあげればいいんだろう。 大切な人とずっと一緒にいられる嬉しさ、そんなものは僕だって経験したことがない。 密かにうろたえている僕を、ことねちゃんは一心に見上げてくる。 何か――うまい答えを返さなくてはいけない。 「ふ――夫婦になれば……」 「……?」 「ことねちゃんのお父さんとお母さんは 一緒にいるよね」 「……はい」 「そんな風に……夫婦になって、愛し合えば…… ずっと一緒にいられるんだと思うよ」 「そう、ですか……」 納得したようなそうでないような静かな答え。 少し考えるようにしてから再び僕を見上げる。 「ふうふは、どうしたらなれますか?」 「え、と……。それは、うーん……。 好きあって、恋人同士……に、なれれば」 「こいびとどうし……」 噛みしめるようにことねちゃんはつぶやく。 それからまた数瞬が過ぎる。 少しまずかったかなと思った。いきなりこんな、夫婦だとか恋人同士だとか。 飛躍しすぎではないだろうか。 えみちゃんやののかちゃんだって友達としてそばにいて……一緒にいてくれるだろうに。 僕はどうしてことねちゃんが言っていることをまず男女のものとして考えてしまったんだろう。 教師と生徒。そのはずだ。僕が彼女に教えられることは何だ。 「…………」 ことねちゃんはうつむいて、考えに考えたという風な仕草を見せてから、改めて僕に向き直った。 「あ、あの……えと、じゃ……じゃあ…… こっ、こいびとにして……ください……」 「え――」 「せんせいと……いっしょにいたくて……。 こいびとにしてもらえたら…… こいびとどうしになれたら、ずっと……」 「ずっといっしょに、いられますか?」 か細い声なのにどこか有無を言わせない雰囲気があって、僕はまた言葉につまってしまう。 ことねちゃんが子猫みたいに甘えて体をこすりつけてくる。 甘えられているのは僕なのに、僕のほうも甘えたくなってしまう。 ことねちゃんの持つ、なんでも受け容れてくれそうな儚く優しげな空気に僕の心が満たされていく。 「……さびしかったんだ」 「さびしかった、です……」 ことねちゃんはさっきまでのように“さみしい”とは言わなかった。僕の言葉を拾い上げるように“さびしい”と発音して一心に見上げてくる。 彼女に問いかけたのか、自分に問いかけたのか、一瞬わからなくなってしまう。 「そっか……」 「……はい」 今まで……彼女の愛らしさにほだされて色々ないたずらをしてきた。 そのことについては言い訳のしようもない。 僕は――悪い大人だ。 そう自覚しながらもことねちゃんの想いを手に入れたいと思ってしまっている。 「えっと……じゃあ、あの……。 こ、こいびとごっこでも……いい、です」 「――――」 僕の心理を読んで逃げ道まで与えてくれるような発言。 ことねちゃんの自信の無さもあっての言葉かもしれないけれど、僕の心の奥底を掴んで離さない。 教師として、上を目指して――頑張っても頑張っても、どこか満たされなかった。 それなのにことねちゃんのその言葉ひとつで―― 「ことねちゃん」 「……?」 いけない、いけない、と思いながらも僕は彼女の体を抱き寄せずにはいられなかった。 「恋人同士になったら…… その、“おつとめ”もしないといけないんだよ?」 「お、おつとめ? ……ですか?」 「そう。 こういうことをしないといけないんだ」 ゆっくりと身体を抱きよせ、僕の下へと座らせる。 「あ……せんせい……」 ことねちゃんのうなじからめまいを感じるほどの甘い匂いが漂ってくる。 浴衣の裾の分け目から手を入れ、彼女の体をゆるく拘束した。 少しひんやりした太股の肌。手全体で味わって堪能する。 ――すべすべだ。 この年頃の子にしかない肌の感触はすぐに僕の理性を狂わせてしまう。 教師と生徒、そんなくびきが吹っ飛ぶ。 いけないと思っている。だからこそやめられない。未熟な、けれど甘い果実。 「ことねちゃん……っ」 「せんせい……。 わたしは、だいじょうぶです」 ことねちゃんは僕の膝の上でふっと力を抜いた。 僕に身を任せ、しなだれかかってくる。 「なんでも……します……。 せんせいといっしょなら……、 どんなことも、だいじょうぶです」 「――」 教師と生徒というくびきを越えたところにある、男女としての歳の差の意識。それすらことねちゃんは取り払おうとしていた。 「せんせい……すき、です……」 「……。僕も……好きだよ」 そう言ってしまった瞬間に後戻りできなくなる。しようとも思わなくなる。 こうなることが初めから決まっていたようにすら思ってしまう。 「うれしい…… だいすき……」 答えながらことねちゃんはくすりと笑った。その一瞬の笑みに心を奪われる。 男としての欲望の鎌首も頭をもたげた。股間に血が集まり、どんどん膨らんでいく。 「ことねちゃんが……欲しい」 「はい。せんせいに、あげます」 耳にすっと素直で甘い言葉が入り込んできて、もう我慢できなくなってしまう。 「ぇと……。わたしの、なにがほしいですか? わたしのもってるもの、なんでもあげます……」 「ことねちゃんが、欲しくて」 ああ、だめだ。まだ知識のない彼女にはうまく説明できない。 「わたしがほしい……。 食べますか? ふふ…… せんせい、おおかみさんみたい」 愛らしい笑みを浮かべながら言う。 これからすることの意味を本能の奥の奥ではわかっているのかもしれない。 だけど今のことねちゃんはそんな表現をすることしかできなくて、彼女自身そのおかしさに気付いて微笑んでいるようだ。 「なんでも……します。 なんでも、したいです……」 「……うん」 静かな意志を受け取って、僕は自分の手を意識した。 ことねちゃんの太股をさわりながらゆっくりと脚の付け根にまで指先を近づけていく。 「もう……今更、逃がさないよ」 「はい。へいきです……」 「これからすることは、ぜったい、誰にも――」 「言いません。せんせいとわたしのひみつ……。 まもります。ずっと、たいせつにするんです……」 鼻にかかった甘い声と、うっすらと汗が浮かび始めている肌。 お互いに緊張もしている。僕は背徳に。ことねちゃんは未知に。 そして――隣の部屋で眠る二人の気配に。 「声も、我慢してね……」 「はい。いけないことするんだって、 わたしも……わかってます。 ほんとうですよ?」 精一杯の冗談を言ったという風にことねちゃんはまた微笑んで、僕の欲望をさらにかきたてる。 「さわるよ。ことねちゃんの、 一番大事なところ……」 「どうぞ……。さわってください……。 いっぱい……してください……」 緊張も伝わってくる声に僕の背筋はぞくぞく震えた。 ――たまらない。 僕は意を決してそこに触れた。 「ん……、ぁ……」 触ってみて驚いた。 そこは思っていたよりもずっと濡れていた。 幾度か下着の生地を秘部に押し付けているだけで、すぐにシミが浮かんでくる。 今まで何度かこういうことをして、淫らなことに慣れ始めている体。 ――けれどまだ僕しか知らない彼女の官能。 「……濡れてるね」 「は、はい……。ご、ごめんなさい……」 「ううん……すごく嬉しいよ」 「ふふ……。じゃあ、よかったです……。 せんせぇ……」 心底からそう思ってくれている。 ――めちゃくちゃにしたくなる。 だけど、まだだ。まだそれはできない。 これだけの体格差があるのに欲望をすべてぶつけることはできない。 「気持ちよくしてあげるね」 「はい……たくさん、してください……」 まずことねちゃんの体をほぐす。それは彼女のためだけではなかった。 快楽を感じて欲しいと思うのは、ことねちゃんにこの行為を受け容れてもらいたいから。 エッチすることが大好きな女の子になってほしいからだ。 できれば、自分から求めてくるような―― 「……っ」 その想像に自分で興奮してしまう。つまり僕はことねちゃんの性的な部分を調教して、自分好みにしたいと考えてしまっている。 「あ、ん……っ。ぁ……!」 指で慎重にそこをなぞり始める。たっぷりとした湿り気。 だけどまずは焦らす。下着の上から、幾度もゆっくりと擦り上げて慣らしていく。 「声は我慢して」 「ぅ……は、はい……、ごめんなさ……、 ん! ぅう……」 彼女が謝罪の言葉を口にした瞬間にまた僕の背筋にぞくぞくとした何かが走った。 悪いのは僕のほうなのに、何もしらないこの子は心から謝ってくれる。 「プールのときもしたよね。 ゆっくり深呼吸して、息をととのえて……」 「はい……。すー、はー……、はぁ、あ……っ」 僕の腕のなかで脱力する体。 深呼吸をして、というのはよこしまなアドバイスだ。体の力を抜かせて僕に任せさせて――快楽を増幅させるための。 「せんせ……んっ、すー、はー……ぁ、ん……!」 息を大きく吐いて脱力するたびにことねちゃんの体は震え、快楽に侵されていく。 今まで何度かこういうことをしてきて、ことねちゃんの体は快楽に慣れ始めている。 もう今していることが最後の仕上げだという感覚が僕にもあった。 僕の指で気持ちよくなれることを覚えさせて、それから後は―― 「はふ……ぁ、ん……! はぁ、はぁ……っ」 「気持ちいい?」 「は、はい……っ」 「気持ちいいなら、ちゃんとそう言ってごらん」 「……、きもちいい、です……ん、ぁあ!」 僕が言わせた瞬間にことねちゃんの背筋が反った。 何でもしたい、何でもされたい。そんな彼女の言葉はきっと本当だ。 僕に何かを強要されることを彼女自身が望んでいる。 つまり――ことねちゃんには若干のMッ気があるのかもしれない。 「パンツ、すごく濡れてきてるね。 こんなに汚したらだめじゃないか」 「ぅ……はぅ、ごめん、なさ……ぃ」 「でも……僕には謝らなくていいよ。 他の人にとっては悪いことも、僕とことねちゃん、 二人きりのときなら構わないから」 「せんせいと、いっしょ……のときは……」 「うん」 「ひみつだから、わるいことしても…… いいんですか……?」 「僕にならしてもいいし…… 僕もことねちゃんにならしたくなる」 「はい……。 せんせいといっしょのときだけ、します」 「……プールのときもそうだったね。 二人の秘密をこれからたくさん作っていこうか」 「だれにもいわない、せんせいといっしょのひみつ、 たくさん……ほしいです……っ」 「ひとりのときは絶対にここにさわっちゃだめだよ。 僕と一緒のときだけ――」 「はい。わかりました……」 本当にぞくぞくして止まらなくなる。 彼女の性感と官能は全部僕が教え込んだものにする。 「ぁ、ん……はぁ、はぅ……」 なで上げる指先にはもう、おびただしい湿り気があった。 僕の言葉の強制にことねちゃんも感じてくれている。 「音が鳴ってるね……」 「ん、ぁあ……」 「エッチな音。 ことねちゃんが、欲しくなってるときの音だよ」 くちゅ、ぐちゅ、と淫らな水音が深夜の部屋に鳴り響く。 「わたしが、ほしくなる……? なにを、ですか……?」 「それはこれから――」 僕は何も知らないことねちゃんと最後の最後まで、本気でしようと思っている。 「……。僕を欲しくなる……そういうことだよ」 「はい……? せんせいのこと……欲しい、です……」 わからないながら、僕に調子を合わせて。一生懸命伝えてくれる。 「ふわってなって、きもちよくて……。 せんせいだいすきって、おもいます……」 「いつからそんな風に思うようになったの?」 「……わかりません……。 でも、いっしょにいるときはいつも……。 だいすきで、むねがきゅうってなって……」 それだけ聞ければ十分だった。 いよいよ準備を始めることに決める。 「じかにさわるよ」 「……はい」 くち、と卑猥な音が鳴った。 「はぁ、ぁ……! ぁう……っ」 ことねちゃんの体が震える。 本当に信じられないほど濡れている。 だけどその入口は狭く、僕の指一本ですら受け容れるのは難しそうだ。 まだ――まだ。ゆっくり。朝まで時間はある。 「力を抜いて。深呼吸して……」 「ぅ……はぅ、すー、はー……。 すー、はー……」 未熟過ぎる体と、アンバランスな性感。その差異を実感しつつ指を這わせる。 「ひぅ……! ん、く……」 「怖くないよ。大丈夫。 ふわってするのを、ゆっくり味わって」 「はい……」 「僕に任せてくれれば大丈夫だから」 本当に悪い男そのままのセリフを言って、ゆっくりと秘裂を撫でた。 慎ましやかで色素の薄い陰唇。 まだぴったりと閉じているそれを指で開き、そっとほぐしていく。 「ぁ、ん……、はぁ、はぁ……」 「ことねちゃんのここ、どうなってる?」 「せんせいの、ゆびが……」 「僕の指が触れて?」 「……くに、くに、って……。 かたちが、かわります……」 「痛いかな」 「いたくはないです……。 ふしぎなかんじ……。 ふわって、いっぱい、なる……」 陰唇を割り開く程度では痛みがないらしくほっとした。 「ことねちゃんのここ、ぬるぬるしてて…… あったかいよ」 「せんせいのゆびも、あついです……」 興奮と緊張のせいだろう。僕の体も熱くなっている。 徐々に徐々に陰唇を割り開き、その桜色のスリットに直接指を這わせた。 「はぁ、はー……、ん……」 まだ膣口に指を入れることはできない。たっぷり時間をかけて……ほぐして……。僕自身は我慢して。 指先でぬめりをすくい、小さく円を描くように動かした。 「ぁ、あ……、ん……ぅん……っ」 「ことねちゃん」 「ぁ、は……はい……っ」 「いまことねちゃんの背中に当たってるもの、 わかるよね?」 「……! わ、わかり、ます……」 「今日は……これがことねちゃんの中に入るんだよ」 「え……」 「ここ、ほら……。わかる?」 指でこねている場所の中心。 秘裂の入り口に指先を当てた。 「こ、ここに……?」 「ちゃんと見て。 ここからことねちゃんの奥…… おへその下あたりまで続いてるんだよ」 「……っ」 ことねちゃんが生唾を飲み込んだ。 「僕の固くなったものがここに入って……。 それで、初めて……恋人同士になれるんだ」 最後のセリフは上擦ってしまう。完全にウソではないけれど、真実ではないことをこの子に教えこんでいる。 「入り、ますか……?」 「今からゆっくりほぐすから。 そうしたら、多分……」 「わたし……ちいさいから……。 は、入らなかったら……」 「……もしかしたら痛いかもしれない。 でも……きっと入るよ。ゆっくりすれば」 「は、はい……」 「ここがこんなにぬるぬるしてるのも、 僕のを受け容れるためなんだよ。 すべりを良くして、ひっかからないようにする」 「あ……。じゃあ、わたしのぬるぬるは、 じょうずに、できてますか?」 「あ、ああ……。そこは、もう、上手だよ」 「よかったぁ……。 せんせい……、もっとことねにおしえて…… れんしゅう、させてください」 「……っ」 健気すぎる発言に胸を衝かれる。 「せんせいがおしえてくれたら……。 きっと、きっと、じょうずになりますから……」 「わかった」 頭の奥が背徳でちかちかする。酸欠になりそうなほど僕の息も浅くなっていた。 いよいよこのまま進んでいける。彼女はそれを望んでくれている―― このまっさらな体に僕の存在を刻み込める。そのことがどうしてこんなに嬉しいんだろう。 「ことねちゃんみたいな子を……。 僕は……ずっと……」 「……? せんせい……?」 「いや……えっと。 練習、だね。声は出さないように……我慢して」 「はい。おねがい、します……」 僕は指をわずかに立てた。 くち、とひときわ高い音が鳴った。 「ん……! ぁ……!」 苦しそうな吐息。 けれど、指は思いのほかスムーズにことねちゃんの膣内に埋まっていった。十分ほぐしたおかげだろう。 「こんな風に……出し入れできるんだよ」 「ぁ、ん! ふぁ、あ……!」 くち、くち、と指を出し入れするたびに音が鳴る。指先に強く絡みついてくるからだ。 僕の勃起はいよいよ強烈に主張していた。 この分ならできる、今すぐにでもできる。指に絡みつくこの小さな穴に挿入して、気持ちよくなれる―― そんな風に本能が強く訴えてくる。 「しばらく……練習するね」 「は、はい……。 じょうずに、なりたいです……」 「指が入るときは息を吐いて、力を抜いて……」 「すー、はー……。ぁ、ん……!」 指を入れる。今度は少し奥まで。 ぷぢゅ、と音がして愛液が押し出された。 よく濡れている。何も問題ない。指だって一本なら入る。 それでもまだ。 ことねちゃんを大切にしたい。ことねちゃんとの関係を大切にしたい。ちゃんと、気持ちいいことを教え込みたい。 二人で……そう、いっしょに味わいたい。 「胸と一緒に……味わって」 「ふぁ、ぁ……! さきっぽ、んん……!」 ずっと添える程度にしか刺激していなかった乳首。そこへも本格的な愛撫を開始する。 「あ……ふわって……、ん、はぁ、ぁ……」 「ことねちゃんはすごく敏感だから……。 きっとすぐ上手になれるよ」 「はいっ……ぁ、ふぁ、んぅ……っ」 乳首を丁寧に捏ねつつ、秘裂への愛撫を再開した。 指先は明確な意志を持って。 この小さな膣口を――拡張する。 「ぁ、んぅ……はっ、はぁ……」 「痛くはない?」 膣口に入れた指先を円を描くように回す。 「ぃ、う……っ」 少し痛そうなそぶり。そこですかさず乳首を優しくつまむ。 「ふぁ、はぁ……っ」 「同時にしたら大丈夫かな」 「はい……、ぴりぴりして…… でも、ふわってして……」 「上手だね。力を抜いて、素直に……感じて」 「ふぁ、ん……。はい……。 せんせいの、よくできました、 もらいたいです……」 「うん。いい調子だよ……大丈夫。 ほら……広がってきた」 「ぁ……、はぁ、あ……。 せんせいの、ゆびが……」 指を出し入れしながら膣口をこね、陰唇を引っ張るようにしてそこを見せた。 僕の指が抜けていても閉じきらず、小さな穴が呼吸に合わせて開閉している。 薄い桜色の襞の合わせ目。美しく可憐なのにとろとろと淫らな液体をあふれさせる。 「せんせ……せんせい……っ」 腕のなかのことねちゃんの体が震えた。引きつるように、何度か。 「――――」 もしかして、この反応は。 横っ面を叩かれたような衝撃を受けつつ、僕はすぐに愛撫を再開した。 丁寧に乳首をこね、膣口への指の出し入れを繰り返す。 「ぁ、ふぁ、はぁ、あ……! ん、ぅう、ひぅ……ぁ、んん……!」 びくびくとことねちゃんの全身が震え、肩や首筋にぎゅっと力がこもり始める。 ことねちゃんは――膣口と乳首を愛撫されて、達しそうになっている。 「きもちよくなって、ふわってして……。 頭のなか、白くなるのがまた来そうなの?」 「はぃ……、ん、ぁあ、はぁ、あ……! せんせいのゆび、きもちよくて……っ」 「……。プールのときと同じだよ。 どうすればいいのか覚えてるよね?」 「ぁ……は、はい……っ。 すー、ん! はぁーー……。ち、力、ぬいて……」 「うん。それから?」 「せんせいのいいつけをまもって……、 ふわふわのまま……、はぁ、ん……。 ぁ、ああ、あ……」 ことねちゃんの声がどんどん蕩けていく。 「そうなったときは、これから……僕にも教えて」 「おしえる……? ぁ、はぁ、はぁ……」 「うん。今みたいになってるときは、 イキそう、って僕にちゃんと伝えて」 「はい……、わかりました……。 えっと……イキ、そう……です……」 「……うん。それで、イキそうな感じが…… ことねちゃんのなかでいっぱいになって弾けたら、 イクって言うんだよ」 「んっ、ぁあ……っ。はい、そう、します……」 「そうしたらね、もっと一緒に…… 二人一緒に気持ちよくなれるから」 ゆっくりと指で捏ね続ける。 ぴんと可愛く勃った乳首と、かすかに充血し始めた膣口の襞。 「ぁ……、それ、すごく……うれしいです……っ。 ふぁ、はぁ、あ……! せんせい、 もういいですか? イキそう、です……!」 頭の奥で興奮が明滅して視界がちかちか白む。 クリトリスにはあえて触っていない。だから多分乳首の快感で達しようとしている。 その快感と、膣襞を擦られて拡張される感覚をひとつながりのものとして覚えさせたい。 「イキそ……ん、はぁ、ぁあ……!」 「うん。練習、しようか」 「ふぁい、ぁ、ああ、はぁ、ん……! ちから、抜いて……ぁ、あ……」 乳首と小さなスリットへの愛撫を少しだけ速める。単純な動きの繰り返しで、ことねちゃんがペースを掴めるように―― 「あ、イキそう、イキそう、せんせい……っ、 イキそ、イキ、そう……イキそう、です……」 そんなに何度も言う必要はないのに懸命に懸命に伝えてくれる。 そんな彼女のいたいけな性格も愛しくてたまらない。 「イキそ……ぁ、はぁ、ん……! あ……。イク……イ、ぁ、イク……っ!」 「……っ」 ぎゅっと強く指を締め付けられる。 まだ薄い膣肉が懸命に僕の指を食いしめて―― 「んっ、ぁああ、はぁ、はく……ん……! ぁ……はぁ、ああぁ……」 かすかに白く濁った愛液があふれてきた。 それがとろとろした流れになってお尻を伝い落ちていく。 「ふぁ……ぁ、はぁ、はぁ……」 「ことねちゃん、イッたんだね」 「ん……は、はい……。イキそうって、 せんせいに言って……。イク、のも、 ちゃんと言えました……」 「うん。えらいよ……。 さすが……僕の教え子だ」 もう僕のそのセリフは倒錯したものになっていた。こんなことまでしておいて教え子も何もない。 「はぁ、はぁ……。ぁは、えへへ……。 せんせいが、ほめてくれた……」 しとどに濡れた秘部。絶頂の後、ひくひくと微かに蠢いている肉襞。 まだまだ慎ましやかな蕾をこれから自身の手で花開かせる悦びが胸を覆っていく。 「ことねちゃん」 「はい……」 「じゃあ……恋人同士に、なろうか」 声が上擦って、喉が干上がる。 「あ……! はい……っ、なりたいです。 して……ください……っ」 僕の浅ましい本能は緊張と躊躇を上回った。 浴衣の脱がし方がよくわからなかった。もどかしかった。 それに――こうしたほうが扇情的に思えた。 ことねちゃんのあられもない姿に生唾を飲み込む。 浴衣とことねちゃんがまとっている雰囲気のせいでどこか未亡人を手にかけるような背徳もあった。 大切なものをなくしてしまっている人。そのさびしさを埋めるために―― 「ことねちゃん」 ダメだ。冷静になろう。 「はい……」 「恋人同士になるのは……簡単なことじゃなくて」 最後に残った理性。 この年の子の――処女を奪うという意識がぎりぎりのところで僕にブレーキをかける。 「きっとすごくつらいし……、 痛いだろうし、とにかく…… 僕は、きみにひどいことを――」 「せんせい?」 「……」 「わたしは、へいきです……。 だって、せんせいが……わたしのこと、 たくさん想ってくれてるの、わかるから……」 「っ、でもね、本当に――」 「ほんとうは……ごっこあそびじゃ、いやです」 ことねちゃんははっきりと言った。 「こいびとに、してください」 人一倍の強い想いがこもった言葉に僕はどうしようもなく胸を打たれてしまう。 「……つらくても?」 「――せんせいといっしょなら……」 その先は言わずに見上げてくる。 「わかった」 僕は腰をつかみ、ことねちゃんの体を少し引き寄せた。 そうやって動き出した途端、もう止まれないであろう自分を意識する。 勃起は限界まで張り詰めて目の前にある体を味わうことを欲している。 「まず、なじませて……」 「ぁ、ん……っ」 割れ目に亀頭を押し当てた。 一度達したおかげもあってそこは十分に濡れている。 ペニスに愛液を馴染ませ、素股をするようにして秘裂の上を往復した。 「あ……、こんなふうに……」 「……うん」 プールのときとやっていること自体はそう変わりがない。 「せんせいの……あついです……」 「ことねちゃんが……可愛いから」 「えへ、ふふふ……。 あ、せんせいのこれも……かわいいです……」 僕が言ったことに何かお返しをしなければならないと考えたのだろうか。ことねちゃんが亀頭を見ながらそんなことまで言ってくれる。 「ここから……あの、白いの……。 きもちよくなったしょうこ、でるの?」 「……うん」 「も、もう出そう……ですか?」 「いや、それは……まだまだ。 ことねちゃんの……中に、入ってから」 「あ……そ、そうだった」 やっぱり僕の言ったこと、そしてこれからすること、半分も理解できていないのだろう。 それでも求めてくれている。視線は濡れて蕩けて、きっと本質は捉えている。 「かたい……、あつい、です……。 ん、ぁ、はぁ、はぅ……」 「だんだん……馴染んできた、かな」 「にゅるにゅるって……します……」 亀頭も竿も愛液にまみれ、滑りは良くなっていた。 「は……ぁ、ん……。にゅるにゅる、 きもちいい……。はぅ、ん……っ」 さっきは刺激しなかったクリトリスにも裏筋が触れているせいだろう。 ことねちゃんの反応はすぐに良くなった。プールで一度この行為は経験していて、きっと体が覚えている。 「ん、あふ……はぁ、せんせい……。 せんせいといっしょ、うれしい……」 「僕も嬉しいよ」 「せんせいとよふかし……。 きもちいいことも、たくさん…… ゆめみたい……」 とろんとした表情と甘い視線。 夜目にもその瞳が潤んでいるのがわかる。お互いの性器を擦りつけ合って、ふつふつと感情が盛り上がってくる。 「はぁ……っ……」 ことねちゃんの気持ちよさそうな様子と粘膜の刺激で、不覚にも射精感が昇ってきた。 もちろんまだまだ射精してしまうほどではないが、一瞬、このままでもいいかなとも思ってしまう。 「はぁ、ん……ぅ、ん……、 ごしごし、きもちいい……」 蕩けた表情を見せてくれてはいるが、その体はやはり細くなだらかで未熟だ。 無理をしなくても……。 そんな中途半端なことを考え始めた矢先だった。 「……? せんせい……?」 「なにかな……」 「せんせいの……さきっぽ……。 おつゆ……?」 「あ――」 恥ずかしいことに、僕の先端から先走り液があふれていた。 トロトロとした透明なそれが愛液と混じり、ことねちゃんの秘部へと伝い落ちていく。 「ふふ、いっしょ……」 それを見てことねちゃんはすごく嬉しそうに微笑んだ。 「せんせいも、きもちよくなって……。 ぬるぬるがでてきた……から、わたし、 じょうずにできてる……?」 「あ、ああ……」 ことねちゃんが濡らしているのを見て僕がした発言。彼女はそれをしっかりと覚えている。 「わたし……わかったきがします。 せんせいが言ってた、わたしがほしい、 っていうきもち……」 「せんせいのこと、ほしいって……。 いま、すごく思いました……」 ことねちゃんは僕の快楽の証を発見して、心の底から悦びを感じてくれていた。 そしてその悦びが性の悦びとつながる。 彼女の頬はますます上気して、愛液の分泌もおびただしい量になっていた。 「ことねちゃん」 やっぱり中途半端になんかしていられない。 最後まで――したい。 「はい、せんせい……」 「このまま――、きみを」 「せんせいに、わたしをあげます…… うけとって……ください」 「わかった」 短く答えて、僕はまた先走り汁をあふれさせていたペニスをことねちゃんの股間にあてがった。 「ぁ、ん……っ」 もう十分慣らして馴染ませた。これ以上は何もしようがない。 躊躇せず、腰を前に進める。 「ふぁ、ぁ……! ん……、ぁあ……!」 ゆっくりとだけど、着実に。 「いっ、ぅう……ん、はぁ、はぁ……!」 「力、抜いて……深呼吸して……」 「は、はい……っ、ん、すー、はー……、ぁ、 んぅ……! すー、はっ、ぅ……はぁ、 いた……ん、ぅう……!」 やっぱりスムーズにはいくわけがない。 これだけ時間をかけて慣らしてもことねちゃんの体は僕を拒否しているかのようだ。 「ふぅ、はぁ……せんせい、すき……っ、 いっしょ、いっしょに……! すー、はー…っ」 それでもことねちゃんの健気な言葉が背を押してくれる。 心は受け容れていることを示してくれる。 そして僕の本能。粘膜と粘膜が触れ始めた瞬間に、強烈に突き上げてきた。 熱いぬめり。包まれていく感覚。初めての場所。僕が奪う。 ――最高に気持ちいい。 「ぁく……はぁ、あ……ああぁ……!」 最後は結局自分の欲望に押され、僕はことねちゃんの処女膜を破った。 目に映る証。 「ことねちゃん……入った、よ」 「ぁ、ぅう……! ほ、ほんとう……? はっ、あ、んぅ……っ!」 「あ、ああ……。山場は越えたよ……。 まだもう少し、あるけど……」 「う……はっ、はい……」 ことねちゃんはいっぱいいっぱいで、僕の言葉を理解しているようには見えなかった。 「少し、このまま……」 ペニスもあまりにも狭い襞に包まれているせいで引きつるような痛みがある。 ことねちゃんの痛みと比べるとあまりにも差があるだろうけれど、僕のほうもこのままではきつい。 「ことねちゃんの好きなここ、してあげるね……」 「ぁ……ふぁ、あ……っ」 「ごめんね。胸のほうに集中して……、 少しでも痛いの、忘れて……」 「ん……! はぁ、あ……っ、 さきっぽ、ぅ……ん……!」 強く触れることはしない。 指の腹でさすり、転がすようにして優しく愛撫する。 「あ……あぁ、はぁ、いっ、う……っ」 姿勢がかわるとそれでもまだ痛むらしい。 僕はもっともっと弱い刺激に留めた。 触れているのか触れていないのかという微妙な線で、ひたすら優しく乳首をこねる。 「ん……。はぁ、はふ……、はぁ、あ……」 僕のほうは自分の浅ましさがイヤになるばかりだ。 中途半端に繋がっているだけで、動いてもいないのに勃起は全く収まる気配を見せない。 ことねちゃんの声を聞いてますますたぎっていくようにすら感じてしまう。 「せんせいの……ぎゅ、ぎゅってしてる……」 「……うん」 ことねちゃんの狭い膣穴に、僕のそんな状態が伝わってしまっているらしい。 「はぁ……ん、ふぁ、はぁ……」 汗が伝い落ちていった。 「あ……。せんせいがこんなに……あせ、 はじめて見た……」 「そうかな……」 「たいいくのときも、せんせい…… すずしそう、なのに……」 「ことねちゃんも、汗……」 「はい。せんせいといっしょ……です」 ことねちゃんの目は僕の指を見下ろした。 手のひらにもたくさん汗をかいてしまっている。 それを見透かされたことが少年の頃のように恥ずかしかった。 「さきっぽ……もうすこし、して……?」 「わかった」 自分でそれくらいの甘いリクエストはできるくらいにことねちゃんも慣れてきたらしい。 まだ未熟な体。だけどこの繋がっている器官自体は、こういうことが可能なように作られている。そのことを実感した。 「ぁ、はぁ……あ……、ん……っ」 ことねちゃんの様子を見て、もう少しだけ強く乳首をこねてみる。 「はぁ! ぁ、ああ……! ん……ぅう……!」 反応はみちがえるように良くなっていた。 同時に―― 「……っ」 ことねちゃんがあえぐと下腹が微妙にうねり、きついだけだった締め付けの質が変わる。 上下と左右、圧が変わって亀頭が喜んでしまう。 「ぁあ、ぅ……はぁ、はぁ……」 「……大丈夫?」 「……はい。おむね、さわってもらうのすき……。 だから、きっと……こいびとどうしするのも、 すきになれそう……」 そんな表現に頭がくらくらする。 「こいびとって……たいへん、だね……」 その言葉を口にしながらことねちゃんが小首を傾げた。 愛らしい仕草と、微妙に口元に浮かんだ笑み。 それを見て、彼女が精一杯の冗談を口にしたことに僕はやっと気付いた。 「……ごめんね。ありがとう……」 僕を気遣ってくれている。 「わたしも……。せんせい、ありがとう……。 やさしく、してくれた……。 つらいけど、つらくないように、って……」 「でも、まだ……つづきが……」 「はい……。もう、だいじょうぶです。 ちゃんと……さいごまで、してください……」 「……うん」 「せんせいの、こいびとだもん……。 ……ね?」 ここで聞き返すのは野暮だろう。 ことねちゃんの想いに応えるため、そして僕自身の気持ちに素直になって、再び腰に力を込めた。 亀頭の、一番太い部分はもう入っている。こうしてことねちゃんの体も固定できている。 「一気に……奥までするよ」 「はい。おへそのした、まで…… くるんですよね?」 ことねちゃんがぼんやりと自分の下腹を見下ろした。 そこには彼女の、女の子としての器官がある。 ――子宮。 その大事な場所まで一気に先端を届かせる、雄の欲望にまみれたイメージを意識した。 「きて……」 甘いささやきに誘われた。 「ことねちゃん……!」 「ぁ、う、んんぅ……!!」 ぐいっと一気に腰を前に進める。 乳首を愛撫している間に増していた愛液が潤滑剤になり、ことねちゃんの襞を割り開いていくのを助けてくれた。 「ふぁ、ぁあ、あ……、くぅ……! ん……!」 「もう少し……っ」 ぐっと腰を大きく進め、かすかに引いて馴染ませる。また大きく進め、かすかに引いて―― それを三度ほど繰り返して、最後。 「あ、ぁああ、んぅうう!!」 「……!」 僕はことねちゃんの最奥まで到達した。 包まれている。 おまけに先端には、肉質のこりこりとした壁のような感触も感じていた。 鈴口でことねちゃんの子宮に触れている。 ペニス全部というわけにはいかないけれど、八割ほどはことねちゃんの体内に入っていた。 「ん……! はぁ、はぁ、はー……ぅ、ん……!」 「痛い、かな……」 「へ、へいき……です……。 はっ、あ……。はぁ、はぁ……っ」 ことねちゃんの呼吸に合わせて膣内の襞が絡みついてくる。 強く締め付けながらまとわりつき、肉棒を拒否しながらも受け容れているような絶妙な快感。 その感触があまりにも心地よく官能的で背筋が震える。 「はっ、はあ……。ん……、ぅ……。 はぁ、ぅう……。すー、はー……んっ……」 慣れるまでまたしばらく動かずにいようと思っていた。 けれど―― 「ぅ、はぁ……ん! はぁ、あ……。すー、はー、 ぅう、ん……っ、はっ、はぁ……」 ことねちゃんの反応はさっきとは違っていた。 「ぁ……ん……、んん……。 すー、はー……ん……!」 深呼吸して力が抜けると、独特の甘さが含まれた声と共に静かに全身を震わせる。 「すー、はー……」 ことねちゃんがまた脱力する。 その瞬間の膣内の状態を少し意識してみる。 「ふぁ……!」 ――奥だ。 脱力して息を吐いておへその辺りがへこむと、僕の鈴口のあたりに弾力がまとわりつく。 もしかして―― 僕は期待と共にごく弱くことねちゃんの最奥を突いた。 「ぁん……!」 「ことねちゃん……。奥が気持ちいいの?」 「ふぇ……?」 「ここ、だよね……」 また奥を突く。突くというほではなく、弱く触れてこねるという感じだったけれど―― 「ぁ、ああ……!」 また良い声を聞くことができた。 ぞくぞくと背筋に怖気が走る。 今までクリトリスは大して愛撫してこなかったせいもあるのかもしれない。あるいは単に体質かもしれない。 それか、今日は特別長く愛撫したからか―― 何が要因かはわからないけれど、ことねちゃんは奥で、子宮口で感じてくれている。 「ここ、だよね」 「ぁ、ん……! そこ……きもち、い……! はぅ、はぁ……、あ……っ」 わきあがる悦びを苦労して抑えながら僕はその部分を優しくノックし始めた。 「ふぁ、あ……! ん、せんせ……、んぅ! あ、あ、はっ、あぁ……!」 こつ、こつ、こつ、と奥を突く。 あくまで優しく、優しく。ことねちゃんが気持ちよくなってくれるように。この行為に心からはまり込んでくれるように。 「ん! せんせぃ……はぁ、ああ……! はぅ、ん、んぅう!」 リズミカルな嬌声が耳に心地いい。 「力は抜いて……深呼吸して」 「すー、はー……ぁ、ん……! はぅ、ん! すー、はー、ぁあ……ぅ、ひぅ! んく……っ」 その基本の繰り返し。ことねちゃんの体を僕好みにしていく。ひそやかな調教。 「はぁ、あ……ふぅ……ん……! はぅん、く……すー、はぁー、ああ……っ」 ことねちゃんは膣奥を突かれる快楽に揺られながら脱力し、僕にすべてを任せてくれるようになる。だんだんと、だんだんと―― 「ん……ぁあ、せんせい……。 ぅ、ふぅ……きもひいい、ふぁ……はぁ……」 強く、というよりは、深く感じてくれる。 それでも膣内の狭さは変わらず締め付けはきついままだ。 僕の腕のなかでことねちゃんの体は揺れる。 その有り様は、小さな女の子の形をしたオナホールを操っているかのようだった。 「ぁ、あー……、はぁ、あ……、 んっ! はぁ、はぅ……すー、はー、ふぁ……」 「ことねちゃん……。 すごく気持ちいいよ……」 「ふぇ、あ……。ほんとう?」 「うん……もう、我慢できないくらい……」 「うれしい……。せんせいも、きもちよくなって…… あ……。イキそう、なんですか……?」 「……うん」 ことねちゃんの体を抱きながら奥の感触を鈴口に感じ始めてから、射精感が急速に募りつつあった。 ちゅ、ちゅ、と子宮口が吸い付いてきているかのようにすら感じる。 このままこの極上の穴に吐き出したい――そんな欲望が突き上げてくる。 「しろいの、でそうですか……?」 「このまましたら……もうすぐ……」 「そうしたら……ごっこじゃない、 こいびとどうし……?」 「っ、そう、だね……」 会話をしながらますます高まりつつある。 「うれしい……。せんせいの、ください……」 「うん……。どうなるか、感じててほしい……」 「はい、わかりました……」 頷くと同時に締め付けてくる。本能的なものなんだろうか。 「せんせい……きもちよくなって……。 ほんとうのこいびとに、してください……」 「ことねちゃん……っ」 弱いピストンを再開する。 「ぁ、ふぁ、はぁ、あ……っ」 「く……」 射精に向かう意識がはっきりすると、汗がふきでた。 勃起が一気に強くなり、襞の感触を余すところなく味わう。 「ん、ぁあ……はっ、ぎゅって……ん……! ひろがる、ん、ぁ……!」 「ごめん、ちょっとだけ……速く……」 「はい、ん……はぁ、ああ……! んっ! ぁあ、あ、あぅ……!」 ことねちゃんにも奥で感じて欲しい。それと同時に僕も気持ちよくなれる。そんな理由で僕は最奥を集中的に小突く。 「ぁ……く」 「ん、ぁあ、はぁ、はふ……、ん! せんせい……ぁあ、そこ……んぅう!」 感じやすい体。子宮で感じてくれる女の子。僕だけの―― 急激に独占欲と支配欲が強く湧いて、僕は言った。 「ぜったい、ひとりでしちゃ……だめだからね」 「は、はい……んぅ、わかって、ます……、 ぁあ、はぅ……あ……!」 「僕といっしょのときだけ……きもちよく、なって」 「いっしょが、いいです……! ぁ、んぅう!」 「ここで……おへその下で……。覚えて……っ」 「はい、おぼえます……、じょうずになって…… ぁ、ん……! せんせいに、もっと……ぁあ!」 「せんせいに、あげます……、 わたしの……はぁ、あ、ん……!」 ぐっとペニスが膨らみ、陰嚢から塊のような精液がせりあがってくる。 「ん、はぁ、あ……ああぅ……!」 最後の瞬間は、僕が力むのに合わせるようにことねちゃんもぎゅっと体を縮こまらせた。 締め付けが一気に強くなって――奥も吸い付いてくる。 「ああ……っ!」 「んく、はぁ、あ――んぅうう……!」 鈴口を優しく包まれたような感覚。錯覚かもしれない。 確認する余裕もなく僕は絶頂に達した。 がく、がく、と腰が痙攣するように揺れる。 「ふぁ、あ! んぅ、はぁ……!」 同時にことねちゃんの軽い体が上下する。 精液を奥にぶちまける圧倒的な官能。 「ぁあ、はっ、ん! せんせ……、ん、ぁ……!」 揺れる視界のなかでことねちゃんと目が合う。 「――――」 「んぅ、はぁ、あ……、おなか、あつい……」 ことねちゃんは蕩けた視線で僕を見つめていた。 射精する瞬間を見られているという羞恥と、すべてさらけだしているという快感が同時に脳裏を浸していく。 「く……はぁ、はぁ……」 「ん、ぁあ、はぁ、はぅ……。 はぁ、はぁ……」 射精はやがて終わり、僕の体の引きつりは収まった。 「はぅ……ん……っ。はぁ、ぁあ……」 ことねちゃんはまだひくひくと小さく体を震わせている。 そして―― 「あついの……おなかに、 とっても……ん……、 いっぱい、です……」 自分の下腹を見下ろしながらの蠱惑的な発言。 蕩けた視線で僕の先端が達している部分を見つめ、ゆっくりと息を吐く。 「はふ……。おなか、あつい……です」 「わかるの……?」 「ん……はい……。まえと同じ、あつさで……。 わたしのおなかのなか……」 頭がくらくらする。酸欠と、射精後の満足感で。小さな体に吐精される感触を教えこませたことで。 「はぁ、ふぅ……。こいびと、どうし……」 「……うん」 「ふふ……。うれしい……。 せんせいが、わたしのこいびと……」 ぼんやりとつぶやいてことねちゃんはまぶたを閉じた。 お互いに息を整えるような間のあと―― 「すぅ……、ん……はぁ、すぅ……」 ことねちゃんは完全に脱力して眠るように気を失った。 「っ、はぁ……」 萎えたペニスをゆっくりとことねちゃんの膣内から引き抜き、後処理をした。 浴衣をなんとか整えて―― 最初はことねちゃんを隣の部屋に戻そうと思った。 けれど、寝顔を見ているうちに愛しさが募り、結局僕は彼女の横で目を閉じていた。 朝だ。まぶたの裏が白い。 体を起こさないと。ことねちゃんを隣の部屋に戻して―― えみちゃんとののかちゃんを起こさないように。起きてしまったら、何か言い訳を―― ぼんやりとそこまで考えたところで、隣から会話が聞こえてくる。 「えーっ! まちがえてとなりでねてたの!?」 「あー、そっか。あっちはもともとことねちゃんの おへやだもんねえ。まちがえちゃうよねー」 「うん……。おきたらせんせいがいて、 びっくりして」 「きづかないせんせもせんせだよね、あははは」 「せんせー、ねぞうわるかった? あ……! 見にいってみよっか♪」 …………。 僕は体を起こした。 その瞬間に障子が開き、三人がばたばたとこちらの部屋に入ってきた。 「あ、おきてた。 ねがお、見のがしちゃった」 「せんせー、もうとっくに朝だよー?」 「お……おはよう、ございます」 「あ、ああ……。おはよう」 三人はもう着替え終わり、出かける準備まで済ませていた。 ことねちゃんは僕より早く目覚め、うまい具合に話していてくれたらしい。そして――二人は昨晩のことに気付いていない。 ぼんやりした頭でなんとか整理していると、えみちゃんに腕を引っ張られた。 「ほらー、おーきーてー! ラジオ体操行かなきゃ!」 「あ――そうか、ラジオ体操か、ってえみちゃん、 そんなに引っ張ら、いたたた……」 「せんせーがねてるならののもねるー」 「うぐっ!」 腕を引っ張られてる僕の胸元に、ののかちゃんは頭から突っ込んでくる。 「あ! こら、だめだって! 起きなきゃ!」 「ぐー……すー……」 「くすくす……」 なんとかえみちゃんとののかちゃんの体を脇にどけている途中、ことねちゃんと目が合った。 「ぁ……」 するとことねちゃんはぱっと頬を赤らめて―― 「…………」 慎ましやかに微笑んだ。 奥ゆかしい、女性らしい笑みというほかない。 僕も笑みを返す。 「よーし、じゃあラジオ体操にしゅっぱーつ!」 「ふぁ、ふぁああああー、ぁふー……」 僕も寝癖程度はなんとか直した。 頭のなかはまだまだ整理しきれないけれど―― 「せんせい?」 ひょこ、ひょこ、と少し歩きにくそうにしていることねちゃんが僕のそばまでやってきた。 その歩き方を見て、僕は昨晩自分がしたことを実感した。 「ことねちゃんは、大丈夫……かな」 「はい。ラジオたいそう、できます」 言って――僕の手を引いた。 「わ、ことねちゃん、手つないでる!」 「んぉ? ほーう?」 珍しく積極的なことねちゃんの様子を見てののかちゃんとえみちゃんは目を丸くした。 「ははは……三人とも、寝ぼけて転ばないようにね」 なんとかそんな風にごまかしつつ、もう一度ことねちゃんの様子を窺う。 「……大丈夫?」 「はい。へいき……です」 やっぱり少し歩きにくそうだったけれど……。 「はー、今日もあつくなりそう……」 「せんせー、のどかわいたー」 二人もいるからあからさまなことはできない。 合宿が終わったら様子を見に行くことに決めた。 昨日に続いて今日もいい天気だ。 晴れてるのはいいことだけど―― 僕は昨晩からそわそわし続けていた。 合宿は昨日のお昼に解散になった。みんながいる状況で、結局ことねちゃんと二人で話すことはできず―― ――どうしているだろうか。体は大丈夫だろうか。 様子が気になる。 だけどおいそれとことねちゃんの家を訪ねるわけにもいかなかった。 おばあさんは訝しむだろうし、橋本家の人たちにも――特にえみちゃんにどう言い訳をしたらいいか。 自分が教師でなければな、なんてことまで初めて考えてしまっていることに気付いて僕は自嘲した。 しばらくぼんやり空を眺めていると――えみちゃんの声が聞こえてきた。 「いまから45分は部屋に入らないでね!」 「まあ、めずらしい。 でもいいことね。しっかりやりなさい」 「えへへへ。 そのかわりー、あとでアイス!」 「はいはい」 えみちゃんは合宿で何かをつかんだらしく朝ごはんを食べるとすぐに勉強を始めた。 ちゃっかりアイスをごほうびに要求しているあたりはいかがなものかと思うけれど、まあ、いいことだ。 と思った瞬間に―― 「あーー!」 妙な叫び声と扉が開く音、そしてバタバタとこの部屋に近づいてくる足音。 「おにーちゃーん!」 「な、なんだ、どうしたの」 「わーすーれーたーっ!」 「えぇ?」 「漢字の書きとりノート!」 「あ――ああ、なるほど」 やっと僕は合点した。 昨日の宿題合宿で、えみちゃんは自分のノートをことねちゃんの家に忘れてきてしまったらしい。 「どうしよう……朝の45分が終わっちゃう!」 「とりにいかないの?」 「う……。でも、それで時間がおくれたら、 また今までみたいにあそんじゃいそうだし……」 「そっか。そういう面はあるかもしれないね」 勉強は習慣だ。決められた時間通りに机に向かうのは結構大事だったりもする。 「どうしよ……こまったな……」 しおらしく言いながら、えみちゃんはちらと僕の顔を盗み見た。 ん? と思ったけれどすぐに気付く。 「ああ、それに――朝の45分をやらないと、 約束のアイスをもらえないからかな?」 「ぎくっ……。えへ、えへへへへ……」 「まったく」 呆れた風に言いながら、僕は少し心が浮き立ち始めるのを感じていた。 これは――いい口実になる。 「じゃあ、僕が取りに行ってあげようか」 「え、いいのぉ!?」 「ああ。アイス込みとはいえ、せっかくえみちゃんが やる気になってるんだからね。応援するよ」 「ほんとう!? やったぁ!」 「これで宿題も進むし、アイスも食べられる…… っていうわけだね」 「えへへ……。ありがとう、お兄ちゃん」 「どういたしまして。そのかわり、漢字以外の 宿題をしっかり進めておくんだよ」 「うん! そうと決まれば、やってくるね! がんばるぞ〜、おーっ!」 えみちゃんは来た時と同じようにバタバタと勢いよく部屋に戻っていった。 「……さて」 僕も軽く出かける準備をした。 「わざわざごめんなさいね。 えみったら、おっちょこちょいなんだから」 「いえ、構いません。 ちょうど散歩でもと考えていたところなので」 「それにしても、えみが自分から勉強するって 言い出すなんて。誠人先生のおかげねえ」 ……その呼び方は少し恥ずかしい。 「あ、そうだわ。 暑いからお茶でも持っていってください」 「ふぅ……」 確かに暑い。敦子さんが気を利かせてお茶をもたせてくれて助かった。 もっとも、これだけ汗が出るのは緊張しているせいもあるかもしれない。 ――こいびとどうし。 そんな言葉だけを足がかりにして、ことねちゃんとあそこまでのことをしてしまった。 次会う瞬間には態度が全く変わってしまっていても全然不思議ではない。 大丈夫だろうか。 年甲斐もなく思春期の少年みたいに迷いつつ、僕はことねちゃんの家までの田舎道を辿った。 それでも歩いているうちに心は固まってくる。 あそこまでのことをしたんだ。だったら、ちゃんと関わるしかないじゃないか。 「おや、先生」 「おはようございます。今日も暑いですね」 ことねちゃんの家の前では、おばあさんが打ち水をしていた。 家の外観と相まって清冽で涼しげな雰囲気が漂っている。 チエさんのしゃっきりと伸びた背筋のせいもあるだろう。 「どうかなさいましたか」 少し訝しげな声。 純粋に、何かあったのかとただ心配しているだけの調子で僕はほっとした。 「昨日、一昨日はありがとうございました。 実はえみちゃんが忘れ物をしてしまって」 「わざわざすみませんねえ……。 あの子が気づいていれば届けさせたのに」 「構いません、散歩のついでですから――」 敦子さんともしたようなやりとりのあと、僕はことねちゃんの家にあげてもらった。 「あ……。ありました、せんせい」 「ああ、ありがとう」 お琴の稽古を始めようとしていたところらしくことねちゃんは和服姿だった。 せっかくいらっしゃったのだからと何故か二人にさせてもらったことに少し恐縮する。 そして――目の前にいることねちゃんに対しても、どこか恐縮してしまう感覚があった。 「……せんせい?」 「ああ、うん」 差し出されたえみちゃんのノートを受け取る。 そのときに―― 「あ……」 「あ」 少し指が触れて、何だかお互いに赤面してしまう。 「……くすくす」 「はは、あはは……」 空気が固まっていたのは一瞬で、ことねちゃんはすぐに楚々とした仕草で微笑みを見せてくれた。 「……顔がみたくて」 その笑顔に勇気をもらって切り出してみる。 「はい……。わたしもせんせいのおかお、 ぇっと……はいけん? できて、うれしいです……」 「会えて……、うんと…… おみえに、なってくださ……くださって、 とても……うれしいです」 さっきおばあさんが言っていたセリフを真似して、少し大人っぽい調子で言う。 ことねちゃんの服装もあいまって、ドラマなんかで見る大正時代のお見合いのようだった。 「お体のほうは、大丈夫ですか」 僕もかしこまって、そして半ば冗談でそんな風に聞いてみる。 「ふふ……。ばぁばがすきなテレビみたい」 ことねちゃんも僕の意図と雰囲気に気づいてさらに笑みを見せてくれた。 「……っと、本当に大丈夫?」 「はい。すこしあるきにくいくらいで……。 ぜんぜん、へいきです」 ほっと胸をなでおろした。 「よかった……」 「……しんぱいしてくれたんですか?」 「うん。心配だった」 心配だったのは体のことばかりではないけれど。何にせよ――ほっとした。 「わたしも……しんぱい、してました」 「そう……なんだ」 「じょうずにできましたか……?」 思わず生唾を飲み込んだ。 何について聞かれているかは明白だ。 「できてたよ。 僕にとっても……。えっと、思い出に残る、 すごい日だった」 「……うれしい」 ことねちゃんは胸の前でこぶしをきゅっと握り、ほうっと息を吐いた。 和服のせいでその仕草は妙になまめかしく、男性としての意識をくすぐられる。 「ぇと……そっち、行ってもいいですか?」 「僕はいいけど、でも――」 「へいきです。ばぁばは……お出かけしたみたい」 おばあさんはさっき部屋を去り際に、何かお出しするお菓子を買ってくると言っていた。 そこまではしなくてもいいと僕は固辞したのだが、どうしてもと言われ――結果的にはそれでよかったのかもしれない。 「……おいで」 「はい、せんせい」 立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿はなんて言葉が頭に思い浮かぶ。 ことねちゃんは立ち上がって少しだけ歩き、僕の隣にちょこんと腰掛けた。 「……せんせいの、おとなり……」 どこか満足気に微笑みながら肩を寄せてくる。 何というか――本当に、ものすごく“恋人同士”という気分と雰囲気だった。 僕もことねちゃんの腰に片腕をまわして抱き寄せる。 「せんせい……」 「うん?」 「わたし、せんせいのいいつけ、 ちゃんとまもってます」 言いつけ。あの夜、僕が言ったことを思い出して一気に脊髄が熱くなる。 「……ひとりでは、なにもしてないです……」 「……うん」 「いたくはなくて、へいきだけど……。 ときどき、むずむずして」 ことねちゃんがほぅと小さく息を吐いた。 「かさぶたができたときみたいになって……。 でも、せんせいが言ってたから、 がまんしました……」 抱き寄せる手に力がこもる。 ことねちゃんのほうもそれを察して、ますます肩を預けてくる。 「おむねも、おきがえのときにこすれて……。 きになりました」 「いいつけ、守ってくれて嬉しい」 朝起きて、おいしい朝ごはんをいただいて、ここへきて……まだ午前中。僕の若い雄の体は元気に主張し始める。 目の前にいる、若い、とても若い雌を意識して。 「せんせい……」 「……うん」 切なそうな声が頭の奥に強く響く。 「少し……確かめてみようか」 「ぁ……、はい……っ」 この前と違って明るいおかげでことねちゃんの姿態をよく見渡すことができた。 まだほとんど凹凸のない体。けれど女性らしく沈み込んでいくような柔らかさは既に備えている。 青い果実。 「はっ、はぁ……ふぅ……」 ことねちゃんの体はほとんど汗をかいていなかった。 それで、自分がここにくるまでにたっぷりと汗をかいてしまったことを思い出す。 「ごめん。汗臭くないかな……」 「ううん……。せんせいのにおい……」 ことねちゃんは僕の二の腕に鼻を寄せた。 「あのときは、うちのおふろのにおいだったから…… こっちのほうがすき……です」 ――そうなのか。ことねちゃんなりに、雄のフェロモンのようなものを感じ取っているのだろうか。 「ことねちゃんは……着物のにおいがするね」 「ぁ……。せんせい、いやじゃない……?」 「ううん。好きだよ、このにおい」 今までどんな女性にも感じたことのない、和服としょうのうと若い女の子が混ざった匂い。 現代に生きていて、これを味わえる男はほとんどいないんじゃないかと思う。 ことねちゃんの頭のてっぺんにも鼻を寄せ、息を深く吸い込んだ。 「せんせい……はずかしいです……」 「……興奮するよ」 「え……ど、どうして……」 「ことねちゃんのことが好きだから、 ことねちゃんのにおいも好きだよ」 「はぅ……」 ことねちゃんがぴくりと肩を震わせた。 途端に彼女から感じるにおいが強くなる。 「……?」 雌のフェロモンが一気に立ち上がったような感覚に僕は少し戸惑った。 今の僕の行動のどこかにことねちゃんを高ぶらせるようなものがあったんだろうか。 「ぁ、はぁ、はぁ……」 息もどんどん浅くなり、触れている肌にも汗が浮かび始める。 「……ことねちゃん?」 「ぅ……は、はい……」 「もしかして……僕ににおいをかがれて、 恥ずかしいと思ったら……むずむずしたの?」 「……。ど、どうして……わかったんですか?」 「そういうふうに、感じる性癖……えっと、 恥ずかしいのが好きな女の子もいるんだよ」 「そ……そうなんですか……。 わたし、ヘンじゃない……?」 「少しヘンではあるかもね」 わざと、ほんのすこしだけ冷たく言ってみる。 「え……ぁ、はぅ……っ へ、ヘンですか……? わたし、いけないですか……?」 「僕はそんなことねちゃんも好きだよ」 「ぁ……。よかったぁ……」 ことねちゃんはまた肩を震わせた。 そして――ますます濃密に立ち上がる雌の匂い。 プールのときにもその傾向を感じたことはあった。恥ずかしい、うしろめたい、あるいは僕が強めの調子で何か言ったときに――ことねちゃんは反応する。 もともとの控えめな性格も考慮に入れる。 この子は――ある結論が見えて、身の毛がよだった。 腕のなかにある小さな体にぞくぞくする欲望を強く抱いてしまう。 「……明るいから、ことねちゃんの体…… よく見えるよ」 「……っ」 また細い肩が震えた。 僕はいよいよ本気になりつつ、ことねちゃんの秘部に指を這わせる。 「はぁ、あ……んぅ……!」 そこはしとどに濡れていた。 愛撫し始めてからさほど時間は経っていないのに、あの夜の挿入前と遜色ないほどに潤っている。 ある程度は慣れて、覚えたんだろう。けれどまだ一日経っただけ。 これほどの潤いの原因は、慣れ以外に――僕の言葉や態度にあると考えるべきだった。 「すごく濡らしてる」 「せんせぃ……ぁ、はぅ……、ん……! ゆび、きもちぃ……」 「……指が気持ちいいのは今のことだよね。 指が触れる前からすごく濡れてたよ」 「ぇ……。あ、はぁ、はぁ……」 「どうしてかな?」 「ぅ……そ、それは……」 ことねちゃんは肩をひきつらせながらどこか泣きそうな表情になる。 「ごめんなさい……。わ、わかりません……」 ……自覚はないんだな。当然か。 ことねちゃんは僕の態度に少し混乱し始めてもいる。 これ以上はまだ……できない。そんなサインを感じ取る。徐々に徐々に慣らして―― 「うん。大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫……」 「せんせい……っ」 「僕と一緒にいてそれだけ気持ちよくなってくれた っていうことだから。うれしいよ」 「はぅ……」 「僕の言う通りにすれば もっと気持ちよくなって――」 アメとムチ。 彼女の好きな言葉を投げかける。 「一緒に、いられるから」 「あ……」 ほっとしたような声とゆるやかな笑顔。 僕は惑う。この笑顔も見たいし、さっきの切なそうに蕩けた顔も見ていたい。どっちも――手に入れたい。 「せんせいといっしょがいい……です……」 「……うん。ひとりでしなかったの、 触れてたらわかるよ。上手にできたね」 「は、はい……っ。 せんせいのこと……だいすき、だから……」 「ありがとう」 優しく言いながら指をゆっくりと動かす。 十分潤っているのを確認しつつ、下から上になであげる動きをしばらく続ける。 「はっ、あ……、ぅ、ん……、 はぁ、はぁ……っ」 「息はどうするの? 覚えてるよね」 「あ……。はい、ん……っ、 すー、はー……。っ、すー、はぁ、はー……。 ふぁ、はぁ、ん……っ。はぁ、はふ……」 力がこもっていた肩や太股が脱力していく。 ことねちゃんは僕に背を完全に預けきり、触れる指の感覚に没頭し始めた。 「ひとりでしないようにするの、つらかった?」 「ん……、はぁ、す、すこし……だけ……」 「どんな感じだった?」 「ぇと……ぁ、おむねの、さきっぽ……。 じんじんって、して……」 「ほかには?」 「おまたは、むずむずして……。 そ、それから……はぁ、んぅ……っ えっと……」 「正直に言ってごらん。僕もことねちゃんのこと、 大好きだから……。ぜったい、怒らないからね」 静かな声で言い聞かせてあげると、ことねちゃんは口を開いた。 「おなかの……。おへそのした……。 なにかが、あるみたいで……」 「……っ」 「でも、ほんとうはなくて……。 いたいのはつらかったけど、また…… せんせいのが、あるといいなって……思いました」 「……うん。ちゃんと言えたね」 「はい……。ぁ、う……ん、はあ、あ……っ」 ことねちゃんは恥ずかしいことをされて感じる。 その傾向は今までのことからも明らかで―― そして今、ことねちゃんは新たな愛液を大量に分泌させていた。 正直に自分の体のことを僕に報告することを恥ずかしいことだと認識し始めている。 それだけじゃなく、気持ちいいことだとも覚え始めている―― 「はぁ、あ……せんせ……ん……! すー、はー……、はぅ……。ん……はぁ、あ……」 「これからも自分がどう感じてたのか、 僕に説明できるようにね」 「はい……。ん、せんせいのいいつけ、 まもります……っ、んあ、ふぁ……あ……!」 「今もおへその下、何かがある気がする?」 「い、いまは……、そんなに……、んっ! おまた、さわってもらえるのが……うれしくて、 きもちよくて……っ」 可憐に震える首筋。 体を完全にこちらに預けているせいで、ことねちゃんの声の震えが僕にも伝わってくる。 「でも……おへそのした、きゅってします……」 「そう、なんだ」 「はい……。また、せんせいのが…… とん、とん、ってしてくれたら……」 「……っ」 かっと頭に血が上った。 たまらず、僕は指を滑り込ませた。 「ぁ、はぁ、ぁあ……!」 ことねちゃんの反応は思っていたとおりのものだった。 僕が浅く指を入れただけで激しく締め付けてくる。 「せんせい、せんせい……っ」 それだけではなく下腹部をくねらせる。おへその形が変わるのが妙に卑猥だった。 「ここに指が入るの、気持ちいい?」 「はい……! ぁ、はぁ、んぅ……!」 「初めてしたときと、全然ちがう?」 「ちがい、ます……っ、ぅ、ん……! あぁ、とっても、ん……! ぎゅうって、 なって……、はぁ、ふぁ、ああぁ……!」 「おっぱいと同時にされるの、好きだったね」 「ふぁ、んぅうう、ぁあ……!」 ことねちゃんの反応は止まらない。 だから僕はあえて秘裂の指を動かすことはやめて、乳首だけをくりくりと愛撫した。 膣口は僕の指一本なら楽に受け入れてくれた。 あの夜を経て、確実に拡張されている。この分なら……今日は。 「ぁ、ふぁ、んぅ……! ん、ぁあ、はぁ……っ」 挿入し、膣内に射精したときのことを思い出す。 あのとき、ことねちゃんは嬉しそうにはしてくれていたけれど、挿入されること自体には大きな快感を得ているわけではなさそうだった。 まだ感じ始めたばかりで、奥を突かれることは気に入ってくれたみたいだけど――どこまでも未熟で。 こうして愛撫しているときは官能的な絶頂を迎え、快楽に溺れていたものの、挿入ではきっと、精神的な充足感のほうが大きかったはずだ。 「ことねちゃん」 「は、はい、せんせぇ……、ん、ぁあ、ぅう……っ」 「また……せんせいの、入れてみようか?」 「ぁ……はっ、はぁ……ん……、 こいびとどうし、して……いいんですか? わたしに……できますか……?」 「僕がしたい。恋人同士になって、すごくすごく 気持ちよくなれることも……教えたい、から」 「あ……! は、はい……っ、おしえて……。 せんせい、おしえて…… たくさん、知りたい……です、んっ、ぅ……!」 切なげに言いながら、愛液をあふれさせる。 僕の勃起も期待に震え、パンツの中を湿らせていた。 「また一緒に、気持ちよくなろうか」 「はい、せんせい……っ、 いっしょに、して、おしえてもらって…… おへその下まで……ください……っ」 ひとつひとつ思い出して復習していますという風にことねちゃんは一心に伝えてくる。 僕の優秀な生徒で……大事な恋人。 いいこともわるいことも全部――教えたくなる。 二人で味わいたいと思う。 「はぁ、はぁ……。 せ、せんせい……?」 ことねちゃんを座卓の上に横たえて後ろからじっくりと眺める。 いい眺めだった。ことねちゃんにとってはあるいは屈辱的かもしれないこの姿勢は、僕のなかの獣欲を煽り立てる。 「ほら……、見て」 「あ……っ」 僕はズボンを下ろし、陰茎を露出させた。 ことねちゃんは流し目でそれを見る。 最初は驚いたように眼を見開いていた。けれど――徐々にその視線が蕩けてくる。 「せんせいの……おおきい……」 「うん。これの……この先っぽが、 ことねちゃんのおへその下まで届くんだよ」 「はい……。おぼえ、ます……。 せんせいの、かたち……」 「……これのこと、何て言うんだっけ?」 「え――」 「名前は知ってるよね。言ってごらん」 「ぅ……、え、えっと……。 男の子の……せんせいの……、お……」 「おちんちん……」 恥ずかしそうにしながらも、ことねちゃんはその単語を口にすると太股をこすり合わせた。 「これが、入るからね……。 ことねちゃんの、小さな穴に」 「はい……」 蕩けた視線。僕の言っていることの意味を噛みしめるように考えてくれているのが伝わる。 それから数秒。 ことねちゃんが甘すぎるほど甘い声をあげた。 「せんせい……」 「ん?」 「は、はやくぅ……」 ちゃぶ台に乗った秘裂から――ひとすじの愛液がしたたり落ちていく。 「……わかった」 全く予想していなかったおねだりに衝動を煽られ、僕はことねちゃんの秘裂に先端を押し当てた。 押し付けるとくちゅ、といやらしい音が鳴った。 「はっ、はぁ……ん……」 何度か亀頭を往復させて愛液をまぶす。 小さくてまだ未発達な器官。だけど一度は僕を受け容れてくれた。今度はきっと、もっと―― 「せんせい……、ん、ぁあ……」 細い吐息まじりの声もたまらなく可愛らしい。 亀頭が愛液で濡れると同時に僕は腰を進めていた。 「はぁ、ああ……! ん、ぅう……!」 「力を抜いて……、僕に任せて……っ」 「はい、せんせい……ぅ、はぁ、あ……。 すー、はー……、んんぅ……!」 当たり前だけどまだまだ狭い膣内。 かき分けるように進んでいく。僕も亀頭の粘膜が引きつって痛い。 それでも彼女を求めて腰を左右に揺らしてねじこむ。 「んぁあ……! はぁ、あああああぁ……!」 「声、出していいよ……。 そのほうが楽になるはず、だし……っ」 「せんせぇ……! せんせい、ん、あ―― あああああぁぁぁ!!」 感極まったようなことねちゃんの声と共に僕は確実に膣内へと侵入していく。 このアングルだと、ことねちゃんの膣口がぱっくりと広がっているのがよく見える。 成人男性としてはごく一般的なサイズであろう僕のペニスだが、それでもことねちゃんの体と対比すれば大きすぎるほど大きくて―― みちみちと音がなりそうなくらい開いて受け容れてくれている。 「ん……はあ、ぁあ、せんせい……っ」 とても扇情的で卑猥な光景だった。 「ぁ……はぁ、ああ……! ん、ぅうう!」 可哀想だと思う反面、征服欲もひどく満たされる。 小さな穴を自分のものだけにする悦楽が脳を満たし、僕の理性を狂わせていく。 「ことねちゃん……!」 「せんせいの、大きい……ん、ぁああ、はぅ……! わたしのおなか、いっぱいに……ぁあ!」 最後のひと押し。ぐっと腰を前に進め、僕は息を吐いた。 「はっ、ぅう……はぁ、はぁ……」 そのまましばらく動かずにいる。 「せんせい……? は、入りましたか……?」 「あ、ああ」 「わたし、じょうずにできてますか……?」 「うん……。すごくきもちいいよ」 「よかった……。ぅ、はぁ……。 これで、せんせいとまた……こいびとどうし……」 「……っ」 その一言で僕の腰もくだけ、蕩けてしまいそうになる。 それでもなんとか自分を保ち、この感触を味わう。 狭い膣内。包み込むというよりは締め上げるような感触。 膣の襞の全部が僕を責めている。拒否されているような、奥に引き込まれて快感を与えられているような、微妙すぎる感覚。 動いていなくても十分心地いい、極上の穴だった。 「痛くないかな……」 「はいってくるときは……すこし……。 でもいまは、だいじょうぶです……」 その言葉にウソはなさそうだった。 ことねちゃんは肩で大きく息をしているものの、苦痛の感じられる表情ではない。 どちらかというと――これから訪れる何かに備えているような……。曖昧で不安で、けれど期待のこもった視線を向けてくる。 「少しずつ……少しずつ、動いてみるね。 痛かったら言って」 「はい……。だいじょうぶです」 「せんせいとこいびとどうしするんだから……。 せんせいがうれしくなれたらいいなって…… 思います……っ」 「……ありがとう」 礼を言うのも間抜けな気がしたけれど、他の言葉が一切思い浮かばなかった。 僕はことねちゃんの腰をつかみ、ゆっくりと腰を前後させ始める。 まずは奥をこねるように、腰をつけて―― 「ん……! ぁあ、はぅ、あ……!」 亀頭の先端が奥に触れた瞬間に、ことねちゃんは切なそうに喘いでくれる。 官能的な悦びが実感としてわいてくる。 この子は――やっぱり、奥で感じるんだ。 「はぁ、ぅ……せんせい……っ」 「ここが気持ちいいんだ」 「は、はい……。ぎゅってされると……。 ふわってなります……」 「少しずつ慣れていこうね……。 プールと同じだよ。怖くないから、 力を抜いて……」 「ん、ぁあ……はぁ、はう……っ すー、はー……、ぅ、ああ、ん……!」 今度は少しだけ腰を引く。 締め付けが多少ゆるやかになって、包み込まれるような感触が強くなる。 それからまた腰を押す。 「ぁああああ……!」 ことねちゃんの反応を確かめながらごく遅いピストンを開始した。 「ん……! ぁ……はぁ、あ……! ぅ……ん……、ああ! はぁ……う……っ」 奥を優しく突くと心地よさげな声。引き抜くときは多少切なげで、けれど嫌悪感を感じさせるものではなかった。 「はっ……ん……! ぅう、あ……! うう、くぅ……っ」 「どんな感じがする……?」 「こ、この前とちがって…… いたくはない、です……」 「それから?」 会話しながらゆっくりとしたピストンは続ける。 「えっと……。せんせいのが、ずるずるってして…… それから、また入ってきて、ぎゅってして……」 ことねちゃんは僕のピストンを味わっている。 覚えこませたくて、無言のままゆっくり腰を動かす。 「ぁ……ずるずるってしてるときは、 浅くしてるとき……なんですね……、は…… ぅう、ん……!」 「そうだね。ことねちゃんのなかを…… 奥までいったり、浅くしたり……」 「は、はい……。かんじます……。 せんせいのが奥に……ぁ、ん……! そ、それから……ゆっくり、あさくなって……」 「どっちがきもちいい?」 「ぅ……あ、奥にぎゅってされるの、すき……。 でも、あさくなるときも……ふわってして……。 どっちも、ふわってします……」 「どっちもきもちいいんだ?」 「ん……ぁ、はぁ……っ。そ、そうです……。 おへその下、いっぱいになったり……、 いなくなったり……、きもち、ぃ……ん……!」 抽送の感覚をそれほど深く感じてくれていることが何よりも嬉しく、また征服感も満たされた。 「僕も気持ちいいよ……。 ほら、押したり……、引いたり……」 「ふぁ、はぁあ、ああ……! ごり、ごりってぇ…… おなか、いっぱい……んっ、あああぁ……!」 「これからも、ひとりでしちゃだめだよ」 「はい……!」 「二人一緒に……恋人同士になって、 気持ちよくなろうね」 「んっ、あ……! わかり、ました……っ、 ぁ、ああぅ……、せんせいのこれ…… すき……だいすき……っ」 ことねちゃんの感じ方はこちらが心配になるほど従順で素直だった。 陰茎全体に感じる締め付けと襞の感触も良好というほかなく、射精感がすぐに上り詰めてくる。 だけどもっと味わっていたいという気持ちにもさせられる。本当に――極上の穴だ。 「ぁあ、はぁ、ん……! せんせい……! きもち、ぃ……、奥、ん……ぅう、あああぁ!」 「……そんなに奥がいいんだ」 「だって……ぎゅって、なって……んっ、ああ……! だ、だめですか……?」 「……だめじゃないよ。嬉しい……。 でも、ことねちゃんはちょっと特別かも」 「と、とくべつ……?」 これを言ってしまうかどうか迷う。 だけど――僕は半ば確信を持ちながら言った。 「ことねちゃんは、こうやって、強くされて……」 「ぁ、はあう!」 「僕にいじめられるのが好きなんだ?」 「え――」 ぶるりと小さくて細い背が震えた。 それとともに一瞬、締め付けが一層強くなる。 「ぅ……ぁあ、はあ……んぅう!!」 わけがわからないといった様子のまま、また背筋を震わせている。 僕の言ったことを噛み締めて、その身に吸収している。 ――そんな感触があった。 「……それでいいんだよ。僕は嬉しい」 「う……うれしい、ですか……?」 「うん。僕のために……ことねちゃんが 色んなことを感じて、考えてくれるのは…… すごく嬉しいよ」 「ん……ぁあ、はぁ、ぅう……!」 また強くなる締め付け。 「ぁ、はー、ぁあ……んぅううう!」 前触れもなく嬌声が上がり、膣襞が絡みついてくる。 僕はほとんど確信を得た。 この子には――マゾの素質がある。 男に酷くされて、犯されることで感じる――そんな性癖を持っている。 まだまだ開花する前のつぼみの状態。けれど、これから僕がうまくやれば―― 被虐の悦びを感じながら僕に尽くしてくれる、そんな女の子になるかもしれない。 「宿題、だね。僕にどうされたときに気持ちいいか、 自分でゆっくり考えてごらん?」 「ぁ……は、はい……っ」 「予習と復習が大事だよ。でも一人でするのはだめ。 頭のなかで想像して、思い出して……。 気持ち良かったときのことを考えるんだ」 「わかりました……、せんせい……っ」 いったい僕は何を言っているんだという自責の念も頭のなかには思い浮かぶ。 こんな、まだ未熟で可愛らしくて素直な子を自分の思い通りにしようとするなんて。 けれど――獣欲は止まらなかった。 少なくとも今この場ではことねちゃんを気持ちよくして、快楽を植え付けたい―― そんな欲望ばかりが胸を衝く。 「少しだけ……動き、速くするね。 そのほうが僕が気持ちよくなれるから」 「は……ぁ、はい……、せんせい……っ。 きもちよく、なってくださ……んっ、あ……! はああ、ぁああ! んぅうう!!」 ことねちゃんが答え終わる前に僕はピストンを速めた。 「はっ、ぁあ、んぅ……! ぁあ、はあう!」 激しいピストン、というわけではないものの、僕自身が十分快楽を味わえるように、そこそこのスピードで腰を振る。 リズミカルに。一定のスピードで。ことねちゃんの膣奥に先端を打ち付けて、それから膣口に雁首がひっかかる程度に引く。 たん、たん、たん、たん、と卑猥な音が鳴り始める。 「ふぁ、ぁあ、はぁ、ん……! ぁあああ!」 「今は、どんな感じ?」 「あ、ん……! うう、せんせいのが……、 出たり……ん! はいったり、してるみたい……、 ぁあ、んぅうう!」 「普通の恋人同士だとね、これくらいの 勢いでするんだよ」 「そ、そうなん、ですか……? ぁ、はあう!」 「……うん。だからことねちゃんにも…… できれば早く、慣れてほしい」 「はい……! んっ、ぁあ……! わかり、ました、 わたし……がんばって、なれ……ん、ぁあ、 はあ、んぅううう!!」 本当になんでも思い通りにしてくれる。 僕の――理想の教え子。欲望をぶつけられる、唯一の女の子。 何をしても否定せず聞いてくれる……最愛の恋人。 僕のなかで、彼女が姿を得ていく。ことねちゃんを後ろから犯しながら、同時に僕の心もことねちゃんの虜になっていく。 「ことねちゃん……!」 「せんせい……、ぁ、ん……! せんせい……! きもち、いい……!」 この子なしでは生きられない。交わりの最中の錯覚かもしれないけれど、確かにそう思った。 膣内の感覚はあくまで狭い。 それがことねちゃんにも大きな快楽を与えているようだった。 「ん……はぁ、あ……はぁ、はぁ、ああ……!」 「僕のが膨らみ始めてるの、わかるかな……」 「ぁ……は、はい……! おなかが、いっぱい…… ぐに、ぐに、って……こすれて、ます……っ」 絡みついてくる襞が雁首の溝に張り付いている。腰を引けば摩擦される感覚が心地いい。奥を突けば裏筋を撫でられるような刺激がある。 「このまま……、しばらく、このペースで……」 「ん……ぁあ、はぁ、あ……! ふぁ……すー、はー……ぁ、んっ、うう……!」 ぱん、ぱんと一定のペースで腰を動かし続ける。 徐々に射精感はのぼってきていて、怒張はますます強く勃起する。 ことねちゃんの膣内を蹂躙するのが心地いい。 深く積もった新雪に足を踏み出したときのような、ぎゅっと圧縮されて擦れる感覚が陰茎を熱くする。 「せんせい……っ、ん、ぁあ…… はぁう……わ、わたし……っ」 「どうしたの……つらい?」 「ううん、そうじゃなく、って……、 ぁ、ふわってなって……、あの……」 「イキそう、です……っ」 「――――」 「だ、だめですか……? いけない、ですか……? せんせいは……んっ! ま、まだなのに……っ」 「……大丈夫、ダメじゃないよ。 ちゃんと言えたね……。いいつけ守れて、えらい」 「ぁ、は、はい……! んぅう! せんせいに、 ほめられたら……はっ、うれしく、て……! あ……イキ、そ……イキそう、です……っ」 こんな子が膣内の感覚だけで達しようとしている。演技をするような知識も余裕も絶対にない。 だから本当に――ことねちゃんは達しそうなんだ。 「もう少しだけ……我慢してみようか」 「ふぇ……そ、そんな……」 「体に力は入れないで。ふわってするのを、 そのままやり過ごす感じで……。 僕の形だけ、感じてて」 「せんせいの、おちんちんの……かたち……。 んっ、ぁああ、はぁ……!」 僕は腰の動きを少しだけ弱めた。 けれど股間には思い切り力を入れて、陰茎を限界まで強く勃起させる。 張り詰めてビンビンに固くなったペニスで、ことねちゃんの膣内を味わって――できるだけ早く達するように。 「ぁ、んぅ……! おおきい、息……できな……っ、 はあ、ぅう……、すー、んぅう!」 「もうちょっとゆっくりするから……。 我慢して。僕と一緒に気持ちよくなろう」 「い、いっしょ……ですか? いっしょに……できます、か……?」 「ああ。僕ももう少しだから――ッ」 言いながら想像する。 またことねちゃんの子宮内に白濁を全部ぶちまけることを。 もし一緒に達することができたら――もっと気持ちいいに違いない。 「ぁ……、せんせいの、いま……なかで、 ぴくってしたぁ……」 「ことねちゃんと一緒にイクの、想像したら」 「ほんとう……? せんせいも、うれしい……?」 「……うん」 「ぇへ……、じゃ、じゃあ……がんばり、ます……。 いっしょにきもちよくなって……、 むつまじいこいびとどうしに……なりたい、です」 頭がちかちかする。 そういえば合宿中に漢字の書き取りをしているとき、ことねちゃんは一生懸命辞書を引いていた。 それで言葉を見つけて――僕を喜ばせてくれる。 「……動くよ」 「はい……っ、あ……! んっ、ぁあ……、 ぅう、はぁ、あ……!」 睦言を交わす間にいつの間にか止まっていたピストンを再開しつつ、僕は額の汗を拭った。 僕の恥骨とことねちゃんのお尻がぶつかった時に鳴る音は、いつの間にかひどく湿った水音に変わってしまっている。 「んぁ、はぁ、あ……、ぁああ……! ぅ、がまん……、んっ、すー、はー……、 はあぁー、ぅう……っ!」 太股には愛液がたっぷりと垂れ、畳の床の上にも染みを作っていた。 「ことねちゃん……っ!」 固い座卓の上に寄りかかり続けたせいで、ことねちゃんの肌はところどころ赤くなっている。 それに文句ひとつ言わず、逆に恍惚とした表情さえ浮かべて僕を受け容れてくれている。 「ひぅ……くぅ、うう……! せんせい、 もう……がまん、できな……はっ、んぅ……!」 「もう少し……もう少しだけだから」 「はい……っ、ぁあ、イキ、そ……ぅう、 イッたら、だめ……なのに……っ!」 ダメじゃないんだ。本当はダメじゃない。ただ僕が欲望のままそう言っているだけで。 ことねちゃんは全く疑わない。僕を信じて――気持ちよくしてくれる。 「最後だけ、速くするよ」 宣言するように言って、僕は絶頂前の小刻みなピストンを開始した。 「ふぁ!? んっ、ぁ、ああっ、あ……! ひゃ、せんせ、んぁ、ああぅ!」 奥を集中的に小突く。 ことねちゃんが感じる場所。子宮口を鈴口で軽くえぐり、ノックするイメージで。 「ぁあ、はぁ、ん……! とんとんってぇ……! おへその、うら……ぁあ、んっ、はあ……!」 がくがくとことねちゃんの体が揺れるのは僕のピストンのせいばかりではなかった。 ことねちゃん自身が官能に溺れ、全身で快楽を受け取っているのがわかる。 「ん、ぁあ! せんせいっ、イキ、そ……! はぁ、ああ、イキそう、うう……もう、だめ…… ぁあああ、はぁ、ああああ……!」 「イッていいよ……! 僕も、今……!」 最後は本当に小刻みな動きにした。鈴口をことねちゃんの奥のかすかな窄みに向かってこすり付け、何度も何度もキスしてノックする。 「ふぁ、あああぁああ! イク……ぁあ、イ…… ぁああ、ん……! せんせい、せんせぇ……っ! ん、あああああぁぁぁぁぁああ!!」 「ッ……!」 尿道が膨らむ。次いで鈴口で爆ぜて、流し込んでいく感覚。 「ぁ、ぅう……はぁ、あ……あああ、んぅ……!」 がくがくと腰が大きく跳ねて、その度にことねちゃんの体も揺れた。 中出しする圧倒的な満足感が脊髄をかけのぼり、脳を甘いもやで満たしていく。 「く、あ……!」 「はあ、んぅう、あつい……せんせいの……、 ぁあ、はぁ、んんぅ……!!」 膣肉がぎゅっと強く収縮し搾り取られるような感触もあった。 ことねちゃんも同時に達してくれたことが実感としてわかってしまう。 「ん……はぁ、ああ……、あ、ぅ……!」 「すごいよ、ことねちゃん……」 「は……ぅ、はい……っ、はぁ、はぁ……っ」 彼女はまだまともに喋れないようだった。 僕も大差はない。まだ腰は甘く震えていて、とろとろと精液を吐き出し続けている。 気持ちいい。どんどん吸い取られていく。 精液があふれるのはもちろん、充足感や気力や、背徳感も―― すべて流されて、ただ受け容れてもらえた、ただ同時に達することができた、その二つだけになる。 「はぁ、あ……、あー……、ぅう……、ん……」 出し尽くしても勃起はしばらく収まりそうになかった。 もう一度出したいというわけではなく、ただひたすらこの満足感に浸っていたいと思ってしまう。 「あ……、おなかのなか……いっぱひ……、 はぁ、うう……ん、ぁ……」 ことねちゃんは大きく息を吐きながらやがて完全に脱力していく。 膣内の感触も変化する。搾り取るような強い締め付けから、きついけれど優しく包み込むような締め付けへ。 「はぁ、ふぅ……く……」 「ふぁ、あ……あ、せんせい……」 僕は立っているのもやっとの状態だった。生気をまるごとことねちゃんに預けてしまったような強い倦怠感が全身を浸している。 「ん、ぁ……せ、せんせい……、あ……、 ぅう……わ、わたし……」 「……? どうしたの?」 「ぁ……だめ、がまん……できな……、 だめ、なんれす……、ちから、入らな――」 びく、と一度だけことねちゃんの体が大きく震えた。 「み、みないでぇ……や、やだ……ぁ、ああ、 ぅ……ああ――」 「……!」 しょわ、と小さな音が聞こえた気がした。 僕に挿入されたままことねちゃんは―― ――おもらししている。 「ゃああ、あぁ……ぅ、止まらな……、 はぁ、ぅうう……んぅ……!」 「大丈夫、大丈夫だから……。 おもらししちゃうのはよくあるから、落ち着いて」 言いながら、僕はまたぞくぞくとするような征服欲を強く味わっていた。 中イキしたあとにおもらしまでしてしまう女の子。 それだけ性の感覚に翻弄されながらも精一杯に受け取って、僕を喜ばせてくれた―― 「ぅう……ぐすっ、はぁ、ぅう……」 「大丈夫……ヘンなことじゃないから。 僕と二人だけなんだから、気にしなくていいよ」 「でも……」 「それだけ感じてくれたっていうことだよ。 僕は――うれしい」 「……、は、はい……」 まだ恥ずかしいみたいだったけれど、そんなところを見られたことは本当に嬉しかった。 後処理はなんとかうまく済ますことができた。 二人で洗剤と雑巾を使って――それからしばらく窓を大きく開け放って。 幸い、夏の陽気で水拭きしたところもすぐに乾いていった。 「はぅ……」 「はは……。ちょっと大変だったね」 「ぅう……はい。いっぱいよごして…… はずかしい、です……」 「いいんだよ。二人しかいなくて……えっと、 恋人同士の時間、だったんだから」 このセリフを言うのは少し恥ずかしい。 でも、ことねちゃんは笑みを見せてくれる。 「はい……。おもいでに、します……っ」 「お、思い出かぁ……」 まあ後から思い出せば笑い話になるのかもしれない。 「たくさん……きもちよかった、です」 「……うん」 まっすぐな視線で言われると僕のほうが緊張してしまう。 「僕も、気持ちよかった」 「ぁは……ふふふ♪」 首を傾げて笑う仕草には年相応のあどけない魅力と、女性らしく包み込んでくれるような優しさと――二つのものが危ういバランスで成り立っていた。 ――ひどく胸が高鳴る。 「ことねちゃん」 「はい、せんせい」 僕は中腰になって細い体を抱きしめた。 「ぁ……」 「好きだよ」 「はい……。わたしも、すきです……。 だいすき……」 ことねちゃんの細い手が僕の肩と首筋にまわる。 体格差を補い合いながら拙く抱き合って、夏に混じるお互いの体温を感じていた。 夏休みも中盤にさしかかろうとしていた。 ことねちゃんとはそう頻繁に会えるわけではないけれど、時折の逢瀬に僕は十分満足していた。 しかしこうして一人で過ごしていると思い出すのは校長に持ちかけられた転勤の話。 「…………」 年内。夏が過ぎればあっという間だろう。 「おにーちゃーん?」 「ん……。どうしたの?」 「まーたお空見てたの? おもしろい?」 「これがなかなか面白いんだよ」 「へんなのー♪」 えみちゃんはいつも通り明るく笑って部屋のなかに入ってきた。 えみちゃんとは適度な距離が保てているというか、年の離れた本当の兄妹のような関係になりつつあった。 正直、この家に居候させてもらっているのは僕にとってはとてもありがたいことだ。 他人と暮らしているのにこんなに居心地の良さを感じているなんて、都会にいた頃の僕なら想像だにしなかった。 「? どうしたの、にやにやして」 「そんな顔してたかな」 「してたよぉ。いいことあったの?」 「うーん……うん。そうだね。 ここに来て、えみちゃんやみんなと仲良くなれて 良かったなと思ってたんだ」 「ぅ……お兄ちゃん、いきなりはずかしいよ……」 「ははは、でも本音だよ。 夏休みがあけてまた授業が始まるのが楽しみだ」 「えー、あたしはずっと夏休みがいいなぁ」 「宿題は進んでるんだよね」 「うん! だからね、もうちょっとがんばれば、 宿題もぜんぶおわってー、 ほんとのほんとの夏休みになるんだよ!」 元気な笑顔を見ているとこっちも元気になってくる。 同時に、僕はえみちゃんに抱く感情とことねちゃんに抱く感情がまったく質の違うものであることにも気付いた。 えみちゃんとこうして話しているのも楽しい。だけどことねちゃんといるときは、もっと―― 「あ……えっと、思い出した! それでね、宿題のそうだん!」 えみちゃんが切り出したのは読書感想文のことだった。 学校の図書室にはない本を探したい。本が傷んでいたり印刷が古かったりして読みにくい本もかなりある。 だから隣町の図書館まで出かけたい――そういう話だった。 バスに揺られて数十分。 「わぁ……」 「おみせがいっぱ〜い♪」 「ひとも……たくさん」 「こらこら、図書館に行くんだろ? ここは通り抜けるだけだよ」 「ちぇー、おにい――せんせのけち!」 図書館に行くことになったメンバーはお馴染みの三人。えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃんだ。 そして保護者役に抜擢された僕。 三人はご両親と来るときとは違って、ずいぶん開放的な気分でいるようだった。 まあ気持ちはわからないでもないけど―― 「ねえ、ちょっとだけ……ちょっとだけでいいから おみせやさんも見ていこう?」 「だーめ」 「クレープたべたい〜、ほら、おいしそうなにおい」 「だーめ」 「せんせい……、あの、ばぁばにおみやげ……」 「だーめ……じゃないけど、それは図書館の後でね」 ことねちゃんのテンションも上がっているらしく、珍しく脱線しようとするから思わず笑ってしまう。 「せんせ、ほら……あのおみせかわいいよ? ビーズとかいっぱいあるよ? しゅげいのおみせだから、かていかだよ?」 「あー、クロワッサンだー……。 やきたてだぁ……」 「ミミにそっくりなぬいぐるみ……」 これじゃ収拾がつかなすぎる。 「えーっと、三人とも。ちゃんと図書館で 目当ての本を借りられたら、 あとでジュースくらいは買ってあげるから」 「……ジュース?」 「……う。かき氷くらいなら」 「かき氷ならうちでもたべられるよ?」 「……パフェくらいなら」 「ぱふぇ……!」 「やったあ! あたしプリンがのってるやつ!」 「私はチョコたっぷりのやつー♪」 「さくらんぼのが……いい、です……っ」 「はいはい、わかったよ」 「そうときまれば図書館いこいこー♪」 うまくノセられた気がする。 まあいいか……。この年頃の子といえど女の子三人に団結されると男はかなわない。 図書館に行くことになったのは、ことねちゃんが行きたがったかららしい。 「う〜……。 字ばっかりであたまいたいよぉ……」 えみちゃんは三人のなかでは一番やる気がないようだ。 「そんなこと言ってないで。ほら、二人を 見習わないと」 「こんなに漢字ばっかりよめないぃ〜」 図書館には読書感想文用の書籍のコーナーがあり、ことねちゃんはその前で真剣に吟味している。 ののかちゃんは少し離れたところにいるものの、書架の前でしゃがみこんで楽しそうに本を見ていた。 「絵本かまんがで感想文がかけたらいいのに……」 「うーん……。友達と同じ本を読んでみる、 っていうのはどうかな?」 「あ……。それならやる気でるかも!」 「うん。じゃあののかちゃんの様子を 見に行ってみようか」 「はーい!」 「図書館では声は小さくね」 「ぁ……、ごめんなさい、えへへ」 えみちゃんと連れ立ってののかちゃんのそばに行ってみると―― 「あ、せんせー、これみてー」 「……ん?」 ののかちゃんが読んでいたのは『まんが・宇宙のふしぎ』だった。 「って、まんが読んでたのか……」 一応参考書にもなりそうな本ではあるけれど、読書感想文の対象ではないだろう。 「これもおもしろいよ〜」 ののかちゃんが手元にストックしてあったのは、『コミック・アメリカンバーベキュー』だった。 「よくこんな妙な本見つけてくるね……」 「ふふ〜♪ 本のせかいは奥がふかいよね〜」 「わあー! ここ、まんがもあるんだ」 えみちゃんもまんがと聞いて一気にごきげんになっていた。 「おもしろいよー、えへへへへ」 「これならあたしも読めそうかなぁ、あははは♪」 えみちゃんものんきに笑いつつ本を手にとる。 「まんがでわかる子猫のしつけかた…… あ、これかわいい♪」 「まったく……。そればっかり読んでないで、 あとでちゃんと感想文の本も借りるんだよ」 「はい、せんせー♪」 「はーい♪」 二人とも返事だけは調子がいい。 まあ図書館の雰囲気に慣れるにはまんが解説本もそう悪くはないだろう。 しばらく二人は放っておくことにして今度はことねちゃんのほうに行ってみた。 「……あれ?」 さっきまでは目立つ場所にある読書感想文のコーナーにいたんだけど……。 いつの間にかその姿は消えていた。 少し出鼻をくじかれたような気分になってしまって僕はつくづくことねちゃんと話したいんだなと思ってしまう。 焦るな、焦るな。中学生じゃないんだから。 そんな風に自分に言い聞かせながらゆっくりと図書館のなかを歩いていく。 人の姿はほとんど見当たらなかった。 都会の図書館なら自習室もあって、受験勉強に来ている学生もそこそこいるものなんだけど、この地方ではそういう光景は見られないらしい。 雑誌がおいてあるコーナーの近くには何人か人がいるが、今僕が歩いているあたり――小説のコーナーにはまったく人気がない。 と――思っていたところで視界の隅に小さな姿がひっかかった。 ことねちゃんだ。 彼女には難しそうな本ばかりが並んでいる書架。その端っこで上のほうを見上げている。 僕はゆっくりと歩み寄った。 「ん……」 つま先立ちになって、背の届かない場所にある本を必死にとろうとしている。 微笑ましい姿だな、と思いながら僕はことねちゃんが触れようとしている本を手にとり、書架から抜きとった。 「これかな? それとも隣の?」 「あ……せんせい……」 「けっこう難しいのを読むんだね」 「ぅ……はぅ、えと……」 「どうしたの?」 ことねちゃんは僕と目が合うとすぐに視線を逸らした。 そして俯き、やがて耳まで真っ赤になっていく。 「え、どうしたの、ほんとに」 「うう……せんせい……」 「おせっかいだったかな」 「いいえ……。せんせいが…… せんせいが、その……」 ことねちゃんはそこで言葉を切ってから僕をぼうっと見上げた。 「かっこよくて……」 「へ?」 「た、高いところにある本を……、 おとこの人が、とってくれるの……」 「あ、ああ――」 そういえばドラマや少女漫画なんかではよくあるシーンかもしれない。 身長差やさりげない優しさにドキドキしてしまう、みたいなシチュエーション。 ……意識するとこっちまで恥ずかしくなってきた。 「ま、まあこのくらいはね。 男なら誰でも――」 「……せんせいだから……。 うれしくて…… せんせいだからです……」 「……」 「どきどき、しました……」 ことねちゃんは小さく息を吐き、胸の前でぎゅっと拳を握りしめている。 そのいたいけな仕草は男心にぐっとくるものがあった。 今まで触れ合った肌の感触を自然と思い出してしまう。 どことなく緊張しながら、僕は手にとった本を眺めてみた。 「これは……恋愛小説だよね」 「あ……はい。そうなんです。 はるか先生におしえてもらって……」 僕もこの作者の小説は一冊読んだことがあった。 「教えてもらったんだ」 「こ……こいびとどうし、上手に…… なれるかなって思って……」 「そ、そっか」 この小説はことねちゃんには少し難しいかもしれない。 同じ作者のもので、ことねちゃんくらいの年齢の子に向けた作品もあったはずだ。 遥先生は恐らくそっちを薦めたんだろう。 「僕も一冊、読んだことがあるよ」 「ほんとう……? おもしろかった、ですか?」 「うん。だけど僕にはちょっと恥ずかしかった…… かな。少女漫画みたいで、照れちゃって」 「……? 少女まんがみたいだと、てれるの?」 「あー……う、うん。そうだね。 男にはちょっと照れるかもね。 ヒーロー役がかっこ良すぎるっていうか……」 「そうなの……? でも、せんせいは…… わ、わたしにとっては……。 とってもかっこいいです……っ」 ことねちゃんは精一杯に自分の想いを伝えようと身を乗り出してくる。 「ありがとう。どうかな……。そんなには かっこよくないと思うんだけどね」 「ううん、そんなことない……。 せんせいは、やさしくて、かっこよくて…… り、りそうのこいびと、です……っ」 そこまで言われてしまうと胸が熱くなる。 「あ……。ふふふ♪」 「ん……どうしたの?」 「せんせい、うれしい……?」 「うれしいけど、どうして――」 「ズボンの中で……おおきく、なってませんか?」 「え――」 言われて僕は初めて気付いた。 ことねちゃんに一生懸命褒められたせいなのか、僕のものは確かに勃起し始めていた。 ――なんて恥ずかしい。 いい年をして、女の子の言葉にドキドキして固くしてしまうなんて。 「こ、これは――」 「あの……。せんせい……。 わたしも、ぎゅってしてきました……」 「え――」 「いいつけ……ちゃんと守ってます。 だ、だから……せんせいといっしょのときは…… ふたりだけのときは……」 「おへその下、きゅうってなる……」 「ことねちゃん」 僕はたまらず彼女の肩を掴んだ。 「せんせい……」 かなり勢いよく力もこめて掴んだのに、彼女はぼんやりとした視線で見上げてくるだけだった。 図書館に行きたいと言ったのはことねちゃんだという話は既に聞いている。 そうまでして僕に会いたいと思ってくれた――そう考えるのは思い上がりだろうか。 とっさに辺りを確認する。 ――誰もいない。ただでさえ人の少ない図書館の、さらに人気のない小説のコーナー。 「ことねちゃん」 「せんせ……は、ん……っ」 書架の影で僕はことねちゃんと唇を交わした。 途端に股間に血が流れ込み、脈拍に合わせて徐々に大きくなっていく。 まだ最大限の状態ではないけれど―― 「ことねちゃん、ここで……いい?」 「……はい。せんせいが、 その、したいなら……」 まさか自分がこんな場所でこんなことをしたがるような奴だとは思っていなかった。 だけど――この子は受け容れてくれる。 胸の高鳴りを抑え切れないまま、僕は奥まった書架の影にことねちゃんを連れ込んだ。 僕はいったい何をしているんだと思いながらも衝動を抑え切れない。 ことねちゃんにもっと触れたい。 そんな想いのまま、僕は甘勃起しているペニスを取り出した。 「ぁ……」 ことねちゃんを足元に座らせペニスを突きつける。 「あれ……? いつもと、ちょっとちがう……」 「あ――」 そうか。ことねちゃんにこの状態のペニスを見せるのは初めてだったことに思い当たった。 いつも最大限に勃起してしまってから我慢しきれずに触れて、こすり付けて、挿入して。 そんな風にこれを見せていた。 「もう少ししたら……大きくなるよ」 「そうなんですか……」 ことねちゃんはどこか感心した様子でペニスをじっと見つめている。 「……ことねちゃんにしてほしいことがあって」 「はい、せんせい。何ですか?」 「……舐めて欲しい」 「なめ……。ぁ……えっと、ぺろぺろする…… っていう、ことですか?」 「……うん」 「わかりました」 「――――」 ことねちゃんは何の躊躇もなく頷いた。 僕に命令されることが嬉しいと思っているみたいに素直に舌を伸ばし、ペニスの先端に触れる。 「ん……ぺろ……」 「い、いやじゃない……かな」 「……? どうしてですか? わたしのおまたも、せんせいがいつも…… たくさん、してくれるから……」 「わたしも、せんせいにしなくていいのかな…… って、ずっと思ってました」 「そうなんだ……」 「はい。だから……させてもらえて、 うれしいです……ぺろ、ぇろ……。ん……。 こう、でふか……?」 「……うん。そんな感じで……」 拙い舌の動き。 まだまだ興味が優先で、淫らな雰囲気は少ないことに逆にそそられてしまう。 「ん……ぺろ……はぷ……ちゅ。 あ……ふふ、ぴく、ぴくってしてます……」 「ことねちゃんに舐めてもらうのが嬉しくて」 「わたしもうれしいです……。 せんせいの、役にたててます……。 ぺろ、ん……はぁ、ん……、お返し、です」 まだまだ恐る恐るといった様子だが、ことねちゃんに嫌悪感はないようだった。 いたいけな仕草で一生懸命舐め上げてくれる。 それだけでも十分に心地よくて、心の奥深い部分が満たされていく。 「ぺろ……れる……ふふふ♪ せんせいのこれ……かわいい……」 「……おちんちん、って言ってみて」 「はい。せんせいの……おちんちん、 とってもかわいいです…… ん、ちゅ……ぺろ、れろ……」 本当に全く嫌悪感はないみたいだった。 「いやじゃない、かな……。 ここは……おしっこも出るところ、なんだけど」 「う……。それはわたしのおまたもいっしょです… でも、せんせいはやさしくしてくれるし……。 ぺろぺろさせてもらえるの、うれしいです」 「……こんな場所なのに?」 さっきから自分の意識にずっとひっかかっていたことも聞いてみる。 「ちゅ、れろ……。 わたしは、へいきです……。だって、せんせいと 会えること、あんまりないから……」 「そっか……」 「ぺろ、れる……。ん……。さびしかった……。 おしごと、いそがしいですか……? ん、ぺろ……はぅ……ちゅ……」 何だろう。 ことねちゃんの視線は切なく湿ったもので、僕は思わず「仕事と私どっちが大切なの」なんて言いあっている夫婦を想像してしまう。 仕事が忙しくて両親に会えないことねちゃん。 その隙を埋めるみたいに入り込んでいる僕。 「せんせい……ん、ぺろ……」 「会う理由が……なかなかなくて」 「りゆう?」 「っ、あ……、本当は毎日でも会いたいし、 顔を見たいと思ってるよ」 「……ほんとう?」 「ことねちゃんが笑った顔……。 笑顔、僕はすごく好きだ」 「ぁ……。はい……。うれしい……。 ぺろ、れろ……。ん、はぁ……んちゅ、 はぷ……ふぅ……」 「ことねちゃんと……長く付き合いたいから、 我慢しなきゃいけないときもあって……」 「そう、でふか……ぇろ、ん……ちゅ……」 「ぅあ……ッ!」 ことねちゃんの舌がちょうどいい場所に触れ続けて僕の勃起は最大限になっていく。 「わぁ……。いつもみたいに、なりました」 「そのまま……裏側のほう、舐めてみて」 「はい、せんせい……」 しめやかな声と共に裏筋に舌が触れた。 体格と同じくその舌もまだ小さい。 けれどその小さな舌が這いまわる感覚は極上だった。 「はふ……ん、れろ、ぇろ……ちゅ、 ぺろ、ぇる……ん……ふふふ♪ はぁ……。 せんせいの、あつい……」 何より――愛情をこめて舐めてくれていることがよく伝わってくる。 視線と仕草と息遣いから、醜悪な僕のペニスを何よりも好ましいものと思って舐めてくれているのが痛いほどにわかって心地いい。 ――心地いい。 そういうほかない刺激が僕を包んでいる。 「ちゅ……ん……はぷ……。ふぅ……。 これが……わたしの奥、とん、とんって…… するんですね……ちゅ、んぷ……れろ……」 「そうだね……、これくらい固くなれば……」 「はい……。とってもあつくて、かたくて……。 ちゅ……ん、ちゅぴ、ぇろ……はふ……」 「思い出しちゃいます……。ん、ぺろ……。 こ……これが、おへその下……ぎゅってして、 とん、とん、って……はむ、ちゅ……っ」 ことねちゃんは本当に嫌悪の欠片も見せなかった。 とろんと蕩けた表情で裏筋を舐め、一心に奉仕してくれる。 初めてのフェラチオで――ここまで熱心にしてくれることは普通ないと思う。 僕のことを全く疑わない純真な視線。 無垢でぷりぷりした唇と、ちろちろと覗く舌。 「あ……におい、してきました……。 これ、どきどきするの……」 「そんなの覚えてたんだ……」 「はい。思い出しました……。 こいびとどうしするときの、 せんせいのにおい……」 ことねちゃんは、嬉しがっているような何も考えていないような表情のまま熱心に舌を動かす。 「ぺろ、ちゅぴ……ちゅ、ぺろ……ん……。 すこし、しょっぱいかも……?」 先走りが徐々に溢れ出しているのが自分でもわかる。 「ことねちゃん、見つからないように……」 「はい……、ん、ちゅ……」 声を潜めつつ熱心に舌を這わせ続けてくれる。 「……。これって普通は…… そんなにしないことなんだよ……」 「そうなんですか? でも、せんせいはわたしの…… こうしてくれたから……」 「いや……することはあっても、こういう場所では しないんだよ……家で、二人きりのときに するものだし……」 「……だめですか?」 「ちょっとだめかもしれない」 「でも……おうちでせんせいと二人きりになれない から……。す、少しくらいだめでも……」 「……そうだね」 僕の言ったことをよく覚えてくれている。 二人の時間は、少しくらい悪いことをしたって構わない。 「ちゅ……っ、ひみつです……」 言いながら、僕の先端を吸い上げてくる。 「せんせいといっしょのとき、だけだから……」 「っ、あ……!」 かなり強い吸い付き。僕が漏らした声を聞いてことねちゃんは少し目を丸くした。 「い、いたかったですか?」 「いや……気持ちよかった」 「よかったぁ……」 僕の視界には、自らの醜悪なペニスと、それを愛おしそうに舐めることねちゃんの顔、その両方が映っている。 大げさに言えば、奇跡的な気持ちだった。 もちろん僕だって自分で処理することはある。もう慣れたけど、十代の頃は自分の性器の形が決して好きではなかった。 人には見せてはいけないもの。教師として生きると決めてから、そんな倫理観はますます強くなって僕を縛っていたように思う。 「ぺろ……ぇろ、ぷりぷり、してます…… ふふ、つん、つん……ぇろ……」 けれど今はこんなあどけない美少女が僕のこれを見てゆるい表情を浮かべて――――受け容れてくれている。 「ことねちゃん……っ」 「はい……ちゅ、んぷ……せんせい……」 呼べば普段と変わらない調子で答えてくれる。 そのことが何よりも嬉しい。 「せんせい……あのね」 「なに……?」 「わたし……せんせいと、バスでここまでくるとき、 ずっと、むねがぎゅってしてました……」 「……っ」 「みんなもいるけど、せんせいとお出かけで…… それで、ふたりになれるときもあるかな……? って、思ってました……」 背筋が震える。 ことねちゃんも期待してくれていた―― 「おまたもきゅうってして……。 ひとりのときはできないこと、 せんせいとふたりで……したくて……」 期待以上のものかもしれない。 ことねちゃんは僕が言いつけた禁欲を守り、それによって僕に欲情までしている。 いたいけな滾りをその瞳の奥に感じた。 男を誘う、さびしさを知っている視線。 「……僕もだよ。 ことねちゃんと二人になれるかもしれないって 思ってた……」 「……ほんとう? えへへ……」 その少女らしい笑みと、させていることのアンバランスさに腰が震えてもっともっと我慢できなくなっていく。 こんな場所でこれ以上は―― そう思いながらも僕は次の要求を口にしていた。 「咥えてみて」 「くわえる?」 「口の中に……カサになってるところまで、入れて」 「ふぇ……」 少し戸惑ったような視線と口もと。 僕が普通の状態ならそれを見て引いてしまったかもしれない。 だけど今の僕はもう普通じゃなかった。いや、とっくに、だろうか。 「先生のこと、もっと気持ちよくしたいだろ?」 普段は使わない、やや高圧的な口調を使ってまで僕はことねちゃんを求めたかった。 「はい……っ」 ことねちゃんは僕の口調に敏感に反応した。 肩をふるっと揺れさせたかと思うと、視線が官能に蕩けていく。 「ぁ……はぁ、ぁむ……ん……っ」 「くぅ……」 思わず間抜けな声をあげてしまう。 小さくてあたたかい口内に包まれる感触は圧倒的だった。 「はむ……ぁ、ん……ふわ、おおひい……でふ」 若干苦しそうにしながらもその視線は蕩けたままだ。 ことねちゃんは明らかに喜んでいる。 僕に命令されて奉仕することに悦びを感じている。 「そのまま舌を動かして」 「ふぁ、ぁ……ぇろ、んぷ……れろ……ぺろ、 ちゅ……れろれろ……」 心地いい。 粘膜に包まれながら小さな舌で刺激されるのがこんなに良いとは思わなかった。 舌が小さいからか、丁寧に細部までくすぐられているように感じる。 「歯は当たらないように…… 頑張って大きく口をあけて」 「ちゅ……じゅ、んぷふぁ、れろ、ぇろぇろ…… こう、でふか……? ちゅ、れろれる……」 「そう、上手だよ」 「ふふ……♪ ほめられ、まひたぁ…… んっ、ぇろ、れろ……」 ことねちゃんには完全にスイッチが入っている。 それを入れたのは僕だ。そのスイッチを彼女のなかに見出して、作り上げたのも僕だという仄昏い悦びがわいてくる。 もっと、もっと教え込みたい。 「左右に動かして……、 それから時々、舌の先っぽをとがらせて、 合わせ目を弾くみたいに……」 「ちゅ、れろ……ぇぷ、れろ、ぇろ…… ちゅ、ぅんッ! れろ……」 「そう、そんな感じ……っ 上手だよ、気持ちいい……」 「んっ、ふふ……♪ れろ、んぶ、んぷ…… れろ、んん……」 こんな要求、相手が成熟しきった女性ならきっとできなかっただろう。 だけど羞恥もみっともなさも情けなさも、この子の前では関係ない。 秘密にしてくれる。いけないことをいくらでもさせてくれる受け容れてくれる、未成熟な体と知識。 「ふぁ、ん……んぷ、よ、よだれふぁ…… たれひゃい、まふ……」 「そのままでいいよ。飲み込まないで」 「れも、よごれひゃう……ぅ、ふぁ……」 「僕はそのほうが気持ちよくなれるから」 「ぁ……はぁひ……、れろ、ぺろ…… んぷ、ぁー……えろ、れろ……」 口を大きく開けているせいで嚥下することはできない。 「よだれ……、赤ひゃんみひゃい……」 「二人のときはそれでいいから。 もっとたくさん舐めて」 「ふぁい、せんせぃ……ぢゅ、ちゅ、れろ…… んぐ、ちゅ……じゅる、れろ……」 よだれが溢れすぎているせいで頭がくらくらするような下品な音が鳴った。 彼女の顔にはとても似合わない、すすり上げたりたらしたりする音。 「えっちな音、出せたね」 「……? えっひ、でふか……ちゅ……」 「うん。こういうことしてる時は…… 普段は出さないようないけない音だから、 興奮する」 「んぶ……ぇう、じゅる……じゅ、ぞ……。 こう、でふか……?」 僕は頷く。 ことねちゃんも嬉しそうに目を細める。 厳しくしつけられてきた彼女のことだ。すすりあげるような音は立てるなと言われたこともきっとあるんだろう。 そのしつけのくびきを外すことに快楽を受け取っていることが伝わってくる。僕が理性のくびきを外して興奮に酔っているのときっと同じだろう。 「んぶ、んちゅ……じゅぷ、はふ、ぅ…… れろ、ぷぢゅ……じゅ、れろ……」 懸命に奉仕してくれる。 この場が家の中だったら、このまま楽しみ続けていたかもしれない。 だけどここは公共の場だ。迷う。 どうするか。このまま―― 「は、ぷ……ちゅ……ん……。 せんせい……白いの、出ますか……?」 「さすがに、ここじゃ……」 「ぇ……そ、そうれふか…… んん、ちゅ、じゅる……れろ、んん……」 「そんな、無理しなくても」 「んーん……、れろ、はぷ、んぶ……ちゅ、 れる、れろぇろ……ちゅ、じゅう……っ」 ことねちゃんの奉仕は真摯だった。 まだ迷う。 迷いながらも背筋は焦燥にじりじりと焼けて、股間は熱くたぎってくる。 「きもひよくなっふぁ、しょうこ…… ほしひ、れふ……ん、んふぁ、ちゅう……っ」 「おぼえまふ……から、たくさん……んっ、 おひえてほしい……んぷ、じゅぷ、れろ……」 「……本気でそう思ってるんだ」 「はぃ……」 「じゃあ、少しくらい苦しくても我慢してね」 僕の強めの口調で、ことねちゃんの瞳は濡れ光る。 「だいじょうぶ、れふ……」 愛欲にけぶった視線に掻き立てられるまま、僕はことねちゃんの頭に手を添えて力を込めた。 「動くよ」 それだけ言って腰を前後させ始める。 「ん……! んぐ、ぅぷ、はぶ、んん……! ぅぐ、ん、ん……!」 「声だしちゃダメだよ」 「ぁぶ、んぐ……んぅ、ぇろ、ん、んぅ!」 「舌は動かし続けて……」 「れろ、んぐ、ひぅ……うぶ、はぁ、ぁく、 んふぁ……はぁ、んん……!」 「……っ」 少し動いてみてことねちゃんが本当に嫌がるそぶりを見せたらさすがにやめるつもりでいた。 だけど彼女は苦しそうにしながらも懸命に吸い付いてきてくれる。 「ぁあ、ん……! れろ、ぺろ……んんぅ! ふぅ、んぐ、ぁえ……ぇ、んんぅ……!」 イラマチオ気味のピストン。 小さな女の子の口腔をまさにオナホールのように扱っていることにぞくぞくと快感が走る。 「ふぐ、んん……! んじゅ、れろ……ん! んぐ、ぁあ……ぅ、はぐ……せんせ……んん!」 苦しそうだ。だけどどこか気持ちよさそうだ。 驚きと苦しさに見開かれていた視線が徐々にまた蕩けてくる。 舌も動きつづけて、裏筋の深いところまで舐めてくれる。 「そのまま舌、思い切り伸ばして」 無茶な要求。だけど―― 「ん、ぇ……はぁ、れろ……ぺろ……」 ことねちゃんは応えてくれる。 喉奥の近くに亀頭が触れている。 口腔が狭まって喉そのものに当たっている感触がある。 ことねちゃんが伸ばした舌は陰茎の付け根、玉袋になるあたりで左右していた。 「はぅ……ぺろ、んぐ……、ん……! ぺろ、れろ……ぇる……」 直接的に射精感を誘われる刺激。 「上手だね」 「ふぁい……んっ、ぅく……ぺろ、ぇろ…… はぁ……ぁ、ふぅ、んちゅ……っ」 しばらくピストンを止めて舌の感触を存分に味わった。 「白いの……出したくなってきた」 「ぁ……! んん、ぺろ、れろ……れるれろ……」 僕のセリフを聞いて、出して、出して、と言う風に更に丹念に舌を動かしてくる。 相当苦しいはずなのに決して離れようとはしない。 ――その時だった。 書架の向こう側にある人影が移動した。 垣間見える影が移動して、こっちに近づいてこようとしている―― 「……!」 まずい。 背筋をざあっと危機感が通り抜けて、僕は身を屈めた。 「んぅう!?」 「ご、ごめん、少しだけ我慢して……」 「……っ、ん……ぐ……」 体を屈めたせいで喉の奥の奥まで、亀頭の先端が入り込んでしまう。 亀頭全部を狭い場所に包まれる痺れるような快感と、書架の向こう側の人影に覚える危機感がないまぜになって鋭い官能に変わる。 「ぅ……ぐ、んん……ぇ……」 焦りながらもことねちゃんを見下ろす。 ――奥まで咥えこんでいる。 苦しそうな瞳。訴えかけるような表情。 だけど彼女は従順そのものだった。 「もう少しだけ……ッ」 快感と背徳に腰が蕩けそうになりながらもそれだけ伝える。 「ん、ぅ……ぇう、んぐ……!」 ことねちゃんは苦しいだろうに更に必死に頷いて僕の言うことを守ると全身で示してくれる。 数秒。 ――人影は離れていった。 同時に僕も奥まで入りすぎたペニスを引く。 「ぁぷ、ぷはっ! はぁ、ぅ……、はぁ、はぁ……」 「ごめん――」 「んん……、あ……、せんせい……」 「うん――」 「でそう……?」 「……っ」 その直接的な言葉に打ちのめされた気分だった。 「せんへぇの、ぎゅって、ひてたぁ……」 自分でもやっと気付く。 股間の奥に射精感がせり上げてきていたことに。 自分勝手にひどいことをして、喉奥まで突っ込んで、人影に見つかりそうになって、僕は射精しかけていた。 ぞくぞくが止まらない。 「……もう少し、したら」 「はい……! ぁー……」 僕の短い一言だけで察して、ことねちゃんは精一杯に口を開いてくれる。 何度か舌に裏筋を擦り付けるようにして往復させたあと、僕は―― 「ん……! んぐ、んん……!」 もう一度ことねちゃんの喉奥にペニスを突き入れた。 狭い、狭い、喉の器官。 少女のそこを潰しかねないほどの暴力的な挿入。 「ぁう、んぇ……! ん、ぅ、んん……!」 ことねちゃんが苦しげな声をあげるとその音色が亀頭に直接響く。 出したい。 射精感が強烈に迫ってくる。 「ぅく、せん、せ……っ、んぐ、ぁ、ん゛……!」 その切なく苦しげで可憐な声を犯すように、僕は射精を開始していた。 「んん! んっ! んぐ! ん……! ん……! ぅく、んん……!」 「ふっ……ぐぅ……!」 直接喉に白濁をぶちまける。 嚥下する必要もないほどの奥。直接食道に流し込むような絶頂。 「ん! んんー、ん……っ! ぅく、んん……!」 ことねちゃんの全身が僕の脈動に合わせてがくがくと震えている。 収縮する喉に亀頭全体を包まれ、雁首には舌の付け根がひっかかっている。 舌先は苦しげに裏筋を跳ね、くすぐって―― 「くぷ……ん、ぁ、ん……、んぐ、ごく……っ! こく、ぅぐ、んんっ! ん……、んー……」 性器ではない器官なのにこんなに心地いいなんて。 小さい喉そのものを味わって、彼女の小鳥のような声色すら犯すみたいに白濁を吐き出し尽くした。 「っ、はぁ、はぁ……」 「ん……! ぷはっ、はぁ、ぁ……あー、 う、んん……、こく、ん……」 口内に喉奥に射精した。 「はぁ……ことねちゃん」 「ん……けほ、せんせぇ……」 のどに絡みつく精液に苦戦しながら、うるんだ瞳で見つめてくる。 はたしてそれが、苦しかったからなのか、求めているのかはわからない。 額に浮かんでいた汗を拭う。 誰かに見つからなかったか、恐る恐る辺りをうかがう。 大丈夫――多分。大丈夫だ。 「ことねちゃん……上手だったよ」 「はぁ……、はふ、ふぅ……。 せんせぃ……はぁ、んん……、んっ、けほ……」 喉の辺りに手をやって咳をする。 「大丈夫? 苦しかったよね……」 「ううん……へーき、れす……。 あ……口が、まだ……」 ずっと大きく開け続けていたせいだろう。顎の関節がうまく噛み合わないみたいだ。 「ん……、はいしゃさんのあとみたい…… ふふ……♪」 それでも嫌な顔ひとつしなかった。 頬を少し赤らめて満足気な表情を見せてくれる。 行為の最中、歯がほとんど当たらなかったことも思い出す。 僕の言いつけを守る――言う通りにする。 「気持ちよかった」 「ぁ……! はい……っ。 わたしも、きもちよかった……」 さすがにそれは嘘だろうと思う。苦しかったはずだ。 だけどその笑みを見ているとまるっきり嘘だとも思えない。 「ことねちゃんは……苦しいのも好きなのかな」 「ん……、はい。 ……はい」 一度目は半ば反射的に、けれど二回目は噛みしめるようにして頷いた。 「せんせいにされることなら……なんでも……。 好き、です……」 「でも、んっ……。ふふふ、初めておまたでしたとき みたいに、のどに、まだ何か……ん……」 入ってるみたいです、と彼女はつぶやく。 誘っているのでも何でもない、ただ事実を伝えるだけの口調だったけれど、僕はそれにまた興奮を煽られた。 いつもの可憐な声が少し涸れているようにも感じられて、その官能の余韻がまた新たな官能を引き出そうとしている。 「ことねちゃん、こっち――」 「え……? はい」 僕は彼女の手を引いて更に奥まった場所に連れ込んだ。 文学や小説の棚の奥の奥、滅多に見る人がいないであろう分厚い全集が置いてある書架。 僕は正直に言った。 「ことねちゃん。僕はまだしたい」 「あ……」 「ことねちゃんのこと、犯したい」 「おかす……?」 ぼんやりとした口調。この子は犯されるの意味も知らない。 「いけなくて、ひどいことしたい……。 さっきみたいな。そういう意味だよ」 「あ……は、はい……っ」 意味を汲み取って、ことねちゃんの瞳がまた強く濡れ光る。 「おかす、っていうんですか?」 「……うん。男が、女を、犯す」 「じゃあ……おかして?」 「……っ」 「ここなら、たぶんだれも来ないから…… ふたり、ですね」 「そうだね……。そのつもりで、僕は」 「ふたりだから、いけないことしても、いい……?」 本当はいけない。 ことねちゃんが相手じゃなきゃしようなんて絶対に思わなかっただろう。 「せんせい……、おかして、ください」 もう一度言った。 特別な響きの言葉を口にするみたいに。 「すき……」 「僕も好きだ」 何度口にしても胸が締め付けられる。 彼女に向かっていく強い想いが自分のなかにあることを何度でも確認できてしまう。 「……犯すよ」 「はい、せんせい……」 否定的な意味しかもたないはずの言葉がことねちゃんが相手だと違う意味に思える。 僕はことねちゃんの体を抱きしめてから抱え上げた。 軽い体と甘い匂いを全身で感じてすぐに我慢も理性も吹き飛んでいった。 「ぁ……!」 獣みたいに荒く息を吐きながらことねちゃんの服を剥ぎとって、股間に触れる。 「濡れてるね」 ねちゃりとしたぬめりを指で感じた。 「……っ」 「僕の咥えて、飲まされて…… ことねちゃんも気持ちよかった?」 「……っ、はい……」 潤んだ瞳。 ことねちゃんの言葉で僕も十分にたぎっている。 「ぅ、あ……ああ……!」 本当に犯すみたいに、いきなりペニスを挿入した。 狭い膣内をかきわけ、ことねちゃんの体重も利用しながら奥へと進んでいく。 「んく……はぁ、ん……!」 「声」 「は、はい……っ、ん……、ふぅ、はぁ……」 強めの一言をぴしゃりと言うと従順になり、膣襞もきゅっと締まる。 なんて都合の良い体。官能がぞくぞくとわきあがる。 「熱い……」 「ん……はぁ、ぅ……」 奥まで挿入し終わると同時に書架ががたんと鳴った。 「ぁ……」 その音に二人してびくりとする。 腰を激しく揺らせばもっと音を立ててしまうだろう。 だけどこの場での挿入を考えると、この姿勢でするしかない。 「ゆっくりするから……大丈夫」 「はい……っ」 頭のなかですぐに算段を立てた。 ゆっくりする。 ただし――奥を集中的に。 ことねちゃんの好きな場所。この年でこの経験だけで中イキしてしまうこの子に、セックスの味を徹底的に覚えこませたい。 二人でするときだけ本当に気持ちよくなれる、という官能で縛りたい。 ――調教したい。僕好みに。 「動くよ」 「ん……はぁ、はい……ぁ、ぅ……! ん、ぁあ……ッ」 こつ、こつ、と奥だけかすかに移動して突く。 ピストンというほど激しくない、ほとんど腰を揺らしているだけの動き。 「ぁ、ん……っ、ふぁ、はぁ……、 あ……くぅ……ん……!」 ことねちゃんは必死に声を我慢しながら僕の腕のなかで体を震わせる。 きゅっ、と可愛らしい締め付けが続く膣内。 この程度の動きでも十分過ぎるほど心地よかった。 驚くほど熱くてぬめっていて、図書館の冷房の空気との対比を強く感じる。 「ぁ……、おなか、いっぱい……ん……! 広がって……ん、はぁう……ッ」 「気持ちいいよ」 「はい……っ、わたしも……、 やっと、これ……ん、ぁう……!」 やっと――そうか。ことねちゃんにとってはそうか。 僕は一度出したあとだから余裕がある。 だけどことねちゃんにとっては久しぶりの行為だ。 「僕のこと、待ってた?」 「ん……っ、はい……っ」 「僕のこれが欲しかった?」 「……っ」 それを言わされるのは恥ずかしいことだとどこかで認識しているのか、ことねちゃんは初めて躊躇するそぶりを見せた。 「答えて」 「ほ……ほしかった、です……」 「へえ。欲しいとどんな風になるの?」 「……っ」 ふたりの秘密。いけないこと。 それが羞恥心と繋がり始めている。 彼女の羞恥心すら僕の手のなかにある。 「お、おなかのおく……、おへその下が…… きゅうって、せつなく……」 「……どんなときに?」 「よる、とか……。せんせいのこと、 おもいだして……」 「せんせいが、うちでつかったおふとんで、 ねるの……」 「そう、なんだ。 僕が寝た布団だとどう違うの?」 「ん……、すん……」 ことねちゃんが頭を傾けて僕の胸元に鼻を寄せた。 「あ……。せんせいのにおい……。 このにおい、おふとんでおもいだすの……」 言いながらことねちゃんの膣襞は強く締まっている。 「せんせいに……だっこ、してもらいたい……」 「今みたいに?」 「はい……。せんせいに、ぎゅってされて…… おへその下も、ぎゅってして…… あついの、じわって……」 強い締め付けが続いて思わず腰の動きを止める。 「おもいだすんです……」 奥――子宮口に鈴口をくっつけたまま、うねる膣襞と吸い付くような奥の感触を味わう。 言葉で責めて、言葉を言わせるだけでこんなにも反応がある。 いたいけで淫らな体。 「熱いのが奥でじわってなるの、好きなんだ?」 「はい……。それがいちばん、すきかも……」 「……っ」 今度はペニスが自然と反応してしまった。 中出しが、膣内射精の感覚が好きだなんて。 「あ……、でも、さっきのも……すき……」 「喉に注がれるのも……?」 「はい……。すきになれそう……って、思いました」 思い出して噛みしめるようにうっとりとつぶやく。 「僕もどっちも好きだよ」 「いっしょ、ですね……」 ゆるい笑みを浮かべる。 同時におへその形が変わって、締め付けの質も柔軟に変化した。 強く締め付けるような動きから、愛おしそうに膣襞全体でねぶってくるような動きに。 一緒、という言葉にことねちゃんは強い愛情を得て、僕のペニスを慰撫してくれる。 酷いことをされ、言わされているときは強い官能を得てきつく締め付けてくれる。 その落差がなんともいえず心地いい。 「声、我慢して。動くよ」 「はい……、ぁ、ん……っ! ぅう、く……ん、はぁ、はぅ……」 今度も激しいピストンにはしない。 揺らすような動きでとんとんと奥を小突く。 「んっ、ん……、ぁ……ぅ……」 「そう、上手に我慢できてるね」 「ぁ、う……はい……っ、んん……っ」 懸命に我慢する仕草にも欲望をそそられる。 僕は悪い大人だ。口ではことねちゃんを褒めながら、正反対のことをして徐々に追い詰めていこうと考えている。 ことねちゃんを犯す。 「ぅ……ぁ、はぁ、はぅ……ん……!」 激しく動いたら卑猥な音が鳴り響いてしまうだろう。 それくらい彼女の膣内はしとどに濡れていて、僕のペニスの根本まで愛液が伝っている。 ぞくぞくがずっと止まらない。 楽しみで仕方ない。 こんなに感じてるんだ。おまけに奥を突かれるのが好きな子だ。 ――我慢しきれるはずがない。 「はぁ、あ……! んっ、ぅう……せ、せんせ…… んっ、はぁ、ああ……っ」 切なそうに見上げてくるのもたまらない。 「ちゃんと我慢しないと。 一緒、続けられなくなるよ」 「ん……! は、はい……っ、んぅ、う……」 「また誰かきたら大変だよ。 だから声は我慢しなきゃ。ね?」 「はい……っ、んく、ぅう……はっ、ぁ……!」 優しい口調で言い聞かせてはいるけれど、ゆるゆるとしたピストンは決して止めなかった。 ことねちゃんが僕の腕のなかで上り詰めていく様子をじっくりと見守る。 「はぁ、ぁあ……ん……! やぁ、あ……!」 「……そんなに我慢できないなら、 説明してみようか?」 「せつめい……?」 「どんな感じか言ってみて、気をそらしてごらん」 「……っ」 見上げる瞳にうっすらと涙が浮かんだ。 また言わされる――そんな官能に蕩けている。 だけど僕は知っている。ことねちゃんが最終的には僕の言葉に従ってくれることに。 「せんせい、のが……っ」 ほら。 彼女は言わされて、言いたいんだ。 「おくの……おへその、した……」 「ここ?」 意図的に股間に力を入れて亀頭をふくらませた。 「ふぁあ!? ん……!!」 「ここにあるね。ほら、わかる?」 とん、とん、と奥を突く。さっきから何度もした仕草。 「んっ、ん……! わかる……、広がって……っ! はぁ、あぁ……」 今まで何度も繰り返してきた「力を抜いて」という指導は今はしなかった。 強く――強く、感じて欲しくて。 「広がるときもちいい?」 「んぁ、はい……っ、ぎゅうって、して……! ぁ、せんせ、だめ……です……」 「何がだめなの?」 「……イキそう……」 僕が教えこんだ言葉を切なげに訴えかけてくる。 「僕はまだだよ。一緒がいいよね? 我慢してほしいな」 「ぅう……はい……っ、 さっきも、いっしょだったから……、 また、がまん……します……っ」 「……さっき?」 「は、はい……、のどで、せんせいの熱いの、 じわあってなって……いっしょ、に……」 「……っ」 僕も腰が引きつってしまった。 衝動的に激しくピストンしたくなるのをなんとか抑えて息を整える。 フェラして――いや、イラマチオされて、精飲でイッてたのか? ただ苦しくて体を震わせているだけかと思っていた。けれど違った。 「じゃ、じゃあ……楽しみだね。 おなかの奥でじわってなるの」 「ぁ……、はい……! とっても、たのしみ……。 きっと、ふわあってなって……」 「それまで我慢しようね。ほら、ゆっくりするから」 「ん……! はぁ、がまんします……っ、 ぅう、はぁ、あ……んん……!」 奥を小突く感覚が、とん、とん、としたものからちゅこ、ちゅこ、としたものに変化してくる。 ねっとりとした愛液が分泌されて亀頭や鈴口にまとわりついているからだ。 雁首にも襞と愛液の密着感が強くあった。 軽く前後するだけでも擦れて粘って、引きずりだされるみたいに心地いい。 「ぁ、ふぁ、はぁ……ああ、ぁ……、 ん、くぅ……ふぅ、ん……!」 僕がゆっくり動いて奥を突くたびに白いお腹がびくびくと震えてうねる。 へその形が変化し、締め付けを伝えてくる。 「気持ちいい……」 「ふぁ、あ……! ん、おく……、いっしょ…… わたしも、きもちぃ……ん、ぁあ……!」 「声、我慢できないの?」 「ぅ……ああ、だ、だって……っ」 「口答えするんだ?」 「……ッ!!」 今日一番の強い締め付け。 ぎゅっと収縮したあとに少しだけ弛緩し、どっと粘った愛液があふれだしてくる。 そのまま腰を進めると―― かすかにひらいた鈴口から、尿道にその粘りが侵入してくるかのようだった。 熱さをペニスの表面全体のほかに、尿道にも感じる。 「……ごめんね。きつい言い方して」 「ぅ、あ……はぁ、はぅ……」 「ことねちゃん見てると、いじめて…… 犯したくなる」 「ん……、ぅ……はい……っ」 「わたしも……、せんせいのちょっとこわい声…… すき……、ぎゅうってして……っ」 「そ、そうなんだ……」 「せんせいになら……おこられたいの……。 いけないことして、おこられて…… それで……」 「おかす……? おかして? せんせいに、おかしてもらいたい……っ」 目の裏がちかちかした。 まぶたを閉じるとことねちゃんの言葉が胸のうちににじみ、じわじわと広がっていく。 これじゃあ心を縛られているのは僕のほうだ。 「ぁ、ん……! また……ぎゅうって……!」 興奮を煽られてペニスが膨張している。 尿道は未だに熱くひりついている。 「……出したくなってきた」 「はい……っ、ください……」 「少しだけなら声出してもいいよ」 「え――」 一瞬戸惑ったことねちゃんの顔の前に僕はゆっくりと手をかざした。 「ぁ……」 彼女の瞳が僕の意図を了解して潤む。 一心に僕の手を見つめ、されるのを待っている。 「ほら、これで……」 「ふぁ……は、はい……」 目の前の頬が上気して瞳がさらに潤んだ。 たちのぼる雌の匂いも強く感じた。 「こうやって、犯してあげる」 「ん、ふぁ、あ……ぁあ……!」 ひどいことをする。犯す。 ことねちゃんの表情が言葉の意味を完全に理解したことが伝わってきた。 「んぷ、はぁ、あぅ……! んぁ、んぅう!」 声の自由を僕に奪われたことで、無理矢理に犯されるという言葉の意味を体で理解している。 ピストンを少しだけ速めた。 突くたびにちゅくちゅくと卑猥な音が鳴り、それがまるでことねちゃんの子宮が求めているかのように聞こえる。 「はぁ、あ……! ん、おなか……ぁあ、 きもちいい……ん、ぁう! あ――うぷ!」 ことねちゃんが更に大きな声をあげようとしたところで強く口を抑えた。 「ぅ、うう……!」 すがるような視線。 「だめだよ……。もう少し我慢して、 おなかの中の僕の形に集中して」 「ぅく……ん、はぁ、ぁ……! はぅ、んぅうう……!」 僕は徐々にラストスパートに入っていく。 口を押さえていると―― 小さな体をレイプしているような気分に浸れた。 「もご、ぅ……、んんぅ! ぅ、はぁ……! んく、ぅぐ、んぅ、んんーッ!」 ことねちゃんにとっては不安定な姿勢。 力の入れどころもなく、僕が激しくピストンし始めるとただ揺られているだけになる。 「ふぁ、せんせ……んぅ! イキそ……ん、ぁ……! はぅ、ぅぐ……ん……!」 「まだ、まだだよ。あと少し……」 「く……ぅ、だめ、なの……っ! がまんできな――ぁ、イキそ、イキそぅ……!」 涙を浮かべた目をぎゅっと閉じ、必死な様子で首を左右に振る。 ふるふるといたいけな子供っぽい仕草にそそられる。 「奥でじわってするの、味わいたいでしょ?」 「ぅう……でも……でもっ、もう……!」 僕もあと少し。だがことねちゃんほど切羽詰まってはいない。 できるなら一緒に達したい。 あの可愛い締め付けを味わいたい。 愛情と膣内射精をもっとこの子のなかで結びつかせたい。 どうするか迷う。 「ぁ、はぁあ、ふぁ、ん……! せんせい……っ、イキそ、イキそぅ……!」 さらに迷ったその瞬間だった。 図書館内に時報のチャイムが鳴り響く。 けっこうな音量。 ――チャンスは今しかない。 「今……、この音が鳴ってるうちに」 「ふぁ、はぁあ、ああ、あ――!」 僕は自らも絶頂に達するために激しいピストンを開始した。 「ぁあああ、はぁ、イク、イ……ぁ、イク……!」 「いいよ、イッて……! 僕も……、ことねちゃんがイッてる間に……!」 「んぁ、はぁああ、イ――あぁああああああ!!」 ことねちゃんが達する。 その嬌声を聞きながら僕はピストンを緩めなかった。 「ぁあ、はぁ、あ――んぅう! ぁあ、ああぁぁ!」 強く収縮している絶頂途中の膣内を無理矢理かき回し、犯し、快楽を貪る。 「ん……! やぁあ、あ、止まらな――ふぁあ! ぁ、また、イッ……ん、ぁあああ!」 膣襞が収縮につぐ収縮を繰り返す。 「ぁあああ! ぁ、あ゛……はぁ、んぅうう!」 我慢させたぶんだけ快楽も大きいらしく、何度も何度も腕のなかで体が震えている。 その締め付けのなか、僕にも最高に気持ちのいい波が訪れて、尿道を熱いものが駆け上がっていった。 「く……!」 鈴口が火傷しそうなくらい熱いものが迸る。 「は――、あ――」 その瞬間にことねちゃんは呆けたようになり、がくんと全身の力が抜けた。 それでいて膣内は強く締まって、射精途中の鈴口に下がった子宮が張り付くような感触があった。 「……っ!」 「ん……ぁあ、はぁ、ああ……!」 どくどくと注ぐ律動と、ことねちゃんの下腹の動きが同期する。 ことねちゃんの奥に注ぐ。 子宮を満たすイメージで頭がいっぱいになる。 「ふぁ、ぁ――んぅ……!」 こんなタイミングに、射精しながら転勤のことが頭に思い浮かんでしまう。 本能が訴えかけるからだ。 ――残したい。 ここに何かを残したい。 残すために――全部奥にぶちまけたい。全部奥で受け容れて、飲んで欲しい。 「っ、ぁ……!」 「ぁ、はあ、んぅう、せんせい……! もっと、ん……! はぁ、あ……!」 あろうことか、僕は―― 孕め、と心のなかで念じてしまっていた。 「はぁ、はぁ……」 絶頂のなかの一瞬の思考だった。 許されるわけがない。けれど腰は一番奥まで突き入れたまま動かさない。 「あ……はっ、ああ、ぅ……はぁ、あ……。 あついの、いっぱい……っ」 「じわってするの、わかる?」 「は、はい……っ、ぎゅうってなって、 どくってして……、じわ、じわ、って……」 「……っ」 その一言にも搾り取られながらやっと射精の長い感覚が終わった。 「いっしょ……できた……?」 「……うん」 「よかったぁ……、はぁ、はふ……。ん……」 気が付くとチャイムは鳴り止んでいた。 けれどチャイムの後の話し声の喧騒は微妙に続いていて、それが急速に現実感を押し戻してくる。 「きもちよかった……」 「はい……。ん……、ぁ……、 うごくと、おへそのした……。 くるくる、ぴちゃぴちゃって……」 「……」 もうさすがに限界だ。 僕は自分の衝動を抑え、ことねちゃんからペニスを引きぬいた。 それから二人でトイレに行って、一応は汚れを拭きとった。 だけどたっぷり出したものはきっとまだことねちゃんの膣内――子宮内に残っている。 行為の過程でもことねちゃんの下着はけっこう汚れてしまっていた。 「気持ち悪くない?」 「はい。へいきです」 実際は多分違うはずだ。 お互いの汁や粘液がたっぷりついたパンツをことねちゃんは穿いている。 「……濡れてはいるよね?」 「え……っ、ぬ、ぬれてません……もう……。 たぶん……」 ことねちゃんが頬を赤らめている。 あ―― 何と勘違いしたのか気付いた。 「……下着の話、ね」 「え……え!? あ、そ、そうですか……。 えと……それは、べちゃってします……」 「おへその下も……くるくる、してます」 「……」 ごくりと生唾を飲み込んだ。 また勃起しそうになる。 だけどさすがに我慢しなきゃ。 だって、もう―― 「あー! こんなところにいたー!」 「そろそろ帰る時間だね」 「もー、どこ行ってたの? ひますぎてひますぎて、えっと…… あ、ののかちゃん起こしてくる!」 えみちゃんが向かう先には、机に頭を預けてすやすやと眠っているののかちゃんの姿があった。 起こされたののかちゃんと、えみちゃんが僕のところに戻ってくる。 「せんせー、おはよー……」 「おはよう。ごめんね。えっと……昔読んでた本を 見つけて、つい時間を忘れちゃって……」 「……」 「あー、せんせー、かたづけしてる途中に 本とかまんが読んじゃって、すすまないタイプ?」 「そ、そうだね」 「もー、まちくたびれちゃったよー」 「あ……ののかちゃん、よだれのあと……」 「んぇ?」 まだ半分寝ぼけている様子のののかちゃんの口もとをことねちゃんがハンカチで拭っている。 「みんな、本は借りたかな」 「かりたよ。かえってからよむ!」 「私はー、もう読みおわって感想文も書いちゃった」 「え!? い、いつのまに!?」 「ののかちゃん、すごい……」 「ふふーん。らくしょうだもん。 かえりのバスでせんせーに読んでもらおうかな?」 「今読んだら、チェックして休み明けまでに また直してもらうことにするよ」 「え〜、そんなの不公平だよぉ……」 「ははは、まあ、そろそろ行こうか――」 「あ……。せんせい」 「ん? あ――」 ことねちゃんの不安げな顔を見て思い出した。 僕とことねちゃんはずっとお互いを貪ることに夢中で本を借りる暇なんてなかったんだった。 「ことねちゃんは、また今度来ようか」 「はい……っ」 「え? ことねちゃんは本きまらなかったの?」 「う……うん、そうなの」 話すことねちゃんは内股をもじもじとこすり合わせている。 やっぱりべたべたになった下着が気になるんだろう。 「……? ことねちゃん、もしかしておトイレ? いっときな〜、バスじゃできないもん」 「そ、そうするね……」 「……じゃあ、僕たちは外で待ってようか」 えみちゃんとののかちゃんを促して一旦外に出た。 帰りの道すがら、こっそりことねちゃんに聞いてみる。 「……ことねちゃん、大丈夫?」 「はい。ぬるぬるしますけど……。 それはへいき、です」 「そっか。ごめん、汚して――」 「ううん……。せんせいにいっぱいしてもらえたから ぜんぜん、いやじゃないです……」 頬が赤い。 「でも、かえったらせんたくしなきゃ……」 「……うん」 「ん……、今も、おなかのおくの、せんせいの…… あふれてきそうになって…… ぎゅう、って、がまんしてるの」 股間が反応してしまう。 下着を汚すまいとしてるだけなんだろうけど。 子宮にたまった精液を外に出さないようにしてるなんて。 「ふたりともー、はやくいこっ!」 「ひゃっ!?」 「バスのじかん、あと四分しかないよ〜?」 「ののかちゃん、まさか時刻表覚えたのか……」 「うん。いちど見ればおぼえるでしょ?」 「えー! 何それ! そんなわけないよ〜」 「ん……。はふぅ……」 「ことねちゃん、本当に大丈夫?」 「はい……。ふふ……。 せんせいがまだ中にいるみたい……」 こっそりつぶやいたセリフも僕を魅了する。 誰かがいる場所でこんな風にこそこそと話すことにも二人してはまりこんでしまったかもしれない。 夏休みも後半に入った。 会わない時間が想いを育てるというけれど、今の僕にとってはすべてが当てはまる。 このまちの学校のこと。授業が恋しい。 一方で、都会の生活と教育。もちかけられた転勤の話を忘れられるわけがない。 そして――ことねちゃんのこと。 「誠人さんたら、最近難しい顔をしてるのねえ」 「そうでしょうか?」 「ええ。少し心配かも――あ、コーヒー飲みます?」 「いただきます」 悩むことばかりなのは事実だ。 だけどそれが表面に出てるようなら僕はまだまだということだろうか……。 ちょっと自分が不甲斐なく思える。 「何か悩んでるのかしら?」 「いや……。そうですね。 どうなんでしょう」 「ふふ♪ まだ若いものねえ」 僕は自分でも思ってもみなかったほど素直に受け答えしていて驚いてしまう。 以前なら悩みなんてないと否定していたところだけど。 「…………」 秘密を持っているのに。 「悩みといえば…… 私も昔から悩んでいることがあるの」 「え――何でしょう。僕でいいなら聞きますけど」 「実はね……」 悩ましげな調子に背筋が伸びた。 本当に悩んでいることがあって、僕が役に立てるなら真摯に応えたいと思う。 「電話口でね、自分の名前をどう説明したらいいのか ときどき困っちゃうのよねえ」 「は――、名前、ですか」 「ほら、私の敦っていう字。 なかなか説明しにくいでしょう?」 「た、たしかに」 がくっと崩れ落ちそうになりながらもなんとか同意する。 「敦……アツですか。 そうですね、例えば中国の都市の――」 「知ってるわ、敦煌でしょう? それって響きがいやじゃない。 トン子だなんて風にからかわれるし」 「なるほど……」 「他にもどう説明したらいいのか……」 「じゃあ……平敦盛のアツ、というのは。 どうでしょうか」 「まあ、さすが先生ねえ! でもそれも格好よすぎじゃないかしら」 「それにこの辺は源氏の落ち武者伝説があるし…… 田舎にはありがちな話よね。 何かというと平氏や源氏のゆかりがあって」 「はは……、そうですね。各地にありますね」 「おかーさーん! むぎちゃー!」 「お母さんは麦茶じゃないのよ。 平敦盛なんだから」 「?? 何ゆってるの? あつもり……? わ、コーヒーのんでる〜、 お兄ちゃんもおとなだ」 「そりゃ僕は大人だからね」 「あそびにいくから、むぎちゃ入れてー。 あ、お兄ちゃんもくる?」 「お仕事があるんだから――」 「ああ、構いませんよ。 散歩がてらに少し」 僕が立ち上がると足元にえみちゃんがまとわりついてくる。 「さいきんよくつきあってくれるよねー♪ ねーー♪」 「あ、せんせーだぁ、こんにちはー」 「せんせい……こんにちは」 「こんにちは。みんな挨拶できてえらいね」 僕が遊びについてきた理由は―― ことねちゃんの姿を見たいから、というのが七割。いや……八割かな。 「しかしみんな、この暑いのによく遊ぶねえ……」 「えー、だってー、家にいてもたいくつだしー」 「あ、そうだ、これ! お母さんにもらってきたから」 言って、えみちゃんが何かチューブのようなものを取り出した。 「なんだい、それは」 「ひやけどめだよ。小さいうちでもやきすぎると よくないんだって」 「な、なるほど……」 敦子さんがしっかりしてるのか、それとも田舎の子といえど今どきの女の子ということだろうか。 「あ……。ふふふふ♪ そーだ、せんせー♪」 「うん?」 「ひやけどめ、ぬってー? ほらほら」 ぺろん、とののかちゃんが服の裾をまくりあげる。 「いや……ののかちゃん、そこは服で隠れてたところ だよね? 日焼け止め塗らなくてもいいんじゃあ」 「やだー、せんせー、はずかしがっちゃってー」 「えー! えっちなんだー!」 「えっち……?」 「まったく……いい加減になさい。 ののかちゃんも裾を下げて」 「せんせー、じょうだんつうじないなー♪」 「あ、でもせなかとか、ぬりにくいところは ぬってほしいかも」 「そーだねー。ほら、ことねちゃんのせなかとか」 「え……わたし……? でも、いつもはみんなでぬりっこ――、 もご、もごご」 ののかちゃんがことねちゃんに後ろから抱きついて軽く口を押さえた。 「えへへ……。せんせー、ぬって?」 「あ、ほら! せんせの手のほうがおっきいから、 きっとぬりやすいよ?」 「そ、そうかな……」 これは……チャンス、なんだろうか。 ことねちゃんの肌に触れられる。 そう思うとそそられてしまう。 「はい、せんせ。 ことねちゃんからぬってあげて」 「そのつぎ、私〜」 「えーっ! ま、まあいいけど……。 さいごにじっくりぬってもらうんだもん」 「あ、じゃあさいご私」 「むむ……っ」 「こらこら、二人とも。 しょうがないな……二人は同時に塗ってあげるよ。 手は二本あるんだし」 「それならいっか〜♪」 「しょうがないなー。 じゃあまずことねちゃんからね」 ことねちゃんだけ小さいこともあって、二人は何かあるときはとりあえずことねちゃんを優先してくれているみたいだった。 えみちゃんから受け取ったチューブから日焼け止めを手に広げ、ことねちゃんの背中に触れた。 「ひゃぅ!?」 「大丈夫?」 「ちょ、ちょっとびっくり……しました……」 「じーっ」 「〜〜♪」 「な、なに、二人とも」 「あたしもまねしよー。 ひゃん♪」 「私もー、いやぁん、ばっかぁん♪」 「そ、そんなこえだしてませんっ」 「あははは、ごめんね。 でもちょっとえっちだったかな?」 「う……え、えっち……」 ……なかなかきわどい会話だ。 ことねちゃんの肌に触れながらだと余計に思い出してしまう―― ぺたぺたと細い背に触り、日焼け止めを広げる。 「はい、おわり。次は二人ね」 ……僕はひそかに勃起しそうになっていた。 なんとか耐えて、二人に向き直る。 「やさしくしてね……♪」 まったく、どこでそんなセリフを覚えてくるんだ。 「ちゃんと塗ってね!」 えみちゃんは純粋に嬉しそうにニコニコしてくれているのがありがたかった。 それから僕は木陰に入って、三人がけんけんぱで遊ぶところをぼうっと眺めていた。 都会と違って田舎では日陰に入ってしまえば涼しい。 三人の笑顔と健康的な汗が弾けている。 都会の学校に行ったら……。 もう会えなくなるんだな。当たり前のことだけど。 ここにいれば、むこう数年はみんなの成長を見守っていることができる。 何事もなければ、だけど。 その日はちょっと街のほうまで出かける用事があって僕は朝から出ていた。 用事を済ませて帰ってくると―― いつもの人影が三つ。 えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃんが道端の隅っこに三人でしゃがんで、頭を寄せあっている。 人影はさらにもうひとつ。 子どもたちと比べれば大きい体格で、誰かのお母さんかなとも思ったけれど―― 「あ」 遥先生だ。 四人でしゃがんで何をしているんだろうと思いつつ近づいてみた。 「……?」 道端の、日陰になっているところ。 何かありそうには見えないけれど―― 「こんにちは」 「あ!」 「こんにちは〜」 「こんにちは、せんせい」 「え……きゃ、瀬田先生」 可愛らしい声をあげながら遥先生は立ち上がった。 「こんにちは! はるか先生もごあいさつしよ?」 「あら……そうね、ふふふ♪ 瀬田先生、こんにちは。暑いですね」 「ええ、暑いですね。 こんなところで何を?」 「この子たちにつかまってしまって……。 一緒にアリを観察してたんです」 「ああ、それで――」 みんなしてしゃがみこんでいたわけだ。 よく見るとアリの巣らしき穴と黒い隊列がある。 その隊列の通り道のところどころに置かれた小石や枝も。 「アリさん、すごいんだよ!」 「私よりあたまいいかも〜」 「ううん、アリさんも ののかちゃんにはまけるとおもう……」 いつもの調子のののかちゃんと、なぜか懸命にフォローしようとしていることねちゃんに少し笑ってしまう。 「自由研究の観察記録でもつけるのかな」 僕もしゃがみこんで様子を観察してみる。 この地方のアリは都会のアリより立派な体格をしていて、僕は若干引いてしまった。 「かんさつは、どうしよっかなー……。 まだ迷いちゅう〜」 「ことねちゃんはやった?」 「うん。くもをね、まいにち描いたの」 「え!? クモ!?」 「ちがうよね、くもだよね」 ののかちゃんが空を指さす――けれど、今日は雲ひとつない快晴だった。 「あれ? なかった」 「くすくす……。うん。くもをかいたの。 上のほうはもこもこで、下はぺたんとしてて……」 入道雲の特徴だ。 「それからね、ゆうだちのくもは…… あっちからきて……あっちにいくの」 西から東。日本の気候の特徴だ。 「まあ。よく観察できましたね」 「うん。ののかちゃんもえみちゃんも ことねちゃんを見習うように」 「えへ、えへへ……」 「うぅ……かんさつ、にがてだなー。 あたしじっとしてられないんだもん」 「私はー、すぐねむくなっちゃう」 観察記録をつけるという点ではことねちゃんはえみちゃん・ののかちゃんより向いてるかもしれない。 「瀬田先生」 「はい」 しゃがんでの観察は三人にまかせて、僕と遥先生は立ち上がって木陰に並んだ。 「ことねちゃん……ずいぶん明るくなって。 この夏休みで、仲良し三人組に なったみたいですね」 「そうですね……。いいことです」 「笑顔がとっても可愛くて……ふふ、 すごい成長ですね」 「ええ――」 後ろめたさも感じながら頷く。 「言い方は良くないかもしれませんが、 難しい子でしたから……。 瀬田先生のおかげです」 「いえ、僕は」 そう言われると恐縮してしまう。 「そういえば……先生も、ことねちゃんに 本をすすめて下さったとか」 「あ――え、ええ、そ、そうなんです、実は」 僕が聞いてみると、遥先生は急にしどろもどろになった。 「すすめて下さった作家は、 僕も一冊読んだことが――」 「え……!? そ、そうなんですか。 ほっ……。それは……よかったです」 「? よかった、とは……?」 やっぱり遥先生の反応がおかしい。 今度は急にほっとしたようになって――でも頬が若干赤い気がする。 「い、いえ……その。 少女向けの恋愛小説ですから……。 男性に知られると、少し」 ……恥ずかしいんだろうか。 そう言われると一冊読んだことがある、という僕の発言も恥ずかしいように思えてくる。 「よ、読んだのは学生時代……高校生のときですよ」 「はいっ。私も中高生くらいのときに……好きで。 え、あ、好きというか……。 ちょうど暇をもてあましていた時期なので」 「え、ええ。わかります。わかります……」 なんだか微妙な雰囲気になってしまった。 遥先生の中高生時代……。物静かな文学少女タイプを連想してしまう。 「わっ!」 「ひゃん!?」 「あははは、はるかせんせーすごい声〜」 「ふ、ふたりとも、いたずらは……」 気が付くと、アリの観察をしていたはずの三人が脇から僕と遥先生に接近していた。 「こらこら、観察はどうしたの」 「せんせとはるかせんせを かんさつしてたんだもーん♪」 「口が減らないなあ……」 苦笑するけれど、三人に救われた。 遥先生もそれは同じみたいで、口では怒ったそぶりをしながらもほっとしたように微笑んでいる。 「よし……、じゃあ今日はみっちり アリの観察記録に付き合ってあげよう」 「えー! やだー、もうあきたー」 「ダメ。飽きても飽きても見続けると 新しい発見があるんだから。 ついでに宿題も済ませちゃうと思って」 「ぅう……」 「あはは、怒られてる〜」 「ののかちゃんも、まだなんだよね?」 「ぎくっ……」 「ことねちゃんはどうする? もうできてるみたいだし」 「あ……。えっと、わたしは……。 はるか先生と、どくしょの話、したいです」 「え? そ、そう。 じゃあちょっと涼しいところにいって……。 二人でお話しましょうか」 「はいっ」 ことねちゃんが嬉しそうに遥先生に歩み寄る。 「えっと、わたしは、主人公の男の子と女の子が、 でんしゃでおはなしするところがすきで――」 「こ、ことねちゃん? その話はほら、 ゆっくり二人でしましょうね」 「……?」 「あー、えー……っと。 じゃあえみちゃん、ののかちゃんは 僕と一緒にこっちへ」 「はーい」 「ふぁーい」 考えてみれば、小さい頃の遥先生と、ことねちゃんの雰囲気は何となく似てそうでもあった。 だから目をかけて気にしていたのかもしれない。 二人がどんな話をするのか若干気になるところではあるけれど、多分そっとしておくほうがよさそうだ。 夕涼みに出た僕は、家の周辺を歩いていた。 もうすっかりこの景色にも馴染んだし、えみちゃんの家を自然と「家」と呼ぶようになっている。 「ふぅ……」 今日は疲れた。 一日中ノートパソコンとにらめっこをして、都会の学校で催されている勉強会の資料を読んでいたのだ。 膨大なテープ起こしの記事を作ってくれる先生がいることはとてもありがたい。 皆、熱心で……これからの教育のことを考えている。 校長先生の話を思い出す。 僕もその末席に加われるときが来るんだろうか。 この場所を……後にして。 夏の夕暮れのせいでつい感傷的な気分になってしまい、遠くの山並みを見る。 近いところばかり見て疲れた目が休まる。 それから何をするでもなく五分ほどたたずんでいるとよく見知った姿が視界の端に映った。 「あ――」 ことねちゃんだ。 ひとりで重そうな荷物を持って歩いている。 僕は早足で歩いて彼女のそばに行った。 「ことねちゃん」 「あ……せんせい」 彼女が手にしているバッグのなかには野菜や果物が入っている。 「おつかい?」 「はい」 「重そうだね。持つよ」 「あ……」 僕はことねちゃんの手からバッグを受け取った。 「ありがとう……ございます えと……おせわさま、です……っ」 「はは、後半は別にいらないよ。 大人のお仕事の挨拶だからね」 「そうなんですか? ばぁばはおみせの人に 言うから……」 「ああ、そうだね。お店の常連……そのお店に よく来る人なら言うかもしれない」 「へえ……」 「僕はお店じゃないからね」 「ふふ……♪ せんせいは、せんせい……」 ことねちゃんが僕の腰のあたりに寄り添ってくる。 いつかの、プールに行ったときみたいに。 「まだ夕方だけど、時間はもうけっこう遅いよね」 「あ……はい。ふだんは、ばぁばがおかいもの、 いくんですけど……」 「……? もしかして何かあった? 体調を崩されてる?」 「ううん、へいきです。ちょっとこしがいたいから、 かわりに行ってきて……って」 「そっか。お大事にって伝えて」 「はい」 見舞いにでも行ったらかえって恐縮されてしまいそうだからなかなか難しい。 「しばらくしても腰が痛いの治らないみたいだったら 僕に言って。お医者さん行かないとね」 「はい、わかりました」 二人並んで、ことねちゃんの家までの道を歩く。 それだけのことで少し気分が昂揚した。 さっきまで都会の学校のことを考えてぼんやりとしていたのに――現金だな、僕は。 「せんせい?」 「うん?」 「……ちからもち」 「ああ――」 僕が受け取った買い物バッグのことだろう。 彼女やおばあさんにしては重いかもしれないけれど僕にとっては大した重さじゃない。 「男だからね」 「おとこの、ひと……ふふふ♪ おにもつ、もってくれるの……」 少女らしくふわりとした笑みを浮かべる。 図書館でのことを思い出した。高いところにある本をとってくれたのが嬉しいとことねちゃんは言っていた。 荷物を男が持つというのもありがちなシチュエーションのひとつではある。 「こんなことくらいで喜んでくれるなら 僕も嬉しいよ」 「うれしいです……。 とっても……。とっても」 噛みしめるように言われてなぜか切なくなった。 今日はもう時間も遅い。 偶然二人きりになれたことはなれたけれど、家まで送る以上の何かができるわけじゃない。 ……何かしたいと思ってばっかりなのか、僕は。 「せんせい?」 「あ――うん」 「また、おうちにおとまり……きませんか?」 「それは……、なかなか、ね」 魅力のある提案だけど理由が何もなかった。 「そうですか……」 「さびしい?」 「……はい」 うなずいて僕の腰に抱きついてくる。 ――ドキドキする。 この、なんともいえない、頼られてる感じがたまらなく愛おしい。 「ぇと……それと、おなかも…… すくんです……」 「おなか? ごはん、ちゃんと食べて――」 「ううん、そ、そうじゃなくて」 ことねちゃんにしては珍しく、人の発言を途中で遮った。 何だろうと思う。 「…………」 見上げてくる視線。 潤んで夕日が映えている。 ぞくりと背筋を這っていくような魅力を感じて僕は気付いた。 「ひとりじゃ……できない、から……。 せんせいと、いっしょ……じゃないと……」 「あ、ああ……」 「はぅ……」 悩ましげに息を吐いて、ことねちゃんは―― ――自分の下腹のあたりをさすった。 「さびしくて……切ない?」 「……はい。とっても……。 とっても……」 「……うん」 じっとりと手に汗が湧いてくる。 ――したい。 どうしようもなくそう思ってしまう。 口実。理由。時間。 ぐるぐると回る思考のなか、たどりついたものがあった。 「そういえば、読書感想文、書けた?」 「あ……。まだ、です。よむものがなくて……」 「そうだったよね。借りにいこうか。 今度は……ふたりで」 「……! い、いきます……っ! いきたいですっ」 勢い込んで言って、僕の腰にますます強く抱きついてきた。 「ぇと……あした? あしたですか?」 「あしたは、えっと……予定があるから」 「そうですか……」 目に見えてしゅんとして元気をなくしてしまう。 そんなに――僕と二人で過ごしたいんだ。 「大丈夫、あさってにしようか。どうかな」 「あさって……。はい……! あさって、いきます……っ」 「お琴のお稽古は?」 「ぁ……。えと、ばぁばがようつうだから、 たぶん……へいきです」 「じゃあ、明後日ね。迎えにいくよ」 「はい♪」 それからの道すがらことねちゃんはずっと嬉しそうにしていて、こっちも頬が緩んでしまう。 「そろそろおうちだね。 夜遅い時間に出歩いちゃいけないよ。 今日みたいな時間になるときは僕に言ってみて」 「はい、せんせい」 ことねちゃんはいたく上機嫌で、返事も元気がとてもよかった。 その普段とは違う浮かれた様子に、僕の話を本当に聞いているのかちょっと不安になるけれど。 「せんせい?」 「うん?」 「あさって……ふたりでおでかけ、ですよね」 「うん。そうだね」 「それって……でーと、ですか?」 「あ――そうだな。デートだよ」 「わぁ……! ふふふ……♪ せんせいと、デート……♪」 ことねちゃんは上機嫌になりつつ、指で空中を軽やかに爪弾く動作をする。 何だろうと思って数秒眺めていて、それが琴を弾く動作だと気付いた。 普通の子ならスキップでもするところだろうに、ことねちゃんはことねちゃんなんだなと思った。 たおやかで美しい動作にしばし見惚れてしまう。 「……? せんせい?」 「うん」 「あ……。 わ、わたしだけ……はしゃいじゃいました……」 「ううん。僕もはしゃいでるよ」 「ほんとう?」 「うん。ことねちゃんくらいの年頃なら、 山に向かってヤッホーって呼びかけてたかも」 「くすくす……、やっほー♪」 本当に珍しいくらいにはしゃいでくれている様子に僕の心も踊った。 「じゃあ、おうちの人によろしくね」 「おうちの人……? ばぁば?」 「あ――うん。そうだね」 やっぱり僕も浮かれてしまっていたらしい。 ことねちゃんの前なのに、習い性でいつもの挨拶をしてしまった。 少し焦る。 けど、正面切って聞くしかないか。 「最近は、お父さんとお母さんは?」 「……。おぼんも、いそがしいって……」 「……そっか。大変なんだね」 買い物バッグをことねちゃんに渡しながら、小さくて丸い頭を撫でた。 「きっと、ことねちゃんのためにお仕事、 頑張ってくれてるんだと思うよ」 「……はい。へいき、です……」 「そう?」 「はいっ。いまは……せんせいがいるから……」 上目遣いで見上げて微笑んでくれる。 僕はたまらなくなって―― ことねちゃんの前髪をかきあげ、小さな額にくちづけた。 「あ……、わ……」 「おでこにするキスは、親愛のキスなんだよ」 「しんあい?」 「きみのことを可愛く思ってる……。 かわいがりたい、そういう意味」 「えへへ……はい。 かわいがって、ください……」 「可愛いよ」 「ぅ……はぅ……。せんせい、おじょうず……」 「はは……、あさって、楽しみにしてて」 「はい……っ。 あ――せんせい、おやすみなさい?」 「よく覚えてたね。この時間だもんね。 おやすみなさい」 「えへへ……おやすみなさい」 「うん。おばあさんにも、お大事にって」 僕は立ち上がってことねちゃんの家を後にした。 田舎道をたどりながら振り向くと―― 買い物バッグを抱えたことねちゃんがまだこっちを見ていた。 苦笑しながら手を振って、家のなかに入りなさいという仕草をすると、ことねちゃんはやっと家の門をあけた。 ……可愛い子だ。 情を注ぎたくなる。 親愛。愛情。そして……劣情と欲望も。 今日は真面目に二人で本を選んだ。 思い出してしまうと落ち着かなくなるけれど、そろそろ夏休みも終盤。 この地方の夏は少し短めで、朝夕にはもう随分と秋の訪れを感じられるようになった。 そうなるとさすがに気持ちも焦る。 夏休みの宿題くらいはしっかり終わらせられるよう指導してあげたかった。 少しスパルタ式にはなるけれど、昼から図書館に行ってその場で本を読んで、感想文の作成までやっつけてしまう形だ。 これをひとりで小一時間でやってのけたののかちゃんは……すごいというほかない。 「書けそう? お、あと少しじゃないか」 「はい。がんばります」 休憩を二度挟んで、二時間と少しが経った。 原稿用紙はことねちゃんの綺麗な字で七割ほどが既に埋まっていた。 この分ならあと少しだろう。 ことねちゃんは真剣な表情で本と向き合って、ぱらぱらとめくっている。 何かアドバイスしたくもなるが今は特にその必要もなさそうだ。 僕は昔読んだ本を読み返しながら待った。 ことねちゃんはもともと集中力が高いほうではなかったと思う。 よく気がつく子ではあるけれど、その分注意は拡散しがちだった。 「…………」 それが今はこれだけ集中しているんだから大したものだ。 みんな成長していく。それと比べて僕は。 …………。 さらに十分ほど待って―― 「はふ……。できました」 「どれどれ……。おお、すごいじゃないか」 綺麗な字が原稿用紙一枚にきっちり収まっていた。 「あ……! い、いまはよまないでくださいっ」 僕が読み始めようとしたタイミングで、ことねちゃんは上半身で原稿用紙の上にぺたんと覆いかぶさった。 「ん、そうだね。ことねちゃんがそう言うなら そうするよ。夏休みの宿題なわけだし」 「はい……。目のまえだと、はずかしくて……」 はにかんだ笑みも可愛らしい。 「うん。気持ちはわかるよ。 学校が始まったら楽しみにしてるから」 「じょうずにできてないかもしれないけど、 せんせいに見せるの、たのしみです」 僕は頷いて立ち上がった。 手持ちの小さなバッグに勉強用具をしまうことねちゃんを見つつ、本を書架に返す。 「帰り、ちょっとお店も見ていこうか」 「……はいっ!」 元気のいい返事をもらって純粋に嬉しくなった。 「よく頑張ったし、まず最初におやつでも 食べていこうか」 「え……いいんですか?」 「ごほうびだよ」 「えへへ……。うれしいです」 「せんせい?」 「うん?」 「まいごになるといけない、です」 「え――あ、ああ」 すっと自然に差し出されたことねちゃんの手。 特に何も考えていない風な仕草。 僕は一瞬戸惑ったけれど、深くは考えずに手を握り返した。 「えへへ……」 するとことねちゃんは僕の手の握りをやんわりほどいて――指を絡め直した。 ……このつなぎかたは。 指を一本一本絡める、いわゆる恋人つなぎだった。 「本にかいてありました。 こいびとどうしなら、こうするって……」 「そうだね」 年甲斐もなく緊張してしまう。 迷子、という単語からは小さな子の自己防衛しか想像できなかった。 でもことねちゃんの意図はこれにあったんだ。 「積極的だね」 「せっきょくてき?」 「自分からこんな風にしてくれるなんて、 僕は嬉しいな……。嬉しくなっちゃうよ」 「そうですか? それならよかった……くすくす」 含み笑いを聞きながら歩き出す。 ことねちゃんの頭のなかでは、本で読んだ情景が広がっているのだろうか。 恋愛小説のヒーロー役が僕にあてはまってしまっていると考えると、相当恥ずかしい。 「せんせいは、ほしいものある?」 「何だろうね。特にないかな」 都会にいた頃はもっと色々あった気がする。 人から自分がどう見られているか――そんなところにも気を遣った。 だけど今の場所に来てから、いつの間にかそういうことを考える時間は少なくなった。 アーケードを練り歩きながらぽつぽつと会話を交わす。 「おやつ……フレンチトースト、 おいしかったです」 「うん。それはよかった」 「でも……あのね、いまかんがえたら、 せんせいはコーヒーだけでよかったのかな…… ってすこし思いました」 「いいよ、大丈夫だよ。 大人になるとコーヒーがおやつがわりに なるんだよ」 「へぇ……! おとなってすごいっ」 商店街に来て、まず喫茶店に寄った。 ことねちゃんのおやつのリクエストは、フレンチトーストだったのだ。 おばあさんと二人暮らしならめったに食べられないメニューだろうと思う。 「しあわせ、です」 「はは……そうなんだ」 「はい。おいしいおやつで、おなかいっぱいで…… せんせいと、デート……」 「うん」 「わたし、おとくなのかも……?」 「お得?」 「せんせいは、せんせいだから、ごほうびくれて…… それで、こいびとだから、デートもできて……。 どっちもできちゃうの」 「お得だね。僕もお得だよ。ことねちゃんは かわいい教え子で、かわいい恋人でもあるから」 「あは……うふ、えへへへ♪」 ずっと忘れていたような感情が胸に染みてくる。 デートをしてるんだ。女の子と。 「えっと……何か見たいものとかあるかな」 「わたしは……おようふく、見たいです」 「じゃあ、ちょっと見てみようか あっちのほうにお店があったかな」 僕たち二人の様子を気にしている人はいない。 親子――にはさすがに見えないだろう。 ことねちゃんの言う「こいびとどうし」だと見る人だっていないはずだ。 小さな子と、親戚の青年、そんなところだろうか。 「せんせい?」 「うん?」 「おてて、あったかいです……」 「暑くないかな」 「ふふ……♪ あせ、かいてます。わたしも」 「うん。嫌なら――」 「ううん、いやじゃないです。 ……ふたりでしたこと、おもいだすの」 夏の暑気もあって、触れあった手はお互いに汗をかいていた。さっきから、割りとずっと。 汗ばんだ手を絡めていると確かに淫らなことを思い出してしまう。 手で交わっているような気がしてひどく卑猥な気分にもなる。 他の人が相手ならそれに引け目を感じたかもしれない。だけどことねちゃんが相手なら、それも許されるような気がしてしまう。 「このお店、見てみる?」 「はいっ!」 服屋のなかの、ことねちゃんくらいの子が着るものが置いてあるコーナー。 改めてこんな場所に来てみると結構不思議な気分だった。 普段ひとりでいるときにはスルーする場所。 「……♪」 ことねちゃんは僕の手を引くようにして機嫌よく服を見ている。 パンツやスラックスならレディースとメンズの違いは近づいてみるまでわからない時もあるけれど、このサイズだと遠目でもさすがにわかる。 だから本当に近づいたことがない場所だった。 「手をつないだままじゃ見にくくないかな」 「だいじょうぶです。それに、 まいごになったらたいへん」 ことねちゃんにしてははっきりと答えて絡めた指にきゅっと力をこめてくる。 「何か……買ってあげようか」 「え……いいんですか?」 「うん。ごほうびだと思って――」 「ふふふ……、ごほうび、たくさんもらいすぎかも」 「そ、そうだね」 ……甘やかしすぎかな。 「いつものせんせいなら、べんきょうは自分のため って言うのに」 「はは……、その通りだ。ごほうび目当てじゃ いけないけど……」 言いながら、なぜか感情があふれてくる。 「ごほうびでもいいのかも。だって、春から…… ことねちゃん、ずっと頑張ってたじゃないか」 「……せんせい……」 ぼうっと見上げてくる瞳。 「……せんせいが、見ててくれたから……」 「僕は何もしてないよ」 「そんなことないです。しっぱいしてもいいよって、 せんせいが言ってくれたから」 「…………」 「わたしがしっぱいしても、せんせいが見ててくれて きっとつかまえてくれるから」 「だから……たくさん、できました」 「……うん。ありがとう」 そんな風に言われてますます惑う。 もうすぐ秋が来る。 転勤の話をどう処理すればいいのか、僕は未だに決めかねている。 彼女のこの先を見ててあげる人は誰なんだろう。 「プールも、できるようになりました」 「ああ……うん」 水着のコーナーはもうセールになっていた。 いくつかの値札が書き換えられている。 「あたらしいみずぎ、見たいかも……」 「……うん」 一瞬動揺してしまったのを押し隠す。 新しい水着。だけど今年の夏はもう終わる。 いま水着を買ったとしても、それを着るのは恐らく来年になってからだろう。 そのときに僕は―― 「せんせいは、どんなみずぎがすき?」 「え――あ、ああ、そうだね」 話しかけられて意識を戻しながら改めて水着のコーナーを眺めてみる。 「こういうのとか、ことねちゃんに 似合いそうだなと思うけど」 「……ふりふりです」 「ちょ、ちょっと子供っぽかったかな」 「くすくす……せんせいも、 かわいいものがすき?」 「そういうわけでもないんだけどね」 なぜかしどろもどろになりながら、僕はワンピース水着をもとの場所に戻した。 「わたしは……おとなっぽいのがいいです」 「そうなんだ」 「はい。せんせいのこいびととして、 はずかしくないように……」 少しだけすまし顔で言うそのセリフのアンバランスさもことねちゃんらしい。 「あ……」 「うん?」 「かのじょ、って、いうんですよね?」 「ぷ……はは、そうだね」 本で得た知識だろうか。笑っちゃいけないと思いつつも笑ってしまう。 「せんせいは、かれし?」 「そうだね。恋人同士ならそうも言うね」 「ふふ……。よびかた、たくさん。 おぼえないと……」 握った手にまた力を込められて、僕も握り返す。 店の冷房のおかげで汗はひいて、さらりとした感触になっているのも心地良かった。 「せんせいのかのじょとして…… みずぎ、えらびますっ」 何だか妙に気合を入れて、ことねちゃんは思案し始めた。 僕を引き連れながらしばらく水着コーナーをじっくりと吟味して―― 「きめました」 そう宣言した。 「どれ?」 「えっと、しちゃく……してみます。 か、かれしとして……にあってるかどうか、 言ってください」 「は、はい」 やっぱり妙に気合を入れてことねちゃんは言う。 「少ししてから、しちゃくするところに きてください」 「わかった」 僕の手からことねちゃんの手が離れる。 夏休み中といえど平日の昼間、店のなかに客の姿はそう多くない。 試着室が使用されている気配もなかった。 店員はレジにひとり姿が見えるけれど、何か作業中らしく視線を落としている。 これならわざわざ声をかけるほどでもないだろう。 いったいどんな水着なんだろう。 あまり想像が浮かばなくて、僕はただ水着売り場の周辺を歩いて時間が経つのを待った。 しばらくしてから、ことねちゃんの靴がそろえて脱いである試着室の前に立つ。 「ことねちゃん?」 「……せんせい?」 当然試着室のカーテンは引かれている。 いきなり開けるわけにもいかない。 「試着、できた?」 「は、はい……」 さっきの気合の入れようとはうってかわって、返事は少し心細げだった。 「み、みてください……」 小さな声と同時にカーテンがあいた。 「!」 現れた姿に僕は思わず驚いてしまった。 ことねちゃんが着ているのはセパレートの、しかもビキニタイプの水着だった。 「……っ」 驚いたまま二の句が継げない。 「どうですか――」 驚きと、想像だにしなかった細くいたいけで妖艶な姿に見とれてしまったことで、僕の口はついすべってしまう。 「ダメだよことねちゃん、そんな…… えっと、他の人に見られたら」 僕はどこか慌てながらカーテンをしめた。 「あ……」 ことねちゃんの水着姿はあまりにも大胆で、他の人に見せたくないという気持ちが強かった。 ことねちゃんの体には似つかわしくない、少ない布のそれが妙なほど卑猥なものにも思えてしまう。 ばくばくと心臓が脈打つ。 同時に今まで自分がしたことを思い出してしまう。 「……せんせい?」 「…………」 何か返事をしてあげなきゃと思うけれど、何も言葉が思い浮かばない。 「……っ」 しばらくして―― カーテン越しに震えるような空気が伝わってきた。 「ごめん、ことねちゃん……」 「……どうしてあやまるの?」 「いや……、びっくりしちゃって……」 「…………」 震えるような空気が、やがてすすり泣くようなものに変化していく。 ……しまった。 やってしまった。 頭はかっと熱くなっているのに背筋は冷えていく。 「ことねちゃんのそんな姿を…… 他の人に見られたくなくて」 これは本音だ。 「う……ひっく……」 だけどすれ違ってしまっているのはわかる。 「わたしは、せんせいの…… こいびと、しっかくですか?」 「――どうして?」 「だって……ひっく、ぅう……。ぐすっ……。 わたしがほかの人に見られたら、 はずかしいのかな、って……おもって……」 「あ――」 どこですれ違ったのかに気付く。 「違うんだ……。その……」 言葉を選びながら言う。慎重に。 「僕はことねちゃんを……独占、 ひとりじめしたいっていう気持ちが強くて」 「ひとりじめ……?」 「他の人に見られたくないんじゃなくて、 見せたくないって思っちゃって……」 「…………」 「ごめん。勇気を出して、着てくれたのに」 あの妙に気合の入った仕草。 そして、直前の心細げな声。 その二つが示しているものはひとつだった。 精一杯背伸びして、恋人として……僕のことを喜ばせようとしてくれたのに。 僕が選んだフリルワンピースの水着を彼女は「子供っぽい」と思ったようでもあった。 僕に並び立つような努力をしてくれたのにその想いを無碍にしてしまった。 「……せんせい」 「うん……」 カーテン越しに、声だけが聞こえる。 彼女はいまどんな表情をしているんだろう。 「ふたりのときだけ、だから……?」 「あ――」 僕が言ったことを理解したという声だった。 だけどそうやって改めて問いかけてくるのは、納得はしていないからだろう。 「そうだね……。肌がたくさん見えてるのは…… 二人のときだけがいい、と思って」 「……はい」 その返事も、ただ返事をしたというだけの声色だ。 お互いに顔が見えないせいもあって戸惑う。 ことねちゃんは口数が少ないほうで、僕だってそう多いわけじゃない。 何か言わなきゃと思うけれど舌が引っ込んでしまってなかなか出てこなかった。 「せんせい」 「はい」 こんな年頃の女の子の気持ちすら扱えない自分が嫌になる。 「プール……」 「プール?」 「たのしかった……夜の……」 「うん。僕も楽しかったよ」 「またいきたくて…… せんせいと、いっしょに……」 「……そっか」 そこで言葉は途切れる。 少し考えてから僕は素直な言葉を付け足した。 「プールでのことは、僕のなかでも…… すごい思い出になってるよ」 「……そうなんですか?」 「うん。あのときから、ことねちゃんと 二人でいたいって思うようになった」 「……」 身動ぎする気配が伝わってくる。 「わたしは……およぐのじょうずになって、 またせんせいと……プール、いきたいです」 「――うん」 中途半端な答え方になってしまう。 今年はもう、タイミング的に無理だろう。 だとしたら来年。 来年――僕はここにいるのだろうか。 「せんせい」 「……」 「どこにもいかないで」 「……っ」 いきなり胸を締め付けられた。 「あのね、せんせいがたくさんごほうびくれるの、 おとうさんとおかあさんみたいって……思ったの」 ことねちゃんの不安げな様子の根本が僕にもやっと分かり始めた。 たまにしか会えない彼女の両親。 厳しくしつけするのは祖母に任せて、たまに会えたときくらい、ときっと二人はことねちゃんを甘やかすのだろう。 娘との「思い出」を作りたいために。 「そうか……」 僕も同じことを今日、していた。 来年、違う場所にいるかもしれないから――今のうちにできるだけ彼女の心のなかに残っていたくて。 そこからことねちゃんは敏感に何かを感じ取ったに違いなかった。 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。 過ぎたあと、ふとひとりになって、いったい何だったんだろうと思ってしまうのだ。 試着室での数分。 慣れない水着をひとりで試着して、ことねちゃんはそういう気分に襲われたのかもしれない。 「……せんせい?」 「…………」 「わ……わがままいって、ごめんなさい」 「そんな、わがままだなんて――」 「せんせいは、せんせいだから…… ずっとわたしのせんせいじゃないの、 しってます……」 「でも……今は……」 「ことねちゃん」 カーテンの向こうでまた言葉が震え、人影が動く。 「せんせい……見て……?」 「……っ」 「見てもらいたいの……。 たくさん、わたしのこと……。 じょうずにできても、できなくても……」 カーテンの微かな隙間から覗いたことねちゃんの瞳を僕は確かに意識した。 いてもたってもいられなくなって、僕は試着室のカーテンをめくった。 「あ――」 「ことねちゃん」 試着室に入ってすぐ、ことねちゃんの細い体を抱きしめる。 狭い試着室のなか、ことねちゃんの姿を見ている余裕はなかった。 「せんせい……」 「ごめん。色々言わせて……気を遣わせて」 「ううん」 「ことねちゃんは……優しい子だ」 「そんなことないです……。 きっと、わがままです……」 ぎゅっと強く抱きしめてからどれくらい経ったのだろう。 僕はふと顔を上げて、試着室の鏡張りの壁に気がついた。 「あ……」 鏡越しに視線が合う。 ことねちゃんの目の端は少し涙で濡れていた。 だけど視界に入るのはそれだけじゃない。 ことねちゃんのビキニ姿も当然、目に入ってくる。それは網膜に焼きつくほどの強い印象を残した。 同時に試着室に満ちていることねちゃんの肌の匂いを意識して―― 股間に血が集まってしまう。 「……っ」 ある意味情けない状態に僕は惑った。 このまま抱きしめていたい。 けれど、そうすれば勃起し始めていることに感付かれてしまう。 「……せんせい?」 「うん」 「……こいびとどうし、したい……?」 「え――」 「せんせいに……おぼえててほしいの」 僕はまた言葉につまってしまう。 「たくさんおもいで、できました……。 だから……」 この夏のこと。 「ん……」 おずおずとことねちゃんの手が移動して僕の股間に触れた。 「あ……」 ほっとしたような声。 勃起している僕のものに触れて、その反応に安堵してくれている。 僕もほっとする。 まだ自分が求められていることに。 「せんせい?」 「……しましょう?」 僕は股間を露出させた。 「ん、っしょ……ん……」 露出したペニスをことねちゃんは太股に挟んだ。 しっとりとした肌の感触が伝わってくる。 外で汗をかいてから、しばらく涼しい店内にいて――さらりと乾いてひんやりとした肌。 そして、ビキニの水着の独特の感触。 夜のプールでしたことも思い出す。 「ことねちゃん」 僕は鏡越しに映ることねちゃんの姿をあらためてじっくりと眺めた。 「……可愛い」 「……よかったぁ……」 「さっきはごめん、本当に――」 「ううん……。 にあってます……か? しょうじきに、言ってください」 「正直に……えっと……」 生唾を飲み込む。 「興奮する……。興奮してる自分に気付いて 他の男に見せたくなくなるっていうか……。 独り占め、したくなる」 「……はい」 少しはにかんだ笑み。 「こいびとどうし、したくなる……?」 「わかると思うけど……なってる」 僕は自分の手を止められず、すぐにことねちゃんの小さな胸に触れていた。 ビキニ越しに女の子の胸を触るなんて初めての経験だ。 「ぁ……ん……!」 力加減がわからなくて思わず強く握ってしまう。 「は……はぁ……、せんせい……っ」 「……声は」 「……はい。なるべくがまん、します……」 「でも……。なるべく、せんせいのこと、 せんせいって、よびたい……」 「……っ」 そんな訴えも愛らしく、股間にはますます力が入ってしまう。 僕はもう腰を前後させ始めた。 ゆっくりとではあるが、ビキニの股間に竿を押し付け擦れる感触を楽しむ。 「ん……ぁ、は……ぅ……」 しめやかな吐息も獣のような欲望を誘った。 またこんな場所でしてしまっている。高ぶって……どうしようもなくて。 夏休みはあと何日で、何回ことねちゃんと会えるんだろう。 何回これができるんだろう。 ひょっとしたら、もう―― 「ん……はぅ……。せんせい…… せつなそう……」 「……」 僕は何も答えられなかった。 切なさの理由を考えてしまうことから今は逃げていたかった。 「せんせい……ぁ、ん……! さきっぽ……そんなに……はぅ、ん……!」 胸をいじる指はもっと優しくすべきだと思うのにどうしても力がこもってしまう。 冷房の効いた店内なのに汗もふきだし始めた。 「せんせい……?」 「……うん」 「わたしの……せんせい……」 切なげに言って眉をひそめ、ちらりと僕の瞳を見る。 残したい。 残りたい。彼女のなかに。少しでも。 迷いながら僕は自分の欲望を口にした。 「ことねちゃん、これから」 「はい……」 「入れて……また、白いの、 中に……出したい」 「……はい。わたしは、へいきです……。 そうしてほしいです……」 「……っ」 「おなか、いっぱいに……。 して……?」 自分でぶつけた欲望なのにさらに煽られて誘われて僕はますます我慢できなくなってくる。 僕もことねちゃんもこの狭い密室ともいえない場所で明らかに発情していた。 お互いが放つ空気でわかる。 うっとりとした表情に僕は激しい劣情を抱いた。 「水着、汚してるね」 「だって……」 竿に濡れた水着の感触が当たっている。 濡れているのは、ことねちゃんが分泌した愛液によってだった。 ぬめりが徐々に竿の上部全体に広がっていく。雁首にもまとわりつく。 そのぬめりを広げ、また浴びるように素股状態で腰を前後させた。 「……っ」 「あ……せんせい……」 顔を上げる。 すると、ことねちゃんが鏡越しに僕の表情を見ていた。 「せつなそう……」 彼女におおいかぶさる自分の姿も見えてしまって僕は急に少年のような気分になった。 しばらく目を合わせ続ける。 けれどことねちゃんはそらそうとしない。 蕩けた瞳でじっと僕の瞳を見て感じ入っている。 「ん……はぁ……」 その瞳の色と切なげな喘ぎ声に、僕はなぜか彼女から向けられる深い愛情のようなものを感じてしまっていた。 僕が独り占めしたいと思ったのと同じくらいに、きっと彼女も僕を独り占めにしたいと思っている。 ――せんせいは、わたしだけのせんせいじゃないから、その言葉の核に触れた気がして気持ちが高ぶった。 「こんなに濡らして……」 「はい……。せんせいのこと、考えたら……」 「……っ」 「いつもこうなるの……」 「ひとりでも?」 「うん……。きょうも……かえのパンツ、 もってきてます……」 頭の奥がちかちかした。 「それでも……ひとりではしてないんだ?」 「はい。だって、そのほうが…… こうしてるとき、きっとうれしいから……」 ――たまらない。 「入れたい……」 「はい……っ。入れてください……。 ごしごしするだけじゃ、たりません……」 「おなか……いっぱいになるまで、 たくさん、ほしいです……」 それだけ我慢したんだから、とことねちゃんの瞳が妖しく訴えかけてくる。 「ごほうびより……、こいびとどうしで すること、たくさんがいいです……っ」 頬を汗が伝う。 場所と状況を考えろと理性が言う。 本能がそれを弾き返す。 そしてやがて理性も、この場を逃したらいったいどこでこういうことをするつもりだと考え始める。 「ことねちゃん」 「はい」 「このまま……入れる……」 「どうぞ……」 自由に会える時間は実はもういくらもないんだ。 僕は水着の股をズラし、先端を濡れそぼった秘所にあてがった。 ただ欲しくて――欲望を受け容れてほしくて、あとを刻みつけたくて。 「んぅ……!」 「はぁ……ッ」 挿入した瞬間に歓喜で体が震えた。 あたたかい膣内。蕩けるような感触。 何度か体を重ねて、ことねちゃんの膣肉は僕の形を覚えてくれている。 合わさっている強い感覚が脳裏の奥を突いた。 「ぅ……ん、はぁ、ぁ……」 味わいたい。 余すところなく、全部。 すぐにでも出してしまいそうな感覚のなか、僕はなるべくゆっくりと腰を動かした。 「ん……! ぁ……はぁ……。ぁ……」 たっぷり数秒はかけるようなピストン。 襞の感触を覚えていたい。 締め付けはきついけれど、それは僕のペニスの形に誂えられたようなきつさだった。 ただ締め付けるだけでなく、どんな形をしているのか知っていて、サイズもぴったり合ってくるような。 「ことねちゃん……っ」 「はい、せんせい……っ」 思えばこうして挿入したときは、いつも激しく動いてしまっていたように思う。 とにかく注ぎ込みたくて。 だけど今は違う。僕は初めて十分に楽しもうとしている。 この女の子の全部を味わいたい。 「はぁ、あ……! おおきい……っ、ん…… はぁ、ふぅ……、ん……!」 「どんどんあふれてくる……」 「おく……きゅって、して……っ」 いったん浅いところまで引いてから―― ――深いところまでゆっくりと進める。 「あ――あぁ、あ……!」 するとことねちゃんは背をそらせ、ぞくぞくと蕩けてしまうような声をあげた。 更に進めて、奥に到達した瞬間―― 「ん……! ぁ、んぅ……!」 膝が内向きにがくがくと震え、吐息が漏れた。 締め付けも一瞬、強くなる。 「イ、キそ……、ん……!」 「もう一回……」 同じ動きを繰り返す。 腰を浅いところまで引いて―― 「ひぅ、はぁ……、う、ん……っ」 ゆっくりと進めていく。 「ああ、あ……あ、ぁああ……」 そして奥まで到達する―― 「んぅうう!! ……ぁ、は……、 ああ、ぅん……。はぁ、はぁ……」 きゅ、きゅ、と膣襞が可愛く収縮する。 こんなゆっくりしたピストンで、奥を突かれるだけでことねちゃんは絶頂に達した。 「こんなに感じて……」 「はぅ……、ずっと……まってたから……」 「…………」 「やっといっぱいになって、ぜんぶぎゅってなって、 すごく……とっても、しあわせ……」 そのまま数十秒、僕はずっとことねちゃんの一番奥にいた。 何もしないでもうねる膣肉。先端には小さな口が吸い付いてくるようにも感じる。 「はぁ……、ん……はぁ……」 吐息を聞いていると、店内で流れている明るいBGMも耳に入ってきた。 人の話し声はほとんど聞こえない。静かだ。 そんななかで、僕はことねちゃんを―― 「もう……動いていいかな」 「はい……いつでも……。 せんせいも、きもちよくなって……」 言いながら、ことねちゃんはくすりと笑みを漏らした。 「きょうのせんせい、やさしいみたい……」 また鏡越しに目が合う。 鏡に映っている体格差を意識してしまう。おまけに店の照明は明るい。 ことねちゃんが今までどれだけ無理なことを受け容れてきてくれたのかやっと知った気分だった。 「いつも……苦しくなかったかな……」 今更そんなことを聞くけれど―― 「ぜんぜん」 ことねちゃんの答えははっきりしていて、どこか余裕すら感じさせるものだった。 「ことねちゃん」 「はい……」 名前を呼ぶことと返事をもらうことを合図にして僕はまた腰を動かし始める。 心地よさは急速に大きくなっていった。 濡れそぼった膣内の締め付けはさっきよりもきついほどにぴったりと僕に合っている。 「はぁ、ん……っ、ぁ、はぅ……」 吐息の甘さもさっきよりも上で、耳に響いて残る。 この子のなかに残りたいと思っていた。 だけど今は――この子を自分のなかに残したいと思い始めている。 忘れないように、声も肌も甘さもにおいも。 「んっ、ぁあ……はぁ、あ……っ」 「ことねちゃん……っ」 「はい、せんせい……、ん、あふ……はぁ……」 「好きだ……」 思わずそんな言葉を漏らしていた。 「はい、わたしも……すき……、です……」 「今までも好きだった、けど……。 先生としてとかじゃなくて……」 「……?」 「ひとりの男として……好きだ」 「ぁ……」 そう言った瞬間に興奮で背筋が熱くなる。 「うれしい……」 ことねちゃんの襞も強く締まった。 「ほんとうの、こいびとどうし……?」 「……うん」 「うれしい……せんせい……っ、 ん……ぁ、はぅ……っ」 お互いに気分がどんどん高まっていくのがわかる。 求め合う気持ちが強くなる。 「はぅ……ん、はぁ、あ……! ふわって、する……っ」 腰を動かしながら僕も高ぶっていく。 好きだと言っただけでこんなに射精感が増すなんて信じられない気持ちだった。 「こんなに好きになったのは、ことねちゃんが…… 初めてで……っ」 「はい……っ、ん、ぁ……! はぁ、うぅ……!」 「もう……このまま、中に……っ」 「おなかの、なか……?」 「出したい……」 「はい……、いっぱい……おへそのしたに、 じわってするの……だして……!」 ことねちゃんの体を強く抱く。 けれど味わいたくて、ピストンはあくまで緩く。 膣襞に擦りつける感覚を堪能しながら上り詰める。 「……っ」 「ふぁ、ぁ……はぁ、ん……! ぎゅって、してきたぁ……!」 「もうすぐ……!」 「はい……! わたしも……んっ、 あ、イキそ……、はぅ、んぅ……!」 「イキそう、イキそう……、せんせい……! いっしょに……、ぁ、んぅ……!」 ゆるいピストンを繰り返し、雁首と襞がめくれ、擦れる感触に没頭する。 出したい―― 中で出したい。 「あ、ん……! イ……ぁ、はぁ、ああぁ……!」 「……っ!」 本能と理性の両方が絶頂に向かっていく。 一番奥にぴったりと先端をくっつけて、僕は射精を開始した。 「んぅ! ぁ、はぁ! あ……っ、ん……! ぅ……ん、あああぁぁぁ……っ!」 お互いの体が、がく、がく、と大きく震える。 僕の射精を受け止めてくれる細い体。 「ぁ、ん……! はぁ、あ……! あぁ……っ、 いっぱい……っ、おなか、おく……っ ん、ふぁ……はぁ……」 脈動は長く続いた。 全身が熱くなり、更に熱い白濁をぶちまけている。 ことねちゃんの中。奥。 注ぎきることに全身が喜んでいる。 「はぁ……、う……」 「ん……はぁ、はぅ……」 たっぷり一分近くも経ってやっと脈動が収まり、ことねちゃんも大きく息を吐いた。 「すー……ふぅ、はー……。 おなか……いっぱいです……」 「……うん」 「あついの、たくさん…… じわ、じわって……してます……」 女の子に射精を受け容れてもらったときのなんともいえない満足感。 心を浸されて僕は無意識に言っていた。 「……好きだ」 「……はい」 「もっと早く……言えばよかった……」 「もう、しってました」 そう言われて僕は顔を上げた。 ことねちゃんは僕を見つめている。 笑顔の質が変わったような気がした。 「せんせい、すきです」 「っ、ありがとう……」 そう返すことしかできなかった僕をことねちゃんは見つめつづけてくれる。 ずっと前から僕のことを僕より知っていたという風な柔らかな視線に満たされてしまう。 「あ……」 「せんせいの……おへそのしたで、 ぴくってしました……」 嬉しそうに告げられて、僕も嬉しくなって―― 想いが通じ合ったんだとやっと実感した。 ことねちゃんは初めから、純粋に僕のことを好きでいてくれたのだと実感して、また新たな愛しさが湧いてくる。 「もう一回……」 「はい……」 ひとこと頷き返されただけで僕のペニスは跳ねた。 通じ合った人と交わることに大きな悦びを感じて、強く強く滾る。 「たくさん……、なんどでも……。 いっぱい……」 「こいびとに、してください……」 「ことねちゃん……っ」 僕は再びピストンを開始する。 先ほどに比べれば激しい動き。 滾りを解放したい、この通じ合った状態で早く早く全部放出してみたい――そんな想いに胸を強くつかれた。 「ふぁ、ぁ……! んっ、ぅう……!」 腰を打ち付ける音がギリギリ鳴らないような強さで抽挿を繰り返す。 「ん……! せんせい、ぁ……ん……! はぁ、ふぁ……んぅ……!」 一度大きな絶頂に達したおかげもあって、ことねちゃんの膣内はほどよくほぐれている。 僕のほうも一度出したのが影響し、ひきつるようなペニスの感覚と接している襞の絡みつきをより直接的に感じた。 「はふ……ん、はー……ぁあ、はぁ……っ んっ、ぅうう、ぁあ……!」 「イキたかったらイッてもいいよ」 「ううん……、せんせいといっしょ……、 いっしょがいい……ぁ、ん……!」 背を反らせて精一杯耐えてくれている。 可憐な腰つき。 だけどその内部は快楽を知っていて――おまけに僕の精液をもう注がれている。 「ん、あ……! おくまで、いっぱい……っ ん、ぅう、はぅ、ふぁ……ぁあ……!」 ピストンを繰り返したせいで、一度注いだ白濁があふれ始めていた。 ことねちゃんの愛液と混じったそれが卑猥な音を立てる。 「……っ」 白濁のせいで、ことねちゃんの膣口の桜色が余計に目立った。 僕のせいで充血し、少し痛々しい。 けれど年相応に慎ましやかで引き締まっている。 「あ、ん……!」 あえてギリギリまでペニスを引き出し、ぎゅっと力をこめた。 一番太い雁首の部分に膣口が押し広げられ、充血のなかで一瞬薄い色になる。 「せんせ……おおきい……、ん、ぁあ……! ひ、ひろげちゃ……だめぇ……、ん、あ……!」 大きく広がって……でも本当にこれが限界なんだ。 「ん……ぁ、はぅ……。んんぅ……!」 ぴったりと体が合ってしまっているのも確認し、僕はまたことねちゃんの奥深くにまで挿入した。 「ふぁ、あぁ、ん……! ちゃぷちゃぷ、するぅ……」 その言葉の後に、結合部から一気にお互いの体液が混ざり合ったものがあふれだした。 どれだけ出してたんだ、と自分で驚く。 ことねちゃんのお腹がぽっこり膨らんでしまいそうなくらいに注いでいた。 次もそれくらい注ぎたい。いっぱいに満たしたい。 「はっ、あ……せんせ……んっ、あ……!」 「また……たくさん出すよ……」 「はい……っ、いっぱい、わたしのなかで…… 白いの、ぎゅってなるくらい……!」 ピストンのスピードを徐々に速めていく。 もうゆるめるつもりはなかった。 少しだけ、少しだけ――そう思って、腰を打ち付ける甲高い音が鳴るのも気にせずに奥を小突き続ける。 「ふぁ、ぁ、はぁ! ぁあ、んぅ……! あぁ、はぅ、ん……!」 ことねちゃんの体が倒れてしまわないように抱きつきながら支える。 支えながら、全部手に入れている気分でもあった。 小さな細い腰つきと胸に抱きついて、腕のなかにその感触を残したいと思っている。 「もうすぐ……!」 「んっ、ぁあ、はぅ……! はい……っ、 たくさん、ぎゅって……ん、ふぁ、はぁ……!」 一番奥に先端をくっつけた。 わずかなグラインドでももう絶頂は目前だ。 鈴口で子宮口の感触に擦りつけ、ひたすら奥に奥に注ぐことだけを意識する。 「はぅ……、ん! おへその、した……っ、ぁ、 ん……! イキ、そ……っ、せんせい……っ」 僕はことねちゃんの体をがっちりとホールドした。 余すところなくぴったりと合わさって、最後の瞬間が訪れるまでのわずかな時間を存分に味わう。 「あ、んぅ……! イク……はぁ、あ……! ふぅ、んぅ、あぁ……!」 ことねちゃんのうなじに鼻筋を埋める。 頭のなかが彼女の存在でいっぱいになった。 もう射精はすぐそこだ。全部吐き出したい―― ――そう思った瞬間だった。 「お客さま?」 「……!」 「ひゃ……!」 「大丈夫ですか? 体調が悪いなら――」 「だ、だいじょうぶ、です……っ」 「……っ」 僕は止められなかった。 状況を理解しつつも、ぞっとするような快楽と共に射精を始めてしまう。 「ん……! んぅう…………!!」 「お客様?」 「はっ、ぅ……、ちょっと……ん……!」 脈動は止まらない。 異常な興奮と隣合わせの恐怖のなか、ペニスはどんどん白濁を吐き出していく。 「ふぅ、ん……、あ、あの……」 「はい……?」 「へいき、ですから……っ。 ん……! ぁ、はぅ……ぅ……」 脈動はまだ続いている。ことねちゃんの奥に注ぎ続けてしまう。 「でも――」 「みずぎ、はずかしく……て……。 ご、ごめんなさい……っ あとで……」 まだ続いている。熱い塊がのぼって、ことねちゃんの子宮内に注がれて解放される感覚―― 「ん……ぅ、はぁ、ん……」 やがて店員が去っていった気配がした。 それでも僕は最後の残滓を注ぐ。 「ぁんっ! ん……! はぁ、ぅう……」 「ごめん……止まらなくて……」 「ん……! んぅう……!! はぁ、はぁ……」 ことねちゃんは答えることもできないという様子で肩を震わせて一気に脱力する。 「あー……、はぁ、んく……はぁ、はぁ……っ」 その体をなんとか支えるが、姿勢が変わったせいで注ぎ込んだ精液がごぼりとあふれだした。 「ふぁ……ぁ、はぅ……はふ……」 「はふ……」 「……ごめん」 「もう……せんせいったら」 ちょっと口をとがらせてことねちゃんは僕を見上げた。 あの後、試着室から様子をうかがって、人の目がないタイミングを見計らってから出た。 そして――水着は着たまま会計させてもらった。 件の店員には怪訝な顔をされたけれど―― 逆に、あそこまでのことをしていたとは思われなかったはずだ。 「せんせい……いっぱい、いーっぱい…… だしてました……」 「ほんとにごめん……」 「…………」 それから押し黙る。 僕も何も言えずに下を向いた。 「せんせい?」 「……はい」 いつもと立場が逆になったようなやりとりと返事。 「……きもちよかったの?」 正直に答えるべきかどうか迷う。 だけど結局は本音を言った。 「……きもちよかった。すごく……」 「…………くすくす」 「わ、わらってる?」 「はい。だって……せんせい、かわいいから」 「え――」 「せんせいも、じょうずにできなくて、 おちこんだりするの?」 「今のは本当に……自分でもどうかと思って」 「ふふ……♪ よしよし。 わたしは、おこってないです」 「……うん」 「だから、だいじょうぶ……。 だいじょうぶ、だいじょうぶ……」 ことねちゃんが手を差し出してきた。 その手を握り返すと、きゅっと指を絡めてくる。 「わたしも……きもちよかった」 「そ――そうなの?」 「うん……。せんせい、がまんできないんだって…… そうおもったら、うれしくて」 「いっぱい、ふわあってなりました。 おなかもぎゅうってして……」 「おへそのした、じわってあつくなって…… せんせいのこと、いっぱいかんじて……」 「あ――」 ことねちゃんにしては珍しく口数多く語られて、僕はやっと気がついた。 この子は落ち込んでいる僕を励まそうとしてくれている。状況が状況だけに、とんでもない報告になってしまってはいるけれど。 どこまでも優しい子なんだ。 「それから、おなかのおくで――」 「うん。わかった……ありがとう。 家に帰ってから反省します……」 「ふふ……♪ すごいデートになっちゃった……」 「確かに……すごすぎたよ」 ことねちゃんは汚した水着をまだ着たままだ。 あとでどこかでトイレにでも入って、せめて下着は替えさせてあげないと―― 「あ……。みずぎ、ありがとうございます」 「いや……それはもう、プレゼントっていうよりは 完全に僕のせいなわけだし」 弁償のために買い取ったという気持ちが強くてとてもプレゼントしたとは言えない。 「ううん……。またらいねん……。 せんせいとプール、できたらいいな……」 「…………」 来年。来年か……。 「らいねんになったら、みずぎ、にあうように なってるかな……?」 僕は答えられず立ち止まる。 手をつないだままだったからことねちゃんもすぐに立ち止まった。 そしてどうしたのという風に見上げてくる。 「……ちょっと待ってて」 「え……?」 僕はちょうど通りかかったアクセサリーショップにひとりで入った。 大人向けのブランド店だけど値段はそう高くないしここならきっと間違いはない。 ざっと眺めて目についた、シンプルで上品で繊細なイメージのリングと、細いチェーンを手早く買った。 お店の入り口でぽつねんと待っていたことねちゃんに買ってきたばかりのそれを見せた。 指輪の箱。 ぱか、という小気味いい音と共に開けてみる。 「わ……」 「プレゼント」 「え……? わたし? わたしに?」 「うん。受け取ってほしい。 よければ――」 「いいの? ほんとうに?」 「うん。ことねちゃんに」 「えっと……」 「手にとって、はめてみて」 「は、はいっ」 ことねちゃんは指輪を手にとった。 そして、おそるおそるといった風に人差し指にはめる。 僕は少し笑いそうになってしまった。 そうだよな――この年頃だと、どの指にはめるかもよくわからないものだよな。 「ぁ……。せんせい? ぶかぶかです……」 「うん」 「あ、でも、お父さんゆびなら……えっと、 んっしょ……」 一生懸命指輪をはめたり外したりしていることねちゃんを微笑ましく眺めつつ、僕は一緒に買ったチェーンをとりだした。 「あ……ふふ、ほら、せんせい♪ お父さん指ならちょうどかも」 「そうだね。でも本当は薬指…… お姉さん指につけるものなんだ」 「そうなんですか? でも、それだと……」 「だから、これ」 ことねちゃんが手に持っている指輪にチェーンを通してフック金具をはめる。 「あ……」 「こうしたら、首からかけられるから」 「わぁ……! えっと、首かざり……。 あ! ネックレス! ネックレス?」 「そういう呼び方になるのかな。 ともかく――これがプレゼント」 「あ……ありがとう、ありがとうございます……! えっと、とっても……かわいくて…… はじめて……もらった……、あの……っ」 感謝を伝えようとことばを一生懸命考えてくれているのも嬉しかった。 「どういたしまして。ちょっとかけてみようか?」 「は、はい!」 チェーンのフックを一旦外してからことねちゃんの首にかけ、もう一度留め直す。 「はい」 「えへ……えへ、えへへへ……」 ことねちゃんは嬉しそうに笑い、手で指輪をすくい上げるようにした。 「せんせい……ありがとうございます……」 「よく似合ってるよ」 「ほんとう? おとなみたい……。 みんなの持ってる、おもちゃじゃなくて……」 「おとなっぽい……ですか?」 「うん。ことねちゃんによく似合ってる。 きっと、これからもっと――似合うようになるよ」 「ふふ……♪ ありがとう……。 たいせつにします……」 薬指につけるものだよ、という僕の言葉をことねちゃんは覚えただろうか。 覚えてくれているといいけど、忘れられてしまってもいいかもしれない。 それは僕が決めたり期待することじゃないはずだとなんとなく思った。 けれど―― 「ことねちゃん、好きだよ」 その一言だけは伝えておく。 「はい……。わたしも……。 すき……。だいすきです」 帰りのバスのなかで、僕とことねちゃんは一緒に練習した。 ネックレスのフックをひとりで留め外しできるように何度もつけたり外したりして。 午後のバスの車窓から見る太陽はまだ夕日ではなかったけれど、盛夏の勢いもなかった。 これから秋が訪れる。 下校の時間だ。 時間としてはそう遅くないのに、もう夕暮れの雰囲気がある。 それはこの地方の冬が早く訪れることの証左でもあった。 「寒い……」 かじかむ手を擦り合わせつつ、僕は校門前で何人かの生徒と挨拶を交わす。 今日は、本来ならこうしてずっと校門前に立つ当番の日だったけれど――途中から免除されることになっていた。 今日が決断の日だからだ。 僕は校門に背を向けて歩き出し、校舎に向かう。 だが――まっすぐに校舎のなかには入らなかった。 寄り道する場所がある。 ……いた。 今日も彼女は健気にウサギ達の世話をしている。 トイレを掃除し、水を変えて、寝床を整えて、エサ――彼女風にいうとごはん――をあげて。 「ことねちゃん」 「あ……せんせい」 「みんなは元気そう?」 「はい。さむいけど、げんきみたい」 ことねちゃんの言葉の通り、ゆきもミミもクロも小屋のなかを跳ねまわっている。 「ことねちゃんも、 風邪ひかないように気をつけて」 「へいきです。みんなあったかいから」 白いウサギ――ゆきがしゃがんだことねちゃんの脚に体を擦りつけている。 そうしているとゆきのほうもあったかいんだろう。 夏休みが終わってから、ことねちゃんと二人で話す機会はかなり減ってしまった。 だけどこうして、放課後はときどき話している。 夏にあったことを思い出すと正直僕はかなりドキドキしてしまうのだけれど―― ことねちゃんのほうは至って自然な態度だった。 学校での僕の、みんなの教師としての役割をよく理解しているという風に。 もともと皆の前でひいきされるのは好まない子だ。 だけどそんな「聞き分けのよすぎる子」の横顔に少し切なくなってしまうこともあった。 「ことねちゃん」 「……? せんせい?」 「いや……えっと。毎日ごくろうさま」 「はい……?」 ダメだ。僕ひとりで舞い上がってしまっているような感覚がある。 「せんせい、なにかうれしいことあった?」 「うん……。まあ、これから……」 「??」 「職員室、行かなきゃだから」 「はい。いってらっしゃい」 「行ってくるよ」 「あ……そのまえに」 「うん?」 ことねちゃんは少しそわそわしながら僕のほうににじり寄ってくる。 ウサギのゆきがしたみたいに、僕の足元、ちょこんと座った。 これは――ここでする「いつものやつ」だ。 僕はことねちゃんの頭に手を伸ばし、そこをゆっくりと撫でた。 二度、三度―― 「……えへへ」 ことねちゃんは眩しそうに目を細める。 夏休みが明けてから直接肌で触れ合うことはなかったけれど、この「秘密の挨拶」はここでの僕らの習い性になっていた。 毎日できるわけじゃなかったけれど、会えば必ず。 お互いの気持ちを確認するみたいに。 小さな芽を二人で愛でて育てるみたいに。 「はあ……、はふ。まんぞく、です」 「僕も……満足かな」 触れた手から何か伝わるような感覚が嬉しかった。 「それじゃ……また明日。 あまり遅くならないようにね」 「はい。さようなら、せんせい」 次に僕が向かう場所は―― 「ふぅ……っ」 校長先生との話し合いを終えて、廊下に出た。 かなり長い時間話し込んでしまった。 これで良かったんだ。 そう納得しつつ歩き出す、と―― 「うわ!?」 「おおっとお!?」 「きゃ!?」 階段の踊り場に向かう角のところで小野先生と遥先生と鉢合わせてしまう。 「いやっ! ははは! 奇遇ですなあ!」 「あはははは……、奇遇ですねえ……」 「まさか、お二人とも…… 聞いてらした?」 「ま、まさか! そんな! 盗み聞きなんて趣味の悪いことは!」 「はい……すみません……」 「う……はい……。どうも気になってしまって…… いや、面目ない」 「はは、構いませんよ。 どうせすぐに伝わることでもありますし」 「それにしても、もったいない気がします。 瀬田先生ほどの人材ですからね」 ――全部聞いてたのか。 あまりにも正直な小野先生に少し笑いそうになる。 「いえ、そんな、僕はまだまだです。 ここにきてたくさん勉強させてもらって…… 少しでも恩返しもしたいですし」 「瀬田先生……」 「それにここにはまだまだ学ぶべきことがあると、 そう思ったんですよ」 「そうですか……。いや、こちらとしては大変 ありがたいことです。瀬田先生のようなタイプは この学校が必要としていました」 「そうなんですか……?」 「ええ。やはり地域の繋がりが密接なこともあって どうも生徒に親身になり過ぎてしまうきらいが あるというか……」 「わかります。生徒に甘えられると、私たちも生徒に 甘えるような気持ちになってしまって……。 もう少し見守る視点も必要というか」 「そうですね。伸びる子にはもっと広い世界を見せて あげたほうがいいんじゃないかという気持ちは 今までもありました」 「ときどき不安になるんです。親身になるのはいい けれど、生徒たちをこの地域に縛り付けることに なってしまっていないかって……」 「なるほど……。いえ、なるほどというのも変ですし 僕がそのことに対して貢献できるというわけでも ありませんが」 「いえ! そんなことはありません! 生徒には 広い世界、都会への憧れというものがある。 その点を瀬田先生はきっとフォローしてくださる」 「過分なお言葉です。ありがとうございます」 「瀬田先生ならどんな場所でも結果を残して また他の学校から 声がかかることもあるかもしれませんね」 「はは……どうでしょうか。 とりあえずはこの学校で、精一杯力を尽くしたいと 思っています」 「また、よろしくお願いします!」 「よろしくお願いします」 「はい、こちらこそ」 小野先生は吉報を手にしたとばかりにそそくさと職員室に向かっていった。 この調子だと、校長先生が話す前には他の先生方にも全部伝わってそうだ。 「ふーむ、なるほど。ここでの生活が 新しい門出になるというわけか……」 「まあ……。おめでたいって言っていいのかしら。 出世を考えると都会のほうがいいんじゃない?」 「どうでしょうね。 でも、自分で決めたことですから。 やりがいも感じていますし」 「そうだな、男は外で仕事。 その仕事にやりがいがあるのはいいことだ」 「らいねんもいるのー!?」 「……っ、お、おにいちゃん……!」 ゆうき君は純粋に嬉しそうに、えみちゃんはどこか感極まったという様子でくっついてくる。 「ま、とりあえず乾杯するか。 ビールでいいか?」 「ええ、ありがとうございます。 一杯だけ、いただきます」 「おれもびーる!」 「だーめっ! ジュース!」 「もうおとなだもん!」 「はー、なにいってるんだか。 大人なら夜のトイレはひとりで行ってよ!」 「う……。じゃ、じゃあジュースでいいよ……」 和やかなムードでそれぞれのグラスにビールやジュースが注がれる。 「よし……じゃあ、先生の新しい門出を祝って…… 乾杯だ! 来年もよろしくたのむ」 「はい、よろしくお願いします」 夕食のメニューはいつも通りのものだったけれどそれでも僕にとっては十分豪華だ。 いつもより味もおいしく……身に染みるように感じられた。 決断をして、重荷が下りて……ほっとしたからかもしれない。 今からやるべきことはたくさんあるけれど―― そのやるべきことのひとつを思い出して、二人に聞いてみる。 「そういえば、来年からの住む場所なんですが…… さすがにいつまでもお世話になるわけには」 「そう? うちは構わないけれど……」 「え!? おにいちゃん、ひっこすの!?」 「えー! もっとあそべるとおもったのに!」 「こら、先生にも色々あるんだよ。 こんないい男をいつまでも 独り身でいさせるわけにはいかないからな」 「ああ、そうねえ。そのことがあるわね。 すっかり家族だと思ってたわ」 「ひっこしたらあそびにいく!」 「あたしも!」 「来てくれるのはもちろん歓迎するよ」 小さい二人にそう言ってから、大人二人に向き直る。 「実はひとつ考えがあるんですが……」 えみちゃんの家族には二つ頼み事をした。 ひとつは承諾されて、もうひとつは断られてしまった。 まあ、断られるんじゃないかなとは思っていたけれど。 僕は手元にある二枚の旅行券を見てため息をついた。 お世話になったお礼に、と隆司さんと敦子さんのために用意したものだった。 ペアの温泉旅行券。えみちゃんとゆうきくんの世話は僕が見るから、その間に夫婦水入らずで温泉を楽しんできてもらうつもりで渡した。 敦子さんいわく、「えみが楽しそうに学校に行っているだけで十分」で。 隆司さんいわく、「そんなものは自分の彼女のために使え」とのことだった。 二人して固辞されてしまえば僕としては何とも言い様がない。 結局、僕の手元にペアの温泉旅行券が残されたことになる。 「自分の彼女、か……」 思い当たる人物は一人しかいない。 そのために今こうして歩いている。 「ふぅ……」 結局来るところまで来てしまった。 あとはちゃんと言葉にするだけだ。 そう決心を固めたところで―― 「あ……」 小さな人影が門から出てきた。 「ことねちゃん!」 「あ……。せんせい、こんにちは」 「うん、こんにちは」 「どうかしましたか……?」 夏以来、ここに来ることはなかった。 僕がわざわざ訪ねてきたらそう言うのが自然だ。 「実は……」 「はい」 僕は意を決して言った。 「二回目の、デートのお誘いに」 「え――」 「ペアの旅行券があるんだ。 もし良かったら……僕といっしょに」 「……! あ、あの……、ちょっと…… まってください」 ことねちゃんはなぜかわたわたとしつつ自分の身だしなみを確認している。 僕のほうにもう少し余裕があれば微笑ましい仕草だと思うことができたかもしれないけれど、いかんせん今日はいっぱいいっぱいだ。 「え……あ、あの…… その………… もういちど、おねがいします」 「え――あ、うん」 「ご、ごめんなさい、ききまちがいかも……って 思って……」 「じゃあ、もう一度……。 ことねちゃん、僕とデートしてください」 「――――」 ことねちゃんは目を丸くした。 「ききまちがいじゃ……なかった……」 「えっと……それも、泊まりがけで」 「と、とまりがけ!?」 「旅行になるのかな……。ことねちゃんと、 温泉に行きたいなと……僕は思ってます。はい」 なぜか敬語になりつつ少し口ごもりながら言った。 「で、でも……そんなの……」 「……っ」 ことねちゃんの戸惑った様子に僕は少なからずショックを受けてしまった。 夏。かなりひどいこともした。教師としては許されないことも。常識に照らし合わせれば罪だ。 僕の気持ちもいつも真摯だったわけじゃない。衝動的になったことも何度もあった。 だから……現実的に考えれば、今僕がこうして教師面をしていることこそが奇跡的で、罪深い。 ことねちゃんに何を言われても受け容れる覚悟はあった。 そのために都会よりもこの場所を選んだんだ。 色々なことが明らかになって、悪い方向に転がれば僕は逃げ場を失って、路頭に迷うだろう。 それくらいのことはしたという覚悟で。そうなっても構わないという想いで。 「あ……、せんせい……っ そんなおかお、しないで……」 「……?」 「その……。う、うれしくて……。 どうしたらいいのか、わからなくて……」 「え――」 「せんせい……、せんせい……!」 ことねちゃんが抱きついてきた。 「あ……」 そうされて、やっとことねちゃんの想いを知った。 彼女が今までどれだけ我慢してくれていたかを。 学校が始まって、先生と生徒の関係に戻ることを努力して受け容れてくれていた。 「ごめん……。いっぱい待たせて……」 「ううん……。 ずっと、待って……、でも、きっと……」 「うん……」 「しんじて、ました。またこうやって…… いっしょに……こいびとどうしで、いられること」 「ありがとう」 それ以外言うことが思い浮かばなくて僕はただことねちゃんを抱きしめた。 細い。 柔らかい。 ことねちゃんの髪の匂いが漂ってくる。 冬の気配の色濃い風景のなか、空気の冷たさに鼻先がツンと痛んだ。 「もう待たせないし……。僕も待ちたくない」 「はい……せんせい……」 「僕は来年も、この場所にいるよ」 「せんせいは……。 らいねんも、わたしのせんせい?」 「うん。できればその次も……」 「……っ」 「いっしょにいたい。 いっしょにいよう」 「は……、はい……っ」 しばらくそのまま抱き合った。 何を言うでもなく、冬の景色のなか、二人でぎゅっと体を固める。 いつか見た、小屋のなかのうさぎ達みたいに。 僕たちは身を寄せあってお互いで暖をとる。 「せんせい、あったかい……」 「うん。ことねちゃんもあたたかい……」 強く抱きしめあってから体を離す。 数秒、間近で見つめ合ってから僕は唇を交わした。 「ん……、はぅ……」 「…………」 そこまでしてから僕はやっと立ち上がって、ことねちゃんと手を繋いだ。 「一緒に行ってくれるかな」 「行きたい……行きたい、です……。 でも……ばぁばが……しんぱいするかも……」 とことん優しい子だなと思う。 「おばあさんには僕からも説明するよ。 今、ご在宅かな」 「は、はい……っ」 ことねちゃんは多少慌てながら門から家へと戻っていった。 この後のことに関しては、僕にはひとつの確信があった。 えみちゃんの両親に話したことのうちのひとつを既におばあさんには話してある。 十数日後、僕たちは予定を合わせて―― 二人で旅先に来ていた。 「わぁ……!」 「思ったよりすごい建物だね」 「ほんとう……! おおきい……」 おばあさんの許可も得た。 僕とことねちゃんは旅先の旅館に到着し、二人で大きく息を吐いた。 「長旅だったけど、疲れなかった?」 「はいっ。へいきです!」 ことねちゃんのテンションは高い。 ここに来るまでにも温泉街の珍しい様子を観て興味津々という感じだった。 「荷物だけ置いて、歩いてみようか」 「はい……!」 実は僕のほうはそれなりに疲れていたけれど、ことねちゃんの笑顔を見ればまだまだ動ける。 新年度の準備に引っ越しの準備に普段の業務。やることはありすぎるほどあったし、ここまでの電車の旅も一苦労だった。 「よし……っ」 それでもことねちゃんと過ごす時間はできるだけ充実したものにしたい。 そんな想いで旅館のロビーに向かっていく。 「わぁ……」 本当にことねちゃんは興味津々という様子だった。 「おんせんたまご? おんせんまんじゅう?」 「えーっとね。温泉から出る湯気とかお湯で、 ゆで卵を作ったりおまんじゅうをふかしたり するんだよ」 「へぇ……!」 「欲しいものあったら言ってごらん。 何でも買ってあげるよ」 「は……はいっ。ま、まず、ぜんぶ 見てまわります……っ」 気合の入った表情で、僕の手を引っ張るようにして歩いていく。 ……微笑ましい。 「おもち、おだんご、すりみ、おそば……」 「色々あるね」 「こんなにたくさん……たべきれないかも……」 「ぜんぶは難しいかもね。 ことねちゃんの好きなものから見ていこうか」 「あ……はい! じゃあ、おだんご……」 「よしきた」 湯気がもうもうと上がる和菓子屋さんの前。 僕はお団子を二本、注文した。 「あは……ふふ、えへへへ♪ おいしそう……」 「湯気の香りがいいね」 「はい。おこめがたけるにおいの…… もっとやわらかくて、甘そうで……」 そうこう言っているうちにお団子が二本、お店のおばさんから手渡された。 ことねちゃんにも一本渡すと、目を丸くしながらかじりつく。 「わ……あつ……」 「やけどしないように、落ち着いて」 「ふふ……♪ えへへ……」 僕も冷ましつつ団子を口にし、二人で温泉街を練り歩く。 「色んなお店、たくさん……」 「そうだね。湯気もあちこちからたってる」 「おんせんって、すごい……」 店にたっている湯気はだいたいは雰囲気作りのためのものだろうけど、ことねちゃんの目にはすべてが目新しく映るのだろう。 そんな彼女と一緒にいると、僕のほうも楽しい気分になってくる。 「あはは……シューマイも、ふかしてる」 「お、もうなんでもありだなあ」 「あ……わたがし……!」 「わたがしもいいね。ちょっと待ってて」 「はいっ」 団子に続いて今度は綿菓子。これこそ温泉には何の関係もないけれど、行楽地だと思えばそれはそれで。 ことねちゃんに大きな白いふわふわを手渡した。 「わぁ……あははは♪」 「寒いからすぐにしぼんじゃうかもしれないな。 ふわふわなうちに食べよう」 「はーいっ」 ことねちゃんは本当に嬉しそうに綿菓子を口にした。 口の周りがべたつくのも構わず、にこにこと笑顔で白いふわふわを攻略していく。 「わぁ……あまくて、 ふわふわで、あったかくて……」 「もしかして、綿菓子は初めて?」 「あ……はい。あんまり、でかけなかったから……」 「そっか……」 忙しいご両親と、もうお年のおばあさん。 隣町ではそれなりの規模のお祭りも催されているはずだけど、ことねちゃんには機会がなかったのだろう。 「あ……! せんせい、あれは……?」 「ん、せんべいかな」 「ばぁばね、おせんべいすきなの」 「そっか。でもおみやげを買うにはまだ早いかな。 帰る前にしよう」 「はーい……。ふふ……♪ 大きなおせんべい、 ばぁばびっくりするかな……♪」 機嫌良さげに笑って、綿菓子を口にしながらその場で一回転する。 じっとしてられないような仕草だった。 「次は、次は――」 「大丈夫、出店もおみやげも逃げないから。 もう少しゆっくり歩こう」 「はいっ。あ……次は、おまんじゅう……」 「あんまり食べ過ぎると夕飯食べられなくなるよ?」 「う……。で、でも……。 べつばら、だから……」 まあ、このくらいならいいか。 僕はおまんじゅうも買った。 「あは……えへへへ♪ せんせい、ありがとう……」 「どういたしまして」 心を蕩かす笑顔を見ると何も反論できなくなる。 「そういえば、ばぁばが……」 「うん?」 「せんせいとりょこうしたいって言ったら、 “れんしゅうだと思って行ってきな” って、言ってました」 「――そうなんだ」 「なんのれんしゅうなのかな……?」 「何だろうね。また――帰ったら聞いてみようか」 「はい。おみやげ買うれんしゅうかな……?」 「おんせんのまちって、あったかい……」 「そうだね。人通りも多いし、あちこちから 湯気は出てるし……」 ことねちゃんはひとつの看板の前で立ち止まって漢字を読み上げた。 「……? あし……ゆ?」 「ああ、足湯だね。靴を脱いで、膝から先だけ 温泉に浸かるんだよ」 「へえ……。ぜんぶはいっちゃ、だめ?」 「さすがにね。大人の男の人や女の人は あそこで裸になっちゃうと困るんじゃないかな」 「あ……! えへ、あはは……。そうですよね……。 あしゆ……。あしゆなら、いっしょに、 入れるんだあ……」 その言葉を聞いて、僕はことねちゃんの密かな望みを把握した気がした。 それは……僕の望みでもある。 あとで旅館に問い合わせてみるか。 くたくたで、けれどお腹いっぱいになるまで温泉街を練り歩いた。 「くんくん……」 「硫黄の匂い、覚えた?」 「ちょっとくさいです…… あと、おはなのおくがツンってします」 「そうだね。 でもこれでお肌がつるつるになるらしいよ」 「おはだ……つるつる……。 そうしたら、おとなっぽいですか?」 「はは……、どうかなあ」 ことねちゃんの年頃なら温泉の効能を得るまでもなくお肌はつるつるですべすべだ。 「ことねちゃんは……こういうところに来るのも、 初めてなのかな」 「はい。せんせいとはじめて……きました」 ことねちゃんの見知っている世界は僕の想像以上に小さいのかもしれない。 「楽しい?」 「はい……! とっても!」 満面の笑みにこっちまで嬉しくなってしまう。 「せんせいに、つれてきてもらって……」 「うん?」 「よのなかって、広いんだなあって、おもいました」 「うん……」 「ひとがたくさんいて、おみせもいっぱいあって…… そんなばしょが、きっとたくさんあるんですね」 「そうだね。世の中は広くて…… 楽しいこともたくさんあるよ」 僕もことねちゃんくらいの年頃に旅行につれていってもらったとき、同じようなことを思った。 僕が生きている世界にはまだまだこんなに色々なものがあるんだって。 「まだまだ、わたしの知らないばしょが、 たくさんあるのかな」 「あるよ。それはもう、たくさん。僕だってまだ 知らない場所はあるし……」 「ほんとう? せんせいもしらないところ、あるの?」 「うん。行ったことないところもたくさん」 「じゃ、じゃあ……。つぎは、ふたりとも…… 知らないばしょが、いいです」 「そうだね。そうしようか」 「いっしょに、たくさん知って……。 おいしいもの、たくさんたべて…… おみやげもたくさんが、いいです」 おみやげが入ってくるところがことねちゃんらしい。 僕ひとりだったら、自分の楽しみだけを優先しておみやげのことは深く考えなかっただろう。 「次はそうしよう」 「はい……っ。 あ、でも……。せんせいといっしょなら、 おうちでもいいです」 「それも捨てがたいね。どっちもやろうか」 「わぁ……あははは♪ はい! どっちもいっしょなら……とっても、 すごいかも……!」 このまま外にいるのもいいけれど、そうしたら疲れてしまう限界までことねちゃんははしゃいでしまいそうだ。 まだ明日もある。 ある程度で切り上げて、僕とことねちゃんは旅館の部屋に戻った。 「はふ……。おなかいっぱいです……」 「おいしかったね。 口には合ったかな」 「はいっ。とってもおいしかったです……。 おかずもたくさんあって……」 それなりにいい旅館なこともあって、仲居さんが夕食の給仕についてくれた。 新しい料理が出てきたり、固形燃料に火をつけて煮物をあぶったりするたびにことねちゃんは目を丸くして感心していた。 和食のおかずがメインで、ことねちゃんくらいの年の子には普通はウケが悪いかもしれない。 だけどおばあさんとずっと暮らしてるだけあって、ことねちゃんには馴染みのある小鉢も多かったみたいだ。 「おかず、たくさん……。 ふつうのおうちではこんなに……?」 「ううん、旅館だから特別だよ」 「ほっ……。小さなお鉢がいっぱいで……。 うちとはぜんぜんちがうから、びっくりしました」 こういう旅行も初めてなんだろう。 「あんなにたくさん作らなきゃいけなかったら、 およめさんになったときにこまる――」 そこまでつぶやいてから慌てて僕の顔を見た。 「な、なんでもない、です……」 「あ、ああ」 何気ない一言に僕も緊張してしまう。 「少し休んだらお風呂に行こうか。 温泉だよ」 「はいっ。たのしみ……。 おはだ、つるつるになる?」 「なると思うよ。僕もなるかも」 「あはは……♪ ふたりでつるつる、ですね いっしょだあ……」 お風呂は男女別で、ことねちゃんは女風呂に入って行った。 ぎりぎりごまかせなくもない体型ではあるけれど、他の男にことねちゃんの姿を見せたくないという妙な気持ちが強かった。 ことねちゃんは少し残念がっていたけれど―― 更衣室の貼り紙でとある情報を目にして僕は浮足立った。 つい長風呂してしまった……。 もっと言えば、湯船でうとうとしてしまった。 この旅行に間に合わせるために仕事を前倒しで進めていたから、疲労がたまっていたらしい。 旅館の廊下にことねちゃんの姿はなく、きっとひとりで部屋に戻ったんだろうと思って部屋に帰ってきてみると―― 「あ…………」 「……すぅ……すぅ……」 部屋は暗くなっていて、既に寝息が聞こえていた。 布団は敷いてあるけれど、ことねちゃんは布団をかぶっているわけではなかった。 ただ布団の上に、浴衣姿で体を投げ出すようにして横になっている。 限界まで僕を待っていたけれど、そのうちに寝てしまったんだろう。 昼間はあれだけはしゃいでいたんだから当然かもしれない。 「浴衣、似合うな……」 ぽつりとつぶやく。 和服を着慣れているだけあって、浴衣の着こなしも完璧だった。 普通はもう少しお仕着せ感が出るものだと思うけど、ことねちゃんに関しては似合いすぎるほど似合っている。 「…………」 しばらく待ってみてもことねちゃんが起きる気配はない。 ――まあいいか。 疲れてるのはお互い様ということで。 僕もこのまま寝てしまおうと思ったところで、お風呂にあった貼り紙を思い出す。 備え付けの電話をとって、フロントにかけた。 「すみません。明日、貸し切りの予約を したいんですが……」 「まだ空いてますか? ああ、よかった。 じゃあ、時間は――」 部屋で摂る朝食が終わって、二人でひといきついた。 旅館の朝食っていうのはなんでこう豪華な気分になれるんだろうな。 「はふ……おなかいっぱいです」 昨日も聞いたセリフを言って、ことねちゃんは座椅子の上で脱力した。 「りょかんって、すごいですね…… おかたづけ、しなくていいんだ」 「そうだね。お布団もあげてもらえるしね」 「はい……。らくちんです」 言ってから、ことねちゃんは僕のほうに身を寄せてきた。 「あの、せんせい?」 「うん?」 「ごめんなさい、きのう……。 ひとりで先にねちゃって」 「いいよ。疲れてたんだと思うし。 実は僕もお風呂でうとうとして…… こっちこそ長風呂で、待たせてごめん」 「ううん。わたしも、ちょっとだけよこに…… って思ったら、ねちゃいました」 「初めての旅行だもんね」 「はい……」 僕の脇に体をくっつけて、もぞもぞと動く。 「あの……せんせい……?」 「うん?」 その甘えた調子にはどこかぞくぞくと来るものがあった。 「あの……。あの……」 「うん。何かな」 ことねちゃんがもじもじと太股をこすり合わせる。 その仕草を見ていると、ふつふつとわきたつものがあった。 「お……おこってますか……?」 「ううん、全然」 「そ、そうですか……」 それ以上は何も言わず、ただ体を寄せているだけだ。 僕もドキドキしているし、ことねちゃんのほうも高ぶっているように見える。 お互いに向かっていくところはわかっているのに、探りあうような微妙な雰囲気。 「せんせい……」 熱い吐息が浴衣の脇腹にかかった。 正直――ぞくぞくする。 だけどこの旅行は二泊。 時間はまだまだたっぷりある。 「今日もお昼はお店まわってみようか」 「……は、はい……」 少し戸惑ったような答えもたまらない。 「足湯もしてみる?」 「うん……」 ことねちゃんはもじもじと体を揺らしつつ、そっとつぶやいた。 「せんせい……やっぱり、おこってますか?」 「全然。ことねちゃんがあんまり可愛いから……」 全部は言わずに僕はことねちゃんの頭を撫でた。 丸くて小さくて、髪の毛の感触が心地いい。 「ぅう……。ぇと、じゃあ……いじわる、ですか?」 「何のことかな」 「せんせい……っ」 たまらなさそうに言われて、僕もさすがに少し我慢できなくなった。 実は勃起しているのを隠しつつ、ことねちゃんのおとがいを指で持ち上げて―― 「……」 「ん……ちゅ……」 軽く唇を交わす。 「もう……」 それで僕の言いたいことは伝わったみたいで、ことねちゃんは軽く息を吐く。 「いい天気だし。まず出かけようか。ね?」 「はい」 苦笑しながらことねちゃんは立ち上がった。 「おみせ、今日もたくさん……」 「そうだね。ここは毎日こんな調子だろうね」 「ふふ……♪ ずっとお祭りみたい……」 昨日と変わらずおみやげ屋の店先からは湯気が上がっている。 もち米の炊けるような香りや、醤油が焼ける香りもあちこちから漂ってきた。 温泉独特の硫黄臭さも街中のところどころで感じる。 「日持ちするおみやげは 今日のうちに買っておこうかな」 「はい。ばぁばには、おせんべいと、あと……」 えみちゃんやゆうきくん、他の先生方……それに僕もおばあさんに何か買ったほうがいいかもしれない。 あちこち巡りつつ、おみやげになりそうなものを探す。 「こういうの、まだあるんだなあ」 行楽地のおみやげ屋には定番の木刀が置いてある。 これを買っていけばゆうきくんは喜んでくれそうだけど、少々教育には悪い。敦子さんはいい顔をしないだろう。 案外、隆司さんにはウケるかもしれないが―― お世話になった人たちのことを考えていると自然と頬がほころんだ。 「あ……このクシ、かわいいかも……」 「お、いいね」 ことねちゃんの手に握られているのは和風の、シンプルな花柄がひとつ印刷されたものだった。 「ばぁばに似合うかな……」 「いいんじゃないかな」 きっと喜んでくれると思う。 「僕のおみやげと一緒に買おうか」 「ううん。おこづかい、もらってきたから……。 ばぁばのは、じぶんで買いたいの」 「そっか。それもいいと思うよ」 「もうすこし、見てきます」 女の子だけあって買い物となるとテンションが上がるらしい。 「ゆっくり見てみるといいよ。僕は先に買って、 あっちで休んでるから」 「はいっ」 店先に設えられた木製のベンチで待つこと十五分くらい―― さすがにちょっと遅いかな、と思ったところでことねちゃんが駆け寄ってきた。 「おまたせ、しました」 「大丈夫。買いたいものは買えた?」 「はいっ」 ことねちゃんはおみやげ屋の袋を掲げて見せる。 「僕が持とうか?」 「あっ……へいき、です。 じぶんでもちます……」 「そう? それならいいけど」 内心ちょっと残念かもしれない。 荷物持とうか、なんて男のほうが言うシチュエーションはきっとことねちゃんの好みだろうと思ったんだけど。 「よし、元気のあるうちに買い物も済ませたことだし いったん部屋に戻って荷物を置いて、 それからお昼にしよう」 「はいっ」 「それから足湯に行ってみようか」 「わぁ……! えへへ……♪ もりだくさん、です」 「おやつも食べなきゃいけないしね。 今日も忙しいぞ」 「くすくす……♪ デートって、いそがしいですね」 「一理あるね。まあ、せっかくこんな場所まで 来てるんだから、目一杯楽しもう」 「はいっ。わたしは、えっと…… おんせんがわいてるところ、見てみたいです」 ことねちゃんが傍らにあった看板を示す。 コミカルな案内図に、川の上流、山のほうに煙が上がっているイラストがあった。 「じごく……って、かいてるの……」 神妙な調子で恐る恐る言う。 「昔の人が名付けたんだろうね。 本物の地獄じゃないよ。お湯がわくところは 草木があまり生えないから、そう言われるんだ」 「お花、さかないんですか?」 「うん。温泉のお湯は草木には刺激が強いからね」 「へぇ……!」 「ほら、あっちのほう――」 僕が指さした山のほう、一部では草木が剥げて灰色の地肌をさらしている。 「あそこがじごく……」 「あそこまで行くのはちょっと遠いかな。 でも、この近くでも湧いてるところは 見られそうだよ。社会見学と思って――」 「くすくす……」 「うん? どうしたの?」 「せんせいが、せんせいしてる……」 「あ――はは、参ったな……」 ついいつもの調子で話してしまった。 これじゃ本当に理科の社会見学だ。 「せんせいは、せんせいがおしごとで……。 おしごとしてるところ、すてきです」 「あ――ありがとう」 「学校で、いつも……。見てました。 せんせいの、せんせいしてるところ。 じゃましちゃいけないと思って……」 「そうだったんだ」 学校での一歩引いた距離感を思い出す。 「はい。みんなのせんせいだから……。 そんなせんせいも、だいすき……」 「……照れるな」 「くすくす……。これから、また…… かっこういいところ、たくさん見せて」 「精進します」 「いつもね、ミミやゆきに話してたの。 きょうもせんせい、かっこうよかったよ……って」 「そりゃ、ミミやゆきも大変だね。 毎日おのろけを聞かされたら」 「くすくす……そうかも。それでね、 たまにせんせいがしいく小屋まできてくれて……。 ほら、どう? かっこいいでしょ? って」 「じまんしてた……。うれしくて……。 せんせいとはじめて会ったばしょで、 会えるのも……とっても、うれしかった」 「そっか……。僕も嬉しかったよ。 毎日お世話してるのも偉いと思ってたし。 それに、あそこにいけばいつも会えるから」 「はい……」 「あまり話さなくても、さびしくはなかった」 「わたしも……です」 二人で肩を寄せ合いながら旅館へと向かう。 活気のあふれるこの場所だと、周りにどう見られているかも気にならなかった。 早めの夕飯を済ませ、お風呂も浴びて汗を流した。 「はぁ……。あたたまりました」 今日は二人でお風呂にいって、二人で部屋まで帰ってくることができた。 夕飯でいっぱいになったお腹もだいぶこなれてきた。 「ことねちゃん、やっぱり浴衣似合うね」 「えへへ……。そうですか? せんせいも、よくおにあいですっ」 「ありがとう。 着慣れないからすぐほどけちゃうんだけどね」 ほら、と僕はゆるみかけた帯を示す。 胸元の合わせ目もあいてしまっている。 「あ……」 冗談のつもりで言ったんだけど、ことねちゃんはなぜか頬を赤らめた。 「……?」 「えっ、と……。せんせいのはだか……。 ひさしぶりに、見ました……」 「あ――」 そういえばそうか。 裸になった上半身を見せるのはプール以来かもしれない。 「さ、さわって……いいですか?」 「あ、うん。いいけど――」 ことねちゃんがつつつと寄り添ってきて、僕の真ん前にしゃがみこんだ。 「…………」 そして指を伸ばし、僕の胸板にそっと触れる。 「あ……かたい……」 「男だからね」 心なしか腹筋に力をこめる。それで六つに綺麗に割れるわけではないけれど、少なくともだらしなく見えることはないだろう。 「ふふ……。おとこの人の、おむね……」 そんな可愛い言い方をされると一気にたぎってくるものがあった。 お風呂あがりのことねちゃんの肌は燐光を放つみたいに輝いていて、いい香りもする。 湿気をまとった体はどうしてこうも魅力的に思えるんだろう。 朝したように僕はことねちゃんのおとがいを指で持ち上げた。 そのまま何も言わずに口付ける。 「ん……はぅ……」 それから数秒見つめ合って、口を開いた。 潤んだ瞳を見ながら。 「……待ってた?」 「っ……、はい……」 「僕もしたくなったよ、朝」 「せんせい……」 「でも……いじわるもしたくなった。 ことねちゃんが可愛いから」 「知って、ました……」 「いじわるされるのも好きだもんね?」 ちょっと冗談めかして聞いてみる。 ことねちゃんはあくまで真摯に答えた。 「せんせいだけ……です……。 せんせいになら、いじわるされても…… もっともっとって、思っちゃうの……ふしぎ」 胸がいっぱいになってきた。 お互いに我慢できない雰囲気にもなって、もう一度唇を重ねる。 「ん、ちゅ……はぅ……んん……」 長めのキス。 ことねちゃんの小さな唇を思う存分ついばむ。 「はぁ……ん、ぅ……せんせい……」 「お肌、すべすべになったかな?」 「……。わ、わかりません……。 だから、せんせいにみてもらわないと……」 「わかった。見てあげる」 「はい……」 ことねちゃんはしずしずと布団に横になった。 浴衣をはだけさせてから下着に手をかける。 脱がすと―― にちゃ、といやらしい音が鳴った。 「ことねちゃん」 「う……。は、はい……」 「こんなに濡らしてたんだ」 「だ……だって……」 甘えた口調。 こういう「だって」は今までも何度も聞いた。 もっといじめて、という合図だ。 僕はことねちゃんのお尻に勃起したペニスを押し付けた。 まだ挿入はしない。 「うわ、本当にぬるぬるだよ」 「ぁ……ん……っ」 お尻にかぶせるようにしてこすりつけただけで、裏筋のほうにたっぷり愛液がまぶされる。 秘部が濡れているだけじゃなく、その周辺にあふれだすほどに濡れていたということ。 「ことねちゃん、こんなに濡らす子だったんだ?」 「だって……だってぇ……」 鼻にかかった声が再度漏れる。 「ずっと……ずっと、まってて……」 「……うん」 「がっこうでも、せんせいを見てると…… ときどき、ぎゅってして……」 「おなかに欲しいと思った?」 「……はい……」 小さめの声だったけれど、はっきりと同意した。 僕の股間はますます滾っていく。 「それにしても、ここまで濡らすなんて――」 腰を前後させ、入り口に亀頭を触れさせた。 「ひゃ……! ぁ、ん……!」 反応もすごい。 まさかこれほどとは思わなかった。 そこで、ひとつの疑問が思い浮かんだ。 「ことねちゃん……。先生との約束、 覚えてるかな」 「……! お、おぼえて……ます……」 震える声。 後ろめたげな調子が漏れだしていて背筋がぞくぞくした。 さらに亀頭の先端で膣口を愛撫する。 入れそうで入れない、微妙な刺激を続けつつ―― 「約束、守れた?」 「…………」 無言で肩を震わせている。 「正直に言ってごらん」 言いながら亀頭での刺激はやめない。 嘘をついたらこの先はしないよ、とでも示すように膣口で焦らし、慎ましい陰唇の感触を味わう。 「やぶり、ました……」 「へえ……。そうなんだ」 平静に答えてはいるけれど半ば演技だった。 「ひとりでここ……こすったの?」 「ぅ……は、はい……っ」 「どんな風に?」 先端で膣口をこね続ける。 その間にもとろとろした愛液がどんどんあふれだす。 「ゆびで……す、すこしだけ……」 「そうなんだ。どうして約束破っちゃったのかな」 「だ……だって……むねがぎゅってして……。 せつなくて……」 「だからってひとりでしちゃうんだ。 あんなに一緒がいいって言ってたのに」 「ぅう……はぅ……っ。ごめんなさい……」 強めの調子で言った瞬間に肩が大きく震え、更に愛液があふれだす。 膣口に先端を触れさせているだけなのに、奥に引き込むように粘膜が吸い付いてきた。 僕がこの体をしつけて……。自慰をするまでになったんだ。 その実感が湧いて、股間はますますいきり立つ。 「どれくらいしたの?」 「どれくらい……?」 「したのは一回だけ? それとも、何回かした?」 「ふ、冬になってから……」 「へえ……」 あえて冷たい調子を続ける。 「せんせいに、あたまなでてもらった日に…… どうしても、したくなって……」 「そうなんだ」 「せんせいの手、おもいだして……。 こんなかんじかなって、夜に……」 「ちゃんと答えて。何回したかって聞いてるの」 「ぅ……、ご、五回か……六回くらい……です」 「そんなにしたんだ。いけない子だね」 「せんせいが、やさしくて……あたま、なでてくれる から……っ。あとから、ぎゅってなったの……」 「僕が怒ると思わなかったの?」 「……っ」 「それとも……怒られたかった? いじわるされたかった?」 「ぁ、ん……! ぅう……」 言いながらペニスを押し付けるとことねちゃんは激しく反応した。 がくがくと全身を震わせ、頬を真っ赤に染める。 「はっ、あ……、ん……! ぅう……!」 それから――ぷしゃ、と小さな音がして一気に愛液があふれだした。 「ことねちゃん、どうしたの? またひとりで気持ちよくなったの?」 「ぁ……ああ……」 「僕にいじわるなこと言われて、それだけで…… 気持ちよくなっちゃった?」 「……っ」 瞳をうるませながらことねちゃんは頷いた。 羞恥と言葉責めだけで軽く達するなんて―― 改めてことねちゃんの性癖に興奮を覚える。 「き、きのうから……ずっと、がまんして……」 「何を我慢してたのかな」 「ぅ……おなか、せつなくて……。 せんせいのそばにいると、きゅうって……」 「欲しかったんだ? これが?」 先端を使って膣口を何度も擦り上げる。 「ひゃ、ぁあ、んぅ……!」 「ほ、ほしいの……。 おなか、また……じわって、させて……?」 そこまで言わせたことにぞくぞくと快感を覚えた。 こんな年頃の子が、自分から膣内射精をおねだりしてくることに倒錯的な悦びがある。 「自分でしても、おなかの奥……おへその下は 気持ちよくなれないもんね?」 「はい……っ、だから、いつも……。 足りなくて……」 「いつも? 本当に五回や六回で済んだのかな」 「はぅ……うう……っ」 がく、と小さな背が震え、また愛液があふれだした。 「せんせい……、もう……っ」 「まだダメ」 僕はぴしゃりと言った。 正直入れたい気持ちもあるけれど、もっと楽しみたい。 せっかく……二人でゆっくりできるんだから。 「僕のに、ご奉仕してもらおうかな」 「ごほうし……?」 「図書館でしたみたいに。覚えてる? お口で気持ちよくできるかな」 「あ……し、します……っ。 できます……、したいです……」 ことねちゃんの瞳が妖しく濡れ光った。 ことねちゃんの顔の横にいきり立ったペニスを突き出し、見せつける。 「……っ」 「僕も我慢して、こんなになってるよ」 「は、はい……」 「これが欲しいんだ?」 「うん……。ほしい……」 「これでどうされるのがいいの?」 「え、えっと……。おへその下、 ずん、ずんって……されるのがいい……」 ことねちゃんの瞳の色はもうすっかり蕩けている。 年齢には不相応な、淫らな表情。 「ひとりでするときとは……指とは、 どう違って見える?」 「おおきくて……、あつくて、かたくて……」 「かさになってるところが、ぎゅって…… こすって、ふわってなる……」 ことねちゃんに言わせながら僕はその秘部にも手を伸ばした。 ペニスで触れたときからわかりきっていることだけど十分に濡れて、柔らかくほぐれている。 「ぁ、ん……! おまた……はぅ、ゆび……、 せんせいの……、んぅ!」 「指でイッたらダメだよ。しばらくことねちゃんには 我慢してもらおうかな」 「ぅ……、は、はい……」 「おしおき。一緒に我慢しようか?」 言って、ペニスを頬に押し付けた。 「……できる?」 「はい……。ん、ぁ……ぺろ、れろ……」 裏筋に舌を這わせ、熱心に舐めてくれる。 それに合わせて僕も指を動かす。 とろとろになった秘裂を押し広げ、ゆっくりと擦り上げた。 「ふぁ、はぅ……ん……!」 「ひとりで気持ちよくなっちゃいけないよね? ちゃんと我慢して、僕のも気持ちよくして」 「は、はい……ん、ちゅ、ぺろ……れろ…… ん、ちゅう、んぷ……」 しばらくその奉仕の感触を十分に堪能した。 僕だって我慢してきたのは本当だ。背筋を快楽が走り、射精には遠いものの気分はどんどん高まってくる。 「ん、ちゅぷ……はぷ、んぶ……ぺろ、 れろ……ぇろ、んん……」 「ことねちゃん、上手になってない?」 「そ……そうですか……? れんしゅう、したから……」 「本当に?」 「はい……。たまに……。ひとりで、 アイスとか、たべるときに……」 そんなことまでしてくれていたのか。 「ぁ……。せんせい、ぴくってしたあ……」 嬉しげな調子だったけれど、少し見透かされたみたいで焦ってしまう。 だから指を動かしてクリトリスを刺激した。 「ふぁ……! ぁ、んぅ……!」 嬌声をあげたあと、ことねちゃんはまたペニスに舌を這わせる。 「はぷ、ん……っ、ちゅ、れろ……れる…… んっ、ちゅぷ……はぅ、れる……ちゅ……」 「上手になってるね……」 「ん……っ、せんせいの、あつくて…… おいしい、れふ……ちゅ、んぅ……っ」 僕のをしゃぶっているだけで、目の前にある膣口は広がったり収縮したりを繰り返していた。 指を深くまで入れてみたくもなるけれど、それは我慢して入り口の刺激に留める。 この後、ペニスでたっぷり広げて……味わいたい。 「はぅ、んふ……れろ、ぇろ、れろれろ……。 ちゅう、んぷ、はふ……ん……っ、ちゅうう……」 裏筋だけでなく、雁首の裏の合わせ目のようになっているところにもしっかり舌を這わせてくれる。 図書館で僕が言ったことをよく覚えているらしい。 「れろ、ちゅう……ん、ふぁ、んんぅ、ぴちゅ…… ちゅうう、れろ、れる……」 そろそろ本気で我慢できなくなってきた。 “おしおき”をしたくなって、僕は命令した。 「次は、口で咥えて」 「はい……ん、あー……」 ことねちゃんは何の躊躇もなく大きく口を開け、亀頭全体を口に含んだ。 「んく、ん……んぅ……」 「そうそう、歯は立てないで……。 舌はちろちろって、左右に動かして」 「ちゅ、れろ……ん、じゅぷ、ちゅ……」 舐めるほうは練習しても、さすがにこっちの方はまだまだらしい。 多少の余裕を感じつつ、僕はことねちゃんの頭に添えた手に力を込めた。 「んぐ……ん、んぅう!?」 「図書館でしたみたいにしてみようか」 「はぅ……ん、ちゅう、んぷ……!」 僕は手と腰をゆるゆると動かした。 イラマチオというほどではないけれど、十分無理矢理させてる感じは味わえる動き。 「んぶ、ちゅ……んんぅ! はぁっ、ん…… ぺろ、じゅぷ、くぷ……ん……!」 酷いことをしているとは思う。 だけど――ことねちゃんの体は反応している。 僕の目の前で新しい愛液がまたあふれ、股間をしとどに濡らしていった。 「はぁ、はふ……んぐ、ちゅう、じゅぷ、 ちゅう……じゅぷぽ、んぶ、ぷはっ、はぁ……!」 「そう、上手だよ……。 お礼にこっちもしてあげる」 「ふぁ、ぁ……せんせぃ、んぐ、ちゅう、ん……! ぷはっ、はぁ、んぅ……! んぶ、じゅぷ……っ」 お礼だなんて本当はとんでもない。 僕が指を動かすことで、ことねちゃんは呼吸のタイミングがより取りづらくなるはずだった。 「ぁふ、んぐ……ちゅう、ふぁあ、あ……! そこ、らめ……んぐ、じゅぷぷ、ちゅ……!」 苦しげな吐息と喘ぎ声が直接ペニスに触れるような感触に僕は夢中になった。 腰の動きを徐々に激しくしていき、ことねちゃんの喉奥を突く。 「ぁあ、ふぁ……ん、ん゛ぅう! ぅぐ、ん……! れろ、ちゅう、れろ……ん……!」 僕が強引に喉を突いてもことねちゃんは奉仕する姿勢を崩さなかった。 苦しそうにしながらも舌はしっかりと動かし、雁首を左右する。 「はぐ、ん……んぅう! ちゅ、れろ、ぇろ…… んんぅ! んっ、ぐぷ、じゅぷ、じゅぽ……!」 僕も指を動かして膣口をこね続ける。 そのこと自体で直接快感を得られるわけではないが、濡れそぼった粘膜が絡みついてくる感触には不思議なほど満足感があった。 「ぁぐ、ひぅ……! んぐ、ん……! せんせ、ぁ……おクチ……きもひいい…… んぐ、んぅ……!」 「……喉が気持ちいいんだ?」 「はい……っ、ぅぐ、おく、ぎゅって…… くるひ、けど……ん、ぅんん! それ…… もっとぉ……っ」 ことねちゃんの特殊な性癖、資質。 苦しいのが気持ちいいと感じてしまうことに僕はますます興奮していく。 「このまま……喉の奥に、出していい?」 「ぁ、ぐ、ん……! ふぁい……! しろいの、のどに……、ん……! かけて、ほし……はぁ、ぅぐ……じゅぷ……!」 まさかのおねだりにペニスはますますいきり立つ。 「んぅ、お、大きくなっ……ん、じゅぽ、 れろ……れろ、れる、んぅう!」 「しばらく激しくするよ」 「はい……っ、んっ、んぅうう! ぇう、ぁ…… はぁ、あ、あ゛、あ゛、ん……!」 頭を押さえて、喉を突いた。 喉ちんこにペニスの先端が触れる。 柔らかい、普段は触れてはいけないものに直接触れている感覚に酔い痴れる。 「ぇぐ、んぐ……! ぅ、ぁ、けほっ、ん……!」 「我慢できなかったら言って……っ」 「だいじょうぶ、ん……! らからぁ、 いっぱひ……んぐ、ほしひ、ちゅう、ぅぐ……!」 この状態を長く続けるのも可哀想で、一気に上り詰めてしまうことに決めた。 腰を激しく動かし、入れてはいけないところに雁首をこすりつける。 「ぇほ、ん……! ぅ、んぐ、んん……! せんせ……はっ、ぁ、ぅ、えぅ、ん! んっ! ん゛ぅ……!」 「あと少し……、我慢して……!」 「ぅう、んぅ! ぅく、んんぅ、ぁえ……はぁ! ぅぐ、ん゛、ん゛、ぁ、うぐ……、んんぅ……!」 最後の瞬間に奥まで突き入れて射精を開始した。 「ん……! んっ、ぅうん……! んぐ、ぅ……ッ。 ん、ぅぷ……ん……!」 亀頭はまだ喉の奥に置いたままだ。 食道や胃に直接注ぎ込むようにしてありったけの精液を吐き出していく。 「ぅぐ……ん、ん……! んぇ、はぅ……!」 ――気持ちいい。 得も言われぬ快感と征服感が全身を満たしていく。 こんなことまで受け容れてくれて―― おまけに目の前にある膣襞の粘膜は充血しっぱなしで愛液を吐き出し続けている。 イラマチオで射精されて、ことねちゃんの体は悦んでいる―― 「ぅ、ん……ぅう、ふはっ、はぅ……、ん……」 「よく我慢できたね……」 やっとペニスを少し引き、舌の上に置いた。 「ん、ちゅう……、ぺろ、れろ……」 「あ……っ」 だいぶやり過ぎたくらいだと思ってた。 なのにことねちゃんの奉仕はまだ終わらず、尿道に残った残滓を吸ってくれている。 「ちゅう、ちゅぽ……んぷ、じゅぷ……。 んん、ちゅううぅ、はふ……ん……」 ここまでされたら最後の命令までしたくなる。 「全部吸ったら、味わって……飲み込んで」 「ふぁい……、ん、ちゅうぅ、じゅぽ……。 ん、れろ……ぇろ、ん……」 僕の命令通り、ことねちゃんは頬のなかで精液を転がした。 「んぷ……ぇろ、くぷ、ぐちゅ……。 ふぁ、ん……」 それから――嚥下する。 「ん、ん……! こく、ごく……。ん……」 精液の大半は直接喉奥に出したから、口内にあるのはそれほどの量ではないはずだ。 それでもことねちゃんの小さな口と喉が動いて精液を飲み込んでいくさまは股間の奥に響いた。 「ぷは……はぁ……。 じょうずに、できまひたか……?」 「……うん。上手過ぎるくらい……」 「ほんとう? よかっらぁ……」 目の端に涙を溜めながら嬉しそうに微笑んでくれるのもたまらなかった。 「もう一回、次は……」 「はい……」 射精後の心地よい疲労感と、もう一度出したいという期待感の両方に動かされ、ことねちゃんの体を布団に横たえなおした。 「もう、すぐ……入れるよ」 「わたしも……ほしいです……」 勃起は全然衰えていない。 この分なら大丈夫そうだ。 先端を押し付け、左右に微妙に揺らしてかき分けるように陰唇を開く。 ぐちゃ、といやらしい音が鳴ってことねちゃんの肩がまた震えた。 「ぁ、う……はぅ……」 「久しぶりだから少し痛むかもしれないけど……」 「へいき、です……。ぁ、ぅう……」 焦らしているわけじゃない。精液の残滓まですっかり吸われたせいで、ペニスの表面には唾液しかついていなかった。 愛液を亀頭全体にまぶし直すために上下左右にペニスを揺らす。 「ぅ……はぁ、せんせい……、おねがい……っ」 「……」 「はやく……はやくぅ……!」 その言葉に背を押され、一気に貫いた。 「ふぁ、あああ、ああああぁぁぁぁぁ!!」 その瞬間にことねちゃんの全身ががくがくとひきつる。 「っ、きつ……」 「ぁあ、ん……! ぁああ、はあぁ、んぅう!」 激しく収縮する膣襞。 ペニス全体に絡みつき、雁首を強く刺激する。 「もしかして、入れただけでイッた?」 「ふぁ、ぁ……イッてない、です……、ん……! がまん、しないと……っ!」 「そうだったね……。おしおき、だもんね」 「はい……っ、んっ、く……、大きい……、 んぅ、はっ、はぁ……、はぁ……」 ことねちゃんは指が白くなるほど布団にしがみつき必死に耐えている様子だった。 強い締め付け。 「ひぅ……んっ、ぅ……、はぁ、はぁ……!」 数ヶ月ぶりの挿入で、やはり多少は痛みや苦しさがあるのかもしれない。 でも、ことねちゃんはそれらを快楽に感じる性癖の持ち主でもある。 だから―― 「遠慮せずに動くよ」 「は、はい……! たくさん、して……! んっ、ぁあ、はぁ、あ……ああぁ!」 僕はあえて激しいピストンを開始した。 「ふぁ、ぁああ、んぅう……! せんせい……、せんせい、ぁ、くぅ……!」 脚を伸ばしている態勢のせいもあって、締りをよりきつく感じる。 こぶりなお尻が腰にあたる感触もたまらない。 メスを征服し、犯しているという気分に興奮はどんどん高まっていく。 「ひゃ、んっ! ぁん! ぅ、んぅう!」 ぱん、ぱん、とリズミカルに腰を打ち付けてひたすら感触を味わう。 久しぶりの襞を擦る感触がたまらない。 腰を押しても引いても絡みついてきて僕を離そうとしなかった。 「んぅ、はぁ、あ……! せんせいの……、 おへその、したぁ……、ああ、んぅう!」 その言葉に答えて一旦ペニスを膣奥に固定して腰をグラインドさせた。 「あ、ああ、はぁ……あ――ん、ぅう……ッ」 ぎゅっと膣襞が強く締め付けてくる。まるで握るみたいに。 「ここに欲しかった?」 「は、はい……っ、そこ、ぁ……! んっ、ぅう、はぅ……! はぁ、ああ……ッ」 「ここが一番感じるんだもんね」 今度はとん、とん、と小突く。 「ふぁ、はぁ! はい……っ、そこ、いちばん…… んっ、あ、! こつ、こつってぇ……んぅ!」 「ひとりでしてもここはできないよね?」 「はいっ、ん……あ、ごめんなさ……、 がまん、できなくて……っ!」 「今日まではできなかったから……仕方ないよ。 でも、これからは……」 「んぅ、く……ん……! ぁ、はぁー、ん゛……!」 「ひとりでしちゃダメだよ」 「も、もう、しません……っ、ん……! せんせいと、ずっといっしょ……、 いっしょが、いい……っ、はぁ、あー、あ……」 ことねちゃんの体はほぼ弛緩していた。 感じすぎて力が入らなくなっているようで、ただ僕を受け容れるだけになっている。 それでも締め付けだけは強く、襞も絡みついてくる。 「ぅう……、はぁ、あ……、せんせい……」 「奥にいっぱい出してあげるよ」 「はい……、はい……っ」 「ここ……おへその下にはね、赤ちゃんの部屋が あるんだよ。子宮っていうんだけど――」 「しきゅう……?」 「子宮に白いのをいっぱい注ぐと、いつか 子供ができる……孕むんだ」 「え……はらむ……?」 「ことねちゃんの体だと無理かもしれない…… けど、いつかは……欲しい? 僕とことねちゃんの――」 「ほ……ほしい、です……」 「そっか。僕も欲しいよ。だから――」 「――孕ませて、って言ってみて」 期待と征服欲が限界まで達している。 僕は待った。 するとことねちゃんは唇を開き、噛みしめるように言った。 「せんせい……。はらませて?」 「……っ」 「わたしの……? わたしを……? はらませて……」 「わかった―― ことねちゃんを孕ませるよ」 もう高ぶりを抑え切れない。 僕は激しいピストンを再開した。 「ふぁ、はぁ、ぁあ……んぅう! おく……んっ、いっぱい……!」 床が鳴るほどに腰を強く打ち付け、奥を乱暴にえぐる。 「んぅう、ぅく……! んんっ! せんせい……ぁ、はらませて……!」 「ああ……!」 言わせる背徳感でも胸がいっぱいになる。 孕ませたい、このメスをすべて征服したい。だってそれを望んでるんだから。 「んっ、あ、はぁ……! あ……イキそ、ん! イク、んっ、あ……、あぁ……!」 「あと少しだけ……我慢して!」 「ぅく、んっ、はぁ、あ……ああ、ぅう……!」 亀頭が限界まで膨らんでいる。 奥に出したい、子宮口に先端をつけて、すべてをぶちまけたい。 強い衝動に腰が震え、股間の奥が疼いた。 「あ、ぅ、はぁ、あ……! せんせい、もう……! んっ、ああぁ、だめ、らめ……! ああ、あぁ!」 ことねちゃんはいやいやするように頭を振った。 髪を振り乱し、本気でイキ狂おうとしている。 「ぅ……あぁ、はぁ、あ……! はらませて……、はらませてぇ……!」 「……ッ!」 うわ言のように言われ、限界に達した。 一瞬意識が遠のくほどの快感が訪れたあと、尿道を塊のような精液が駆け抜けていく。 「ん……! ぁ、ああ……! イク、ん……! ああああ、はぁ、あああぁぁああ!!」 奥の奥にぶちまける。 すべて注ぎ込んでいく。 「はぁ、あ……! おく、いっぱい……っ! じわって……あつ、ん……ぅううう!」 がく、がく、とお互いの体が震えた。 子宮に吐精するイメージを明確に描きつつ、鈴口は子宮口に固定する。 「く……はぁ、はぁ……!」 「んぅ……ふぁ、はぁ、あ……! はぁ、うう……っ、はぁ、はぁ……」 股間の震えはしばらく止まらなかった。 疼きも止まらず、二回目なのにありえないほどの量の精液が吐き出される。 「ぅ……はぁ、あー……ん、あ……。 ま、まだ……じわって、なって……ぅ……。 はぁ、あー……」 体力を使い果たして僕はことねちゃんの体の上に覆いかぶさった。 後処理どころかペニスを引き抜く気にすらなれない。 ことねちゃんの胎内に埋めたまま甘い余韻の快楽を味わい、目を閉じた。 小一時間ほど二人して眠ってしまっていた。 一応浴衣を整えなおしてみたけれど……。 「……よれよれだね」 「しわがたくさん……」 僕とことねちゃんは顔を見合わせて笑った。 浴衣はたっぷり汗まで吸ってしまって糊の効いた状態からは程遠い。 「からだも、べたべたします……」 「汗もかきすぎたね……冬なのに」 「はい……」 ふぅ、とことねちゃんは大きく息を吐いてから僕をぼうっと見て言った。 「きもちよかった……」 「……うん。僕も」 また顔を見合わせてくすくすと笑う。 「いや……ごめん。苦しくなかったかな。 その……喉も、最後のほうも……」 「ちっとも。すごくきもちよくて……。 えっと、ずっとふわふわしてて……」 「そっか」 それならいいのかな――でもやり過ぎの一線は超えないようにしないといけない。 ことねちゃんは僕のすることには何でも応えようとしてくれるから危険だ。 「あ……。ゆかた、よびのがあったかも……。 きがえる?」 「そうだね。でも、その前にお風呂いこうか」 「おふろ……二回はいっても、いいの?」 きょとんとした表情でことねちゃんが聞いてくる。 そうか――こういう場所は初めてで、昨日も結局一回しか入らなかったから。 「うん、大丈夫だよ。泊まってる間は何度入っても いいことになってるんだ」 「わぁ……! りょかんって、すごい……っ」 「ごはんも出てくるし、お布団も敷いてもらえるし」 「えへへ……♪ いたれりつくせり、ですっ」 「まさにそれだね」 笑ってから立ち上がり、二人でお風呂に行く準備をした。 時計を見るとちょうどいい時間だ。 「それに……なんと、今日は」 「??」 「一緒にお風呂に入れるよ」 「え……? いっしょ……?」 「貸し切りにできるんだ。昨日頼んでおいたんだ」 「わぁ……! せんせいと、ふたりでおふろ?」 「うん。広い浴場を貸し切りだよ。 一時間だけだけどね」 「じゃ、じゃあ、はやくいかないと!」 「大丈夫、まだ始まる時間まで十分あるから――」 「せんせい、はやく!」 僕が言ってる間にことねちゃんはもう部屋の扉の付近まで到達していた。 さっきあんなにへとへとになるまでしたのに、もう回復してるなんて。 この年頃の子の体力はあなどれない。 こういう展開になるのはわかってた。 室内のお風呂のなかだとのぼせて体調が悪くなりそうだから、あえての露天風呂。 「えへへ……。せんせいと、おふろ……」 「そんなに嬉しいの?」 「うん……。はだか、はずかしいけど……。 せんせいのはだかも、見られるから……」 あらためてじっと見られると僕も少し照れてしまうかもしれない。 「ふふ……せんせいのからだ、かっこいい……」 「そうかな」 「はい……。わたしとぜんぜんちがう、 おとこの人のからだ……」 ことねちゃんの指が僕の胸板に触れる。 愛おしそうに撫でられて変な声が出そうになった。 「ことねちゃんも可愛いよ」 向かいあって近くで見ることは今までなかなか無かった。 細い体、白い肌。 少女の肉体の魅力をじっくりと眺める。 「……せんせい?」 「うん?」 「めつきが……」 「はは……」 「ふふ……くすくす……。わたしもいっしょです。 せんせいのはだか見てると…… また、したいなって……」 「……うん」 貸し切りのお風呂、しかも露天という開放感のせいかことねちゃんの発言も雰囲気も大胆だった。 もともと芯は強い子だし、この調子じゃ将来僕は尻に敷かれるほうになるのかもしれない。 「おおきく、なってます……」 ことねちゃんの言う通りだった。 今の彼女にどこかこれまでにない魅力を感じて、ペニスはまた元気になってしまっている。 女の子には色々な面があるんだと思う。このくらいの年頃の子でも。 「……どうしよう」 「うん?」 「おふろで、こいびとどうししたら…… いけないかな?」 どうだろうか。 大抵の貸し切り風呂ではそういうことが行われているような気がする。 誰かに聞いたことがあるわけじゃないからわからないけれど、そりゃ、若い男女が一緒にお風呂に入ってたらしたくなるよな。 「ことねちゃん」 「はい」 「覚えてるかな。二人きりのときは――」 「あ……!」 ことねちゃんは笑顔になってその先を続けた。 「ふたりきりのときは、いけないことしてもいい…… ふふ、くすくす……」 「……しようか」 「はい。こいびとどうし……」 今までにないゆるやかな雰囲気のなか、ことねちゃんが少し腰を浮かせた。 僕はそれに合わせるように移動し、勃起した先端を入り口に当てる。 「ぁ……ん……っ!」 「ふぁ、はぁ……はぅ……」 さっき激しくしたせいもあって膣内はもうほぐれていて、何の問題もなく挿入できた。 「ぁ……ん、はぁ……。ふかい……」 奥まで挿入したところでことねちゃんはおへその下をさする。 彼女にしては自然な仕草なのかもしれないが、僕にとっては酷くエロティックに見えた。 それからことねちゃんは上目遣いになって僕を見て―― 「あの……。いつも、せんせいがいっぱい、 してくれるから……」 「わたしが、うごいて……いいですか?」 「うん――構わないよ」 やっぱりこの場所がことねちゃんを大胆にしているのだろうか。 思わぬ申し出に股間もますます元気になった。 「ん……っ、ぁ……こ、こうかな……」 間近で見つめ合いながら腰を合わせる。 「や、ん……! せんせいは、うごかないで……。 わたしが、するのぉ……」 「ん……」 言いながらことねちゃんが唇も合わせてきた。 キスしながらペニスに刺激を与えられ、思ってもみないほど体が反応してしまう。 「ん、ちゅ……ぷは……、ん……」 ゆるゆるとした腰の動きと舌の動き。 お互いの唇をついばみあいながら快楽に浸されていく。 「はぁ……ん、ちゅ……れろ、ん、ちゅ……」 股間の動きよりもキスのほうが情熱的だった。 まだ不器用ではあるけれど、僕の舌に自分の舌を絡めて吸い付いてくる。 「ちゅ……れろ、んぷ……はぁ、せんせい……」 「ん……」 甘い声にも脳が蕩かされていく。 露天風呂で、一応囲いはあるけれど―― 本来は危ない状況だし、声はきっと聞こえてしまう。 それでも興奮は止まらなかった。 「はぁ、ん……ちゅうう、ん……、んく…… ちゅう、れろ……、ん……」 僕の唇をひと通り吸った後、唾液を飲み込む仕草。それもたまらなく性感を煽る。 「はぁ……。キス、たのしい……」 「気持ちいいね……」 「はい……。向かい合わせでするのも、 あんまりなかったから……」 いつもと雰囲気が違うのはそのせいもあるんだとやっと気付いた。 僕が後ろからすることのほうが多かった。 こうして向かいあっていると、ことねちゃんのほうに主導権が移動したようにすら思える。 「ぁは……、せんせいの、ぴくぴくって……。 おへそのしたで、うごいてます……」 「ことねちゃんにこんな風にしてもらえるのも 嬉しくて……」 「よかったぁ……。いつもしてもらってたから……。 わたしも、せんせいみたいに…… じょうずに、なりたいです……」 そんな言葉にも股間は反応し、奥に疼きが現れる。 射精の衝動にはまだ遠いけれど、準備は始まった。 それを悟られそうなのが何だか悔しくて、ことねちゃんの胸に添えた手を動かしてみる。 「ぁ、やぁ……、さきっぽ……んっ……!」 乳首を少しこねただけで効果はてき面だった。 締め付けが切なげに強くなる。 ……ことねちゃんが感じた分、僕も気持ちよくなって射精を引き寄せてしまったけれど。 「せんせい……ん、ちゅう、はぅ……んん……」 もう一度キス。 「ん、ぷは……れる、ぁ、ん……! ちゅう、ぺろ……はぁ、はふ……」 だんだんキスの調子も激しくなってきた。 ことねちゃんは積極的に僕の唇を吸う。 それにいたずら心がわいて―― 「ん……」 彼女の口内に唾液を流し込んでみる。 「ぅ、ん……! ん……。 こく、ん……。ふぅ、ん……ふふ♪」 ことねちゃんは嬉しげにそれを飲み込み、体を震わせて笑った。 「せんせい、のんでほしかったの……?」 「いや……まあ、うん」 そんな風に聞かれて僕のほうがしどろもどろになった。 「もっと、のませて……」 「ん、ちゅう、ぺろ……ちゅぷ、んふ……。 れろ、れる……ちゅうう、ん……っ」 ことねちゃんはキスしながら挿入するのが相当気に入ったらしかった。 腰をゆるゆると動かすのも忘れずに、どんどん舌を絡め、唇を吸ってくる。 「はぷ……ん、ちゅう、れろ……。 せんせいの、おいひい……、ん、ちゅう……」 「おいしいの?」 「ぅん……ちゅ、れろ……ん……。 あたまのなか、ふわあってなって……ん、ちゅ。 しあわせ……ちゅ、れろ……んぷ……」 これじゃまるっきりことねちゃんのペースだ。 キスされ続けて射精前の甘い痺れがいつの間にか股間全体に広がり始めている。 僕は手をもう一度動かした。 「ん……! ふぁ、ん……! ちゅう、れろ…… ぷは、んぷ……ん、ちゅう……」 僕の意図をなんとなくで察したのだろうか。 ことねちゃんは負けじとするみたいに舌を絡めなおしてきた。 「ふぁ、はぁ……ん……! や、ちゅう……ん、 せんせ……れろ、ちゅう、ぅ、んん……!」 お互いの高ぶりが大きくなってくる。 胸を愛撫する手はもう止めず、ただ優しく乳首を繰ることにだけ集中した。 腰はあえて動かさなくてもことねちゃんが動いてくれるし、射精感も強くなり始めている。 「ん、んっ、ちゅ……んぅ……、はぁ……ん……! せんせ……イキそう、です……ちゅ、ん……」 「このまま……ゆっくり……」 「はい……、ん、ちゅう、キスしたまま…… ん、白いの、おなかのおく……ちゅ、ぺろ…… ください……」 動きは決して激しいものにはなっていない。 ゆるゆるとした快楽のまま、どこかあたたかい射精の感覚に向かって進んでいく―― 「ちゅ、はっ、ん……! せんせいの、 なかで……ふくらんで……ん、ちゅう、れろ……」 「うん。もうすぐ……」 「じゃあ、おく……、とん、とんって…… ちゅ、れろ……」 ことねちゃんが深く腰を下ろした。 「ん……! あぁ、はぁ、はふ……、 ちゅう、んんん……!」 いっぱいいっぱいになりながら、それでもキスをやめるつもりはないらしい。 こつ、こつ、と肉質の壁に先端が当たっている感触がある。 ことねちゃんの奥。子宮。 上でも下でもキスする感覚をことねちゃんから与えてもらうのも、とても気持ちいい。 「わ、わたしに……まかせて……、ん、ちゅう、 ぺろ、れろ……ちゅう、んふ……!」 いつか僕が言ったセリフ。この子はよく覚えてくれている。 自分の話を真摯に聞いてもらっていたんだ、という満足感も射精へと僕を押し上げていく。 「はっ、ちゅう……ぺろ、れろ……ん……! イキ、そ……! せんせいは……?」 「僕も……そろそろ……」 「いっしょ……いっしょに……! ちゅ、ん、れろ、ぇろ……んぷ、ちゅ……!」 一定のペースで腰が動いて波が立つ。 自分で制御はしていないから、いつもの突き上げるような射精感ではなく、じわじわと上ってくるような射精感が迫る―― 「せんせい……」 「……?」 「はらませて……?」 「……ッ」 とどめの一言を言われて快楽が走り抜ける。 「ちゅ、ん……、はぁ、ん……! ぁ……。 イッ、く……! ん、ちゅ、んぅ……!」 「く、ぁ……!」 「ん……! んふ、ん……! ぅんっ! んっ、ぅ……はぁ、ちゅ……ん……!」 三回目の射精は、始まりは穏やかだった。 じわじわと先端に快感が広がり、射精しているのかしていないのかわからないような感覚がまず訪れる。 「ぅ、ん……、ちゅう……、れろ……、ん……! はぅ、ん……! ちゅう、んんぅ……!」 それが徐々に大きな快楽へと変化していき、射精しながら弾ける。 「ぁ、く……!」 「ん、ちゅ……。はぅ……、ん……。 ふふ……♪」 ことねちゃんが射精中の僕の顔を間近から見て嬉しそうに微笑んだ。 「ちゅ……ん、れろ……、ん……」 「ぅ、ぁ……」 あまり経験したことがなかった。射精しながらキスされるのがこんなに気持ちいいとは予想外だった。 「せんせぃ、かわいい……。ちゅ、ん……」 いつもとは違った意味でぞくぞくとするような快楽が続いていく。 やみつきになるような、じわりと広がったものがいつまでも止まらない快感―― もしかしたら、ことねちゃんがいつも味わっている感覚はこれに近いのかもしれない。 与えることの悦びも、与えられる悦びも、この子に教えてもらった―― 「ん、ちゅ……んぷ……はぁ……。 ぷは……ちゅっ」 「はぁ、ふぅ……。唇がふやけそうだよ」 「ぁは……♪ えへへへ……。 ゆっくりこいびとどうし……たのしい、です」 「そ、そうだね……」 ことねちゃんが今感じている楽しさは、ゆっくりしたことから来るものだけじゃないと思うけど……。 今はまだ深く突っ込まないでおこう。 「せんせい……きもちよかった?」 「……うん。すごく」 「わぁ……。えへへ……。 だいすき……。せんせい、だいすきです……」 「うん。僕も……大好きだよ」 そんな睦言を交わし合いながら、残りの時間もたっぷりお風呂を楽しんだ。 楽しかった二泊三日の旅行も終わる。 おみやげのせいで思いのほか多くなってしまった荷物を持って、僕らは――故郷、 そう、ことねちゃんにとっては紛れも無く故郷で、僕にとってはこれから故郷になる場所に戻ってきた。 手をつないで歩いている。 時間はまだお昼。 今日いっぱいはゆっくり過ごせそうだ。 「せんせい、おもくない?」 「大丈夫、これくらいなら全然平気だよ」 「つかれたら、こうたいするから……言ってね」 「平気、平気」 優しい心配に笑みが漏れる。 本当に、どこまでもいい子だ。 「ことねちゃんのほうこそ、初めての長旅で 疲れたんじゃないかな」 「ううん。たのしかった……とっても」 「それは良かった。また……行こうね」 「また……。いいの? ほんとうに?」 「もちろん。これから二人で、おいしいものを 食べたり、温泉に行ったり……。そうだ、 夏になったら海にも行こうか」 「わぁ……! 海! えへへ……。 みずぎ、きられるかな……♪」 「あの大胆なのはどうかな……」 「じゃあ、あのみずぎは……。またせんせいと、 ふたりのときにするね?」 甘えるような口調だけど、どこか僕が諭されている気分でもあった。 そんなところもことねちゃんの魅力だと思う。 この短い旅のなかでも色々な発見があった。 「さて……そろそろお家が見えてきたかな」 「ばぁば、心配してるかな」 「帰ったらご挨拶しないとね」 「ごあいさつ……? せんせいも?」 「うん。これからお世話になるから」 「おせわ……?」 よくわからないといった調子でことねちゃんは言う。 ――もうそろそろ言うべきときだろう。 玄関先についたら言おう。 もうおばあさんの承諾はとってある。 あとはことねちゃんに伝えるだけだ。 「よし……、到着っと」 「せんせい、ありがとう」 おみやげの袋を一旦地面に下ろし、僕はことねちゃんに向き直った。 「大事な話があるんだ」 「……?」 「来年から……僕はこの家に住まわせてもらうよ」 「え――」 「ことねちゃんと、これでいつでも一緒にいられる」 「うそ……、え? そんな……え?」 「将来を考えて……。 僕はことねちゃんと一緒に住みたい。 賛成してくれるかな?」 「あ……」 ことねちゃんがやっと理解したという風に目を見開いた。 戸惑いから驚きへ、驚きから―― ――最後には喜びへ。 「は、はい……! せんせい、いっしょに……」 「えっと……、いつまでもいっしょに、 いてください……!」 懸命な調子で言われて愛情があふれた。 「ありがとう。これから、よろしく」 「はい……、せんせ――、あ……。 だ、だんなさま……?」 「二人のときはそうだね。 ことねちゃん――僕のお嫁さん」 「わぁ……! あは、えへ、えへへ……♪」 ことねちゃんが僕に抱きついてくる。 そうしてひとしきり、二人で抱き合っていた。 お互いの背中に手を回して、存在を確認するみたいに。 「せんせいとまいにちいっしょ……。 ゆめみたい……」 「夢じゃないよ。もうさびしい思いもさせない」 「はい……っ」 ぎゅっと強く、僕の体をもう一度抱きしめてからことねちゃんは僕の顔を見上げた。 「あ、あの……。せんせいに、わたしからも、 だいじなおはなしが……あります」 「え――」 「えっと、これ……っ」 ことねちゃんは自分の荷物のなかから小さな紙袋をとりだした。 「せんせいに……プレゼント……」 「何だろう――あけていいのかな?」 「はい。あけてください……」 包をあけると、出てきたのは小さな箱。 その箱の中には―― 「指輪――」 「はい。えっと……して、ください」 「わかった」 僕が指輪をはめる。 すると――ことねちゃんは自らの胸元を探り、いつか僕がプレゼントした指輪をとりだした。 僕の指にはことねちゃんからのプレゼントの指輪。 ことねちゃんの胸元には僕からの指輪。 お互いに確認するように見せ合った。 「わたし、しってます。べんきょう、しました」 「……?」 「えっと……けっこん、するときは……。 ゆびわをおくりあう……ですよね?」 「ああ――」 僕は思わず微笑んだ。 ことねちゃんのなかでは婚約指輪と結婚指輪がごっちゃになっているらしい。 「うん……ふふ、そうだね。 結婚したら、夫婦で指輪をするものだね」 「だ、だから……、その、いつか、 せんせいにわたせたらいいなって、思って…… おみやげ屋さんで買ったの」 「そうだったんだ。ありがとう」 そういえば旅行の二日目、ことねちゃんに荷物を持つことをやんわりと断られた。 あれはこの指輪のためだったのか。 「せんせいにはもう、ゆびわをもらったから……。 およめさんになるためには、わたしもゆびわ、 よういしなきゃって……」 「ありがとう……うれしいよ」 「その日がこんなに早くくるなんて……。 ふふ……えへへ♪」 「わたせて、よかった……」 噛みしめるように言ってことねちゃんは僕の指を見た。 それから自分の胸元を見なおして、どこか誇らしげに微笑む。 「これで、およめさん……? おくさま……?」 「ああ、ばっちりだよ。これで僕たちは…… 夫婦だ」 「ふうふ……、ぁは、えへへ……♪ せんせい、だいすき……!」 「僕も好きだ」 「ずっと、いっしょで……。 ずっと、だいすき……!」 「それをひとことで表す言葉を教えてあげようか」 「え!? そんなことばがあるの!?」 「うん。あのね――」 「愛してる、って言うんだよ」 「あ……! ふふ、あははは……。 わかりました、せんせい」 ことねちゃんは僕の顔をまっすぐに見上げて言った。 「せんせい。あいしています」 「ことねちゃん、愛してるよ」 約束事のような言葉を交わして、もう一度抱き合う。 強く抱いて、お互いの首筋に鼻を埋めた。 そのままどれくらいそうしていただろう。 やっと体が離れたところで―― 「おかえり、ことね」 玄関先からおばあさんが顔を覗かせていた。 「あ、ばぁば……!」 「楽しかったみたいだねえ」 「きいて! ばぁば、せんせいが……!」 「もう知ってるよ」 「あはは、ふふふ……♪ これでばぁばも、あんしん?」 「そうだねえ……」 感慨深げにことねちゃんの頭を撫でてからおばあさんは僕を見た。 「ただいま戻りました。 ありがとうございます……。 認めてくださってなんと言えばいいか」 「ほほ……。まあ、私の娘時代のことを考えると、 おかしなことなんて何もありゃしませんよ」 「はい。ですが――」 「いい、いい。この子には先生しかいないよ。 先生がこの子しかいないと思ったんなら、 それ以上何も言うことはないよ」 「……ありがとうございます」 「昔の自分を思い出すようでねえ……。 ほほほ、まあ、しっかりおやり」 それだけ言うと、おばあさんは母屋へと戻っていった。 「ふう……」 「せんせい?」 「うん?」 「ばぁば、とってもよろこんでた」 「そ、そうなの?」 「うん。今までみたなかで、いちばん ごきげんだったかも……」 そうなのか――だとしたらありがたいことだ。味方がいるというのは心強い。 こんな僕だけど……。これからはしっかりやらないと。 「せんせい」 「はい」 「えへへ……。あいしています」 「――――」 満面の笑みで言われ、胸が詰まる。 良かった。 ここに来て本当に良かった。 「愛してるよ」 ことねちゃんも、この場所も、関わった人達も。 「ゆびわ……はやくできるようになるといいな」 ことねちゃんはチェーンを持ち上げ、陽光に指輪をかざした。 光が反射してきらきら輝いている。 僕も自分の指輪をもう一度見た。 「……愛してる」 「はい、せんせい。 あいしてます。だいすきです。 いっしょに……いようね」 「一緒にいよう。これから、ずっと……」 雨の日も風の日も、健やかなるときも病めるときも。 終生、誓います。 答えの出せないまま日々は過ぎていく。 秋になって学校が始まると、ことねちゃんと二人きりになることは少なくなった。 話しかけたい、何でもいいから会話したい……最初のうちはそう思っていた。 だが、日が経過するにつれてその想いは徐々に薄れて――どこか遠慮するような気持ちになっていた。 ことねちゃんのほうも、自分から積極的に話しかけてくるわけではなかった。 そうこうしているうちに、夏の思い出は思い出のままにしておいたほうがいいんじゃないか、という想いが強くなっていった。 どこまで関わればいいのか。 決めかねて、決められなくて……。 夕食後、橋本家のみんなに大事な話があると残って貰っていた。 「大事な話っていうのは前、言っていたことか?」 「はい。まだ答えは出ていませんが……。 えみちゃんたちに話しておこうかと思いまして」 決断の日が目前に迫っている。 相変わらず答えは出ていないけれど、答えを出す前にえみちゃんたちに話しておこうと思った。 「…………」 重苦しい雰囲気を感じ取ったのか、えみちゃんもゆうきくんも黙ってしまっている。 「えみちゃん、ゆうきくん。 ここに居るのは今年度いっぱいになるかも知れない」 「……!」 「えっ……!? なんで? おにいちゃん、 よそにいっちゃうの!?」 ショックだったのか、目を大きく見開いて固まってしまっているえみちゃん。 ゆうきくんは目に涙をいっぱい浮かべながら理由を聞いてくる。 「実は僕に都内の学園で教師をしないかって お誘いが来ているんだ」 それもすごく有名な学園からということを話していく。 「やだっ! おにいちゃんがいなくなるのやだよぉ!」 ゆうきくんは、ひたすら泣きじゃくっている。 えみちゃんもショックを隠し切れず、呆然としてしまっている。 「あのね、ゆうき。これはね、 誠人さんが頑張っている事が 認められたということなのよ?」 「まぁな。ここから都会の有名学校の教師。 大出世だ」 見かねた隆司さんと敦子さんがゆうきくんに諭すように話している。 「…ひっく……おとうさんもおかあさんも…… おにいちゃんいなくなるの、さみしくないの?」 「…寂しいけれど、これは誠人さんにとって 大チャンスなのよ?」 「それも一生に一度あるかないかっていうものだ」 「…うくっ……でも……でもぉ……」 嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるゆうきくん。 「…仕方ないよ」 黙ったままのえみちゃんが、ゆうきくんの頭を撫で、あやすように言っている。 「え、えへへ……。おにいちゃん、そんなすごい 学校から誘われるなんて、すごいんだね?」 「えみちゃん……」 無理矢理作ったような笑顔が痛々しい。 泣いてしまうのを必死になって我慢しているのだろうな。 それからさらに数日間、思い悩む日が続く。 決断をしたつもりではあった。 だけどことねちゃんの笑顔が脳裏にちらつく。 初めて会ったときの、不安げな様子も―― 数日後。 悩みに悩んだ僕は放課後の学校を何をするでもなくただ歩きまわっていた。 この学校であったことを思い出しながら。 「…………」 気が付くとウサギ小屋の辺りに来てしまっていた。 小屋のなかを覗くと、二匹のウサギが寄り添うように身を固めている。 「これから寒くなるもんな……。 大変だぞ、お前らも」 とはいえ、ウサギ小屋のなかの一角には古毛布や新聞紙、ダンボールが敷き詰められて暖がとれるようになっていた。 几帳面で丁寧な仕事。 誰がこれをしたのかはすぐにわかる。 「ことねちゃん……」 「……? せんせい?」 「あ――」 ふと顔をあげると、ことねちゃんがウサギ小屋に歩いて来るところだった。 「や、やあ。今日もお世話?」 「はい。冬はたいへんだから……」 「そうだよね。雪も積もるだろうし」 「ほんとうは、ヒーターがあるといいって、 はるか先生いってました。 でも、がっこうじゃだめだから……」 「うん」 厳しい環境ではあるけれど、冬を越せないということはないはずだ。ウサギは夏のほうが苦手だと聞いたこともある。 「これだけ毛布があればきっと大丈夫だよ」 「はい……。きょねんもおととしも……。 わたしがおせわする前も、だいじょうぶだったって おの先生もいってました」 「うん。心配し過ぎないほうがいいよ」 「…………」 ことねちゃんは無言でミミのほうに手を差し出した。 するとミミは慣れた様子で鼻を近づける。 「ふふ……♪」 笑みを浮かべ、ことねちゃんは手を引いた。 「きっとだいじょうぶです」 「……うん」 「この子たちは、ひとりじゃないから……」 その一言に胸を衝かれる。 どう答えたらいいのかわからない。 「わたしもおせわして、見ててあげるの」 「そうだね」 「せんせいが、見ててくれたみたいに……」 「……っ」 夏休みが明けてから、初めての強い衝動。 その頭を撫でてあげたいと思う。 だけど我慢した。 僕に我慢させたのは、ことねちゃんのウサギ達への接し方だった。 出会ったばかりの頃はもっとウサギとの距離が近かった。 物理的にも、精神的にも。 だけど今は、きちんと距離をとって見守っている。 あたたかい毛布は準備して、けれど過剰に心配することはなく優しい瞳で見ていた。 綺麗な小屋とあたたかそうな寝床。それとウサギ同士の仲間がいればもう大丈夫、という風に距離をとれている。 「ことねちゃん」 「はい、せんせい?」 「お世話、上手になったね」 「ほんとう……? うれしい、です」 「ミミ、せんせいがほめてくれたよ」 ことねちゃんはもう一度小屋に指を伸ばし、ウサギを軽くあやす。 「じゃあ、僕はそろそろ……」 「はい。また、みにきてあげてね」 「……うん」 決心が固まった。 そしていよいよ、決断の日―― 授業が終わり、生徒達や他の先生たちが帰宅した後、職員室で校長先生と話をした。 「そうですか。やはり行ってしまわれるのですね」 「えぇ、この学園で得られたものは非常に大きかった。 みんなには感謝してもしきれません」 「瀬田先生、貴方は思った通り、いや思った以上に 素晴らしい先生になりましたね」 「今の貴方であれば、どの学園でもきっと 生徒たちと上手くやっていけるに違いありません」 校長先生のお褒めの言葉に照れてしまう。 「とはいえ、まだ時間はあります。 それまでは生徒たちの事、よろしくお願いしますね」 「もちろんです。残りの日々をここにいるみんなで 楽しく過ごしていきたいと思っています」 それから校長先生を通して、学園の理事長にお世話になることを伝える。 3月末まではこの学園で教師をして、新年度が始まる4月から新しい学園で教師をすることが決定した。 翌日―― クラスの生徒たちには早めに知らせた方が良いということで、ホームルームの時間を利用してみんなに話すことになった。 「えぇぇええっ! せんせー、いっちゃやだぁ!!」 「瀬田せんせがいなくなるの、やだぁ!!」 僕が今年度いっぱいで、他の学校に移る話をした瞬間、ののかちゃんたちは泣き出してしまった。 「俺も…やだ……」 泣きじゃくる女の子たちとは対照的に、男の子たちは肩を震わせながら耐えている。 収拾がつかない状態になってしまうが……。 「みんな、そんなこと言っちゃだめだよっ!」 えみちゃんが声を張り上げる。 「だって、だってぇ! えみちゃんはいやじゃない? さみしくないの!?」 「あたしだって、せんせがいなくなるのはさみしいよ」 「でも、せんせ、すごいところに行くんだよ? だったら……」 泣きそうになりながら、クラスのみんなを説得している。 嗚咽の混じった声でののかちゃんに答えている。 「……しんぱい、させないように えがおで見送るの」 両親が遠くにいることねちゃんならではの言葉にののかちゃんが黙ってしまう。 「…みんな、泣いちゃだめだよ。 せんせ、しゅっせするんだから……」 「そうだよな……。橋本のいうとおりだ……」 「…うん……。そうだよ、ね……」 騒ぎが収まり、生徒たちの嗚咽だけが静かに聞こえてくる。 「先生がよそに行くのは春だから……。 それまで、みんなといっぱい思い出作りたいんだ」 「せんせーが忘れられないような、すごい思い出 いっぱい作るよぉ。ねっ、えみちゃん?」 「うん! みんなで楽しい思い出、作ろうね」 えみちゃんの呼びかけに、クラス全員が大きく頷く。 「…みんな……」 涙腺が決壊しそうになるのを必死に抑える。 この学園に来て、このクラスの担任になって、本当に良かったと心から思った。 「…………」 ことねちゃんは皆の輪には加わらず、その場で肩を落としていた。 泣いているのかと思った。 何か声をかけてあげたいけれど、皆がいる場所だ。 どうすべきか―― 迷ったところで、ことねちゃんが顔を上げて僕を見た。 まっすぐな視線で。 「あ――」 それから――ことねちゃんは少し首を傾げ、微笑んだ。 目が潤んで見えたのは、光のせいだろうか。 それからというもの、全力でこの学園での日々を過ごした。 「じゃあ、この問題を――ののかちゃん」 「はぁい♪」 ののかちゃんは居眠りをしなくなったどころか、勉強に対してかなり積極的になった。 「うん。正解。よくできました」 「えへへ♪ らくしょーだよ。 私、べんきょーにめざめたんだから」 何でも大きくなったら都会に行くのだとか……。 テストも満点を取ることが多くなったし、やればできるを地でいっている。 「じゃあ、今日の体育はみんなで遊ぼう!」 「やりぃ! なぁ、サッカーしようぜ?」 「わたし、雪合戦やりたい…!」 「いいね、ことねちゃん。雪合戦なら、 みんなでできるね」 「雪合戦かぁ。藤堂、負けないからな」 「…うぅ……わ、わたしも負けないもん」 「よぉーし! 女の子の力、見せてやるぅ♪」 引っ込み思案だったことねちゃんも、最近では自然に皆の輪に馴染めている。 夏休みの間にえみちゃんやののかちゃんと仲良くなれたのが大きいみたいだった。 おどおどした感じは消えて、おとなしさも個性として受け容れられている。 僕はうさぎ小屋の近くを通りかかるたびに、寄っていくことに決めていた。 会えるときもある。 会えないときもある。 どちらの場合でも長居はしないとも決めていた。 「あ……」 今日は会えるほうだったみたいだ。 「みんな元気かな」 「はい。げんきです」 教室で生徒たちに別れの日を告げてから数週間が経った。 ことねちゃんは――僕と会話するときはいつも微笑んでくれている。 「寒くなってくると、たくさんたべるの……」 「そうなんだ」 皮下脂肪を蓄えないといけないからだろう。 冬の寒さに耐えるために。 ウサギ達はいまことねちゃんが与えたらしいごはんを忙しげに食べている。 「…………」 「…………」 僕もことねちゃんも特に何も言わず、ぼんやりとウサギ達を見ていた。 ことねちゃんは、僕の転勤の話を聞いてからも何も言ってこなかった。 教室ではごく普通に、普段通りに過ごしている。 こうして二人きりになると、僕のほうは未だに情念の高ぶりを感じる。 だけど……彼女のほうはどうなんだろう。 ……女々しいな。 そんなこと、気にしてるばかりじゃいけない。顔色を盗み見ようとしてしまうなんて。 「せんせい?」 「――うん?」 「しつもん、していい?」 「何でも聞いて」 ことねちゃんはウサギ達のほうに視線を落とした。 何だろう――しばらく経ってそう思ったところで口が開いた。 「おおきくなったら……」 「せんせいくらいおとなになったら…… さびしいのって、なくなりますか……?」 純粋に疑問だという風に聞かれて僕は正直に答えた。 「人にもよるだろうけど、 なくならない……かな」 ことねちゃんは僕の返事に儚げに微笑んだ。 「そっか……。 それきいて、すこし……えっと……」 「どういったらいいのかわからないけど…… ほっと、しました」 「……うん」 それからしばらく言葉なく過ごし、二人でウサギ達を眺めてから―― 僕は立ち上がった。 「長居すると風邪ひいちゃうよ。 ほどほどにね」 「はい。わたしもかえります」 「うん。じゃあ、さよ――」 さようなら、と言いかけて僕の口は固まった。 いつもなら素直に口にできる言葉なのに。何も考えずに言えることなのに。 「……せんせい?」 「ことねちゃん――」 「またあした」 「ああ――うん。また明日」 また明日、そう言えるのは三月までなんだ。 それでも今はそう言えることを大切に思おう。 「ごちそーさまぁー」 「ゆうき、まだ残っているよ。 ちゃんと全部食べないとだめだよ」 「えぇーー! だって、ピーマンきらいなんだもん」 「こらっ! 好き嫌いしちゃだめだって。 せっかくおかあさんが作ってくれたんだから」 「うぅぅ、むりだよぉ……」 「ほら、おねえちゃんのハンバーグ、少し分けて あげるから、これと一緒に食べなさい」 「……わかったよぉ……んっ……んぐっ……」 家ではしっかりお姉ちゃんをしている。 「あらあら、えみったら」 娘の成長を敦子さんが嬉しそうに眺めている。 それでも、たまにゆうきくんに手をあげてしまうことはあるけれど……。 でも、それはゆうきくんがおいたをした時だけだ。 理不尽に手をあげることは、一切なくなった。 楽しい時間は、あっという間に過ぎ去っていく。 年が明けたと思ったら、すぐに節分、ひな祭り、卒業式と次から次へとやってきて……。 皆と思い出を作りつつ、新しい学園の準備に忙殺される日々を送っていた。 3月末日―― ここを出発し都内へと戻る日がやってきた。 朝一番で、荷物を新しい住所へと送り、お世話になった隆司さん、敦子さんに挨拶をしてから学園にやって来ていた。 「…………」 誰も居ない教室、教卓の前に立ちながら感傷に浸る。 ここにやって来て1年――たった1年だというのに、今までの人生で一番濃い時間を過ごすことが出来た。 まだ雪が残っている時に、この町にやってきた。 『何もない…。こんなところで教壇に立つのか』という第一印象。あの時は不安しかなかった。 でも、諦めるのはまだ早いと、自分を奮い立たせたりもした。 それから、ことねちゃんたちと出会って―― 『あ、う、あう……お、おはよう……ございます』 最初は避けられてた。 僕もどう接すればいいのかよくわかっていなかった。 引っ込み思案で、おとなしくて。 この子はどうしたいんだろう、何が言いたいんだろう、そう思っていた。 だけど、考えてみればその疑問はこの学校の生徒たちが僕に抱いた印象と同じだったんだろう。 この先生はどんな人なんだろう、ぼくたちわたしたちに何を言いたいんだろう、そう思われていたはずだ。 ここに来た当初の僕は、自分が何をしたいのかをよくわかっていなかった。 ことねちゃんの姿を通して自分の姿を見て色々なことに気づけたのかもしれない。 周囲にうまく馴染めずに迷ってばかりいて本音を出せなかったのは僕も一緒だ。 本当に、生徒たちには教えられることばかりで―― 僕は未熟だった。今でも未熟だ。 そんな僕を受け容れて、ゆるしてくれた女の子。 「それでは……一年間、お世話になりました」 「はい、こちらこそ」 「達者でな。 なに、大丈夫! 先生ならできる!」 「……ありがとうございます」 「忘れ物、ないかしら」 「多分大丈夫です。何かあればご連絡ください」 「ええ。何もなくてもまたご連絡します。 この子たちも気になるでしょうし」 「ぅう……。おれ、てがみかくよ……」 「うん。ありがとう。来たらちゃんと読むよ」 「よむだけじゃだめだからな!? へんじもおねがい!」 「もちろん。返事も書くよ」 「もう、この子ったら……。 お返事は暇なときでいいですからね」 「……おにいちゃん」 「えみちゃん。一年間、ありがとう」 「……ううん。たのしかった……。 いっぱい、教えてもらって……。 前より勉強、好きになったかも」 「それはよかった。 しっかり親孝行するんだよ」 「どうしたえみ、しめっぽいな! 男の門出は笑顔で見送るのが いい女ってもんだぞ!」 そう言う隆司さんだけど、目の端が赤くなっているのは酔いのせいばかりではないだろう。 「またあそびにきてね」 「うん。きっと来るよ」 「おう、いつでも来な!」 「本当に。お待ちしてます」 「ぜったいだぞ!」 最後にえみちゃんの顔を見ると―― 「……っ」 唇を一度引き結んだあと、えみちゃんは笑顔になった。 「また……またね! おにいちゃん!」 キャリーバッグを持って田舎道を歩く。 ――寒い。 三月とはいえ、田舎の春はまだ遠い。 夕暮れになるとなおさらだった。 一年間過ごしただけの場所なのに足取りは決して軽くはなかった。 後ろ髪を引かれるような想いがある。 これで良かったんだろうか……。 「良いも悪いもないか……」 どういう選択をしたとしてもその選択を生きていくことしかできない。 決断することはいつも愚かなことだ。けれど決断しないことも愚かなことだ。 どっちにしたって、ちっぽけな人生であることにかわりはない。 ――少し感傷的になりすぎているだろうか。 自嘲の笑みを浮かべながら僕はバス停へと向かった。 すると―― バス停に小さな人影がひとつあった。 誰だろう。こんな時間に。 背格好からしたら大人ではないと思うけれど―― 「あ……」 更に近づいて僕は気付いた。 きれいな黒い髪。心細げな肩の線。 ――ことねちゃんだ。 早足で歩いてバス停の前まできて、僕はことねちゃんに声をかけた。 「ことねちゃん」 「あ……せんせい」 「寒いのに」 「……いいえ」 その答えにはっとする。 彼女はいつも「はい」と僕に答えてくれた。 今更ながらそんなことに気づき、胸が詰まった。 「手、冷たくなって」 僕はコートのポケットから出した手をことねちゃんの手に重ねた。 「……あったかい……」 ことねちゃんの手を自分の手で包む。 すっかり冷たくなって、ただでさえ白い肌がますます白くなっていた。 「……待っててくれてたんだ」 「…………」 ことねちゃんは答えずに下を向いた。 「…………」 僕も何を言ったらいいのかわからず、そのまま立ち尽くす。 誰もいないバス停。 寒々しい風景のなか、二人で立っている。 僕は握ったままだったことねちゃんの手を自らのコートのポケットの中に押し込んだ。 「あ……」 ポケットのなかで手を握る。 僕の手のほうがあたたかい。少しはこれで寒さもマシになるだろうか。 「……」 ことねちゃんはいつか二人で歩いたときのようにそっと僕の脇に寄り添ってきた。 何か言おうと思う。 だけど頭は空転するばかりだ。 言葉が出てこない。 お別れの言葉が出てこない。 そのうちに―― 遠くから微かだが耳障りな音が聞こえてきた。 「……」 音のする方を見ていると、すぐにその発信源が現れて音も大きくなってくる。 ――バスのエンジン音だ。 ことねちゃんの肩がぴくりと震えたのがわかった。 僕はまだ何も言えずに立ち尽くす。 エンジン音が更に大きくなる。 バスはもう間近。 他の乗客の姿は見当たらない。 やがてタイヤが地面を擦る音とブレーキ音、そして油圧式の扉が開く音がした。 アイドリングのエンジン音だけが聞こえる数秒。 プシュッ、ともう一度油圧の音。 警告音。 扉が閉まる。 バスは再び動き出す。 「…………」 僕はバスに乗らなかった。 「……せんせい……」 本当のお別れはきっと、今のバスに乗って行ってしまった。 いま停留所に残されているのはことねちゃんと、お別れの抜け殻のようになった僕だった。 「手があたたかくなるまでは」 「あ……」 僕のコートのポケットのなか、ことねちゃんの手。 体温が伝わって、少しはあたたかくなっていた。 だけど僕のそのセリフはお別れのセリフでもあった。 次のバスは一時間後。 それまでには、この手はもう―― 「……ごめん」 「……」 「約束、破ることになって」 「……ううん」 ことねちゃんが強く手を握り返してくる。 「せんせい」 「……うん」 「わたし、すこしおとなになりました」 僕は見下ろす。彼女は見上げる。 視線が合う。 「さびしいのはわたしだけじゃないって、 知りました」 「そ……そっか」 声が思わず上擦ってしまう。 「なにも知らなかったことを、知りました」 「……うん。僕だって、今も同じだよ」 「ふふ……。いっしょ」 「……いっしょだね」 手が遊ぶように握り返してくる。 爪で僕の手の甲を少しひっかいたり、指先で拳の骨をなぞったり。 「わたしの手……ちいさい。 せんせいの手は、おおきいです」 ぽつりとつぶやいたことねちゃんの胸元。 コートのファーの影、首筋に―― 指輪のチェーンが覗いていた。 「次……。 次会うときは」 「……?」 「れんしゅう、はもう終わりで」 「あ……」 「本当の、本番にしよう」 「……はい」 「きっと迎えに行くよ」 「まってる……」 コートのなかで指を絡める。 恋人同士のつなぎかた。 「ふふ……」 「……?」 「こうしてるのも、こいびとどうしみたい。 せんせいのポケットのなか、あったかくて……」 「恋人同士だよ」 「え……」 「みたいじゃなくて……。 これからは」 「はい。 ……はい」 ぎゅっと僕の指を強く握り直してからことねちゃんは口を開く。 「せんせい、がんばって」 「うん……」 「あのね」 「わたし……見てる、見てるから……。 せんせいがしてくれたみたいに」 「……っ」 「じょうずにできなくてもいいよーって……。 せんせいがこまったら、わたしが…… たすけてあげる」 「……ありがとう」 その細い体を抱きしめたいと思うけれど、手を握り返すことだけで我慢した。 もう手は十分にあたたかくなっていた。 僕の手は汗ばんでしまうほどだ。 でも彼女の手は離れない。 ずっと握ったままでいてくれる。 小さい頃、僕はすぐに親の手を離してしまう子供だったように思う。 今はこの手を離したくないと思った。 だけど―― 時間は経っていく。 もう次のバスのエンジン音が聞こえ始めた。 「せんせい」 「ことねちゃん……」 「いってらっしゃい」 バスのエンジン音が大きくなる。 地面を擦るタイヤの音も聞こえてくる。 「いってくるよ」 最後は笑顔で。 「あのね」 「うん」 「おるすばんはとくいだから」 「……うん」 バスの扉が開いて、僕とことねちゃんの手は自然に離れた。 「また、きっと」 「はい、せんせい」 扉が閉じた。 バスが動き出す前、ことねちゃんは胸の前で小さく手を振ってくれた。 僕も手をあげて応える。 誰もいない車内、僕は中ほどの椅子に座って―― ――後ろを一度だけ振り返る。 いつもの楚々とした立ち姿で、ことねちゃんはバスを見送ってくれていた。 ここには戻ってこなければならない。 僕はまだ彼女の言うせんせいには遠いから。 ハーレムルートが解放されました。 共通ルートの最後に、選択肢が追加されます。 …やはり、今日の様子を見ているとみんなそれぞれ不安がある。 みんな大切な生徒たちだ。 多少、きついかも知れないが全員に目を配らせよう。 「水中玉拾い、優勝者は深海だな。 深海、おめでとう」 「やったぁーー! 私のゆーしょーだぁ!」 「…くぅぅ……あと一歩だったのにぃ……」 「えへへへ。今日の私はぜっこーちょーだよぉ♪」 ののかちゃんは、水中玉拾いで優勝したみたい。 満面の笑みでガッツポーズしている。 「えみさん、元気がいいのは良いことですが あまりはしゃぐと怪我しますよ?」 「…ぁぅぅ……ごめんなさい、きょうとうせんせ……」 一方、一番はしゃいでいたえみちゃんは教頭先生に叱られてしゅんとしている。 僕の目から見ても、危ないかなって思うことはあった。 ちょっとお灸をすえてもらって良かったのかも知れない。 「…せんせい……」 「ん? どうしたの、ことねちゃん? 泳がないの?」 「…うぅ……そ、その…わたし……泳ぐの……」 言いにくそうにモジモジしている。 「(ひょっとして、泳げないのか?)」 もしそうだったら、泳ぎを教えてあげたいのは山々だが……。 みんなのことを見ていないといけないしな。 「…わたしは…ここで、けんがくしててもいいですか?」 「うん。いいよ」 今は自由時間だし、別にいいだろう。 「よしっ! じゃあ、もういっちょやるかっ!」 「次も私がゆーしょーする!」 「あたしがゆうしょうするよ! のの、負けないからね」 どうやら、向こうでは水中玉拾いがもう1回行われるみたいだ。 小野先生の掛け声に、えみちゃんとののかちゃんがやる気を出している。 「…………」 ことねちゃんは、みんながはしゃぐ様子をうらやましそうに見ている。 保護欲をかきたてられるというか……、手取り足取り泳ぎを教えてあげたいという気持ちにさせられる。 「…………」 「…ん?」 ふと、遥先生と目が合ってしまう。 こっちをじっと見ているようだけど、どうかしたのだろうか? 「…………」 とりあえず、軽く会釈だけしておいて、みんなの方に視線を向ける。 「ぷはぁ! えみちゃん、何個ひろった?」 「…えーっと、12個だね。ののは?」 「えへへ、私もおなじだよぉ。どーてんだね」 「おっ、橋本と深海は12個ずつか。 他は──」 生徒たちが拾った数を申告している声がここまで聞こえてくる。 どうやら、えみちゃんとののかちゃんの同時優勝みたいだ。 「…えみちゃんも、ののかちゃんもすごい……。 男の子にも年上の子にも勝ってる」 「うん。すごいね」 自分が担当しているクラスの子たちが優勝っていうのは気分がいい。 自然と頬が緩んでしまうな。 「…せんせい? あの男の子……」 ことねちゃんが1人の男の子を指さす。 小野先生のクラスの子かな。プールの真ん中にたたずんでいて、様子がおかしい。 「ありがとう。ことねちゃん」 ことねちゃんにお礼を言って立ち上がり、プールへ向かう。 「みんな、ちょっとごめんね」 プールに入り、男の子のところへと泳いで行く。 「せんせー、かっこいい!」 「ふあぁ、せんせ、泳ぐのじょうず」 周りから何やら声援が飛び交っているが、気にしている余裕はない。 「ぷはぁ。ひょっとして、足、つったのかな?」 「…はい」 僕が辿り着いた瞬間、男の子は安堵の表情を浮かべる。 「すぐに言わないとダメだよ。 何かあってからじゃ、遅いんだから」 命に関わることなので、厳しめの口調で言う。 「…でも、俺、スイミング習ってて…… それで、ちょっと恥ずかしくて……」 「ちゃんと助けてって言うのも大事なことだよ」 「……ごめんなさい」 「うん。とりあえずプールから上がろう。 そのまま、じっとしていてね」 男の子の後ろに回り、膝と背中の後ろに手を入れ、そのままゆっくりと倒すように持ち上げる。 いわゆるお姫様だっこのような感じだ。 抱っこして、足が動いた瞬間、痺れがやってきたのか男の子が苦しそうな声を漏らす。 「あーー! いいな、いいなぁ、抱っこだ」 「せんせ、すごい力もちだ」 うらやましがるののかちゃんたちを尻目にプールサイドへと向かっていく。 「…瀬田先生?」 小野先生が心配そうな顔をしながらやって来る。 「どうやら、足を痛めたようです」 ゆっくりと男の子をプールサイドに座らせる。 「ありがとうございます、瀬田先生。 あとは俺が──」 小野先生は男の子をおんぶすると、そのまま保健室へと向かっていく。 「よっと──」 「瀬田先生。お疲れ様です」 プールから上がると、遥先生がタオルを持ってきてくれる。 「いえ、当たり前のことをしただけですから。 タオル、ありがとうございます」 遥先生からタオルを受け取って顔を拭く。 「………瀬田先生なら──」 「ん? 僕なら?」 「…あっ……いえ、何でもないです」 慌てた様子の遥先生。 一体どうしたのだろう? 「五十嵐先生、こっち手伝ってもらっても いいですか?」 「はい! すぐに行きます」 小野先生の代わりをしていた教頭先生から声がかかると、遥先生は会釈して行ってしまった。 「…………」 僕なら何なのだろうか? 考えても答えは遥先生しか知らないし……。気にしても仕方ないか。 あれから、特に何もなく僕にとってこの学園で初めてのプールの授業は終わった。 着替えを済ませて一度、職員室へと戻ってきた。 「あっ、小野先生。どうでした?」 「はい。ちょっと足がつっただけのようで、 瀬田先生のおかげで助かりました」 小野先生は深々と頭を下げる。 「いえいえ。それに最初に気づいたのは僕じゃなくて ことねちゃんなので……」 「ほぉ、藤堂が。藤堂は勘が鋭いですからな。 あとでお礼を言わないと」 「えぇ。ことねちゃんのおかげで大事に至らずに 済んだので」 後でいっぱい褒めてあげよう。 「では、僕はこれで──」 今日はこの後、授業の予定はない。 給食を食べたら、下校という予定になっている。 「あっ! せんせーだ!」 「せんせの泳ぐとこ見たよ。 すっごくかっこよかった」 「…せんせい、泳ぐのじょうずなんですね」 教室に戻る途中、仲良し3人組に出くわす。 「ん? そうでもないよ」 「それに、ののかちゃんもえみちゃんも すごかったね。優勝おめでとう」 水中玉拾いで優勝した2人の頭を撫でてあげる。 「うん…。ゆうしょうできて嬉しい」 「えへへへ、ありがとーー♪」 ちょっと恥ずかしがっているえみちゃんと喜びを全身で表しているののかちゃん。 「あと、ことねちゃんもだね」 「…えっ?」 「あの時、ことねちゃんが気がつかなかったら 大変なことになっていたかも知れないからね」 「ありがとう、ことねちゃん」 「…ふぁう……え、えへへ……」 感謝の気持ちを込めて、ことねちゃんの頭を撫でてあげる。 顔を真っ赤にして恥ずかしがっているが、褒められたことが嬉しいみたいだ。 「そうだ。ことねちゃん、今度、先生が泳ぎ方 教えてあげようか?」 「…い、いいんですか?」 「うん。先生として教えるのは当たり前のことだよ」 「はい。お願いします」 「いいな、いいなぁ。私もせんせーに教えて もらいたいよぉ」 「…あたしも……せんせに教えてもらいたいな」 「ん? えみちゃんとののかちゃんは泳げるんじゃ?」 「そ、そうだけど……でも……」 「せんせーに教えてもらいたいんだよぉ」 そう言われるとすごく嬉しい。 こう、頼られているっていう感じが教師冥利に尽きるというものだ。 「でねでね、今日のきゅーしょく、 プリン出るんだよぉ」 「そうなの。あたしも、朝からプールとプリンが 楽しみだったよ」 「へぇ、そうなんだ。先生も楽しみだ」 プリンなんて家でも食べられるんだけど。 給食のプリンとなると、なんか特別な気がするのはいつの時代も同じってことなのかな。 それからも、他愛のない会話は尽きることがなくて。 あっという間に教室へ戻っていた。 「えーっと、じゃあ何かある人──」 給食を食べ終えて、片付けた後の帰りの会。 もう授業がないということで、みんなの目が生き生きとしている。 ホント、みんな素直だよなぁ……。 「よし。今日はこれでおしまいだね。 じゃあ、今日の日直のえみちゃん──」 「起立……礼……。せんせ、さようなら」 えみちゃんの声に続いて、全員の「さようなら」の大合唱。 「みんな、気をつけて帰るんだよ」 「ん? まだ帰んないよ」 「これから、みんなで遊ぶんだ」 プールで疲れている様子も全く無くて、体力があり余っているようだ。 「みんな、早く、早くぅ! 運動場、とられちゃうよぉ」 「あっ! 待ってよ、のの!」 ののかちゃんに続いて、みんながすごい勢いで教室から出て行く。 「…せんせい、さようなら」 「はい。さようなら。 ことねちゃんはみんなと一緒に行かないの?」 「はい。わたし、動物さんたちの お世話をしないといけないので……」 「そっか。頑張ってね」 ことねちゃんを見送ると、教室にはもう誰も残っていなかった。 「さてと──」 静かになった教室で、今日の日誌をつける。 とはいえ、書く内容はそれほどなくてものの数分で書き終わってしまう。 さて、これからどうしよう?このまま職員室に戻ってもいいけど……。 「…僕も外に行くか」 みんなの元気の良さに触発されたみたいだ。 放課後の生徒たちの様子を見てみるっていうのもいいかも知れない。 日誌を机の引き出しにしまい、生徒たちがいるグラウンドへと足を運ぶことにした。 まずは、校舎の裏にある飼育小屋にことねちゃんの様子を見に行く。 「あっ、いたいた……」 僕に背中を向ける恰好で、ことねちゃんは学園で飼っているうさぎの世話をしていた。 「…はぁ……。 ――これって、やっぱりそうかな……」 「…ぅぅ…どうしよう……?」 ことねちゃんは僕が近づいていることに気づかず、何やらうさぎに話しかけている様子。 うさぎはきょとんとしながら、ことねちゃんを見つめている。 ちょっと元気がないみたいだし、声を掛けてみるか。 「ことねちゃん?」 「ひゃっ!? あっ…ぅっ…せ、せんせい……?」 小さな体をビクリとさせながら驚いている。 「今日もうさぎのお世話、ありがとうね」 「ううん…これは、わたしのおしごとだから……」 伏し目がちに答えてくれる。 少し頬が赤いのが気になるが……。 「ちょっと元気がないみたいだけど、 何か悩んでいる事でもあるのかな?」 「え、えーっと…これは…その…あの……」 言いにくそうに指をモジモジさせている。 「…………」 ことねちゃんに元気がない理由──考えられるとしたら、今日のプールのことか。 「…ことねちゃん、実はね、先生もことねちゃん ぐらいの時は泳げなかったんだよ」 「…えっ!? でも、せんせい、あんなに泳ぐの じょうずでしたし……」 「うん。いっぱい練習したからね」 腰をかがめて、ことねちゃんに視線を合わせて── 泳げないことが悔しかったから、水泳教室に通ってたくさん練習したことを話した。 「…せんせい、いっぱいがんばったから? わたしもできる、かな?」 「うん。ことねちゃんだったら絶対大丈夫だよ。 いつも、お稽古頑張っているんだから」 「先生がしっかり教えてあげるからね。 夏休みが終わるまでに、25メートル泳げるように なろうね」 「はい。わたし、がんばります」 いい顔で笑ってくれている。 どうやら、元気が出たみたいで一安心だ。 ことねちゃんの頭を撫でてから、飼育小屋から去ろうとすると── 「…あっ! せんせい………」 「ん? どうしたの?」 振り返ると、ことねちゃんは拳をぎゅっと握りしめながら立っていた。 何やらすごく真剣な様子なので、ことねちゃんの下へと歩み寄っていく。 「あ、あの…あ、明日なのですが……、 学校が終わってから、お話が…」 「せ、せんせいは…よ、予定は…だいじょうぶ… ですか?」 すごく緊張しているみたいだ。 ひょっとして、何か言いにくい悩みでもあるのかな? 「大丈夫だよ。場所は──教室でいいかな?」 「は、はい。おねがいします……」 「うん。わかったよ」 放課後の教室だったら、他の生徒に聞かれる心配はないと思う。 ことねちゃんが、こうして自分から話がしたいって言ってくれるのは珍しい。 どんなことでもいい。力になってあげたいと思う。 「えいっ! とりゃっ! とぉっ!」 グラウンドに顔を出そうと思い歩いている途中、体育倉庫の中で飛び跳ねているののかちゃんを見つける。 「ののかちゃん? 危ないよ?」 「あっ! せんせー! ちょうどよかったぁ」 僕に気づくと、ののかちゃんが一目散に走ってくる。 「汗、びっしょりだね」 ポケットからハンカチを取り出して、ののかちゃんの顔の汗を拭って上げる。 「ありがと♪ せんせー」 「どういたしまして。 それで、ののかちゃん。何をしていたの?」 「あのね、ボール取ろうと思って」 棚の上の方にあるボールを指さしている。 「あぁ、ボールね」 棚の上に手を伸ばして、ボールを取ってあげる。 この位置だと、ののかちゃんぐらいの大きさの子には取れないな。注意しておこう。 「えへへ♪ せんせー、ありがとーー♪」 満面の笑みで僕からボールを受け取っている。 「……ん?」 さっき、ちらっと見えたがクラスの生徒たちはすでにドッジボールをしていた。 どうして、ののかちゃんはボールを取りに来ていたのだろうか? それとなく聞いてみる。 「あのね、えみちゃんがね、ボールを増やして ドッジやろってゆったの」 「でね、みんなおもしろそーってなったんだよぉ。 だから、ボール、もう1つ取りにきたの」 「ははは……そうなんだ……」 みんなが楽しそうにドッジボールしているように見えたから、ちょっと参加させて貰おうかなと思ったけど……。 ボール2つでって、なかなかハードそうだ。 なんせ、最近運動不足だし……。遠慮しておこうかな。 「あっ! せんせー、明日なんだけど……」 ののかちゃんが何か思いついたように話してくる。 「がっこーが終わったら、お話ししたいから 教室にいてね」 「えっ!? 明日の放課後はもう──」 ことねちゃんと約束しているって言おうとしたら── 「ののっ! 遅いと思ったら、せんせと何してるの?」 ちょっと不機嫌な様子のえみちゃんがやって来る。 「ん? せんせーにボール取ってもらってたんだよぉ」 「むぅぅぅぅ……!」 ののかちゃんが言っても、えみちゃんは頬を膨らませたままだ。 ひょっとしてやきもち妬いているのかな? どうしよう。ののかちゃんに言い出しにくい。 「そうだ! せんせーも一緒にドッジやろっ?」 「うん! せんせも一緒にしようよ」 ののかちゃんの提案に、すぐさまえみちゃんの機嫌が直る。 それはいいんだけど……。 「…え、えーっと……」 さすがにボール2つ使ったドッジボールはと返答に戸惑っていると……。 「ねぇ、せんせ。いいでしょー?」 期待した目で見つめられるとダメなんて言えるはずがない。 「うん。じゃあ、ちょっとだけ」 「ほんと!? やったぁーーー!」 「…っ……! ののかちゃん!?」 ののかちゃんが僕の手を握って引っ張ってくる。 「あっ! ちょっと、ののっ!?」 すぐさま、えみちゃんが空いている方の手を握ってくる。 それから、2人に運動場に連れて行かれて── 結局、下校の時間になるまで、みんなとドッジボールをすることになってしまった。 くたくたになって家に帰り、晩ご飯を頂いた後風呂に入る。 湯船につかり、全身を揉みほぐしたが……。 明日は久しぶりに筋肉痛が襲ってきそうだ。 「ふぅ。いい湯だった」 フェイスタオルを肩に掛けて自室へと戻る。 「ん?」 机の上に何か置かれている。 よく生徒たちが授業中に回している飾り折りされた手紙のようなものだ。 『おにいちゃんへ』と書かれている。 僕が風呂に入っている間に置いたのだろう。 「…この字はえみちゃんか。どうしたのかな?」 えみちゃんから、こうして手紙という形でっていうのは初めてだ。 誰かに聞かれたくないことでも書いてあるのかな? 「………………」 誰もいないことがわかっていても、つい、きょろきょろして確認してしまう。 なんていうか、ラブレターを貰ったような──そんな感じがする。 「……んっ」 うっかり破かないように、丁寧に開いて中身を読んでいく。 えみちゃんの可愛い文字で、僕への思いが綴られていた。 「…これって、そうだよな……」 ラブレターとしか思えない内容。 生徒が先生に恋をするって恋愛ドラマの中だけの話だと思っていたが。 それも、えみちゃんからなんて嬉しくないはずがない。 「…どうしよう……?」 手紙の最後に『明日、学校が終わったら教室で待っています』と書かれてあった。 内容から察するに、恐らく告白なのかも知れない。 返事のことよりも、先に何とかしておかないといけないことがある。 『あ、あの…あ、明日なのですが……、 学校が終わってから、お話が…』 明日の放課後、最初にことねちゃんと約束した。 『がっこーが終わったら、お話ししたいから 教室にいてね』 それから、体育倉庫でののかちゃんに言われた。 あれから、すぐにえみちゃんがやって来て、結局、日時を変更する間もなかった。 「せめて、えみちゃんには──」 ののかちゃんは明日、何とかするとして、先にえみちゃんだけでも日時を変更しておかないと。 みんな大事な話だろうし、きっと誰にも聞かれたくないはず。 特にえみちゃんのは── 1階に降りると、えみちゃんはテレビゲームに熱中していた。 「あっ! おにいちゃん。 その…あれ、読んでくれた?」 僕が降りてきたことに気づいたえみちゃんがゲームを中断して振り向く。 ちょうどいい。 「うん。そのことなんだけど──」 予定を変更して欲しいと言おうとしたが……。 「…そ、そういうことだから……」 頬を赤く染めてモジモジしている。 「えみーー。お風呂空いたぞ」 「おとうさん、お湯の温度、ちゃんと戻してくれた?」 「おぅ、ちゃんと戻したぞ」 「うん、わかったぁ。すぐはいる」 えみちゃんはゲームのスイッチを切るとすぐにお風呂へと向かって行ってしまう。 とりあえず、お風呂から上がってくるのを待とうと思い、腰を下ろす。 「どうだ、誠人? たまにはいいだろう?」 隆司さんがビール瓶片手にグラスを差し出してくる。 「はい。じゃあ、1杯だけ」 グラスを受け取ると、ビールを注いでくれる。 お酒に強いわけではないが、グラス1杯ぐらいなら問題ないだろう。 「乾杯っ!」 隆司さんとグラスを合わせ、ビールを飲む。 「…あ、あれ……?」 すぐに顔が熱くなってきて、視界がぼやけてくる。 今日はプールの後、みんなとドッジボールしたこともあってか、かなり疲れているようで……。 酔いがすごく回りやすくなっていたみたいだ。 「なんだ、誠人。もう酔っ払ってしまったのか?」 「あらあら、誠人さん。疲れていたみたいね」 机にうつぶせになった僕に、敦子さんがタオルケットをかけてくれる。 「………………」 強烈な睡魔に勝つことが出来なくて……。 えみちゃんがお風呂から上がってくるのを待つことなく、不覚にもその場で寝入ってしまった。 目を覚ましたら、すでにえみちゃんは家を出ていた。 今日の放課後、教室で── みんな同じ時間や場所を言っているので、せめて時間をずらそうと提案しようと思ったが……。 そのチャンスは一向におとずれず、何も言い出せないまま、放課後になってしまった。 「…あれ? のの、帰んないの?」 「うん。ちょっと用事があるんだぁ。 ……えみちゃんは?」 「………………」 「…………」 授業が終わり、他の生徒たちが帰った後、案の定、3人は残ったままだ。 「………………」 「………………」 お互いが視線で牽制し合っている。 なんだか、すごく気まずい。 こうなることが予想できたのに、きちんとしなかった僕が悪いんだが……。 「(えみちゃんの話は何となくわかるけど……  他の2人はどんな話なのだろう?)」 「はぅっ……ぅぅ……!」 「…っ……!」 ののかちゃんや、ことねちゃんと目が合うと顔を赤くさせながらうつむいてしまう。 「(2人共、やはり他の人には聞かれたくない  話なのかも知れないな)」 ここにいるみんなに聞かれても大丈夫な内容だったらと思って、2人を先にと思ったが……。 よくよく考えてみると、そういう話だったらわざわざ放課後ってことはなさそうだ。 でも、このままってわけにはいかないし……。 「じゃあ、順番に話を聞いていくよ。 えみちゃん、ことねちゃん、ののかちゃんの 順番でいいかな?」 「3人共、他の人には聞かれたくないようだし、 終わるまで廊下で待っていて貰ってもいいかな?」 内容が予想できるえみちゃんを先にして、他の2人は約束した順番でいいだろう。 「えぇーー、私が最初がいい。 すごく大事なお話なんだよぉ」 「…あの、出来ればわたしが一番が……」 ののかちゃんもいつもの調子で、我先に、といった様子だ。 さらに、普段自己主張しないことねちゃんですら譲るつもりはないみたいだ。 「ほ、ほらっ、みんな、せんせの言うこと 聞かないとだめだよ」 「というわけで、あたしが先に──」 「…だめだよぉ、えみちゃん。 いくらえみちゃんでも、これだけはゆずれないよぉ」 「──えみちゃんのお話って…ひょっとして……」 「ひあっ!? あ、あうぅぅ…そ、それは……」 3人が3人共、譲るつもりは毛頭無いらしい。 困ったな。どうしたらいいんだ? 解決策を考えている間にも、3人は自分が先だと言い合っている。 「せんせっ!」 痺れを切らしたのか、えみちゃんが突然立ち上がる。 見たことがないような真剣な表情で僕の目を見つめている。 「あたし、せんせ── おにいちゃんのこと、だいすきっ!」 ののか・ことね (2208) ののか「「…………!!」」 えみちゃんの突然の告白に、ののかちゃんとことねちゃんが目を大きく開いて絶句している。 僕自身もすぐに言葉が浮かんで来ない。思考が停止してしまっている。 えみちゃんから告白されて、嬉しくてたまらないはずなのに……。 「あーー! えみちゃん、ずるいぃっ!! 私が先にって思ってたのにぃ」 「私もせんせーのこと大すきっ!」 「……!!」 「…わ、わたしもです……」 「せんせいのことだいすき……。 ただのすきじゃなくて、特別なだいすきです」 えみちゃんは予想出来ていたけど、まさか、ののかちゃんもことねちゃんもだなんて……。 こんな素敵な女の子たちから好意をむけられることは教師としてだけじゃなく、男として嬉しい限りだ。 「…………」 全く予想できなかった事態に頭が混乱する。どうしていいのかわからなくなる。 「…うそ……。ののだけじゃなくて、 ことねちゃんまで……?」 「わ、私もそうだよ! とくべつな大すきなんだよぉ!」 「せんせいのこと、だいすきって気持ち、 誰にも負けません」 「あたしだって! あたし、いつもおにいちゃんと 一緒だもんっ!」 「学校だけじゃなくて、お家でも一緒だもんっ!」 「そんなの関係ないよぉ! 私がせんせーのこと 一番、大すきなんだよぉ!」 「世界──ううん、宇宙で一番大すきなんだから」 「それに、クラスで私が一番、おむね大きいし!」 「なっ!? それを言うの、ののっ!? た、確かにそーだけど……」 「あたしだって、そのうち大きくなるもんっ! ちょっと遅いだけなんだからっ!」 「わたし、年下ですから……。きっと来年には……」 「…あたしが一番おにいちゃんのこと よく知っているんだよ」 「昨日だって、おにいちゃんの寝顔見ちゃった。 こう、ふにゃってしてて、カワイイんだよ!」 「うぅぅ……、えみちゃんズルイよぉ……。 お家でも一緒にいられるだなんて……」 「そうです。せんせいがうちに住んでいたら、 きっとわたしが──」 3人が、自分が一番だと言い争っている。 いつも仲がすごく良い3人なのに、僕のことで喧嘩してしまっている。 いつも周りに目を配って面倒見のいいえみちゃん── 明るくて、みんなを元気にしてくれるののかちゃん── おしとやかでやさしく見守ってくれることねちゃん── みんな、それぞれすごく魅力的な女の子なんだけど……。 「…先生、喧嘩するみんなは見たくないな」 「…あっ……!」 僕が零した言葉が聞こえたのか、みんな、すぐに大人しくなる。 「先生はね、いつも仲良しな3人が大好きなんだ」 「…ごめんなさい……」 「私も……ごめんなさい……」 「…ぅぅ……ごめんなさい……」 それぞれが、しゅんとしながら謝ってくる。 「あたし、今日はもう帰るね」 「のの、ことねちゃん、一緒に帰ろう」 「うん! そーだねぇ」 「…はい……」 えみちゃんの一言で、3人が教室から出て行く。 「…ふぅ……」 一時はどうなることかと思ったけれど……。 少々ぎこちないながらも、喧嘩は収まったと考えて良さそうだ。 それは良かったのだが……。 「…はぁーー……」 1人きりの教室で、深いため息をつく。 3人の気持ちはすごく嬉しい。 問題は僕の方だ。 みんな、勇気を振り絞って想いを伝えてくれたというのに、肝心の僕は何1つ応えていない。 対応を間違えたんじゃないか? もっと誠実な対応をした方が良かったのではないか? それが咄嗟に出来なかった。 教師としても、男としても未熟な自分を恥ずかしく思ってしまう。 「…………」 重たい気持ちを引きずったまま、残りの業務を終えて家に帰る。 家に帰る足取りはすごく重い。 あんなことがあったから、家に帰ってからえみちゃんとどう接していいかわからない。 それに、ののかちゃんやことねちゃんとも……。明日からどう接していけばいいのか。 「…それで、前言っていたことなんだけど──」 「ん?」 考え事をしながら歩いていると、校門前に遥先生の姿を発見する。 どうやら、誰かと電話しているようだ。 「……」 邪魔をしてはいけないと思い、軽く会釈だけして通りすがる。 遥先生も携帯電話を耳に当てたまま、会釈し返してくれる。 「──うん、若い男の先生で……その…… 瀬田誠人先生です」 「ほらっ、おにいちゃん! そこのアイテム、 忘れずに取らないと……」 「あっ……う、うん……。これだね?」 夕食を頂いた後、えみちゃんのゲームの相手をしている。 「………………」 さっきの告白がなかったかのように、普通に接してくれている。 帰り道、ひたすらどうしたらいいって考えていたから何だか拍子抜けだ。 「やったー! レアアイテムゲットぉーー! 明日、みんなに自慢しないと」 ………………。 昨日までのドギマギした様子は全く無い。 完全にいつものえみちゃんに戻ってしまっている。 翌日── えみちゃんはいつも通りに戻っていたけれど、ののかちゃんやことねちゃんはどうだろうか? そんな不安を抱えながら学園に行ったのだが……。 「おっはよー! せんせー!」 えみちゃんと同じように、ののかちゃんもいつもの様子で話しかけてくれる。 「おはよう、ののかちゃん。ギリギリだね。 もうすぐ、朝の会始まるよ」 「えへへ、ちょっとねぼーしちゃった。 でも、間に合ってよかったよぉ」 「じゃーねー、せんせー!」 右手を振りながら走り去ってしまう。 「こらこら、廊下は走っちゃダメだって」 「あっ……! ごめんなさーい!」 走るのを止めて、歩いて教室へと向かっていくののかちゃん。 「…ののかちゃんもか……」 ということは、ことねちゃんもそうなのかな? 放課後──ことねちゃんの様子を確認しようと思い、飼育小屋へ。 昼間でも良かったのだけど、ことねちゃんが1人になる機会がなかったから結局、ここまで引っ張ってしまった。 「…んしょ……んしょ……」 飼育小屋に到着すると、ことねちゃんが餌の入った袋を重たそうに持って来ている。 「手伝うよ」 ことねちゃんから、袋を受け取る。 これ、けっこう重いな。ことねちゃん、小さいからしんどかっただろうな。 「ありがとうございます」 「うん。餌、ここに入れたらいいのかな?」 「はい。お願いします」 袋を開けて、ペレットを餌用の皿に入れていく。 ウサギが待ってましたとばかりに、僕のところに群がってくる。 「量はこれぐらいでいいかな?」 「はい、それで大丈夫です」 ことねちゃんは、それから慣れた手つきで水を足したり、小屋を掃除したりしている。 「(ことねちゃんも…いつもどおりか……)」 えみちゃん、ののかちゃんに続いてことねちゃんもいつもの様子に戻っている。 これはこれで、少しほっとしたけど……。 その反面、告白はなかったことにされているのでは?という感じで、対応を間違えたかなという後悔もある。 それから数日経っても、3人の様子は変わらない。 告白してくれる前と全く同じだ。 あの日の告白が、実は夢だったのではないか? そう思ってしまうぐらい、何もなく日々は過ぎ去っていき── とうとう夏休みになってしまった。 そんな、ある日のこと── 「………………」 蒸し暑い部屋の中、1人考え込んでいた。 今日は隆司さんと敦子さんは、ゆうきくんを連れて隣町まで買い出しに出かけている。 えみちゃんはののかちゃんやことねちゃんと遊びに公園に行っている。 「…僕も一緒に行けばよかったかな?」 結局、あれから何の進展もないまま夏休みに入って、数日が経ってしまった。 告白はなかったことになっているのか? ちょうど公園には3人揃っているしそれぞれの気持ちを確認したいのだが……。 「…でもなぁ……」 今更、あの日のことを蒸し返すのも気が引ける。 また3人が喧嘩することになっても嫌だし……。 「そっとしておくのが一番なのかな?」 時間が流れてうやむやになっていくのを待った方がいいのか? それとも、ちゃんと話をしてスッキリさせた方がいいのか? どうしたらいいのか、考え込んでしまう。 「…それに、あのこともちゃんと返事しないと」 終業式の日に校長先生に話があると呼び出された。 内容は、ある有名学園が僕を誘ってくれているとのこと。 すぐに決めることができず、とりあえず保留にしているが……。 「…それよりも、えみちゃんたちの方が気になるな」 有名学園からの誘いに関しては、まだ時間がいっぱいあるから良いとして── やはり先に何とかしたいのは3人のことだ。 いくら考えてみても、このままっていうのは、落ち着かない。もやもやする。 「…扇風機ぐらいはつけるか」 額から汗が滴り落ちてくるし、体中がベトベトして気持ち悪い。 いくら都会よりも暑さがマシだといっても暑いものは暑い。 部屋で1人熱中症にかかって倒れましたっていうのも情けないし……。 「よいしょ──」 四つん這いになり扇風機のスイッチを入れるため、手を伸ばした所で聞きなれた声が耳に入ってくる。 「ふえぇ……、やっとついたーー。 暑くて溶けちゃいそうだよぉ」 「…いよいよ、ですね……」 「うん。今日はおとうさんたち、お家にいないから」 外から声がしてきたので、様子を窺う。 玄関先にえみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃん3人の姿が見える。 先ほど見たニュースによると、今日は今年一番の猛暑日らしい。 さすがに外で遊ぶのはキツイってことかな。 「…ちょうどいい。後で顔を出そう」 多分、3人は1階の居間でゲームとかするに違いない。 少し時間を置いてから、1階に降りようと思っていたら── 「おにいちゃん、ただいま」 「へぇ、ここがせんせーのお部屋なんだぁ。 すごい、ノートパソコンとかあるよぉ」 「…せんせい、おうちではそんな格好なんだ…… 新鮮です」 ののかちゃんは、興味津々といった様子で部屋の中を眺めている。 ことねちゃんは、じーっと僕を見つめている。 そういえば、部屋着のままだった。 「ごめんね、こんな恰好で。 みんな、今日はどうしたの?」 「うん、あのね、これ、3人じゃ分けられないから おにいちゃんにおすそわけしようと思って」 2本で1セットになっているチューブに入った夏の定番の氷菓子を握りしめている。 「ありがとう。なんだか懐かしいなぁ」 子供の頃、よく食べたけど大人になってからはほとんど買わなくなった。 「…うん。ちょっと待っててね」 えみちゃんは、そう言うと太股を使ってパキンと2つに割ってくれる。 「はい、おにいちゃんの分はこっち」 「うん。ありがとう、えみちゃん」 えみちゃんから2つに分けられた氷菓子の片方を受け取る。 「…ちゅー……」 「………………」 「………………」 テーブルを囲んで、4人でそれぞれのチューブを吸っている。 形状的に、こういう食べ方をするものだから仕方ないけど……。 みんな黙ってしまって、ちょっとだけ気まずい。 「………………」 告白のことを聞くチャンスなんだけど……。でも、どう切り出したらいいのか? 3人の顔をそれぞれ見てみると、どこかこう、そわそわしているっていうか落ち着かないみたいだ。 「…あのね、おにいちゃん……」 やがて、意を決したようにえみちゃんが口を開く。 それをきっかけに、ののかちゃんとことねちゃんが真剣な表情になる。 「今日はね、おにいちゃんにお話たいことがあって みんなで集まったの」 「うん……」 恐らく、あの告白のことに違いない。 背筋を正して、拳を握りしめながら次の言葉を待つ。 「あれからね、ののとことねちゃんと いっぱい、いっぱいお話ししたの」 「えみちゃんも、ことちゃんも、もちろん 私もせんせーのこと大すきなんだよぉ」 「…でも…とくべつなだいすきですから……」 「おにいちゃんのこと考えるとね、 おむねの奥がきゅんってなっちゃうの」 「でも、ののやことねちゃんの気持ち知っちゃった から……そう思うと…ズキってして……」 「私も…。せんせーのことひとりじめしたいけど…… でも…それだと……」 「…はい……わたしもです……」 「おにいちゃんのこと、大好きだけど……。 でも、それでののやことねちゃんとあんな風に なるのは嫌……」 恐らくケンカしてしまったことを言っているのだろう。 「うん。それにせんせーもケンカするわたしたちは きらいってゆってたし……」 「…せんせいにきらわれるのは、絶対にいやです」 みんなが僕への気持ちを正直に告白してくれる。 それだけじゃなくて、他の子への気遣いとかそれで悩んでいたこととか……。 3人で何度も話し合いをしたこととかを言ってくれる。 「……ごめんね。みんなの気持ちはすごく嬉しいし、 みんな、すごく魅力的な女の子だと思うけど……」 「誰か1人を選ぶってこと、出来ないよ」 みんなの正直な気持ちに応えるべく、僕も正直な気持ちを言う。 みんなのことは、僕も大好きだ。 ことねちゃんの言葉を借りるのであれば特別な大好きっていうことで間違いない。 だけど、誰か1人を選んでしまったら── 仲の良い3人に亀裂が入ってしまうに違いない。 気持ちは嬉しいし応えてあげたいけれど……、応えることが出来ない自分が不甲斐ない。 僕のせいで、3人がこの先もぎくしゃくするようになってしまったら、絶対に後悔するに決まっている。 誰も幸せになれない。 「…おもったとおり、だったね」 「うん。せんせーなら、ぜったいそうゆうと思った」 僕の気持ちを3人に伝え終わると、3人ともどこか吹っ切れたというか、スッキリした顔になっていた。 「だからね、おにいちゃん── 誰か1人とかじゃなくていいよ」 「みんな、いっしょに愛してほしい」 「……!?」 えみちゃんからの一言で、唖然となってしまう。 「みんな、せんせーのことが大すき。 だから、みんな一緒がいい……!」 「みんな一緒じゃダメなの?」 「はい。わたしもその方が……」 「………………」 ずっと話し合っていたというのは、こういうことか。 僕が誰か1人を選べないってわかっていて、それで、みんなすごく頭を悩ませていて……。 「…ドキドキ、我慢するの大変だった」 「うん。せんせーにお話しされると、 おむねがいっぱいドキドキして、 隠すのたいへんだったよぉ」 「…でも、答えがでるまでがまんするって 約束でしたから……」 3人共、僕への様子が全く変わらなかったのは必死に我慢していたってことだったみたい。 僕のことを考えて我慢して──自分の気持ちを我慢して──他の2人のために我慢して── 「…みんな、ありがとうっ!!」 「……ひうっ…!」 気持ちがすごく昂ぶってしまい、思わず3人を抱きしめてしまっていた。 「…おにいちゃん……あったかい……」 「せんせぇーー……えへへ……」 「…僕、頑張るから……。 3人一緒に愛していくから──」 抱きしめる力を強める。 「…せんせー、ぎゅってだけじゃ物足りないよぉ」 「うん。あたしたち、ちゃんとわかってるから」 「…女の子として、とくべつにあいしてほしいです」 3人共、頬を赤く染めて、体をもじもじさせて切なさを訴えてくる。 みんながして欲しいことって、つまりはそういうことなんだろうけど……。 でも、いくらなんでも……。 「…せんせぇー………」 ののかちゃんが潤んだ瞳で、上目遣いに訴えてくる。 密着して感じる柔らかい体の感触と、むせかえるような女の子たちの甘い香り── 僕だって、その…、そういう気持ちじゃないって言ったら嘘になるんだけど……。 「…おにいちゃぁん……」 「…このままだと…切ない…です……」 3人共、僕を求めてくれているってことが伝わってくる。 3人一緒に愛していくからと言った手前、男として応えないわけにはいかない。 というのは、建前で──僕自身がもう我慢出来なくなっている。 「うん。じゃあ──」 誰か1人を選ぶことは出来ないという不甲斐なさは払拭できない。 だからこそ、3人を目一杯愛していく。 それをこれからきちんと態度で示す。 覚悟は決まった── 「せんせーの前ではだかってなんだか照れちゃうね」 「あうぅぅ……おにいちゃんに…あたしの、ぜんぶ 見られちゃってる……」 「恥ずかしいけれど…せんせいだったら……」 とりあえず、裸になってもらったんだけど……。 3人共、反応は違うものの僕に裸を見られるっていうのは恥ずかしいみたいだ。 「………………」 3人の中で、一番丸みがあり、女の子らしい体つきのののかちゃん。 お尻がきゅっと引き締まっていて、いかにも健康そのものといった感じのえみちゃん。 小さくて細くて、透き通るような真っ白な肌のことねちゃん。 みんな、すごく魅力的だ。 「…ののかちゃん、もうおむね、あります……」 「…ひゃっ……ふふ……んぅぅ……!」 ことねちゃんがののかちゃんの胸に手を当てると、体を小さく震わせ声を漏らしている。 くすぐったいけど我慢している。そんな感じだ。 「あははっ…、こ、ことちゃん……めぇ…っ………」 ことねちゃんの小さな手で胸を弄られて、ののかちゃんはくすぐったそうに身をよじらせる。 「むぅぅ……あたしより大きい……。 どーせ、脂肪だもん……」 「あっ……えみちゃんまで……あははっ…ぁっ…」 少しやきもちを妬きながら、えみちゃんも、ののかちゃんの胸をふにふにしている。 やがて、えみちゃんの手はののかちゃんの下腹部まで伸びていき── 「ひゃ…んっ……おなか…っ……くふふっ……」 「…のの、ここ、ちょっとおにくついてるよ? ほら──」 「ひゃぅ、あっ、ふふっ……そ、そこくすぐったい… おにく…つまんじゃいや……」 えみちゃんが、ののかちゃんの下腹部をふにふにして、ののかちゃんが涙を浮かべながらくすぐったさに悶えてしまっている。 「ののかちゃん、やわらかくてきもちいいです」 「あははっ……えみちゃん、……はぁ、ことちゃん…… んあっ…あっ、あっ、あっ……」 「ひぅっ、んひゃっ…くすぐったい……あふっ…… んふぅっ……んっ、んんっ……!」 えみちゃんとことねちゃんからのぎこちない愛撫に身を悶えさせている。 「…んっ……んっ……」 「んんっ……ことちゃん…おむねばっか…… なんか…へんな気持ちになっちゃうよぉ」 「せんせーにも…はずかしいの見られて…… んっ…あっ、ぁっ…ぁっ……っ……」 徐々に愛撫に慣れてきたのと、僕に裸を見られているという恥ずかしさからか? ののかちゃんの秘部から透明な雫が浮かび上がってくる。 「……のの、これって?」 えみちゃんがののかちゃんの秘部を見つめている。 みんなのエッチなじゃれ合いを見ていて、僕の方はすでに準備が整っているが……。 「えみちゃん、ののかちゃんのソコ、 ちょっと触ってごらん」 「…えっ? 触ってだいじょうぶなの?」 「うん。そこ、触られると気持ちいいと思うよ」 今のままだと、かなり苦しめてしまうことになるのでもう少し潤わせた方がいい。 興味津々な様子のえみちゃんを促し、ののかちゃんの秘部を愛撫させてみる。 「…のの、いくよ……」 「ひゃうっ……んっ、あっ……え、えみちゃ…… んっ…んぁっ……!」 えみちゃんが恐る恐る、秘部に触れるとののかちゃんが体をビクンと震わせる。 「えみちゃん、自分がされるのだったら どこがいいかな?」 「自分が気持ちいいって思うところ、触ってあげて」 「うん。えーっと、ここ、かな……?」 「ひゃっ…! ンっ……!」 「んっ…んぅっ…えみちゃん…そこ…ジンジンって するよぉ……」 えみちゃんはののかちゃんの陰核を重点的に責めている。 ののかちゃんも、そこは感じるようで乳首が立ってきてしまっている。 「ことねちゃん、ののかちゃんの舐めてあげてね」 「……えっと…。ここ?」 「…んっ…ちゅっ……れろっ……」 「ぅくっ…んっ……ことちゃん……ふぁっ…ンっ……」 「おむね、ペロペロって…からだ、ビリビリ きちゃうよぉ……」 「んっ、んっ…ののかちゃんの…コリコリして…… ちゅっ…んっ…不思議な感じ……」 ことねちゃんは小さな舌を懸命に動かして、ののかちゃんの乳首を舌で転がしている。 「ふぁっ…あぁっ…えみちゃんのおててと… ことねちゃんので…おかしくなりそうだよぉ……」 「ののかちゃん、どう? 気持ちいい?」 「うん…。すごくきもちいいよぉ……」 「からだがね、ビリビリとかジンジンとかフワフワ とか…いっぱいしてるよぉ……」 気持ちよさがくすぐったさを上回っているみたいだ。 「…のののココ、ぬるぬるしたのいっぱい出てる」 えみちゃんの愛撫に加え、ことねちゃんからの愛撫も受けて、ののかちゃんの秘部から蜜が零れ出し始める。 「…だって…えみちゃんもことちゃんも…… ののに、きもちいいことするから……」 2人同時ってことで、気持ちがすごく昂ぶっているみたいだ。 頬が真っ赤になって、目もトロンとしてしまっている。 「せんせぇー…のの、ここ、すごく切ないよぉ……」 ののかちゃんのソコは、もう僕を受け入れても大丈夫なぐらい濡れそぼっている。 もう大丈夫か。 「…せんせーのすごいよぉ……」 「おにいちゃんの、もうこんなに大きくなってる」 「…パンパンになっていて、苦しそうです……」 3人のエッチな様子を見て、興奮してしまったソレはいつもよりも、ずっと大きく膨張してしまっている。 「うん。みんな、すごく可愛いから」 「えへへ…。じゃあー、しょーがないね」 「のの、ちゃんとできるよ?」 そう言いながら、気持ち足を広げるののかちゃん。 「うん。ありがとう、ののかちゃん」 ののかちゃんの秘部にモノの先端をあてがう。 くちゅっと小さな水音がして、先端にヌルリとした蜜がまとわりつく。 「いいなぁ、のの。おにいちゃんに先にして もらえて……」 「うらやましいです」 「ごめんね。でも、もうがまんできないんだよぉ」 「いいよ、のの。今日はみんな、おにいちゃんに ちゃんとしてもらうんだから」 「──じゃあ、ののかちゃん」 「うん。せんせー……」 十分に潤った秘穴に、先端を押し込んでいく。 「んっ…っ……んんんっ……!」 「せんせーのが……ののの中に…んっ……んっ……」 入口は狭くてキツイ。 だけど、えみちゃんたちが愛撫していたこともあり、思っていたよりもスムーズに中に進んでいく。 「あっ…どんどんきてる……おくに…せんせーの…」 「あくっ…ぅっ……んっ…あっ、あっ…あっ……」 額を汗びっしょりにさせながら、苦しそうな声を出している。 ののかちゃんの様子を見ながら、ゆっくりとモノを膣内に潜り込ませていく。 「…っぁっ……あっ……あっ……ぁぁっ……」 「んっ…んっ…あっ、あぁっ…あぁああぁぁっ!!」 ののかちゃんが大きな声を上げると同時にぶつんと何か切れる感じが先端から伝わってくる。 モノ全体がののかちゃんの膣内に収まってきゅうきゅうと締め付けてくる。 「…のの、すごい…。おにいちゃんの大きいの、 ホントに入っちゃった」 「ののかちゃん、だいじょうぶですか? 痛くないですか?」 「…はぁ、はぁ…痛い……? ん〜……ジ、ジンジンする、かんじぃ……」 「でも、せんせーにしてもらえて…… すごく嬉しいよぉ」 えみちゃんたちの心配をよそに、ののかちゃんは嬉しそうな表情を浮かべている。 「…せんせー? のの、ちゃんとできたぁ?」 「うん。ののかちゃんの、すごく気持ちいいよ」 「えへへ、ののの、きもちいいんだぁ」 結合部から初めての証である血が流れている。 きっとすごく痛かっただろうに、それでもこんな笑顔を向けてくれるなんて……。 「今度は僕が……」 「…んぁっ……ぁっ、ぁっ、ぁっ……」 ののかちゃんのことを気持ちよくさせてあげようと、モノを馴染ませながら、ゆっくりと腰を動かす。 「ふあっ…んっ、んっ…ぁ…あっ、あっ、あっ……」 中に入れているだけで、射精してしまいそうだが、必死に堪える。 痛くしないように、ゆっくり、優しく── 頭の中で念仏を唱えるように、ののかちゃんの膣内にモノを抽送させていく。 「んぁっ…せ、せんせー……っ…んっ…ぁっ……」 「ののかちゃん、痛くない?」 「うん…。ちょっとピリッとするだけだよぉ……」 「んあっ、んっ、くぅっ、んんっ」 痛みがだんだん抜けてきたのかな? 徐々にウットリとした表情を浮かべ始めている。 「のの? どんな感じ?」 「…よくわかんない……。せんせーが動くと、 からだ、ビクビクってしちゃうよぉ」 「なんかね…こう…おそらに浮かんでるみたい……」 だいぶ、馴染んできたってことか? 「もうちょっとだけ、動いてもいいかな?」 「うん。いいよぉー」 腰を大きく動かし、膣内全体をモノで刺激していく。 「あっ、あっ、せんせー…せんせぇー……あっ…… んっ……んっ、んぅぅ……」 「…ののかちゃん、きもちよさそうです」 「あぅぅ…いいなぁ、のの……」 えみちゃんは、太股をモジモジさせながら訴えかけるような目で僕を見てくる。 「なんだか…わたしも…へんなきもちに……」 ことねちゃんも、見ていて興奮してきたのかお尻がふらふらと揺らいでいる。 目をやると、秘部から蜜が溢れてしまっている。 「…んっ……」 「ふあぁ……せ、せんせぇ……」 吸い寄せられるようにことねちゃんの秘部に指を当てる。 隙間から蜜が染み出てきて、指先がぬるぬるになる。 「んぅっ…ことねちゃんも…せんせーに……。 んっ、んっ、んぁっ…ぁっ…ぁっ……っ……」 「……ぁっ…ッ……あぅぅ……ん、はぁ……あぁ…」 腰を動かしながら、ことねちゃんの秘部にあてがった指を上下にゆっくり動かす。 「…のの……ことねちゃん……」 えみちゃんが2人の様子を見ながら太股をさらにモジモジさせている。 本当はえみちゃんも触って欲しいのだろう。 でも、今は2人に遠慮して言い出せないってところかな。 「ごめんね、えみちゃん。今は──」 「うん。その代わり、あとでいっぱい……」 みんなのお姉ちゃん的な立場だからと我慢しているみたいだ。 そんな様子がすごく可愛らしい。 「ンあっ、ふあっ、せんせー、せんせー、せんせぇ ……」 「ののね…せんせーので…あっ、あっ、あっ…… んっ…あ、ああっ……!」 僕も限界に差し掛かり、ののかちゃんの声が大きくなってきた。 「…はぁー…はぁー…ふあぁ……あぁ……」 ことねちゃんも、僕の愛撫でしっかり感じているのか甘い声を漏らし、秘部を蜜でドロドロにしてしまっている。 「はぁ…っ……えみちゃん…ことちゃん…… きもちよくて…おかしくなりそうだよぉ……」 「のの、もっときもちよくしてあげる」 えみちゃんはそんな2人の様子を見ながら、ののかちゃんに愛撫し続けていて……。 「はぁー、はぁー…んっ、んっ…れろっ…ちゅっ… んぅ……」 ことねちゃんは感じながらも、しっかりとののかちゃんの胸を舌で愛撫している。 「はぁ…はぁ……んっ……!」 射精直前だからか、どうしても動きが激しくなってきている。 「あうっ…んっ…せんせーのがおくまできて…… あっ、あっ…なんかきてる…よぉ……」 「わたしも…です……。せんせいの指で…… おまた…ジンジンして……ふあぁ…んんんっ……」 2人共、体が小刻みに震えている。 すぐにでも絶頂しそうな感じだ。 「…ののかちゃん……いくよ……」 ラストスパートとばかりに、腰を激しく動かす。 「ふあぁっ……せんせー、それ…… すごい……きもち、いいよぉ……」 「あっ、あっ……んんっ……なんかくる…… いっぱいくる……あっ、あっ、あっ、あっ……」 ののかちゃんの膣内がすごい力で僕のモノを締め付けてきて── 「……あっ、あっ……んッ……ふああぁぁぁぁっ!」 最奥に先端が届いた瞬間、ののかちゃんが一際大きな声を上げる。 「……んぅッ……!」 膣内から来る押しつぶされそうな圧迫感に耐えきれず射精してしまう。 「ひあぁっ…せんせーのビクビクってしてるよぉ」 「お腹に…あついの、ドクドクってきてるぅ……」 絶頂してウットリした顔をしながら、僕の精液を膣内で受け止めてくれている。 「…のの、おにいちゃんに出してもらえたんだ」 「ののかちゃん、すごくきもちよさそうな お顔です」 「…うん。お腹の中からポカポカしてきて…… すごくきもちいいよぉ」 ののかちゃんの膣内がうねって、とてつもない快感を与えてくれる。 あまりにも気持ちよすぎて射精が終わるまで動くことが出来なかった。 「ののかちゃん、ありがとう」 射精を終えたモノを膣内から引き抜いてののかちゃんにお礼を言う。 「えへへ。せんせーとちゃんと出来て、 のの、すっごく嬉しいよぉ」 息を乱し、目をトロンとさせたまま答えてくれる。 「…せんせい……次は……」 ことねちゃんが切なげに言ってくる。 こうしてことねちゃんが自分から甘えてくるのはすごく珍しい。 あれだけののかちゃんの中で射精したというのにモノは萎える気配が全く無いが……。 「…………」 さっき、ののかちゃんへの愛撫だけに徹していたえみちゃんに目配せする。 「…うん……。次はことねちゃんでいいよ」 「おにいちゃん、ことねちゃんのこと きもちよくしてあげて」 「…えみちゃん」 明らかに強がっている様子だ。 えみちゃんにとってことねちゃんは妹のような存在だ。 だから、ことねちゃんを優先したのだろう。 「じゃあ、次はことねちゃんだね」 「はい…。せんせい、お願いします……」 ことねちゃんは、そのままののかちゃんにまたがり僕にお尻を向けてくる。 「…………」 肉付きのうすい小さなお尻が丸見えだ。 先ほど、指で弄ってあげたこともあってか秘部の隙間から蜜が溢れ出てきている。 「…せんせい……」 不安そうなことねちゃんの声──いざとなったら、ちょっと怖くなったのかな? 「大丈夫だよ。ゆっくりするから、ね」 「…んぅ……ふぁ……っ……ん、はぁぁ……」 すぐに挿れることはしない。 小さなお尻の谷にモノをこすりつけながら、愛撫を続けていく。 「…おにいちゃぁん……」 えみちゃんが切なげな声で囁いてくる。 「うん。待たせてごめんね」 えみちゃんの後ろから秘部に指を当てる。 「ひやぁっ……んっ……ぅくぅ……」 「…おにいちゃぁ……んっ…ぅん……」 ちょっと触れただけなのに、えみちゃんは体を小さく震わせている。 秘部はすでに濡れそぼっていて、指で押すとくちゅりと蜜が漏れる音がする。 「…ふあぁ……はぁ、はぁ…あぁぁ……んはぁ……」 「んんっ…んくっ……あぁっ、んっ……くぅぅ……」 「…2人共、すごくきもちよさそうだよぉ……」 ことねちゃんの秘部にモノを擦りつつ、えみちゃんのを愛撫する。 ウットリしたようなことねちゃんの声と恥ずかしさを我慢するえみちゃんの声に興奮する。 「(大丈夫かな?)」 ののかちゃんとの体格差もあり、ことねちゃんのソコはすごく小さい。 僕のを入れてしまって大丈夫なのか?一抹の不安を抱える。 「……はぁぁ…んっ、ひあぁぁ……はぁ…ぁん……」 もう十分に潤ってはいるが、念には念を──モノを何度も何度も丁寧に擦っていく。 それからしばらく、えみちゃんとことねちゃんの愛撫を続けていく。 「……せんせい……わたし…もう……」 愛撫を続けていくうちに気持ちが高ぶってきたのか、ことねちゃんが切なげにお尻を揺らしている。 「うん。ことねちゃん、力、抜いてね」 「…んっ……ふぁぁ……ッ……」 ことねちゃんの秘穴に先端をあてがい、ゆっくりと中に入れようとするが……。 「…んっ……んっ……」 もう十分に濡れているというのに、愛液でモノが滑ったりしてなかなか入っていかない。 「…んっ……んくぅっ……」 ことねちゃんもまだ緊張しているのか、体に力が入ってしまっている。 焦って無理やりすると痛い思いをさせてしまうかも知れない。 「……んっ……しょっ……」 「…っ……んっ……ふぁっ……」 慎重に何度も挿入を試みていくがうまくいかない。 ことねちゃんも、無意識に体が動いてしまい狙いが定まらない。 「…ぅぅ……せんせい……ごめんなさい……」 上手くいかなくて、もどかしいみたいだ。 「焦らなくていいからね」 ことねちゃんの肩に手を置いて、耳元で囁いてあげる。 「…はい……」 「じゃあ、いくよ。力、ちゃんと抜いていてね」 ことねちゃんの体を固定して、狙いを定めて── 先端を小さな秘穴にあてがい、腰を進めていく。 「…ッ……! ぐっ…ン、あっ…くっ、ううぅ……!」 「あくっ……ッ……あっ……ッ……ン、あぁぁ……!」 ののかちゃんの時は、けっこうすんなりと中に入っていったけれど……。 ことねちゃんのソコは僕の進入を拒み抵抗してくる。 「んんんっ! くぅぅ……ンっ……!」 ようやく亀頭が埋まったが、それ以上、進めることなく落ち着くのを待つ。 「…ことね…ちゃん……」 心配そうな顔をしてことねちゃんを見つめるえみちゃん。 「だいじょうぶだよ、ことちゃん。 痛いのは最初だけだよぉ」 「慣れたらね、すーーっごくきもちいいから」 ののかちゃんは明るい声でことねちゃんを励ましている。 「…せ、せんせいだから……だいじょうぶ…です……」 と言ってはくれているが、相当痛いのだろう。 必死に笑顔を作ってはいるが目にはうっすらと涙を浮かべている。 せめて、痛みだけでも多少和らげてあげたい。 「ののかちゃん、手伝ってもらってもいい?」 「ん? どーしたらいいの?」 「ことねちゃんのこと、きもちよくさせてあげてね」 「きもちよく……? あっ! わかったぁ! さっき、ことちゃんがしてくれたみたいに したらいいんだね?」 「……んっ…んっ……ちゅぅ……れろっ……」 ののかちゃんが舌を伸ばして、ことねちゃんの乳首を舐めていく。 「ふあぁっ……ののかちゃん……ひゃっ、あぅぅ……」 「んっ、んっ……ことちゃん、どう?」 「…んはあぁ……からだが…びくってしますぅ……」 こんなに小さくても、感じてしまっているみたい。 膣内の抵抗が少し、柔らかになっている。 「…もっとしてあげるね。んっ、んっ、ちゅぅ……」 「んんぅ……あぁ、ン……ふやぁぁ……」 ののかちゃんが、ぷっくりしたことねちゃんの乳首を丁寧に舐めていく。 ことねちゃんの声の苦しみが薄れていき、甘いものへと変わっていく。 「…ほっ……」 そんなことねちゃんの様子に、えみちゃんが安堵している。 ことねちゃんのことを気遣ってくれたご褒美とばかりに、えみちゃんへの愛撫を再開してあげる。 「…ひゃうっ……お、おにいちゃん……あっ、あっ… んっ……ぅ、んんっ……」 乾き気味だったソコは、再び蜜を分泌し始める。 「……おにいちゃぁん……そんなにしたら…… あたし……あたし……」 我慢出来なくなっちゃうってことかな。 唇をちょんと突き出して、切なそうな顔で僕を見つめてくる。 「…えみちゃん……僕も……」 「──んっ」 えみちゃんと唇を重ね合わせる。 「んぅぅ……おにいひゃ……ちゅっ……んちゅぅ……」 「…ひやぁっ……あっ、あぁぁ……ンンっ……」 「せんせいの……びくってして……ふぁっ…んぅ……」 えみちゃんとのキスで気持ちが高ぶってしまったみたいだ。 「んっ、んぅぅ……ちゅっ……れろぉ……」 「ひっ…んぅぅ…くぅぅ……んっ……はぁぁ……」 ののかちゃんの愛撫で、ことねちゃんが甘い声を漏らしている。 痛みがかなり和らいできたのだろう。 「はぁー、はぁー……せ、せんせぇ……」 「わたし…もう、だいじょうぶ…です…。 せんせいの……おくまで……」 ことねちゃんは、受け入れる準備が出来たみたい。 その証拠に、緊張が緩んで中がだいぶほぐれている。これなら── 「うん。ゆっくり、するからね──」 「…んくぅぅっ……! ふあぁぁ……あっ…… ンンン……ッ……!」 腰を前に進め、モノを半分ぐらいまで埋めていく。 すごくキツく締め付けてくるが、それでも最初ほどの抵抗感はない。 「んはぁぁ……はぁ、あぁぁ……んぅぅぅ……」 「んっ……ことちゃんのここ、コリコリになってるぅ」 ことねちゃんが苦しそうにすると、すぐにののかちゃんが愛撫で痛みを和らげている。 膣内の抵抗が弱くなっていき、だんだん奥へと進んでいく。 「ふあぁぁぁ……せんせぇので…いっぱいに なって……ン、あっ……んぅぅ……」 「うん。あとちょっとだからね」 ことねちゃんを気遣いつつ、腰をゆっくりと前に押し進めていく。 「……あぅぅ……はぁ、あっ、あっ……んぁぁ……」 「せ、せんせぇ……ンンっ…ッ……あぁぁ…… んあぁぁぁーーー……!」 モノが根元まで埋まり、ことねちゃんが大きな声を上げる。 「…はぁーー、はぁーーー……。 せんせいの…おくまではいってますぅ……」 「うん。ちゃんと全部入ったよ。 ことねちゃん、よくがんばったね」 「はい。わたし、ちゃんとできましたぁ……」 涙を浮かばせながら、満足そうな表情を浮かべている。 ことねちゃんの膣内は、モノ全体をしっかりと包み込み、絶え間なく締め付けてくる。 「…ことちゃん……きもちよさそうな顔してる…… んっ、んっ……わたしが…もっとしてあげる」 「ひあぁぁ……ののかちゃ……ン、ン……あぁぁ……」 ののかちゃんが愛撫する度に、ことねちゃんが反応して、膣内が徐々にほぐれていく。 「…おにいちゃん……んぅぅぅ……」 「…ンっ……」 ことねちゃんの様子に触発されたのか、えみちゃんが唇を押しつけてくる。 えみちゃんとキスをしながら、ことねちゃんに挿入させたままの状態で、モノを馴染ませていく。 「…はぁーー、はぁーー、はぁーー…… せ、せんせぇ……」 だいぶ慣れて来たのか、ことねちゃんが切なげな声で訴えてくる。 「んっ……」 それに応えるべく、腰を動かし奥を突く。 「ひゃうっ……んはぁぁ、あぁ、ンっ……んぅぅ……」 「せんせぇのおく…あたると……んっ、はぁぁ…… あたま…ふわってして……はぁ、ぁぁ…ぁ……」 先端で奥の方を突くと、ウットリしたような甘い声を出してくれる。 もう少し動いても大丈夫そうだ。 「んはぁぁ……あぁぁ、あうぅ……くぅぅぅ……」 「せんせぇ……せんせぇ……ふあぁぁ…… あっ、あっ、んはぁぁぁ……」 「んんっ…ちゅっ、んっ……ちゅぅぅ……」 「…ん、はぁ……んんっ……」 えみちゃんからのキスの嵐で気持ちが高ぶる。 そこに加えて、ことねちゃんの膣内が心地よい圧迫感を与え続けてくれる。 「くぅぅぅ……はあぁぁ……んっ、んぅぅぅ……」 「はぁ、はぁ、あぁぁ…ひあぁぁ……あっ…… んっ、はぁぁぁぁ……!」 ことねちゃんの声が大きくなってきて、体も小さく痙攣し始めている。 ひょっとして、イキそうになっている? 「……んくっ……んっ……」 さっき、ののかちゃんとしたばかりだというのに僕も僕で限界が近づいてきてしまっている。 「あうぅぅ……なんか…きて…ます……」 「ことちゃん、心配しないでもいいよぉ。 私、それ、わかるよぉ」 「さっきね、私もことちゃんみたいになったから。 それ、すーーっごくきもちいいんだよぉ」 一足先に絶頂を経験したののかちゃんからの励ましにことねちゃんの表情が和らぐ。 「…んんんっ……おにいちゃ……んっ…ちゅっ…… んくっ……ぅ、んんっ……」 キスしながら愛撫を続けていたからか、えみちゃんも上りつめてしまいそうな感じだ。 「んっ…ことねちゃん…えみちゃん、大丈夫だから」 絶頂しそうな2人を励ましつつ、腰の動きと手の動きを大きくしていく。 「あぁぁぁ……わたし……わたし……もう…… これいじょう……」 「あたしも……もう……ふあぁぁ、ぁっ……」 「僕もだよ……だから──」 「はい…。わたしもののかちゃんみたいに…… おくに、せんせいの、いっぱいください」 ことねちゃんの言葉に、感情が抑えきれなくなる。 「んッ…ッ…んぅっ……あぅっ…ッ…ん、くぅぅぅ!」 激しく腰を動かし、先端が最奥を突いてしまい── 「んんんっ……ひゃっ……ああぁぁぁぁーー!!」 「…くぅぅ……!」 根元からぎゅっと締め付けられ、堪えることができず最奥に精を放ってしまう。 「あっ……あっ……あぁぁ……あったかいの…… どくどくって出てますぅ……」 「……からだ……ふわふわしてきて…… おなかの中…あったかい……」 そう言いながら、ことねちゃんはビクビクっと小刻みに震えてしまっている。 「…お、おにいちゃん……あたしも、だよ…… なんか…大きいのきて……」 「うん…えみちゃんも……んっ……」 力が入らない体を気力で動かし、絶頂させてあげようと、指で陰核を刺激してあげる。 「…ひゃっ! お、おにいちゃん……そこは…… あっ、あっ……ん、あぁぁ……」 「…んっ、んぅぅぅぅぅーー……!」 えみちゃんが声を上げ、体を震わせると指に大量の蜜が絡まる。 えみちゃんも、ちゃんと絶頂したみたいだ。 「…はぁ……はぁ……はぁ……あっ……ふあぁぁ……」 「えへへ、ことちゃんも、ちゃんとできたね」 「…は、はい……わたしも……せんせいと……」 呼吸を荒げながら、ののかちゃんに答えている。 …最後、ちょっとやりすぎたかな? 射精し終えると頭が冷えて、自分が暴走してしまったのではないかと不安になる。 「ごめんね、ことねちゃん。最後──」 「…せんせい、わたし、うれしかったです」 「せんせいと1つになれて…せんせいがわたしで ちゃんと、きもちよくなってくれました」 涙を残しながらも、満足そうな笑顔で答えてくれて安堵する。 「じゃあ、最後はえみちゃんだねぇ」 「んっ……そ、そうだね……」 「……ん?」 えみちゃんの様子が少しおかしい。 「…えみちゃん?」 「え、えーっと…その……ほら、おにいちゃんも 少し休まないと……」 「…そうそう、ののやことねちゃんと、して…… その…おにいちゃん…疲れていると思うから」 しどろもどろになりながら、言い訳を探しているように感じる。 「…………」 ことねちゃんは最初すごく苦しそうだったしひょっとしたら、それで── 「……ぅぅ」 「えみちゃん、焦らなくてもいいからね」 「ゆっくりでいいよ?」 「…おにいちゃん……」 励ましてあげても、えみちゃんの表情はどこか申し訳なさそうだ。 怖いけど、でも自分1人だけというのは──そんな気持ちで葛藤しているのかも知れない。 えみちゃんがちゃんと覚悟を決めるまで待つしか出来そうにないな。 「ねぇねぇ、だったら、みんなでお風呂入ろーよぉ」 ちょっと暗くなりかけた雰囲気を吹き飛ばすようにののかちゃんが明るい声で提案してくれる。 「汗でベトベトだから、お風呂でスッキリしよ?」 「うん。わたしもののかちゃんに賛成です」 「そうだね。ののの言う通りだね」 ののかちゃんの提案に、ことねちゃんとえみちゃんが続く。 2人共、血が出ちゃったし……、それがえみちゃんの恐怖心を煽っているというのもあるかも知れない。 「だねぇ。じゃあ、せんせーも一緒だよぉ」 「…えっ、僕も?」 「そーだよぉ。もちろん、せんせーもだよぉ」 「せんせい、汗びっしょりです」 「で、でも…いいの……?」 「うん。おにいちゃんも、ちゃんと汗を流さないと だめだよ」 どうやら、ののかちゃんたちのいう“みんな”には僕のことも含まれていたみたいだ。 家には僕たち以外、誰もいないので、脱いだ服を持って、そのままお風呂場へ── はしゃぎながら、お風呂場へと向かう3人の後に僕も続いていく。 「…………」 目の前には可愛いお尻が3つ、ふりふりと上下に揺れている。 見ているだけで、下半身のたぎりが沸き上がってきそうだが……。 えみちゃんに気を遣わせてもいけないし、意識しないようにしないと。 「えへへ、お風呂だぁ。じゃあ、早速──」 「待って、のの!」 ののかちゃんがシャワーを出そうとすると、えみちゃんが止める。 あっ、そういえば昨日最後に入ったのは隆司さんだったか。 「うん。大丈夫みたい。 のの、シャワー出してもいいよ」 隆司さんは、かなり熱めの湯を好むので、えみちゃんはいつも注意している。 「りょーかい」 ののかちゃんが蛇口をひねり、シャワーを出す。 まだ昼間だから、当然、湯が張られていない。シャワーだけでいいだろう。 「よし。こんなもんかな? えいっ!」 手でお湯の温度を確かめていたののかちゃんが、シャワーヘッドをえみちゃんへと向ける。 「ひゃっ……! の、のの……!?」 「ほら、ことねちゃんも」 「…ッ……!」 ののかちゃんが、えみちゃんとことねちゃんにシャワーを浴びせていく。 それから、4人で汗の流しっこをする。 「…のの、やっぱり、むね大きい……。 それに、こんなに柔らかいし……」 「うひゃっ…! えみちゃん、くすぐったいって」 「むぅぅぅ……。のの、どうやって おっきくなったの?」 「…ひゃっ…ふふっ……ッ……し、知らないよぉ……」 えみちゃんが泡まみれの手でののかちゃんの胸をふにふにしていて、ののかちゃんがくすぐったそうにしている。 「…………」 そこまで大きな違いはないと思うのだけど……。やはり、気になっちゃうのかな? 「はぁ、はぁ……え、えみちゃんだって……。 余分なお肉、ぜんぜんついてないし……」 「…2人共、うらやましい……。 わたし、まだまだこんな……」 「ん? ことちゃんだって、お肌すべすべで 触るときもちいいよ?」 「うん。それにすごくきれいだし……」 「…そ、そんなこと……」 「ほんとだよぉ! それぇ!」 「ひゃっ……あふっ……ののかちゃん、 くすぐったい……んぅっ……」 3人は仲よさそうにじゃれ合っている。 女の子はやはり女の子──体つきとか気になってしまうみたいだな。 「(隣の芝は青いっていうやつか)」 みんな、それぞれ非常に魅力的だと思うが。 誰が1番良いとか、誰が劣っているとかそんなことは考えたことないんだけどな……。 とはいえ、男の子は男の子で性器の大きさとか気になってしまうし、そういうもんだろう。 「……」 魅力的な女の子たちが、裸で洗いっこしている姿を見ていると、どうしても勃起しそうになる。 タオルで隠してはいるものの、一部分が少し盛り上がってしまっていて── 「ひょっとして、せんせーのまた元気になった?」 「…おっきくなっています」 「…はは、これはその……うん……」 3人にばっちり気づかれてしまう。 「………………」 そんな中、えみちゃん1人がどこか浮かない顔をしている。 「…おにいちゃん……やっぱり……でも…まだ……。 あうぅ……」 僕としたいと思ってくれているのは間違いないと思う。 でも、まだ少し怖くて踏ん切りがつかないといった様子だろう。 「…えみちゃん……」 「…………」 悩むえみちゃんに、ののかちゃんとことねちゃんはどう声を掛けてあげたらいいかわからないみたいだ。 何とかしてあげたいが……。 「そうだ! えみちゃん」 「ん?」 「僕がこれからそこにゴロンってするから、 あとはえみちゃんが自分でっていうのは?」 ののかちゃんとことねちゃんの時みたいに、僕が主導という形ではなく、えみちゃんが自分でというのはどうだろうか? 「これだったら、えみちゃんは自分のペースで 出来ると思うよ?」 「……それだったら……」 「えみちゃん、やってみよう。私もお手伝いするよぉ」 「…うん……。あたし、やってみる!」 えみちゃんが決意するのを見てから、お風呂場の床に寝そべる。 それから、えみちゃんが僕の上にしゃがみ込む。 「えみちゃん、お手伝いしてあげる」 「…んぅぅ……ふあぁ……あ、んぅ……んんっ……。 のの、そこは……んはぁぁ……」 ののかちゃんが、えみちゃんの胸を愛撫しえみちゃんが甘い声を上げている。 「えみちゃん、どんな感じ?」 「…よくわかんない……」 「でも…さっき、おにいちゃんが、ここ、触って くれたのと似てるかも」 「そっかぁ。じゃあ──」 ののかちゃんが、両手でえみちゃんの胸を愛撫し続ける。 「……わ、わたしは……どうしよう……?」 そんな2人の様子をことねちゃんが手持ちぶさたそうに眺めている。 「ことねちゃん、おまたの傷、 見てあげるからこっちおいでよ」 「…は、はい……」 「うん。じゃあ、そのまま僕の頭をまたいで……、 ちょっと腰を落としてごらん?」 「ん? こ、こうですか?」 僕の言う通り、ことねちゃんは僕の頭をまたいで恐る恐る腰を落としてきた。 「…せんせい……どう…ですか……?」 恥ずかしそうに僕にまたがり、秘部を見せてくれることねちゃん。 「………」 ピタリと閉じた小さなワレメ── こんな小さいのに、頑張って僕を受け入れてくれた。 そう考えると、幸せな気持ちになってくる。 「……ぅぅ……はずかしい……」 無言で見つめてしまっていたからか、どうやら羞恥心を煽ってしまったみたいだ。 ことねちゃんは腰を浮かせてしまう。 「……ののも、ことねちゃんも…… おにいちゃんの…ちゃんと……」 ことねちゃんのお尻越しにえみちゃんを見ると、不安そうな顔をしている。 「…おにいちゃんの……すごく大きい……」 ことねちゃんの秘部を見つめているうちに、勃起してしまったみたい。 血がソコに集まって、ビクビクと勝手に動いてしまっている。 「…んっ……ぅくっ……ぅん……」 えみちゃんが秘部にモノを軽く当てる。 くちゅっとした小さな粘っこい音と恥部の柔らかな感触にビリッとしたものを感じる。 「おにいちゃんの、あたしのにも入るかな?」 怖いという気持ちはあるけれど、体は僕のモノを受け入れたいという感じだろうか? 蜜は量を増していき、裏筋が温かく、ヌルヌルしたものに包まれていく。 「えみちゃん、焦らなくてもいいからね」 「そのまま、ゆっくり僕ので擦ってごらん?」 「う、うん……」 えみちゃんは小さく頷いてから、ぎこちなく腰を前後に動かし始める。 「…んっ……んっ……ぅん……ふぁ、あっ……」 「えみちゃん、怖がらなくてもだいじょうぶだよ?」 「…のの?」 「私の時、えみちゃんが手伝ってくれた。 だから、今度は私が──」 「……ひゃぁ……ぅ……ぅ、んんっ…… の、のの? んくっ……んっ………」 エッチな声が漏れてしまうのが恥ずかしいのか、我慢しているみたい。 「えみちゃん、声、かわいいね?」 そんなえみちゃんを後ろから優しく抱きしめ、胸を愛撫している。 「…そ、そんなこと……ふあぁ……そ、そこは…… あっ…あっ……ぅんん……」 ののかちゃんの指が乳首に当たったみたいで、えみちゃんが体を小さく震わせる。 「…えみちゃんの、ここ固くなってきてる。 どう? きもちいい?」 「んはぁ……なんか、奥がうずうずってくるよぉ…」 コリコリになった乳首をののかちゃんに愛撫されえみちゃんの顔がウットリしたものになっていく。 「えみちゃん、もう少し擦ってみて?」 「んっ…んぁ、はぁ…あっ、あぁぁ……ふぁぁ……」 ゆっくり、ねっとりと馴染ませるように僕のモノで秘部を擦っている。 ののかちゃんの愛撫もあってか、えみちゃんのソコはすごく潤っていて……。 裏筋がえみちゃんの愛液でドロドロになっていく。 「…えみちゃん……んっ…んっ……」 「ひゃっ……あうぅ……ぅ、んっ……」 感じ始めてきたえみちゃんは、普段の活発な様子とは逆に少ししおらしい。 だいぶ恐怖心は薄れてきたみたいだけど、あと一押しか。 「…っ……んっ……んあぁぁ……」 舌を伸ばして、ことねちゃんの秘部を舐める。 「せ、せんせぃ……舌が……あっ、あぁぁ…… ンっ……くぅぅ……」 ことねちゃんが気持ちよくなる様子を見たら、えみちゃんの恐怖心はさらになくなるかも知れない。 そう考えたので、ことねちゃんの秘部を舌で愛撫していく。 「…んんっ……くぅぅ、あぅ、ンン……ぅぅ……」 甘酸っぱい蜜が口の中に広がっていく。 「…そ、そこ……舐めちゃ……はぁ…あぁぁ…… んっ、んぅぅ……ッ……」 「…ことねちゃん、痛くない? しみたりしてない?」 さっき僕との行為で血が出てしまった箇所を気遣いながら丁寧に舐めていく。 「い、いたくないですぅ……でも……あぅぅ……」 「…んぁぁ……ぅんっ……こ、ことねちゃん…… あっ、あっ……ふぁ……ぁん……」 ことねちゃんが感じている様子を見て、体が反応したのか? えみちゃんの漏らす声がだんだん大きくなってきている。 「ふぁぁ……あぅ……は、はずかしい……」 えみちゃんに感じているところを見られてすごく恥ずかしいみたいだ。 お尻を振って、僕の舌から逃れようとしている。 「…んっ、んっ……んぅぅ……」 それでも舌を懸命に伸ばして、ワレメをなぞっていく。 「…ひぃんっ……んんっ、んぅぅ……あっ…… はぁ、はぁ……ふあぁぁ……」 ことねちゃんもしっかり感じてくれているみたい。 恥ずかしいけど、気持ちいいのも……。といった感じみたいだ。 腰を浮かせて落としてを何度も繰り返している。 「…ふあぁっ……おにいちゃんの…ビクビクって してる……」 間近にことねちゃんの小さなワレメ── さらにえみちゃんの柔らかな恥部で擦られていて僕自身も感じてきてしまっている。 「…おにいちゃんも…ことねちゃんも…… きもちよさそう……」 「んんっ……ぅん……あっ、あっ、あっ…… あぁぁ……ン……くぅぅぅ……ぅん……」 えみちゃんの動きが大きくなってきている。 僕の狙い通り、ことねちゃんが感じる姿を見て、うずうずしてきたのだろう。 「…ここ、すごくうずうずしてる……」 えみちゃんがモノの先端を入口へとあてがう。 「…ひゃっ……当たっただけで、なんかビリって きた……」 「えみちゃん、そこだよぉ。 そこからね、せんせーのが入るんだよ?」 「…うん……。ののも、ことねちゃんも… ここから、おにいちゃんのを──」 2人の行為を目の当たりにしてきたので、やり方はわかっているみたい。 僕も何か言ってあげようと思ったけど── 「…わたしもさいしょ、ちょっと怖かった……」 「でも、せんせいならって思ったら…… だいじょうぶでした」 「えみちゃん、せんせーのね、奥までくると すごくきもちいいんだよ?」 「なんかね、頭とか体が、ふわふわぁって いっぱいしてくるよぉ」 2人がえみちゃんを励ましているので、任せようと思う。 「…でも……おにいちゃんの、こんなに大きく なってるし……ちゃんとできるかな?」 「だいじょうぶ。ののかちゃんの言う通り、 せんせいの、きもちいいです」 「……うん。あたし、やってみる」 首を縦に動かし、覚悟を決めたえみちゃん。 ののかちゃんの愛撫とかで十分に潤った秘部をモノに擦りつけて馴染ませる。 それから亀頭を入口にあてがい、恐る恐る腰を落としていく。 「……っ……くっ……うくっ……ぅぅ…っ……ン……」 先端に温かい感触──一部分がえみちゃんの中に入ったみたいだ。 「んくっ……、んんんっ……あっ、んっ……くぅぅ」 苦痛で顔を歪ませながら、腰を下ろしていく。 「…えみちゃん……」 「だいじょうぶだよ。全部入ったら、 ちゃんときもちいいから」 「…んっ……うん……!」 心配そうにえみちゃんを見つめることねちゃんと不安にさせないように笑顔で見守るののかちゃん。 3人の仲の良さを実感する。 「んんんっ…っ……あうっ……くぅぅ…… あたしも……がんばるから……」 「はぁ、はぁ……あぐっ、ン…ッ…うぅぅ……」 ズブズブとモノがどんどんえみちゃんの中へと埋まっていく。 「…えみちゃん、無理しないでいいから。 ゆっくりでも大丈夫だから」 痛みを我慢しながらも、どんどん腰を下ろしていくえみちゃんが心配になって声を掛けてしまう。 「だいじょうぶ……。 大好きなおにいちゃんのだから──」 えみちゃんの小さな穴をモノが押し広げていく。 半分ほど埋まったところで、強烈な締め付けを感じる。 「えみちゃん、あと少しです」 「せんせーの、もうちょっとで全部入っちゃうよぉ」 「…んんんんっ……!」 ことねちゃんとののかちゃんからの励ましを受けて、えみちゃんは懸命に僕のモノを受け入れていく。 「…はぁ……はぁ……んっ……はぁ…っ……」 先端にコツンとした感触を感じる。 ここを通過したら、完全に収まりきってしまうだろう。 「…ッ……うぅぅ……んぅぅぅ……!」 一呼吸置いてから、えみちゃんが再び動きを開始する。 「あ、あと少し……あと少しでおにいちゃんと…… んんんんっ……ふあぁ……あっ、あっ、あっ……」 「あぐっ……あっ、あっ……ぁあぁ……ンぅ…… んぅぅぅ……ッッ……!!」 えみちゃんが苦しそうな声を上げた瞬間、ズブリとモノが奥まで入ってしまう。 つーっと隙間から流れてくる血がきちんと繋がったということを示してくれている。 「…! え、えみちゃん? 痛くない?」 それを見たことねちゃんが不安そうに声をかける。 「はぁ…はぁ…。あたし、おにいちゃんと……。 え、えへへへ……。嬉しいよぉ」 潤んだ瞳から涙が溢れてしまっている。 感極まったって感じかな。 「えみちゃんも、せんせーと一緒になれたね」 「うん。みんなのおかげだよ」 まるで自分のことのように喜ぶののかちゃんと、笑顔で応えるえみちゃん。 そうしている間にも、えみちゃんの中は断続的にモノを締め付けてきて、すごく心地よい。 「…ことねちゃんも、ありがとうね」 お礼を言ってから見守る事に終始していて、止めていたことねちゃんの愛撫を再開する。 「……ひうっ……あっ、ふあぁ……ああぁぁ……」 「せ、せんせぃ……そこ、舌が当たると…… びくってして…んっ…あっ、んはぁぁぁ……」 舌先で陰核をつつくと、ことねちゃんは身をよじらせてしまう。 でも、感じるポイントではあったみたいで、溢れんばかりの蜜が口の中に入ってくる。 「はうぅ…あっ…んんんっ……吸ったら…もっと…… ふああぁ…ぁっ…ぅぅぅ……ンっ……」 「…ことねちゃん、きもちよさそう……。 なんだか、熱くなってきちゃう」 「んっ…んっ……あっ、あっ……くぅ、んっ…ぅん」 僕の愛撫で感じていることねちゃんに触発されたのかえみちゃんが自分から腰を動かし始める。 「はぁ、はぁ、おにいちゃん…おにぃちゃぁん…… んんっ……んぅぅぅ……」 自分が感じるポイントを探すように、ゆっくりと前後に腰を動かしている。 「…っ……んっ……ンぅぅ……」 「ひゃっ、あうっ……せ、せんせぇ……」 えみちゃんが動くから、気持ちよくなってしまいことねちゃんへの愛撫が強くなってしまう。 「…みんな、きもちよさそう……。 あうぅぅ、見てたら、私も変な気分だよぉ」 「…んんんっ……の、のの……。おむね…… そんなにしたら……ふああぁぁ……」 「私もせんせーみたいにえみちゃんのこと、 いっぱい、きもちよくしたいんだよぉ」 高ぶったののかちゃんが、えみちゃんへの愛撫を再開する。 ののかちゃんの愛撫でさらに感じてしまったのか、モノを締め付ける力が強くなる。 「はぁ、はぁ……だ、だめだよぉ……。 そんなにされたら……あたし……あぅぅぅ……」 疲れたのと、愛撫されていて感じているってこともあってか、えみちゃんの動きが鈍くなる。 「…んっ…ふぁ…はぁーー、はぁ……あ、あたしの ……すごく…うずうずしてる…から……」 「だから……おにいちゃんも………」 甘えた声で切なげに訴えてくる。 僕にして欲しいってことなんだろうけど、恥ずかしくて言い出せないってことかな。 「んっ、んっ、んっ──」 「ふあぁぁ……あぅぅ、んんっ……ぅく…ぅぅ……」 「あっ、あっ、あっ……おにいちゃんの…… 奥にきて……ふわぁ、は、あっ……んぅっ……」 ことねちゃんの愛蜜を堪能しつつ、えみちゃんを下から突き上げていく。 「んんっ……ビリビリしてくるぅ……くぅぅ…… あっ、あっ……これ、なんかすごいよぉ……」 「でしょー? せんせーのきもちいいよね?」 「んぅぅぅ……! あぅぅ、あっ、あっ…… くぅ……ン……ッ……!」 ことねちゃんのソコから洪水みたいに愛蜜が溢れ、口の中にとめどなく入って来る。 甘酸っぱい蜜の味と、濃厚な女の子の匂い──それに加えてえみちゃんの膣内が心地よく締め付けてくる。 急速に沸き上がってくる射精感に腰を激しく動かしてしまう。 「んはぁぁ……おにいちゃ…そこ……あっ、あっ…… んぅぅ……ふああぁああぁ……!」 気持ちいいポイントに触れたのか、えみちゃんが堪えきれないという感じで大きな声を上げてしまう。 「ンッ…んはぁ……えみちゃん……もう……」 「…うん……おにいちゃん……んっ、ぁんっ……」 ののかちゃんからの愛撫を受けつつ、えみちゃんが自分から腰を動かしてくれる。 大きく揺れるトレードマークのお下げがえみちゃんとしているということを物語ってきて── ねっとりと柔らかく包み込んでくる粘膜の感触がどうしようもなく気持ちよすぎて── 「んはぁぁ……おにいちゃんのビクビクしてる…… 奥…いっぱいあたって……あぁあぁぁ……」 えみちゃんの体が大きく跳ねて、ののかちゃんによりかかってしまう。 「んはぁ…はぁ、はぁ……せ、せんせぇ…… わたし……んっ、んんっ……」 ことねちゃんは絶頂してしまいそうなのか、腰を完全に下ろしてしまう。 愛液でトロトロになった秘部を口元に押しつけられたことで、射精感が爆発的に高まってしまい── 「……あっ、あっ……ンっ、あああぁぁぁぁ……!」 「……ンン……んっ……ッ……!」 ことねちゃんが上り詰めるのと同時に僕もこみ上げてくるものを抑え切れなくなり、えみちゃんの中にぶちまけてしまう。 「…んぅぅぅ、おにいちゃんの中で震えてる……」 「熱いの、あたしの中に出て……お腹の中に…… いっぱい入ってきてる……」 「えみちゃんも、ちゃんとせんせーに熱いの 出してもらえたんだね」 「それ、お腹の中がじわぁってきて きもちいいよね?」 「うん。おにいちゃんのが中でビクってして…… すごく…あったかい…感じ……する」 射精を受けて、ウットリしながらののかちゃんに応えている。 「はぁ、はぁ……わたし……せんせいに… またきもちよくしてもらえて……はぁ、ぁぁ……」 絶頂したことねちゃんは力が入らないのか、息を荒げ、脱力しきってしまっている。 「…あたしも、ちゃんとできた……。 おにいちゃんと…愛し合えたよ……」 「うん! みんな、せんせーにしてもらえたね」 「みんな、一緒、です」 それぞれが心から満足したような表情を浮かべてくれている。 3人を誰1人悲しませることなく、しっかりと愛し合っていかないと……。 お風呂の床に寝転んだまま、そう決意した。 「えへへ、また汗でベトベトになっちゃったね」 ののかちゃんはだいぶ、回復してきたのか元気な声でシャワーで汗を流している。 「…からだに力、入らない…です……」 「あ、あたしも……ここ、まだおにいちゃんのが 入っているみたい……」 さっき絶頂したばかりのことねちゃんはお風呂の床にぺたりと座り込んでしまっている。 えみちゃんは、いまだ余韻が残っているのかウットリした顔のままだ。 「しょーがないなぁー」 ののかちゃんが労うように、えみちゃんの背中を流してあげている。 「…ふあぁ……ありがとうのの、きもちいいよ」 「うん。ほら、ことちゃんも──」 「……ありがとう……んぅ……」 行為で火照った体に温度の低いシャワーが気持ちいいのだろう。 「…みんな、その……大丈夫だった?」 ひょっとして、かなり苦しい思いや痛い思いをさせてしまったのではないのだろうか? 気持ちが落ち着いてきて、ちょっとした罪悪感のようなものを感じてしまう。 「うん。わたしは……その……最初は ちょっと痛かった…けど……」 「せんせいだったから── だんだん、きもちよくなって……あんな……」 ことねちゃんは絶頂してしまったのが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしてうつむいている。 「…おにいちゃんにみんなちゃんとしてもらえた。 それが一番嬉しい」 「私は………あっ……!」 「……?」 突然、何かを思い出したようなののかちゃん。 「……ちゅ、んっ…んぅ……」 目前にののかちゃんの顔が迫ってきて、唇にちょこんと柔らかな感触がする。 「の、ののぉ!?」 「…え、えへへ……。ちゅー、ちゃんとして なかったから」 「ほら、大すき同士って、ちゃんとちゅーしないと いけないと思って」 「…あっ……だ、だったら、わたしも──」 「んっ……」 続けざまに、ことねちゃんの小さな唇の感触。 「…………」 ただキスしているだけだっていうのに、あれだけ射精しているというのに……。 疲れ果てて萎えていた下半身がたぎってくる。 自重しないと……。 「…ことねちゃんまで……!? むぅぅぅ……、じゃあ、あたしも!」 「えみちゃん、さっきせんせーといっぱい ちゅーしてたのにぃ……」 「い、いいの! おにいちゃんとだったら 何度でもちゅーしていいの!」 それからというもの、みんなからキスの雨を浴びせられた。 みんな、すごく良い笑顔で笑っている。 その後、みんなシャワーで汗などを流しっこし、居間へと戻った。 「ぐーぐー……」 「…すゃぁ………」 「……すーすーすー」 「………………」 日が傾き、うだるような暑さは幾分落ち着いてきた。 涼しい風が心地よい。 行為の疲れからか、みんなでお昼寝してしまっていた。 「ただいま。あら? みんなでお昼寝?」 買い出しから戻って来た敦子さんの声に急激に意識が現実へと戻される。 「……!」 心臓が激しく鼓動している。 みんなとしてしまったからか、敦子さんの顔をまともに見ることが出来ない。 「ふふふ、誠人さんも。 みんな、仲良しでいいわね」 のんびりした敦子さんの声に、ちょっとした罪悪感を感じて落ち着かない。 「ふわぁぁ……。あっ、おかあさん、おかえりー」 「…! あ、あの……おじゃましています」 まだ寝ぼけているえみちゃんに、飛び起きて敦子さんに挨拶をしていることねちゃん。 「すー、すー…うへへ……そんなに食べられないよぉ」 一方、ののかちゃんはまだ夢の中みたいだ。 「ふふふ、そういえばみんなが家に来るの ひさしぶりね?」 「あぅ……それは……その……」 えみちゃんは少し気まずそうな顔をしている。 「……ん? あっ、えみちゃんのママ! おはよーございます」 周りが少し騒がしくなって、ようやく目を覚ましたみたいだ。 「おはよう、ののちゃん。ふふ、グッスリ眠って いたのね? 口に涎のあとがついているわよ?」 「はっ……! あぅっ!」 敦子さんに指摘されて、腕で口元を拭っている。 「そろそろ晩ご飯だし、なんだったらうちで 食べていって」 「えっ、いいんですか?」 「うん! みんな、うちで食べていきなよ」 「やったー! えみちゃんのママ、お料理上手だから 嬉しいよぉ」 「あら、嬉しいことを言ってくれるわね」 「じゃあ、今日は腕によりをかけて作るから」 それから、敦子さんの料理を待つ間みんなとゲームをしながら待っていた。 いつもよりも賑やかな食卓── みんなで敦子さんの料理に舌鼓を打ちながら楽しい晩ご飯。 時間はあっという間に過ぎていった。 「ごちそうさまでした」 「ふぃーー。満腹、満腹ぅ♪ お腹いっぱいになったら、眠くなってきちゃった」 「のの、食べてすぐに寝ると牛になっちゃうよ」 日も完全に落ちて、外はもう真っ暗だ。 「みんな今日はどうする? 泊まってく?」 「んーーー、どうしようかな?」 「お泊まりの準備……してないです……」 「そうだね。着替えもないし、今日は家に帰る」 「そっか。外、暗いし。僕が家まで送っていくよ」 「ほんと!? ありがと、せんせー」 「もちろんだよ。さすがにこんな時間じゃ 危ないからね」 「ありがとうございます」 念のため、ののかちゃんとことねちゃんのお家に連絡を入れてから2人を送っていくことにした。 「えへへ、こんな時間にせんせーとお散歩♪ なんだかドキドキしちゃうよぉ」 「いつも一緒にいられるえみちゃんが うらやましい」 夜道をののかちゃん、ことねちゃんと手を繋いで歩く。 あたしも!と一緒についてきたえみちゃんは僕の前をトコトコ歩いている。 この辺りは夏でも夜は涼しい。半袖だと少々肌寒いぐらいだ。 「そういえば、みんな。夏休みの宿題、 ちゃんとやってる?」 「えっ!? あっ……!!」 しまったというような顔をしているえみちゃん。 あの様子だと、全く手をつけてないみたいだ。 「はい。少しずつだけど……」 ことねちゃんはコツコツやってくれているみたいだ。 「だいじょーぶだよぉ。夏休みはまだいっぱい 残ってるからぁ」 ののかちゃんは多分、夏休みの終わりになって慌てるタイプなのだろうな。 「僕はほとんど学校にいるからね。 わからないところがあったら、いつでもおいで」 「そっかぁ、学校に行けばせんせーに会えるんだ」 「じゃあ、夏休みの宿題は学校でやっちゃおう」 「うん!」 それからは日常のちょっとした話をしながら3人でののかちゃんの家に向かって歩いて行く。 授業では話していない、僕の昔話とかしてあげると3人は食い入るように聞き入ってくれる。 それが何だかすごく嬉しかった。 「…あっ……もう着いちゃった……」 いつも元気なののかちゃんにしては珍しく少し沈んだ様子だ。 「ほら、夏休みだから……。 せんせーになかなか会えないなぁって」 「さっきも言ったけど、夏休みでも僕は ほとんど毎日学校にいるから」 「うん。そっかー。そうだね。 せんせーに会いたくなったら学校に行けばいいんだ」 学校に行けば僕に会えるということが嬉しいのか、再び笑顔になってくれる。 「そうだよ。それに、休みの日だって。 そうだなぁ、みんなでピクニックとか面白そう」 「あぁっ、それ楽しそう」 「ピクニックかぁ……。楽しみです」 「せんせー、約束だからね。ぜったいだよぉ」 何気ない僕の提案がみんなすごく嬉しかったみたいだ。 「じゃーねー!」 ののかちゃんはスキップしながら家まで行き、呼び鈴を鳴らす。 すると、すぐにののかちゃんのお母さんが出てきた。 「のの、お帰りなさい」 「ただいまーー」 「瀬田先生、わざわざすいません。 のの、よかったわね」 「うん! せんせー、送ってくれてありがとう」 ののかちゃんのお母さんに軽く挨拶を済ませてから今度はことねちゃんの家に向かう。 ことねちゃんの家の周辺は田んぼが多いためか、虫の音のオーケストラだ。 都会では経験できない風景を堪能するようにことねちゃんとえみちゃんと手を繋いでゆっくりと歩く。 「〜〜〜〜〜♪」 「ことねちゃん、なんだかすごく嬉しそう」 「はい。小さい時のこと、思い出してました」 普段、両親が遠くにいることねちゃんにとってこうして誰かと手を繋いで歩くということが嬉しいのだろう。 僕の手を力一杯握り、満面の笑みを見せてくれる。 ふと空を見上げる。 満天の星空──吸い込まれてしまいそうだ。 「ほら、見てごらん。 こと座のベガ、わし座のアルタイル、 はくちょう座のデネブ。夏の大三角だよ」 「へぇ……。あれがそうなんだ」 「今日はよく見えますね。きれい……」 ウットリした顔で星空を見上げている2人。 「それでね、ベガとアルタイルは──」 七夕の織姫と彦星だという話をしてあげる。 ちょうどえみちゃんたちの年齢の時、星座をなかなか覚えることが出来なかった僕に当時の先生が教えてくれた話だ。 「せんせい、すごいです」 「おにいちゃん、物知りだね」 「ははは、これでも先生だからね」 星座の話をしていると、あっという間にことねちゃんの家に着いてしまった。 「…………」 どっしりと構える昔ながらの邸宅── 家庭訪問の時に一度来ているけど……。改めてすごい大きな家だなと思う。 「せんせい、ありがとうございました」 ことねちゃんは深くお辞儀をしてから、呼び鈴を鳴らす。 「お手数をお掛けして申し訳ございません」 ことねちゃんのおばあさんが出てきて、折り目正しくお辞儀をしてくれる。 「いえ、夜も暗いし当然のことですから……」 別に苦手というわけではないけれど、凛とした振る舞いに緊張してしまう。 「じゃあ、ことねちゃん。また学園で」 「はい。今日はありがとうございました」 ことねちゃんとおばあさん、2人して深々とお辞儀をしてから家に入っていく。 「じゃあ、帰ろうか?」 「うん!」 「……ねぇ、おにいちゃん?」 「ん?」 あと少しで家に着くというところで、えみちゃんが静かに声を掛けてきた。 「あのね、今日のこと…なんだけど……」 「おにいちゃん…エッチなこと…… あたしたちにしちゃったの?」 「…………」 何も言うことが出来ない。 えみちゃんの言う通り、僕はエッチなことをみんなにしてしまった。 「…………」 真剣な様子──ちゃんと言わないといけない。 「…えみちゃんの言う通りだよ」 「でも、僕は決して遊びじゃなくて…… その、ちゃんと…みんなのことを──」 突然の問いかけに焦っているからか、言葉が詰まってしまう。 「………………」 黙り込んでしまうえみちゃん。 ひょっとして、怒っているのかな?どうしよう? 確かにそれだけのことをしてしまったのだけど……。 「えへへ。おにいちゃんらしいね」 屈託のない笑顔で返してくれる。 「あのね。実はあたし、さっきすごく嬉しかった」 「学校に行けば会えるとか、みんなでピクニックとか。 ちゃんとみんな一緒って考えてくれてるんだなぁ って」 「あたしだけ、おにいちゃんといつも一緒で…… ちょっとズルイかなぁって思ってたから」 1人だけ抜け駆けしているという罪悪感があったのかも知れない。 「うん。僕は3人共大好きだし、 3人共、僕にとって特別だよ」 「えへへ。そっかぁ、みんな一緒に特別なんだ」 えみちゃんがぎゅっと僕の手を握ってくる。 3人のうち誰か1人を特別扱いしたらいけない。 みんな一緒に平等に──そう固く決意した。 それからというもの、僕たちの関係はどんどん深くなっていった。 「うーん……うーん……これは……」 「よし、できた! 次は──」 「……ふぅ」 僕がほぼ毎日学校にいると言ったので、3人は毎日のように宿題を持って学校に来てくれる。 そのおかげで、宿題そのものはすごく順調らしい。 「みんな、どんな感じ? わからないところがあったら、遠慮無く聞いてね」 「あっ! せんせー、ここなんだけど──」 頭を抱えて悩んでいたののかちゃんが手を上げて、僕を呼ぶ。 「えーと、ここはね……。まずは──」 少し引っかけのある応用問題。 前までだったら、テストでも白紙で出していた問題なのに……。 鉛筆の跡で、黒く汚れている。何度も試行錯誤を重ねた結果だろう。 こういうのを見せられたら、教師としてはすごく嬉しい。 「へぇ、そっか! そうやってやるんだ。 せんせー、ありがとぉ!」 解き方のヒントを与えてあげると、ののかちゃんは嬉しそうに鉛筆を走らせる。 「えみちゃんとことねちゃんは? わからないところはない?」 「うん! 今のところだいじょうぶ」 「…わ、わたしは……その、ここが──」 「うん。どれどれ──」 ことねちゃんがわからないと言っている問題を見てあげる。 平日は学校で教師の仕事の合間に、こうして3人の勉強を見てあげたりしている。 休日── 前に何気なく話したピクニックの約束を果たすべくお弁当をもって、ちょっと遠くの公園まで来ていた。 みんなが持っているお弁当は何でも、僕を喜ばせようと話し合い、自分たちで作ってきてくれたらしい。 僕はそれを嬉しく思いながら、どんなお弁当なのだろうかと心を躍らせる。 「みてみて、おにいちゃん。これ、おかあさんに 教えてもらって、あたしが作ったんだ」 えみちゃんが自慢げに自分で作った弁当を見せてくれる。 「へぇ、きれいなお弁当だね。美味しそうだよ」 いかにも女の子のお弁当といった感じで、彩りが豊かだ。 「…わたしもばぁばに教えてもらって……」 今度はことねちゃんが見せてくれる。 「うん。この肉じゃが、美味しそうだね」 他にも季節の野菜がふんだんにあって、栄養バランスが取れている。 「じゃじゃーーん! 私はこれだよぉ!」 ののかちゃんが作ってきてくれたのは、大きなおにぎりだった。 いかにもののかちゃんらしいお弁当だ。 「みんな、どれも美味しそうだね。 じゃあ、頂こうか?」 「うん! おにいちゃん、あーん──」 小さなフォークに刺した唐揚げを僕の口元に運んでくる。 「んっ……んぐんぐ……。 えみちゃん、美味しいよ」 「えへへ、おかあさんが得意な唐揚げ、 うまく出来たんだ」 「あっ! えみちゃん、いーなぁー! じゃあ、私も! せんせー、あーん──」 「はむっ──」 ののかちゃんが手ずから差し出してくれたおにぎりを頬張る。 「んぐんぐ、これは……焼き肉かな?」 「えへへ、せんせー当たりだね! お肉は大アタリなんだよぉ!」 ということは、他にも色々な具が入っているらしい。 「…わ、わたしのもお願いします……」 肉じゃがのじゃがいもを箸でつまんで、遠慮しがちに口元に近づけてくる。 「…んぐん……。ことねちゃん、すごく美味しいよ」 しっかりとダシが染みていて、何だかほっとする味だ。 大好きな女の子たちから、手作り弁当をこうしてあーんして貰えることがすごく嬉しい。 「んぐんぐ。ほんとだ、ことねちゃんの肉じゃが すごくおいしい!」 「えみちゃんのも…んぐっ……唐揚げ、おいしー♪」 「はむっ…んっ……んんんんんっ!!」 「あー……。ことちゃんのは梅干しみたいだね……」 3人はそれから弁当のおかずを交換し合ったりとすごく楽しそうだった。 こうして、僕は3人と一緒に過ごすことが多くなった。 と言っても、いつも3人が一緒というわけではない。 時には1対1、2人きりで過ごす時間もある。 今日は学校での仕事が終わった後、ののかちゃんを家まで送っていった。 今日はママもパパも帰りが遅いんだよぉ!と言うののかちゃんに促され、お家にお邪魔して── 「んっ……あっ、あっ、あっ……んくっ……!」 「せ、せんせーので……んんんっ…奥が… いっぱいうずうずってくるぅ……」 肉付きの良いののかちゃんのお尻の感触を堪能しつつ、モノを深くまで潜り込ませる。 「…んくっ……ののかちゃんの、気持ちいいよ」 「うん……ののもね……せんせーのすごく きもちいいよぉ」 あれから、何度かしているというのにののかちゃんのは初めての時と変わらず、僕のモノをきゅうっと締め付けてくれる。 十分に潤った秘部、柔らかな膣肉がねっとりと包み込んでくれる。 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……ああぁ…… んっ、んっ……んぅっ……!」 「せ、せんせー……んっ…っ……奥、グリグリって されたら……のの、変になっちゃうよぉ……」 ののかちゃんの膣内があまりにも気持ちよすぎてつい、腰を激しく動かしてしまう。 「はぁ、はぁ……せ、せんせぇ……。 んっ、奥ばっか、そんなにされたら…きちゃうぅ」 そう言いながらも、ののかちゃんは自分から求めるようにお尻を突き出し、ペニスを包み込んでくる。 「…ののかちゃんの中、すごく気持ちいいから……」 「そっかぁ。ののの、そんなにいいんだ」 「ののもね…んっ……せんせーに…こうして もらえるの……んぅ……大すきだよぉ……」 ウットリした顔で受け入れ続けてくれる。 夏の暑さに汗だくになりながら、抽送を続けていく。 「はぁ、はぁ…あっ…っ……きもちいい…… あっ……んっ……ぅくっ……ンっ……!」 「せ、せんせーの…なかでどんどんおっきくなって… あんっ……んぅっ……あぁっ……」 ののかちゃんの足がぷるぷる震えだしてきて、僕も限界が近くなってくる。 「…ののかちゃん、僕、そろそろ──」 「うん。ののもだよぉ……だから、せんせー……」 ののかちゃんがさらにお尻を突き出してくる。 そのせいでズブリと先端が最奥に届いて── 「んあっ…あっ…せ、せんせぇ……あっ、あっ…… ぁんっ……きて…る……いっぱい何かきてる……」 「あっ、あっ、あっ……あぁ…ぁぁ……ふあぁ…… ンンっ……んっ……あっ、ああぁぁ……!!」 ののかちゃんの中がすごく締まって、我慢出来なくなり、膣内に精を放ってしまう。 「ふあぁ…んっ…ぁっ…ぁっ……あぁ、ああぁ……」 「…せ、せんせーのビクビクってして…… 温かいの……中に入ってくるよぉ……」 体を小刻みに震わせ、ウットリした顔をしながら精液を受け止めている。 「はぁ、はぁ……んっ……」 ののかちゃんの中があまりにも気持ちよすぎて、すぐに引き抜くことが出来ず、そのまま中に射精し続けてしまう。 「ふあぁ……せ、せんせー、いっぱい出てるよぉ」 「…お腹がジンジンしてくる……。 温かくてきもちいい……」 ののかちゃんは蕩けそうな顔をしている。 そんなののかちゃんを見ているだけで、射精しているというのに、萎えることがない。 「…え、えへへ……せんせーのまだまだ元気だね」 「せんせぇ、私、まだまだしたいな」 甘えるように言ってくるののかちゃんが可愛くて── そのままモノを抜かず、行為を続けてしまった。 夏休みも終わりに差し掛かった頃、夜、僕はことねちゃんの家に呼ばれた。 何でもお稽古として続けている琴の演奏の発表会が近いということで、一度聞いて欲しいとのことだった。 着物姿で真剣に琴を奏でることねちゃんはいつもよりも少しお姉さんに見えた。 演奏が終わると、今日はばぁば、お出かけしているから……と、ことねちゃんに促され── 「んはぁ……くっ……ぅくぅぅ……」 僕たち以外は誰もいない家── 着物をはだけさせたことねちゃんと行為に及んでしまう。 「…………」 着物姿のことねちゃんはいつもよりもほんの少しだけ大人びた気がして……。 それが新鮮で、言葉を失ってしまう。 「…はぁー……はぁ……せ、せんせぇ…… ンっ……うくっ……ン……ッ……!」 「……ことねちゃん……ンっ……」 もう何度目かの行為ではあるが、ことねちゃんのは窮屈で狭い。 無理をさせないよう、慎重に挿入を進めていく。 「んはぁ……はぁ、はぁ……わたし、だいじょうぶ だから……もっとしても……んんっ……」 苦しいことは苦しいけれど、気持ちよさもあるみたいだ。 深く息を吐きながら、潤んだ瞳で見つめてくる。 「…んぅぅぅっ……ふあぁ……ぁぁ、ンぅぅ……!」 「あくっ……せ、せんせぇ…そこ…あっ……ン…… んぅぅ……」 腰をゆっくりと進めつつ、少しでも楽にしてあげようと乳首を愛撫してあげる。 「ことねちゃんのココ、もうこんなになっているね?」 「…あぅぅ……は、はずかしい……」 乳首を指で弄っていると、だんだん固くなってくる。 指先で転がすように、刺激を与えていく。 「…ひゃぁっ……あぁぁ……ン、ふあぁ……!」 愛撫されて感じてきているのか、膣内の抵抗がだいぶ和らいできた。 モノがだんだん奥へと進んで行く。 「…ことねちゃん、全部入っちゃったよ?」 「はぁ、はぁ……は、はい……。 せんせいのちゃんと奥まで届いています」 「動いても大丈夫かな?」 「はい……。せんせいの好きなように……」 ことねちゃんの言葉を聞いてから、腰をゆっくりと動かし始める。 奥を優しく小突きながら、中の感触を堪能していく。 「はぁ、はぁ…んぅぅ……ふあぁぁ、んはぁぁ……」 ことねちゃんの声から苦しみが薄れ、甘くウットリしたものへと変わっていく。 感じ始めてきたみたいだし、もう少し激しくしても良いかも知れない。 「んっ、んっ……はぁぁ、あっ、ン、あぁぁ…… せ、せんせぇ……んんんんっ……」 「ことねちゃん、大丈夫?」 「はい…。だから、せんせい……。もっと…… して…くれても……ンっ、んっ……んぅぅ……」 ことねちゃんの言葉に甘え、先端を最奥まで進ませゴリゴリしていく。 「ふああぁ……あっ、あぁ……うくぅぅ…… な、なんか……熱いのきてます……」 「せんせぇのが奥に当たると……んんんっ…… あっ、んあぁぁ……ふああぁぁぁ……ッ……!」 「…んっ……! ことねちゃん……!」 膣内の入口がぎゅっと締まり、あやうく射精しそうになってしまう。 「せんせい、我慢しなくてもいいですから…… このまま……ンっ……ふあぁぁ……」 「うん…」 ことねちゃんの言葉に頷いて、ラストスパートに向けて腰を前後に動かしていく。 「はぁ、はぁ……ぁぁあぁ……ふあぁ、ンン…… あっ、あっ…っ……はぁあぁぁ……」 「せ、せんせぇ……せんせ……ンン…ぅっ……!」 ビクンとことねちゃんの体が大きく跳ねる。 「……ッ……!」 「ン、はぁぁぁぁ……ああぁぁ……んぅぅぅ……!」 射精した瞬間、ことねちゃんが大きな声を上げながら、体を震わせる。 膣内がビクビクとしながら、敏感になっているモノを包み込んでくる。 「せ、せんせいの出てます……。 お腹の奥に……熱いの……すごくいっぱい……」 瞳にうっすらと涙を浮かべ、恍惚とした表情で僕の精液を受け止めてくれている。 「はぁ、はぁ……ことねちゃん、 すごく気持ちよかったよ」 「…うん……。せんせいがきもちよくなって くれてよかった……」 それから、しばらくの間、つながったままの状態で2人して行為の余韻に浸っていた。 ことねちゃんの小さな体を抱きしめて、温かな体温を感じながらまったりする。 胸元にかかる吐息がくすぐったいけど、それよりも満足感や幸福感の方がずっと大きい。 3人と仲良く過ごす時間は思いの外楽しくて、夏休みはあっという間に終わってしまった。 時間を重ねれば重ねるほど、3人と共に過ごす時間はより濃密になっている。 愛しいと思う気持ちは際限なく膨れあがっていく。 「…んっ……ちゅっ……んぅぅぅ…… おにぃちゃぁん……ンぅぅ……」 ──日曜日。僕とえみちゃん以外はみんな外出している。 2人きりになったところで、えみちゃんが甘えてくる。 「…えみ…ちゃん……」 「ンっ……んぅ……、おにいちゃんのここ…… おっきくなってる」 「うん…。えみちゃんのだって──」 お互いに股間を手で優しく触れ合う。 「…んっ……おにいちゃん……もう……」 「うん」 切なくなってきたのか、甘い声を出してくるえみちゃん。 そのままベッドへと赴き、行為を始める。 頭を撫でながら、亀頭を入口にあてがい、ゆっくりと中に入れていく。 「んくぅぅぅ……んんんっ……は、はいってくる…… おにいちゃんの……ンぅ…ぅくぅぅ……」 ぐちゅぐちゅと淫靡な音をさせながらモノが吸い込まれていく。 「ひゃうぅぅぅ…ふ、深いよぉ……あ、あぁ…… んっ……ふあぁ、あっ…ぁぁぁ……」 えみちゃんとも何度も行為に及んできた。 先ほどのキスで興奮したのか、秘部は十分に潤っていて、スルリと奥まで入っていく。 「んっ……えみちゃんの、気持ちいい……」 「う、うん……あたしも…おにいちゃんの…… んっ、ぅんっ……はぁ、あっ……はぁぁ……」 「あ、あっ、あぁっ……んっ、んぅぅンっ…… おなか…いっぱいきゅんきゅんしてる……」 迂闊に射精してしまわないように歯を食いしばり、お腹に力を入れる。 それから、ゆっくりと腰を動かして膣内にモノ全体を抽送させ続ける。 「んっ、あっ、あっ、あんんっっ! んんんっ…… ふあぁ……はぁ…あっ、あっ、ああぁぁっ……」 我慢しきれないといった感じで、えみちゃんの声が大きくなっていく。 膣内が断続的にモノを締め付けてくる。 「んっ……んっ……!」 たまらなくなってきて、腰を速く動かしてしまう。 「ひゃぁぁっ! あっ、あっ、あっ、ああぁ…… おにいちゃ…んんっ…ッ…くぅぅぅ……っっ……!」 ぐちゅぐちゅとした粘着質な音と肉と肉が打ち付け合う淫靡な音が部屋中に響き渡る。 「あふっ、んっ…えっちな音してる…おにいちゃんに させられちゃってるぅ……」 「んんんっ……ひゃっ……くっ……んぅぅぅ……!」 えみちゃんの体がぎゅっと強張る。 呼吸も荒くなってきているし体も小さく震えている。ひょっとしたら、もうイキそうなのかな? 「えみちゃん、我慢しなくていいからね?」 顔を近づけ、耳元でそっと呟いてあげる。 「…で、でも……」 「えみちゃんの可愛いところ見たいから」 自分だけ先にイッてしまうのは申し訳ないと思っているのだろう。 だから、我慢しなくても良いと諭すように言ってあげる。 「…うん……。おにいちゃんがそう言ってくれる なら……」 それでも遠慮しているので、腰を強く打ち付け膣奥を亀頭で突いていく。 「ひゃあぁっ! あっ、あっ、あっ、そ、そこ…… あくっ……ひゃうっ……ンっ…ぅぅぅぅ……」 腰を速く動かし、奥を何度も小突いてあげる。 「んんっっ……んはぁ……ああぁぁ……、 おにいちゃん……はげしいよぉ……」 「あっ…あっ…はやいの……おにいちゃんので びくびくいっぱいきちゃうぅ……」 「えみちゃん、イッてもいいからね」 「うん……んんっ……ふああぁ…あっ、あっ…… あぁ……ぁぁぁ……っっ……!」 「…ぅん……ひ…ぁっ…あううぅぅぅっっ………!!」 えみちゃんは甲高い声を出すと同時に、僕のモノをすごい力で締め付ける。 膣内が愛蜜によって潤いをさらに増しながら、ビクビクと痙攣している。 それが気持ちよすぎて、うっかりそのまま中で射精しそうになるが、何とか踏ん張る。 「ひあっ……だ、だめっ……今…だめっ……!!」 震えたままの状態にも関わらず抽送を続ける。 「だ、だめだって……あぁぁ……ま、またへんに なる……ふあぁ、あっ……あぁあぁ……」 そんなえみちゃんの様子があまりにも可愛くて、感情が暴走してしまう。 沸き上がってくる射精感にこれ以上抗うことができない。 「…えみちゃん…いいかな?」 「…んんっ…いい…あっ、あっ…ぁっ…あたしも… また……んうぅぅ…っ……」 再び上り詰めそうになりながら、答えてくれる。 「……んくぅ…ぉ、おにぃちぁゃん…ッ、んん…… あたし…また……またきて……」 「んああぁぁ…あぁあぁ……あっ…あっ…あっ……」 えみちゃんが目を固く瞑り拳を握る。 締め付けが一段と強くなり、これ以上耐えられない。 「くっ……」 腰の動きを止めた瞬間、ゾクリとしたものが背中にやってきて、声を漏らしながら射精してしまう。 「…あ、ンっ……ふぁぁぁ……で、でてるぅ……」 「あったかいの…おなかの奥にいっぱい出てる……」 ウットリしながら、射精を受け入れてくれている。 「はぁ…はぁ……んっ……あっ……ぁぁ……」 そのまま息を切らしながらグッタリしてしまうえみちゃん。 「……………………」 モノをすぐに抜かずにえみちゃんが落ち着くのをじっと待つ。 どうやら一度だけでは収まりきらないみたいで、萎える気配が全く無い。 それから、隆司さんたちが帰ってくるまでえみちゃんとの行為は続いた。 …………………………。 ………………。 …………。 僕たちは、あの夏休みの日以来、ずっと仲良く過ごしている。 3人と一緒に、どこかへ遊びに行ったり、時にはエッチしたり……。 もう、えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃんが側にいない生活なんて考えられなくなっていた。 ──数ヶ月後。 「…うん。ののかちゃんも、 だいぶ理解してきたみたいだな」 ──放課後。職員室で1人小テストの採点をしている。 最近、ののかちゃんも含め3人の成績がかなり向上している。 それに触発されるように他の生徒の点数も上がっていて、クラス全体の平均点が底上げされている。 テストの点数が全てではないとは思うが、これはこれで、教師としては嬉しい限りだ。 「…ぅぅ……最近、めっきり冷えてきたなぁ」 赤ペンをおいて、両手に息を吹きかける。 秋もだいぶ深まる頃には防寒具が欠かせないぐらい気温が低くなっていた。 初めて来た日、春先だというのに雪が残っていたからここの冬ってすごく寒いんだろうな。 冷たくなった両手をゴシゴシこすり合わせながらそんなことを考えていると……。 職員室のドアが開く音がして、遥先生が入って来る。 「あっ、遥先生、お疲れ様です」 「お疲れ様です、瀬田先生── あら? テストの採点ですか?」 「えぇ、今日やった算数の小テストです」 「ふふ、瀬田先生、嬉しそうですね。 良い事でもあったんですか?」 「あっ、わかりますか? 実はあれだけ計算が苦手だったえみちゃんや ののかちゃんが、最近すごく頑張ってくれて──」 それ以外にもことねちゃんが最近はクラスの子に自分から話しかけるようになった事── 休憩時間にクラスの男の子たちが腕相撲を挑んできて最近は負けそうになることもある事── 生徒たちの成長を熱く語ってしまった。 「瀬田先生、本当に楽しそうですね」 「はい。やはりみんなの成長を間近で感じる事が できる。教師になって良かったです」 「彼らがこれからどういう風に大きくなって いくのか──今から楽しみです」 「ふふ、そうですね」 「だから瀬田先生、都会の学校からの誘いを 蹴っちゃったんですね?」 「えっ……! どうして遥先生が……?」 誘いが来ている事は校長先生しか知らないはずだ。 それに、その誘いを断ったことも── 「……あぁ、そう言えば瀬田先生には言ってなかった ですね」 「実は父が瀬田先生をお誘いした学校の理事長 なんです」 「………………」 そういえば、この学校に例の学校の娘がいるとは聞いていたけど……。 確かに理事長の年齢から考えると、娘は僕と同じ世代ぐらいのはずだ。 “娘”というだけで、勝手に“生徒”だと思い込んでしまっていた。 「…ということは、あのお誘いも ひょっとして遥先生が?」 「はい。父には私から瀬田先生のことを推薦させて 頂きました」 そう言えば、夏休みの前だったかな?有名学校から誘いが来る前、遥先生と目が合うことが多かった気がする。 遥先生が僕がその学校の教師としてふさわしいかどうかを見ていたというのであれば、合点がいく。 「お父さん、前途有望な若者と仕事したかったが 残念だって嘆いていましたよ?」 「……それは……申し訳ございませんでした……」 僕はみんなとずっと一緒にいたいという絶対に譲れない思いがあったから誘いを断ったのだけど……。 結果的に遥先生の顔に泥を塗って……申し訳ないことをしてしまったな。 顔を上げられない……。 「あぁぁ、そういう意味じゃないんです」 「実は、私、瀬田先生がここに残ってくれるって 聞いて嬉しかったんです」 穏やかな笑みを浮かべて、そう言ってくれる。 「最近の瀬田先生、以前よりもずっと生徒たちと 親密に接していたので……」 「このまま引き離すようなことしていいのかなって」 もし、3人とああいった関係になる前だったら誘いを受けていたかも知れない。 教師になった僕の目標であり、長年の夢だった有名学校で教鞭を振るうことを選んでいたと思う。 でも── ここに来たばかりの時、下心というか野心があった頃では遥先生は僕のことを推薦してくれなかったに違いないし……。 「(考えても仕方ないか──  僕にはみんなが必要だし、ずっと一緒にいたいの  だから)」 「ふぅ……」 スポーツタオルを首に掛けた小野先生が職員室に戻ってくる。 「あら、小野先生、お疲れ様です」 「おぅ、お疲れ様。いやぁ、最近のアイツら 体が急にデカくなって、ついていくのがやっとだ」 校庭で生徒たちと何か運動でもしていたのだろう。 タオルで額の汗をぬぐいながら、こちらへやって来る。 「そう言って、まだまだ負けるつもりはないの でしょう? 小野先生?」 「おっ! 瀬田先生、わかっているじゃないか。 まだまだ負けていられないからな」 「はは、僕もよく腕相撲勝負を挑まれるのですが…… 最近はちょっと──」 「それはいかんですな。瀬田先生、今度俺と一緒に 筋トレしませんか?」 「はは、機会があれば是非──」 確かにこれからの事を考えると、体を鍛えることは良いかも知れない。 体育の授業があるから運動不足ってわけではないけれど、もっと鍛えた方が良さそうだ。 「遥先生も一緒にどうですか? ダイエットになりますよ」 「あっ……!」 小野先生の一言に職員室が凍りつく。 「ふふふ、小野先生ったら……。 ダイエットですか? うふふふ……」 ……遥先生の笑顔が何だかすごく怖い。 小野先生が引きつった表情を浮かべている。余計なこと言わなければ良かったのにな……。 「………………」 ここは本当に良い所だ。 えみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃんという何よりも大切な宝物に出会えた。 同僚にも恵まれている。 これからずっとこの学校で生徒たちの成長を見守っていきたい。 それからさらに月日は流れ── 季節は秋から冬へと移り変わっていた。 「…あとは、この書類だけか──」 終業式が終わってから、取りかかっている2学期の報告書だが、あと少しで終わりそうだ。 この調子だと、ブラッシュアップを含めても夜には提出できるだろう。 「……うぐぐ。今日はクリスマスだっていうのに」 「これじゃ、クリスマスじゃなくてクルシミマスだ」 小野先生は親父ギャグを飛ばしながら、机に向かって唸っている。 「小野先生、一気にやってしまおうとするから ですよ?」 「それはわかっているんだが……。 なぁ、五十嵐先生、ちょっと手伝って――」 「ダメですよ。大事な報告書なのですから ご自分でやらないと……」 遥先生は小野先生をたしなめつつ、温かいお茶を配っている。 「五十嵐先生のおっしゃる通りです。 言っておきますが、期限の引き延ばしは 認めませんからね?」 「………はい」 まるで夏休みの宿題を溜めに溜めて、最終日に慌てて取りかかる子供を見ている気分だ。 「はい、瀬田先生」 「ありがとうございます。 遥先生はもう終わったんですか?」 「わたしはあと残り1枚です」 「今日中に提出して実家に帰らないと父が……。 ほら、今日はクリスマスですし」 少しばかり気まずそうな顔をしている。 「ははは、遥先生のところのクリスマスって 豪華そうですね?」 なんせ、遥先生は都内でも有数の学園理事長の娘だ。 きっとものすごいパーティーをするんだろうなぁ。 「いえいえ、クリスマスは家族だけで過ごすんです。 むしろ、お正月が──」 遥先生によると、正月は学園の卒業生たちはもちろん他の学園の理事長、教育委員会のお偉いさんたちがこぞって挨拶に訪れるらしい。 僕がその場にいたら、あまりの場違いさにいたたまれなくなるに違いない。 1時間後── 「それでは、お先に失礼いたします。 皆様、少し早いですけど良いお年を──」 「おう、五十嵐先生。良いお年を──」 報告書を提出した遥先生は一足先に実家へと帰省していった。 この地域では正月が大切なものと考えられていて年末は誰もがその準備に明け暮れるらしい。 なので、教師も学期末の報告書を提出したら休暇へと入る予定になっている。 「……ふぅ」 書き終えた書類を一通り目を通し終えて一息つく。 それから書類の束をまとめて、校長先生へと提出しに行く。 「校長先生、確認お願いします」 「はい、瀬田先生。ご苦労様です」 校長先生は僕から書類を受け取るとすぐに目を通し始める。 「…ふぅ……なかなか終わらんなぁ……。 どれ、ちょっと外の空気でも──」 「なりません。今日中、どんなに遅くとも明日中に 提出して頂かないと年が越せませんので」 席を立とうとした小野先生を教頭先生が引き留める。 「大丈夫ですよ。明日には間に合いますから」 「まだ半分以上も残っているじゃないですか?」 「うぐぐ……」 なんだか教師と生徒みたいなやり取りを見ている気がして、思わず吹き出しそうになってしまう。 「──細かいところまで良く書けています。 瀬田先生、ご苦労様でした」 「ありがとうございます、校長先生」 校長先生に合格を貰え、今年の仕事が無事終了した。 もう外は真っ暗だし、急いで家に帰らないと。 「それではお先に失礼します。 よいお年を──」 残っている先生たちに挨拶をしてから職員室を後にした。 学園を出てから、うっすらと積もった雪道を早足で歩いて行く。 腕時計で時間を確認すると、18時30分を少し回っていた。 「……ちょっと遅れそうだな」 今日はこの後、お世話になっている橋本家でクリスマスパーティーをする予定になっている。 ののかちゃんやことねちゃんももちろん来ることになっていて、朝からクリスマスパーティーの準備をしに家にやって来ていた。 仕事もきっちり終わったし、最高の気分で迎えられる。楽しみだ。 「ただいまーー」 「あーー、せんせー。やっと帰って来たぁ」 「おにいちゃん、おそいよぉ……」 こたつに入って、ゆうきくんの相手をしているののかちゃん。 「おにいちゃん、おかえりなさい」 「せんせい、お帰りなさい」 えみちゃんとことねちゃんは台所から料理を運び出している。 美味しそうな匂いがここまで漂ってきて、お腹が鳴ってしまいそうだ。 「みんな、ただいま」 ののかちゃんとことねちゃんのおかげでいつもよりも賑やかな橋本家の食卓。 なんだか心がほっこり温かくなる。 ひとまず荷物と上着を置きに自室へと上がっていく。 「えーっと、確かここに──」 鞄を置いて、コートをハンガーにかけてから、押し入れの奥をまさぐっていく。 「あった、あった……。よっと……」 押し入れの奥にしまっておいた紙袋を取り出す。 「みんな、喜んでくれるといいんだけどな」 紙袋にはえみちゃん、ののかちゃん、ことねちゃん、それにゆうきくんへのクリスマスプレゼントが入っている。 実は先週、こっそり隣町へ出かけて購入し見つからないよう押し入れに隠しておいた。 みんな (2385) えみ「「「メリークリスマス!!」」」 僕の後にすぐ帰って来た隆司さんを加えてからクリスマスパーティーが開始される。 「うわぁ、ごちそーがいっぱいだぁ! いただきまーす!」 ゆうきくんは目をきらきら輝かせながらチキンにかぶりついている。 「んぐんぐ、ぷはぁーー! もう一杯」 「のの……。なんだかおじさんみたいだよ?」 グラスに注がれた琥珀色の液体を一気に飲み干したののかちゃんにえみちゃんが呆れ顔で言っている。 「はい、ののかちゃん」 「えへへ。ことちゃん、ありがとー」 「……あの、敦子さん、あれは?」 「あぁ、あれね。ふふ、ただの炭酸よ。 気分だけでもと思って用意したのよ」 そういえば、スーパーとかに何て名前だったか忘れたけどシャンパンに似たジュースが売っていたっけ。 「じゃあ、僕もそっちにしようかな?」 お酒は強い方じゃないし、ジュースの方がいいかなって思っていると── 「おっと、大人はこっちだ。ほら、誠人、グラス」 隆司さんがシャンパンを持ってグラスを促してくる。 「……え? それって、まさか……?」 隆司さんが持っているシャンパンの瓶はかの有名な高級品のラベルが貼られている。 「おぅ。今朝、酒屋に言って届けさせたんだ。 クリスマスぐらい良い酒を飲まないとな」 「えぇ、もちろんあなたのお小遣いから出して おきましたからね?」 「えっ、そうなの!? まぁいいや。ほら、誠人、飲め飲め」 「ありがとうございます」 隆司さんは目を丸くさせながらも、ドブドブとグラスいっぱいにシャンパンを注いでくれる。 グラスの中でシュワシュワと音を立てるシャンパンを一口飲んでみる。 「……美味しいです、隆司さん」 「だろう? やっぱり高い酒は違うわな」 高級なシャンパンを片手にご機嫌な隆司さん。 「おにいちゃん、何やってるの? ちゃんとご馳走食べないと」 「そうだよぉ、せんせー! あのね、これ、私たちで頑張って作ったんだよぉ」 「せんせい、わたしたちで作ったシチュー 食べてください」 「うん。もちろんだよ、頂きます」 大きめのじゃがいもが入ったクリームシチューをスプーンですくって一口、口に入れる。 「んっ……おいしいよ、これ! じゃがいもホクホクしているし、鶏肉も柔らかい」 体だけじゃなくて心までも温かくなる優しい味わいだ。 「えへへ、よかったぁ」 「みんな、誠人さんに食べさせるんだって 朝から張り切って作っていたのよ」 「そっか。んぐんぐ……こえ、みんなれ がんばって……んぐ……つくったんらね……」 みんなが僕のために一生懸命作ってくれたと思うと手が止まらない。 「おにいちゃん、食べながらお話ししたらダメだよ」 「そうだよせんせー、ゆっくり味わってよ」 「んっ……ごくん……。 ごめん、ごめん。あまりにも美味しすぎてつい……」 「せんせい、お水です」 「ありがとう、ことねちゃん」 ことねちゃんが差し出してくれた水を飲んで落ち着きを取り戻す。 「おかあさん、おかわりーー!」 「はいはい、料理はいっぱいあるからね。 たーんとお上がり」 ゆうきくんも賑やかな食卓が嬉しいのかいつもよりも食が進んでいるみたいだ。 さて、パーティーもだいぶ盛り上がってきたしそろそろか。 「実はみんなのためにクリスマスプレゼントを 用意したんだ」 部屋の隅っこに置いておいた紙袋を持ってきて一声掛ける。 「えっ!? せんせーからのプレゼント!? やったぁーーー! サンタせんせーだぁ」 「おにいちゃん、いいの?」 「…せんせいからプレゼント……えへへ……」 まだ渡してもいないのに、三者三様の喜びを表してくれている。 「じゃあ、1人ずつ渡していくね。 まずは──」 「はい、ゆうきくん。メリークリスマス」 「うあぁ、これ、前から欲しかったやつだ! おにいちゃん、ありがとーーー!」 ゆうきくんへのプレゼントはずっと欲しいと言っていたゲームソフト。 新品が売り切れだったが、運良く中古で売られていたのを購入した。 「あら。よかったわね、ゆうき」 「うん! すーっごくうれしい♪」 ゆうきくんは余程嬉しかったのか、プレゼントのゲームソフトを持ちながらはしゃぎ回っている。 「さて、お次は──えみちゃん」 「ありがと! 私は何かなぁ?」 鼻歌を歌いながら包装を丁寧に剥がしていくえみちゃんをののかちゃんたちがワクワクしながら見守っている。 「ふわぁ、マフラーだ! 嬉しいよ、おにいちゃん」 えみちゃんはマフラーを大切そうに抱きしめて喜んでくれている。 「お次は……よっと。これは、ののかちゃんのだね」 「おぉ、なんか大きい袋だね」 てっきり豪快にいくかと思ったら、ののかちゃんはえみちゃんと同じく丁寧に包装を解いていく。 「おおぉっ! クマのぬいぐるみだぁ! せんせー、ありがとぉ! ずっと大切にする」 ぬいぐるみに頬ずりしながら喜びを表している。 最初、ゲームが大好きなののかちゃんにはゆうきくんと同じくゲームをと思っていたけど。 でも、それだと勉強をしなくなってしまう恐れがあったのでぬいぐるみにした。 「ラストは──」 ことねちゃんへのクリスマスプレゼント。 正直、ことねちゃんへのプレゼントが一番悩んだ。 色々な店を回って、何がいいか考えた。 「可愛い手袋です…。 せんせい、ありがとうございます」 ことねちゃんのために選んだものは手袋だ。 この寒空の中、飼育係の仕事で手をかじかませていることねちゃんを何度も見た。 だから、ことねちゃんには手袋がいいんじゃないかと思ったんだ。 「………………」 ことねちゃんは目をほんの少しだけ潤ませながらプレゼントの手袋を眺めている。 「良かったら、飼育係のお仕事の時にでも 使ってね」 「そ、そんな……。せっかくせんせいから もらったのに、もったいないです」 「ことねちゃんの気持ち、よく分かるよ。 なんせ、おにいちゃんから貰ったものだもんね」 「うん! 私、ぬいぐるみを毎日抱いて寝るぅ♪」 ここまで喜んで貰えたのなら、こっちとしてもプレゼントを渡した甲斐がある。 みんなのとびっきりの笑顔がすごく嬉しい。 「えへへ、実は私たちからもせんせーに クリスマスプレゼントがあるんだよぉ」 「はい。せんせいにはよくしてもらっていますし…」 「すごく嬉しいよ、で、一体何かな?」 予想もしていなかったみんなからのプレゼントがあるらしい。 でも、それらしいものは見当たらない。 「えへへ、それはまだ内緒」 「そうそう。後からのお楽しみなんだよぉ」 「そっか。楽しみだね」 「なんだ、誠人……。生徒さんたちから やけにモテモテじゃないか」 「ほら、グラスが空いているぞ」 「おっと……!」 割り込んできた隆司さんにシャンパンを注がれ、すぐに飲み干す。 「おにいちゃん、そんなに飲んでだいじょうぶ?」 「んっ……これぐらいだったら、大丈夫」 「あっ! 私もせんせーにそれやりたい! いつも、パパにしてるんだよぉ」 ののかちゃんは隆司さんからシャンパンを受け取ると僕のグラスに注いでくれる。 「ありがとう、ののかちゃん。 んっ………」 ののかちゃんから注いでもらい、一気にあおる。 「…せんせい、お顔真っ赤です。 だいじょうぶですか?」 「大丈夫。これぐらい、平気、平気」 とはいえ、けっこう飲んでしまっているな。 顔がすごく熱いし、頭がぼんやりしてきている。 それから、夜遅くまでクリスマスパーティーは続いた。 案の定、隆司さんは早々に酔いつぶれてしまい、はしゃいでいたゆうきくんも疲れて寝入ってしまった。 ののかちゃんとことねちゃんはしっかりとお泊まりの準備をしてきたので遅くなっても大丈夫だとのこと。 家まで送る必要がないというのと、みんなと過ごすクリスマスが楽しすぎて……。 「…調子に乗って飲み過ぎた……」 あれからも何杯かお酒を飲んでしまい、完全に酔いが回ってしまっている。 ふらふらとした足取りで何とか自室へと戻ってきた。 お酒が回って重い体で布団にダイブする。 横になった瞬間、さらにお酒が回ってしまい瞼がすごく重い。 このまま良い気分のまま眠ってしまおう。 ………………………………。 ???? (2396) えみ「……ぉ…ぃ……ん……ぉにぃちゃん……」 ???? (2519) ことね「せんせい、きもちよさそうに眠っています」 ???? (2410) ののか「せんせー、起きてよぉ」 体を揺らされ、遠くから呼ばれているような感じがする。 あれからどれぐらい時間が経ったかわからないが、眠りが深くて体が重いし、頭も動いていない。 「(起きないと……)」 どうしてかわからないが、このまま眠っていてはいけない気がする。 「……?」 まだ意識がぼやけているのか、視界がはっきりしない。 真夜中の静かな空間──月明かりに照らされた3人が幻想的に映っている。 「あっ、やっと起きた」 「ののかちゃん? どうしたの?」 重たい体を起こして、目をゴシゴシ擦る。 「……せんせいにクリスマスプレゼントを 渡そうと思って」 ことねちゃんが申し訳なさそうに言う。 そういえば、僕のためにクリスマスプレゼントを用意してくれたって言っていたっけ。 「……ひょっとして忘れていたの? クリスマスだけの特別なのに」 少しふて腐れたような仕草がすごく可愛らしい。 「……ごめんね。 それで、プレゼントって?」 恐らく、さっきからえみちゃんが大切そうに抱きしめている紙袋に入っているものだとは思うのだが。 「えへへ、ようやくお披露目だね」 「…ちょっぴり恥ずかしいですけど……」 「おにいちゃん、ちょっと待っていてね」 「ちょっと待ってって──えっ……!?」 3人がいきなり服を脱ぎ始めたので思わず目を固く瞑ってしまう。 真夜中の静まりかえった中に、ゴソゴソと衣擦れの音がする。 着替えをしていることに間違いはなさそうだが……。 「私は準備できたよぉ! ことちゃんは?」 「…はい、わたしもだいじょうぶです」 「うん。みんな着替え終わったみたいだね。 おにいちゃん、もう目を開けてもいいよ」 目を瞑っていることに気づいたえみちゃんからの一言で、ゆっくりと目を開ける。 「じゃーん! せんせー、どう?」 「おぉぉ!!」 3人それぞれの魅惑的なサンタ姿に思わず驚愕の声を上げてしまった。 「えへへ、せんせーのために特別に用意したんだよぉ」 ののかちゃんはちゃぶ台に腰掛けながら、得意げに言ってくる。 「……これ、ちょっと恥ずかしい」 えみちゃんは袖と足元を飾っていて、胸元は僕がプレゼントしたマフラーで隠している。 赤と白の縞々のパンツがクリスマスらしくて実に可愛らしい。 「わたしも……あぅぅ……」 短いワンピース姿のことねちゃんは、丈の長さが気になるのか裾を押さえている。 ぶかぶかのフードがことねちゃんの可愛さをさらに引き立てている。 「そう? 私は恥ずかしくないよ? だって、せんせーだし」 ののかちゃんは胸が見えてしまいそうなほど短い上着を着ている。 「…みんな、それ、どこで用意したの?」 「はるか先生に貸してもらいました」 「そうそう♪ はるかせんせーに頼んで、 サンタの衣装を貸してもらったんだよぉ」 「遥先生が?」 「うん。クリスマスにサンタの恰好がしたいって 言ったら貸してくれたよ?」 「せんせーにサンタ姿見せたいって言ったら 喜んで貸してくれたよぉ」 ……………………。 ひょっとしたら、遥先生にはお見通しなのかも知れないと思うと少し気恥ずかしい。 でも、快く衣装を貸してくれたということは教師と生徒としてすごく仲が良いってぐらいにしか思ってないだろう。 ともかく、こんな可愛い衣装を貸してくれた遥先生には感謝だ。 「…でも、サンタの衣装1つしかなくて…… それで……」 「うん。それで3人で分けたんだけど……」 なるほど。1つの衣装を3人で分けたからこんなエッチなサンタ姿になってしまったという事か。 「ちなみに、このパンツとタイツは 自分で用意したやつ」 「…せっかくのクリスマスだから…… それっぽいのを用意したんだ」 それで赤と白の縞々パンツということか。 「……わたしは…その……ぅぅぅ……」 ことねちゃんが裾をぎゅっと掴んで顔を真っ赤にする。 2人と違ってパンツが見えてしまうっていうのは恥ずかしいのかな? 必死に隠そうとしているし…。 「…ねぇ、おにいちゃん……」 「ちょっ、えみちゃん!?」 甘えた声で僕を呼びながら、縞々パンツを中が見えてしまうギリギリまで下ろしている。 「どうかな? 興奮、する?」 実はすごく恥ずかしいんだろう。顔が真っ赤になってしまっている。 「……そ、それは……うん。興奮する……」 「あっ! じゃあ、私もーー!」 「の、ののかちゃん!?」 えみちゃんに触発されたのか上着の前を開け、胸を披露してくるののかちゃん。 「せんせー、私は? 興奮する?」 「……うん」 3人の中で一番豊かなののかちゃんの胸に興奮してしまう。 「……わ、わたしも……」 顔を真っ赤にさせながらモジモジしていることねちゃんは、ゆっくりと裾をたくし上げていく。 下着らしきものが見えてこない。 「あぅぅ……は、恥ずかしいよぉ……」 裾をたくし上げたことねちゃんのワレメが露わになっている。 「……!?」 「…わたしは…その…持っていなくて……」 えみちゃんとののかちゃんはクリスマスらしいパンツを自前で用意したと言っていたが……。 ことねちゃんは持っていなかったらしく、パンツを履いてなかったみたいだ。 だから、さっきからあんなに恥ずかしがっていたのか。 「せんせー、もっとよく見てぇ」 「…うん。せっかくおにいちゃんのために 用意したから、いっぱい見て欲しい」 みんな、いつもよりも積極的になってアピールしてきてくれる。 「…ぅぅ……恥ずかしい……。 でも、せんせいにちゃんと見てもらいたい」 少し恥ずかしい気もするけど、3人共、僕に見せたいって頑張ってくれている。 「みんな、すごくかわいいよ」 エッチで可愛いサンタ姿をしっかりと目に焼き付けていく。 「…おにいちゃん、ちゃんと見てくれてる……」 「せんせいに、恥ずかしいところ見られちゃってる」 「えへへ。せんせーに見られると何だか嬉しいね」 えみちゃんとことねちゃんは恥ずかしさを我慢して、ののかちゃんはノリノリになっている。 「…みんな……」 3人の姿がすごく可愛くて理性が吹っ飛んでしまいそうだ。 「…おにいちゃんの元気になってる」 「ホントだー! せんせーのおっきくなってるよぉ」 こんな魅惑的な姿を見ると、下半身にたぎりがやって来るのは当たり前だと思う。 「みんなもだよ?」 「…! こ、これは…その……あぅぅぅ……」 ことねちゃんのソコはうっすらとテカっていて、落ち着かないのかモジモジしている。 「だって、おにいちゃんがいっぱい見てくれるから」 「どうりでさっきからムズムズすると思った」 えみちゃんとののかちゃんもクロッチに小さな水染みが出来てしまっている。 「…ッ……」 三人に触れてみたいと体を動かすが、よろけてしまう。 どうやらまだ酔いが残っているのか、それとも3人があまりにも魅力的すぎてクラクラしてしまっているのか。 「おにいちゃん、そのままじっとしていて?」 「うん! 私たちからせんせーにクリスマス プレゼントするんだよぉ」 「…せんせい、ご奉仕させていただきます……」 どうやら3人でこれから何かしてくれるみたい。 「みんな、ありがとう」 体の力を抜いて楽にして、3人からの“ご奉仕”に備える。 「おにいちゃんがきもちよくなれるように 準備するからね」 「せんせーのもっと元気にしてあげるね」 下着を脱いだえみちゃんとののかちゃんが僕の上に乗っかってきて……。 「んっ……ぅ、ん……」 「んぅしょ、ぅんしょ……せんせーの… ビクビクしてる」 すでにギンギンに張り詰めているモノに2人の秘部を擦り合わせてくる。 「……ぅくっ……」 モノの両側から感じる2人の秘部の感触があまりにも気持ちよいので声が漏れてしまう。 こんなこと、どこで覚えてきたのだろう? 「…はぁ、はぁ……おにいちゃんの…擦れて…… ジンジンしてくる」 「私もだよぉ。せんせーのがここに当たると、 ヌルヌルがいっぱい出てくるぅ」 甘い吐息を漏らしながら、2人は懸命に腰を上下に動かし、モノを擦ってくれる。 「…せんせぇ……」 潤んだ瞳で恥ずかしげに見つめてくることねちゃん。 「んっ、んっ、あっ…こ、ことちゃんも……」 「ふぁ…あぁ……ぅんっ……おにいちゃんの…… 準備…いっしょに……」 「うん……。せんせい、そのまま──」 ののかちゃんたちに応えるように、ことねちゃんはゆっくりと目を瞑る。 「んっ……」 小さくて柔らかな唇がちょこんと触れる。 「んっ、んぅぅ……ちゅっ……ぅん……」 ことねちゃんが舌を僕の口内へと潜り込ませてくる。 「んっ……」 下半身の快感に耐えつつ、ことねちゃんの舌を迎え入れ、絡めていく。 「…んっ、ああぁ……おにいちゃんの…… ビクってした……」 「えへへ、ことちゃんのちゅーのおかげだね。 私たちも──」 えみちゃんとののかちゃんが秘部をさらに密着させてくる。 擦っているうちに気持ちよくなってきたのか、2人の秘部はどんどん潤いが増していく。 ヌルリとした愛蜜を塗りつけられるように秘部で刺激されて、モノが大きく跳ねる。 「…んはぁ……はぁ、んっ……せ、せんせぇ……」 ことねちゃんが唇を離す。舌から伸びている唾液の糸が妙に艶めかしい。 「ことねちゃん……」 「ひゃうっ……んっ……ふあぁぁぁ……」 ことねちゃんの可愛らしいお尻を撫でると、ビックリしたような声を上げる。 「…せ、せんせぇ……わたしも……」 「んっ……んぅぅぅ……」 再び唇を当て、舌を潜り込ませてくる。 「……んっ……ふぁ……んっ……んぅぅ……」 小さな舌を懸命に伸ばして、僕の舌の動きに合わせて絡ませてくれる。 そんな健気な姿に気持ちが熱くなってきてしまう。 「せんせー、きもちよさそう。 ことちゃん、すごいよぉ」 「あたしたちも、おにいちゃんをもっときもちよく させないと」 さらに密着し、秘部のふにふにとした感触が強くなる。 ことねちゃんの甘い吐息を感じながら、えみちゃんとののかちゃんのに包まれてすぐに限界がやってきてしまう。 「…んぁ……はぁ……んんっ……!」 「せんせー、いつでもいいからね?」 「おにいちゃん、我慢しなくていいからね?」 2人の言葉に我慢が効かなくなってくる。 「…んっ……せ、せんせ…い……んんんっ……」 3人から与えられる快感に頭が真っ白になっていく。 「はぁ、はぁ……おにぃちゃん……んっ……あっ、 ふあぁ……ぁ、んっ……んぅっ……!」 「あっ、あっ、あっ…せんせーのピクって すごい動いてる……」 2人共慣れてきたのか、滑らかな動きで気持ちいいポイントを刺激してくれる。 もうダメだ。これ以上、我慢できない。 「……ッッ!!」 根元に秘部を押しつけられた瞬間、先っぽから噴水のように精液が噴き出してしまう。 「ふあぁ、おにいちゃんのからいっぱい出たぁ」 「はぁ、はぁ…せんせー、きもちよかった?」 「…うん。すごく気持ちよかったよ」 射精と共に全身の力が抜けていくような感じがする。 脱力感と心地よい快感が同時にやってきて、下半身が甘く痺れてしまっている。 だけど── 「…おにいちゃんのまだ、おっきいまま」 「うん、せんせーのまだまだ元気だね」 「…うっ……これは……」 一発出したところで全く収まる気配がない。 射精したばかりだというのに、ビクビクと蠢き己を主張してしまっている。 「せんせいの苦しそう……」 「…おにいちゃん、ちゃんと準備できてるね。 じゃああたしから──」 えみちゃんは精液が付着しているモノをおずおずと触り、ゆっくりと自らの中へと導いていく。 「…んくっ……んっ……ふあぁ……あっ、んんんっ」 「せんせーのがえみちゃんに入ってく……」 「…ふあぁぁ……」 「んっ…の、のの……ことねちゃんも…… そんなに見ないでぇ……」 やはりこういうところを人に見られてしまうのは恥ずかしいみたいだ。 「ふあぁ……ンッ……いつもよりも…… うずうずが…いっぱい……」 「あっ……んっ、んくぅ……んんっ…… あぁ、っ……ン、ひぁぁぁ……」 「……えみちゃん……んっ……」 こうして挿入していっているだけなのに、えみちゃんの中がモノをきゅうきゅう締め付ける。 ひょっとしたら誰かに見られていることで、いつもよりも感じてしまっているのかも知れない。 「あううぅっ……うくぅぅ……おにいちゃんの…… いっぱい……きて……んぅぅぅ……」 根元近くまで埋まったぐらいで、えみちゃんが気持ちよさそうな声を上げてしまう。 「いいなー。えみちゃん、すごくきもちよさそう」 「ねぇ、えみちゃん。せんせーのどんな感じ? どこがきもちいい?」 ののかちゃんが無邪気にえみちゃんに質問を投げかける。 「ちょっ……どんな感じって、のの、 こんな時に……んんっ……くぅ、ンンっ……!」 えみちゃんの顔が真っ赤になる。 「実は一度聞いてみたかったの。 えみちゃんって、せんせーにどうされると きもちいいの?」 矢継ぎ早に質問をしていくののかちゃん。 とはいえ、質問の内容は僕も興味がある。 「そ、そんなの……言えるわけ……ンンっ……」 「…おにいちゃんの……中に入ってるだけで…… からだがあったかくなって……んぅぅっ……」 「そっかぁ。それでえみちゃんのから、 いっぱいお汁が出てるんだね?」 「…ばかぁ……そんなこと言わないで…… あっ、あっ、あっ……ンっ、はあぁぁぁ……!」 ののかちゃんに言われて、えみちゃんの中がきゅっと強い力で締まる。 さっきも思ったけどえみちゃんは、見られているということを意識すればするほど感じてしまうみたいだ。 腰の動きもだんだん速くなってきている。 「んんっ……おにいちゃん……あたし、 なんかきてる……」 「おおきいのいっぱい……きて……んんんっ…… ふあぁ、あっ……あうぅぅ……んくぅぅ……」 「えみちゃん……んんっ……ッ……」 えみちゃんの中が小刻みに蠢いていて、それがとてつもない気持ちよさを与えてくれる。 「ふあぁ、えみちゃん、ホントに気持ちよさそう…… いいなぁ……」 ののかちゃんは自分がしたことがえみちゃんの快感を助長しているのにも関わらずうらやましげな視線を送っている。 「…えみちゃん……えみちゃ……んんっ……」 体はまだ重いはずなのに、どうしてか腰が勝手に動いてしまう。 「お、おにいちゃん……今ダメ……動いたら… あたし……あっ……き、きちゃう……」 「くる……おおきいのいっぱい……おにいちゃんの あっ……あっ……あぁぁっ……ぁぁぁ……」 「……ッ……!!」 腰を動かして、射精直前になっているモノに最後の刺激を与える。 「んんっ…ンっ…くる…あっ、あっ、あっ…… ふあぁ……んっ……ぅぅンンッ……!」 えみちゃんが押し殺すような小さな喘ぎ声を出した瞬間、中がぎゅぅっとものすごい力で締まって下半身の中の熱いものが一気にはじける。 ドクン、ドクンと大きく動いてえみちゃんの中に精液を注ぎ込んでしまう。 「ああぁぁ……おにいちゃんのビクビクゆって…… あったかいの…お腹にいっぱいくるぅ……」 「…はぁ、はぁ……おにいちゃんをきもちよく させたかったのに…あたしがきもちよく なっちゃった」 目をトロンとさせ、うっとりとした顔をしながら大きく息を吐いている。 こうしている間にもえみちゃんの中は未だにビクビクと小さく動いていて、心地よい快感を与え続けてきてくれる。 「えみちゃん、いっぱい出してもらえたね?」 「うん。おにいちゃんのが中から溢れちゃってる」 うらやましがるののかちゃんに、満足した顔で答えているえみちゃん。 「…でも、せんせいのまだ……」 えみちゃんの中にあれだけ出したというのにまだ固さを保ったまま。 「さすがせんせーだね。まだまだ元気いっぱいだぁ」 「じゃあ、次は私のでせんせーをきもちよくするぅ」 「うん。のの、がんばってね」 やり遂げたという顔をしたえみちゃんからののかちゃんへバトンタッチ。 「じゃあ、せんせー。いくよぉーー」 「んっ……んっ、んっ……んあっ……んんんっ……」 ののかちゃんはえみちゃんのを見て興奮していたみたいだ。 溢れんばかりの蜜が潤滑油となり、ヌルヌルとモノを迎え入れていく。 「ふあっ…あっ…あっ…せ、せんせーのが ののに……ンンっ……くっ……うぅンっ!」 子犬が甘えるようなリズミカルな声を出しながら感じ始めている。 「…んっ……あっ……」 ののかちゃんの柔らかくて温かい感触がたまらなくて、声が自然に漏れてしまう。 「せ、せんせー……ののの、どう?」 「うん……柔らかくて、気持ちいいよ」 「そっかぁ。えへへ、じゃあ、せんせー 楽にしてていいよぉ」 「ののがせんせーのこと、いーっぱいきもちよく してあげる」 そう言うとののかちゃんは自分から腰を動かし始める。 「あっ、あっ…んぁっ……んんんっ……はぁ、あっ」 「んぅぅ…こ、ここに当たると…なんかすごく ビリってする……んっ、んっ……んんんっ……」 動いているうちに自分が一番気持ちいいポイントを見つけたみたい。 膣の入り口辺りがののかちゃんにとってのポイントみたいで、小さく動きながらソコに当てている。 「の、ののかちゃん……あくっ……んっ……」 「えへへ、せんせー、ここがきもちいいんだね。 ののがいっぱいしてあげる」 少し浅めのところで細かく動くので、一番敏感な亀頭を断続的に刺激してきてくれる。 そのせいか思わず変な声を漏らしてしまう。 「…んくっ……あっ……んっ……ぅ……」 「…おにいちゃん、あたしの時よりも気持ちよさそう」 隣でグッタリしながら見ているえみちゃんがやや不機嫌そうに言う。 「こ、これは……その……んんっ……」 「せんせー、遠慮はいらないよ? もっときもちよくなっていいんだよ?」 えみちゃんに何か言おうとしても、ののかちゃんが与えてくれる快感に言葉を失ってしまう。 「…せんせい……」 「んんんっ……!」 気持ちいい声を漏らしてしまっている僕にことねちゃんが唇を合わせてくる。 「んっ……ふあぁ……せんせい…… えみちゃんには…あとで2人きりで……」 熱の籠もった声で耳元に囁いてくれる。 ことねちゃんはえみちゃんの様子を見て気遣ってくれたみたいだ。 「はぁ、はぁ…せんせー……のの、すごくきもちいい あっ、あっ、あっ、ンっ……ふあぁ……ッ……!」 「んっ…ちゅっ……ちゅっ……んぅ……」 ののかちゃんに敏感なところを刺激され、ことねちゃんのキスで感情が高ぶってきて── えみちゃんに射精して間もないというのに早くもフツフツと射精感が沸き上がってきている。 「…んっ……んっ……!」 「んくぅぅぅぅっ! あっ、あっ、あっ…… せ、せんせー!? 奥に入っちゃってる……」 最後の力を振り絞って腰を進め、亀頭をののかちゃんの最奥へと潜らせていく。 「あうっ……そ、そこ……あっ、あっ、あっ…… くる……へんなのくる……ふあぁ、あぁぁ……」 突然奥を責められたののかちゃんが敏感に反応する。 柔らかな膣肉がモノ全体を抱きしめるかのように包み込んできて── 「あっ、あっ、あっ…ああぁっ……ふあぁぁぁ……!」 最奥に到達した瞬間、ののかちゃんの体がビクリと大きく動く。 中が小刻みに震え、断続的な刺激に我慢出来ず、射精してしまう。 「ひあぁっ……お、おく……すごい…… せんせーの…あったかいの…いっぱいだぁ」 ののかちゃんが脱力した顔で満足そうに僕の精液を受け止めてくれている。 「はぁはぁはぁ、え、えへへ……体がピクピクして 動かないよぉ……」 不意打ちだったからか、突然の大きな刺激に耐えきれず絶頂してしまったらしい。 「はぁ、はぁ……ご、ごめんね。 僕だけが気持ちよくなってしまって……」 ののかちゃんの中からモノを抜き、グッタリした状態で言う。 「いーよー。だって、センセーにきもちよく なって欲しいんだもん」 「今日はあたしたちでおにいちゃんのこと いーっぱいきもちよくするんだから」 「だから、せんせいは気にしないでください」 みんなからのありがたい言葉に、かえって申し訳なくなる。 「みんな、ありがとう。 でも、今度は僕が──」 立ち上がろうとするも、すぐに軽い目眩がしてちゃぶ台に腰掛けてしまう。 「せんせい、だいじょうぶ?」 すぐにことねちゃんが気遣ってくれる。 「おにいちゃん、無理しちゃダメだよ?」 「そうそう、私たちに任せてくれたらいいんだよぉ」 「…………」 まだ酔いが覚めきってないのか、ちゃぶ台に座り込んだまま動くことが出来ない。 そんな情けない体とは対照的にモノはビクビクと元気に動いてしまっている。 「おにいちゃんのまだまだすごく元気だね?」 「…すぐに気持ちよくしてあげます」 えみちゃんとことねちゃんが興味津々といった様子でモノを眺めている。 「じゃー、私がせんせーのきもちよくするぅ♪」 ののかちゃんがいきりたっているものに顔を近づけてきて── 「あむっ……んっ……」 「……!」 柔らかな粘膜の感触に背筋がゾクリとする。 「んっ、んっ、んっ……せんせーのカチカチだぁ」 「ののかちゃん……、そこ……汚いから……」 「ん? ののは気にならないよ? だって、せんせーのなんだもん♪」 そう言うとののかちゃんは嬉々としながら亀頭を舌で舐めてくれる。 「……かふっ……あっ、んっ……」 予想もしていなかった刺激に体をビクりとさせて声を漏らしてしまう。 「……わたしも」 続いてことねちゃんが舌を伸ばして、竿の部分をなぞってくる。 「こ、ことねちゃん……そ、そこは……んんっ……」 射精したばかりで敏感なソコは、3人のぎこちない舌使いでくすぐったいような快感を与えてくれる。 「あぅぅ……みんな……」 1人出遅れてしまったえみちゃんがどうしたらいいのという感じで2人を眺めている。 「…えみちゃん……」 「んっ…んぅ……せんせーってここ、すごく 敏感なんだよね? んちゅっ……んんんっ……」 ののかちゃんが敏感な亀頭を重点的に舐めてくる。 「…んっ……せんせいのビクってして…… んっ…んっ……れろっ……」 舌を一生懸命伸ばしながら、竿を舐め回し気持ちよくさせてくれる。 「うぅぅ……あたしも……でも……」 えみちゃんも僕にしてあげたいと思っているみたいですごくもどかしそうだ。 「……え、えみちゃんは……ここ…… お願いできるかな?」 「…そこ? そこ、ペロペロしてもだいじょうぶ?」 少し下の袋の部分を指差すと、不安げに聞いてくる。 「うん。えみちゃんに、そこペロペロして欲しい」 「…おにいちゃんがそう言うなら…… あたし、頑張る……!」 「んっ……んぅぅ……れろ、れろ、れろ……」 恐る恐る舌を伸ばして、タマの部分を舐めてくれる。 「……んっ……んんっ……」 敏感な亀頭を刺激されながら、竿を舐められさらにタマを丁寧に舐められる。 あまりの快感に体がブルっと震えて、熱の籠もった声を漏らしてしまう。 「んっ、んっ……おにいちゃん、きもちよさそう」 「…んはぁ……ホントだね。えみちゃんが せんせーのそこ、ペロってするとビクってなってる」 「私もせんせーをもっときもちよくする。 んむっ……んっ……れろ、れろっ……んぅ……」 一体どこで覚えてきたのか?ののかちゃんは唾液をたっぷり含ませて亀頭の周りを丹念に舐めてくれる。 「んぅ……んっ……んっ……こ、ここも…… れろっ……ん、んっ……」 舌を裏筋の部分へと移し、下から上へ撫でるように舐めてくれることねちゃん。 「…ねぇ、そういえばせんせーの白いのって どうやってできるの?」 恐らく精液のことを言っているのだろう。 「はぁ、はぁ……そ、それはね……」 快感に耐えながら、きちんと説明していく。 「そっかぁ……。じゃあ、あたしがおにいちゃんの ここをいっぱいきもちよくしたら、たくさん 出来るんだね?」 「じゃあ、もっと頑張る! んっ、んっ、んっ……」 「んはぁ…はぁ……んんっ……わたしがここを んっ……舐めたら……いっぱい出る?」 「んっ、んっ……じゃあ、ののがいっぱい 吸い出してあげる。んっ、ちゅるっ……ちゅぅ……」 「あむっ……んっ、んっ……はむっ……んちゅっ…… んぅぅ……」 えみちゃんは小さな口で優しく甘噛みしたり、吸ったりしながら様々な刺激を与えてくれる。 「れろっ……んっ……ちゅるっ……んんんっ……」 裏筋を絶えず舐め続けてくれることねちゃん。 ぎこちない舌の動きが絶妙な快感を与えてくれる。 「んっ……ちゅるるっ……んはぁ……れろ、れろ……」 亀頭を吸ったり、舌で舐め回したりしてくるののかちゃん。 3人の息の合ったコンビネーション。油断するといきなり射精してしまいそうだ。 「ちゅっ……んっ……せんせい……どうですか?」 「すごく気持ちいいよ、ことねちゃん」 「んんっ……せんせー、こっちは?」 「うん……そっちも……」 気持ちよさのあまり、言葉が出て来なくてついついおざなりな事を言ってしまう。 「…………」 「んっ……んぅぅ……いっぱいペロペロしたら…… すごくヒクヒクってしてきてる……」 えみちゃんがタマの裏筋をねっとりと舐めてくれる。 「はぁ、はぁ……くっ……ンンッ……」 もう何度か射精しているというのに、下半身が熱くなってくる。 3人からもたらされる極上の快楽はさらに強い射精欲を沸き上がらせてくる。 「せんせい、いつでもいいから……」 「おにいちゃん、きもちよくなって……」 「んっ……んっ……ちゅる、ちゅっ……んぅぅ……」 僕の様子に気づいた3人が射精させようと動きを激しくしてくる。 「……もう…だめ……」 さすがにこのままだとののかちゃんの口の中に出してしまう。 それだけは避けようと思うのだがお酒で体が動いてくれない。快楽に身を委ねてしまう。 「んっ、んっ……おにいちゃん……んんっ…… れろっ……ちゅぅ……」 「はぁ、はぁ……ンッ……ちゅっ、じゅるっ…… んぅぅ………」 「はぁ、はぁ……あっ……の、ののかちゃん…… もう出るから……だから……」 ののかちゃんを何とかしようとするが── 「ん? いいよぉ。せんせー、このまま──」 ののかちゃんは小さな口で亀頭を完全に覆い、口を窄めて中身を吸い出そうとする。 「んっ……あっ……ンっ……!!」 「んぅぅぅぅぅっ……!!」 爆発的な快感に耐えきれず、ののかちゃんの口の中に精を放ってしまう。 4度目とは思えない程大量の精液を出してしまっていることが自分でもわかる。 「ンっ……んくぅぅ……ンンっ……ちゅるる……」 ののかちゃんは目を瞑りながら、口内で精液を受け止め、さらに中身を吸い出そうとしている。 それがくすぐったくて、気持ちよくて……いけないとわかりつつも、射精の快楽に身を任せてしまう。 さすがに苦しくなったのか、ののかちゃんが口を離す。 「んっ……んぐっ……んくん……んっ……んぐん……」 喉がコクンと小さく動いている。ひょっとして、飲んでくれているのだろうか? 「せんせいのいっぱい出てる……ちゅる…… んっ……キレイにします……んっ……んっ……」 「あたしも…んぅぅ……ちゅっ……ンくんっ……」 「…みんな」 溢れ出した精液をことねちゃんとえみちゃんが舌を伸ばしてすくい取っていく。 「んはぁ……はぁ、はぁ……せんせーのなんか 不思議な味がする……」 「うん……。ちょっぴり苦いけど嫌じゃない」 「んっ…いっぱい出てくる……。 ちゅるっ……ちゅぅ……んくっ……」 溢れ出して、竿を伝っている精液を柔らかな舌で丁寧に舐め取ってくれている。 「はぁ、はぁ……まだ残っているかも?」 「うん。おにいちゃんの元気なくなってない……」 てっきりこれ以上出ないと思っていたが3人がずっと刺激を与え続けてくれるため、まだ萎えていない。 むしろ、さらに猛々しさを増している感じさえする。 「せんせー…全部出してね? あむっ…んんん……」 ののかちゃんが再び亀頭を咥えてくる。 「あうっ……ンっ……」 射精したてですごく敏感になっているからか、思わず腰を浮かしてしまうぐらい気持ちいい。 「せんせい、遠慮はいらないですから…… ちゃんとキレイにする……んっ……んぅ……」 「うん……。我慢、しないでいいからね?」 ののかちゃんの口から漏れた精液をことねちゃんとえみちゃんが舐め取ってくれる。 「んくんっ……んくっ……いっぱい出して いいからね?」 と、ののかちゃんがまだ中に残っている精液を吸い出して飲み込んでくれる。 「…………」 3人が一生懸命、僕の精液を飲んでくれている姿を見ていると、これだけ射精しているというのにムラムラが収まらない。 支配感みたいなものが出てきて、それがさらにモノを奮い立たせてくる。 「んっ……んくっ……おにいちゃん…… ちゅるっ……んむっ……ちゅぅ……」 「せんせぇ……れろっ……っ……んっ……」 敏感になってしまっているからか、舌がくすぐったくて、身震いしてしまう。 「……んんっ……んくっ……ちゅるる……」 「っ……んっ……ンはっ……」 絶え間なく与えられる快感におかしな声を出し続けてしまう。 「んはぁ……はぁ、はぁ……んくっ……んっ……」 「…せんせい、きもちよかったですか?」 「……うん……すごく……きもちよかった……」 精液を出し尽くし、体がフラフラしてさらに情けないことに息も上がってしまっている。 体力はもう限界だけど……。 「…おにいちゃん……でも……」 それとは裏腹に下半身のたぎりは一向に冷めていない。 自分でも信じられない。ずっと勃起したままだ。 「………………」 ことねちゃんが何か言いたげにこちらを見つめている。 「…ことねちゃん、おにいちゃんのこと きもちよくしてあげてね?」 ことねちゃんの様子に気づいたえみちゃんが声を掛けている。 「うん……。次はことちゃんの番だね」 ののかちゃんが柔らかな笑みを浮かべながらえみちゃんに続いていく。 「…はい。せんせい、次はわたしが……」 2人に促されて決心がついたみたいだ。 ことねちゃんがゆらゆらと立ち上がり、ちゃぶ台に腰掛けたままの僕に乗りかかってくる。 「えへへ、せんせー……」 「の、ののかちゃん!?」 ことねちゃんに続いて、ののかちゃんが僕の顔をまたぎ、秘部を露わにしてくる。 「もう、のの?」 「だって、せんせーの飲んだらね、ここがすごく うずうずってしてきちゃって……」 僕の亀頭を舐め続けてくれたののかちゃんの秘部はすでにトロトロとした蜜が溢れてしまっている。 「……せんせい、わたしも……その……ここが ののかちゃんと一緒で……」 ことねちゃんの柔らかな秘部がモノに当たると、くちゅりと音がする。 2人共、舐めているうちに何かスイッチが入ってしまったみたいだ。 「……あぅぅ……せんせい……」 ことねちゃんのお尻が自然とゆらゆら揺れている。 すごく切なくなっている様子がわかる。 「ことねちゃん、いいかな?」 そんな様子にさっきまで限界と思っていたのにまだまだ頑張れそうだ。 「はい、せんせい……。お願いします」 うるうるした瞳で訴えてくる姿が非常に可愛らしくてすぐにでも挿入したい気持ちにさせられる。 「じゃあ、ことねちゃん」 まだ十分な固さを保っているソコをトロトロのことねちゃんの秘部にあてがう。 「んひゃっ……んっ……んくぅっ……ンンっ……!」 先端が入口に当たると、ことねちゃんが自分からゆっくりと腰を下ろし始める。 「うくっ……はぁ、はぁ……ンンっ……あっ…… ふあぁ……んうぅぅ……ッ……」 愛蜜で十分に潤っているはずなのに、入口は狭くてキツイ。 ことねちゃんとも何度も行為をしているが、少しだけ苦しそうだ。 「ことねちゃん、手伝ってあげるね。 ちゅっ……んっ……」 「ふぁぅっ……え、えみちゃ……あ、んんっ…… くうぅ……」 ことねちゃんが少し苦しそうなので、えみちゃんがことねちゃんの陰核を舌で愛撫する。 するとことねちゃんが甘い喘ぎを上げ、ズルズルとモノが奥へと進んでいく。 「ことちゃん、きもちよさそうだよぉ。 せんせー、ののもぉ」 「ンっ……」 ことねちゃんの様子にたまらなくなったののかちゃんが腰を下ろしてくる。 目の前の柔らかなピンク色の秘部にののかちゃんの甘い女の子の匂い。 たまらなくなって、舌を伸ばし秘肉から溢れる蜜を吸い出していく。 「ふあっ……あっ、あっ……せんせー…そこ…… んっ……きもちいい……」 「せんせーにペロペロされてるだけなのに…… んっ、ふあぁっ……あっ……ジンジンくるぅ」 リズミカルに喘ぐののかちゃんの声に興奮度が上がっていく。 「んっ…せ、せんせぃの……あっ、あうっ…… んくっ……ンぅぅ……なかで……ンンっ……」 ことねちゃんがさらに腰を沈めると、モノ全体が柔らかな秘肉に包まれる。 「んんっ……」 上からも下からも同時にもたらされる快感にこっちも息が漏れるのを我慢できない。 「ハァ…ハァ……せんせーのきもちいい…… あっ、あっ、あっ……んっ……はぁぁ……」 ののかちゃんは気持ちよさで、無意識に腰を前後に動かしてしまっている。 「ことねちゃん、ここがいいんだね? んっ…んっ……ちゅっ……れろれろ……」 「んんんっ……え、えみちゃん……そこは…… せんせいのと一緒に……ンンン……」 えみちゃんがことねちゃんの敏感なところを舐めると、膣内がビクビクと小刻みに動く。 「くっ……うっ……ンっ……」 断続的に締まってくることねちゃんの中が気持ちよすぎる。 このままだと呆気なく果ててしまいそうなので、快感から逃れようと腰を動かす。 「ふあぁっ! せ、せんせぃ……!」 すると、ことねちゃんがビクリとなってさらなる快感をもたらしてくる。 「わたし…せんせぇのもっと…するから……」 「……うくっ……はぁ、はぁ……んんっ…… あっ……あっ……んぁぁ……ふあぁぁ……!」 「あくっ……! こ、ことねちゃん……!?」 少し大胆になったことねちゃんが自分から腰を動かしてくる。 ぎこちない腰の動きがもたらす不規則な快感に意識がぼやけていきそうだ。 「んんっ……ことねちゃんのから……はぁ、はぁ… いっぱい出てる……ンっ……ちゅるっ……」 「ひゃうっ……! えみちゃん……吸っちゃ…… あっ、あっ……ン、はぁぁ……」 えみちゃんがことねちゃんの蜜を吸うと、ことねちゃんの体がビクビクと動く。 「…ことちゃんもいっぱいお汁出てるんだね? ののもね、せんせーにしてもらって…… こんなになってる」 ののかちゃんの秘部から溢れ出る蜜で口の中がいっぱいだ。 「ふあぁ……あっ、あっ……んっ……はぁぁ……」 「んっ……んはぁ……ンっ……!」 ことねちゃんの動きがより積極的になってきて、もう果ててしまいそうだ。 「せ、せんせー……私……んんっ……だめ…… エッチな声…止まらないよぉ」 ののかちゃんもたまらないといった様子で、秘部を僕の口元に押しつけてくる。 「はぁ、はぁ……あっ……あくぅ……わたしも…… なんかきて……ンっ…んぅぅ……」 「……んくっ……こ、ことねちゃん……」 華奢な体をいつになく積極的に動かしてくることねちゃん。 「せんせー……もうだめ……あっ、あっ…… んっ……ふあぁ……ンンンっ……!」 ののかちゃんはとうとう耐えきれなくなったみたい。 濃厚な女の子の匂いを発しながら、僕の上でブルブル震えている。 それが僕の我慢を崩していく。 「はぁ、はぁ……ことねちゃん……もう……」 「はい…。せんせい……いいですから…… あっ、あっ…わたしも……んあぁぁぁ……」 ことねちゃんが一際大きな、ウットリした声を上げる。 普段大人しい女の子が僕のでこんな魅惑的な声を上げてくれている。 そう考えると、もうダメだ……。 「あっ……こ、ことねちゃん……んっ……」 「せんせぃ…せんせぇ……あっ、あっ……んっ……」 「ふあぁぁ…ぁッ…あっ、ン、はぁぁぁぁ……!!」 ことねちゃんが絶頂した瞬間、先端が最奥まで入っていき、奥で射精してしまう。 さすがに5回目だからか、それほどの量は出ていないみたいだ。 「はぁ、はぁ……せんせいの……中で、震えてる」 絶頂で力が抜けたのか、クタリとした感じで僕に寄りかかってくる。 ことねちゃんが動いたからか、力尽きて萎えてしまったモノがスルリと抜けてしまう。 「…ん? あれ? おにいちゃんの元気 なくなっちゃった」 ずっと結合部を愛撫してくれていたえみちゃんが少し不満そうに言う。 「…はぁ……はぁ……さ、さすがに……ね……」 息を荒げながら、えみちゃんに答える。 「…おにいちゃんのここ、なんかヒクヒクしてる」 ここってどこのことを言っているのだろう? 「ひょっとしたら、おにいちゃんも──」 「…あくっ……え、えみちゃん!?」 ふいにお尻の穴に感じる温かくてくすぐったい感触。 「え、えへへ……せんせーからなんか女の子みたいな 声でたぁ……」 絶頂でグッタリしたままのののかちゃんが言ってくる。 「んっ、んっ……おにいちゃんもここ、弱い? あたしと同じだ」 「…だ、だめだって……そこ……汚いから……」 えみちゃんの愛撫から逃れようとするも体が動いてくれない。 汚いからと言いつつも、もっとして欲しいという気持ちがあるのかも知れない。 「…んっ……汚くなんてないよ? ちゅっ、ちゅ…っ……ヒクヒクってしてて…… かわいいかも」 執拗にお尻の穴周りを舐めてくるえみちゃん。 下半身からじーんと甘い痺れがやってきて、全身へと回っていく。 「ふあぁ、えみちゃんすごい! せんせーの、また元気になってきたぁ」 えみちゃんからもたらされる新鮮な快感に下半身の奥からたぎりが復活してくる。 「んっ……ンッ……ここも、ぺろぺろしてあげる。 れろぉ、ちゅ……んっ……ちゅるっ……」 そう言うと、えみちゃんはお尻の穴から、タマの裏を丹念に舐めてくれる。 自分でも自覚できるぐらいモノがギンギンになり元気を取り戻していく。 「んはぁ……。おにいちゃん、今度はいっぱい 出してあげてね?」 「うん。ことねちゃん、またいいかな?」 「へっ!? せ、せんせい…今はまだ…その……」 僕の上でグッタリしていたことねちゃんから驚きの声が上がる。 「さっきことねちゃんが気持ちよくしてくれたから 今度は僕が」 「そうだよ、ことちゃん。遠慮することないよ?」 「あぅぅ……せんせいがそうしてくれるなら……」 「うん。ことねちゃん、いっぱい気持ちよくなってね」 大量の愛蜜でヌルヌルになっているソコはあっという間にモノを全て飲み込んでいく。 「ひゃっ……あぅ……ンっ……ふあぁぁぁ……!」 挿入しただけなのに、ことねちゃんは大きな声を上げて華奢な体を大きくビクつかせる。 さっき、今はまだって言ったのはすごく敏感な状態になっていたからってことか。 「…れろっ……ンっ……んっ……ちゅっ……」 えみちゃんがすかさず舌で僕の尻穴を愛撫してくる。 「んはぁ……せんせいのビクってなって…… 奥に当たって……ンっ……はぁ、ああぁぁ……」 ことねちゃんは相当敏感になっているみたいで、腰を動かす度に絶頂している。 「ことちゃん、すごくきもちよさそう」 「ふぁい……せんせいが……んくっ……動いて くれて……頭が…ふわふわってして……」 「あっ、あっ、ンはぁぁ……ふあぁ……あうっ…… んぅぅ……ひうぅぅ……ッ……!」 ことねちゃんは瞳にうっすらと涙を浮かべどんどんやってくる絶頂の波に溺れてしまっている。 そんなことねちゃんを見ていると、もっと激しく腰を動かしたくなるが我慢する。 ゆっくりと腰をグラインドさせ、膣内全体を刺激してあげる。 「んはぁ、せんせい……ま、また……ふあぁぁ…… あっ、あっ、ンっ……んぅぅ……!」 耐えきれないといった様子で、僕の体にぎゅっとしがみついてくる。 先端が奥にどんどん潜り込んでいき、最奥を何度も小突いてしまう。 「ことちゃん、きもちいい?」 「うん……奥がビリってして……いっぱい何かきて… あっ、あっ……またきて……ンっ……ぅぅ……」 ことねちゃんは奥が一番感じるからか、腰を下ろして、先端が最奥に当たるようにしてくる。 「んっ、んっ……おにいちゃん…こうしたら いっぱいでる?」 「うん……。僕も何か熱くなってきているのが 分かるよ」 えみちゃんの愛撫で、体の奥底に何かが溜まっていくような感覚がしてくる。 「ホントだ。おにいちゃんのお尻ヒクヒクしてる。 もっとしてあげるね。ちゅっ……ちゅるっ……」 舌先で尻穴の入口を優しくつついてくる。 背中がジーンとなってきて、今にも爆発しそうなぐらいの射精感が沸き上がってくる。 「んはぁぁ…せんせぇ、せんせぇ……あっ…… あっ……んあぁぁ……!」 ことねちゃんの何度目かわからない絶頂で、膣肉がモノ全体を断続的に締め上げてくる。 「ことねちゃん……」 腰を思い切り突き上げて、一番奥に亀頭を当てる。 「ひゃっ……せ、せんせい……んんっ…… あっ、あっ……ふあぁ……うくぅぅぅ……!」 まるで搾精するかのように、根元で膣口が締まり── 「ンっ……くっ……」 「ふあぁっ……ああっ……ンはぁぁぁぁ……!」 「奥にあったかいの…せんせいのがいっぱいっ!」 「くっ……ことねちゃん……んんんっ……」 下半身にありったけの力を込めて──残っている精液全てを膣奥に吐き出していく。 「んはぁあぁぁ……すごい……いっぱい出てます…… せんせいのドクドクってしてる……」 「…ことねちゃんのから、おにいちゃんの白いのが 溢れてきてる」 「ことちゃん、よかったね。 せんせーにいっぱい出してもらえてるよ?」 「うん。いっぱいきもちよくしてもらって…… こんなに出してもらえて…うれしい……」 ことねちゃんがぎゅっと抱きついてくる。 僕が出している精液を零すまいと、膣内がぎゅっと締まってくる。 「…んっ……」 腰を動かし、互いの下半身を思い切り密着させてありったけの精液を注ぎ込んでいく。 「ふあぁぁ……まだ出てます……んっ……はあぁ……」 ウットリしながら僕の精液を受け止め続けてくれる。 「いーなー。せんせーにあんなにいっぱい出して もらえて……」 「…なんだかお腹の奥がきゅんってなってる。 ねぇ、おにぃちゃぁん……」 おねだりしてくるののかちゃんとえみちゃんを拒絶するなんてこと出来るはずがなく……。 ことねちゃんに全て出し切った後も、結局、ののかちゃん、えみちゃんともしてしまい……。 完全に枯れ果てて、それ以降の記憶がおぼろげになるぐらい行為を繰り返した。 「……あ、あはは……私、もう限界だぁ……。 足も腰もぷるぷるしてる」 あれから一体、何回したのだろうか?ことねちゃんとしてから後はよく覚えていない。 「…せんせいにいっぱい……愛してもらえて…… 嬉しい」 「うん。それにこうしてみんなでひっついていると なんだか暖かいね」 行為を終えた後、1枚の布団にみんなでくるまる。 意識が朦朧としていても柔らかな感触と暖かさはしっかり感じることができる。 「…ねぇ、おにいちゃんにとってあたしたちって?」 えみちゃんが不安げに聞いてくる。 「何よりも大切な存在だよ」 「…大切な存在……?」 常日頃から考えていることを口に出したのだけど、どうやら納得いっていないようだ。 「…そうだね」 何よりも大切な存在っていうのは間違いない。 でも、もっと具体的で分かりやすい答えを求めているのかな? 「…………」 息を飲んで、言ってしまうのをためらっていた言葉を思い浮かべる。 「…みんな、かけがえのない生徒で…… そして、何よりも大切な恋人だよ」 「そっかぁ、私たちちゃんとせんせーの恋人に なれたんだぁ」 「せんせいの恋人……。嬉しいです」 「おにいちゃん、やっと言ってくれた」 3人は感極まった感じで、抱きついてくる。 「うん。待たせてごめんね」 「僕はみんなのこと、愛しているし それはこれからもずっとだよ」 これからもずっと──改めて3人に愛を誓う。 「うん♪ あたしもおにいちゃんのこと愛してる」 「私もぉ! せんせーのことすっごく愛してる」 「これからもずっと……。みんな、ずっとずっと 一緒です」 「みんな、ありがとう」 3人からの愛の言葉を聞くと、気持ちが安らいで吸い込まれるように意識が途絶えていく。 「…なんだがすごく眠くなっちゃった」 「ふあぁ……。あたしも」 それからすぐに聞こえてくる3人の安らかな寝息。 天使が奏でる子守歌だな。 なんて柄でもないことを考えながら、まどろみに身を任せ、眠りへと落ちていった。 数日後、大晦日── 深夜0時を少しまわり、新しい年を迎えた頃、僕たち4人は近所の神社へと初詣に向かっていた。 「みんな、早く早くぅ!」 ののかちゃんとことねちゃんと手をつなぎ、ゆっくりと歩いていると、1人先を行くえみちゃんが急かしてくる。 昼間にたっぷりお昼寝をしたこともあってか、深夜だというのに、みんなとても元気だ。 「えみちゃん、慌てなくてもいいよぉ。 のんびり行こうよぉ」 「うん。ののかちゃんの言う通り。 いま、人でいっぱいだと思う……」 えみちゃんとは対照的にののかちゃんとことねちゃんはのんびりとしている。 ちなみに、ののかちゃんとことねちゃんの保護者にはすでに了承を得ている。 瀬田先生が一緒ならと快く送り出してくれた。 「むぅぅぅ……。ののとことねちゃんは おにいちゃんとずっとおてて繋いでいるから いいけどぉ……」 頬をぷーっと膨らませる様子がとても可愛い。 「しょうがないなぁ。じゃあ、交代してあげる」 「のの、ありがと。えへへ」 ののかちゃんが手を離すとすぐにえみちゃんが握ってくる。 「おにいちゃんのおてて、あったかぁーい」 ののかちゃんやことねちゃんという仲の良い友達の前では遠慮無く甘えるようになったえみちゃん。 「えみちゃん、手、冷たくなってるね?」 手袋をしているとはいっても、指先とか冷たくなってしまっている。 「そうだよぉ。だから、おにいちゃんのおててで ぎゅっと温めてもらうんだ」 「いーなー。じゃあ、私もおてて冷たくして 後でせんせーに温めてもらう」 「…わたしも……もっとぎゅってしていい?」 クリスマスにプレゼントした手袋をしながら上目遣いで聞いてくることねちゃん。 「うん。もちろんだよ」 ことねちゃんの手に力が入る。 雪がちらつく程の寒さなのに、みんなのおかげで手も心もすごく温かい。 それから代わり番こで手をつなぎ、たっぷりと時間をかけて神社へと歩いて行った。 「…人がいっぱい」 「ホントだね。みんな、初詣に来てるんだねぇ」 普段は人がほとんどいない神社だが、やはりこの日だけは違うみたいだ。 すでに小さな人だかりが出来ている。 「おにいちゃんが暮らしていたところも、 こんな感じだった?」 「ん? もっとたくさん人がいたよ。 それこそ、まともに歩けないぐらい」 都会での初詣は人混みに飲まれて流されていく。 ここは、そこまで大勢の人がいるわけではなく規模の大きな会合といった感じだ。 「へー、そうなんだぁ」 「ぅぅ、歩けないぐらい人がいっぱい、ですか……」 人見知りをしてしまうことねちゃんはその光景を想像すると怖くなってしまったみたいだ。 「みんな、はぐれないようにしっかりついて きてね」 そう言いながら、ことねちゃんの手をぎゅっと握る。 「はい。えへへ……」 すると、ことねちゃんは嬉しそうにはにかんでいた。 「おや? これはこれは瀬田先生ではありませんか。 新年、明けましておめでとうございます」 しばらく歩くと、小野先生と出くわす。 足取りも少し怪しく、顔が真っ赤になっているところを見ると、すでにお酒を飲まされているようだ。 「小野先生、明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします」 「おの先生、明けましておめでとうございます」 僕と手をつないだまま、ペコリとお辞儀をすることねちゃん。 「あはは、おのせんせー、顔、真っ赤っか」 「ホントだ。おのせんせ、お猿さんみたい」 「おっ、藤堂に深海に橋本か……。 相変わらず仲良しだな」 「瀬田先生、いいですな。モテモテじゃないですか」 お酒を飲んでいることもあってか、小野先生はやけにハイテンションだ。 「小野先生、あんまり飲み過ぎては……。 ただでさえお酒、強くないんですから」 「ははは、今日は特別だよ、特別。 新年でめでたい日なんだから」 豪快に笑う小野先生。 すると、どこからか『小野ちゃん、早く』とか『将文、酒!』っていう声が聞こえてくる。 「はい! すぐに行きます! じゃあ、瀬田先生、俺はこの辺で」 おぼつかない足取りで、運動会で使うような特設テントへと向かって行く小野先生。 あそこに陣取っているのは小野先生の友達とか先輩なのだろうな。 「あっ! はるかせんせーだ! おーい!」 今度はののかちゃんが人だかりの中、せわしなく動いている遥先生を発見する。 「あら、ののかちゃん。それに、えみちゃんと ことねちゃん、瀬田先生。明けましておめでとう ございます」 深々とお辞儀をしながら新年の挨拶をしてくれる。 「はるかせんせー、あけおめぇ!」 「のの、明けましておめでとうございます、でしょ? ちゃんとしないと」 「はーい。はるかせんせい、明けましておめでとう ございます」 えみちゃんがお姉さんスキルを発揮し、ののかちゃんに注意している。 ののかちゃんも素直に聞き入れている。 「はるか先生、明けましておめでとうございます」 ことねちゃんは小野先生の時と同じようにペコリとお辞儀をしながら新年の挨拶をしている。 「明けましておめでとうございます。 あれ? 遥先生は確か……」 帰省しているものだとばかり思っていたけど……。 「えぇ、やはり新年はこちらでと思いまして」 「そうそう、みんな。瀬田先生、アレ喜んでくれた?」 アレというのはクリスマスの時の衣装のことだろう。 「うん! せんせー、すっごく喜んでくれた」 「はるか先生のおかげです」 「はるかせんせ、可愛い衣装を貸してくれて ありがとうございました」 「みんな、よかったわね。 瀬田先生も、可愛いサンタさんが見れて よかったでしょ?」 「えぇ、ありがとうございました。 ところで遥先生は何を?」 間違ってもエッチなサンタさんでしたとは言えない。 迂闊なことを言ってしまう前に強引に話題を変える。 「町内のお手伝いで、甘酒を振る舞っているんです」 「よかったら、みんなもどう? ここの神社、自家製の甘酒よ」 「ほんと!? それ、飲んでみたい」 自家製という言葉にののかちゃんがいち早く食いつく。 「あたしも飲んでみたいかも」 「……わたしも」 どうやら、みんなののかちゃんと一緒の気持ちみたい。 「ふふ、ちょっと待っていてね。 すぐに持ってくるから」 遥先生はそう言うと、甘酒を取りに特設テントへと向かって行く。 待つことしばし── 「みんな、お待たせ。熱いから気をつけてね」 遥先生から紙コップに入った甘酒をふるまってもらう。 「はるかせんせ、ありがとぉ」 「んくっ……んっ……ぷはぁーー! 甘くておいしー♪ さすが自家製だぁ」 「うん。体、温まる」 ご満悦で自家製の甘酒に舌鼓を打っているののかちゃんとえみちゃん。 「…ぁつっ……ふー、ふー……」 ことねちゃんは甘酒が熱かったのか、ふーふーしながらちびちびと飲んでいる。 「んっ……。これはなかなか──」 みんなに続いて、僕も甘酒を一口。 優しい甘さで、非常に口当たりが良い。 「どうですか、瀬田先生? 実はこの町で作られる酒粕ってちょっとした ものなんですよ」 「えぇ、すごく美味しいです」 甘酒とはいえ、飲み過ぎないようにしないと。 「さてと、人だかりも落ち着いてきたみたいだし、 そろそろ僕たちも」 「うん。そうだね」 「…もうちょっと、甘酒飲みたい」 「ののかちゃん、飲み過ぎは体に毒だよ?」 甘酒のせいか3人の顔はほんのりと赤い。 「うん。ことねちゃんの言う通りだね。 確かにあの甘酒はすごく美味しいけど」 「来年、また飲めるから」 「おにいちゃん、年が変わったばっかなのに もう来年のこと言ってる」 来年のことを言うと鬼が笑うと言うが新年早々だから、きっと大爆笑に違いない。 「そだねぇ。また、来年も飲めるもんね」 「うん……。来年も……その先もずっと一緒です」 「そうそう。だから、早く行こう?」 ご機嫌なえみちゃんに手を引かれ初詣を済ませに境内へと赴く。 「よっと!」 まずはののかちゃんがお賽銭を賽銭箱に投げ入れて手を合わす。 「(……せんせーやえみちゃん、ことちゃんと  これからもずっと仲良くできますように)」 ののかちゃんに続いて、えみちゃんとことねちゃんもお賽銭を投げ入れていく。 「(おにいちゃんと…それからののやことねちゃんと  ずっとこのままでいられますように)」 「(これからもずっと、みんな一緒でこうして  いられますように……)」 神前だからか、3人共、何やら真剣に手を合わせている。 「………………」 3人に続いて、そっとお賽銭を投げ入れて手を合わせ、神様にお祈りをする。 ずっと3人と── いや、お祈りではないな……。誓いといった方が正しいのかも知れない。 「さぁ、みんな行こうか」 神前への祈りを済ませた後、みんなを率いて境内から下りて行く。 「うん! りょーかい!」 「そういえば、みんなやけに真剣だったけど 何をお願いしたのかな?」 「…それは……内緒です」 「秘密だよぉ」 3人は仲良く目配せしている。 「ねぇ、おにいちゃんは何てお願いしたの?」 「そりゃ……その……今年も頑張るみたいな ことかな」 本当はみんなとずっと一緒にいたいってことだけどそれを口に出してしまうのは少し照れくさい。 「えぇーー! それだけぇ? 私は──」 「のの、ダメだよぉ! おにいちゃんには 内緒にしないと」 「そうです。大事な秘密だから」 「あっ……!!」 ののかちゃんが口を滑らせそうになったところをえみちゃんが慌てて制している。 今の口ぶりから何をお願いしたかはだいたい想像がつくが言わない方が良いだろう。 「ふふっ……」 「ん? おにいちゃんどうしたの?」 「せんせい、嬉しそう」 「なんかいいことあったの?」 みんなのお願いしたことが僕と同じことで、これからもずっと3人に振り回されるんだなぁと思うと、自然と笑みがこぼれてしまったらしい。 「ん? 内緒だよ」 「えーー、教えてよぉ」 「そうだよ、おにいちゃん意地悪しちゃダメだよ」 「わたしも聞きたいな」 「ダメだよ。ほら、冷えてきたし早くお家に帰ろう」 「そだねぇ。ねぇ、えみちゃんの家に帰ったら 何しよっか?」 「…まだ全然眠くないし……」 2人共、ちゃんとお泊まりセットを用意してきていて初詣が終わった後、えみちゃんの家にお泊まりすることになっている。 昼寝したことに加えて、正月独特の雰囲気に気持ちが高ぶっているのはみんな同じみたいだ。 「…ちょっとお腹空いちゃった」 そう言えば僕も小腹が減ってきた気がする。 「屋台も出ているし、何か買って帰ろうか?」 「うん! 私、イカ焼き食べたい」 「あたしは……うーん……たこ焼き」 「…私はその……みんなと一緒で……」 「了解。じゃあ、イカ焼きとたこ焼き…… それに綿菓子を買って帰ろうか?」 「……はい!」 実はことねちゃんがふわふわの綿菓子を目で追っていたのは分かっている。 遠慮して言い出せなかったみたいで、僕が提案すると嬉しそうに返事してくれる。 「そうだ、帰ったらみんなでゲームしよっ! 実は年末に出た新しいやつ、持って来たんだ」 ののかちゃんが年末に出た新作ゲームを取り出して披露する。 「のの、それ買ってもらったんだ。いーなー」 「…わたしもやってみたい」 「おっ! ことちゃんもかぁ。 だったら決定だね!」 ことねちゃんが珍しく自分からやってみたいと言うと、ののかちゃんがすごく嬉しそうにしている。 「うん! みんなでやろう」 続くえみちゃんも、何だかすごく嬉しそう。 「でも、みんな寝ているだろうから大人しくだよ?」 えみ・ののか・ことね (2509) えみ「「「はーーーい!!」」」 3人揃った元気の良い返事が聞こえてくる。 これからも、ずっと一緒にこの町で── 改めて誓いながら、愛しい女の子たちと神社を後にした。 //えみ▲ //========================================================= //100 ***SC_W1000_00_A0270_00 //えみH1回目:100 シーン回想フラグ EF_C0060 //メッセージウィンドウオフ EF_FLAG_20_0 //日付強制非表示 EF_NOP_1 EF_C0030 //立ちキャラ全オフ 全ての立ちキャラを消去する EF_FOUT //暗転 EF_WAIT_500 EF_B0001_HG010103 //通常+私服通常+コタツ暑い+主人公の手非表示+汗非表示+精液非表示 EF_C0061 //メッセージウィンドウオン BG_BGM00011_FIN // 環境音(自宅/春/夜) //101 ***SC_W1000_10_A0390_00 //えみH2回目:101 シーン回想フラグ EF_C0060 //メッセージウィンドウオフ EF_FLAG_20_0 //日付強制非表示 EF_NOP_1 EF_C0030 //立ちキャラ全オフ 全ての立ちキャラを消去する EF_FOUT //暗転 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